米国新政権と今後の救出運動?東京連続集会41(2008/12/08)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2008.12.08)
「米国新政権と今後の救出運動」をテーマに、平成20年11月20日、東京
連続集会41にて、米国政治・対北朝鮮政策に詳しい島田洋一救う会副会長(福
井県立大学教授)が報告し、その後、西岡力救う会会長代行(東京基督教大学教
授)と質疑応答形式で議論した。報告と質疑応答の概要は以下の通り。
■米国新政権と今後の救出運動?東京連続集会41
◆オバマ政権下の日本の対北朝鮮政策は「シナトラ・ドクトリン」=マイ・ウェ
イで
島田洋一救う会副会長(福井県立大学教授)
オバマ政権のアメリカと日本はどう付き合うべきか。結論から言えば、一種の
「シナトラ・ドクトリン」を採用するのがよい。
「シナトラ・ドクトリン」とは、ソ連崩壊前夜、ゲンナディ・ゲラシモフ外務省
報道官が、独立指向を強める東欧諸国にソ連はどう対応するかと聞かれ、フラン
ク・シナトラのヒット曲「マイ・ウェイ」を念頭に、それぞれがわが道を行く
「シナトラ・ドクトリン」だと答えて話題になったものだ。
要するに、オバマ政権がどういう政策を採ろうが日本は日本の道を行くという
ことだ。日本だけが、筋を曲げなかったと将来の歴史書に書かれるよう、政治家
には特にしっかりしてもらいたい。
北朝鮮政策に関する限り、米国では事実上、2年前に政権交代が起こり、国務
省政権が誕生した。それでも、瀕死の病人がピクッと体を起こしかけ、「おっ。
まだ生きていたのか」と思わせるような揺り戻しの動きはあった。昨年秋、チェ
イニー副大統領周辺が中心となって、国務省の反対を押し切り、シリアと北朝鮮
による秘密核協力情報を明らかにしたことなど、その例だ。民主党政権では、そ
うしたことも減っていこう。
これからの米国はどう動くか。一つの重要ポイントは、連邦議会の構成だ。一
つ前の民主党政権、クリントン時代は、議会は共和党多数の時期が長かった。し
かし来年1月以降、ホワイトハウス、上院、下院いずれも民主党が支配すること
になる。上院の場合、下院同様の予算案、法律案の審議に加え、政府高官人事の
承認権も持っている。
実は、連邦議会選挙はまだ終わっていない。まだ決まっていない議席が上院2
議席、下院4議席あり、このうち上院の2議席は、すでに民主党が58議席を押
さえている中、きわめて重要だ。上院には下院にない独特のルールがあって、上
院議員100名中、単純過半数ではなく半数プラス10の60名が賛成しないと、
討議を打ち切って採決に入れない。民主党が60議席を獲得すれば、理論上は、
どんな人事案件でもすぐ採決に入れることになる。とんでもない極左の人間を各
省庁の幹部にといった人事案件すら通りかねない。各国に派遣される大使も上院
が承認権を持っている。そういう意味で、諸事情によりまだ確定していないミネ
ソタ州とジョージア州の2議席の行方がどうなるか注目される(注・12月2日に
ジョージア州で再選挙があり、共和党候補が勝利した)。
米国では歴史的に政界再編がほぼ終わっており、民主党議員は、おしなべて対
北朝鮮宥和派だ。そのため、議会の状況は危ない。連邦議会選挙は、下院議員は
2年ごとに全員改選、上院議員は2年ごとに3分の1ずつ改選だから、2年後に
また共和党が盛り返す可能性はあるが、とにかく2年間は我慢の時代に入るだろ
う。
我々が以前から接触している信頼できる議員に、共和党のサム・ブラウンバッ
ク上院議員がいる。次の大統領選挙では共和党の有力候補になりうる人だが、彼
はクリストファー・ヒル国務次官補に対し、厳しい態度をとってきた。そのブラ
ウンバックが、約半年前、北朝鮮問題について議会演説を行い、その提出文書版
を見ると、「ヒルは以前、私への説明で、米朝国交正常化交渉の過程で人権問題
をはっきり取り上げると言っていた。ところが先日は、米朝国交正常化すれば人
権問題を持ち出しやすくなると言ってきた。米朝国交正常化の条件から人権問題
をはずしたということではないか。こうしたことはアメリカの名誉を著しく傷つ
ける」との趣旨が明記してある。
ヒル氏をはじめ、国務省においては、国交を樹立すればさまざまな方面で改善
が期待できるという、日本でいえば山拓、加藤紘一的な発想が支配的だ。現在、
ジョー・バイデン次期副大統領のもとでアジア政策を担当し、ヒルの後任で国務
次官補になるのではとも噂されるフランク・ジャヌージという人物がいるが、彼
も以前から同様の話をしている。なお、ヒル氏については、さらに出世して国務
次官、ひょっとすると国務副長官という話まで出ている。
オバマ次期大統領は「チェンジ」が合い言葉だが、外交に関しては安定を重視
する現状維持志向の国務省路線(ライス・ヒル宥和路線)が続くことになろう。
国務省は交渉がだらだら続くことを悪だとは思っていない。その間、戦争も起こ
らず、仕事と予算が来て、そのうち金正日が死んでまともなリーダーに変わるか
も知れない、そんなあたりでいいんじゃないのといった発想だ。
アメリカの場合、各省の次官補代理以上、日本の省庁でいえば、局長の一つ下
の審議官クラスから上のポジションは、政治任命で、大統領が指名し、上院が承
認する。国務省は通常採用組のほとんどが民主党支持者だ。ボルトン前国連大使
が回顧録に、「ブッシュがケリーに競り勝った大統領選の翌日、国務省に出勤す
ると(当時、ボルトンは国務次官)、まるでお通夜のようだった」と書いている。
ブッシュ政権下では、それでも2年前までは、いくつか要所にハードライナーが
いたわけだが、民主党が上院で60議席取れば好き放題の人事となる。たとえ6
0に届かなくても、共和党の中に発想が非常にリベラルで、「ライノー」と呼ば
れる女性議員が二人ほどいるため、現実は保守派にとって大変厳しい。「ライノー」
(RINO)とはRepublican In Name Onlyの頭字語で、「名前だけの共和党員」と
いう意味だ。
一番危ういのは副大統領になるジョー・バイデンである。クリストファー・ヒ
ルを「米外交の宝」と持ち上げ、全面的に擁護してきた。かつて、ロナルド・レー
ガンの圧力重視の対ソ政策にも、ことごとく反対していた。
国務省に次いでリベラル派の巣窟とされるのが、実はCIAの管理部門だ。特
にクリントン時代、CIAの「行き過ぎ」を民間で追及していた運動家をどんど
ん幹部職に政治任命した結果、極めてリベラル色の強い組織になった。特にイラ
ク戦争開始以降のブッシュ時代、政権の方針を阻害したり、水を差すような情報
が次々CIAからリークされた。去年もCIAが、イランは2003年に核兵器
開発をやめたとする報告を出したが、保守派の研究者やジャーナリストからは情
報の取捨選択がきわめて恣意的との強い批判が出ている。
オバマ氏を、大雑把に日本の政治家にたとえれば、菅直人、それも今の菅直人
ではなく、10数年前の爽やかそうだった頃の菅直人に近いのではないか。体質
は古い左翼だが、清新なイメージを打ち出すのがうまく、一般受けする。オバマ
政権の幹部人事がかなりメディアに出てきているが、クリントン時代に各部署で
ナンバー2ぐらいのポジションにいた人が軒並み戻ってきている観がある。国務
長官にはヒラリー・クリントンの名前が挙がっている(注・その後決定。なお、
国家安全保障担当補佐官のジェームズ・ジョーンズ、国防長官のボブ・ゲイツ留
任などは、米保守派もかなり評価している。一方、左翼は反発している)。
オバマが菅直人だとすると、ジョー・バイデン次期副大統領は、加藤紘一に近
い。外交に明るいベテラン議員とされるが、失言も多いし、一切反省することの
ない宥和派だ。上院外交委員長を務めてきたが、米議会の委員長ポストは完全な
年功序列システムで、バイデンは30歳で上院議員に当選したため年齢(現在6
6歳)に比して議員歴が長く、この地位に収まっているだけだ。別に見識が評価
されているわけではない。彼は、レーガン時代、「ソ連がつぶれるはずがない」
と何度も断言し、間違ったわけだが、そのことについて何ら反省の色が見えない。
今また彼は、「北朝鮮がつぶれるはずがない」「米国が北朝鮮のレジーム・チェ
ンジを目指しても中国や韓国が反対するから無理だ」などと公言している。そし
て、「私の父が死ぬ前によく言っていた、『息子よ。もしすべてが同じぐらい重
要だというなら、それは、おまえにとって何も重要ではないということだ』」な
どと述懐しつつ、プルトニウムの増産阻止を最優先とし、人権問題は後回しにす
べきだと主張している。ちなみに数年前、米下院が拉致問題で北朝鮮を非難する
決議を通した一方、上院では立ち消えになった。これも、バイデン・オフィスが
難色を示したためと聞いている。
今、北朝鮮の核問題がかなり重要なポイントに来ている。10月11日、国務
省は、北朝鮮の核検証に関する米朝合意を発表し、北朝鮮のテロ支援国指定解除
も発表した。この米朝合意は、疑惑施設への査察は北朝鮮がOKした時のみと、
北朝鮮に拒否権を与えている。事実上、検証を放棄したようなものだ。問題は、
日本政府が、この米朝合意を認めないという姿勢を取れるかだ。麻生政権にとっ
て大きな正念場になると思う。
◆米国保守派との連携強化を
あえて言えば、拉致問題には関心がないが、核問題で日本は北への圧力を強化
すべきだという人がいれば、大いに連携すればよい。米朝合意に日本政府が追随
し、北への国際的圧力を弱めるようなことがあれば、責任は重大だ。核問題に関
しては、家族会が何らかの立場を主張するわけにはいかないだろう。政治家やわ
れわれ民間の人間が、前面に出るべきだと思う。
核問題で、日本政府は、具体的に何をすべきか。まず、核兵器製造施設など重
要情報を含まない北の核申告を、日本は「すべての核計画の完全かつ正確な申告
とは認めない」と明言せねばならない。日本政府は、いまだにそれをしていない。
北朝鮮の申告書は、日本も受け取っており、本来公表すべきだが、公表しない上
に、「完全かつ正確な申告」とは認められないとの意思表明もしない。これは外
務省の責任というより政治の責任だ。麻生首相に踏ん張ってもらいたい。
また、未申告の疑惑施設について、「国際原子力機関(IAEA)が必要と認める
場合、北は査察を受け入れる」といった対案を出し、国際的な広報活動も行うべ
きだ。そして、もう一度言うが、日本は米朝合意を追認しないという姿勢を貫か
ねばならない。
外務省のある幹部が、未申告の施設に関して査察させろというのは国際慣例に
照らし難しいと言ったそうだが、1992年にルーマニアが申告外施設へのIAEA
特別査察を受け入れた例がある。
北朝鮮も、実は過去に、IAEAが必要と認めるなら未申告施設でも査察を受ける
と同意したことがある。ところが最初の現地査察(1992年5月)で申告の矛
盾が明らかになり、IAEAがさらに2か所の疑惑施設の査察を要求したとたん、北
朝鮮は、特別査察は受けられないと開き直った。そこから、1993年から94
年にかけての第一次核危機に至ったわけだ。
ルーマニアが特別査察を受け入れた前例があり、北朝鮮自体も未申告施設の査
察に合意した前例がある以上、外務省幹部のように、始めから申告外施設の査察
は無理だと諦めるのはおかしい。北朝鮮が受け入れなければ、どんどん制裁を強
化していけばよいのだ。とにかく日本としてのしっかりした対案を出すべきだ。
シーファー米国大使は、これまで、拉致問題に力を尽くしてくれた人だと思う
が、やはり大使という立場上、本国政府の行動を弁護せざるを得ず、本国政府が
どんどんおかしな方向に行っていく中、大使の発言にも遺憾な点が出てきている
ように思う。
アメリカが北のテロ支援国指定を解除した直後の10月16日、大使は家族会
の飯塚代表と横田前代表を招き、「テロ指定を解除しないと六者協議が壊れる恐
れがあった。六者協議が失敗すれば、拉致問題の解決も難しくなる。拉致問題を
進める意味でも今回は米国の行動を理解してほしい」との趣旨を述べたという。
今後、核問題でなぜまた北に譲歩するのかという声に対し、宥和派の人々から、
六者が崩壊すると拉致問題の解決も難しくなるからという声が出るだろう。無原
則な対北宥和政策を、「拉致問題解決のためにも必要」と言い抜けるこうした
“拉致の政治利用”を許してはならない。大いに警戒が必要だと思う。
ジョー・バイデン次期副大統領の補佐官ジャヌージ氏とは、これまで何度も話
をしてきたが、彼はよく「ベトナムの経験」を持ち出す。すなわち、かつて泥沼
の戦争を戦った米国とベトナムも、クリントン時代の1995年に国交正常化し、
以降、徐々に信頼関係が醸成されて、その結果、米兵の遺骨収集も進むようにも
なった。同じことが日朝の拉致問題にも当てはまるのではないか。要するに、ま
ず国交正常化して信頼関係を醸成していけば、色々展望が開けるのではないかと
いうわけだ。
こちらは、「生きている被害者を取り返さねばならぬ拉致問題と遺骨収集とは
性格がまったく異なる」と述べたり、「ドイモイ政策で改革開放を進めてきたベ
トナムと、閉鎖主義の北朝鮮を同一視できない。北のような政権と共存できると
考えるのは間違いだ」などと反論するのだが、一向に納得する気配がない。
最初にも述べたように、日本としてはわが道を行く「シナトラ・ドクトリン」
だ。米政権と摩擦が生じるかもしれないが、仕方がない。米国の保守派の人たち
とはしっかりした人脈を築いてきたから、政権との関係に一喜一憂せず、信頼で
きる人々との連携を強めることが大事だと思う。
■米国新政権と今後の救出運動2?東京連続集会41
◆米国に求めるべきは圧力強化への協力、交渉の仲介ではない
西岡力(救う会会長代行)
一つ質問だが、オバマ政権は、拉致問題を含む北朝鮮の人権問題はほぼ棚上げ
して、核問題も今以上に中途半端な形で、見せかけの進展をさせながら行くだろ
うということか。
島田洋一
拉致問題に関して、リップ・サービスはどんどんしてくるだろうけれども、現
実問題としては棚上げの方向に行くだろう。半分余談だが、福井県小浜市がオバ
マ次期大統領の訪問を要請し、オバマ氏も麻生首相との電話会談で「行ってみた
い」と言ったらしいから、是非訪問してもらい、地村保志さんが市職員を務める
小浜市で重要な情報発信の機会が作れればと思う。
核問題に関しても、核施設でのサンプル採取を認めないと言う北朝鮮に対して、
米国はサンプル採取を認めるとの合意ができていると言っているようだが、この
2年間の動向を見ると、結局、米側が譲るのではないかという気がする。いずれ
にせよ、自己申告施設に限った上でのサンプル調査というのは、末梢的問題で、
大きな問題から目をそらそうとする世論操作の匂いすらする。木ではなく、森を
見ねばならない。
西岡力
10月11日にテロ支援国指定が解除されてから、その後、六者協議が開かれ
ていない。この連続集会で前回、惠谷さんと、金正日の健康問題があって北朝鮮
にとって時間稼ぎが必要なのではないかという議論をした。米国から見て、テロ
支援国指定解除をしたけれども、このまま第二段階が終わりだということは、米
国にとっては良くないことなのではないか。
島田洋一
米国は北朝鮮にコケにされ続けてきているわけだが、ヒル氏の場合、よくそこ
まで平気で譲歩できるなと思うくらい譲歩している。本来なら議会がもう少し騒
ぐはずだが、民主党の議員たちは、一歩ずつながら核廃棄に向け進展していると、
基本的にヒル外交を支持している。共和党の方も、同じ共和党のブッシュ政権を
表立って批判しにくいという雰囲気がある。そういう中、北朝鮮問題に一時的に
焦点が当たっても、すぐまたイラク問題に議論が移るという形で、ライス・ヒル
・コンビが北朝鮮問題で議会から厳しく追及されるというような状況にはならな
かった。
西岡力
最近の産経新聞の正論コラムで、米国政治専攻の同志社大学の先生が、オバマ
政権になって拉致問題はどうなるかということについて、日本として拉致問題の
解決の定義をきちんとし直さなければならないという議論をしていた。このよう
な話を私は何回も、外務省OBの有名な評論家からも聞いた。その震源は実は米
国だ。米国は、去年2月に安倍政権が、拉致が解決しなければ国交正常化はしな
いし、国交正常化前に北朝鮮に対する支援は絶対にしない。拉致が進展しなけれ
ば六者協議で核問題が進んでもエネルギー支援に参加しないという方針を決めた
時、米国が定義はなんだということをさかんに言ってきた。拉致は日本人にとっ
て感情の問題ではないか、感情を国際政治に持ち込まれても、六者協議で北朝鮮
が話しに応じようとしている時に困る。具体的に日本は何を求めているのか。5
人帰ってきたら10人だ、10人帰ってきたら今度は百人だ、百人帰ってきたら
5百人だというようにしていたら話にならないではないか。というような批判が
米国から出るようになった。
見せかけの進展あるいは話し合いが続くためにも、ある段階から日本の参加は
不可欠だろう。北朝鮮は、テロ支援国指定解除は取ったけれども、おカネも取っ
ていないし、エネルギーも少ない。彼らは今後、物質的な要求を出してくるだろ
うか、その場合、拉致が解決しなければ一切出さないという日本の今の姿勢は、
オバマ外交の障害物と考えられるようになる可能性が出てこよう。その場合に解
決の定義という問題が出てくるのではないかと思っている。
島田洋一
我々が国務省を訪れた際も、拉致「進展」の定義を教えてほしいと聞かれたこ
とがある。米朝協議の場でも拉致問題解決のために後押しし、仲介したいが、日
本が解決や進展の定義を示してくれないと話を詰めにくいという文脈での話だっ
た。私は、今後、拉致問題で米国はあえて仲介などしてくれなくてよいという態
度が必要だと思う。仲介を頼んだりするから、定義を教えてくれなどと言われる
のだ。米国に求めるべきは、圧力強化への協力であって、交渉の仲介ではない。
◆一人でも残っていれば解決にはならない
西岡力
日本政府の当面の方針6項目の中に、北朝鮮への要求を三つ書いてある。被害
者の帰国と真相究明と実行犯の引渡しだ。国会論戦でも、この三つが解決すれば
解決だと言っている。進展については、一番目の帰国に関して具体的な段取りが
ついた時と言っているけれども、その時、いったい何人なのだ、根拠はあるのか
という議論がある。拉致はテロ事件だから、絶対に譲れないのは人質を全員取り
戻すことだ。犯人逮捕はその後でいい。そして真相を究明して法的措置を取って、
民事的に補償してもらうのもその後でいい。しかし人質が残っているのに解決だ
ということはあり得ない。
では被害者が全部で何人かという問題になる時、私は次のようなやり方でアプ
ローチすべきだと考えている。米国だって北朝鮮のプルトニウムの量が何キロな
のか分からずに交渉している。濃縮ウランについてもそうだ。核爆弾の数だって
分からなくても、全部やめろと北朝鮮に迫っているではないか。我々も無理なこ
とを言っているのではない。人質が全員で何人なのか今我々には分からなくても、
北朝鮮が全員帰国させるべきだ。いつ全員となるのかというと、ヒル氏が核でやっ
ているように我々も北朝鮮に一方的に申告させる。そしてそれをこちらが検証す
る。IAEAの査察のように怪しいという所に行き、さらに三号庁舎の引出しの
帳簿を見せろということまでやって、彼らの申告が本物だと納得できるまで探し
続ける。
イラクの大量破壊兵器の査察についての国連安保理決議の中では、イラクの大
量破壊兵器関係の技術者及び家族を国外に出してインタビューさせろということ
を要求している。
我々が絶対に譲れないのは全員を取り戻すということであり、日本政府もそう
言っている。しかし今後、外交評論家と称する人たちなどが、日本は感情的にな
りすぎている、拉致問題は感情の問題であり、国際政治は違うと公然と言う人た
ちが増えてくるかもしれない。
でも、人質が残っているのに解決だと言えるはずがない。我々は、人質が何人
か分からない厳しい状況にいるけれども、ヒル氏がやったように北朝鮮に申告を
させ、こちらは査察をするということだ。そしてこちらがこれで全員救い出した
と納得できなければ終わらない。
米国はイラクに対して、納得できないから武力行使したのだ。疑惑を作ったほ
うには、納得させる責任がある。安全保障は、疑わしきは備えよだから、私は米
国のイラク攻撃を支持している。
1人でも残っている可能性が50%、いや何%でもあるときに終わりだなんて
できない。そこのところを絶対に譲らないようにしないと、外交だとか感情だと
かでやられるのではないか。最近の日本の識者と言われる人たちの論文を読んで
いると危機感を覚える。
島田洋一
拉致問題にこだわりすぎだ、感情にとらわれた議論だなどと言う人がいるが、
核問題も拉致問題も北の現体制を倒さない限り解決しないのは、冷静に考えれば
明らかだ。話し合いで解決していくのでは、などと考える人は、頭が悪いのでは
ないか。
それから、いま西岡さんが触れた、核に関わる技術者を家族ともども国外に出
して事情聴取させろという、イラクに関する決議1441号は、国連安保理を全
会一致で通っている。ロシアも中国も賛成したわけだ。当時、非常任理事国だっ
たシリアまで賛成している。したがって、拉致被害者を管理し、あるいは世話を
している人間―これは地村夫妻や蓮池夫妻、曽我・ジェンキンス夫妻に聞けば、
ある程度分かる―を家族とともに外に出し、日本に尋問させろという決議案を安
保理に出しても何らおかしくない。来年1月から、日本はまた非常任理事国とし
て安保理に復帰する。是非そういう方向で動いてもらいたい。
◆
西岡力
金正日体制の崩壊問題について、崩壊したら絶対安全に帰ってこられるかとい
うと、大変難しい。今生きている人たちを全員取り戻すということが当面の目標
だから、犠牲を一人でも出したくない。出してはいけないということを第一の目
標にしなければならない。どこにいるかということが分かれば色々なやり様があ
るだろうが、分かっていない。金正日体制が倒れる直前になるまで拉致被害者を
出さないだろうということも予想されるから、単純にはいかない。名前の分かっ
ている人も分からない人も、今この段階で生きて向こうで待っている人たちに危
害が及ばないように最大限の努力をする。その方法、何ができるのかということ
を政府には考え続けてもらわなくてはならない。
そういう中で、日本には単独ですぐに金正日体制を倒す力はない。しかし韓国
にはある。韓国にとって北朝鮮は同じ国内であり、北朝鮮の政権は反国家団体だ
から、軍隊を入れることもできる。それは国連憲章違反ではない。北朝鮮に大混
乱が起きた時には韓米軍が北進するという作戦計画が既にある。その作戦計画の
中に日本人を含む拉致被害者の救出をどう組み込んでもらえるのか。前回ここで
惠谷さんが話したように、「5029」という韓米合同作戦計画がある。盧武鉉
大統領の時代は、北朝鮮の崩壊を前提にする作戦計画は認められないと言って、
「概念計画」に止まっていた。李明博大統領になって、今、作戦計画として具体
的なことが詰められてきている。その時こそ、自衛隊をどうするかということを
議論しなくてはならない。集団的自衛権の問題をクリアしておけば、当然、米軍
が北朝鮮で攻撃を受けた時、同盟国日本の自衛隊は何ができるのかということに
なるだろうし、あるいは周辺事態法の中で自衛隊は何ができるのかということも
ある。拉致は主権侵害だから、個別的自衛権の発動も私は、国際法上可能だと思
う。韓米軍の作戦全体の中で、日本はこの分野ができるということを提示して初
めて韓米軍が日本人を助けるということも視野に入れてくれると思う。
北朝鮮が崩壊することもあり得るのだから色々なことを考えておこうという話
を政治家、関係者から聞いている。金正日の健康問題を含む北朝鮮の内部情勢が
不安定になればなるほど、一方で、国際社会に対して、オバマ大統領に対しても、
日本は北朝鮮に対して絶対に一歩も引かないのだということ、感情の問題だと言
われても日本人を日本が守ることに文句があるのか、日本の税金を北朝鮮に入れ
るかどうかは日本人が決めるのは当たり前のことだ、ということを発信しなけれ
ばならない。安倍政権が決めた「拉致の進展なくしてエネルギー支援なし」とい
う方針は今も変わっていない。日本人がオバマ大統領になった米国を慮って、日
米関係のためにそれを見直さなくてはならないと言い出さない限り大丈夫だ。北
朝鮮にいる日本人及び外国人の人質を取り戻す上で、例えば100人の人質のう
ち3人を取り戻せばそれでよいということにはならないということを国際社会に
対してきちんと説明すれば、日本は無理なことを言っているということには絶対
にならない。孤立を恐れてはならないという点で、島田提案のゴーイング・マイ
・ウェイ「シナトラ・ドクトリン」に賛成だ。
その一方、危機管理のレベルで、金正日体制の崩壊がいつ起こるか分からない
という前提で、崩壊と我々が当面している拉致被害者を安全に取り戻すというこ
とはイコールではないことに対応しなくてはならない。我々が拉致被害者を安全
に取り戻すための十分条件を持つために、実際のオペレーションとして何ができ
るかということを韓米軍とどれだけ打ち合わせできているかということが問題で
ある。今、金融問題で日本は、米国、韓国を助ける立場にあるわけだから、チャ
ンスだと思う。
島田洋一
韓国の最近の政治情勢について、西岡さんの解説を聞きたい。
◆保守派が攻勢に出られる状況になった韓国
西岡力
この春、ここに招いた韓国の金成昱(上に日、下に立)氏が、「李明博氏は左
翼ではないが、きちんとした保守主義者ではないから、どっちが尻をたたくかで
どっちに動くか分からない振り子のような政権だ。しかし盧武鉉政権、金大中政
権のように親北に凝り固まっていないからやり様がある」という話をしたが、そ
の通りの動きを見せている。
北朝鮮は今、異常に韓国からの情報流入を恐れ、韓国との交流をどんどん閉じ
る方向に行っている。今年、韓国は北に対して肥料もコメも出していない。李明
博政権は肥料もコメも出したいのだが、一方的に譲歩した前の政権との違いを出
したいから、「下さい」と言ってきたら、肥料もコメも出す準備はできていると
言っている。けれども、「下さい」ということがなく、逆に、「逆徒李明博」と
言われている。
今、韓国の一番の話題は教科書問題だ。韓国の高校の近現代史教科書はものす
ごくひどい。大韓民国の建国は恥だと読めるような記述があって、北朝鮮の建国
こそが民族の正統性を現しているというような教科書だ。今、教科書検定の時期
ではないのだが、李明博政権になって、文部省から修正要求が出ている。若者の
現代史認識は本当にゆがんでしまっている。アンケートを採ると、韓国軍の新兵
は、北朝鮮より米国を軍事的脅威だと思う割合が多かったりする。そういう状況
に対して、保守派が、教科書、特に左翼の金星社の教科書を問題にしている。そ
うように保守派が攻勢に出られる状況になっていることは間違いない。
拉致問題では、私が韓国に行くと尾行がつき、私に会った脱北者が国情院から
呼び出され、国家公務員として研究所などに勤めている人は懲戒を受けたりして
いたが、今度12月に開催する国際シンポジウム(家族会・救う会・拉致議連主
催)には、韓国国家安保戦略研究所という所に勤めている、北朝鮮出身の公務員
である北朝鮮専門家が出席してくれる。そして、今の北朝鮮の金正日の健康問題
を含む内情や拉致問題について話してもいいと言ってくれるぐらいになった。
以上
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●麻生首相にメール・葉書を
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下記をクリックして、ご意見を送ってください。
http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 麻生太郎殿
●救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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「米国新政権と今後の救出運動」をテーマに、平成20年11月20日、東京
連続集会41にて、米国政治・対北朝鮮政策に詳しい島田洋一救う会副会長(福
井県立大学教授)が報告し、その後、西岡力救う会会長代行(東京基督教大学教
授)と質疑応答形式で議論した。報告と質疑応答の概要は以下の通り。
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◆オバマ政権下の日本の対北朝鮮政策は「シナトラ・ドクトリン」=マイ・ウェ
イで
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「シナトラ・ドクトリン」とは、ソ連崩壊前夜、ゲンナディ・ゲラシモフ外務省
報道官が、独立指向を強める東欧諸国にソ連はどう対応するかと聞かれ、フラン
ク・シナトラのヒット曲「マイ・ウェイ」を念頭に、それぞれがわが道を行く
「シナトラ・ドクトリン」だと答えて話題になったものだ。
要するに、オバマ政権がどういう政策を採ろうが日本は日本の道を行くという
ことだ。日本だけが、筋を曲げなかったと将来の歴史書に書かれるよう、政治家
には特にしっかりしてもらいたい。
北朝鮮政策に関する限り、米国では事実上、2年前に政権交代が起こり、国務
省政権が誕生した。それでも、瀕死の病人がピクッと体を起こしかけ、「おっ。
まだ生きていたのか」と思わせるような揺り戻しの動きはあった。昨年秋、チェ
イニー副大統領周辺が中心となって、国務省の反対を押し切り、シリアと北朝鮮
による秘密核協力情報を明らかにしたことなど、その例だ。民主党政権では、そ
うしたことも減っていこう。
これからの米国はどう動くか。一つの重要ポイントは、連邦議会の構成だ。一
つ前の民主党政権、クリントン時代は、議会は共和党多数の時期が長かった。し
かし来年1月以降、ホワイトハウス、上院、下院いずれも民主党が支配すること
になる。上院の場合、下院同様の予算案、法律案の審議に加え、政府高官人事の
承認権も持っている。
実は、連邦議会選挙はまだ終わっていない。まだ決まっていない議席が上院2
議席、下院4議席あり、このうち上院の2議席は、すでに民主党が58議席を押
さえている中、きわめて重要だ。上院には下院にない独特のルールがあって、上
院議員100名中、単純過半数ではなく半数プラス10の60名が賛成しないと、
討議を打ち切って採決に入れない。民主党が60議席を獲得すれば、理論上は、
どんな人事案件でもすぐ採決に入れることになる。とんでもない極左の人間を各
省庁の幹部にといった人事案件すら通りかねない。各国に派遣される大使も上院
が承認権を持っている。そういう意味で、諸事情によりまだ確定していないミネ
ソタ州とジョージア州の2議席の行方がどうなるか注目される(注・12月2日に
ジョージア州で再選挙があり、共和党候補が勝利した)。
米国では歴史的に政界再編がほぼ終わっており、民主党議員は、おしなべて対
北朝鮮宥和派だ。そのため、議会の状況は危ない。連邦議会選挙は、下院議員は
2年ごとに全員改選、上院議員は2年ごとに3分の1ずつ改選だから、2年後に
また共和党が盛り返す可能性はあるが、とにかく2年間は我慢の時代に入るだろ
う。
我々が以前から接触している信頼できる議員に、共和党のサム・ブラウンバッ
ク上院議員がいる。次の大統領選挙では共和党の有力候補になりうる人だが、彼
はクリストファー・ヒル国務次官補に対し、厳しい態度をとってきた。そのブラ
ウンバックが、約半年前、北朝鮮問題について議会演説を行い、その提出文書版
を見ると、「ヒルは以前、私への説明で、米朝国交正常化交渉の過程で人権問題
をはっきり取り上げると言っていた。ところが先日は、米朝国交正常化すれば人
権問題を持ち出しやすくなると言ってきた。米朝国交正常化の条件から人権問題
をはずしたということではないか。こうしたことはアメリカの名誉を著しく傷つ
ける」との趣旨が明記してある。
ヒル氏をはじめ、国務省においては、国交を樹立すればさまざまな方面で改善
が期待できるという、日本でいえば山拓、加藤紘一的な発想が支配的だ。現在、
ジョー・バイデン次期副大統領のもとでアジア政策を担当し、ヒルの後任で国務
次官補になるのではとも噂されるフランク・ジャヌージという人物がいるが、彼
も以前から同様の話をしている。なお、ヒル氏については、さらに出世して国務
次官、ひょっとすると国務副長官という話まで出ている。
オバマ次期大統領は「チェンジ」が合い言葉だが、外交に関しては安定を重視
する現状維持志向の国務省路線(ライス・ヒル宥和路線)が続くことになろう。
国務省は交渉がだらだら続くことを悪だとは思っていない。その間、戦争も起こ
らず、仕事と予算が来て、そのうち金正日が死んでまともなリーダーに変わるか
も知れない、そんなあたりでいいんじゃないのといった発想だ。
アメリカの場合、各省の次官補代理以上、日本の省庁でいえば、局長の一つ下
の審議官クラスから上のポジションは、政治任命で、大統領が指名し、上院が承
認する。国務省は通常採用組のほとんどが民主党支持者だ。ボルトン前国連大使
が回顧録に、「ブッシュがケリーに競り勝った大統領選の翌日、国務省に出勤す
ると(当時、ボルトンは国務次官)、まるでお通夜のようだった」と書いている。
ブッシュ政権下では、それでも2年前までは、いくつか要所にハードライナーが
いたわけだが、民主党が上院で60議席取れば好き放題の人事となる。たとえ6
0に届かなくても、共和党の中に発想が非常にリベラルで、「ライノー」と呼ば
れる女性議員が二人ほどいるため、現実は保守派にとって大変厳しい。「ライノー」
(RINO)とはRepublican In Name Onlyの頭字語で、「名前だけの共和党員」と
いう意味だ。
一番危ういのは副大統領になるジョー・バイデンである。クリストファー・ヒ
ルを「米外交の宝」と持ち上げ、全面的に擁護してきた。かつて、ロナルド・レー
ガンの圧力重視の対ソ政策にも、ことごとく反対していた。
国務省に次いでリベラル派の巣窟とされるのが、実はCIAの管理部門だ。特
にクリントン時代、CIAの「行き過ぎ」を民間で追及していた運動家をどんど
ん幹部職に政治任命した結果、極めてリベラル色の強い組織になった。特にイラ
ク戦争開始以降のブッシュ時代、政権の方針を阻害したり、水を差すような情報
が次々CIAからリークされた。去年もCIAが、イランは2003年に核兵器
開発をやめたとする報告を出したが、保守派の研究者やジャーナリストからは情
報の取捨選択がきわめて恣意的との強い批判が出ている。
オバマ氏を、大雑把に日本の政治家にたとえれば、菅直人、それも今の菅直人
ではなく、10数年前の爽やかそうだった頃の菅直人に近いのではないか。体質
は古い左翼だが、清新なイメージを打ち出すのがうまく、一般受けする。オバマ
政権の幹部人事がかなりメディアに出てきているが、クリントン時代に各部署で
ナンバー2ぐらいのポジションにいた人が軒並み戻ってきている観がある。国務
長官にはヒラリー・クリントンの名前が挙がっている(注・その後決定。なお、
国家安全保障担当補佐官のジェームズ・ジョーンズ、国防長官のボブ・ゲイツ留
任などは、米保守派もかなり評価している。一方、左翼は反発している)。
オバマが菅直人だとすると、ジョー・バイデン次期副大統領は、加藤紘一に近
い。外交に明るいベテラン議員とされるが、失言も多いし、一切反省することの
ない宥和派だ。上院外交委員長を務めてきたが、米議会の委員長ポストは完全な
年功序列システムで、バイデンは30歳で上院議員に当選したため年齢(現在6
6歳)に比して議員歴が長く、この地位に収まっているだけだ。別に見識が評価
されているわけではない。彼は、レーガン時代、「ソ連がつぶれるはずがない」
と何度も断言し、間違ったわけだが、そのことについて何ら反省の色が見えない。
今また彼は、「北朝鮮がつぶれるはずがない」「米国が北朝鮮のレジーム・チェ
ンジを目指しても中国や韓国が反対するから無理だ」などと公言している。そし
て、「私の父が死ぬ前によく言っていた、『息子よ。もしすべてが同じぐらい重
要だというなら、それは、おまえにとって何も重要ではないということだ』」な
どと述懐しつつ、プルトニウムの増産阻止を最優先とし、人権問題は後回しにす
べきだと主張している。ちなみに数年前、米下院が拉致問題で北朝鮮を非難する
決議を通した一方、上院では立ち消えになった。これも、バイデン・オフィスが
難色を示したためと聞いている。
今、北朝鮮の核問題がかなり重要なポイントに来ている。10月11日、国務
省は、北朝鮮の核検証に関する米朝合意を発表し、北朝鮮のテロ支援国指定解除
も発表した。この米朝合意は、疑惑施設への査察は北朝鮮がOKした時のみと、
北朝鮮に拒否権を与えている。事実上、検証を放棄したようなものだ。問題は、
日本政府が、この米朝合意を認めないという姿勢を取れるかだ。麻生政権にとっ
て大きな正念場になると思う。
◆米国保守派との連携強化を
あえて言えば、拉致問題には関心がないが、核問題で日本は北への圧力を強化
すべきだという人がいれば、大いに連携すればよい。米朝合意に日本政府が追随
し、北への国際的圧力を弱めるようなことがあれば、責任は重大だ。核問題に関
しては、家族会が何らかの立場を主張するわけにはいかないだろう。政治家やわ
れわれ民間の人間が、前面に出るべきだと思う。
核問題で、日本政府は、具体的に何をすべきか。まず、核兵器製造施設など重
要情報を含まない北の核申告を、日本は「すべての核計画の完全かつ正確な申告
とは認めない」と明言せねばならない。日本政府は、いまだにそれをしていない。
北朝鮮の申告書は、日本も受け取っており、本来公表すべきだが、公表しない上
に、「完全かつ正確な申告」とは認められないとの意思表明もしない。これは外
務省の責任というより政治の責任だ。麻生首相に踏ん張ってもらいたい。
また、未申告の疑惑施設について、「国際原子力機関(IAEA)が必要と認める
場合、北は査察を受け入れる」といった対案を出し、国際的な広報活動も行うべ
きだ。そして、もう一度言うが、日本は米朝合意を追認しないという姿勢を貫か
ねばならない。
外務省のある幹部が、未申告の施設に関して査察させろというのは国際慣例に
照らし難しいと言ったそうだが、1992年にルーマニアが申告外施設へのIAEA
特別査察を受け入れた例がある。
北朝鮮も、実は過去に、IAEAが必要と認めるなら未申告施設でも査察を受ける
と同意したことがある。ところが最初の現地査察(1992年5月)で申告の矛
盾が明らかになり、IAEAがさらに2か所の疑惑施設の査察を要求したとたん、北
朝鮮は、特別査察は受けられないと開き直った。そこから、1993年から94
年にかけての第一次核危機に至ったわけだ。
ルーマニアが特別査察を受け入れた前例があり、北朝鮮自体も未申告施設の査
察に合意した前例がある以上、外務省幹部のように、始めから申告外施設の査察
は無理だと諦めるのはおかしい。北朝鮮が受け入れなければ、どんどん制裁を強
化していけばよいのだ。とにかく日本としてのしっかりした対案を出すべきだ。
シーファー米国大使は、これまで、拉致問題に力を尽くしてくれた人だと思う
が、やはり大使という立場上、本国政府の行動を弁護せざるを得ず、本国政府が
どんどんおかしな方向に行っていく中、大使の発言にも遺憾な点が出てきている
ように思う。
アメリカが北のテロ支援国指定を解除した直後の10月16日、大使は家族会
の飯塚代表と横田前代表を招き、「テロ指定を解除しないと六者協議が壊れる恐
れがあった。六者協議が失敗すれば、拉致問題の解決も難しくなる。拉致問題を
進める意味でも今回は米国の行動を理解してほしい」との趣旨を述べたという。
今後、核問題でなぜまた北に譲歩するのかという声に対し、宥和派の人々から、
六者が崩壊すると拉致問題の解決も難しくなるからという声が出るだろう。無原
則な対北宥和政策を、「拉致問題解決のためにも必要」と言い抜けるこうした
“拉致の政治利用”を許してはならない。大いに警戒が必要だと思う。
ジョー・バイデン次期副大統領の補佐官ジャヌージ氏とは、これまで何度も話
をしてきたが、彼はよく「ベトナムの経験」を持ち出す。すなわち、かつて泥沼
の戦争を戦った米国とベトナムも、クリントン時代の1995年に国交正常化し、
以降、徐々に信頼関係が醸成されて、その結果、米兵の遺骨収集も進むようにも
なった。同じことが日朝の拉致問題にも当てはまるのではないか。要するに、ま
ず国交正常化して信頼関係を醸成していけば、色々展望が開けるのではないかと
いうわけだ。
こちらは、「生きている被害者を取り返さねばならぬ拉致問題と遺骨収集とは
性格がまったく異なる」と述べたり、「ドイモイ政策で改革開放を進めてきたベ
トナムと、閉鎖主義の北朝鮮を同一視できない。北のような政権と共存できると
考えるのは間違いだ」などと反論するのだが、一向に納得する気配がない。
最初にも述べたように、日本としてはわが道を行く「シナトラ・ドクトリン」
だ。米政権と摩擦が生じるかもしれないが、仕方がない。米国の保守派の人たち
とはしっかりした人脈を築いてきたから、政権との関係に一喜一憂せず、信頼で
きる人々との連携を強めることが大事だと思う。
■米国新政権と今後の救出運動2?東京連続集会41
◆米国に求めるべきは圧力強化への協力、交渉の仲介ではない
西岡力(救う会会長代行)
一つ質問だが、オバマ政権は、拉致問題を含む北朝鮮の人権問題はほぼ棚上げ
して、核問題も今以上に中途半端な形で、見せかけの進展をさせながら行くだろ
うということか。
島田洋一
拉致問題に関して、リップ・サービスはどんどんしてくるだろうけれども、現
実問題としては棚上げの方向に行くだろう。半分余談だが、福井県小浜市がオバ
マ次期大統領の訪問を要請し、オバマ氏も麻生首相との電話会談で「行ってみた
い」と言ったらしいから、是非訪問してもらい、地村保志さんが市職員を務める
小浜市で重要な情報発信の機会が作れればと思う。
核問題に関しても、核施設でのサンプル採取を認めないと言う北朝鮮に対して、
米国はサンプル採取を認めるとの合意ができていると言っているようだが、この
2年間の動向を見ると、結局、米側が譲るのではないかという気がする。いずれ
にせよ、自己申告施設に限った上でのサンプル調査というのは、末梢的問題で、
大きな問題から目をそらそうとする世論操作の匂いすらする。木ではなく、森を
見ねばならない。
西岡力
10月11日にテロ支援国指定が解除されてから、その後、六者協議が開かれ
ていない。この連続集会で前回、惠谷さんと、金正日の健康問題があって北朝鮮
にとって時間稼ぎが必要なのではないかという議論をした。米国から見て、テロ
支援国指定解除をしたけれども、このまま第二段階が終わりだということは、米
国にとっては良くないことなのではないか。
島田洋一
米国は北朝鮮にコケにされ続けてきているわけだが、ヒル氏の場合、よくそこ
まで平気で譲歩できるなと思うくらい譲歩している。本来なら議会がもう少し騒
ぐはずだが、民主党の議員たちは、一歩ずつながら核廃棄に向け進展していると、
基本的にヒル外交を支持している。共和党の方も、同じ共和党のブッシュ政権を
表立って批判しにくいという雰囲気がある。そういう中、北朝鮮問題に一時的に
焦点が当たっても、すぐまたイラク問題に議論が移るという形で、ライス・ヒル
・コンビが北朝鮮問題で議会から厳しく追及されるというような状況にはならな
かった。
西岡力
最近の産経新聞の正論コラムで、米国政治専攻の同志社大学の先生が、オバマ
政権になって拉致問題はどうなるかということについて、日本として拉致問題の
解決の定義をきちんとし直さなければならないという議論をしていた。このよう
な話を私は何回も、外務省OBの有名な評論家からも聞いた。その震源は実は米
国だ。米国は、去年2月に安倍政権が、拉致が解決しなければ国交正常化はしな
いし、国交正常化前に北朝鮮に対する支援は絶対にしない。拉致が進展しなけれ
ば六者協議で核問題が進んでもエネルギー支援に参加しないという方針を決めた
時、米国が定義はなんだということをさかんに言ってきた。拉致は日本人にとっ
て感情の問題ではないか、感情を国際政治に持ち込まれても、六者協議で北朝鮮
が話しに応じようとしている時に困る。具体的に日本は何を求めているのか。5
人帰ってきたら10人だ、10人帰ってきたら今度は百人だ、百人帰ってきたら
5百人だというようにしていたら話にならないではないか。というような批判が
米国から出るようになった。
見せかけの進展あるいは話し合いが続くためにも、ある段階から日本の参加は
不可欠だろう。北朝鮮は、テロ支援国指定解除は取ったけれども、おカネも取っ
ていないし、エネルギーも少ない。彼らは今後、物質的な要求を出してくるだろ
うか、その場合、拉致が解決しなければ一切出さないという日本の今の姿勢は、
オバマ外交の障害物と考えられるようになる可能性が出てこよう。その場合に解
決の定義という問題が出てくるのではないかと思っている。
島田洋一
我々が国務省を訪れた際も、拉致「進展」の定義を教えてほしいと聞かれたこ
とがある。米朝協議の場でも拉致問題解決のために後押しし、仲介したいが、日
本が解決や進展の定義を示してくれないと話を詰めにくいという文脈での話だっ
た。私は、今後、拉致問題で米国はあえて仲介などしてくれなくてよいという態
度が必要だと思う。仲介を頼んだりするから、定義を教えてくれなどと言われる
のだ。米国に求めるべきは、圧力強化への協力であって、交渉の仲介ではない。
◆一人でも残っていれば解決にはならない
西岡力
日本政府の当面の方針6項目の中に、北朝鮮への要求を三つ書いてある。被害
者の帰国と真相究明と実行犯の引渡しだ。国会論戦でも、この三つが解決すれば
解決だと言っている。進展については、一番目の帰国に関して具体的な段取りが
ついた時と言っているけれども、その時、いったい何人なのだ、根拠はあるのか
という議論がある。拉致はテロ事件だから、絶対に譲れないのは人質を全員取り
戻すことだ。犯人逮捕はその後でいい。そして真相を究明して法的措置を取って、
民事的に補償してもらうのもその後でいい。しかし人質が残っているのに解決だ
ということはあり得ない。
では被害者が全部で何人かという問題になる時、私は次のようなやり方でアプ
ローチすべきだと考えている。米国だって北朝鮮のプルトニウムの量が何キロな
のか分からずに交渉している。濃縮ウランについてもそうだ。核爆弾の数だって
分からなくても、全部やめろと北朝鮮に迫っているではないか。我々も無理なこ
とを言っているのではない。人質が全員で何人なのか今我々には分からなくても、
北朝鮮が全員帰国させるべきだ。いつ全員となるのかというと、ヒル氏が核でやっ
ているように我々も北朝鮮に一方的に申告させる。そしてそれをこちらが検証す
る。IAEAの査察のように怪しいという所に行き、さらに三号庁舎の引出しの
帳簿を見せろということまでやって、彼らの申告が本物だと納得できるまで探し
続ける。
イラクの大量破壊兵器の査察についての国連安保理決議の中では、イラクの大
量破壊兵器関係の技術者及び家族を国外に出してインタビューさせろということ
を要求している。
我々が絶対に譲れないのは全員を取り戻すということであり、日本政府もそう
言っている。しかし今後、外交評論家と称する人たちなどが、日本は感情的にな
りすぎている、拉致問題は感情の問題であり、国際政治は違うと公然と言う人た
ちが増えてくるかもしれない。
でも、人質が残っているのに解決だと言えるはずがない。我々は、人質が何人
か分からない厳しい状況にいるけれども、ヒル氏がやったように北朝鮮に申告を
させ、こちらは査察をするということだ。そしてこちらがこれで全員救い出した
と納得できなければ終わらない。
米国はイラクに対して、納得できないから武力行使したのだ。疑惑を作ったほ
うには、納得させる責任がある。安全保障は、疑わしきは備えよだから、私は米
国のイラク攻撃を支持している。
1人でも残っている可能性が50%、いや何%でもあるときに終わりだなんて
できない。そこのところを絶対に譲らないようにしないと、外交だとか感情だと
かでやられるのではないか。最近の日本の識者と言われる人たちの論文を読んで
いると危機感を覚える。
島田洋一
拉致問題にこだわりすぎだ、感情にとらわれた議論だなどと言う人がいるが、
核問題も拉致問題も北の現体制を倒さない限り解決しないのは、冷静に考えれば
明らかだ。話し合いで解決していくのでは、などと考える人は、頭が悪いのでは
ないか。
それから、いま西岡さんが触れた、核に関わる技術者を家族ともども国外に出
して事情聴取させろという、イラクに関する決議1441号は、国連安保理を全
会一致で通っている。ロシアも中国も賛成したわけだ。当時、非常任理事国だっ
たシリアまで賛成している。したがって、拉致被害者を管理し、あるいは世話を
している人間―これは地村夫妻や蓮池夫妻、曽我・ジェンキンス夫妻に聞けば、
ある程度分かる―を家族とともに外に出し、日本に尋問させろという決議案を安
保理に出しても何らおかしくない。来年1月から、日本はまた非常任理事国とし
て安保理に復帰する。是非そういう方向で動いてもらいたい。
◆
西岡力
金正日体制の崩壊問題について、崩壊したら絶対安全に帰ってこられるかとい
うと、大変難しい。今生きている人たちを全員取り戻すということが当面の目標
だから、犠牲を一人でも出したくない。出してはいけないということを第一の目
標にしなければならない。どこにいるかということが分かれば色々なやり様があ
るだろうが、分かっていない。金正日体制が倒れる直前になるまで拉致被害者を
出さないだろうということも予想されるから、単純にはいかない。名前の分かっ
ている人も分からない人も、今この段階で生きて向こうで待っている人たちに危
害が及ばないように最大限の努力をする。その方法、何ができるのかということ
を政府には考え続けてもらわなくてはならない。
そういう中で、日本には単独ですぐに金正日体制を倒す力はない。しかし韓国
にはある。韓国にとって北朝鮮は同じ国内であり、北朝鮮の政権は反国家団体だ
から、軍隊を入れることもできる。それは国連憲章違反ではない。北朝鮮に大混
乱が起きた時には韓米軍が北進するという作戦計画が既にある。その作戦計画の
中に日本人を含む拉致被害者の救出をどう組み込んでもらえるのか。前回ここで
惠谷さんが話したように、「5029」という韓米合同作戦計画がある。盧武鉉
大統領の時代は、北朝鮮の崩壊を前提にする作戦計画は認められないと言って、
「概念計画」に止まっていた。李明博大統領になって、今、作戦計画として具体
的なことが詰められてきている。その時こそ、自衛隊をどうするかということを
議論しなくてはならない。集団的自衛権の問題をクリアしておけば、当然、米軍
が北朝鮮で攻撃を受けた時、同盟国日本の自衛隊は何ができるのかということに
なるだろうし、あるいは周辺事態法の中で自衛隊は何ができるのかということも
ある。拉致は主権侵害だから、個別的自衛権の発動も私は、国際法上可能だと思
う。韓米軍の作戦全体の中で、日本はこの分野ができるということを提示して初
めて韓米軍が日本人を助けるということも視野に入れてくれると思う。
北朝鮮が崩壊することもあり得るのだから色々なことを考えておこうという話
を政治家、関係者から聞いている。金正日の健康問題を含む北朝鮮の内部情勢が
不安定になればなるほど、一方で、国際社会に対して、オバマ大統領に対しても、
日本は北朝鮮に対して絶対に一歩も引かないのだということ、感情の問題だと言
われても日本人を日本が守ることに文句があるのか、日本の税金を北朝鮮に入れ
るかどうかは日本人が決めるのは当たり前のことだ、ということを発信しなけれ
ばならない。安倍政権が決めた「拉致の進展なくしてエネルギー支援なし」とい
う方針は今も変わっていない。日本人がオバマ大統領になった米国を慮って、日
米関係のためにそれを見直さなくてはならないと言い出さない限り大丈夫だ。北
朝鮮にいる日本人及び外国人の人質を取り戻す上で、例えば100人の人質のう
ち3人を取り戻せばそれでよいということにはならないということを国際社会に
対してきちんと説明すれば、日本は無理なことを言っているということには絶対
にならない。孤立を恐れてはならないという点で、島田提案のゴーイング・マイ
・ウェイ「シナトラ・ドクトリン」に賛成だ。
その一方、危機管理のレベルで、金正日体制の崩壊がいつ起こるか分からない
という前提で、崩壊と我々が当面している拉致被害者を安全に取り戻すというこ
とはイコールではないことに対応しなくてはならない。我々が拉致被害者を安全
に取り戻すための十分条件を持つために、実際のオペレーションとして何ができ
るかということを韓米軍とどれだけ打ち合わせできているかということが問題で
ある。今、金融問題で日本は、米国、韓国を助ける立場にあるわけだから、チャ
ンスだと思う。
島田洋一
韓国の最近の政治情勢について、西岡さんの解説を聞きたい。
◆保守派が攻勢に出られる状況になった韓国
西岡力
この春、ここに招いた韓国の金成昱(上に日、下に立)氏が、「李明博氏は左
翼ではないが、きちんとした保守主義者ではないから、どっちが尻をたたくかで
どっちに動くか分からない振り子のような政権だ。しかし盧武鉉政権、金大中政
権のように親北に凝り固まっていないからやり様がある」という話をしたが、そ
の通りの動きを見せている。
北朝鮮は今、異常に韓国からの情報流入を恐れ、韓国との交流をどんどん閉じ
る方向に行っている。今年、韓国は北に対して肥料もコメも出していない。李明
博政権は肥料もコメも出したいのだが、一方的に譲歩した前の政権との違いを出
したいから、「下さい」と言ってきたら、肥料もコメも出す準備はできていると
言っている。けれども、「下さい」ということがなく、逆に、「逆徒李明博」と
言われている。
今、韓国の一番の話題は教科書問題だ。韓国の高校の近現代史教科書はものす
ごくひどい。大韓民国の建国は恥だと読めるような記述があって、北朝鮮の建国
こそが民族の正統性を現しているというような教科書だ。今、教科書検定の時期
ではないのだが、李明博政権になって、文部省から修正要求が出ている。若者の
現代史認識は本当にゆがんでしまっている。アンケートを採ると、韓国軍の新兵
は、北朝鮮より米国を軍事的脅威だと思う割合が多かったりする。そういう状況
に対して、保守派が、教科書、特に左翼の金星社の教科書を問題にしている。そ
うように保守派が攻勢に出られる状況になっていることは間違いない。
拉致問題では、私が韓国に行くと尾行がつき、私に会った脱北者が国情院から
呼び出され、国家公務員として研究所などに勤めている人は懲戒を受けたりして
いたが、今度12月に開催する国際シンポジウム(家族会・救う会・拉致議連主
催)には、韓国国家安保戦略研究所という所に勤めている、北朝鮮出身の公務員
である北朝鮮専門家が出席してくれる。そして、今の北朝鮮の金正日の健康問題
を含む内情や拉致問題について話してもいいと言ってくれるぐらいになった。
以上
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