救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

全員救出:今年にかける家族の思い?1/27連続集会報告(2011/02/03)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2011.02.03)


以下は、平成23年1月27日に文京区民センターで実施された、「東京連続集会
57」の記録です。テーマは、「全員救出:今年にかける家族の思い」で、新年
に当り、飯塚繁雄さん(家族会代表、田口八重子さん兄)、有本明弘さん(副代
表、有本恵子さん父)、横田滋さん(前代表、横田めぐみさん父)、増元照明さ
ん(事務局長、増元るみ子さん弟)、本間勝さん(田口八重子さん兄)に、「今
年にかける家族の思い」を語っていただきました。

後半で、西岡会長から、菅総理が被害者救出に自衛隊を使うと言及したこと、
救出戦略、朝鮮学校への国庫補助問題等に関する報告があり、島田洋一副会長が
各テーマでコメントしました。

また、帰国中の、海老原智治氏(北朝鮮に拉致されている人々を救援する会・
チェンマイ代表)が参加され、タイでの救出運動報告がありました。最後に、西
岡会長から、2月16日に実施する「金正日の悪行を糾弾し北朝鮮人民に真実を伝
える2.16日韓連帯集会」の案内を行いました。

■全員救出:今年にかける家族の思い?1/27連続集会報告

◆いつまで頑張ればいいのか
飯塚
皆さん今晩は。この連続集会がいつまで続くのかというのが実感です。もちろ
ん、いい形で終了するということが我々が期待し望むところですけれども、また
今年もという感じもします。皆さんも同じでしょうけれども、いろいろな活動を
やっていながら結果が見えないというのが苛立つところです。家族が帰ってくる
までは絶対に諦められないというのは当然ですけれども、然らばいつまで頑張れ
ばいいのかということがいつも頭にあります。そういったことで、期待はしつつ
も、確たる情報もないまま、また今年も頑張らなくてはいけない。

皆さん方に相当なご支援、応援を頂いているわけですから、我々が諦めたり、
あるいはやけくそになったりは絶対にできないという気持ちはあります。家族会
結成から13年以上経っていますが、経過を振り返ってみても、我々のこの運動に
対する考え方、方針、あるいは具体的な活動についてはその都度皆さんと相談し
ながら決めてきていますが、これといった秘策はないわけですから地道に活動す
るしかないと思っています。

◆ダルスマン特別報告者と面会
今日は、国連人権理事会のダルスマン特別報告者(北朝鮮人権状況担当)にお
会いしました。前はムンタポーンさんという方に非常に一生懸命やって頂きまし
たけれども、任期がきたということで交代しました。この方は1945年生まれ
で、印象的にはこの問題に国連として具体的に何ができるかという見方で考えて
おられて、今までの報告プラスアルファとして新しい取り組みをしていきたいと
おっしゃっていました。そういうことでは、国連としての立場からどういう解決
策があるのかということも見出しながら、ある意味見直していきたいと言ってお
られました。我々は対外的に、国連との関係、あるいはアメリカとの関係、韓国
との関係と、国際的にいろいろご支援を頂くお付き合いがあるのですけれども、
それはそれで我々の願いをいつも託していきたいと考えています。

3月頃には(国連に提出する)報告書が出来上がるということなのですが、拉
致の実態を正確に知りたいという強い意向があるようです。政府認定の被害者は
明らかですけれども、その他に特定失踪者の方々が本当に何人いるのか、そういっ
たことを、はっきりとした情報を取りながらその人数については何人ぐらいとい
うのではなくて、もっとインパクトが与えられるように、これだけいるというこ
とをはっきりと国際社会に訴えていきたいということを言っていました。

◆新たな拉致問題担当大臣
今年もということになりますけれども、政府のほうは担当がコロコロ代わって、
実は明日、中野大臣と会うことになっているのですけれども、中野大臣がどれだ
け知識を持ち、考え方を持ち、どう取り組んでいくかということは実際に会って
話をしてみなければわからないんですけれども、手紙を頂いた中では、「拉致被
害者の一日も早い帰国がかなうように努力しなければならないと痛感しておりま
す」、「歴代大臣が取り組んできたことを引き継がせていただき、拉致問題対策
本部の総力をあげて、誠心誠意取り組む所存です」とありましたが、いつも感じ
ることは、担当だからやるということと、必ず「誠心誠意」とか「全力を尽くし
て」とか「一生懸命」とかという文言が入ってくるのですけれども、具体的に何
を以って全力を尽くすのか、どなたも見えない。したがって、一生懸命やってい
ます、やっていますということでまた流れてしまうのかという懸念もあります。
そして、担当大臣だけがこういった気持ちでいたとしても政権全体が、あるいは
総理が旗を振って具体的に指示をしていかないと、一応やっていますという形だ
けに終わるという懸念が感じられます。

今年は、前に約束した月1回の家族会、救う会、調査会との意見交換会の場が
継続されると聞いていますので、そういった所で、我々は我々の考え方というも
のをはっきり申し上げて、その後どうなったかということを毎月毎月フォローし
ていきたいと考えています。

総理の施政方針演説の中でも、拉致に対する言及が若干ありました。これも先
ほど言ったように、内容としては「日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイル
といった諸懸案の包括的解決を図るとともに、不幸な過去を清算し、国交正常化
を追及します」、「拉致問題については、国の責任において、すべての拉致被害
者の一刻も早い帰国を実現するため、全力を尽くします」とここでも言っていま
す。

前原外務大臣についても同じことを言っています。先日のちょっとした発言の
中で、北朝鮮と直接交渉を考えているという話もありましたけれども、これにつ
いては、単に北朝鮮に交渉を申し込んで、交渉のための交渉という形にならない
ように、しっかりとした戦略を持って、あるいは交渉する前の段取り、状況をき
ちっと作り上げて、それをカードにして交渉するという形が望ましいわけですが、
うっかりすると北朝鮮のしたたかな戦略に乗ってしまうという恐れもあります。
突破口が何か開けないかというのが我々の偽らざる思いですが、これについても
単に一人の大臣が考えたことをそのまま進めるというのではなくて、国としてこ
うする、あるいは総理としてこうしたいんだということを含めて戦略的な形とし
て進めて頂きたいと思います。

◆被害者情報は家族だけに
最近のニュースの中で、(妹の)田口八重子の消息についてもいろいろニュー
スが出ています。この記事によれば、平壌の万景台という所のアパートに住んで
いるところを目撃した人から聞いたというニュースです。この信憑性はいろいろ
問題がありますが、私は、今までの流れからすると、それは合っているのではな
いかと感じています。半々の気持ちですけれども。我々被害者は、皆生きている
という確信を持っていますので、それが少しずつ実証されてきている傾向にある
なと感じます。当然マスコミはニュースの出所は話してくれません。政府にも問
いただしたところ、それは全くないと、公表も何もしていない、見解も話してい
ないということです。私たちは最終的には政府からの情報が信用される情報だと
考えています。

情報がある程度分かったとして、これを公開していいかどうかという判断も必
要なのではないか。政府の対策本部に対して我々は、個人的な情報があれば、そ
の家族だけに経過なり結果を知らせてほしいという申し入れをしております。はっ
きりと政府が公開した場合どうなるかという心配もあります。被害者は完全に北
朝鮮当局に管理されていると我々は考えております。完全に管理されている被害
者が街の中をうろうろしたり、人目につくような所にいられる訳がないというこ
とを考えれば、情報の信憑性も若干疑われることもあります。ですが、流れから
すれば、最近は、八重子は生きていると確信を持っています。こういうニュース
に大騒ぎすると、北朝鮮が、そんなに騒ぐのだったら違う所に移して絶対にわか
らないようにしてしまおうとかいうことにつながってくる恐れがあるとも考えて
います。そういうことで、一応ニュースはニュースとして聞いておきますけれど
も、家族としてはあまり騒がないでほしいというのが実感です。もしはっきりと
した情報があれば家族にだけはきちっとした話をして頂く。それでいいんです。

ですけれども、これは条件であって、生きているだけでは解決になりません。
生きている被害者をどうやって早く取り返すのか、助け出すのか、そこまで考え
て、結果的には無事帰国ができたという所まで行かなくてはいけない話です。こ
ういったことに対して一喜一憂するわけではないですが、こういった個人情報が
いろいろ固まって集まってきて全体の情報としてどうなっていくのか。そういう
全体像を見ながら解決に向けての対応をしていただきたいと、明日の大臣面会で
もお願いしたいと考えています。

◆二の次になってしまう拉致問題
国民の皆様の拉致問題に対する世論の高まりというのは感じています。世論が
高まったということは一つの現象であって、当然それが次の対策につながるとい
うことは分かっています。しかしながらそれだけではないと思います。最近皆さ
んからよく聞かれるのは、「協力をしたいけれども実際に私は何をすればいいの
ですか」という質問が多くなっています。非常にありがたい気持ちですけれども、
よく聞いてみると、結論的には、政府は何をやっているんだと、残念ながらそこ
につながってきます。政府は一生懸命やっていますというのはいいことなんです
けれども、これが毎年毎年同じパターンで過ぎてしまうのは困るわけです。今回
また新しく大臣が変わりましたけれども、その大臣がある力を持っていないとい
けないと思います。単に事務的に何事も済ましてしまうようでは困るわけですか
ら、しっかりした考え方を強く現して頂いて、それを政府に強く反映して頂いて
全体が動くように持って行って頂きたいというのが私の気持ちです。

もちろん、これがまだ解決しなければ、速く解決せよという国民の集会や署名
活動やいろいろな取り組みがあります。これは私たちにとって非常にありがたい
ことですので、そういうことがあれば出来るだけ皆さんと一緒に考え行動し世論
を高めていく。これは根底にある絶対不可欠な状況であって、保持していかなけ
ればならないことです。前に何回も言いましたが、世論がなければ政府もこんな
程度でいいかという形に終わるかもしれません。世論が強ければ、何やってんだ、
もっとやれ、早くしろ、という意見が非常に強ければこの問題をおろそかにでき
ないということになります。どんな問題でもそうですけれども特に拉致問題は政
府の一番の重要課題であるわけです。と言っていながらも、いろんな場面を見ま
すと、最重要課題としての姿勢とか動きとかが見えないんですね。どうしても陰
に隠れてしまう、二の次になってしまうと感じられてなりません。したがって、
そうならないようにするにはどうすればいいかということを皆様とも相談しなが
ら今年もいろいろ対応していきたいと考えています(拍手)。

(つづく)

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