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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

ミサイル発射予告をどう見るか?東京連続集会65[2](2012/04/19)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.04.19-2)

【第2部】ミサイル発射予告をどう見るか

西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授)

 みなさんこんばんは。当初は、島田さんがワシントンに行ってアメリカの政府
や議会関係者と会ってこられたのでそのことを報告してもらうことにしようかな
と思っていたのですが、ミサイル発射が近づいて、最近のニュース番組で惠谷さ
んの顔をみない日がないくらいです。もちろんミサイル問題そのものが我々の課
題ではありませんが、密接な関係があるということで、ミサイル発射に向けた情
勢はどうなっているのか、軍事的な専門知識も必要な分野ですから惠谷さんにも
来てもらって、3人で議論をしたいと思います。

 また、私もソウルに行ってきましたので、韓国情勢について話をしたいと思い
ます。先ほど、飯塚さん、増元さんからも話がありましたが、当面のことについ
て若干申し上げ、島田さんの報告に移りたいと思います。

 配布資料の中で、4月3日付けの要請があります。その日、政府が現行の対北
朝鮮制裁延長を決めたことに対して松原大臣に会って、

1.北朝鮮の拉致解決への決断を促すために、拉致問題での不誠実な態度を理由
として追加制裁を発動していただきたい。

2.その際には、在日朝鮮人への北朝鮮を渡航先とする再入国不許可範囲の拡大
と、申告すれば無制限に送金・持出しが可能な現状を改め送金・持出し額を制限
することなど実効性のある制裁を発動していただきたい。

 という野田総理宛の家族会・救う会としての要請を行いました。

 4月13日に、今日本政府がやっている北朝鮮に対する制裁の期限が来ます。
日本政府は北朝鮮に対して、様々な制裁措置をとっていますが、今、1年に1回
見直すことになっています。その期限が4月13日です。

 見直しということは制裁を緩めることもありうるわけですが、我々は追加して
ほしいと言っていました。4月3日の閣議でそのまま延長することが決まりまし
た。

 まず、現行の制裁について、具体的にどういう制裁がかかっているかを整理し
ます。

 増元さんが、「ヒト、モノ、カネ」を止めてほしいという話をしましたが、
「モノ」はほぼ止まっています。貿易は輸出入とも禁止しています。密輸で捕まっ
た人はいますが、ほとんど止まっています。これは軍需物資に限るというような
ことではなく、全部禁止です。

 船については、北朝鮮船籍の船は一切日本に入れない。貿易ができていた時は、
ロシア船を北朝鮮がチャーターして、日本の港で中古自転車を積んでいったりし
たことがありますが、それも貿易に当たりますので止まっている。その結果、チャー
ター船も来なくなりました。万景峰号は北朝鮮でホテル船として使われていると
の報道がありました。貿易も船も止まっています。

 そして人道支援も止めています。これは多分、世界で日本だけだと思います。
人道支援は、偽の遺骨が出てきたり、偽の死亡診断書が出てきた時2004年12月に
止めた。その年、小泉総理が二度目の訪朝で25万トンの食糧支援を約束しまし
た。その内、12万5千トンは先に送りましたが、残りの12万5千トンを出す
前に北が出してきたのが偽物だったということでこれを止めたわけです。それ以
降も人道支援は一切止めています。

 では「ヒト」、「カネ」はどうか。これらは全面制裁までは行っていません。
「ヒト」については、北朝鮮の政策に責任がある人だからということで私たちが
名指しで要求したのですが、北朝鮮の国会議員、最高人民会議代議員を兼ねてい
る朝鮮総連の幹部の再入国が不許可になっている。もともと、総連幹部から7人
の最高人民会議代議員が出ていた。韓徳銖(ハンドクス)という前の議長が死ん
で6人になっていたのですが、今は徐萬述(ソ・マンスル)という次の議長も死
にましたので5人です。

 日本は自由民主主義国家ですので、外国人の出国は誰でも認める。北朝鮮はめ
ぐみさんたちの出国を認めないから怒っているわけで、日本人妻も自分の意思で
北朝鮮に入ったとはいえ、今も出国できないという非道い人権侵害を受けている
のです。日本は、出国は認める。ただ帰ってくるときに、出国の時の在留資格は
普通はなくなります。永住権という言葉がありますが、あくまで永住許可です。
永住許可を貰っている人でも出国してしまえば、永住許可はなくなります。しか
し、出国前に入管に行って、再入国許可を貰うと、つまり出国しても再び戻って
くる許可を貰うと永住許可が失効にならないで一時旅行として戻ってくることが
できます。

 ですから、朝鮮総連の幹部が北に行くことは自由なんです。だから金正日の葬
式にも行けたんです。自分の国でやっている葬式に出国の自由はあるんです。し
かし、増元るみ子さんは、お父さんの葬式に出られなかった。出国の自由がない
からです。

 今、再入国許可を止めているのはたった5人です。それ以外の朝鮮総連の幹部
はしょっちゅう北朝鮮と行き来しています。今回私が調べたところでは、朝鮮総
連の副議長が5人いますが、この副議長が、金正日の死後3か月半の間に4回訪
朝しています。

 まず、12月の金正日の葬儀の時に南昇祐が弔問団の団長として訪朝していま
す。2月には2人が訪朝しています。1月31日に、朝鮮総連の若い活動家を連
れて、朴久好が訪朝し、1か月平壌にいて、金正日生誕70周年のお祝いの時に、
夜、平壌体育館前や平壌駅前で屋台を出した。その活動のため1か月行っていま
した。

 また、金正日が生まれた2月16日前後に、誕生日のお祝い使節団が別途、●
(●=なべぶたと衣の間に非)益柱を団長として訪朝した。そして3月、金正日
が死んで100日の追悼大会があって、弔問団が行った。それは、屋台を出した
朴久好が、2月末に帰国したあと、再度訪朝した。(4月の金日成生誕100年行事
には、南昇祐が再び訪朝した)。

 お金については、送金も持ち出しも制限はありません。届出はしなければなら
ない。その届出の下限の額が下がってきていますが、現在は、持ち出しは10万円
以上、送金は 円以上が届け出なくてはならない。4回の訪朝でいくら持ち出し
たかという公式の日本財務省の統計があります。それによると、去年の12月か
ら2月までに1億3千万円です。

 朝鮮総連の副議長が毎月、団を引き連れて行って、1億3千万円持っていった。
これについては今のところ、合法です。そして今朝鮮総連が何をしているかとい
うと、11億円を全国で集めています。4月の金日成生誕100周年のお祝いで
持っていこうとしています。4月にもう1回、大々的な訪朝団を出そうとしてい
ます。

 月1回以上、副議長が訪朝している。12月に行った南副議長は、葬儀に出た
のですが、その日の夜、彼らのための晩餐会を北朝鮮が催しました。メインテー
ブルに南が座って、そのテーブルには統一戦線部長がいた。

 統一戦線部とは何か。我々の国際セミナーに来てくれた張哲賢さんが元幹部で
すが、工作機関です。拉致を行った工作機関の一つの部長と親しく食事をする副
議長が、自由に往来できているのです。

 朝鮮総連は統一戦線部の命令でお金を集めて、せっせと運んでいたわけです。
1億3千万はどこにいくのか。党の39号室というところに行くんです。金正日
の個人資金、今金正恩の個人資金になっているところに行く。そこから核・ミサ
イル開発の費用が出されています。

 日本が、ミサイル発射を止めろと表向き言っていますが、ミサイル開発の資金
を、今制裁をかけている中でも運ばれているんです。持ち出しを止める法的根拠
がないのかと言えばあります。2004年に拉致議連の先生方がやってくださっ
たのですが、外為法を改正して、「第十条  我が国の平和及び安全の維持のた
め特に必要があるときは、閣議において、対応措置を講ずべきことを決定するこ
とができる。」という条文を加え、送金や貿易を禁止することができる仕組みを
作ったのです。

 それまでの日本は、「国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認め
られる」場合には禁止できるという条項がありました。国連安保理の決議等が必
要だったのですが、その時の改正で、「我が国の平和及び安全の維持のため特に
必要があるとき」というのが入ったのです。拉致問題、核・ミサイル問題は日本
の安全保障の問題です。

 ミサイル発射の予告がされている中、10億円以上のお金を持って、総連代表
団が4月にまた行こうとしている。それを止めないでミサイル発射の後、安保理
事会に行って、北朝鮮非難決議を出してくれとか言ってもダメです。

 我々は5月に拉致議連の先生方と一緒に訪米しようと思っています。アメリカ
に食糧支援を止めてくださいと言いにいこうと思っているのですが、日本ができ
ることもやらないで行ったら、まずやることをやってから来てくださいと言われ
るのではないかと恐れています。

 ですから一部で報道されているように、ミサイル発射になったら追加制裁をす
る、その追加制裁の内容は持ち出しの申告の下限を10万円から5万円に下げる
という小手先のことではなく、「ヒト」と「カネ」を止めてほしいということで
す。「モノ」は止まっているが、「ヒト」と「カネ」はほぼフリーパスだからで
す。

 少なくとも、月1回行っている朝鮮総連の副議長、統一戦線部の部長に直接会っ
て指導を受け、お金を運んでいる人間たちが出国するのは止めなければならない。

 朝鮮総連は日本政府に対して627億円の借金があります。何かというと、朝
銀信用組合が破綻した時に1兆4千億円くらいの公的資金が入ったのです。その
とき、朝銀信用組合の不良債権を回収するために、政府の機関である整理回収機
構(RCC)が引き受けたわけです。

 整理回収機構が色々調べてみたら、627億円は朝鮮総連が借りていた金で踏
み倒していることがわかり、カネを返せと総連を相手に民事訴訟を起こしたので
す。最高裁まで行って朝鮮総連は負けました。負けたけどカネがないといって返
していません。

 それで朝鮮総連中央本部の土地と建物を差し押さえようとしたところ、総連側
はその土地と建物は総連の所有物でなく株式会社まるまるの所有だから総連の借
金の形に取られることは不法だと主張して、裁判が別途起きています。朝鮮総連
は627億円の借金があるのは間違いないんです。1億円集めるのならまずそっ
ちを返せといいたい。総連副議長らが玄金の持ち出し申告をしたらそこで差し押
さえればいいじゃないですか。そういうことをきとんとやっていただきたい。
今後どうなっていくのかを見ていきたいと思います。

 そういう情勢の中で、3月にワシントンに10日間言った島田さんに、アメリ
カから見た朝鮮問題等についてご報告いただきたいと思います。

(3につづく)


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