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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

検死医師による死亡診断書はすべて捏造  いまこそ制裁発動のとき(2004/11/29)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2004.11.29)

■検死医師による死亡診断書はすべて捏造  いまこそ制裁発動のとき

西岡力(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会常任副会長)

 金正日政権は死亡診断書といった人間の命を扱う公文書さえも自由に捏造する嘘つ
き政権である。
 今回の日朝実務者協議の成果は、物証を持ち帰ったことではない。検死医師による
死亡診断書がすべて捏造だったことを金正日政権に自白させたことだ。医師の署名入
りの公式文書さえ堂々と捏造する政権とこれまで通りの協議をつづけても、真実が出
てくるわけがない。経済制裁により態度を変えさせる以外方法はない。いまこそ制裁
発動のときだ。
 小泉首相は「北朝鮮の努力の跡はうかがえる」と語り、現段階で経済制裁を発動せ
ず協議をつづける方針を明らかにした。しかし、実態を冷静に見つめるならば「努力
の跡」はまったくうかがえない。うかがえるのは「悪意にもとづく捏造の跡」だけで
ある。
 金正日政権が8人死亡の物証として2年前日本に提示したのは、8人全員の死亡診
断書、横田めぐみさんの名前のある患者死亡台帳、松木薫さんの遺骨と称する火葬さ
れた骨だった。松木薫さんの遺骨と称するものはすでに鑑定の結果、本人のものでは
ないことが判明した。
 問題は死亡診断書だ。たとえば増元るみ子さんの死亡診断書では死亡日が「198
1年8月17日」、「死亡診断名」として「心臓マヒによる死亡」、その下に「医師
氏名」として手書きの署名で「チョン・ギョンイプ」、その下に発行機関として「第
695号病院」とゴム印が押されている。そして、一番下に作成年月日として「19
81年8月18日」と書いてある。死亡日が1981年8月17日だから、その1日
あとだ。つまり、この確認書は遺体を検死した医師が死亡翌日に作成したものだ。死
亡の証拠を出せなかった彼らが唯一出してきたのが、この検死した医師による死亡診
断書だった。
 ここで強調しておきたいのは、死亡診断書の発行年月日が死亡直後とされていると
いう点だ。これは増元さん以外の7人の死亡診断書も同じだった。金正日政権が伝え
てきた「死亡日」は市川修一さんの1979年から松木薫さんの1996年まで17
年間にまたがっていたが、死亡診断書の作成日も全部、17年間にまたがり死亡当日
か翌日だった。
 ところが、金正日政権は今回の協議で、死亡診断書について「すべて後で慌てて作っ
た物だ。特殊機関が死亡確認書に関する資料を焼却した。その後『死亡の証拠を出せ』
と言われたので作った」と説明した。まためぐみさんの患者死亡台帳も「めぐみさん
の名前の記載は、後で書き込んだものであることが判明した」とした。
 この説明は重大な意味を持っている。何気なくこの説明を聞くと、慌ててミスをし
たと誤解しやすい。めぐみさんの「死亡日」を1年間違えたのは、過去の記録などを
基に2002年に死亡診断書を作る際に起きたミスという誤解だ。しかし、死亡診断
書作成日はあくまで死亡直後の1979年から1996年だ。
 慌てたために起こった単なるミスではなく、悪意に満ちた捏造だった。特殊機関の
指示で病院の医師らがぐるになって「死亡日」の日付にさかのぼって検死医師のサイ
ン入りの死亡診断書と患者死亡台帳を捏造した。
 二年前金正日が拉致を認めた直後、金正日政権が日本政府調査団に対して行った
「八人死亡、二人未入国」の説明は、捏造に基づく欺瞞だった。
 今回金正日政権は「田口八重子さんは大韓機爆破犯の日本人化教育係・李恩恵でな
い」、「よど号メンバーは石岡亨さん、松木薫さん、有本恵子さん拉致に関与してい
ない」、「曽我ミヨシさん、久米裕さんも、特定失踪者らも入国していない」という
従来からの嘘をつきつづけた。横田めぐみさんの遺骨と称するものも、火葬されDN
A鑑定できなくされている極めて疑わしいものだ。
 嘘つき政権に真実を白状させるには、白状しないとたいへんな不利益が来ると思い
知らせる以外にない。ことここに至れば、制裁発動で圧力をかけるほかない。小泉首相の決断を強く促したい。



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