西岡副会長がタイ人拉致等報告?バンコクで国際会議(2007/09/20)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2007.09.20)
9月17から8日にバンコクで、「拉致と難民?北朝鮮の人権状況」に関する
国際会議が開催された。東南アジアでは初めての会議で、北朝鮮に拉致された人
々を救援する会チェンマイ(ARNKA)の海老原智治代表(救う会タイ連絡調査委員)
らが実行委員会を組織して主催した。国際会議には、地元タイの活動家、学者、
政治家などを初め、韓国、米国からも参加。家族会・救う会からは、タイ人拉致
被害者アノーチャーさんの目撃者であるチャールズ・ジェンキンス氏(曽我ひと
みさん夫)、増元照明家族会事務局長、西岡力救う会常任副会長等が参加した。
以下は18日に行われた西岡力副会長の報告「北朝鮮拉致の現状と理由」全文。
その他後日報告。
■西岡副会長がタイ人拉致等報告?バンコクで国際会議
国際会議「拉致と難民」北朝鮮の人権状況(於 タイ・バンコク)
西岡力報告「北朝鮮拉致の現状と理由」の要旨
今日の人権会議のテーマは、国内で人権侵害、独裁をする政権は外国に対して
テロ、侵略を行うということだと思う。北朝鮮の金日成・金正日親子独裁政権は
国内ですさまじい人権侵害をし、海外で拉致をはじめとする数多くのテロをくり
返し、韓国に対する戦争をしかけ、いまも戦争準備をしている。責任はすべて、
独裁者金日成、金正日親子だ。最初にそのことを確認したい。
10年前、多くの日本人が拉致されていることが広く知られるようになり、家
族と支援者が立ち上がって救出運動を始めた。北朝鮮の国家機関の工作員が日本
に不法侵入し13歳の少女を含む無辜の日本人を暴力的に拉致したことは、日本
の国家主権に対する重大な侵略であり、日本国民の人権に対する深刻な侵害だ。
主権侵略問題としての拉致問題は日本国が日本国民の生命と自由を守るという立
場で国家として対処すべきだ。
一方、人権問題としては日本人だけでなく他の国の拉致被害者も助けなければ
ならない。私たちは、当初日本人救出のために運動をはじめたが、次第に日本人
以外にも多くの国から拉致されている事実を知るようになった。私たちの調査に
よって少なくとも12カ国に拉致被害者が存在することが明らかになった。
本日、この会議に参加しているジェンキンズ氏が貴重な証言をしている。ご承
知の通り、ジェンキンズ氏は日本人拉致被害者曽我ひとみさんと結婚している。
実は、ジェンキンズ氏は同じ立場の脱走米兵3人といっしょに暮らしていた。そ
の3人の妻も曽我さんと同様な拉致被害者であった。タイ人アノーチャーさん、
レバノン人シハームさん、ルーマニア人ドイナさんである。
まず、タイ人について紹介したい。
2005年10月ジェンキンズさんが日本で本を書いて、タイ人女性が拉致さ
れていることを証言した。そのニュースがタイに伝わり、アノーチャーさんの家
族が名乗り出た。そこで私たちはジェンキンズさんと曽我さんから北朝鮮で会っ
たタイ人の情報をくわしく聞き、タイを訪れ、アノーチャーさん家族と面談し、
失踪前のアノーチャーさんの話を聞いた。すると二つの情報が以下のごとく一致
した。
・ジェンキンズ・曽我さんが北朝鮮で会ったタイ人
名前 アノチャ
家族 母は早くなくなり、父と兄がいる
拉致状況 1978年、マカオにて
拉致される前の職業 マカオのホテルでマッサージ師
・ タイ家族の情報
名前 アノーチャー・パンジョイ
家族 母は失踪前に死亡、父が2005年6月に娘に会いたいといいながら死亡。
兄のスカム・パンジョイさんが妹の帰りを待つ
失踪状況 1978年、マカオに出稼ぎに行っている間に失踪
拉致される前の職業 マカオのホテルでマッサージ師
そこで、アノーチャーさん家族をこれまで3回日本に呼び、ジェンキンズ・曽
我さん夫婦と面会してもらい国際会議や国民大集会に出席していただいた。また、
家族会・救う会からも今回を含めて3回訪タイして連携を強めている。
次にレバノン人シハームさんについて報告する。レバノン人は4人拉致されて
いるが、彼女らはレバノン政府の努力により帰国したが、シハームさんはそのと
き妊娠しており北朝鮮に戻っていまい現在まで北朝鮮に抑留されている。私たち
はシハームさんのお母さんを2005年12月に日本に招き、ジェンキンズ・曽
我さんの情報と彼女の娘の情報を比較したところ、完全に一致した。
ルーマニア人ドイナさんについては当初、家族を発見することが出来なかった
が、今年(2007年)3月にルーマニアの新聞が家族の存在を報道した。そこ
で私たちはルーマニアを訪問してドイナさん家族と面会した。すると以下のよう
にジェンキンズ・曽我さん情報と家族の情報が一致した。そこで私たちはドイナ
さんの弟を今年4月、日本に招聘しジェンキンズ・曽我さんと面会してもらい、
国民大集会に出席していただいた。
これ以外にも拉致被害者がいる。ジェンキンズさんによると、アノーチャーさ
んは自分がマカオで拉致されたとき、同じ船にあと2人のアジア人女性が乗せら
れていたと話していたという。マカオの新聞を調べてみると、1978年7月ア
ノーチャーさんが失踪したとき、あと2人のマカオ人女性が同時に失踪していた。
孔さんと蘇さんである。マカオ人すなわち中国人も拉致されているのだ。
私たちはこの孔さんに何回も会っている女性が韓国に住んでいることを突き止
めた。1978年に拉致され86年に自力で脱出した韓国人女優の崔銀姫さんで
ある。彼女は孔さんと約1年間、隣同士に住んでおり、しばしば話し合ったとい
う。私たちは2005年12月、韓国ソウルで崔銀姫さんと会い、くわしく孔さ
んについて聞き取り、2006年1月マカオに行き孔さん家族に面談した。
このときも二つの情報は一致した。特に、孔さんはカソリック信者で洗礼名は
マリアだった。本人が北朝鮮で崔さんにそのように語っていた。しかし、家族は
彼女がカソリック信者であることは知っているが、洗礼名を知らなかった。後に
家族が教会に行って調べたところ、孔さんの洗礼名はマリアだった。韓国に住む
北朝鮮拉致被害者の崔銀姫さんが家族も知らなかった孔さんの洗礼名を知ってい
たのだからその証言の正しさは完全に証明されたといえる。
それ以外に、崔銀姫さんはヨルダン人被害者を目撃しており、マレーシア人、
フランス人被害者に関して北朝鮮工作機関の中で話を来ている。また、帰国した
レバノン人被害者はレバノン政府の調査に対してフランス人、イタリア人、オラ
ンダ人を目撃したと証言している。また、マレーシア人、シンガポール人拉致に
関する情報がある。
以上を総合すると日本、韓国を合わせて合計12カ国に拉致被害者が存在する。
拉致は許し難い人権侵害であり国家テロである。その首謀者は金日成、金正日
親子だ。拉致は1950年、朝鮮戦争の時に始まった。開戦前に金日成は戦争中
に50万人の韓国人を拉致する計画を立てた。不足していた人的資源、インテリ、
専門技術者、労働者、兵士などに使うためだ。誤解されやすいが朝鮮戦争中の民
間人拉致は混乱の中でおきた突発的なものでなく、事前に計画された犯罪行為だっ
た。
拉致された中には国会議員や政府高官など韓国建国に貢献した人材も多く含ま
れていた。家族らは1950から60年代デモや署名運動など必死の救出運動を
展開し、韓国政府も北朝鮮と国際社会に被害者を帰せと強く求め続けたが、とも
に戦争を戦った米国や国連などをふくめその訴えは完全に無視され、生死確認さ
え出来ないまま時だけが過ぎていった。
北朝鮮テロ政権は、10万人という大規模な拉致を行っても。結局、国際社会
がそれを見逃し、一切の制裁、不利益を受けなかったので、休戦後も韓国人拉致
を続けた。韓国政府の公式統計によると戦後に約500人が拉致されいまも抑留
されている。
また、日本人も拉致のターゲットにされた。現在判明しているところでは、1
963年に3人の日本人が拉致されている。日本人を含む外国人拉致が集中して
行われたのが、1970年代末から80年代初めだ。日本政府は現在、17人を
拉致被害者として認定している(それ以外に、警察が日本人の母と在日朝鮮人の
父の子供2人の失踪を拉致と認定)。17人の拉致の時期を見ると、1977年
3人、78年10人、80年3人、83年1人となる。特に、78年8月12日
には同じ日に日本国内別々の場所で2人ずつ合計4人が拉致されている。また、
現在判明している日本、韓国以外の10カ国外国人拉致の時期を調べると、6カ
国、タイ人、中国人(マカオ人)、レバノン人、ルーマニア人、マレーシア人、
シンガポール人はすべて78年に拉致されており、時期がまだ性格に判明してい
ない残り4カ国ヨルダン人、フランス人、オランダ人、イタリア人も77?78
年頃に拉致されていると推定される。
70年代末に北朝鮮は世界中で一斉に拉致を行ったのだ。この首謀者は金正日
である。74年金正日は金日成の後継者に指名された。その直後の75年に工作
機関全体に対して厳しい検閲事業を行いこれまでの工作活動は成果ゼロだと古参
の幹部らを粛正して、翌76年初め、新たな工作方針を出す。その中で、「工作
員を韓国人・外国人に偽装させよ、そのために韓国人・外国人を拉致して教官と
せよ」との指令を出した。この金正日のテロ指令については韓国に亡命している
多数の元工作員が証言している。
工作員の任務の中には当然、テロが含まれる。テロは通常、軍隊という暴力装
置を持つことを認められている国家に対して、それよりもレベルが下の集団が政
治目的で行使する暴力行為と規定される。しかし、20世紀初め、ソビエト共産
党が権力を掌握して以来、国家によるテロという新たな類型が生まれた。共産党
は革命のためにはテロを含むすべての方法を正当化しており、その体質は権力掌
握後も変わらないから、他国の主権を無視してテロを行う可能性を常に持ってい
る。一方、主権国家として国際秩序に参入するためには国外でのテロを国家とし
て行うわけにはいかない。それが露見すれば強力な制裁を受けることが予想され
るからだ。したがって、秘密工作員を養成して必要であれば国外でもテロを行い
ながら、国家によるテロであることが露見しないようにしてきた。
テロリストを外国人に偽装させて国家テロの露見を防ごうという76年の金正
日の拉致指令は、以上のような共産党独裁政権のテロ体質を極限まで肥大させた
前代未聞のグロテスクな指令だった。テロの露見を防ぐため、外国人拉致という
別のテロを事前に命じたのだ。拉致は憎むべきテロだが、拉致の目的もテロだっ
た。
そして、拉致指令から11年後の1987年11月、ソウルオリンピック開催
を妨害するため、金正日は中東から韓国に向かう大韓航空機に爆弾を仕掛け乗客
乗員115人を爆殺せよとの恐るべきテロを、日本人拉致被害者田口八重子さん
から日本人に偽装する教育を受けていた工作員金賢姫らに命じた。金賢姫らは偽
造された日本人旅券を所持し日本人に偽装していた。
拉致というテロに日本がきちんと戦わなかったために、罪にない115人の韓
国人が空中で爆殺されるという新たなテロがなされた。テロは是タイに許さない
という姿勢で、当事者とその国政府、国民そして国際社会全体が毅然として戦わ
なければならない。1997年から始まった日本での拉致救出運動は、金正日テ
ロ政権から被害者全員を取り戻すためには、強い圧力をかけつづけるしかないと
主張してきた。
運動開始から5年後、日本国内の世論が拉致に激しく怒りをあげはじめ、米国
ブッシュ政権がテロとの戦争と目標の一つに北朝鮮を据えたことなどにより、金
正日は小泉首相との首脳会談でそれまででっち上げとしていた拉致を認め、5人
の被害者を帰国させた。しかし、金正日はそこで「拉致したのは13人だけ、横田
めぐみさんら8人は死亡した」という新たなウソをついた。しかし、彼らの出し
てきた死亡診断書、交通事故調査書、遺骨などはすべて偽物であり、8人死亡は
ウソと判明した。また、日本政府は日本人17人が北朝鮮に拉致されたと認定し
ており、それ以外にも多数の拉致された可能性が高い事例が存在する。私を含む
多くの専門家は、日本人被害者は100人程度いると推測している。
これらすべての被害者を取り戻すことは主権侵害を許さず、自国民を保護する
という政府の当然の義務であり、日本政府は総理を本部長とし全閣僚が参加する
拉致問題対策本部をつくり全力で取り組んでいる。また、人権という観点からは
日本以外の国の拉致被害者も帰国させなければならない。私たち日本の運動体は
そのための国際連帯事業を展開してきたし、日本政府もタイをはじめとする多く
の国の拉致被害者救出にも積極的に協力している。
ぜひ、タイ国民のみなさまもアノーチャーさん拉致は絶対許せない主権と人権
の侵害だと考え、タイ政府が北朝鮮に対して強い圧力をかけるよう働きかけてい
ただきたい。今日の会議がそのきっかけになることを強く望んでいる。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
●安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
●救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
9月17から8日にバンコクで、「拉致と難民?北朝鮮の人権状況」に関する
国際会議が開催された。東南アジアでは初めての会議で、北朝鮮に拉致された人
々を救援する会チェンマイ(ARNKA)の海老原智治代表(救う会タイ連絡調査委員)
らが実行委員会を組織して主催した。国際会議には、地元タイの活動家、学者、
政治家などを初め、韓国、米国からも参加。家族会・救う会からは、タイ人拉致
被害者アノーチャーさんの目撃者であるチャールズ・ジェンキンス氏(曽我ひと
みさん夫)、増元照明家族会事務局長、西岡力救う会常任副会長等が参加した。
以下は18日に行われた西岡力副会長の報告「北朝鮮拉致の現状と理由」全文。
その他後日報告。
■西岡副会長がタイ人拉致等報告?バンコクで国際会議
国際会議「拉致と難民」北朝鮮の人権状況(於 タイ・バンコク)
西岡力報告「北朝鮮拉致の現状と理由」の要旨
今日の人権会議のテーマは、国内で人権侵害、独裁をする政権は外国に対して
テロ、侵略を行うということだと思う。北朝鮮の金日成・金正日親子独裁政権は
国内ですさまじい人権侵害をし、海外で拉致をはじめとする数多くのテロをくり
返し、韓国に対する戦争をしかけ、いまも戦争準備をしている。責任はすべて、
独裁者金日成、金正日親子だ。最初にそのことを確認したい。
10年前、多くの日本人が拉致されていることが広く知られるようになり、家
族と支援者が立ち上がって救出運動を始めた。北朝鮮の国家機関の工作員が日本
に不法侵入し13歳の少女を含む無辜の日本人を暴力的に拉致したことは、日本
の国家主権に対する重大な侵略であり、日本国民の人権に対する深刻な侵害だ。
主権侵略問題としての拉致問題は日本国が日本国民の生命と自由を守るという立
場で国家として対処すべきだ。
一方、人権問題としては日本人だけでなく他の国の拉致被害者も助けなければ
ならない。私たちは、当初日本人救出のために運動をはじめたが、次第に日本人
以外にも多くの国から拉致されている事実を知るようになった。私たちの調査に
よって少なくとも12カ国に拉致被害者が存在することが明らかになった。
本日、この会議に参加しているジェンキンズ氏が貴重な証言をしている。ご承
知の通り、ジェンキンズ氏は日本人拉致被害者曽我ひとみさんと結婚している。
実は、ジェンキンズ氏は同じ立場の脱走米兵3人といっしょに暮らしていた。そ
の3人の妻も曽我さんと同様な拉致被害者であった。タイ人アノーチャーさん、
レバノン人シハームさん、ルーマニア人ドイナさんである。
まず、タイ人について紹介したい。
2005年10月ジェンキンズさんが日本で本を書いて、タイ人女性が拉致さ
れていることを証言した。そのニュースがタイに伝わり、アノーチャーさんの家
族が名乗り出た。そこで私たちはジェンキンズさんと曽我さんから北朝鮮で会っ
たタイ人の情報をくわしく聞き、タイを訪れ、アノーチャーさん家族と面談し、
失踪前のアノーチャーさんの話を聞いた。すると二つの情報が以下のごとく一致
した。
・ジェンキンズ・曽我さんが北朝鮮で会ったタイ人
名前 アノチャ
家族 母は早くなくなり、父と兄がいる
拉致状況 1978年、マカオにて
拉致される前の職業 マカオのホテルでマッサージ師
・ タイ家族の情報
名前 アノーチャー・パンジョイ
家族 母は失踪前に死亡、父が2005年6月に娘に会いたいといいながら死亡。
兄のスカム・パンジョイさんが妹の帰りを待つ
失踪状況 1978年、マカオに出稼ぎに行っている間に失踪
拉致される前の職業 マカオのホテルでマッサージ師
そこで、アノーチャーさん家族をこれまで3回日本に呼び、ジェンキンズ・曽
我さん夫婦と面会してもらい国際会議や国民大集会に出席していただいた。また、
家族会・救う会からも今回を含めて3回訪タイして連携を強めている。
次にレバノン人シハームさんについて報告する。レバノン人は4人拉致されて
いるが、彼女らはレバノン政府の努力により帰国したが、シハームさんはそのと
き妊娠しており北朝鮮に戻っていまい現在まで北朝鮮に抑留されている。私たち
はシハームさんのお母さんを2005年12月に日本に招き、ジェンキンズ・曽
我さんの情報と彼女の娘の情報を比較したところ、完全に一致した。
ルーマニア人ドイナさんについては当初、家族を発見することが出来なかった
が、今年(2007年)3月にルーマニアの新聞が家族の存在を報道した。そこ
で私たちはルーマニアを訪問してドイナさん家族と面会した。すると以下のよう
にジェンキンズ・曽我さん情報と家族の情報が一致した。そこで私たちはドイナ
さんの弟を今年4月、日本に招聘しジェンキンズ・曽我さんと面会してもらい、
国民大集会に出席していただいた。
これ以外にも拉致被害者がいる。ジェンキンズさんによると、アノーチャーさ
んは自分がマカオで拉致されたとき、同じ船にあと2人のアジア人女性が乗せら
れていたと話していたという。マカオの新聞を調べてみると、1978年7月ア
ノーチャーさんが失踪したとき、あと2人のマカオ人女性が同時に失踪していた。
孔さんと蘇さんである。マカオ人すなわち中国人も拉致されているのだ。
私たちはこの孔さんに何回も会っている女性が韓国に住んでいることを突き止
めた。1978年に拉致され86年に自力で脱出した韓国人女優の崔銀姫さんで
ある。彼女は孔さんと約1年間、隣同士に住んでおり、しばしば話し合ったとい
う。私たちは2005年12月、韓国ソウルで崔銀姫さんと会い、くわしく孔さ
んについて聞き取り、2006年1月マカオに行き孔さん家族に面談した。
このときも二つの情報は一致した。特に、孔さんはカソリック信者で洗礼名は
マリアだった。本人が北朝鮮で崔さんにそのように語っていた。しかし、家族は
彼女がカソリック信者であることは知っているが、洗礼名を知らなかった。後に
家族が教会に行って調べたところ、孔さんの洗礼名はマリアだった。韓国に住む
北朝鮮拉致被害者の崔銀姫さんが家族も知らなかった孔さんの洗礼名を知ってい
たのだからその証言の正しさは完全に証明されたといえる。
それ以外に、崔銀姫さんはヨルダン人被害者を目撃しており、マレーシア人、
フランス人被害者に関して北朝鮮工作機関の中で話を来ている。また、帰国した
レバノン人被害者はレバノン政府の調査に対してフランス人、イタリア人、オラ
ンダ人を目撃したと証言している。また、マレーシア人、シンガポール人拉致に
関する情報がある。
以上を総合すると日本、韓国を合わせて合計12カ国に拉致被害者が存在する。
拉致は許し難い人権侵害であり国家テロである。その首謀者は金日成、金正日
親子だ。拉致は1950年、朝鮮戦争の時に始まった。開戦前に金日成は戦争中
に50万人の韓国人を拉致する計画を立てた。不足していた人的資源、インテリ、
専門技術者、労働者、兵士などに使うためだ。誤解されやすいが朝鮮戦争中の民
間人拉致は混乱の中でおきた突発的なものでなく、事前に計画された犯罪行為だっ
た。
拉致された中には国会議員や政府高官など韓国建国に貢献した人材も多く含ま
れていた。家族らは1950から60年代デモや署名運動など必死の救出運動を
展開し、韓国政府も北朝鮮と国際社会に被害者を帰せと強く求め続けたが、とも
に戦争を戦った米国や国連などをふくめその訴えは完全に無視され、生死確認さ
え出来ないまま時だけが過ぎていった。
北朝鮮テロ政権は、10万人という大規模な拉致を行っても。結局、国際社会
がそれを見逃し、一切の制裁、不利益を受けなかったので、休戦後も韓国人拉致
を続けた。韓国政府の公式統計によると戦後に約500人が拉致されいまも抑留
されている。
また、日本人も拉致のターゲットにされた。現在判明しているところでは、1
963年に3人の日本人が拉致されている。日本人を含む外国人拉致が集中して
行われたのが、1970年代末から80年代初めだ。日本政府は現在、17人を
拉致被害者として認定している(それ以外に、警察が日本人の母と在日朝鮮人の
父の子供2人の失踪を拉致と認定)。17人の拉致の時期を見ると、1977年
3人、78年10人、80年3人、83年1人となる。特に、78年8月12日
には同じ日に日本国内別々の場所で2人ずつ合計4人が拉致されている。また、
現在判明している日本、韓国以外の10カ国外国人拉致の時期を調べると、6カ
国、タイ人、中国人(マカオ人)、レバノン人、ルーマニア人、マレーシア人、
シンガポール人はすべて78年に拉致されており、時期がまだ性格に判明してい
ない残り4カ国ヨルダン人、フランス人、オランダ人、イタリア人も77?78
年頃に拉致されていると推定される。
70年代末に北朝鮮は世界中で一斉に拉致を行ったのだ。この首謀者は金正日
である。74年金正日は金日成の後継者に指名された。その直後の75年に工作
機関全体に対して厳しい検閲事業を行いこれまでの工作活動は成果ゼロだと古参
の幹部らを粛正して、翌76年初め、新たな工作方針を出す。その中で、「工作
員を韓国人・外国人に偽装させよ、そのために韓国人・外国人を拉致して教官と
せよ」との指令を出した。この金正日のテロ指令については韓国に亡命している
多数の元工作員が証言している。
工作員の任務の中には当然、テロが含まれる。テロは通常、軍隊という暴力装
置を持つことを認められている国家に対して、それよりもレベルが下の集団が政
治目的で行使する暴力行為と規定される。しかし、20世紀初め、ソビエト共産
党が権力を掌握して以来、国家によるテロという新たな類型が生まれた。共産党
は革命のためにはテロを含むすべての方法を正当化しており、その体質は権力掌
握後も変わらないから、他国の主権を無視してテロを行う可能性を常に持ってい
る。一方、主権国家として国際秩序に参入するためには国外でのテロを国家とし
て行うわけにはいかない。それが露見すれば強力な制裁を受けることが予想され
るからだ。したがって、秘密工作員を養成して必要であれば国外でもテロを行い
ながら、国家によるテロであることが露見しないようにしてきた。
テロリストを外国人に偽装させて国家テロの露見を防ごうという76年の金正
日の拉致指令は、以上のような共産党独裁政権のテロ体質を極限まで肥大させた
前代未聞のグロテスクな指令だった。テロの露見を防ぐため、外国人拉致という
別のテロを事前に命じたのだ。拉致は憎むべきテロだが、拉致の目的もテロだっ
た。
そして、拉致指令から11年後の1987年11月、ソウルオリンピック開催
を妨害するため、金正日は中東から韓国に向かう大韓航空機に爆弾を仕掛け乗客
乗員115人を爆殺せよとの恐るべきテロを、日本人拉致被害者田口八重子さん
から日本人に偽装する教育を受けていた工作員金賢姫らに命じた。金賢姫らは偽
造された日本人旅券を所持し日本人に偽装していた。
拉致というテロに日本がきちんと戦わなかったために、罪にない115人の韓
国人が空中で爆殺されるという新たなテロがなされた。テロは是タイに許さない
という姿勢で、当事者とその国政府、国民そして国際社会全体が毅然として戦わ
なければならない。1997年から始まった日本での拉致救出運動は、金正日テ
ロ政権から被害者全員を取り戻すためには、強い圧力をかけつづけるしかないと
主張してきた。
運動開始から5年後、日本国内の世論が拉致に激しく怒りをあげはじめ、米国
ブッシュ政権がテロとの戦争と目標の一つに北朝鮮を据えたことなどにより、金
正日は小泉首相との首脳会談でそれまででっち上げとしていた拉致を認め、5人
の被害者を帰国させた。しかし、金正日はそこで「拉致したのは13人だけ、横田
めぐみさんら8人は死亡した」という新たなウソをついた。しかし、彼らの出し
てきた死亡診断書、交通事故調査書、遺骨などはすべて偽物であり、8人死亡は
ウソと判明した。また、日本政府は日本人17人が北朝鮮に拉致されたと認定し
ており、それ以外にも多数の拉致された可能性が高い事例が存在する。私を含む
多くの専門家は、日本人被害者は100人程度いると推測している。
これらすべての被害者を取り戻すことは主権侵害を許さず、自国民を保護する
という政府の当然の義務であり、日本政府は総理を本部長とし全閣僚が参加する
拉致問題対策本部をつくり全力で取り組んでいる。また、人権という観点からは
日本以外の国の拉致被害者も帰国させなければならない。私たち日本の運動体は
そのための国際連帯事業を展開してきたし、日本政府もタイをはじめとする多く
の国の拉致被害者救出にも積極的に協力している。
ぜひ、タイ国民のみなさまもアノーチャーさん拉致は絶対許せない主権と人権
の侵害だと考え、タイ政府が北朝鮮に対して強い圧力をかけるよう働きかけてい
ただきたい。今日の会議がそのきっかけになることを強く望んでいる。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
●安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
●救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆