森総理発言について(2000/10/20)
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救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
TEL 03-3946-5780/FAX 03-3944-5692 http://www.asahi-net.or.jp/~lj7k-ark
〒112-0015 文京区目白台3-25-13
担当:荒木和博(全国協議会事務局長 k-araki@mac.email.ne.jp)
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▼来年の正月は拉致された人々が実家で家族とすごせるように、年内解決を!
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このニュースは拉致問題に関する情報をお送りするものです。
恐縮ですが送信を希望されない方は荒木のID宛メールをお送り下さい。
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■森総理発言について
ASEMでの森総理のブレア英首相への言葉が問題になっています。このことに関して
の見解はあす発表する予定ですが、基本的には97年時点でこのような提案をしたこと
がと、今になってそれをブレア英首相に言ったことは極めて軽率であると思います。
■坂本義和東大名誉教授から横田滋さんへの手紙
9月29日のニュースでお知らせした横田滋家族会会長から坂本義和東大名誉教授へ
の手紙に対し、10月5日付で返信が届いています。遅くなりましたが紹介します。
内容を読むと巧妙に横田さんの手紙から逃げているように思いますが、決定的な誤
認は金正日体制の北朝鮮がテロ国家であるということです。金正日総書記自身が年
間2?3億ドルかかると言っているミサイル開発の予算を一部削り、農業を完全に請負
制にしただけで北朝鮮の飢餓は無くなります。それが分からないなら東大名誉教授の
肩書きは返上すべきでしょうし、分かって言っているなら金日成総合大学でも言って
教鞭をとってもらった方がいいように思うのですが…。(荒木)
横田 滋様
9月28日付けのお手紙、拝見いたしました。
横田めぐみさんのご両親のお気持は、私も人の親として、お察しして余りあるもの
があります。インタビューという限られた場であったとはいえ、言葉が足りず、本意
を言い尽くしていないことを痛感いたしました。
私も、「拉致疑惑」の一日も早い解決を強く望んでおります。ただ、そこにいたる
道筋について、ご意見とは異なった考え方をしているように思われます。
私は、この6月に、ある月刊誌にこのように書きました。(『世界』8月号)
「肉親が拉致されたという疑いをもつ家族の心痛は想像に余りある。だが、北朝鮮
としては、元“従軍慰安婦”や強制連行労働者として“拉致”された、数万、数十万
の犠牲者への謝罪や補償なしに、先ず“拉致疑惑”を突きつける日本の姿勢を受け入
れられないのも当然である。先ず歴史的責任を負う姿勢を具体的に示した上で“拉致
疑惑”を交渉の議題にのせる、それが順序である。」
ここで「順序」と言いましたのは、「拉致疑惑」解決の方が緊急度が低いといった
意味ではなく、「過去の清算」から始めなければ、「拉致疑惑」解決のために、事態
が動き出さないのではないか、ということを指しております。
さらに私は、もし拉致された人がいるのであれば、「その人々に好ましくない効果
が及ぶのを極力避ける」という配慮が必要だと述べました。
これを書いた当時は、めぐみさんのご両親は、「先ず、拉致問題を解決せよ」と要
求されていたと記憶します。しかし、その後、「拉致問題の解決のメドがつくまでは、
食糧援助をするな」と外務省に要求されたとテレビで知り、私は衝撃を受けました。
ご両親のお気持はお察しいたします。しかし、このように言われますと、私のよう
に戦中,戦後、飢えと栄養失調を経験した者としては、北朝鮮の子どもたちが飢えて
いても米を送るなと主張されたように受け取れ、衝撃を受けざるをえないのです。こ
れは、私の偽らざる気持であり、それはご理解いただきたいと思います。言い換えま
すと、私が強い違和感をもったのは、「拉致疑惑」解決の要求に対してではなく、
「食糧援助をするな」という言葉に対してであることを、お分かりいただきたいと思
います。
確かに、食糧が「真に困窮している人々に配給された」かについては、見方が分か
れています。配給されていると判断する、という見解もあれば、ご指摘のような疑い
を持つ意見もあります。しかし、食糧支援をしても届かない人がいるかもしれないと
いう理由で、会糧支援をしなければ、それを口にできない人が、もっと増えるのでは
ないか、とくに弱い立場に置かれた人々が、もっと昔しむことになるのではないか、
と私は危惧しております。
また、お手紙には、「拉致問題の進展がないままコメ支援をすれば、“拉致間題解
決なしに、金や米を貰える”という誤ったメッセージを北に送ることになります」と
いうご懸念を記しておられます。しかし、誠実に謝罪し、賠債を約東しても、一時期
に全額を払う訳ではありませんし、日本の戦後賠償も、何年かにわたって支払うのが
通例でしたから,一挙にテコを失うと考える必要はないのではないでしょうか。
この点で私は、問題解決のためには、金大中大統領の「太陽政策」が、正しい、ま
た確かな方法だと考えております。
この「太陽政策」に賭けた金太中大統領のリーダーシップのおかげで、現在、この
政策が、一歩一歩、成果をあげ始めていると思われます。このような政策では、もど
かしいとお感じなられるかもしれません。しかし、これが、一見回り道のように見え
て、結局は拉致問題の解決への現実的な近道なのではないでしょうか。私は、日本政
府もこうした政策を推進し、着実に成果を生むことを、心から願っております。
以上、ご納得いただけない点もあろうかと思いますが、これをもって、ご返事とさ
せていただきます。
坂本義和
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(参考・9月29日付救う会全国協議会ニュース)
■横田家族会代表、坂本義和氏に質問状
「週刊文春」10月5日にもジャーナリストの野村旗守氏が取り上げていましたが、
坂本義和東大名誉教授が朝鮮総聯系新聞「朝鮮時報」8月11・25日合併号インタビュー
でご家族が拉致問題の解決まで食糧支援をすべきでないと申し入れたことに「怒りを
覚えた」などと言っています。このインタビューの内容は先月から家族会・救う会の
中でも問題になってきたことで、何らかの意思表示をしようということになっていま
したが、このたび横田家族会代表は次の手紙を坂本氏あてに送りました。返事が届け
ばまた公開しますが、とりあえずご報告します。なお、インタビューの原文を入手さ
れたい方は救う会までファックスにてご連絡いただければお送りします。
坂本義和様
初めて筆をとらせていただきます。私は北朝鮮に拉致された被害者の家族です。
最近、貴殿の「朝鮮時報」に載ったインタビュー記事(2000年8月11・25日合併号)
を読ませていただきました。そこでおっしゃっていた内容に些か疑問がありますので、
お便りさせていただきます。
「横田めぐみさんの両親が外務省に行って、まず、この事件の解決が先決で、それま
で食糧支援をすべきでないと申し入れた。これには私は怒りを覚えた。自分の子供の
事がが気になるなら、食糧が不足している北朝鮮の子供たちの苦境に心を痛め、援助
を送るのが当然だ。それが人道的ということなのだ。」
貴殿は怒りを覚える相手を勘違いされていると思います。
私たち、拉致被害者家族が連絡会を作った際の声明文に「北朝鮮は、わが国に対し
て、人道的な立場から食糧支援を申し込んでいるようです。私たちは食糧支援に反対
するものではありませんが、人道的立場を云々するのであれば、まずたちの息子や娘
を返していただきたいというのが率直な気持ちです」と述べており、その考えは変わっ
ていません。
わが国は95年以降、数次にわたり食糧支援を行いましたが、真に困窮している人々
に配給されたとは、とても思えません。昨年から「国境なき医師団」「AAH」など
のNGOが相次いで北朝鮮から撤退しているのがその証拠です。多くの人民が餓死す
るほどの食糧難に陥りながら国民総生産の7割強を軍事費にまわす失政を犯している
金正日こそ非難されるべきです。
北朝鮮への食糧支援は、人道支援と言っても重要な外交カードです。拉致問題に進
展がないままコメ支援を行えば「拉致問題解決なしに金や米を貰える」という誤った
メッセージを北に送る事になります。
日本にとって最大の人道問題である拉致問題を、北朝鮮は依然その存在すら認めて
いません。新聞によると『24日の「労働新聞」は森首相が先に北朝鮮による日本人拉
致問題を無視して日朝国交正常化はありえないと発言したことについて、「自尊心と
尊厳を害してまで、日本と関係を正常化するつもりはない」と反発する論評を掲載し
た。論評は拉致問題に関連し、日本が拉致疑惑問題をひきつづき持ち出せば行方不明
者調査事業は遮断されかねない」と警告している』と報じています。こうした相手に
は、日本側も「国民の生命、人権をないがしろにしてまで正常化は出来ないとの基本
線を守らねばならない」(高村元外相)の姿勢で交渉に臨んでもらいたいと思ってい
ます。
また、貴殿は
「北朝鮮としては、植民地支配下において元「従軍慰安婦」や強制連行労働者とし
て「拉致」された数万、数十万の犠牲者への謝罪と保証なしに「拉致疑惑」を交渉の
場に持ち出そうとする日本の立場を受け入れないのは当然であろう」
とおっしゃっていますが、我々の家族は1977年、78年を中心に自国の領土から拉致
され暴力を以て国外に連れ去られ、現在も解放されていないのです。その「家族」の
返還を求めているのが、不当でしょうか。
貴殿にもご家族がいらっしゃるでしょう。例えばお孫さんが拉致されその生死さえ
つかめない状況にあっても記事と同じ主張をされるのでしょうか。残された家族の切
実な願いに対し「怒りを覚える」などと言えるのですか。
貴殿のように「高名な方」なら、それでも「食糧支援が先」と言えるのでしょうか。
我々は「死ぬまでに元気な顔を見たい」という家族(両親には高齢者が多く、既に亡
くなった方もいる)の気持ちを素直にぶつけるしかありません「奪われた家族を返せ」
というのが何故貴殿の「怒り」につながるのか、理解出来ません。
貴殿のおっしゃっていることは「北朝鮮国家」が日本に対し言っていることと全く
同じで「同胞」とか「日本」という感覚が欠落しているように聞こえます。「人道的
食糧支援と拉致問題解決を絡めるべきでない」との意見があることは承知しておりま
すが、「残された加須在日韓国・朝鮮人宇野切実な訴え」に対し、「怒りを覚える」
などと公表されている貴殿の見識を伺いたく公開の手紙差し上げました。ぜひご返事
をお願い申し上げます。なお、ご返事は救う会のニュースに紹介させていただきます。
9月28日
「北朝鮮による拉致」被害者家族連絡会
代表 横田滋
救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
TEL 03-3946-5780/FAX 03-3944-5692 http://www.asahi-net.or.jp/~lj7k-ark
〒112-0015 文京区目白台3-25-13
担当:荒木和博(全国協議会事務局長 k-araki@mac.email.ne.jp)
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▼来年の正月は拉致された人々が実家で家族とすごせるように、年内解決を!
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■森総理発言について
ASEMでの森総理のブレア英首相への言葉が問題になっています。このことに関して
の見解はあす発表する予定ですが、基本的には97年時点でこのような提案をしたこと
がと、今になってそれをブレア英首相に言ったことは極めて軽率であると思います。
■坂本義和東大名誉教授から横田滋さんへの手紙
9月29日のニュースでお知らせした横田滋家族会会長から坂本義和東大名誉教授へ
の手紙に対し、10月5日付で返信が届いています。遅くなりましたが紹介します。
内容を読むと巧妙に横田さんの手紙から逃げているように思いますが、決定的な誤
認は金正日体制の北朝鮮がテロ国家であるということです。金正日総書記自身が年
間2?3億ドルかかると言っているミサイル開発の予算を一部削り、農業を完全に請負
制にしただけで北朝鮮の飢餓は無くなります。それが分からないなら東大名誉教授の
肩書きは返上すべきでしょうし、分かって言っているなら金日成総合大学でも言って
教鞭をとってもらった方がいいように思うのですが…。(荒木)
横田 滋様
9月28日付けのお手紙、拝見いたしました。
横田めぐみさんのご両親のお気持は、私も人の親として、お察しして余りあるもの
があります。インタビューという限られた場であったとはいえ、言葉が足りず、本意
を言い尽くしていないことを痛感いたしました。
私も、「拉致疑惑」の一日も早い解決を強く望んでおります。ただ、そこにいたる
道筋について、ご意見とは異なった考え方をしているように思われます。
私は、この6月に、ある月刊誌にこのように書きました。(『世界』8月号)
「肉親が拉致されたという疑いをもつ家族の心痛は想像に余りある。だが、北朝鮮
としては、元“従軍慰安婦”や強制連行労働者として“拉致”された、数万、数十万
の犠牲者への謝罪や補償なしに、先ず“拉致疑惑”を突きつける日本の姿勢を受け入
れられないのも当然である。先ず歴史的責任を負う姿勢を具体的に示した上で“拉致
疑惑”を交渉の議題にのせる、それが順序である。」
ここで「順序」と言いましたのは、「拉致疑惑」解決の方が緊急度が低いといった
意味ではなく、「過去の清算」から始めなければ、「拉致疑惑」解決のために、事態
が動き出さないのではないか、ということを指しております。
さらに私は、もし拉致された人がいるのであれば、「その人々に好ましくない効果
が及ぶのを極力避ける」という配慮が必要だと述べました。
これを書いた当時は、めぐみさんのご両親は、「先ず、拉致問題を解決せよ」と要
求されていたと記憶します。しかし、その後、「拉致問題の解決のメドがつくまでは、
食糧援助をするな」と外務省に要求されたとテレビで知り、私は衝撃を受けました。
ご両親のお気持はお察しいたします。しかし、このように言われますと、私のよう
に戦中,戦後、飢えと栄養失調を経験した者としては、北朝鮮の子どもたちが飢えて
いても米を送るなと主張されたように受け取れ、衝撃を受けざるをえないのです。こ
れは、私の偽らざる気持であり、それはご理解いただきたいと思います。言い換えま
すと、私が強い違和感をもったのは、「拉致疑惑」解決の要求に対してではなく、
「食糧援助をするな」という言葉に対してであることを、お分かりいただきたいと思
います。
確かに、食糧が「真に困窮している人々に配給された」かについては、見方が分か
れています。配給されていると判断する、という見解もあれば、ご指摘のような疑い
を持つ意見もあります。しかし、食糧支援をしても届かない人がいるかもしれないと
いう理由で、会糧支援をしなければ、それを口にできない人が、もっと増えるのでは
ないか、とくに弱い立場に置かれた人々が、もっと昔しむことになるのではないか、
と私は危惧しております。
また、お手紙には、「拉致問題の進展がないままコメ支援をすれば、“拉致間題解
決なしに、金や米を貰える”という誤ったメッセージを北に送ることになります」と
いうご懸念を記しておられます。しかし、誠実に謝罪し、賠債を約東しても、一時期
に全額を払う訳ではありませんし、日本の戦後賠償も、何年かにわたって支払うのが
通例でしたから,一挙にテコを失うと考える必要はないのではないでしょうか。
この点で私は、問題解決のためには、金大中大統領の「太陽政策」が、正しい、ま
た確かな方法だと考えております。
この「太陽政策」に賭けた金太中大統領のリーダーシップのおかげで、現在、この
政策が、一歩一歩、成果をあげ始めていると思われます。このような政策では、もど
かしいとお感じなられるかもしれません。しかし、これが、一見回り道のように見え
て、結局は拉致問題の解決への現実的な近道なのではないでしょうか。私は、日本政
府もこうした政策を推進し、着実に成果を生むことを、心から願っております。
以上、ご納得いただけない点もあろうかと思いますが、これをもって、ご返事とさ
せていただきます。
坂本義和
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(参考・9月29日付救う会全国協議会ニュース)
■横田家族会代表、坂本義和氏に質問状
「週刊文春」10月5日にもジャーナリストの野村旗守氏が取り上げていましたが、
坂本義和東大名誉教授が朝鮮総聯系新聞「朝鮮時報」8月11・25日合併号インタビュー
でご家族が拉致問題の解決まで食糧支援をすべきでないと申し入れたことに「怒りを
覚えた」などと言っています。このインタビューの内容は先月から家族会・救う会の
中でも問題になってきたことで、何らかの意思表示をしようということになっていま
したが、このたび横田家族会代表は次の手紙を坂本氏あてに送りました。返事が届け
ばまた公開しますが、とりあえずご報告します。なお、インタビューの原文を入手さ
れたい方は救う会までファックスにてご連絡いただければお送りします。
坂本義和様
初めて筆をとらせていただきます。私は北朝鮮に拉致された被害者の家族です。
最近、貴殿の「朝鮮時報」に載ったインタビュー記事(2000年8月11・25日合併号)
を読ませていただきました。そこでおっしゃっていた内容に些か疑問がありますので、
お便りさせていただきます。
「横田めぐみさんの両親が外務省に行って、まず、この事件の解決が先決で、それま
で食糧支援をすべきでないと申し入れた。これには私は怒りを覚えた。自分の子供の
事がが気になるなら、食糧が不足している北朝鮮の子供たちの苦境に心を痛め、援助
を送るのが当然だ。それが人道的ということなのだ。」
貴殿は怒りを覚える相手を勘違いされていると思います。
私たち、拉致被害者家族が連絡会を作った際の声明文に「北朝鮮は、わが国に対し
て、人道的な立場から食糧支援を申し込んでいるようです。私たちは食糧支援に反対
するものではありませんが、人道的立場を云々するのであれば、まずたちの息子や娘
を返していただきたいというのが率直な気持ちです」と述べており、その考えは変わっ
ていません。
わが国は95年以降、数次にわたり食糧支援を行いましたが、真に困窮している人々
に配給されたとは、とても思えません。昨年から「国境なき医師団」「AAH」など
のNGOが相次いで北朝鮮から撤退しているのがその証拠です。多くの人民が餓死す
るほどの食糧難に陥りながら国民総生産の7割強を軍事費にまわす失政を犯している
金正日こそ非難されるべきです。
北朝鮮への食糧支援は、人道支援と言っても重要な外交カードです。拉致問題に進
展がないままコメ支援を行えば「拉致問題解決なしに金や米を貰える」という誤った
メッセージを北に送る事になります。
日本にとって最大の人道問題である拉致問題を、北朝鮮は依然その存在すら認めて
いません。新聞によると『24日の「労働新聞」は森首相が先に北朝鮮による日本人拉
致問題を無視して日朝国交正常化はありえないと発言したことについて、「自尊心と
尊厳を害してまで、日本と関係を正常化するつもりはない」と反発する論評を掲載し
た。論評は拉致問題に関連し、日本が拉致疑惑問題をひきつづき持ち出せば行方不明
者調査事業は遮断されかねない」と警告している』と報じています。こうした相手に
は、日本側も「国民の生命、人権をないがしろにしてまで正常化は出来ないとの基本
線を守らねばならない」(高村元外相)の姿勢で交渉に臨んでもらいたいと思ってい
ます。
また、貴殿は
「北朝鮮としては、植民地支配下において元「従軍慰安婦」や強制連行労働者とし
て「拉致」された数万、数十万の犠牲者への謝罪と保証なしに「拉致疑惑」を交渉の
場に持ち出そうとする日本の立場を受け入れないのは当然であろう」
とおっしゃっていますが、我々の家族は1977年、78年を中心に自国の領土から拉致
され暴力を以て国外に連れ去られ、現在も解放されていないのです。その「家族」の
返還を求めているのが、不当でしょうか。
貴殿にもご家族がいらっしゃるでしょう。例えばお孫さんが拉致されその生死さえ
つかめない状況にあっても記事と同じ主張をされるのでしょうか。残された家族の切
実な願いに対し「怒りを覚える」などと言えるのですか。
貴殿のように「高名な方」なら、それでも「食糧支援が先」と言えるのでしょうか。
我々は「死ぬまでに元気な顔を見たい」という家族(両親には高齢者が多く、既に亡
くなった方もいる)の気持ちを素直にぶつけるしかありません「奪われた家族を返せ」
というのが何故貴殿の「怒り」につながるのか、理解出来ません。
貴殿のおっしゃっていることは「北朝鮮国家」が日本に対し言っていることと全く
同じで「同胞」とか「日本」という感覚が欠落しているように聞こえます。「人道的
食糧支援と拉致問題解決を絡めるべきでない」との意見があることは承知しておりま
すが、「残された加須在日韓国・朝鮮人宇野切実な訴え」に対し、「怒りを覚える」
などと公表されている貴殿の見識を伺いたく公開の手紙差し上げました。ぜひご返事
をお願い申し上げます。なお、ご返事は救う会のニュースに紹介させていただきます。
9月28日
「北朝鮮による拉致」被害者家族連絡会
代表 横田滋