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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮が拉致を認めて10年、9/17東京特別集会報告1(2012/09/22)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.09.22)

 以下は、北朝鮮が拉致を認めて10年目に当たる24年9月17日に開催され
た「北朝鮮が拉致を認めて10年、9/17東京特別集会」の報告です。4回に
分けて報告します。

■北朝鮮が拉致を認めて10年、9/17東京特別集会報告

司会(平田隆太郎・救う会事務局長)

 北朝鮮が拉致を認めて、今日で丸10年になります。5人が帰ってきましたが、
他の方々は、「死亡している。この国に入っていない」ということで北朝鮮から
ずっと無視され続けています。彼らの生存に関わる情報を私たちはたくさん入手
していますが、金正恩政権になっても依然として、「拉致問題のにおいもしない」
等と北朝鮮は言い続けています。

 私たちは、10年かかって、その後一人も救出できていないという事態を今日
迎えています。日朝協議が始まっているとはいえ、全く予断を許さない状況です。
近々また行われるということですが、そういうことも注視をしながら、本日は1
0年経った家族の思いを、在京の飯塚家、横田家、増元家に語っていただきます。
そして最後に、最近の状況について救う会の西岡力会長に解説をしてもらいます。

 なお本日、松原仁・拉致問題担当大臣がメッセージを発表されました。本日は
拉致問題対策本部の三谷秀史事務局長代理に代読をしていただきます。三谷さん
どうぞ宜しくお願いいたします。

三谷 本来ですと事務局長であり、担当大臣である松原がお邪魔したいという意
向を持っておりましたが、実はただいま、ヨルダンのアンマンに向けて飛行中で
す。アンマンにおいてICPO(国際刑事警察機構)のアジア地域総会が本日から開
催される予定です。

 大臣自身、本日のまさに10年目という節目においては、家族会の皆様、そし
て救う会の皆様と共に過ごすべきと大変悩みました。しかし、こういう国際的な
場において自ら拉致問題を訴えることは、自分がなすべきこと、自分にしかでき
ない任務であろうと考え、昨夜出発させていただきました。

 先ほど、ドバイでトランジットしていました大臣と電話で話しましたが、どう
かみなさんにくれぐれも宜しくというメッセージがありました。同時に、実は本
日17時、大臣がアンマンに到着後、最終調整を行いました上で大臣談話を発表
する予定です。

 この場におきましてまだ未定稿ですが、私からその要旨を紹介することにより、
大臣メッセージに代えさせていただきます。

 冒頭の本日の意味はみなさんご承知のことで省略します。

◆大臣談話

 この10年間、5人の被害者及びその家族の方々の帰国以降、具体的な成果が
得られていないことに対し、この問題に責任を有する大臣として、また一個人と
して痛恨の極みであります。

 そして、この10年間、北朝鮮がこの問題に積極的に対応していないことは極
めて遺憾であり、一人の人間としても残念極まりないことです。

 本日、政府は、この長く厳しい年月を重く受け止め、改めて国家の責任として
拉致問題を解決するという強い決意を新たにします。
この際、3つの訴えを私、松原から行いたいと存じます。

 まず国民各位への訴えです。拉致問題の解決には、皆様の深い理解と支持が不
可欠です。生存者の全員帰国が実現するその日まで、この問題を風化させること
なく、強く関心を持ち続けていただきたいと思います。

 第二に、国際社会に訴えたい。拉致被害は、我が国だけにとどまらず、多くの
国に及んでいることはご承知の通りです。すなわち、拉致問題は、国際的な人道
問題であり、かつ各国の国家主権に対する侵害です。国際社会が一致してこの問
題に対し正義の声をあげつづけることを期待します。

 最後に、北朝鮮の新たな指導者に訴えたい。拉致問題は決して風化せず、拉致
被害者の方々や御家族がいなくなってしまったならば、日朝間の永遠に解決しな
い問題として残るでしょう。私松原は、北朝鮮が、既に死亡していたとされてい
た方々が実は生存されていたとしても、従来の

 主張を変えたことを批判することなく前向きに受け止めます。また、私松原は、
拉致問題について、関係者の間で「一定の進捗」であると合意できるような進展
が得られた場合には、人道支援など、北朝鮮との関係改善のための措置をとるこ
とができると考えます。北朝鮮の新しい政権が、拉致問題について、新たな方針
を打ち出すことを期待してやみません。

以上

司会 では、飯塚家から飯塚繁雄さん、本間勝さんにお願いします。

飯塚繁雄 みなさん、こんにちは。いつもながら、たくさんの方々がこの問題に
関心を示され、集会や研修会に来ていただき、その都度心強く思っております。

 今日は、金正日が拉致を認め10年という節目という言葉がよく聞かれますが、
私たちにとっては、いつのまにか10年経ってしまったという程度です。私たち
は毎日、毎日、この問題で進展を期待し、色んなことを考え、情報や報道を含め、
今日もだめだったか、明日はどうなのか、来週はどうするかという短い単位で実
は節目という意識を持っています。

 それが毎日、毎日続くわけですから、相当苦しい中、色々な戦いを進めてきま
した。

 金正日が10年前、日朝首脳会談で拉致を認めたということですが、私たちは
この瞬間、非常に懸念している事態がありました。小泉総理が日朝首脳会談に臨
んで、5人の方が帰ってきましたが、あの時北のペースに乗ってすべて会談がな
されていたという印象が強いです。

 もっと、もっとたくさんいる筈の拉致被害者の認識を持って、北朝鮮に当たっ
てはくれなかったというのが残念ですし、拉致を認めたけれども、あとの人はみ
んな亡くなっている、もう拉致はまったくないという状態がずっと続いています。

 従って、10年前の9.17では、この件につき引き続き協議するという約束
は何もしていないんです。その後、この問題については膠着状態が続き、その都
度日本から北に対し要請はしてきましたが、そういう状況の中で、私たちは今度
どうなるんだろうという意識が相当強かったのです。そういう毎日を過ごしてき
ました。

 しかしながら、単に10年というのは相当に長い時間と私たちは感じており、
北にいる被害者たちは毎日帰国を待っている状態が長々と10年も経ってしまっ
たという思いでしょう。

 振り返ってみれば、古くから拉致があったということは色んな調査からわかっ
ています。しかし、当初拉致を感知しながら日本政府、あるいは警察その他が具
体的な動きを示さなかったということがずっと続いてきたわけです。

 最近、10年以前の動きが全く見えません。1976年に金正日が拉致を指令
したにも関わらず、なかなか突破口が開けなかったというのが、長い思いの一つ
(の理由)と考えています。

 日朝協議ですが、日本と北朝鮮は国交もなく、協議を実現させるのは難しい面
がありますが、北朝鮮の国家犯罪によって罪もない一般の人たちを容赦なく連れ
て行かれたたことは明らかです。

 従ってそういう犯罪国家に対して、私たち、あるいは国民も、当然ながら一体
の意識になります。北朝鮮は、日本は北に対していつも敵対意識を持って動いて
いるという話もありますが、私たち家族や被害者にとっては、とんでもない国だ、
まさに敵国だという意識でいます。

 そういう意識の中で、今まで北朝鮮に向けて相当強い怒りを示してきましたが、
それが届いているかどうかは分かりませんが、少なくともみなさん方の世論をバッ
クに、この問題を継続して日本の課題としてきちんと位置づけることにはなって
きました。

 しかしながら今考えれば、北朝鮮が協議を提案した背景には、色んな圧力があっ
たというのは事実です。そもそも10年前の小泉さんとの首脳会談については、
アメリカのものすごい圧力があったわけです。ご承知の通り、北朝鮮を「悪の枢
軸」と言って、さらには北朝鮮は「テロ国家」と言ってもいい圧力が相当聞いて、
北から日本に対して拉致問題をなんとか協議しながら自らのいい方向につなげて
いこうということがあったと判断しています。

 それから4年前の、調査委員会で「再調査」をするということの背景にも、日
本政府が北朝鮮に関する法律を作ったこと、それに加えて制裁も加えてきた。はっ
きりしているのは、万景峰号の入港禁止です。

 今回、日朝政府間協議がされるかどうかの瀬戸際ですが、北朝鮮は今日本から
かけられている制裁を早く解いてほしいという話が相当あるようです。

 そういうことで考えれば、私たちはいわゆる敵対国、犯罪国に対して、「お願
いですから、お金あげますから、支援物資をあげますから返してください」と、
頭を下げて交渉するわけにはいかないと、私は強く思います。

 色々聞く話によりますと、北朝鮮は自らが困っていてもはったりを効かせて、
威厳を効かせて、相手国をやっつけるというやり方が常套手段です。私たちは、
ご承知の通り、10数年間北への支援をしながら、その間においても(北は)人
を拉致してしまうということを続けてきたわけです。

 その背景は、言ってみれば日本は甘い。サンダルでいくらでも日本に入れるし、
色んなスパイ行動についても自由にできる。今回も、そう思って、交渉を自国の
利益のために有利にしていくかということだけしか考えていないようです。

 そういう中で私たちは、10年という長い間、実際に拉致されたのは30数年
前ですが、やっとこの問題がクローズアップされて、なんとか奪還しなければな
らないという盛り上がりが、やはり10年前かなと思います。

 家族会と言いましても、被害者家族が集まっただけなんです。いとしい家族を
取り返してほしいという思いで声をあげる家族なんです。政治問題とか、外交問
題とか、徹底した研究のもとに具体的な活動を考えることもできない、あるいは
余裕がなく、ただ、「家族を助けてください」と、「家族が帰ってくればいいん
です」と、それだけなんです。そういう思いをずっと持ちながら、我々はでき得
る活動をしてきました。

 実は私も、当初から家族会には入っていませんでした。2002年の初め頃よ
うやく家族会に入ったんですが、それ以来、横田前代表がお歳をめされて、20
08年から代わってほしいという要請がありまして、私が受けたわけです。その
時の覚悟は、「3年頑張ればいいかな」と、自ら期限を切って受けました。

 その3年間色々な活動をしてきましたが、結局は結果が出ず、もう4年になっ
てしまいます。ということは当然ながら私も歳をとります。他の家族の方々も歳
をとっています。

 松原さんが言うように、「家族が元気なうちに被害者の帰国がなければ解決と
は言えない」と。当然それについては、「時間の問題だ」ということで対応して
いただいています。

 しかし、松原大臣だけが頑張ってもなかなかうまくいきそうにないという感じ
が今あります。それにしても、私たちの10年前の気持ちを知り、あるいは松原
大臣の取り組みとしては、はっきりと同じ問題を言及し、なんとか政府の力でこ
れを解決しなければならないという意気込みで、今まで一緒に戦ってきた、ある
意味仲間です。

 ですから今回の大臣の対応については、私たちは今の所、全面的な信頼と期待
をもって応援するという気持ちです。

 そしてこの10年間、色々活動してきた中で、まず盛り上がりという形での成
果ですが、国民の皆様が拉致問題に関して相当関心を高めていただきました。署
名にしてもそうですし、各地での集会等でもそうです。

 最近は、一人ひとりが、「私たちにできることは何ですか」、「何をしましょ
うか」という具体的な話がよく聞かれます。「自分の家族がもし拉致されたら私
はそうなるかということを考えると皆さんと一緒に戦いたいという気持ちになら
ざるを得ない」、そういう話がずいぶんあります。そういう世論の盛り上がりが
一つ変わってきた点だと思います。

 また、世界各国から拉致をされているという実態も踏まえて、一緒に戦おうと
いう協力要請もしながら各国を廻ってきました。しかし、どうしても他の国は、
この問題が国民世論までいかない、単に被害者家族だけが苦しんでいるという状
況を感じました。

 アメリカに何回も行きました。日本はアメリカと友好関係が深いわけですから、
こういった日本の問題についても、何か協力をしていただけるという期待を持ち
ながら行きました。結局、アメリカはアメリカの国益がある。それと比較して、
日本人拉致被害者の奪還についての支援をどういうふうに位置づけているかとい
う面から考えても、結局これは日本政府がきちっとやるしかない。

 はっきりした態度を示して、リーダーシップをとって、イニシアチブをとって、
北に強力な形で当たるしかないということが、私としては活動の総括という感じ
にとっています。従って、この問題は当事国がよほど強い態度で対応していかな
ければならないと、しみじみと感じています。

 国連関係等色々廻ってきましたが、国連安保理事会を含め、拘束力がない決議
なんです。北朝鮮人権非難決議については、賛成国が増えてきましたが、北朝鮮
はそんなことは屁とも思わない。何の応答もない。

 今そういった事態ですが、だとしたら今、徹底して日本政府がこの問題を強く
掘り下げて、まさに日本が今後あらゆる問題を解決する一つのベースになるので
はないか。最低限の政府の責任はクリアーする。日本人の暮らしと安全を守ると
いうことでしょうが、それすらできなければ、他の外交問題は色々ありますし国
内問題もありますが、そういうこともうまくいかないのではないかという懸念も
しています。

 さらに言えば、日本の政権の体制が2002年から総理が7人も代わった。拉
致担当大臣も数え切れないほど代わったという実態の中で、他国はこれを見てい
るわけです。特に北朝鮮は、日本の誰と交渉したらいいのか分からない。

 4年前の、調査委員会を立ち上げるということについても、福田総理大臣がす
ぐ降りてしまったという理由をつけられて延期というか中止というか、あるいは
反故にされてしまったという実態もあります。

 今この時点で心配するのは、選挙のニュースばかりで、自民党、民主党の党首
の選挙の話ばかりで、今後来るであろう総選挙もにらみながらやっているようで
すが、北朝鮮はそういった実態もきちんと見てますね。ですから、今回日朝協議
を局長クラスでやろうという話もありますが、多分日本の政局、政権の結果を見
てからでないと、向こうは乗ってこないような気がします。これは私の勘です。
だとすれば、まだまだ時間がかかる。

 そして、選挙となると拉致の「ら」の字も出てこない。そういう雰囲気になり
ます。そういうことを考えると、私たちはわずかしかない時間について、非常に
苦しい思いをしながら、早く片付けてくれなければ困るという感じが益々強くなっ
てきます。

 私たちは政府に訴えるしかない。「早くしろ」という尻叩きしかできないんで
すが、それは当然ながら私たち家族だけではなく、国民の皆様、色々なボランティ
アの方、NGOの方も含めてです。最近では地方議連の方々、そして自治体の方々
もこの問題についてかなり積極的に取り上げて、議会での決議を中央に出して要
請することもたくさん出てきました。

 今回は署名もそうです。各組織、団体でまとめて署名を集めようという気持ち
での取組みが目立ってきています。1000万という数字ですが、これは100
0万集まったから即解決するということはないでしょうが、1000万筆という
重みを、日本政府は当然ながら北朝鮮に対し、国民が怒っているというメッセー
ジを強く出していきたいということです。

 何回も言うようですが、北朝鮮に対しては、甘い対応では絶対にこの問題は解
決しないというのが私が常々思っていることです。さらに大きく言えば、憲法も
改正しないとこの問題は解決しないよという人も増えています。自衛隊法だとか
ありますが、9条2項を改正すればあらゆる手段がとれるとか。その辺は私たち
は専門家ではないので分かりませんが、問題を取り巻く問題が多すぎて、それが
一つひとつ解決しなければ拉致に廻ってこないのかという苦しい懸念もあります。

 従って、政局が変わっても、例えば拉致対策本部という組織は変わらない。し
かも、かなりの権限を与えて政権が変わろうと、北朝鮮との協議に向けて直結し
た動きができることを望んでいます。

 もちろん政権が安定して、きちっとした対応ができれば、それはそれでいいん
ですが、例えば外務省、官僚などもこの問題に24時間対応する組織をきちっと
作って、権限も与えて、どんどん北朝鮮に攻め入るというような、間髪を入れず
対応をしていかなければ、また立ち消えになってしまうということが非常に心配
です。

 北朝鮮で待っている私たちの家族、大勢の被害者に対して、本当に申し訳ない
という気持ちなんですね。本当にそう考えながら、毎日、毎日過ごしていますが、
これはあきらめるわけにはいかないことです。

 今年は特に、「勝負の年」ということで活動を進めています。勝負というのは
文字通り勝つか負けるかですよね。勝つというのはこの問題に道筋が見えて、協
議が何回も続けられて、少しずつでもいいから被害者が帰ってくることがはっき
りした時点ですね。そしてそれをつなげていけばいいわけです。

 変な話、これ負けたらどうしますか、負けるということは、今年何も解決がな
されなかったということにつながるわけですね。そうした時のリスク、これがも
のすごいものになるんだろうと私は思います。

 そんなことも心配しながら、なんとか今年やれることをやるというつもりでや
りますので、相変わらずご支援をお願いいたします(拍手)。

本間 勝 みなさん、忙しいところありがとうございます。私は、今日で10年
という節目が、単に取戻すという結果が出ても通過点だと思います。

 私たちの運動は、この10年が節目なんだから早く解決しようじゃないかとい
うことで北朝鮮に対して物申しているわけですが、なかなか相手がそれに応じな
い。

 北が「拉致問題は解決済み」と言うのならば、「じゃあ日本人を返さないんだ
な。返すのか、返さないのか」と言ってもいいと思うんですよ。「いい加減にし
ろ」と私は言いたい。「早く返して、この問題はお互いの幸福のために決着しよ
うじゃないか」と言ってもいいんじゃないか。

「あまり北朝鮮を刺激するな」という過去の流れがあるんですが、節目だったら、
「未だにそんなこと言っているなら日本はこうやるよ。動くよ」、そういう風に
言ってもいいと思います。

 (田口)八重子の今までの通過点の中で、私たちの家族の中では2010年に、
ここにおられる三谷さんにも相当尽力していただきましたが、軽井沢で金賢姫と
の対面がありました。その時に当時1歳だった耕一郎が金賢姫に会えて、母親を
実感することができました。それが、八重子を取り巻く運動の中で一番の動きだっ
たかなあと思います。

 今八重子が生きてるのかどうかという情報しかありませんが、本当に早く取戻
したいです。帰ってきてほしいです。その願いでいっぱいです。八重子を初め、
すべての拉致被害者が帰ってこれるように頑張ります。

 その時は、金賢姫も絡んでいる、「彼女たちは生きている」というメッセージ
を全国民に分かっていただいて、北朝鮮には気を許すことなく、どんどん突っ込
んでもらいたい。そういう思いです。以上です(拍手)。ありがとうございまし
た。

(2につづく)


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