救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

朝鮮学校、拉致記述などの改善を拒否するため、国庫補助断念か(2010/11/22)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2010.11.22)

11月20日土曜日の産経新聞は「朝鮮学校無償化 総連「条件付き」拒否 本国指令、
教科書改善に反発」という見出しの記事を掲載した。
総連が、拉致問題などの教科書記述改定を日本世府が求めるなら、朝鮮学校への国
庫補助を断念するという方針を、本国の指示で決めたという情報は、11月11日、家族
会・救う会代表が高木文科大臣に会った後、13日頃から出回っていた。
文部科学省筋のよると、11月5日の基準決定後、2週間以上経つ先週末(19日)まで、
国庫補助申請をしてきた朝鮮学校は1校もないという。
なお、補助の対象となり得る朝鮮高級学校は全国に10校(北海道、茨城、東京、神奈
川、愛知、京都、大阪、神戸、広島、福岡)ある。

総連機関紙「朝鮮新報」のウエブページでも、上記産経新聞記事を裏付ける論調の
変化が確認できた。すなわち、11月5日の高木文部科学大臣基準発表直後の6日と8日記
事は「各学校が文科省への申請を行なえば、全校が「無償化」の対象となる見通し。」
と楽観的に書いていた。ところが、11日に家族会救う会に対して高木大臣が
[1]朝鮮学校に11月30日までに申請を求め、その際教材の提出を求め内容に問題がある
かを確認し、問題があれば、改善を促すことに全力を尽くす、
[2]各種学校は都道府県の許認可なので、国としては問題がある場合は知事にも報告し、
できれば都道府県とも力を合わせて改善を求めていきたい、
と述べた。
それを受けて総連は教科書の記述の一部改定が可能か、本国に照会したはずだ。そ
の結果、不可という回答とともに、文部科学大臣の要求を不当なものとして攻撃して
「無条件での国庫補助をもとめる運動を行え」とする指令を受けたのだ。産経新聞20
日記事が書いているとおりだ。

そのことは、以下の通り、朝鮮新報が17日以降、突然論調を変えて、文部科学大臣
の基準非難と無条件補助要求を開始したことからもよくわかる。

11月5日に文部科学大臣が国庫補助適用基準を発表した直後の11月6日に〈「高校無償
化」文科省、適用基準決定〉という記事で〈この「基準」に、各地の朝鮮高級学校10
校は当てはまる。各学校が文科省への申請を行なえば、全校が「無償化」の対象とな
る見通し。〉と書いた。その記事全文を引用しておく。

[朝鮮新報 2010.11.6]
「高校無償化」 文科省、適用基準決定
朝鮮学校への「高校無償化」と関連し、高木義明文科相は5日、適用基準を発表した。
「基準」は、専修学校高等課程の設置基準がベースで、修業年限を3年以上、各学校の
年間指導計画などから、「高等学校の課程に類する課程」であるかどうかを制度的・
客観的に判断する。
この「基準」に、各地の朝鮮高級学校10校は当てはまる。各学校が文科省への申請
を行なえば、全校が「無償化」の対象となる見通し。
「基準」は、▼修業年限3年以上▼年間授業時数800時間以上▼教員数(生徒数81?200
人)6人などと定められた。
各学校は、学則、年間指導計画、施設状況、財産目録などを記した書類を添えて、
11月30日まで文科省に申請。その後、教育専門家らが各学校に対し審査を行なう。
「無償化」が適用されれば、4月にさかのぼって支援金が支給される。
朝鮮学校の「無償化」問題をめぐっては、専門家らによる「検討会議」の基準を受
け、民主党が10月21日におおむね了承する見解を示していた。
また、11月8日の〈「高校無償化」各地朝青が街頭宣伝〉という記事でも、全国各地
での街頭宣伝を紹介する中で〈先送りとなっている朝鮮学校への「無償化」適用は、
5日に発表された文科省の「基準」によると、支援の対象になる見通しである。〉と書
いていた。

ところが、8日以降9日間関係記事がなくなり、17日に〈「高校無償化」 民族教育
の自主性尊重を、佐野通夫教授に聞く〉というインタビュー記事を掲載して、インタ
ビュー冒頭の編集部のまえがき部分で文部科学大臣を非難する次のような文章を掲載
した。
〈朝鮮学校への「高校無償化」適用を先送りしている文部科学省は5日、「高等学校の
課程に類する課程」を置く外国人学校の指定に関する基準や手続きなどを制度的、客
観的に定めた規程を発表した。10校すべての朝鮮高級学校が基準を満たすことは明ら
かだ。一方、高木義明文科相は「教科書などを提出させ、内容に問題がある場合には
改善を促す」と述べた。朝鮮学校だけ教育内容を問うのは明らかな差別であり、「外
交上の配慮などにより判断するべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断す
るべき」とした政府、民主党の見解とも異なる考え方だ。〉

また、朝鮮新報日本語サイトには17日以降の関係記事は掲載されていないが、朝鮮語
サイトには
11月19日〈南朝鮮女性団体が要求 「無償化」、条件なしに即時適用を〉、
11月20日〈「高校無償化」京都で緊急集会 一日でも早く無条件適用を〉
の2本の記事が掲載されている。この2本とも文部科学大臣が付けた「条件」を問題視
して無条件での国庫補助を求めている点で、日本語版17日の記事と軌を一にしている。
11月19日〈南朝鮮女性団体が要求 「無償化」、条件なしに即時適用を〉記事では、
17日ソウルで左派系女性団体などが〈「高等学校無償化」措置を条件なしに直ちに適
用させること(傍点引用者)〉を求めて日本大使館前で記者会見をしたことを伝えた。
注目すべきは、記者会見で女性団体幹部が「初めは日本政府の<無償化>適用を歓迎し
たが、その裏面の問題点を見ることができなかった。」としていることだ。総連に国
庫補助申請断念を指令した北朝鮮が韓国の左派団体に対しても文部科学省の姿勢を非
難するように指令を出した可能性が高い。彼女らは「表面では〈無償化〉を適用する
というが条件をつけて卑劣なことをしている。」として、文部科学省が国庫補助に条
件を付けていることに攻撃の焦点を絞っている。その記事の主要部分を日本語訳して
おく。

[朝鮮新報朝鮮語 2010.11.19]
南朝鮮女性団体が要求 「無償化」、条件なしに即時適用を

「全国女性連帯」、「韓国女性団体連合」、「韓国挺身隊問題対策協議会」等の南朝
鮮女性団体ルが17日ソウルにある日本大使館の前で記者会見を持って朝鮮学校に対す
る「高等学校無償化」措置を条件なしに直ちに適用させることを促した。
女性団体関係者たちは日本政府が「無償化」適用に条件を掲げたことを問題視した。
去る5日文部科学相は授業時間などの項目が基準に合えば「無償化」対象とするという
基準を発表したが、その条件で日本教科書を参考にすることなどを要求した。
記者会見で発言した「全国女性連帯」の孫ミヒ自主統一委員長は「初めは日本政府
の<無償化>適用を歓迎したが、その裏面の問題点を見ることができなかった。 日本政
府が日本の教科書を参考にすることなどの条件を掲げているのは朝鮮学校で<独島は日
本の領土>だと書かれた日本の教科書を教えなければならないこと」とし条件撤回を促
した。
「韓国女性団体連合」朴ヨンミ共同代表も「民主党政権が〈無償化〉に条件をつけ
るのを見て、日本の正体が変わらないということを感じた。表面では〈無償化〉を適
用するというが条件をつけて卑劣なことをしている。」と差別中断を主張した。

また、11月20日〈「高校無償化」京都で緊急集会 一日でも早く無条件適用を〉記
事では、11月19日に京都で「朝鮮学校へ無条件で早急な『高校無償化』適用を要求す
る京都緊急集会」が開催されたことを伝えている。同記事によると集会で在日本朝鮮
人人権協会の金ドンハク事務局長が「11月5日に?木義明文部科学大臣が制度適用基準
に関する『規定』と『談話』を発表したことによって朝鮮学校に無償化が適用される
一定の可能性を示唆されたが、今日までもいつ適用されるのかわからないだけでなく、
地方自治体で朝鮮学校に対する助成金を削減したり凍結しようという動きまである」
と報告したという。総連は19日に「無条件の国庫補助」を求める集会を開催したのだ。
ここで注目すべきもう一つの点は、地方自治団体の補助金見直しを動きを問題視し
ていることだ。「無償化」が適用されて得られる国庫補助は約2億円だが、昨年全国の
地方自治団体が出した補助金は7億7千万円に上る。
高木文部科学大臣は11日、家族会・救う会代表に対して「各種学校は都道府県の許
認可なので、国としては(教科書の記述などに)問題がある場合は知事にも報告し、で
きれば都道府県とも力を合わせて改善を求めていきたい」と明言している。
このまま、朝鮮学校が国庫補助の申請をすれば、教科書の提出を求められ、拉致被
害者救出運動を反朝鮮人騒動と書くなどの問題記述の改善を文部科学省から求められ
るだけでなく、都道府県知事にまでその点が通報され、補助金を出している地方自治
団体からも教科書改善を求められることになる可能性があった。そうなれば2億円を得
ようとして8億円を失う結果になることも考えられる。その点に関する警戒心が高まっ
ていることを窺わせる記事である。
以上の2本の朝鮮語記事から、文部科学大臣が発表した適用基準を攻撃する運動
が17日に韓国で19日に日本でほぼ同時に始まったことが分かる。これは、申請断念へ
の事前作業とみるべきだろう。
20日産経新聞の報道のように、23日に総連が開く「民族教育強化の年」会議で、拉
致問題などの教科書記述改定を求める日本政府の姿勢を非難し、国庫補助断念を表明
することはほぼ間違いないとみられる。

我々はたとえ総連側が国庫補助申請を断念したとしても、地方自治団体に対して、
無条件での補助を停止して、教育内容と総連との一体性などについてきちんと検証し
て問題点を改善させることを補助の条件とするように運動を続ける覚悟だ。(西岡力)





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