金正日死後の情勢を拉致被害者救出にどう活かすか?東京連続集会報告3(2012/02/08)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.02.08-3)
◆我々は勝つという信念を持つべき
洪 敢えて核の問題を申し上げます。金正恩は、「北の原爆は金正日の遺産だ」
と宣言しています。今、6者協議の話が卑怯な外交官たちによって色々考えられ
ているようですが、北ははたして原爆を放棄できるのか。私は、これは結論的に
できないと思います。皆さんが知っている3つの顔の北があります。
北は去年、カダフィーが追われた時、カダフィー側にたくさんの武器を支援し
ました。北はリビアとも軍事同盟を結んでいました。カストロのキューバとも軍
事同盟を結んでいます。北は、80年代から金正日によって行われたことですが、
世界的な規模で、アメリカとはとても同じ空の下で生きることができないという
覚悟を決めた体制です。
だからアメリカとしても、先ほどイランの話が出ましたが、このままではどう
しようもないということを分かっています。最近噂としては、北がいよいよ自分
たちの原爆を国際闇市場に出していると見る人もいるくらい深刻な問題です。こ
ういう世界的な規模の問題が整理されないと、他の問題も進まないと思います。
我々の歴史上一番野蛮な例の一つとしてヒットラーがやったアウシュビッツ収
容所のことを挙げる方が多いのですが、アジアでもアウシュビッツ以上の悪魔的
な虐殺をする収容所があったのです。毛沢東時代の中国、今も中国では色々なこ
とがありますが、カンボジアのポル・ポトによる虐殺もありました。
今一番悪質な形で生き残っているのが、実は北朝鮮です。ただ、今、北の人々
はみんな変わってほしいと、何か変化が来るのではないかと待っているんです。
待っているから金正恩の第一声は、「何も期待するな」と言いましたし、アジア
全体で自由民主主義のとりでは実は日本と韓国だけです。
アラブの春はヨーロッパ人が支援したのに、アジアでは自由を待ち続ける人々
のためにアジア人は今まで何も行動をしてこなかった。核の問題も併せ、すべて
の問題をどう解決するかという歴史意識、必ず我々が勝ちますから勝利する側は
勝利者らしい意識が必要だと思います。
あまり関心がなく、本当に自分のことだと思わないような外交官たちに、この
問題の解決を任せてはいけないと思います。
西岡 今の最後に、洪先生は、「我々は勝つという信念を持つべきだ」という発
言がありました。実はこれは島田さんに教えてもらったのですが、レーガン大統
領の戦略なんですね。レーガン大統領はソ連と対峙していました。その時ソ連を、
「悪の帝国」と呼んだのです。
当時、アメリカのキッシンジャーさんくらいのインテリも含めて、レーガンは
狂ったのかと言われていたんです。アメリカの保守、そしてインテリの人たちの
大多数は、「世界は共産化へ向かっているけれど、アメリカが頑張ればその速度
を遅くできる」くらいにしか思っていなかったのです。
しかしレーガンの戦略は何かと言ったら、「あいつらは悪い、悪である。だか
ら我々は勝つんだ」と。そう言ったんですよね。
島田 「あなたの対ソ戦略は何ですか」と聞かれたレーガンの答えは、「ウィー
ウィン ゼイ ルース」、「我々が勝つ、彼らが負ける。これが私の対ソ戦略」
と一言で答えたという話です。
◆野田総理は「すべての拉致被害者を即刻帰国させよ」と繰り返し主張を
西岡 それがまさに価値観外交なんですね。外交に価値観を持ち込むべきだとい
うことを始めたのがレーガン大統領で、任期中にソ連は倒れませんでしたが、そ
のすぐ後に倒れました。洪先生は、「歴史の反動」と言いましたが、北朝鮮を戦
後史に位置づけるならば、毛沢東がやった大躍進と文化大革命が未だに続いてい
るんです。二重に遅れています。
毛沢東は、大躍進と文化大革命で数千万人の人間を殺しました。ポル・ポト政
権は国民の25%を殺しましたが、そのようなやり方では一党独裁が持たないと
思って、資本主義的な要素を取り入れるということを世界の共産党がやりはじめ
たのが80年代、90年代ですが、世界の共産党が自分のためにやり始めたこと
すら北朝鮮はやらないで、未だに人民に大量虐殺を強いる体制が続いているとい
う点で二重に遅れています。偽の遺骨を出してくるということも本当に野蛮なこ
と、アウシュビッツでナチスがやったようなこと、毛沢東やスターリンがやった
ようなことが未だに続いているわけです。
中国共産党はその真ん中にいます。我々は自由民主主義という人類の歴史の進
歩の最前線にいるわけです。アジアでは日本と韓国だと洪先生はおっしゃいまし
た。彼らは自国民拉致被害者を救おうとしない。人権野蛮国です。
そういう大きな歴史の流れを見るならば、金正恩という20代の若者が、大き
な歴史の流れの中で、自由を求める市場勢力と特権を求めて改革開放で終らせよ
うと思う特権層の両方にふたをしておくことができるのか。そのために大量虐殺
を今しようとしていますが、多分彼は飛ぶだろうというのが私の見通しです。
この4人皆が金正恩政権は短命だという見通しを持っていました。ではその中
で今日本は何をすべきか。昨年12月に、在京外国大使らを集めた席で野田総理
がこう言いました。「北朝鮮は拉致問題は解決済み、北朝鮮にはもはや日本人の
被害者はいないと主張しているけれど、納得のいく説明は一切ない。私はすべて
の拉致被害者を即刻帰国させよと改めて強く訴えたい」。これは西岡力が言った
のではなく、野田総理の言葉です。
実は我々は去年9月に、野田総理にこれをしないと座り込みをするぞとして3
つのことを要請した。その一つが、「自分の口で被害者を返せと言ってくれ」と
いうことでした。
施政方針演説では「帰国させよと訴える」という言葉はありませんでした。
「拉致問題を解決しなければならない」と言った。政策を言うのですから、そう
いう言葉になるのかもしれませんが、メッセージとしては弱い。
「納得のいく説明は一切ない」、「すべての拉致被害者を即刻帰国させよ」。
この12月のメッセージを繰り返し言ってほしい。こういう声が日本中から出続け
るということが第一だと思います。それは、「我々は今の北朝鮮の説明に納得し
ていない。総理大臣さえこう言っている。自民党も民主党も公明党もなく、みん
な同じだ」という声です。
金正日が拉致を認めたけれど、「もう終った」、「においもない」と言ってい
る時に、「納得できていない。全員返しなさい」という声を強く出し続けて、不
安定な中で金正恩政権も自分の政権を守り続けるためにモノとカネが必要です。
金正日も、米国の強い軍事圧力の前で政権の存続の危機に立ってはじめて5人
を返したわけです。それはアメリカの圧力で、自分が倒れそうになったと思った
からです。強い圧力がかかった時に交渉が始まるのですが、向こうから交渉した
いと言ってくる時に、拒否する必要は全くないと思います。秘密交渉をすればい
い。
しかし、交渉するというだけで褒美を与えてはならない。それが第1原則だと
思います。褒美は何か実質的な譲歩をしてきた時に与える。その原則を持って、
全員返しなさいといい続けるという今の野田政権、松原大臣の姿勢は、私は悪く
ないと思っています。今の対応を変える必要はない。より強くメッセージを出し
てほしいですが。
ただ色々なところで拉致を棚上げにしてモノを取りたいとか、拉致を解決する
と口で言うだけでモノを取りたいという政治工作が去年から激しくなってきてい
ます。今年になってもあります。それに騙されてはならない。歴史の流れは金正
恩政権が倒れ、そして北朝鮮が改革開放のところで止まって中国の支配下に入る
のか、自由化までいくのか。そういうところに今来ている。
もう一つ気をつけなければいけないのは、そのプロセスで混乱が起きるかもし
れないということです。混乱が起きた場合は韓国とアメリカは北進して北朝鮮を
接収するという軍事作戦計画を持っています。その作戦計画の中には、当然、自
由民主主義国家である韓国とアメリカの作戦計画である以上、「不法に抑留され
ている外国人を解放する」ことが作戦計画に入っているということです。これは
洪先生から繰り返し聞いています。
しかし、その作戦計画を行うには情報が必要です。どこに何人いそうなのか。
そういうことについて不断に情報収集し、そして韓国政府、アメリカ政府と戦略
的対話を静かに水面下で進めておくということも、これまで要求してきた通り進
めてもらわなければならないということです。
一つだけ「歴史の反動」が続いてしまう不安な要素があるとすれば、韓国です。
韓国は今年選挙の年です。左翼勢力が地下に隠れていた人たちも全部出てきて全
力で、彼らの最後の力をふりしぼって、もう一度先軍政治の金正恩政権を支える
親北政権を作ろうと必死になっています。
統合野党の党首になった韓明淑(ハン・ミンスク)という女性は、国家保安法
違反で逮捕されたし、夫は国家保安法違反で長く刑務所に入っていた北朝鮮のス
パイです。北朝鮮のスパイが野党の党首になった。明確です。北も隠していない。
持っている力を全部出して韓国をもう一度取ろうとしてきている。
12月の大統領選挙で、韓国がもう一度親北政権になると、「歴史の反動」の
金正恩に大規模な支援が行くかもしれない。韓国の中で流血が起きるかもしれな
いという心配をしています。そういうことも含めて、今年は大変流動的です。
しかし我々は、冒頭申し上げましたように、この流動的な状況の中で、「日本
は北朝鮮の説明に全然納得していない。全員返しなさい」と野田総理が言ったこ
とを、繰り返し、どこでもいつでも誰に対しても言うというメッセージを発しな
がら、臨機応変に情勢に立ち向かっていかなければならない。いよいよ膠着状態
が終って嵐が来つつあると思っています。
【質疑応答】
◆6者協議はやる意味がない
問 状況が複雑だということはよく分かっていますが、総理、大臣が6者協議を
再開してくれると思っていました。それではだめですか。
洪 6者協議は中国の戦略です。中国を、実際の中国以上に見せ、彼に力を与え
てしまうようなもので、中国の描く戦略に乗るのが6者協議です。6者協議の中
で核武装していないのは日本と韓国だけですから、6者協議でもしまともにやる
のであれば、(北朝鮮の核廃棄が)解決しなかったから韓国も日本も核武装する
という形で中国を圧迫しない限り、6者協議はやる意味がないと思います。
惠谷 6者協議を理解してください。これは米朝協議です。その中には我々もい
るのですが、核をやめさせようという会議です。基本的に米朝で始まり、それで
は何を言い出すか分からないというので4か国増えた。アメリカは核を止めさせ
たいと同時に、有権者に対してきちんとした外交交渉をしていると見せている。
北朝鮮は、アメリカと交渉している限り、金正日が恐れていた米軍の直接攻撃
はありえないという、米朝にとって両者のアリバイづくりだけなんです。北朝鮮
から見ると、その過程で取れるものがあればいい。核を止める気なんか何もない
ですから。だからどんなに粘ってもこの交渉では結論が出ません。アリバイづく
りだけなんです。無意味なんです。
北朝鮮が出てくる会議の金もすべて我々が払っている。北朝鮮は金がないから
一切払っていない。そういうばかげた会議は止めなくちゃいけないんです。しか
し、国際的なアリバイづくりのための6者協議。洪先生が言われたように、それ
を中国が利用している。これが6者協議の構図です。こんなものを支持してはい
けません。
西岡 つまり、圧力がないんです。アメリカは、6者で話がまとまった時に、デ
ビット・アッシャーという人が中心になって金融制裁をやったのです。金融制裁
は効いたのです。ところが、北朝鮮が核を止めると口約束したから、煙突を爆破
したからと言って、金融制裁をやめちゃったのです。
そして何が起きたかというと、核実験があり、核開発が進んでいるというだけ
です。私は、6者協議自体をそれほど重視しませんから、やるというならやったっ
ていいですが、外務省の人はそれが仕事ですから、しかし国務省があるみたいに
会議参加料を払っちゃだめだと思います。
人質犯とマイクでやり取りしてもいい。核武装している人間に、「お前核を止
めないとひどい目にあわせるぞ」と話し合いをするのはいい。協議自体は中立で
す。ただやり方が、協議に出てくれたらほうびを出すという、例の「プランピー
・ナッツ」を24万トン出すというようなことは絶対反対です。
北朝鮮は一度出るのをやめ、また出たり入ったりすればそれでほうびをもらえ
るわけですから。そういうやり方が失敗なんです。拉致問題で言えば、6者協議
の外で金融制裁が効いていた2008年6月と8月に日朝実務者協議になったん
です。福田政権の最後の時の、「調査のやり直し」の協議は6者協議の外です。
向こうが必要であれば、どこの場でも協議はしてくるんです。必要だと思わせ
るために圧力が必要です。ところが、圧力ではなくアメで協議をするなんてこと
を未だにやっているということ自体、何にも学んでいないということではないか
と思います。
以上
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■野田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]https://www.kantei.go.jp/k/iken/im/goiken_ssl.html?guid=ON
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 野田佳彦殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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◆我々は勝つという信念を持つべき
洪 敢えて核の問題を申し上げます。金正恩は、「北の原爆は金正日の遺産だ」
と宣言しています。今、6者協議の話が卑怯な外交官たちによって色々考えられ
ているようですが、北ははたして原爆を放棄できるのか。私は、これは結論的に
できないと思います。皆さんが知っている3つの顔の北があります。
北は去年、カダフィーが追われた時、カダフィー側にたくさんの武器を支援し
ました。北はリビアとも軍事同盟を結んでいました。カストロのキューバとも軍
事同盟を結んでいます。北は、80年代から金正日によって行われたことですが、
世界的な規模で、アメリカとはとても同じ空の下で生きることができないという
覚悟を決めた体制です。
だからアメリカとしても、先ほどイランの話が出ましたが、このままではどう
しようもないということを分かっています。最近噂としては、北がいよいよ自分
たちの原爆を国際闇市場に出していると見る人もいるくらい深刻な問題です。こ
ういう世界的な規模の問題が整理されないと、他の問題も進まないと思います。
我々の歴史上一番野蛮な例の一つとしてヒットラーがやったアウシュビッツ収
容所のことを挙げる方が多いのですが、アジアでもアウシュビッツ以上の悪魔的
な虐殺をする収容所があったのです。毛沢東時代の中国、今も中国では色々なこ
とがありますが、カンボジアのポル・ポトによる虐殺もありました。
今一番悪質な形で生き残っているのが、実は北朝鮮です。ただ、今、北の人々
はみんな変わってほしいと、何か変化が来るのではないかと待っているんです。
待っているから金正恩の第一声は、「何も期待するな」と言いましたし、アジア
全体で自由民主主義のとりでは実は日本と韓国だけです。
アラブの春はヨーロッパ人が支援したのに、アジアでは自由を待ち続ける人々
のためにアジア人は今まで何も行動をしてこなかった。核の問題も併せ、すべて
の問題をどう解決するかという歴史意識、必ず我々が勝ちますから勝利する側は
勝利者らしい意識が必要だと思います。
あまり関心がなく、本当に自分のことだと思わないような外交官たちに、この
問題の解決を任せてはいけないと思います。
西岡 今の最後に、洪先生は、「我々は勝つという信念を持つべきだ」という発
言がありました。実はこれは島田さんに教えてもらったのですが、レーガン大統
領の戦略なんですね。レーガン大統領はソ連と対峙していました。その時ソ連を、
「悪の帝国」と呼んだのです。
当時、アメリカのキッシンジャーさんくらいのインテリも含めて、レーガンは
狂ったのかと言われていたんです。アメリカの保守、そしてインテリの人たちの
大多数は、「世界は共産化へ向かっているけれど、アメリカが頑張ればその速度
を遅くできる」くらいにしか思っていなかったのです。
しかしレーガンの戦略は何かと言ったら、「あいつらは悪い、悪である。だか
ら我々は勝つんだ」と。そう言ったんですよね。
島田 「あなたの対ソ戦略は何ですか」と聞かれたレーガンの答えは、「ウィー
ウィン ゼイ ルース」、「我々が勝つ、彼らが負ける。これが私の対ソ戦略」
と一言で答えたという話です。
◆野田総理は「すべての拉致被害者を即刻帰国させよ」と繰り返し主張を
西岡 それがまさに価値観外交なんですね。外交に価値観を持ち込むべきだとい
うことを始めたのがレーガン大統領で、任期中にソ連は倒れませんでしたが、そ
のすぐ後に倒れました。洪先生は、「歴史の反動」と言いましたが、北朝鮮を戦
後史に位置づけるならば、毛沢東がやった大躍進と文化大革命が未だに続いてい
るんです。二重に遅れています。
毛沢東は、大躍進と文化大革命で数千万人の人間を殺しました。ポル・ポト政
権は国民の25%を殺しましたが、そのようなやり方では一党独裁が持たないと
思って、資本主義的な要素を取り入れるということを世界の共産党がやりはじめ
たのが80年代、90年代ですが、世界の共産党が自分のためにやり始めたこと
すら北朝鮮はやらないで、未だに人民に大量虐殺を強いる体制が続いているとい
う点で二重に遅れています。偽の遺骨を出してくるということも本当に野蛮なこ
と、アウシュビッツでナチスがやったようなこと、毛沢東やスターリンがやった
ようなことが未だに続いているわけです。
中国共産党はその真ん中にいます。我々は自由民主主義という人類の歴史の進
歩の最前線にいるわけです。アジアでは日本と韓国だと洪先生はおっしゃいまし
た。彼らは自国民拉致被害者を救おうとしない。人権野蛮国です。
そういう大きな歴史の流れを見るならば、金正恩という20代の若者が、大き
な歴史の流れの中で、自由を求める市場勢力と特権を求めて改革開放で終らせよ
うと思う特権層の両方にふたをしておくことができるのか。そのために大量虐殺
を今しようとしていますが、多分彼は飛ぶだろうというのが私の見通しです。
この4人皆が金正恩政権は短命だという見通しを持っていました。ではその中
で今日本は何をすべきか。昨年12月に、在京外国大使らを集めた席で野田総理
がこう言いました。「北朝鮮は拉致問題は解決済み、北朝鮮にはもはや日本人の
被害者はいないと主張しているけれど、納得のいく説明は一切ない。私はすべて
の拉致被害者を即刻帰国させよと改めて強く訴えたい」。これは西岡力が言った
のではなく、野田総理の言葉です。
実は我々は去年9月に、野田総理にこれをしないと座り込みをするぞとして3
つのことを要請した。その一つが、「自分の口で被害者を返せと言ってくれ」と
いうことでした。
施政方針演説では「帰国させよと訴える」という言葉はありませんでした。
「拉致問題を解決しなければならない」と言った。政策を言うのですから、そう
いう言葉になるのかもしれませんが、メッセージとしては弱い。
「納得のいく説明は一切ない」、「すべての拉致被害者を即刻帰国させよ」。
この12月のメッセージを繰り返し言ってほしい。こういう声が日本中から出続け
るということが第一だと思います。それは、「我々は今の北朝鮮の説明に納得し
ていない。総理大臣さえこう言っている。自民党も民主党も公明党もなく、みん
な同じだ」という声です。
金正日が拉致を認めたけれど、「もう終った」、「においもない」と言ってい
る時に、「納得できていない。全員返しなさい」という声を強く出し続けて、不
安定な中で金正恩政権も自分の政権を守り続けるためにモノとカネが必要です。
金正日も、米国の強い軍事圧力の前で政権の存続の危機に立ってはじめて5人
を返したわけです。それはアメリカの圧力で、自分が倒れそうになったと思った
からです。強い圧力がかかった時に交渉が始まるのですが、向こうから交渉した
いと言ってくる時に、拒否する必要は全くないと思います。秘密交渉をすればい
い。
しかし、交渉するというだけで褒美を与えてはならない。それが第1原則だと
思います。褒美は何か実質的な譲歩をしてきた時に与える。その原則を持って、
全員返しなさいといい続けるという今の野田政権、松原大臣の姿勢は、私は悪く
ないと思っています。今の対応を変える必要はない。より強くメッセージを出し
てほしいですが。
ただ色々なところで拉致を棚上げにしてモノを取りたいとか、拉致を解決する
と口で言うだけでモノを取りたいという政治工作が去年から激しくなってきてい
ます。今年になってもあります。それに騙されてはならない。歴史の流れは金正
恩政権が倒れ、そして北朝鮮が改革開放のところで止まって中国の支配下に入る
のか、自由化までいくのか。そういうところに今来ている。
もう一つ気をつけなければいけないのは、そのプロセスで混乱が起きるかもし
れないということです。混乱が起きた場合は韓国とアメリカは北進して北朝鮮を
接収するという軍事作戦計画を持っています。その作戦計画の中には、当然、自
由民主主義国家である韓国とアメリカの作戦計画である以上、「不法に抑留され
ている外国人を解放する」ことが作戦計画に入っているということです。これは
洪先生から繰り返し聞いています。
しかし、その作戦計画を行うには情報が必要です。どこに何人いそうなのか。
そういうことについて不断に情報収集し、そして韓国政府、アメリカ政府と戦略
的対話を静かに水面下で進めておくということも、これまで要求してきた通り進
めてもらわなければならないということです。
一つだけ「歴史の反動」が続いてしまう不安な要素があるとすれば、韓国です。
韓国は今年選挙の年です。左翼勢力が地下に隠れていた人たちも全部出てきて全
力で、彼らの最後の力をふりしぼって、もう一度先軍政治の金正恩政権を支える
親北政権を作ろうと必死になっています。
統合野党の党首になった韓明淑(ハン・ミンスク)という女性は、国家保安法
違反で逮捕されたし、夫は国家保安法違反で長く刑務所に入っていた北朝鮮のス
パイです。北朝鮮のスパイが野党の党首になった。明確です。北も隠していない。
持っている力を全部出して韓国をもう一度取ろうとしてきている。
12月の大統領選挙で、韓国がもう一度親北政権になると、「歴史の反動」の
金正恩に大規模な支援が行くかもしれない。韓国の中で流血が起きるかもしれな
いという心配をしています。そういうことも含めて、今年は大変流動的です。
しかし我々は、冒頭申し上げましたように、この流動的な状況の中で、「日本
は北朝鮮の説明に全然納得していない。全員返しなさい」と野田総理が言ったこ
とを、繰り返し、どこでもいつでも誰に対しても言うというメッセージを発しな
がら、臨機応変に情勢に立ち向かっていかなければならない。いよいよ膠着状態
が終って嵐が来つつあると思っています。
【質疑応答】
◆6者協議はやる意味がない
問 状況が複雑だということはよく分かっていますが、総理、大臣が6者協議を
再開してくれると思っていました。それではだめですか。
洪 6者協議は中国の戦略です。中国を、実際の中国以上に見せ、彼に力を与え
てしまうようなもので、中国の描く戦略に乗るのが6者協議です。6者協議の中
で核武装していないのは日本と韓国だけですから、6者協議でもしまともにやる
のであれば、(北朝鮮の核廃棄が)解決しなかったから韓国も日本も核武装する
という形で中国を圧迫しない限り、6者協議はやる意味がないと思います。
惠谷 6者協議を理解してください。これは米朝協議です。その中には我々もい
るのですが、核をやめさせようという会議です。基本的に米朝で始まり、それで
は何を言い出すか分からないというので4か国増えた。アメリカは核を止めさせ
たいと同時に、有権者に対してきちんとした外交交渉をしていると見せている。
北朝鮮は、アメリカと交渉している限り、金正日が恐れていた米軍の直接攻撃
はありえないという、米朝にとって両者のアリバイづくりだけなんです。北朝鮮
から見ると、その過程で取れるものがあればいい。核を止める気なんか何もない
ですから。だからどんなに粘ってもこの交渉では結論が出ません。アリバイづく
りだけなんです。無意味なんです。
北朝鮮が出てくる会議の金もすべて我々が払っている。北朝鮮は金がないから
一切払っていない。そういうばかげた会議は止めなくちゃいけないんです。しか
し、国際的なアリバイづくりのための6者協議。洪先生が言われたように、それ
を中国が利用している。これが6者協議の構図です。こんなものを支持してはい
けません。
西岡 つまり、圧力がないんです。アメリカは、6者で話がまとまった時に、デ
ビット・アッシャーという人が中心になって金融制裁をやったのです。金融制裁
は効いたのです。ところが、北朝鮮が核を止めると口約束したから、煙突を爆破
したからと言って、金融制裁をやめちゃったのです。
そして何が起きたかというと、核実験があり、核開発が進んでいるというだけ
です。私は、6者協議自体をそれほど重視しませんから、やるというならやったっ
ていいですが、外務省の人はそれが仕事ですから、しかし国務省があるみたいに
会議参加料を払っちゃだめだと思います。
人質犯とマイクでやり取りしてもいい。核武装している人間に、「お前核を止
めないとひどい目にあわせるぞ」と話し合いをするのはいい。協議自体は中立で
す。ただやり方が、協議に出てくれたらほうびを出すという、例の「プランピー
・ナッツ」を24万トン出すというようなことは絶対反対です。
北朝鮮は一度出るのをやめ、また出たり入ったりすればそれでほうびをもらえ
るわけですから。そういうやり方が失敗なんです。拉致問題で言えば、6者協議
の外で金融制裁が効いていた2008年6月と8月に日朝実務者協議になったん
です。福田政権の最後の時の、「調査のやり直し」の協議は6者協議の外です。
向こうが必要であれば、どこの場でも協議はしてくるんです。必要だと思わせ
るために圧力が必要です。ところが、圧力ではなくアメで協議をするなんてこと
を未だにやっているということ自体、何にも学んでいないということではないか
と思います。
以上
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■救う会全国協議会ニュース
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担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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