制裁解除は「再調査」を見極めてから(2008/06/19)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2008.06.19)
以下は、昨日産経「正論」に掲載された、日朝協議に関する西岡力・常任副会
長の見解である。「北朝鮮が従来の立場を変更したこと自体は、この間のわが国
と国際社会からの圧力の効果として一定の評価はできる」としつつも、「被害者
帰国が実現していない段階で、制裁一部解除を表明してしまったことは、やはり
拙速」と批判し、今交渉に応じるよりも、「『圧力をかけ続ける』という方針を
固守して、相手の出方を注意深く見るとき」との見解を示している。
■制裁解除は「再調査」を見極めてから
6月11、12日の日朝協議で、北朝鮮は「拉致は解決ずみ」という立場を変
更して再調査をすると約束し、それを受けてわが国は制裁一部解除を表明した。
被害者帰国が実現していない段階で、制裁一部解除を表明してしまったことは、
やはり拙速だった。外務省関係者は、小さな餌を投げて北朝鮮に拉致問題を議題
とすることを認めさせたという趣旨の説明をしている。しかし、米国が今回の動
きを拉致問題の進展ととらえてテロ支援国指定解除を行う場合、われわれは大き
な砦を失うことになる。
当面の北朝鮮のねらいがテロ支援国指定解除にあることは、今回の協議でよど
号ハイジャック犯人の引き渡しを提案してきたことや 10日の北朝鮮外務省に
よる「反テロ宣言」発表などで明白だ。米国国務省当局者も再調査表明を歓迎す
ると語っている。
北朝鮮がすべての被害者帰国につながる再調査を行うかどうか見極めるまで、
米国が指定解除をしないように、外務省は全精力を傾けて働きかける責任がある。
伊吹自民党幹事長は14日、「拉致問題の調査が不十分なまま、チャーター便
の日本着陸を認めたり、万景峰号が入港することはやってはならないし、政府が
やるとは思っていない」と正論を述べているが、制裁一部解除に関しても、再調
査の進展を見極めてから行うべきことは言うまでもない。
しかし、北朝鮮が従来の立場を変更したこと自体は、この間のわが国と国際社
会からの圧力の効果として一定の評価はできる。
金正日政権は国内の独裁統治のため最低年間5億から10億ドルの外貨を必要
とし、麻薬・偽札・保険金詐欺など犯罪資金、武器輸出、朝鮮総連・韓国政府な
どからの送金などでようやく最低限の外貨を確保してきた。この外貨依存こそが、
金正日独裁体制の弱点であり、平成17年秋以降、そこを狙って戦略的に実施さ
れた米国の金融制裁とわが国による厳格な法執行制裁は大きな効果をあげた。焦っ
た、金正日政権はミサイル実験、核実験と強攻策に出たが、より制裁が強まる結
果を生んだだけだった。
そこで、彼らは米国に対して核問題で譲歩するから制裁を緩めて欲しいとすり
寄った。これが昨年から米朝核協議が進展した背景だ。わが国は、昨年2月、拉
致問題の進展がない限り、核廃棄作業の見返りであるエネルギー支援にも参加し
ないという毅然たる外交原則を立てた。米国に対しては、拉致問題を無視してテ
ロ支援国指定解除を行えば日米同盟を揺るがすと警告し続けた。その結果、米朝
協議の場で米国代表が北朝鮮に拉致問題での譲歩を迫るという構図が実現し、北
朝鮮は日本との協議を再開させたのだ。
しかし、北朝鮮は拉致問題での協議に応じるところまでは譲歩しても、できれ
ば実質的進展をさせず、ごまかしを続けたいはずだ。そのため、昨年秋頃より、
与野党政治家や有力ジャーナリストに様々な働きかけを行っていた。それを受け
て、国内の融和勢力は、拉致問題が進展しない理由を、2年前からわが国が北朝
鮮に対して強硬策をとったためと主張しだした。与野党の融和派議員により日朝
国交推進議連まで組織された。大手新聞に意図的にうそ情報をリークし、関係者
の足並みを乱そうとする政府部内の「内部の敵」さえ出てきた。
一部融和派関係者らは「めぐみさんたち多くの被害者はすでに死んでいる」と
いう妄言を口にしている。しかし、北朝鮮は死亡の証拠を一つも出せなかった。
それどころか、遺骨や死亡診断書さえ偽造するという考えられない悪質な対応を
してきた。生きている被害者を死んだとして隠したのだ。そのウソの動機は何か。
金正日の名誉防衛、工作機関の秘密保持などさまざまなことが考えられる。しか
し、政権そのものが揺らぐほどの危機、すなわち統治に最低限必要な外貨の枯渇
と比べれば生存している被害者を帰すことは相対的に容易だろう。
現段階では、再調査約束も米国向けのアリバイという要素が強いだろうから、
北朝鮮の出方に楽観は禁物だ。金正日は、内外融和勢力が、核問題と日朝国交回
復を優先し、被害者救出を棚上げにしてくれるという希望をいまだにすてていな
いのだろう。
特に、対日工作担当者らは、そのシナリオが実現しなければ責任問題になるか
ら必死で工作を仕掛けてきている。
金正日政権も苦しくこちらも苦しいさいごの胸突き八丁だ。あわてず、国内の
親北融和勢力の影響力を排除し「すべての被害者を取り戻すまで圧力をかけ続け
る」という方針を固守して、相手の出方を注意深く見るときだ。ぶれてはならな
い。
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●福田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 福田康夫殿
●救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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以下は、昨日産経「正論」に掲載された、日朝協議に関する西岡力・常任副会
長の見解である。「北朝鮮が従来の立場を変更したこと自体は、この間のわが国
と国際社会からの圧力の効果として一定の評価はできる」としつつも、「被害者
帰国が実現していない段階で、制裁一部解除を表明してしまったことは、やはり
拙速」と批判し、今交渉に応じるよりも、「『圧力をかけ続ける』という方針を
固守して、相手の出方を注意深く見るとき」との見解を示している。
■制裁解除は「再調査」を見極めてから
6月11、12日の日朝協議で、北朝鮮は「拉致は解決ずみ」という立場を変
更して再調査をすると約束し、それを受けてわが国は制裁一部解除を表明した。
被害者帰国が実現していない段階で、制裁一部解除を表明してしまったことは、
やはり拙速だった。外務省関係者は、小さな餌を投げて北朝鮮に拉致問題を議題
とすることを認めさせたという趣旨の説明をしている。しかし、米国が今回の動
きを拉致問題の進展ととらえてテロ支援国指定解除を行う場合、われわれは大き
な砦を失うことになる。
当面の北朝鮮のねらいがテロ支援国指定解除にあることは、今回の協議でよど
号ハイジャック犯人の引き渡しを提案してきたことや 10日の北朝鮮外務省に
よる「反テロ宣言」発表などで明白だ。米国国務省当局者も再調査表明を歓迎す
ると語っている。
北朝鮮がすべての被害者帰国につながる再調査を行うかどうか見極めるまで、
米国が指定解除をしないように、外務省は全精力を傾けて働きかける責任がある。
伊吹自民党幹事長は14日、「拉致問題の調査が不十分なまま、チャーター便
の日本着陸を認めたり、万景峰号が入港することはやってはならないし、政府が
やるとは思っていない」と正論を述べているが、制裁一部解除に関しても、再調
査の進展を見極めてから行うべきことは言うまでもない。
しかし、北朝鮮が従来の立場を変更したこと自体は、この間のわが国と国際社
会からの圧力の効果として一定の評価はできる。
金正日政権は国内の独裁統治のため最低年間5億から10億ドルの外貨を必要
とし、麻薬・偽札・保険金詐欺など犯罪資金、武器輸出、朝鮮総連・韓国政府な
どからの送金などでようやく最低限の外貨を確保してきた。この外貨依存こそが、
金正日独裁体制の弱点であり、平成17年秋以降、そこを狙って戦略的に実施さ
れた米国の金融制裁とわが国による厳格な法執行制裁は大きな効果をあげた。焦っ
た、金正日政権はミサイル実験、核実験と強攻策に出たが、より制裁が強まる結
果を生んだだけだった。
そこで、彼らは米国に対して核問題で譲歩するから制裁を緩めて欲しいとすり
寄った。これが昨年から米朝核協議が進展した背景だ。わが国は、昨年2月、拉
致問題の進展がない限り、核廃棄作業の見返りであるエネルギー支援にも参加し
ないという毅然たる外交原則を立てた。米国に対しては、拉致問題を無視してテ
ロ支援国指定解除を行えば日米同盟を揺るがすと警告し続けた。その結果、米朝
協議の場で米国代表が北朝鮮に拉致問題での譲歩を迫るという構図が実現し、北
朝鮮は日本との協議を再開させたのだ。
しかし、北朝鮮は拉致問題での協議に応じるところまでは譲歩しても、できれ
ば実質的進展をさせず、ごまかしを続けたいはずだ。そのため、昨年秋頃より、
与野党政治家や有力ジャーナリストに様々な働きかけを行っていた。それを受け
て、国内の融和勢力は、拉致問題が進展しない理由を、2年前からわが国が北朝
鮮に対して強硬策をとったためと主張しだした。与野党の融和派議員により日朝
国交推進議連まで組織された。大手新聞に意図的にうそ情報をリークし、関係者
の足並みを乱そうとする政府部内の「内部の敵」さえ出てきた。
一部融和派関係者らは「めぐみさんたち多くの被害者はすでに死んでいる」と
いう妄言を口にしている。しかし、北朝鮮は死亡の証拠を一つも出せなかった。
それどころか、遺骨や死亡診断書さえ偽造するという考えられない悪質な対応を
してきた。生きている被害者を死んだとして隠したのだ。そのウソの動機は何か。
金正日の名誉防衛、工作機関の秘密保持などさまざまなことが考えられる。しか
し、政権そのものが揺らぐほどの危機、すなわち統治に最低限必要な外貨の枯渇
と比べれば生存している被害者を帰すことは相対的に容易だろう。
現段階では、再調査約束も米国向けのアリバイという要素が強いだろうから、
北朝鮮の出方に楽観は禁物だ。金正日は、内外融和勢力が、核問題と日朝国交回
復を優先し、被害者救出を棚上げにしてくれるという希望をいまだにすてていな
いのだろう。
特に、対日工作担当者らは、そのシナリオが実現しなければ責任問題になるか
ら必死で工作を仕掛けてきている。
金正日政権も苦しくこちらも苦しいさいごの胸突き八丁だ。あわてず、国内の
親北融和勢力の影響力を排除し「すべての被害者を取り戻すまで圧力をかけ続け
る」という方針を固守して、相手の出方を注意深く見るときだ。ぶれてはならな
い。
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●福田首相にメール・葉書を
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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 福田康夫殿
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発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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