朝鮮学校への授業料無償化に反対する緊急集会報告(2010/09/06)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2010.09.06)
■朝鮮学校への授業料無償化に反対する緊急集会報告
平成22年8月29日、都内の文京区民センターで、「朝鮮高校への授業料無償化
に反対する緊急集会」が開催された。
朝鮮学校への授業料無償化が実現すれば、日本は拉致被害者の返還を強く求め
ていないとの間違ったサインになる危険がある。また、朝鮮高校の教科書には、
金正日が拉致を認めて謝罪したことや、朝鮮総連が拉致はでっち上げだと強弁し
てきたことにつき謝罪したことも取り上げていない。さらに、昨年夏以降、北朝
鮮は朝鮮学校の運営主体である朝鮮総連に対して、「拉致問題はすでに決着した
という立場で日朝国交を促進せよ」と指令を出し、朝鮮総連が行う世論喚起のデ
モや集会に朝鮮学校の学生が動員されている。
西岡力会長が解説し、ゲストに洪●(蛍光元駐日韓国公使、北朝鮮帰国者の生
命と人権を守る会の三浦小太郎代表、デーリーNK日本支局長の高英起氏(大阪
朝鮮学校出身)らが参加。家族会から飯塚繁雄代表、増元照明事務局長、横田早
紀江さん、本間勝さんが参加した。
西岡力救う会会長
◆日本の法令上、朝鮮学校高級部は高校ではない
まず90分程、パネルディスカッション形式で、専門家の立場から発言をしてい
ただきたいと思います。今日の目玉の一つは、朝鮮学校卒業生である高英起さん
に来てもらったことです。朝鮮学校の実態がどういうものかを明らかにしていた
だきたいと思っています。特に教育内容の問題、それから「在日本朝鮮青年同盟
(朝青)」という組織が朝鮮総連と一体化されています。生徒になると青年同盟
に入る。青年同盟は政治団体で、共産党で言えば民青のようなもので、日本の私
立学校に入ると自動的に民青に入り、共産党の党員になるための準備教育を受け
てデモに動員されたりしている、というようなものです。そういうことについて
お話をしていただきます。
まず、拉致の観点からこの問題について申し上げます。民主党政権の公約の一
つが「高校の授業料無償化」でした。これが今年4月から実施されました。では、
朝鮮学校は高校なのかという問題になります。一部で朝鮮高校と表現されていま
すが、日本の法令上、朝鮮学校は高校ではありません。
外国人学校はすべて高校と認めるのかというとそういうことはありません。韓
国系の学校の中には、日本政府の求める基準を満たして高校として認められてい
る学校があります。学習指導要領に基づいた教育がなされているか、施設が十分
整えられているか等で判断します。いわゆる学校教育法の1条校と言いますが、1
条校であるかどうかは、設置団体が外国人であるかどうかでは排除しません。ま
ずそのことを一つ確認したいと思います。
従って、1条校である韓国系の高校は4月から自動的に無償化の対象になりまし
た。一方、全国にたくさんある朝鮮学校を含む外国人学校ですが、韓国学校の中
にも1条校でない学校があります。それらの学校は各種学校と分類されています。
その各種学校には、予備校、英語学校、編物学校、そろばん学校もあります。
この4月から民主党政権が行っている高校の授業料無償化の制度は、各種学校
の中で高校教育に「類する教育」をしているというところも対象にすることになっ
ています。そこで、韓国学校やアメリカンスクール等、日本の法令上は高校では
ないけれど、「高校に類する」と判断されたところは4月の時点で無償化の対象
になりました。
しかし、自分たちは「高校に類する」と主張している学校で、適用が先送りに
なったのが朝鮮学校です。結論を先送りしたのです。強調したいのは、朝鮮学校
は、他の外国人学校とはちがって「高校に類する」課程があると自動的に認めら
れなかったという点です。それは鳩山政権の判断です。すぐには決められなかっ
た。それで専門家の委員会を作ったわけです。
この専門家委員会の議論の対象となっているのは、各種学校の中で、「高校に
類する」としてこの制度の中に自分たちも入ると主張している学校の中で朝鮮学
校だけです。それ以外の、予備校とかキリスト教の牧師を養成する神学校などは、
主張していません。
つまり朝鮮学校へのこの制度の適用は、簡単にはできないものだということを
文科省も認めたという事実を確認しておきたいと思います。
◆自分の名前を出さないで専門家と言えるか
そこで専門家の意見を聞かなければならないとして、専門家委員会を作ったの
ですが、メンバーが非公開になりました。そしてどのような議論をしているかも
非公開です。先日文科省に行って、この点について質問したところ、「静かな環
境で議論してもらうため」と言いました。
私は少しむっときました。専門家というのは、自分の意見を、自分の名前を出
して堂々と言える人のことです。1991年に、私は「拉致がある」という論文を書
きました。脅迫状も来たけれど、自分の実名で主張しました。そういう態度が専
門家の立場だと思います。意見の対立する中でも、自分の専門知識の中で堂々と
自分の意見を言うべきなのですが、「静かな環境で議論したい」と、名前も公表
しないで議論する人を専門家と言えるのかということです。発言に責任を持たな
いということじゃないですか。
色々と漏れ伝わることを聞きますと、専門家の名前は伝わっていませんが、そ
の専門家は教育行政の専門家で、朝鮮問題や朝鮮総連の専門家が入っていない。
もっと言えば、朝鮮総連がこれまでやってきた犯罪行為、テロ加担行為に関する
専門家は入っていないのです。
◆一方で破防法により監視しながら税金を入れるのか
また、朝鮮総連に対して日本政府は、もう一つ別の見方をしています。破壊活
動防止法という法律があります。その法律に基づいて、日本国内で団体として破
壊活動をしそうな、つまりテロ行為ですが、個人ではなく団体に対して監視をし
ます。税金を使って監視をしています。公安調査庁という役所はそのためにあり
ます。そして毎年報告書を出している。危険だということになれば、「団体等解
散命令」を出します。
警察は個人の犯罪を防止しますが、破壊活動防止法は団体が対象です。朝鮮総
連はその監視団体です。
先ほど確認しましたが、すべての各種学校に無償化制度を適用することについ
て留保して議論しているのであれば、教育行政の専門家だけの委員会いうのも論
理的には分かるような気がしますが、各種学校の中でも朝鮮学校以外は適用して
おいて、個別朝鮮学校だけの問題について議論するのに、朝鮮総連の専門家を誰
も入れていないのです。
一方で税金を使って公安調査庁は朝鮮総連を監視しています。公安調査庁の担
当者を入れるべきじゃないですか。私のような朝鮮問題の専門家や、朝鮮総連に
関する専門家を是非入れてほしいと思います。このように大変不明瞭な形で議論
が進んでいたわけです。
◆拉致問題に悪影響があっても税金を入れるのか
この問題について家族会・救う会でどのような態度をとるかについて、家族会
の方々とも議論をしました。家族会・救う会の運動はあくまでも拉致被害者を救
出するという運動で、その一点で意見が一致する人はみんな入ってもらいたいと
いうことです。直接関係しない問題についてあまり言及しない方がいいだろうと
いうこともありました。
中井大臣は当初から、「日本は今制裁をしているのだから適用するのは反対だ」
とおっしゃっていたのですが、中井大臣が政府の中でそういう風に言っていて、
政府の中で朝鮮学校だけ特別扱いしたのだから、当然当事者の家族会が声を出さ
なくても、拉致問題に与える悪影響も含めて専門家委員会で議論されるだろうと、
少し甘かったのかも知れませんが、日本政府を信じていたところもありました。
拉致家族が在日朝鮮人の子どもたちにいじわるをしている、というような左翼
の宣伝に使われたくないという思いもあって、発言を少し抑えて、私個人の名前
で反対論をメールニュースに書いたりしていました。また各地救う会の名前で声
明が出たりしたと思いますが、家族会・救う会として何か出すことは控えていま
した。ところが、文科省は新学期が始まる9月までには結論を出すと言いながら、
一切議論を公開しない。そして漏れ聞くところによりますと朝鮮問題について議
論をしていない。拉致問題に悪影響があるかどうかも議論していない。
先ほど、破壊活動防止法があるという話をしましたが、もう一つ関係する法令
があります。日本には北朝鮮人権法という法律があります。これは拉致問題を初
めとする北朝鮮人権問題についての法律で、日本政府は拉致問題を解決しなけれ
ばならない、北朝鮮が誠実な対応をしなければ日本政府は制裁を強化しなければ
ならないと書いてあります。拉致問題を含む人権問題について、日本政府と地方
自治体は啓蒙活動をしなければならないという条文も入っている。
税金を使って朝鮮学校に補助する時に、拉致問題に悪影響があるかどうか。担
当大臣はあると言っているのですから、その議論をするのは当り前じゃないでしょ
うか。国会の中で、自民党の先生が中井大臣に答弁を求めたところ、「専門家委
員会は私の意見を聞いてくれない。残念だ。私は呼ばれてない」と。拉致問題の
観点で、担当大臣も意見を聞きたいという話はきていない。もちろん家族にもき
ていない。
それでまず、8月4日に、「密室での議論だけで決めるのは反対。拙速な国庫補
助決定に反対する」という声明を出しました。すぐ反対ではなく、「拙速な」を
つけました(メールニュース参照)。その後も状況は何も変わらなかった。公開
の席での議論は一切ない。
それで、これは家族会・救う会として意思表示をした方がいいのじゃないでしょ
うかと家族会の役員と相談をして、8月25日付けの要請文を作りました(メール
ニュース参照)。これは24日の夜作って、拉致問題対策本部に連絡したところ、
すぐに文科省の担当審議官に面会の約束を作ってくれました。感謝しています。
中井大臣は出張中でしたので、大臣ではなく、ナンバーツーの三谷対策本部事務
局次長にお渡ししました。
ここでも、「拙速に補助を決めないように要請する」と言っています。「拉致
問題への悪影響に関する十分な議論がなされていない」と。そして、「そもそも
北朝鮮は中学生を含む多くの日本人を拉致して」います。一部の人たちは、「朝
鮮総連の子どもたちにも学ぶ権利がある」と言っています。しかし、横田めぐみ
さんたちは、学ぶ権利を根本的に奪われているわけです。中学1年生でしたから、
日本の高校では学べていないのです。
◆「人道支援」まで止めながら国庫補助か
そして日本は今、「人道支援」まで止めています。これは相当のことです。ブッ
シュ政権は、北朝鮮を悪の枢軸(アクセス オブ イーブル)、悪魔だと言いま
したが、それでも人道支援は続けています。日本は、偽の遺骨が来た時、人の命
をここまでひどくもてあそぶことは非道すぎるとして人道支援を止めたのです。
我々はそれだけではなく、経済制裁を発動してくれと言いましたが、それは偽遺
骨が来た時はやらなかったので座り込みをしたのですが、しかし、偽の遺骨や8
人の死亡診断書がすべて偽物だと分かった時に人道支援を止めています。これは
日本政府のホームページにも書いてあります。
そこまでのことをやっている中で、朝鮮学校を特別扱いして議論するならば、
この人道支援を止めているという制裁と朝鮮学校への国庫補助がどういう関係に
なるのか。日本側が拉致問題を少し軽く見て、事実上人道支援の停止を止めたと
いう誤ったメッセージが出てしまうのではないか。我々の立場ではそう思います。
◆朝鮮学校の教科書は拉致を認めたのに記述なし
そしてもう一つ、我々は萩原遼さんのお蔭で、朝鮮学校の教科書を日本語で読
むことができるのですが、教科書に拉致問題をどう書いてあるのか。拉致問題に
ついての記述はこれだけですが、「2002年9月、朝日平壌宣言発表以後、日本当
局は《拉致問題》を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り
広げることで日本社会には極端な民族排他主義的雰囲気が醸成されていった」。
これしか書いてない。「拉致を認めました。しかし、……」じゃないのです。
「極大化し」とありますが、誰が拉致をしたのかを書かないで、日本社会が民族
排他主義的雰囲気になったとだけ書いてある。朝鮮総連は、2002年、金正日が拉
致を認めた後、記者会見をして、謝罪らしきことをしました。しかし、そのこと
を子どもたちには教えないのです。これは差別文書です。人権侵害文書です。公
然と人権侵害文書で教育をしているところに、お金を入れていいのか。
日本には、「拉致問題を含む北朝鮮人権問題についての啓発活動をしなければな
らない」という北朝鮮人権法があります。そして12月には北朝鮮人権週間があり、
政府主催で色々な行事をしています。それなのに、ここに書いているようなこと
を教えている朝鮮学校に国庫から補助を出していいのか。公序良俗に反する教育
をしているところに、お金を入れていいのか。
もう一つ、後で実態を高さんに教えてもらいますが、在日本朝鮮青年同盟という
組織があります。そこに朝鮮学校の高等部の人たちは入るわけです。去年の9月
17日、今年の9月17日にも注目してもらいたいのですが、この朝鮮学校生徒たち
や朝鮮大学学生たちが、我々が座り込みをやった国会議員会館前に来ました。
2002年の9月17日には、彼らは戦々恐々としていたのですが、この日は、「制裁
反対、国交正常化促進」と言ってビラをまきました。つまり、「めぐみさんたち
が死んだ」ということを認めたままで国交正常化しろという政治活動を、学校を
拠点としてやっているのです。そこにお金を出すということは、その政治活動を
応援することにならないか。
こういうことを是非議論してほしいということを我々は要請したということです。
政府がそういうことをちゃんと議論しませんので、今日は専門家、経験者に来て
いただいて、ここで議論したいと思っています。
まずは、高英起さんに体験的な朝鮮学校についてお願いします。
高英起氏(コ・ヨンギ デーリーNK東京支局長、大阪朝鮮学校高級部出身)
◆北から朝鮮総連に、「無償化を必ず達成せよ」という内容の文書が
自己紹介をさせていただきます。私は、北朝鮮専門のインターネットサイトで
ある「デーリーNK」の東京支局長を任されています。これまでジャーナリスト
として北朝鮮問題に関わってきました。また、「救え北朝鮮の民衆/緊急行動ネッ
トワーク(RENK)」というNGOでも北朝鮮問題に関わってきました。
北朝鮮が反民主的な国家であり、人権弾圧をしていることについては、みなさ
んと同じ意見だと思いますが、経済制裁や先日の金賢姫さんの訪日の評価等では
若干異なる意見も持っています。その問題については論じることが今日の目的で
はありませんが、立ち位置は明確にしておきたいと思います。
私は、高校の3年間、正式名称「大阪朝鮮高級学校」で学びました。朝鮮学校
は北朝鮮式に初級学校、中級学校、高級学校と呼びます。その後、1993年から
「北朝鮮の民主化と人権」というテーマでRENKのメンバーとして、また一ジャー
ナリストとして取組みを始めました。
今と違って、例えば西岡さんは北朝鮮に関して主張しておられた方ですが、当
時は北朝鮮問題には全く人々の関心がなかった頃です。公に北朝鮮に批判的な行
動をしたことで「変節者」とのレッテルを張られ、それ以後、友人関係は、一部
の心ある友人を除いてほとんど無くなりました。
西岡 友だちがいなくなった。
高 いなくなったというより、同窓会などから呼ばれなくなったということです。
私の父や親戚には北朝鮮と朝鮮総連を支持してきた人が多かったのですが、親戚
からは嫌味を言われたりしました。そういう嫌な思いをしましたが、それでも朝
鮮高級学校での3年間というのは人生の中でもっとも楽しい時期でした。
西岡 初級から通ったのですか。
高 いえ、お恥ずかしい話ですが日本の高校まで通ったのですが、成績不良と素
行不良で退学となり高校から通いました。父親から、「お前みたいな根性が腐っ
たヤツは朝鮮学校に行って鍛えなおしてもらえ」と言われて朝鮮学校に行くこと
になりました。
ご存知の方もおられると思いますが、大阪朝鮮学校というのは結構、大阪名物
ヤンキーというか、ヤンチャな学生の集まりでして、あちこちで騒ぎを起こして
評判が悪かったのです。私は喧嘩をする人間じゃなかったのですが、学校では朝
鮮人だということで熱烈に歓迎されました。そんなことが記憶に残っています。
私自身は、朝鮮学校の教育内容に関しては、非常に問題があるし無償化はすべ
きでないという立場ですが、一方では対立を煽るような行動をしている「なんと
か会」のような集団があるようですが、そういう醜い私が尊敬する日本人らしく
ない行動は一切容認できるものではありません。
高校無償化の問題では3月の時点で文科省で記者会見をしました。独自に入手
した教科書、これは守る会の萩原先生が後に翻訳されました。それと朝鮮総連に、
「無償化を必ず達成せよ」という内部文書とともに、問題点を会見で明らかにし
ました。
その時に久しぶりに見た今の新しい教科書ですが、一言で言うとソフトになっ
ているので驚きました。私の頃は、文系理系に限らず、すべての教科書の冒頭に、
例えば地理の教科書ですと、地理を学ぶことは北朝鮮の公民としてどういう意味
があるのか、などという故金日成の言葉などが書かれていました。
◆朝鮮学校の教育は「民族教育」でなない
西岡 地理を学ぶとこうなると金日成主席がこうおっしゃったという話ですね。
高 そうです。それが算数でも数学でも書いてあるんです。英語の教科書って、
たいてい4月の初めに、「スプリング ハズ カム」というのがあるでしょう。
ところが朝鮮学校では、その次に「グレイト ジェネラル キムイルソン」です。
「グレイト」だったか「グレイティスト」だったか、どうかははっきりしません
が。
私は、朝鮮総連に近い家庭で育ったので、そんなに違和感はなかったのですが、
さすがにカルチャーショックを受けました。また、「金日成元帥様革命歴史」と
いうのですが、その教科書だけは真っ赤な表紙で、きれいな紙を使って、金日成
の過去の指導について、詳しく書いてあります。
西岡 週何時間ですか。
高 3時間ぐらいだったと思います。そして金日成の言葉(教示)を覚えなけれ
ばなりません。私も学校に通っている時には勉強しましたが、残念ながらという
か、もう忘れてしまいました。
今、朝鮮学校の問題についてはっきりと言えることですが、まず、朝鮮学校の
教育は「民族教育」と言われています。しかしあれは「民族教育」ではありませ
ん。一言で言うと、北朝鮮の公民教育です。我々は北朝鮮の公民であるから北朝
鮮の歴史を学ばなければならない。北朝鮮の公民であるから英語を学んで、それ
を北朝鮮のために生かさなければならないということを強く強調する教育内容で
した。非常に誤解されている部分があるので、そこは訂正すべきと思います。
◆生徒は朝鮮総連の青年部門「在日本朝鮮青年同盟」に加盟
もう一つは、先ほど話があった「在日本朝鮮青年同盟」ですね。これは朝鮮総
連の青年部門です。朝鮮総連そのものです。構成員を育成し、拡大するための組
織です。僕は知らないうちに勝手に入ったのですが、動員などがあります。
西岡 会費は。
高 会費はおそらく授業料に含められていると思います。
西岡 授業料が無償化になると会費も含むことになりますね。
高 これは問題になるところです。私は高校から入ったので、学習会というのを
させられます。それを指導するのが「朝鮮青年同盟」です。私は班長をさせられ
ました。その時は高校からの編入班が10人くらいでした。ほとんどの人は小、中、
高と上がってきます。みなさんご存知のラングーン事件ですが、こういうリーフ
レットを出していました。例えばラングーン事件はこうで、KAL機事件はアメリ
カの謀略劇というような内容です。それを担当の「朝鮮青年同盟」の人、これは
県本部や支部から来る人ですが、それを渡されました。
西岡 週何回あるのですか。
高 週何回というのではなく、1か月に1回くらい「課題の日」が作られて、その
リーフレットを一生懸命読んで、皆さんの前で講義する役をさせられたことを思
い出します。私が入った頃が、金正日の後継が完成される頃だったので、肖像画
も金日成に並んであり、改めて忠誠を誓わされるというような場面がありました。
「朝鮮青年同盟」は今も政治活動をしたりします。また今は少なくなりましたが、
当時は色々な集会がありました。それは朝鮮総連が行うものだけでなく、総評の
反戦デモとか、そういうところに行って、「米軍は出て行け」というようなです
ね。そういう所に動員されたこともありました。
◆地域で生活に密着した形で組織化
しかし、朝鮮学校の生徒は、日本の現代社会に育っているわけですから、政治
活動や動員だけでなく、地域で生活に密着した形で組織化するのが朝鮮総連の基
本的なやり方です。
そして朝鮮学校の子どもがそんなに洗脳されているかというと、そうでもない
んです。「金日成元帥様革命歴史」の中には、亡くなった金日成の写真がたくさ
んあります。僕もびっくりしたんですが、ある学生がそれを切り抜いたりして遊
ぶのです。最近見た教科書の中には蛍光ペンで目のところに落書きなどもしてい
ました。そういうのを見ると、昔も今も変わってないなと感じたりします。
学校教育で大切なのは、クラブ活動であったり、友人関係でしょう。そういう
意味では洗脳されていることはないんです。ただ、「朝鮮青年同盟」の活動や政
治集会に動員されることによって、思想的にも人間的にも縛られるわけですね。
そこからの人間関係からなかなか抜け出せない。これが朝鮮総連の一番の問題点
であるし、ある意味で巧妙なところです。
◆拉致問題が明らかになり朝鮮総連の所属員が急減
拉致問題が明らかになった時は、朝鮮総連の所属員が急激に少なくなりました。
公称10万人と言いますが、5万という数字も出ていると聞きます。また、朝鮮学
校の生徒の半分くらいが韓国籍だったという話も聞いています。
朝鮮籍では色々な意味で活動しにくい偽装目的もありますが、やはりあの事件
を機会に、もういい加減朝鮮総連の「村社会」から逃げたいという人が多かった
のですね。いい加減うんざりしていたからそういうことになったと思います。
朝鮮大学で働いている方はこう言っていました。「この問題に関して日本政府
の金を貰うのは筋違いだ。北朝鮮からお金を貰うのが筋だ」と。彼らの主義・主
張は別として、言っていることは確かに筋が通っていると思います。朝鮮総連の
やり方には、日本政府から金をゆすれというような考え方があるように思います。
そういう人に言いたいことは、「あなたたちがやっていることは認めないが、
言っていることは、それはそれでいい。しかし、日本政府に金を求めるというの
は、あなたたちがこれまでやってきた公民教育から見ておかしいじゃないか」と
いうことです。
今日の新聞で、読売と産経の朝刊が極端に違う記事を書いてびっくりしました。
読売は、「文科省が妥当であるという決定をした」で、産経は「無償化は先送り」
というものです。実際に先送りされたので一段落したのですが、なぜ先送りになっ
たかの背景には納得できません。政局がらみでということですが、4月の時点で
鳩山さんは自分の進退問題で大変だったので先送りになったと聞いていました。
今回は代表戦があり、菅総理が保守系の議員を取り込むために、こういう判断を
したのではないかと思っています。文科省は無償化を進めたいと考えています。
しかし、繰り返しになりますが、教育内容をきちんと議論すべきだと思います。
国民の税金を投入するのにふさわしい教育内容なのかどうかです。私は明らかに
不適だと思います。そこを議論しない限り、無償化にはあくまで反対です。それ
を議論することが、朝鮮学校に通っている子どもたちのためにも、教育内容をき
ちんと整理することになります。拉致問題や人権問題の解決を目指しながらも、
朝鮮総連の方々をうまく取り込んで理解させる方向でいくべきと思います。互い
に理解していくためにも、今後もこの問題について議論していきたいと思います。
西岡 次に元駐日韓国大使館公使の洪?先生にお願いします。この問題は、朝鮮
総連、朝鮮学校を日本政府がどのように見てきたのかという問題です。韓国側か
ら見ると、北朝鮮は反国家団体です。北朝鮮を賞賛するだけで死刑なんです。今
でもその法律があります。そして朝鮮総連もその反国家団体です。日本の友好国
である韓国から見て、反国家団体に加盟すれば死刑もあり得るという団体の教育
を日本政府はどう見てきたか、韓国政府はどう警告してきたのか、それでも日本
は冷戦時代にどういうことをやってきたのか等について専門家の立場から解説し
ていただきます。
洪 ●(ホン・ヒョン、元駐日韓国大使館公使) (●=榮の木が火)
◆自由民主義の国家は教育から
洪 高さんから、今朝総連が何人なのか分からないという話がありました。実は、
朝総連に不利なデータは日本当局が隠しているのです。後ほど申し上げます。ま
ず朝総連がどういう組織なのか、私も体験的なことを話したいのですが、今日は
時間がありませんので、朝総連自身が自分のことを告白した資料を紹介します。
これは、朝総連50周年を記念して、2005年5月に出た、「総連」という本です。
これは総連の50年間の歴史書です。
総連は極端な秘密組織ですが、たまにとんでもなく自分たちの秘密をばらしま
す。こういう形で。こういう資料が出ますと、専門家、研究者には非常にありが
たい。今まで分からなかったこと、朝総連自身の本音が非常に分かりやすく整理
されています。これはまさに「朝総連の自己紹介書」であり、全部いつわり、煽
動、洗脳、欺瞞の歴史を書いています。一言で、「金日成、金正日の歴史と二人
に忠誠を尽くした韓徳銖(ハン・ドクス)を称える本」です。
今日はこれを中心に話しますので、この場に朝総連の方がおられても、反論は
できない筈だと思います。内容は基本的に自画自賛です。西岡先生から、韓国の
国家保安法及び憲法の命令として朝鮮学校などは反国家団体と規定しているとおっ
しゃいましたが、というのは、韓国は今戦争中なんです。韓国は1950年に、多分
人類の歴史上初めてのイデオロギー、価値観による大規模な戦争を経験しました。
3年後に停戦になりますが、停戦後は形を変えた戦争が60年間続いています。
休戦というから、一応戦争が終わった形だと思う方が多いのですが、違います。
戦争が韓半島から地球規模に拡大されて、より難しい戦争が続いています。互い
に相容れない価値観の戦いですから、どちらか一方が価値観をあきらめ負けない
限りこの戦争は終わりません。
価値観の戦争は、つまるところ教育です。日本も韓国も、今のような国が昔か
らずっと続いていると思う若い方が多いのですが、実は日本も韓国も、今の自由
民主主義体制になったのは1945年以降です。今の日本国の憲法、今の韓国の憲法、
それから自由民主義の国家を作ったのは、実は教育です。誰も経験しなかった新
しい価値観や新しい秩序は教育によるものです。国づくりの基礎は教育です。
日本でも日教組の問題が色々言われていますが、韓国には日教組とは比べられ
ないほどの危険で悪質な「全教組」という組織があります。全教組は自分たちの祖
国を北だとははっきり言いませんが、行動でははっきりとそう行動しています。
◆人間の価値観を麻痺させる洗脳教育
先ほどの高さんの話しに反論するわけではないですが、朝総連の教育が効果が
ない、それはある意味では効果がありません。あまりにも見え見えの嘘を言うか、
金日成が日本を打ち破ったとか変なことを言うから、これは誰も信じません。し
かし、あの教育がもたらす洗脳効果は本当に恐ろしいものです。人間の価値観を
麻痺させるんです。共産主義が狙うのはそれなんです。
私は、日本の戦後の知識・知性社会の精神風土にも色々な問題があると思いま
すが、実はこれも教育の問題でした。例えば、それは間違いだということがある
と、間違ったことを正すように行動する勇気を与えることが教育です。自分たち
とは関係ないから関心を持たないということで終われば、その個人はそれでいい
かもしれませんが、組織や社会や国はどうなるでしょうか。朝総連の間違いが通っ
てきたのにはそういう問題があります。
朝総連については、それだけでも1週間くらい講義したい内容がありますが、
朝総連の問題は、「教育」・洗脳の結果どうなるかというと、道徳心がなくなりま
す。真実と嘘を区別する能力、真実を守る勇気、そういうことが消えます。そし
て人間が二重性格に変わってしまいます。自己欺瞞で生きる。あの北が日本より
はるかにいい理想的な国だと思うなら、気兼ねする必要はありません。
◆短期祖国訪問団延べ20万人は一人も北に残らなかった
朝総連が1979年から、「短期祖国訪問団」を行い延べ20万人くらいが訪問しまし
た。皆さんご存知のように、1959年から、「北は地上の楽園」ということで、北
への帰還事業で9万3千人もの人を北に送りましたが、日本内で総連学校がそのよ
うに教えたのです。そして生き地獄の方に帰ったのです。恐ろしいです。当時は
北の実情が分からなかったと言うかもしれませんが、その実情が分かった後も公
式には楽園と言い続けた。だが、1979年から20万人もの人が北と往来しながら、
「自分はここで生きる」と言って残った人は一人もいません。
日本で差別を受けて、パラダイスの親(首領)のふところにせっかく来たんで
すから、20万人のうち何人かは、「いいところ(楽園)に来た」と残ると思うん
ですが、一人も残りませんでした。そして北は、「将軍はすばらしい」という宣
伝を繰り返します。こういう組織・団体がありえるのか。朝総連は我々のような
普通の(正常な)人間は考えられない組織です。
この本(「総連」)にはこういうことも書いてあります。1949年2月、今の朝総
連の前身である朝連が中央委員会で、金日成の肖像画をすべての事業所、機関の
事務室に掲げることを決定します。以来その通りに実行されています。
共産独裁では、敵をあざむくためには何をやってもいいということになってい
ます。どんな嘘をついてもいい。共産主義の敵に対しては何をやってもいいので
す。相手を侮辱しても、差別しても、拉致をしても、何をやってもいい。これは
革命的に正当化されます。
この朝総連の本に、民族教育の権利の根拠として、世界人権宣言第2条と26条、
国際人権規約、日本国憲法第26条、日本の教育基本法第3条等を挙げています。
読んでみると、朝総連は日本の社会に対して色々な闘争をした、主張をした、要
求をしたということが延々と書いてありますが、共同体に対して自分たちなりの
義務を果したという記述は一つもありません。恐ろしい話です。50年間の彼らの
歴史の中で、日本社会に対し、自分たちが闘争してきたということだけで、我々
が思うような常識的なところは一切ありません。
私はこれは、国籍が違うからなのか、それとも人間的に未熟で甘えているのか
と思いましたが、よく考えてみると、近代国民国家では義務は権利の対価であり
権利は義務の対価です。彼らは価値観がわれわれと違い、その価値観の欠陥のた
めそうなります。先ほど高さんが言った通り、彼らは北が祖国です。金正日は首
領です。だから金正日が認めないことは認めてはいけないんです。
北の首領観は、「人民は考えてはいけない」であり、人民は首領の考えを貫く
手足であるだけの存在になっています。朝総連の教育は、自由民主義の制度や価
値観を認めてはいけないようになっているのです。だから子どもは、明らかにお
かしいから反発はしても、自分も知らないうちに洗脳効果によって、進んで朝総
連の意図に協力はしなくても、反対し闘争はしなくなる。そういう恐ろしい洗脳
効果を持っているんです。
私はそもそも、民族とか民族主義という言葉は嫌いです。朝総連は「民族学校」
とか「民族教育権」と言っていますが、民族ということは非常に危険で、注意して
管理すべき劇薬だと思います。民族という言葉は、明治維新後日本でヨーロッパ
の言葉を翻訳したものですが、民族と種族はどう違うでしょうか。実は同じです。
民族を強調するためには、他の民族を区別し、差別するようになります。これは
仕方のないことです。
歴史的に見ますと、民族主義という言葉は望ましい方向で機能した例がほとん
どありません。だいたい全体主義、暴君が民族主義を持ち出す場合は、周りの国
に災いをもたらしたということが歴史の教訓です。ヒトラーやスターリンや、毛
沢東や金日成等すべてがそうでした。
◆日本社会が朝総連を庇護、支援してきた
韓国と北は同じ民族なのに、なぜ韓国当局は(同じ民族の)朝総連を反国家団
体として厳しく罰するのか。民族主義は偽善・欺瞞です。90年代の半ば、北で数
百万人が餓死しました。金正日は、自分が持っているお金の一部だけでもトウモ
ロコシを買ったら餓死者を救うことができました。北の100万人以上の軍隊の訓
練費用の1割だけでも餓死者を出さなかった筈です。しかし彼は、平気で何百万
人もの人を虐殺しました。自分が治める民を虐殺する人間が、民族主義を言うの
が、ありえる話でしょうか。
実はこの現象は北や朝総連だけでなく、韓国も深刻です。韓国の有権者の3割
が韓国の哨戒艦「天安」が沈んだのは、北がやったという証拠を出しても信じら
れないと言っているのです。これも日教組より100倍も危険な「全教組」の教育の
結果です。常識的にありえないことですが、子どもの内からそういう教育をすれ
ばそうなります。
日本社会がこういう犯罪的ことをなぜ許すのか全く理解できません。無償化問
題は朝総連の問題でなく、こういう問題に対して気づかない日本社会の問題だと
思います。朝総連の教育は、北がいくら何と言っても、彼らの力だけではできな
かったことです。では、誰が朝総連を庇護、支援してきたのか。実は日本社会が
応援しました。日本の第一野党、日本最大の労働組合、日本最大の弁護士団体、
色々な社会団体等がこれを支援しました。今までの総連の日本社会への挑戦は、
決して金日成、金正日だけの能力によるものではありません。日本社会がこの点
を自覚しないと、いつまで経っても治せないと思います。
日本社会には色々な問題があります。植民地統治に対する「贖罪意識」などのせ
いか、日本社会では集会・結社の自由を、自由を破壊するものにまで許すべきだ
と考える人が結構多いようです。主に観念論的な進歩派の方々がそう思うようで
す。集会・結社の自由はいいものだから許されるべきだと思いますね。それでそ
ういう風土の中で、善と悪を逆に教える学校を「民族教育」と認める、「民族教育
に関する日本弁護士連合会の日本政府への勧告」(1998年2月)が出ます。これも
この本(「総連」)に収録されています。こういう問題を変えない限り、朝鮮学
校の問題はいつまでも解決できないし、何が真の問題なのかすら分からないと思
います。
◆入管局が北朝鮮人の統計を隠した
西岡 「総連に不利な情報を日本政府が隠している」という問題ですが、外国人
登録の統計の問題がそのうちの一つです。出入国管理局は日本に在留している外
国人の統計を毎年発表しています。1969年までの『入管白書』は、韓国籍と朝鮮
籍と区別して統計を出していました。しかし、70年から「韓国・朝鮮」として、
合計の統計しか出さなくなったのです。統計を取らなくなったと言っていますが、
それは嘘です。その前は出していたのですから。
1965年に日本と韓国が国交正常化した前後、多くの人たちが朝鮮籍から韓国籍
に変えたのです。韓国の方が大きくなりそうになった時に、合計しか公表しなく
なり、韓国籍だけ、朝鮮籍だけの統計がないと嘘をついています。韓国と朝鮮の
合計の人数は分かるのですが、朝鮮籍が何人か分からないのです。朝鮮籍が公称
10万人で、実際は5万人だろうというのも、公開されていないから推計値なわけ
です。
これは国民の知る権利からしても、あるいは韓国は国交正常化した友好国なん
ですから韓国だけの統計をまず出せばいいのに、『入管白書』は韓国を独立国家
として認めていないのか。韓国政府は抗議されていると思います。
洪 何度も問題にしました。朝総連の分は要らない。韓国籍だけの数字を出せと
要っても、「ない」と言います。
西岡 それは申し訳ありません。大韓民国を国として認めてないことになります
ね。国交正常化の前なら分かりますが、後にそうなり、未だに続いているのです。
総連側から言われているのです。先ほどの社会党、総評、進歩的文化人や左派系
の新聞などの力でこういうことが今でも起きているということです。
次に、北朝鮮人権問題のNGOの立場から「守る会」の三浦小太郎さんにお願い
します。
三浦小太郎(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会代表)
◆歴史観の違いではなく嘘の歴史
三浦 今会場の一番後ろに守る会の名誉会長の萩原遼さんがおられます。萩原さ
んとボランティアの努力で、朝鮮学校の「現代朝鮮史」の教科書を翻訳し、出版
することができました。版権は総連にあり、無断で出版したのですが、何も言っ
てきませんから後ろめたいところがあるのだと思います。この教科書の内容をま
ず簡単に報告します。
※「現代朝鮮史」の教科書は「星のあゆみ出版」まで。581-0868 大阪府八尾市
西山本町7-6-5 3F 0729-90-2887
朝鮮戦争については、北朝鮮が起こしたということがあらゆる研究資料で分かっ
ているのですが、「朝鮮戦争は韓国とアメリカが起こした」とし、さらに、「金
日成主席様におかれては、会議で朝鮮人をみくびり刃向かう米国のやつらに朝鮮
人の根性をみせてやらなければならないとおっしゃりながら」、「即時反撃」し
たと書いてあります。
大韓航空機事件については、「金賢姫は南のでっちあげ」としています。「南
のでっちあげ」という人を日本政府は証言者として呼んだわけです。つまり日本
政府は金賢姫氏を正しい証言者であると信じたから呼んだわけです。それが「南
のでっちあげ」だという。そういうことを書いてある教科書に納税者の国税が行
くわけです。
3つめに、拉致については、「2002年9月、朝日平壌宣言発表以後、日本当局は
《拉致問題》を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げ
ることで日本社会には極端な民族排他主義的雰囲気が醸成されていった」。「
《拉致問題》を極大化」というのは金正日が拉致を認めたから、なかったとは言
えないということです。そして、「極端な民族排他主義的雰囲気」が作られたと
して、自分たちが悪いことをしたとは全然思っていないのです。
こういうところに1円でも入ったら、文科大臣は家族会の方々の目をまっすぐ
見られるのでしょうか。そして私たちは税金を出さなければいけないのでしょう
か。私は、私の税金の内、その人たちに行く分だけは返してほしい。その金はす
べて情報収集に使ったらいいのではないですか。僕は、納税拒否運動をやった方
がいいと思います。
「この教科書は真実を伝えるものではない」ということがすべてです。すべてが
プロパガンダです。歴史の教育ではなく、歴史の宣伝になっています。こういう
ことを言う人がいます。「歴史観はそれぞれ国により違っていい。日本の歴史観
と違う歴史観を朝鮮学校で教えてもいい」と。しかし、これは歴史観ではない。
嘘なんです。
例えば、日韓併合に関して、韓国の教科書と日本の教科書で、それぞれ違った
歴史観で教えていいと思います。これは仕方がないことです。一致はなかなかで
きない。しかし、ここに書いてあることはすべて嘘です。しかも、金日成と金正
日は300万人の北朝鮮の民衆を餓死させた人間です。それがすばらしいリーダー
として教えられている。これは先生も辛いと思います。こういうことを教えると
いうことは、嘘の教育そのままですから。
一歩学校を出れば違う教育があるんだから、子どもたちが信じ込んでいると決
め付けるつもりはありませんが、こういう教科書を使うのであれば、自分たちの
カンパでやってくださいということです。そこになぜ、こういう歴史観を嘘と見
なしている人たちの税金が行かなければならないのか。極めてシンプルな問題で
す。
◆日本はテロ支援国になってしまう
無償化に賛成に近いある政治家がこういうことをおっしゃっているそうです。
「お金を出すことによって、あの学校に介入することができて、そして教育内容
を変えていけるじゃないか」と。これは太陽政策で北がよくなるという論理です。
そして私たちの国は民主国家だから自分たちの政府を信用しなければならない
のですが、自民党であれ民主党であれ、この10年間、北朝鮮に対して、総連に対
して、本当に戦った政治家はいないんです。戦う実力もない国がお金を出せば、
その組織を中から変えられるというのは、どう考えても幻想だと思います。対北
朝鮮政策では、自民党であれ民主党であれ、朝鮮総連を中から変えられると私た
ちが信じるようでは、完全に判断を停止することになります。
アメリカに対し、「もう一度テロ支援国家にすべき」とか言う人もいます。
「あの国は国際的に拉致や人権問題でひどいことをしている国なんだから罰して
くれ」と言うわけですが、我々がその国を支援したら我々がテロ支援国家になる
んじゃないですか。なぜ外国にだけ要求できますか。それは無理があります。
朝鮮学校だって、生き残るためにはこういう教育を止めた方がいいに決まって
います。現場のまともな先生が、そういうことをやれない筈がないんです。朝鮮
民族には立派な人が歴史的にいっぱいいます。そういう方々について教育するな
らいいと思います。そして、日本も朝鮮半島との長い友好の歴史を教えることも、
学校で教えるのは非常にいいことだと思います。
◆在日の悲劇を教えない在日の教科書
菅首相が談話を出しましたが、過去の歴史について私たちは学ばなければなら
ない。ならば、北朝鮮を支援したり朝鮮総連をここ日本で温存してきたのは間違
いだったということも学ばなければならない。この教科書には、北朝鮮への9万3
千人の帰国事業はすばらしいことだった、と書いてあります。そして在日の人た
ちが喜んで帰国した、と。しかし、喜んで帰国した人たちが今ほとんど絶望して
逃げています。なぜ在日の学校で、在日の悲劇を教えないのでしょうか。
その他、帰国した人の中には日本人妻や少数の日本人の夫もいます。色々な事
情があって朝鮮の人と結婚したのです。一説によれば10分の1しか生き残ってい
ないといいます。そういう方々の悲劇を通じて、この帰国事業は間違いだったと
教えること、そして我々は北朝鮮人として生きていくのではなく、日本で日本人
とともに在日として生きていく、ということ。そういうことであれば無償化には
決して反対ではありません。
最低限の条件があると思います。肖像画を外せと言っても、また掲げることが
できますからあまり効果がない。まず、総連と徹底的に決別することを鮮明に宣
言することです。そしてこの教科書をなくすこと、さらに、これからは日本人と
共に生きていくという教育をする、そして教科書を作るということです。それが
できればいいと思います。
そして、北朝鮮にいる人たちを助けよう、拉致被害者を在日も協力して助ける
ことが日本とコリアンのこれからの100年であるべきです。
◆このままでは日本の市民との軋轢を生む
高 洪先生の話から私も色々と教えていただきました。朝総連の本に民族教育の
権利の根拠として、世界人権宣言、国際人権規約を引用しているという話があり
ましたが、それはあくまで健全な教育でなければならないとされています。今の
朝鮮学校の教育が果たして健全な教育かというと、必ずしも健全な教育ではない
し、現状では、教師自身が非常に教えにくい、教えたくない教育をしています。
生徒はそれを分かっていて、教育を受けています。それが果たして健全な教育な
のか、疑問が残ります。それが健全な教育なのかということ。
また、北朝鮮の「公民」教育は、私たちは外国人なのだから日本社会に貢献す
るのではなく、あくまでも北朝鮮に貢献することが一番大切なことだとも言って
いました。
金日成のことを「父なる金日成」という言い方をよくしますが、小学生くらい
の生徒の中には本当に父親だと思っていたという冗談みたいな話があります。ま
た、親の誕生日は忘れても金日成と金正日の誕生日だけは忘れられません。悲し
い話、私も誕生日は忘れられないという事は悲しいことです。
やはり、北朝鮮の刷り込み教育、洗脳教育は教育にはふさわしくないということです。
健全化するためには、三浦さんも言われましたが、朝鮮総連、さらには北朝鮮
と離れるしかない。そして教育内容をきちんとするならば、そこで初めて議論が
始まると思います。このままでは日本の市民との軋轢を生むのではと心配してい
ます。
◆朝総連の組織はゲットーと同じ
洪 私は先ほど、朝鮮学校の教師は嘘であることが分かっても辛い思いをしなが
ら教えていると言いましたが、これこそ問題です。実は1960年代、70年代半ばま
で、朝総連は、朝鮮学校の生徒が3万6千とか4万とか言っていました。つまり、
これは一つの生態系です、悪の生態系。総連としては、生徒を最小限3万5千人以
上確保しないと、30万人の生態系を維持できないのです。
朝総連の組織は基本的に搾取の組織だと思います。中世のヨーロッパにゲットー
(ghetto)というのがありました。ユダヤ人たちをそこに収容して外に出ないよ
うにしていました。野蛮的なものです。私は朝総連こそ、このゲットー=「民族
の檻」だと思います。
私の印象では、朝総連は、水、空気、食糧、エネルギーは自分たちで生産でき
ませんから自然から、または日本社会から得て、後はすべて自給自足のシステム
を作りました。それは彼らの文献を見ればよく分かりますし、この本にも書かれ
ています。一部読みます。
「民族高校や朝鮮大学の卒業生は、総連の各級組織、学校教育機関、総連の色ん
な団体や出版・報道機関、商社や貿易会社などで事業し、総連は卒業生たちの進
路問題に格別な関心を持っている」
朝鮮高校を卒業しますと、あるいは朝大を出ますと、彼らは朝総連の組織で仕
事をするように、そのゲットーの中で生きるように強いられます。これが問題だ
と思います。分かっても逃げられないように、そういうシステムを作り、搾取し
てきました。
先ほど、韓国も今左傾教育が深刻だと言いました。それから数日前菅総理の談
話が出ましたが、昨日(8月28日)が100年前日本が韓国を併合した日です。韓国
は100年前に国が滅びて植民地になりましたが、65年前、韓半島の南は日本と同
じ自由民主主義国家として歩みだします。しかし、北の場合は、100年前より悪
くなっています。韓半島の歴史上一番貧しく、一番悲惨なのが今の北です。朝総
連はその失敗国家を作った悪魔を指導者だと言って尊敬しています。これは恐ろ
しいことです。
日本社会は、朝総連の対日工作の影響を受けました。例えば日本の外務大臣が
国会で、「北側からの脅威はない」と答弁しています。一度や二度ではありませ
ん。こういうことがなぜあり得たのか。朝総連の悪魔性を許すと、結局日本人が
だめになります。朝鮮学校は、私から見れば、北のテロリストを養成するための
過程とも思います。嘘や欺瞞はやがて善悪の区別、道徳意識を麻痺させます。そ
して結局、言われれば言われるとおりに服従するようになります。これがテロリ
ストの養成訓練です。
朝総連の金正日への盲目的忠誠は深刻です。北で生まれて生きる人間は、暴力
に屈服し従うしかありませんが、自由民主主義の開放社会で生きながら、金正日
のような暴君の家来になるなど許せません。
◆日韓で北を解放するのが未来志向
朝総連は平壌に搾取されて来ました。いつも愛国献金でお金を北に吸い取られ
ました。私が今本当に朝総連の人々に訴えたいのは、一緒に虐殺者の金正日に復
讐しましょうということです。北の100年前よりもみじめな同胞を一緒に解放し
ましょう。今までもし、自分たちが間違った、騙されたということを自覚するな
ら。「地上の楽園」だとして9万人以上を北に送ったり、今も北の奴隷教育をこ
こでやっていることを反省するのであれば、本当に北の同胞を解放することを一
緒にやろうではないかということです。
それから、日本人の皆さんも、朝総連の高校に日本の税金で支援するかどう
■朝鮮学校への授業料無償化に反対する緊急集会報告
平成22年8月29日、都内の文京区民センターで、「朝鮮高校への授業料無償化
に反対する緊急集会」が開催された。
朝鮮学校への授業料無償化が実現すれば、日本は拉致被害者の返還を強く求め
ていないとの間違ったサインになる危険がある。また、朝鮮高校の教科書には、
金正日が拉致を認めて謝罪したことや、朝鮮総連が拉致はでっち上げだと強弁し
てきたことにつき謝罪したことも取り上げていない。さらに、昨年夏以降、北朝
鮮は朝鮮学校の運営主体である朝鮮総連に対して、「拉致問題はすでに決着した
という立場で日朝国交を促進せよ」と指令を出し、朝鮮総連が行う世論喚起のデ
モや集会に朝鮮学校の学生が動員されている。
西岡力会長が解説し、ゲストに洪●(蛍光元駐日韓国公使、北朝鮮帰国者の生
命と人権を守る会の三浦小太郎代表、デーリーNK日本支局長の高英起氏(大阪
朝鮮学校出身)らが参加。家族会から飯塚繁雄代表、増元照明事務局長、横田早
紀江さん、本間勝さんが参加した。
西岡力救う会会長
◆日本の法令上、朝鮮学校高級部は高校ではない
まず90分程、パネルディスカッション形式で、専門家の立場から発言をしてい
ただきたいと思います。今日の目玉の一つは、朝鮮学校卒業生である高英起さん
に来てもらったことです。朝鮮学校の実態がどういうものかを明らかにしていた
だきたいと思っています。特に教育内容の問題、それから「在日本朝鮮青年同盟
(朝青)」という組織が朝鮮総連と一体化されています。生徒になると青年同盟
に入る。青年同盟は政治団体で、共産党で言えば民青のようなもので、日本の私
立学校に入ると自動的に民青に入り、共産党の党員になるための準備教育を受け
てデモに動員されたりしている、というようなものです。そういうことについて
お話をしていただきます。
まず、拉致の観点からこの問題について申し上げます。民主党政権の公約の一
つが「高校の授業料無償化」でした。これが今年4月から実施されました。では、
朝鮮学校は高校なのかという問題になります。一部で朝鮮高校と表現されていま
すが、日本の法令上、朝鮮学校は高校ではありません。
外国人学校はすべて高校と認めるのかというとそういうことはありません。韓
国系の学校の中には、日本政府の求める基準を満たして高校として認められてい
る学校があります。学習指導要領に基づいた教育がなされているか、施設が十分
整えられているか等で判断します。いわゆる学校教育法の1条校と言いますが、1
条校であるかどうかは、設置団体が外国人であるかどうかでは排除しません。ま
ずそのことを一つ確認したいと思います。
従って、1条校である韓国系の高校は4月から自動的に無償化の対象になりまし
た。一方、全国にたくさんある朝鮮学校を含む外国人学校ですが、韓国学校の中
にも1条校でない学校があります。それらの学校は各種学校と分類されています。
その各種学校には、予備校、英語学校、編物学校、そろばん学校もあります。
この4月から民主党政権が行っている高校の授業料無償化の制度は、各種学校
の中で高校教育に「類する教育」をしているというところも対象にすることになっ
ています。そこで、韓国学校やアメリカンスクール等、日本の法令上は高校では
ないけれど、「高校に類する」と判断されたところは4月の時点で無償化の対象
になりました。
しかし、自分たちは「高校に類する」と主張している学校で、適用が先送りに
なったのが朝鮮学校です。結論を先送りしたのです。強調したいのは、朝鮮学校
は、他の外国人学校とはちがって「高校に類する」課程があると自動的に認めら
れなかったという点です。それは鳩山政権の判断です。すぐには決められなかっ
た。それで専門家の委員会を作ったわけです。
この専門家委員会の議論の対象となっているのは、各種学校の中で、「高校に
類する」としてこの制度の中に自分たちも入ると主張している学校の中で朝鮮学
校だけです。それ以外の、予備校とかキリスト教の牧師を養成する神学校などは、
主張していません。
つまり朝鮮学校へのこの制度の適用は、簡単にはできないものだということを
文科省も認めたという事実を確認しておきたいと思います。
◆自分の名前を出さないで専門家と言えるか
そこで専門家の意見を聞かなければならないとして、専門家委員会を作ったの
ですが、メンバーが非公開になりました。そしてどのような議論をしているかも
非公開です。先日文科省に行って、この点について質問したところ、「静かな環
境で議論してもらうため」と言いました。
私は少しむっときました。専門家というのは、自分の意見を、自分の名前を出
して堂々と言える人のことです。1991年に、私は「拉致がある」という論文を書
きました。脅迫状も来たけれど、自分の実名で主張しました。そういう態度が専
門家の立場だと思います。意見の対立する中でも、自分の専門知識の中で堂々と
自分の意見を言うべきなのですが、「静かな環境で議論したい」と、名前も公表
しないで議論する人を専門家と言えるのかということです。発言に責任を持たな
いということじゃないですか。
色々と漏れ伝わることを聞きますと、専門家の名前は伝わっていませんが、そ
の専門家は教育行政の専門家で、朝鮮問題や朝鮮総連の専門家が入っていない。
もっと言えば、朝鮮総連がこれまでやってきた犯罪行為、テロ加担行為に関する
専門家は入っていないのです。
◆一方で破防法により監視しながら税金を入れるのか
また、朝鮮総連に対して日本政府は、もう一つ別の見方をしています。破壊活
動防止法という法律があります。その法律に基づいて、日本国内で団体として破
壊活動をしそうな、つまりテロ行為ですが、個人ではなく団体に対して監視をし
ます。税金を使って監視をしています。公安調査庁という役所はそのためにあり
ます。そして毎年報告書を出している。危険だということになれば、「団体等解
散命令」を出します。
警察は個人の犯罪を防止しますが、破壊活動防止法は団体が対象です。朝鮮総
連はその監視団体です。
先ほど確認しましたが、すべての各種学校に無償化制度を適用することについ
て留保して議論しているのであれば、教育行政の専門家だけの委員会いうのも論
理的には分かるような気がしますが、各種学校の中でも朝鮮学校以外は適用して
おいて、個別朝鮮学校だけの問題について議論するのに、朝鮮総連の専門家を誰
も入れていないのです。
一方で税金を使って公安調査庁は朝鮮総連を監視しています。公安調査庁の担
当者を入れるべきじゃないですか。私のような朝鮮問題の専門家や、朝鮮総連に
関する専門家を是非入れてほしいと思います。このように大変不明瞭な形で議論
が進んでいたわけです。
◆拉致問題に悪影響があっても税金を入れるのか
この問題について家族会・救う会でどのような態度をとるかについて、家族会
の方々とも議論をしました。家族会・救う会の運動はあくまでも拉致被害者を救
出するという運動で、その一点で意見が一致する人はみんな入ってもらいたいと
いうことです。直接関係しない問題についてあまり言及しない方がいいだろうと
いうこともありました。
中井大臣は当初から、「日本は今制裁をしているのだから適用するのは反対だ」
とおっしゃっていたのですが、中井大臣が政府の中でそういう風に言っていて、
政府の中で朝鮮学校だけ特別扱いしたのだから、当然当事者の家族会が声を出さ
なくても、拉致問題に与える悪影響も含めて専門家委員会で議論されるだろうと、
少し甘かったのかも知れませんが、日本政府を信じていたところもありました。
拉致家族が在日朝鮮人の子どもたちにいじわるをしている、というような左翼
の宣伝に使われたくないという思いもあって、発言を少し抑えて、私個人の名前
で反対論をメールニュースに書いたりしていました。また各地救う会の名前で声
明が出たりしたと思いますが、家族会・救う会として何か出すことは控えていま
した。ところが、文科省は新学期が始まる9月までには結論を出すと言いながら、
一切議論を公開しない。そして漏れ聞くところによりますと朝鮮問題について議
論をしていない。拉致問題に悪影響があるかどうかも議論していない。
先ほど、破壊活動防止法があるという話をしましたが、もう一つ関係する法令
があります。日本には北朝鮮人権法という法律があります。これは拉致問題を初
めとする北朝鮮人権問題についての法律で、日本政府は拉致問題を解決しなけれ
ばならない、北朝鮮が誠実な対応をしなければ日本政府は制裁を強化しなければ
ならないと書いてあります。拉致問題を含む人権問題について、日本政府と地方
自治体は啓蒙活動をしなければならないという条文も入っている。
税金を使って朝鮮学校に補助する時に、拉致問題に悪影響があるかどうか。担
当大臣はあると言っているのですから、その議論をするのは当り前じゃないでしょ
うか。国会の中で、自民党の先生が中井大臣に答弁を求めたところ、「専門家委
員会は私の意見を聞いてくれない。残念だ。私は呼ばれてない」と。拉致問題の
観点で、担当大臣も意見を聞きたいという話はきていない。もちろん家族にもき
ていない。
それでまず、8月4日に、「密室での議論だけで決めるのは反対。拙速な国庫補
助決定に反対する」という声明を出しました。すぐ反対ではなく、「拙速な」を
つけました(メールニュース参照)。その後も状況は何も変わらなかった。公開
の席での議論は一切ない。
それで、これは家族会・救う会として意思表示をした方がいいのじゃないでしょ
うかと家族会の役員と相談をして、8月25日付けの要請文を作りました(メール
ニュース参照)。これは24日の夜作って、拉致問題対策本部に連絡したところ、
すぐに文科省の担当審議官に面会の約束を作ってくれました。感謝しています。
中井大臣は出張中でしたので、大臣ではなく、ナンバーツーの三谷対策本部事務
局次長にお渡ししました。
ここでも、「拙速に補助を決めないように要請する」と言っています。「拉致
問題への悪影響に関する十分な議論がなされていない」と。そして、「そもそも
北朝鮮は中学生を含む多くの日本人を拉致して」います。一部の人たちは、「朝
鮮総連の子どもたちにも学ぶ権利がある」と言っています。しかし、横田めぐみ
さんたちは、学ぶ権利を根本的に奪われているわけです。中学1年生でしたから、
日本の高校では学べていないのです。
◆「人道支援」まで止めながら国庫補助か
そして日本は今、「人道支援」まで止めています。これは相当のことです。ブッ
シュ政権は、北朝鮮を悪の枢軸(アクセス オブ イーブル)、悪魔だと言いま
したが、それでも人道支援は続けています。日本は、偽の遺骨が来た時、人の命
をここまでひどくもてあそぶことは非道すぎるとして人道支援を止めたのです。
我々はそれだけではなく、経済制裁を発動してくれと言いましたが、それは偽遺
骨が来た時はやらなかったので座り込みをしたのですが、しかし、偽の遺骨や8
人の死亡診断書がすべて偽物だと分かった時に人道支援を止めています。これは
日本政府のホームページにも書いてあります。
そこまでのことをやっている中で、朝鮮学校を特別扱いして議論するならば、
この人道支援を止めているという制裁と朝鮮学校への国庫補助がどういう関係に
なるのか。日本側が拉致問題を少し軽く見て、事実上人道支援の停止を止めたと
いう誤ったメッセージが出てしまうのではないか。我々の立場ではそう思います。
◆朝鮮学校の教科書は拉致を認めたのに記述なし
そしてもう一つ、我々は萩原遼さんのお蔭で、朝鮮学校の教科書を日本語で読
むことができるのですが、教科書に拉致問題をどう書いてあるのか。拉致問題に
ついての記述はこれだけですが、「2002年9月、朝日平壌宣言発表以後、日本当
局は《拉致問題》を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り
広げることで日本社会には極端な民族排他主義的雰囲気が醸成されていった」。
これしか書いてない。「拉致を認めました。しかし、……」じゃないのです。
「極大化し」とありますが、誰が拉致をしたのかを書かないで、日本社会が民族
排他主義的雰囲気になったとだけ書いてある。朝鮮総連は、2002年、金正日が拉
致を認めた後、記者会見をして、謝罪らしきことをしました。しかし、そのこと
を子どもたちには教えないのです。これは差別文書です。人権侵害文書です。公
然と人権侵害文書で教育をしているところに、お金を入れていいのか。
日本には、「拉致問題を含む北朝鮮人権問題についての啓発活動をしなければな
らない」という北朝鮮人権法があります。そして12月には北朝鮮人権週間があり、
政府主催で色々な行事をしています。それなのに、ここに書いているようなこと
を教えている朝鮮学校に国庫から補助を出していいのか。公序良俗に反する教育
をしているところに、お金を入れていいのか。
もう一つ、後で実態を高さんに教えてもらいますが、在日本朝鮮青年同盟という
組織があります。そこに朝鮮学校の高等部の人たちは入るわけです。去年の9月
17日、今年の9月17日にも注目してもらいたいのですが、この朝鮮学校生徒たち
や朝鮮大学学生たちが、我々が座り込みをやった国会議員会館前に来ました。
2002年の9月17日には、彼らは戦々恐々としていたのですが、この日は、「制裁
反対、国交正常化促進」と言ってビラをまきました。つまり、「めぐみさんたち
が死んだ」ということを認めたままで国交正常化しろという政治活動を、学校を
拠点としてやっているのです。そこにお金を出すということは、その政治活動を
応援することにならないか。
こういうことを是非議論してほしいということを我々は要請したということです。
政府がそういうことをちゃんと議論しませんので、今日は専門家、経験者に来て
いただいて、ここで議論したいと思っています。
まずは、高英起さんに体験的な朝鮮学校についてお願いします。
高英起氏(コ・ヨンギ デーリーNK東京支局長、大阪朝鮮学校高級部出身)
◆北から朝鮮総連に、「無償化を必ず達成せよ」という内容の文書が
自己紹介をさせていただきます。私は、北朝鮮専門のインターネットサイトで
ある「デーリーNK」の東京支局長を任されています。これまでジャーナリスト
として北朝鮮問題に関わってきました。また、「救え北朝鮮の民衆/緊急行動ネッ
トワーク(RENK)」というNGOでも北朝鮮問題に関わってきました。
北朝鮮が反民主的な国家であり、人権弾圧をしていることについては、みなさ
んと同じ意見だと思いますが、経済制裁や先日の金賢姫さんの訪日の評価等では
若干異なる意見も持っています。その問題については論じることが今日の目的で
はありませんが、立ち位置は明確にしておきたいと思います。
私は、高校の3年間、正式名称「大阪朝鮮高級学校」で学びました。朝鮮学校
は北朝鮮式に初級学校、中級学校、高級学校と呼びます。その後、1993年から
「北朝鮮の民主化と人権」というテーマでRENKのメンバーとして、また一ジャー
ナリストとして取組みを始めました。
今と違って、例えば西岡さんは北朝鮮に関して主張しておられた方ですが、当
時は北朝鮮問題には全く人々の関心がなかった頃です。公に北朝鮮に批判的な行
動をしたことで「変節者」とのレッテルを張られ、それ以後、友人関係は、一部
の心ある友人を除いてほとんど無くなりました。
西岡 友だちがいなくなった。
高 いなくなったというより、同窓会などから呼ばれなくなったということです。
私の父や親戚には北朝鮮と朝鮮総連を支持してきた人が多かったのですが、親戚
からは嫌味を言われたりしました。そういう嫌な思いをしましたが、それでも朝
鮮高級学校での3年間というのは人生の中でもっとも楽しい時期でした。
西岡 初級から通ったのですか。
高 いえ、お恥ずかしい話ですが日本の高校まで通ったのですが、成績不良と素
行不良で退学となり高校から通いました。父親から、「お前みたいな根性が腐っ
たヤツは朝鮮学校に行って鍛えなおしてもらえ」と言われて朝鮮学校に行くこと
になりました。
ご存知の方もおられると思いますが、大阪朝鮮学校というのは結構、大阪名物
ヤンキーというか、ヤンチャな学生の集まりでして、あちこちで騒ぎを起こして
評判が悪かったのです。私は喧嘩をする人間じゃなかったのですが、学校では朝
鮮人だということで熱烈に歓迎されました。そんなことが記憶に残っています。
私自身は、朝鮮学校の教育内容に関しては、非常に問題があるし無償化はすべ
きでないという立場ですが、一方では対立を煽るような行動をしている「なんと
か会」のような集団があるようですが、そういう醜い私が尊敬する日本人らしく
ない行動は一切容認できるものではありません。
高校無償化の問題では3月の時点で文科省で記者会見をしました。独自に入手
した教科書、これは守る会の萩原先生が後に翻訳されました。それと朝鮮総連に、
「無償化を必ず達成せよ」という内部文書とともに、問題点を会見で明らかにし
ました。
その時に久しぶりに見た今の新しい教科書ですが、一言で言うとソフトになっ
ているので驚きました。私の頃は、文系理系に限らず、すべての教科書の冒頭に、
例えば地理の教科書ですと、地理を学ぶことは北朝鮮の公民としてどういう意味
があるのか、などという故金日成の言葉などが書かれていました。
◆朝鮮学校の教育は「民族教育」でなない
西岡 地理を学ぶとこうなると金日成主席がこうおっしゃったという話ですね。
高 そうです。それが算数でも数学でも書いてあるんです。英語の教科書って、
たいてい4月の初めに、「スプリング ハズ カム」というのがあるでしょう。
ところが朝鮮学校では、その次に「グレイト ジェネラル キムイルソン」です。
「グレイト」だったか「グレイティスト」だったか、どうかははっきりしません
が。
私は、朝鮮総連に近い家庭で育ったので、そんなに違和感はなかったのですが、
さすがにカルチャーショックを受けました。また、「金日成元帥様革命歴史」と
いうのですが、その教科書だけは真っ赤な表紙で、きれいな紙を使って、金日成
の過去の指導について、詳しく書いてあります。
西岡 週何時間ですか。
高 3時間ぐらいだったと思います。そして金日成の言葉(教示)を覚えなけれ
ばなりません。私も学校に通っている時には勉強しましたが、残念ながらという
か、もう忘れてしまいました。
今、朝鮮学校の問題についてはっきりと言えることですが、まず、朝鮮学校の
教育は「民族教育」と言われています。しかしあれは「民族教育」ではありませ
ん。一言で言うと、北朝鮮の公民教育です。我々は北朝鮮の公民であるから北朝
鮮の歴史を学ばなければならない。北朝鮮の公民であるから英語を学んで、それ
を北朝鮮のために生かさなければならないということを強く強調する教育内容で
した。非常に誤解されている部分があるので、そこは訂正すべきと思います。
◆生徒は朝鮮総連の青年部門「在日本朝鮮青年同盟」に加盟
もう一つは、先ほど話があった「在日本朝鮮青年同盟」ですね。これは朝鮮総
連の青年部門です。朝鮮総連そのものです。構成員を育成し、拡大するための組
織です。僕は知らないうちに勝手に入ったのですが、動員などがあります。
西岡 会費は。
高 会費はおそらく授業料に含められていると思います。
西岡 授業料が無償化になると会費も含むことになりますね。
高 これは問題になるところです。私は高校から入ったので、学習会というのを
させられます。それを指導するのが「朝鮮青年同盟」です。私は班長をさせられ
ました。その時は高校からの編入班が10人くらいでした。ほとんどの人は小、中、
高と上がってきます。みなさんご存知のラングーン事件ですが、こういうリーフ
レットを出していました。例えばラングーン事件はこうで、KAL機事件はアメリ
カの謀略劇というような内容です。それを担当の「朝鮮青年同盟」の人、これは
県本部や支部から来る人ですが、それを渡されました。
西岡 週何回あるのですか。
高 週何回というのではなく、1か月に1回くらい「課題の日」が作られて、その
リーフレットを一生懸命読んで、皆さんの前で講義する役をさせられたことを思
い出します。私が入った頃が、金正日の後継が完成される頃だったので、肖像画
も金日成に並んであり、改めて忠誠を誓わされるというような場面がありました。
「朝鮮青年同盟」は今も政治活動をしたりします。また今は少なくなりましたが、
当時は色々な集会がありました。それは朝鮮総連が行うものだけでなく、総評の
反戦デモとか、そういうところに行って、「米軍は出て行け」というようなです
ね。そういう所に動員されたこともありました。
◆地域で生活に密着した形で組織化
しかし、朝鮮学校の生徒は、日本の現代社会に育っているわけですから、政治
活動や動員だけでなく、地域で生活に密着した形で組織化するのが朝鮮総連の基
本的なやり方です。
そして朝鮮学校の子どもがそんなに洗脳されているかというと、そうでもない
んです。「金日成元帥様革命歴史」の中には、亡くなった金日成の写真がたくさ
んあります。僕もびっくりしたんですが、ある学生がそれを切り抜いたりして遊
ぶのです。最近見た教科書の中には蛍光ペンで目のところに落書きなどもしてい
ました。そういうのを見ると、昔も今も変わってないなと感じたりします。
学校教育で大切なのは、クラブ活動であったり、友人関係でしょう。そういう
意味では洗脳されていることはないんです。ただ、「朝鮮青年同盟」の活動や政
治集会に動員されることによって、思想的にも人間的にも縛られるわけですね。
そこからの人間関係からなかなか抜け出せない。これが朝鮮総連の一番の問題点
であるし、ある意味で巧妙なところです。
◆拉致問題が明らかになり朝鮮総連の所属員が急減
拉致問題が明らかになった時は、朝鮮総連の所属員が急激に少なくなりました。
公称10万人と言いますが、5万という数字も出ていると聞きます。また、朝鮮学
校の生徒の半分くらいが韓国籍だったという話も聞いています。
朝鮮籍では色々な意味で活動しにくい偽装目的もありますが、やはりあの事件
を機会に、もういい加減朝鮮総連の「村社会」から逃げたいという人が多かった
のですね。いい加減うんざりしていたからそういうことになったと思います。
朝鮮大学で働いている方はこう言っていました。「この問題に関して日本政府
の金を貰うのは筋違いだ。北朝鮮からお金を貰うのが筋だ」と。彼らの主義・主
張は別として、言っていることは確かに筋が通っていると思います。朝鮮総連の
やり方には、日本政府から金をゆすれというような考え方があるように思います。
そういう人に言いたいことは、「あなたたちがやっていることは認めないが、
言っていることは、それはそれでいい。しかし、日本政府に金を求めるというの
は、あなたたちがこれまでやってきた公民教育から見ておかしいじゃないか」と
いうことです。
今日の新聞で、読売と産経の朝刊が極端に違う記事を書いてびっくりしました。
読売は、「文科省が妥当であるという決定をした」で、産経は「無償化は先送り」
というものです。実際に先送りされたので一段落したのですが、なぜ先送りになっ
たかの背景には納得できません。政局がらみでということですが、4月の時点で
鳩山さんは自分の進退問題で大変だったので先送りになったと聞いていました。
今回は代表戦があり、菅総理が保守系の議員を取り込むために、こういう判断を
したのではないかと思っています。文科省は無償化を進めたいと考えています。
しかし、繰り返しになりますが、教育内容をきちんと議論すべきだと思います。
国民の税金を投入するのにふさわしい教育内容なのかどうかです。私は明らかに
不適だと思います。そこを議論しない限り、無償化にはあくまで反対です。それ
を議論することが、朝鮮学校に通っている子どもたちのためにも、教育内容をき
ちんと整理することになります。拉致問題や人権問題の解決を目指しながらも、
朝鮮総連の方々をうまく取り込んで理解させる方向でいくべきと思います。互い
に理解していくためにも、今後もこの問題について議論していきたいと思います。
西岡 次に元駐日韓国大使館公使の洪?先生にお願いします。この問題は、朝鮮
総連、朝鮮学校を日本政府がどのように見てきたのかという問題です。韓国側か
ら見ると、北朝鮮は反国家団体です。北朝鮮を賞賛するだけで死刑なんです。今
でもその法律があります。そして朝鮮総連もその反国家団体です。日本の友好国
である韓国から見て、反国家団体に加盟すれば死刑もあり得るという団体の教育
を日本政府はどう見てきたか、韓国政府はどう警告してきたのか、それでも日本
は冷戦時代にどういうことをやってきたのか等について専門家の立場から解説し
ていただきます。
洪 ●(ホン・ヒョン、元駐日韓国大使館公使) (●=榮の木が火)
◆自由民主義の国家は教育から
洪 高さんから、今朝総連が何人なのか分からないという話がありました。実は、
朝総連に不利なデータは日本当局が隠しているのです。後ほど申し上げます。ま
ず朝総連がどういう組織なのか、私も体験的なことを話したいのですが、今日は
時間がありませんので、朝総連自身が自分のことを告白した資料を紹介します。
これは、朝総連50周年を記念して、2005年5月に出た、「総連」という本です。
これは総連の50年間の歴史書です。
総連は極端な秘密組織ですが、たまにとんでもなく自分たちの秘密をばらしま
す。こういう形で。こういう資料が出ますと、専門家、研究者には非常にありが
たい。今まで分からなかったこと、朝総連自身の本音が非常に分かりやすく整理
されています。これはまさに「朝総連の自己紹介書」であり、全部いつわり、煽
動、洗脳、欺瞞の歴史を書いています。一言で、「金日成、金正日の歴史と二人
に忠誠を尽くした韓徳銖(ハン・ドクス)を称える本」です。
今日はこれを中心に話しますので、この場に朝総連の方がおられても、反論は
できない筈だと思います。内容は基本的に自画自賛です。西岡先生から、韓国の
国家保安法及び憲法の命令として朝鮮学校などは反国家団体と規定しているとおっ
しゃいましたが、というのは、韓国は今戦争中なんです。韓国は1950年に、多分
人類の歴史上初めてのイデオロギー、価値観による大規模な戦争を経験しました。
3年後に停戦になりますが、停戦後は形を変えた戦争が60年間続いています。
休戦というから、一応戦争が終わった形だと思う方が多いのですが、違います。
戦争が韓半島から地球規模に拡大されて、より難しい戦争が続いています。互い
に相容れない価値観の戦いですから、どちらか一方が価値観をあきらめ負けない
限りこの戦争は終わりません。
価値観の戦争は、つまるところ教育です。日本も韓国も、今のような国が昔か
らずっと続いていると思う若い方が多いのですが、実は日本も韓国も、今の自由
民主主義体制になったのは1945年以降です。今の日本国の憲法、今の韓国の憲法、
それから自由民主義の国家を作ったのは、実は教育です。誰も経験しなかった新
しい価値観や新しい秩序は教育によるものです。国づくりの基礎は教育です。
日本でも日教組の問題が色々言われていますが、韓国には日教組とは比べられ
ないほどの危険で悪質な「全教組」という組織があります。全教組は自分たちの祖
国を北だとははっきり言いませんが、行動でははっきりとそう行動しています。
◆人間の価値観を麻痺させる洗脳教育
先ほどの高さんの話しに反論するわけではないですが、朝総連の教育が効果が
ない、それはある意味では効果がありません。あまりにも見え見えの嘘を言うか、
金日成が日本を打ち破ったとか変なことを言うから、これは誰も信じません。し
かし、あの教育がもたらす洗脳効果は本当に恐ろしいものです。人間の価値観を
麻痺させるんです。共産主義が狙うのはそれなんです。
私は、日本の戦後の知識・知性社会の精神風土にも色々な問題があると思いま
すが、実はこれも教育の問題でした。例えば、それは間違いだということがある
と、間違ったことを正すように行動する勇気を与えることが教育です。自分たち
とは関係ないから関心を持たないということで終われば、その個人はそれでいい
かもしれませんが、組織や社会や国はどうなるでしょうか。朝総連の間違いが通っ
てきたのにはそういう問題があります。
朝総連については、それだけでも1週間くらい講義したい内容がありますが、
朝総連の問題は、「教育」・洗脳の結果どうなるかというと、道徳心がなくなりま
す。真実と嘘を区別する能力、真実を守る勇気、そういうことが消えます。そし
て人間が二重性格に変わってしまいます。自己欺瞞で生きる。あの北が日本より
はるかにいい理想的な国だと思うなら、気兼ねする必要はありません。
◆短期祖国訪問団延べ20万人は一人も北に残らなかった
朝総連が1979年から、「短期祖国訪問団」を行い延べ20万人くらいが訪問しまし
た。皆さんご存知のように、1959年から、「北は地上の楽園」ということで、北
への帰還事業で9万3千人もの人を北に送りましたが、日本内で総連学校がそのよ
うに教えたのです。そして生き地獄の方に帰ったのです。恐ろしいです。当時は
北の実情が分からなかったと言うかもしれませんが、その実情が分かった後も公
式には楽園と言い続けた。だが、1979年から20万人もの人が北と往来しながら、
「自分はここで生きる」と言って残った人は一人もいません。
日本で差別を受けて、パラダイスの親(首領)のふところにせっかく来たんで
すから、20万人のうち何人かは、「いいところ(楽園)に来た」と残ると思うん
ですが、一人も残りませんでした。そして北は、「将軍はすばらしい」という宣
伝を繰り返します。こういう組織・団体がありえるのか。朝総連は我々のような
普通の(正常な)人間は考えられない組織です。
この本(「総連」)にはこういうことも書いてあります。1949年2月、今の朝総
連の前身である朝連が中央委員会で、金日成の肖像画をすべての事業所、機関の
事務室に掲げることを決定します。以来その通りに実行されています。
共産独裁では、敵をあざむくためには何をやってもいいということになってい
ます。どんな嘘をついてもいい。共産主義の敵に対しては何をやってもいいので
す。相手を侮辱しても、差別しても、拉致をしても、何をやってもいい。これは
革命的に正当化されます。
この朝総連の本に、民族教育の権利の根拠として、世界人権宣言第2条と26条、
国際人権規約、日本国憲法第26条、日本の教育基本法第3条等を挙げています。
読んでみると、朝総連は日本の社会に対して色々な闘争をした、主張をした、要
求をしたということが延々と書いてありますが、共同体に対して自分たちなりの
義務を果したという記述は一つもありません。恐ろしい話です。50年間の彼らの
歴史の中で、日本社会に対し、自分たちが闘争してきたということだけで、我々
が思うような常識的なところは一切ありません。
私はこれは、国籍が違うからなのか、それとも人間的に未熟で甘えているのか
と思いましたが、よく考えてみると、近代国民国家では義務は権利の対価であり
権利は義務の対価です。彼らは価値観がわれわれと違い、その価値観の欠陥のた
めそうなります。先ほど高さんが言った通り、彼らは北が祖国です。金正日は首
領です。だから金正日が認めないことは認めてはいけないんです。
北の首領観は、「人民は考えてはいけない」であり、人民は首領の考えを貫く
手足であるだけの存在になっています。朝総連の教育は、自由民主義の制度や価
値観を認めてはいけないようになっているのです。だから子どもは、明らかにお
かしいから反発はしても、自分も知らないうちに洗脳効果によって、進んで朝総
連の意図に協力はしなくても、反対し闘争はしなくなる。そういう恐ろしい洗脳
効果を持っているんです。
私はそもそも、民族とか民族主義という言葉は嫌いです。朝総連は「民族学校」
とか「民族教育権」と言っていますが、民族ということは非常に危険で、注意して
管理すべき劇薬だと思います。民族という言葉は、明治維新後日本でヨーロッパ
の言葉を翻訳したものですが、民族と種族はどう違うでしょうか。実は同じです。
民族を強調するためには、他の民族を区別し、差別するようになります。これは
仕方のないことです。
歴史的に見ますと、民族主義という言葉は望ましい方向で機能した例がほとん
どありません。だいたい全体主義、暴君が民族主義を持ち出す場合は、周りの国
に災いをもたらしたということが歴史の教訓です。ヒトラーやスターリンや、毛
沢東や金日成等すべてがそうでした。
◆日本社会が朝総連を庇護、支援してきた
韓国と北は同じ民族なのに、なぜ韓国当局は(同じ民族の)朝総連を反国家団
体として厳しく罰するのか。民族主義は偽善・欺瞞です。90年代の半ば、北で数
百万人が餓死しました。金正日は、自分が持っているお金の一部だけでもトウモ
ロコシを買ったら餓死者を救うことができました。北の100万人以上の軍隊の訓
練費用の1割だけでも餓死者を出さなかった筈です。しかし彼は、平気で何百万
人もの人を虐殺しました。自分が治める民を虐殺する人間が、民族主義を言うの
が、ありえる話でしょうか。
実はこの現象は北や朝総連だけでなく、韓国も深刻です。韓国の有権者の3割
が韓国の哨戒艦「天安」が沈んだのは、北がやったという証拠を出しても信じら
れないと言っているのです。これも日教組より100倍も危険な「全教組」の教育の
結果です。常識的にありえないことですが、子どもの内からそういう教育をすれ
ばそうなります。
日本社会がこういう犯罪的ことをなぜ許すのか全く理解できません。無償化問
題は朝総連の問題でなく、こういう問題に対して気づかない日本社会の問題だと
思います。朝総連の教育は、北がいくら何と言っても、彼らの力だけではできな
かったことです。では、誰が朝総連を庇護、支援してきたのか。実は日本社会が
応援しました。日本の第一野党、日本最大の労働組合、日本最大の弁護士団体、
色々な社会団体等がこれを支援しました。今までの総連の日本社会への挑戦は、
決して金日成、金正日だけの能力によるものではありません。日本社会がこの点
を自覚しないと、いつまで経っても治せないと思います。
日本社会には色々な問題があります。植民地統治に対する「贖罪意識」などのせ
いか、日本社会では集会・結社の自由を、自由を破壊するものにまで許すべきだ
と考える人が結構多いようです。主に観念論的な進歩派の方々がそう思うようで
す。集会・結社の自由はいいものだから許されるべきだと思いますね。それでそ
ういう風土の中で、善と悪を逆に教える学校を「民族教育」と認める、「民族教育
に関する日本弁護士連合会の日本政府への勧告」(1998年2月)が出ます。これも
この本(「総連」)に収録されています。こういう問題を変えない限り、朝鮮学
校の問題はいつまでも解決できないし、何が真の問題なのかすら分からないと思
います。
◆入管局が北朝鮮人の統計を隠した
西岡 「総連に不利な情報を日本政府が隠している」という問題ですが、外国人
登録の統計の問題がそのうちの一つです。出入国管理局は日本に在留している外
国人の統計を毎年発表しています。1969年までの『入管白書』は、韓国籍と朝鮮
籍と区別して統計を出していました。しかし、70年から「韓国・朝鮮」として、
合計の統計しか出さなくなったのです。統計を取らなくなったと言っていますが、
それは嘘です。その前は出していたのですから。
1965年に日本と韓国が国交正常化した前後、多くの人たちが朝鮮籍から韓国籍
に変えたのです。韓国の方が大きくなりそうになった時に、合計しか公表しなく
なり、韓国籍だけ、朝鮮籍だけの統計がないと嘘をついています。韓国と朝鮮の
合計の人数は分かるのですが、朝鮮籍が何人か分からないのです。朝鮮籍が公称
10万人で、実際は5万人だろうというのも、公開されていないから推計値なわけ
です。
これは国民の知る権利からしても、あるいは韓国は国交正常化した友好国なん
ですから韓国だけの統計をまず出せばいいのに、『入管白書』は韓国を独立国家
として認めていないのか。韓国政府は抗議されていると思います。
洪 何度も問題にしました。朝総連の分は要らない。韓国籍だけの数字を出せと
要っても、「ない」と言います。
西岡 それは申し訳ありません。大韓民国を国として認めてないことになります
ね。国交正常化の前なら分かりますが、後にそうなり、未だに続いているのです。
総連側から言われているのです。先ほどの社会党、総評、進歩的文化人や左派系
の新聞などの力でこういうことが今でも起きているということです。
次に、北朝鮮人権問題のNGOの立場から「守る会」の三浦小太郎さんにお願い
します。
三浦小太郎(北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会代表)
◆歴史観の違いではなく嘘の歴史
三浦 今会場の一番後ろに守る会の名誉会長の萩原遼さんがおられます。萩原さ
んとボランティアの努力で、朝鮮学校の「現代朝鮮史」の教科書を翻訳し、出版
することができました。版権は総連にあり、無断で出版したのですが、何も言っ
てきませんから後ろめたいところがあるのだと思います。この教科書の内容をま
ず簡単に報告します。
※「現代朝鮮史」の教科書は「星のあゆみ出版」まで。581-0868 大阪府八尾市
西山本町7-6-5 3F 0729-90-2887
朝鮮戦争については、北朝鮮が起こしたということがあらゆる研究資料で分かっ
ているのですが、「朝鮮戦争は韓国とアメリカが起こした」とし、さらに、「金
日成主席様におかれては、会議で朝鮮人をみくびり刃向かう米国のやつらに朝鮮
人の根性をみせてやらなければならないとおっしゃりながら」、「即時反撃」し
たと書いてあります。
大韓航空機事件については、「金賢姫は南のでっちあげ」としています。「南
のでっちあげ」という人を日本政府は証言者として呼んだわけです。つまり日本
政府は金賢姫氏を正しい証言者であると信じたから呼んだわけです。それが「南
のでっちあげ」だという。そういうことを書いてある教科書に納税者の国税が行
くわけです。
3つめに、拉致については、「2002年9月、朝日平壌宣言発表以後、日本当局は
《拉致問題》を極大化し、反共和国、反総連、反朝鮮人騒動を大々的に繰り広げ
ることで日本社会には極端な民族排他主義的雰囲気が醸成されていった」。「
《拉致問題》を極大化」というのは金正日が拉致を認めたから、なかったとは言
えないということです。そして、「極端な民族排他主義的雰囲気」が作られたと
して、自分たちが悪いことをしたとは全然思っていないのです。
こういうところに1円でも入ったら、文科大臣は家族会の方々の目をまっすぐ
見られるのでしょうか。そして私たちは税金を出さなければいけないのでしょう
か。私は、私の税金の内、その人たちに行く分だけは返してほしい。その金はす
べて情報収集に使ったらいいのではないですか。僕は、納税拒否運動をやった方
がいいと思います。
「この教科書は真実を伝えるものではない」ということがすべてです。すべてが
プロパガンダです。歴史の教育ではなく、歴史の宣伝になっています。こういう
ことを言う人がいます。「歴史観はそれぞれ国により違っていい。日本の歴史観
と違う歴史観を朝鮮学校で教えてもいい」と。しかし、これは歴史観ではない。
嘘なんです。
例えば、日韓併合に関して、韓国の教科書と日本の教科書で、それぞれ違った
歴史観で教えていいと思います。これは仕方がないことです。一致はなかなかで
きない。しかし、ここに書いてあることはすべて嘘です。しかも、金日成と金正
日は300万人の北朝鮮の民衆を餓死させた人間です。それがすばらしいリーダー
として教えられている。これは先生も辛いと思います。こういうことを教えると
いうことは、嘘の教育そのままですから。
一歩学校を出れば違う教育があるんだから、子どもたちが信じ込んでいると決
め付けるつもりはありませんが、こういう教科書を使うのであれば、自分たちの
カンパでやってくださいということです。そこになぜ、こういう歴史観を嘘と見
なしている人たちの税金が行かなければならないのか。極めてシンプルな問題で
す。
◆日本はテロ支援国になってしまう
無償化に賛成に近いある政治家がこういうことをおっしゃっているそうです。
「お金を出すことによって、あの学校に介入することができて、そして教育内容
を変えていけるじゃないか」と。これは太陽政策で北がよくなるという論理です。
そして私たちの国は民主国家だから自分たちの政府を信用しなければならない
のですが、自民党であれ民主党であれ、この10年間、北朝鮮に対して、総連に対
して、本当に戦った政治家はいないんです。戦う実力もない国がお金を出せば、
その組織を中から変えられるというのは、どう考えても幻想だと思います。対北
朝鮮政策では、自民党であれ民主党であれ、朝鮮総連を中から変えられると私た
ちが信じるようでは、完全に判断を停止することになります。
アメリカに対し、「もう一度テロ支援国家にすべき」とか言う人もいます。
「あの国は国際的に拉致や人権問題でひどいことをしている国なんだから罰して
くれ」と言うわけですが、我々がその国を支援したら我々がテロ支援国家になる
んじゃないですか。なぜ外国にだけ要求できますか。それは無理があります。
朝鮮学校だって、生き残るためにはこういう教育を止めた方がいいに決まって
います。現場のまともな先生が、そういうことをやれない筈がないんです。朝鮮
民族には立派な人が歴史的にいっぱいいます。そういう方々について教育するな
らいいと思います。そして、日本も朝鮮半島との長い友好の歴史を教えることも、
学校で教えるのは非常にいいことだと思います。
◆在日の悲劇を教えない在日の教科書
菅首相が談話を出しましたが、過去の歴史について私たちは学ばなければなら
ない。ならば、北朝鮮を支援したり朝鮮総連をここ日本で温存してきたのは間違
いだったということも学ばなければならない。この教科書には、北朝鮮への9万3
千人の帰国事業はすばらしいことだった、と書いてあります。そして在日の人た
ちが喜んで帰国した、と。しかし、喜んで帰国した人たちが今ほとんど絶望して
逃げています。なぜ在日の学校で、在日の悲劇を教えないのでしょうか。
その他、帰国した人の中には日本人妻や少数の日本人の夫もいます。色々な事
情があって朝鮮の人と結婚したのです。一説によれば10分の1しか生き残ってい
ないといいます。そういう方々の悲劇を通じて、この帰国事業は間違いだったと
教えること、そして我々は北朝鮮人として生きていくのではなく、日本で日本人
とともに在日として生きていく、ということ。そういうことであれば無償化には
決して反対ではありません。
最低限の条件があると思います。肖像画を外せと言っても、また掲げることが
できますからあまり効果がない。まず、総連と徹底的に決別することを鮮明に宣
言することです。そしてこの教科書をなくすこと、さらに、これからは日本人と
共に生きていくという教育をする、そして教科書を作るということです。それが
できればいいと思います。
そして、北朝鮮にいる人たちを助けよう、拉致被害者を在日も協力して助ける
ことが日本とコリアンのこれからの100年であるべきです。
◆このままでは日本の市民との軋轢を生む
高 洪先生の話から私も色々と教えていただきました。朝総連の本に民族教育の
権利の根拠として、世界人権宣言、国際人権規約を引用しているという話があり
ましたが、それはあくまで健全な教育でなければならないとされています。今の
朝鮮学校の教育が果たして健全な教育かというと、必ずしも健全な教育ではない
し、現状では、教師自身が非常に教えにくい、教えたくない教育をしています。
生徒はそれを分かっていて、教育を受けています。それが果たして健全な教育な
のか、疑問が残ります。それが健全な教育なのかということ。
また、北朝鮮の「公民」教育は、私たちは外国人なのだから日本社会に貢献す
るのではなく、あくまでも北朝鮮に貢献することが一番大切なことだとも言って
いました。
金日成のことを「父なる金日成」という言い方をよくしますが、小学生くらい
の生徒の中には本当に父親だと思っていたという冗談みたいな話があります。ま
た、親の誕生日は忘れても金日成と金正日の誕生日だけは忘れられません。悲し
い話、私も誕生日は忘れられないという事は悲しいことです。
やはり、北朝鮮の刷り込み教育、洗脳教育は教育にはふさわしくないということです。
健全化するためには、三浦さんも言われましたが、朝鮮総連、さらには北朝鮮
と離れるしかない。そして教育内容をきちんとするならば、そこで初めて議論が
始まると思います。このままでは日本の市民との軋轢を生むのではと心配してい
ます。
◆朝総連の組織はゲットーと同じ
洪 私は先ほど、朝鮮学校の教師は嘘であることが分かっても辛い思いをしなが
ら教えていると言いましたが、これこそ問題です。実は1960年代、70年代半ばま
で、朝総連は、朝鮮学校の生徒が3万6千とか4万とか言っていました。つまり、
これは一つの生態系です、悪の生態系。総連としては、生徒を最小限3万5千人以
上確保しないと、30万人の生態系を維持できないのです。
朝総連の組織は基本的に搾取の組織だと思います。中世のヨーロッパにゲットー
(ghetto)というのがありました。ユダヤ人たちをそこに収容して外に出ないよ
うにしていました。野蛮的なものです。私は朝総連こそ、このゲットー=「民族
の檻」だと思います。
私の印象では、朝総連は、水、空気、食糧、エネルギーは自分たちで生産でき
ませんから自然から、または日本社会から得て、後はすべて自給自足のシステム
を作りました。それは彼らの文献を見ればよく分かりますし、この本にも書かれ
ています。一部読みます。
「民族高校や朝鮮大学の卒業生は、総連の各級組織、学校教育機関、総連の色ん
な団体や出版・報道機関、商社や貿易会社などで事業し、総連は卒業生たちの進
路問題に格別な関心を持っている」
朝鮮高校を卒業しますと、あるいは朝大を出ますと、彼らは朝総連の組織で仕
事をするように、そのゲットーの中で生きるように強いられます。これが問題だ
と思います。分かっても逃げられないように、そういうシステムを作り、搾取し
てきました。
先ほど、韓国も今左傾教育が深刻だと言いました。それから数日前菅総理の談
話が出ましたが、昨日(8月28日)が100年前日本が韓国を併合した日です。韓国
は100年前に国が滅びて植民地になりましたが、65年前、韓半島の南は日本と同
じ自由民主主義国家として歩みだします。しかし、北の場合は、100年前より悪
くなっています。韓半島の歴史上一番貧しく、一番悲惨なのが今の北です。朝総
連はその失敗国家を作った悪魔を指導者だと言って尊敬しています。これは恐ろ
しいことです。
日本社会は、朝総連の対日工作の影響を受けました。例えば日本の外務大臣が
国会で、「北側からの脅威はない」と答弁しています。一度や二度ではありませ
ん。こういうことがなぜあり得たのか。朝総連の悪魔性を許すと、結局日本人が
だめになります。朝鮮学校は、私から見れば、北のテロリストを養成するための
過程とも思います。嘘や欺瞞はやがて善悪の区別、道徳意識を麻痺させます。そ
して結局、言われれば言われるとおりに服従するようになります。これがテロリ
ストの養成訓練です。
朝総連の金正日への盲目的忠誠は深刻です。北で生まれて生きる人間は、暴力
に屈服し従うしかありませんが、自由民主主義の開放社会で生きながら、金正日
のような暴君の家来になるなど許せません。
◆日韓で北を解放するのが未来志向
朝総連は平壌に搾取されて来ました。いつも愛国献金でお金を北に吸い取られ
ました。私が今本当に朝総連の人々に訴えたいのは、一緒に虐殺者の金正日に復
讐しましょうということです。北の100年前よりもみじめな同胞を一緒に解放し
ましょう。今までもし、自分たちが間違った、騙されたということを自覚するな
ら。「地上の楽園」だとして9万人以上を北に送ったり、今も北の奴隷教育をこ
こでやっていることを反省するのであれば、本当に北の同胞を解放することを一
緒にやろうではないかということです。
それから、日本人の皆さんも、朝総連の高校に日本の税金で支援するかどう