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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

精査・鑑定結果は捏造、直ちに返還を求める決意?谷内正太郎・内閣府副長官(2004/12/24)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2004.12.24)

■精査・鑑定結果は捏造、直ちに返還を求める決意?谷内正太郎・内閣府副長官

 本日、12月24日、第3回日朝実務者協議で日本側が持ち帰った情報と物証
を1か月半かけて精査した結果が政府から家族会・救う会に報告された。日本政
府はこの場で、「『8名は死亡、2名は入境を確認せず』との北朝鮮側説明を裏
付けるものは皆無である。北朝鮮側の『結論』は客観的に立証されておらず、我
が方としては全く受け入れられない」と明確に断言した。北朝鮮から提供された
情報も物証もすべて捏造で、死亡を証明する客観的証拠となるものは一つもなかっ
たことが明らかになった。

 政府からの報告の冒頭、谷内(やち)内閣府副長官補が挨拶し、「死亡の証拠
はでっちあげられたもので話にならない。すべての拉致被害者につき直ちに返還
を求める決意」と述べた。 続いて、薮中三十二・アジア大洋州局長より、「安
否不明の拉致被害者に関する再調査(北朝鮮から提示された情報・物証の精査結
果)」との11ページにわたるレポートをもとに報告がなされた。家族からは、
「もはや真相究明は必要ない。直ちに返せと国家としての態度を表明してほしい」、
「期限を切って経済制裁を発動すべき」と政府に要請した。政府としては明日
(または明日以降)、北京大使館を通じ精査結果を北朝鮮に渡し、返答を待つと
の回答であった。また、各家族には、精査結果について個別に説明があったが、
この報告では割愛する。以下は、全体的な報告の概要である。

◆安否不明の拉致被害者に関する再調査(北朝鮮から提示された情報・物証の精
査結果)概要

 これまでの経過として、5月22日、金正日が小泉首相に、「改めて白紙に戻
して徹底した再調査を行う」と約束したことにより、11月の第3回協議では5
0時間にわたる聴取を行ったことが報告された。北朝鮮では、6月3日、政府か
ら必要な権限を与えられた「調査委員会」が設置され、特殊機関を含む関係機関
も調査対象にしつつ、鋭意調査を行ったと報告された。その際、生存者がいれば
全員帰国させるとの方針で調査を進めたが、「8名死亡、2名未入国」と変わら
ない結果であったと通報された、という。また、日本が国際指名手配している3
人の拉致容疑者について引渡しを要求したが、北朝鮮側はこれに応じなかった。

1.物証の精査の結果
・「遺骨」
 横田めぐみさんの「遺骨」とされたものについては、骨片10個を選定し、5
個中4個から同一のDNAが、1個から別のDNAが検出されたが、いづれも横
田めぐみさんのものではなかった。これは国内で最高水準の研究機関による客観
的で正確な鑑定結果である。北朝鮮側は「鑑定結果は受け入れられない」として
いるが、北朝鮮側の主張には何の合理的根拠もない。松木 薫さんの「遺骨」の
可能性があるものとして出された骨については、同じ場所に保管されていたもの
であるとして出されたもので、当初から本人の「遺骨」である可能性は低いと考
えていたが、鑑定の結果、別人のDNAが検出された。また、骨片は松木さんの
身体的特徴と合致しない。

・横田めぐみさんの「カルテ」とされる文書
 400ページにわたるものであったが、「カルテ」上に記載のある人物の年齢
が横田めぐみさんの当時の年齢と明らかに異なっている部分が何か所か見られる。
このカルテは1979年6月から1993年9月までの記録であり、北朝鮮は、
それ以降1994年までのカルテは存在しないとしている。

・「刑事事件記録」2点
 多くの部分が塗りつぶされており、横田めぐみさんの拉致事案および欧州から
の拉致事案に関与したことをうかがわせる記述は若干あるものの、この刑事事件
記録には、被告人が具体的にどの拉致事案に関連したのかを示す記述はない。ま
た、これらの記録は拉致事件の全体像を示すものであるとも言えない。従って、
これらの文書が、拉致事件の責任者は処罰されたとする北朝鮮側の主張を裏付け
るものであるとは到底認められない。なお、「記録」は1998年と1999年
にそれぞれ作成されたものとされているが、仮にそのとおりであるならば、北朝
鮮側として既にこれらの時点で日本人拉致の存在を認識していたことになる。2
002年の小泉訪朝に至るまで、一貫して全面的に否定していた経緯があり、北
朝鮮側のこのような姿勢が極めて問題であることを改めて指摘せざるをえない。

・交通事故記録2点
 いくつかの部分が塗りつぶされている、判読可能な箇所についても、「死亡者」
の氏名について記述がないため、これらの「死亡者」が拉致被害者と同一人物で
あることを示すことにはならない。従って、田口八重子さん、松木 薫さんが交
通事故によって「死亡」したとする北朝鮮側の主張を裏付けるものとは到底認め
られない。

・横田めぐみさんをうつしたとされる「写真」
 まだ鑑定中であるが、現時点では、画像合成の痕跡を示すものは認められてい
ない。

2.個別の拉致被害者に関する疑問点・矛盾点
・横田めぐみさん
 北朝鮮側は、横田めぐみさんが94年3月に平壌49号予防院に入院したと説
明しているが、我が方は、94年3月に横田めぐみさんが平壌ではなく義州の4
9号予防院に入院したとの情報を有している。この点についての我が方からの指
摘に対して、北朝鮮側は、当初は義州の病院に送る予定であり、移送当日、義州
に行く予定で出発したものの、直前になって方針を変更して、平壌49号予防院
に移送することとしたと説明した。この説明内容はいかにも不自然であり、我が
方が有している種々の情報とも矛盾している。

 キム・チョルジン氏の本人確認については、科学的な手法による本人確認はで
きなかった。また、我が方の今回の同人との面談を踏まえて作成した同人の似顔
絵と我が方が別途入手していた同人の外見に関する情報との間には類似点もある
が、同氏の本人確認については断定し得るものではない。

・田口八重子さん
 北朝鮮側は、田口八重子さんと原敕晁さんが84年10月19日に結婚したと
しているが、我が方は、83年秋から85年秋まで田口八重子さんは横田めぐみ
さんと共同生活していたとの情報を有しており、北朝鮮側説明はこれと矛盾して
いる。
 田口八重子さんが「死亡」したとされる交通事故についての説明として、前回
調査時には「トラックと衝突」と説明されていたのが、今回の説明では、軍部隊
の移動訓練中に車列の先頭を走っていた「軍の砲車」とされており、矛盾してい
る。
 北朝鮮側は田口八重子さんの「死亡」期日を86年7月30日としているが、
我が方としてはその後数か月後に平壌市内の楽園百貨店で田口八重子さんと会っ
たとする目撃者から話を聞いたとの情報に接している。

・原敕晁さん
 北朝鮮側が原敕晁さんは田口八重子さんと結婚していたとしている点について
は、田口八重子さんに関する上記指摘の通り矛盾している。また、北朝鮮側は原
敕晁さんが、「84年11月頃、肝硬変と診断された」と説明しているが、田口
八重子さんがそのような重病を患った原敕晁さんと同年10月19日に「結婚」
することも不自然であり、この点について説得力ある説明がない。

・市川修一さん
 北朝鮮側は、79年9月4日に「心臓麻痺」となった市川修一さんは江原道人
民病院に収容されたとしており、また、蘇生措置にあたったと「証言」した同病
院の医師は、「車輌の後部座席で人工呼吸を行った」と述べたが、なぜ、病院施
設内で蘇生処置をとらなかったのか、説得力のある説明がなされていない。

・増元るみ子さん
 「死亡」後、3?4時間してから検視したとされる「695病院」の医師は、
「検視」の際、「死斑が出ていたが、アザ様にもので、押さえても戻らない」、
「背中について死斑は確認していない」と述べたが、一般には死亡して3?4時
間後に指圧を加えると死斑の色は褪せること、また全身を検視しないことは想定
できないことだから、これらの供述の信憑性には疑問がある。

・石岡亨さんと有本恵子さん
 書簡(88年8月13日付ポーランド消印)を託した約2か月半後に、2歳程
度の幼い子供を連れて「静かなところへ行きたい」と述べ、しかも既に寒くなっ
ている11月上旬という時期に、平壌からも離れている極めて不便な熙川の招待
所に移動することを本人が希望したとの説明は不自然である。上記書簡の事案が
発覚した後、担当指導員は処罰されたと北朝鮮側は説明しており、その直後に熙
川の招待所への移動が行われていることも極めて不可解である。

・松木薫さん
 トジル嶺における事故で「死亡」した者が松木薫さんであることを示す客観的
な情報の提示がない。
・曽我ミヨシさん
 我が方が所有している情報によれば、曽我ひとみさんが本邦より拉致された当
初より、女性指導員が同行し、この女性指導員は曽我ミヨシさんについても言及
していることが判明しているが、北朝鮮側はそうした女性指導員の同行を否定し
ている。

3.結論
?第3回日朝実務者協議を通じて北朝鮮側から得た情報および物証からは、「8
名は死亡、2名は入境を確認せず」との北朝鮮側説明を裏付けるものは皆無であ
る。北朝鮮側の「結論」は客観的に立証されておらず、我が方としては全く受け
入れられない。

???略

?今回の再調査は、本年5月に金正日国防委員長が小泉総理に対して「白紙」に
戻して徹底した調査を行うと約束したことを受けて実施されているものであるが、
上記で指摘したとおり、これまでに北朝鮮側から提供された情報・物証では、安
否不明の拉致被害者に関する真相を究明するためには全く不十分と言わざるを得
ず、「調査委員会」による本件再調査は信頼性を欠き、到底、金正日国防委員長
が約束した「『白紙』に戻しての徹底した調査」と呼べるものではない。

 以上を踏まえて、政府としては北朝鮮側に対して、今般の再調査の結果は極め
て誠意を欠く内容であるとして強く抗議するとともに、日本側の精査結果を早急
に伝達することとする。そして、北朝鮮側が「日朝間に存在する諸問題に誠意を
もって取組む」との日朝平壌宣言に則り、また、金正日国防委員長自身が行った
約束を自らの責任と関与で誠実に履行することにより、安否不明の拉致被害者の
真相究明を一刻も早く行うよう、厳しく要求するものである。

◆第3回日朝実務者協議(記録)の一部
 上記文書の他、家族には、第3回日朝実務者協議(記録)=44ページが配布
された。その中から北朝鮮側の説明をいくつか引用する。

・915病院は特殊機関の病院であることから、対外的には695病院という呼
び方をしていた。場所までは教示できない。
○以下は質問への回答

・拉致被害者の本籍・住所は当該機関が本人から聴取して作成した資料に基づき
説明している。

・朝鮮名については、覚えやすい名前をいくつか本人に提示し、本人が選択して
名づけた。

・配給台帳のような台帳は見当たらなかった。

・指導員が毎年作成している報告書は、当該機関に依頼して調べたが、残ってい
ない。

・拉致の責任者とされる、チャン・ボンリムおよびキム・ソンチョルの裁判記録
はある。街頭部分をコピーして提供するよう努力する。

・(二人で全ての拉致を行ったのかの質問に対し)命令を受けて行った人もいる。
諜報活動はどこの国でも行っているのではないか。命令を受け行った人全員の責
任を追及する訳にはいかない。

...............................................
◆ 声をあげてください ? 皆様にお願い ? ◆
今こそ経済制裁を!(メール・葉書送り先)
・ E-mail は首相官邸のホームページ http://www.kantei.go.jp/
のトップページ右下の「ご意見募集」をご利用下さい。
・ 葉書は、100-8968 千代田区永田町2-3-1
  内閣総理大臣 小泉純一郎 殿

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