北朝鮮の核実験暴挙に抗議する東京緊急集会報告3(2013/03/08)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.03.08)2/28
西岡 今の話を聞いていて、荒木さんが国会議員選挙に出た時のことを思いまし
た。ノドンミサイルの最初の発射があった時ですが、実は日本政府はノドンミサ
イルの発射があったことを隠したんです。日本に向けて撃ったのに隠して、当時
の河野官房長官はなかったことにしたんです。
しかし、事務方トップの石原官房副長官が意図的にリークして、それで日本に
向けたミサイルが撃たれたことを我々は知りました。拉致も、最初分かっていた
のになかったことにされたという点で、体質が似てるなあと。
アメリカの新聞が、「日本は得意なダチョウのポーズに入った」と書きました
が、ダチョウは目をつむれば危機が去るとして目をつむるんですね。そんなこと
を思いながら今の話を聞いていましたが、では荒木さん(特定失踪者問題調査会
代表)お願いします。
◆「北朝鮮は崩壊する」と言い続けてきたが
荒木和博 私が選挙に出たのは平成5(1993)年のことで、もう20年前の
ことです。あの時にミサイルが飛んで、私は最初から泡沫候補だと分かっていま
した。でも一応菅直人の対抗馬だったんですが10数万票差で負けています。
落ちるのは分かっていましたので、好きなことを言おうということで、ミサイ
ルのことは真面目に言ったつもりですが、そうしたら選挙を一緒にやってくれた
友人から、「あまりミサイルの話ばかりすると票が落ちる」と言われましたが、
泡沫候補の票が落ちたからといってどうということはないと思ったのですが、そ
の時はそういう雰囲気でして、それから考えるとずいぶん雰囲気が変わってきて
いると思います。
4、5年前、北朝鮮の開城に行く観光旅行がありまして、これに1回参加した
ことがあります。その時にバスの中に二人くらい、保衛部かどうか分かりません
が、公安の人間がガイドとして乗っていました。
西岡 北朝鮮に入れたんですか。
荒木 私はそれほど大物ではありませんので(笑)。その時ガイドの一人、若く
て非常にまじめないい男がいまして、蓮池薫さんによく似た顔をしていましたが、
彼と話していたら北朝鮮の核の話になりました。
北朝鮮の核をどう思うかと聞かれましたので、「北朝鮮でこういう核開発をやっ
ていくんだったら、日本だって自動的に核開発をせざるをえなくなるよ」と言っ
たら、彼から、「そういうことをしたら国際的な圧力がかかりませんか」と言わ
れました。
「お前に言われたくないよ」と思ったんですが(笑)、「そんなこと言ったっ
てしょうがないだろう」と言ったら、意外に納得していまして、やはりやってい
る方は分かっているんだなということを感じました。
恐らく後で宋允復(ソン・ユンボク)さんの話にあると思いますが、この核開
発のところに大量の政治犯は使われている可能性がある。また在日の帰国者や日
本人妻、家族、場合によったら拉致被害者も入っていないという保証はないわけ
です。これらすべてが我々にとって重要な問題だろうと思います。
94年の核危機の時に、アメリカはクリントン大統領でしたが、あのクリント
ンでさえ戦争になるかもしれないと覚悟はしていたわけです。恐らく私は、あの
時がアメリカが朝鮮半島で戦争ができた最後の時ではないかと思います。今の雰
囲気は、部分的な可能性があるとは言われていますが、やはりアメリカは20年
前とは状況が全く変わってきている。
あの時カーターの訪朝で問題が先送りになったのですが、恐らくその時クリン
トンが思ったのは、このままでは放っておけばどうせ北朝鮮はつぶれるだろう、
と。だから今面倒くさいことを起こす必要はないと考えたのではないかと思いま
す。
そして正直に言って、私たちもそういう部分があったのではないか。私もあの
頃から北朝鮮は崩壊するとずっと言い続けていましたし、あの状況の国が続くは
ずがない、と。実際に94年の後、97年を前後する大飢饉が起き、あるいは
(多数の高位幹部を粛清した)「深化組事件」が起き、様々なことが起きている
わけですが、体制は今に至るもかろうじて維持されています。
先ほど、西岡さん、惠谷さん、趙甲済さんの話にあったように、北朝鮮は核を
完成させつつあり、一体この20年間は何だったのだろうと我々自身が深刻に反
省しなければならないと思っています。
◆奪還・レジーム・チェンジしかない
最後は奪還につきるのではないか。我々自身が覚悟を持たなければ、問題は絶
対に解決しないということです。アメリカは軍事費を大幅に削減しなければなら
ない状況で、中国を向こうに廻して朝鮮半島で戦争をするだろうかというと、非
常に疑問を感じます。
韓国は、趙甲済さんのような非常に熱心な方々が一生懸命活動されて、今回朴
槿恵政権が誕生しましたが、趙さんのお話にもあったように、韓国の中の左翼勢
力は決してあなどれる勢力ではないですし、それ以上に私が深刻に思うのは、韓
国の中で北朝鮮問題に無関心な人が圧倒的に多いということです。
統一するのであれば、韓国人の中に、絶対統一をするという確固とした意識が
なければいけないんですが、残念ながら今そういう状況にないのではないか。
結局人にまかせておいてはできないわけで、我々がやるしかないということです。
そして拉致問題の解決は、私たちがやっている特定失踪者、これはリストの中
にある人はまだいいんですが、リストの中にない人が相当数いるはずです。ご家
族がいない方であればそうなってしまうわけで、この人たちまで我々は取り返さ
なければならない。
それをやるためには何が必要かというと、まさにレジーム・チェンジといいま
すか、体制を変えていくしか方法がありません。どうやったら、我々の手で、あ
の北朝鮮の体制を倒せるかということを、我々一人ひとりが真剣に考えるべきだ
と思います。
そのためには、あの体制はある部分は強い体制ですが、あれだけの無理をして
やっている体制ですから非常にもろい部分が必ずあるはずだと思います。その一
つは情報だと思います。情報の注入や収集を真剣にやっていくこと、特に情報を
入れていくことで変えていける部分があると思います。どこかの一つのポイント
をターニング・ポイントにして、北朝鮮の体制が一気に瓦解する。あるいはそれ
によって中国が入ってきたり様々なことが起きる可能性はありますが、そうして
変えないと、我々が助けることは絶対にできないのではないかと思います。
その意味で、正直に言って今の安倍政権のやり方はあまりにも生ぬるいと思わ
ざるをえません。非常に厳しい言い方をすれば、民主党の時と一体何が変わって
いるのかと言いたいくらいです。おそらく安倍さんのファンの方がたくさんおら
れると思うので、「あの野郎」と言われてもしかたがないんですが、敢えて申し
上げますが、今の状況は体制が大きくなっているだけで、ほとんど何も変わって
いないに近いという確信を持っています。
そうではなく、この状況を変えていくために、私も安倍さんに何かやってもら
いたいと思いますので、本気で決断をして、最終的に日本の力で北朝鮮の体制を
変えるということをしなければ、そうしようもないと思います。
それは戦争をするということではなく、できる方法は色々考えられるわけで、
それをやっていかなければいけない。政府がやれないのであれば、それを別の形
でやって、そこに持っていかなければならないと思います。
この場所で前にも同じことを言ったと思いますが、帰国運動の時、新潟の青年
会は、新潟に行く列車の前でそれを止めようとしたのです。あの時は、青年会が
悪者で総連が正義の味方だったと思いますが、悪者であってもそれが成功してい
れば、少なくとも北朝鮮に送られて悲劇的な最後を遂げる人の数は少なかったで
あろうと思います。
我々は、批判を恐れずに正しいことをやっていかなければならないと思います。
私たちも色々な批判をお受けしながら、自分たちのできることを一生懸命やって
いきたいと思います。ありがとうございました(拍手)。
西岡 荒木さんの発言で一つだけ確認しておきたいんですが、荒木さんのところ
の特定失踪者約500人くらいです。そして日本の警察が今調べているのが86
8人です。そして、そこにも入っていない被害者がいるだろうということを今おっ
しゃったわけです。我々もそう思っています。
例えば、辛光洙は原敕晁さんになりすましていたんですが、辛光洙を日本の警
察は逮捕できなかったんです。韓国が逮捕したから原さん拉致が分かったんです。
そしてもう一人の辛光洙がいないという保障はないんです。もしかしたらここに
来ているかもしれない。日本人になって。
日本の警察が辛光洙を逮捕できなかったということを前提に我々は考えなけれ
ばならないということを荒木さんは言っているわけです。私も全くその通りだと
思っています。ありがとうございました(拍手)。
我々は拉致問題で韓国にずいぶん助けてもらっているということがあるわけで
す。
続きまして、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会の山田文明代表、北朝鮮難民
救援基金の加藤博理事長、NO FENCE(北朝鮮強制収容所をなくすアクションの
会)事務局長の宋允復さんにお願いします(拍手)。
我々は拉致問題をやっていますが、日本の中で拉致問題ほど脚光を浴びないけ
れども、日本人として、また普遍的な人権の立場から、また宋さんのように日本
に住むものとして北朝鮮の人権状況をけしからんと言っていて、我々よりずっと
長く運動をされてきた同志であり、先輩でもある3つの団体の代表に来ていただ
きました。それぞれ訴えをしていただきたいと思います。まず今日大阪から来て
くださいました山田代表からお願いいたします(拍手)。
◆何が間違っていたか真剣に検討を
山田 みなさんこんばんは。北朝鮮帰国者と言いますのは、1959年から始ま
りました北朝鮮への帰国事業で向こうへ行った人たちの人権問題から、北朝鮮問
題に関わり始めた団体です。 当然、北に関わる人権問題全般に強く関心を持っ
て色々取組んできました。
今日申し上げようと思っていたことのかなりはもうこれまでの方が的確に話さ
れました。今日は、どなたも触れられなかった問題で、一つご報告させていただ
きます。またご理解していただければと思います。
最初に申し上げたかったのは、どなたかが指摘されましたが、核・ミサイルの
開発を国際社会が阻止しなければと動いて20年。その20年の中で、北は核保
有国だと宣言するまでになったという事実です。
20年間の国際社会の取組みは失敗に終った。そう言わねばなりません。なぜ
そういう結果になったのか。ここを深刻に私たちは反省しなければならないと思っ
ています。その反省点については、すでにいくつもの重要な論点が出されたと思
います。
中国の制裁破り、これは重大です。同時に日本も甘かった。これも間違いない。
また私たちの中に、アメリカも含めて北朝鮮早期崩壊論、これに基づくような行
動政策論もあったと思います。
そういう中で日本政府も、政党も、政治家もそれぞれが、何が間違っていてこ
ういう事態にまできたのかということを真剣に検討し、責任ある回答を出しても
らうべきです。 それと共に、私たちもそれぞれでやってみなければならないと
思っています。
◆朝鮮学校は北朝鮮の政治組織
それに関連して、小さなことではありますが、最近取組んでいる一つから考え
てみたいと思います。一昨年来取組んできましたのは、朝鮮学校への補助金、朝
鮮高級学校、朝高への授業料無償化に伴い考えてきました。これでいいんだろう
か、と。
そして調べていき、初めて私たちもこのことを知りました。それは朝鮮学校の
実態が、普通の学校ではないということです。それはあまり理解されておりませ
ん。彼らが一切表に出そうとしないからです。
実態は、チュチェ(主体)思想という彼ら固有の思想に忠誠なる青少年を作る。
そしてチュチェ思想の要求通りに考え、行動する青少年を育成すると彼らは宣言
しているのです。
金正日が朝鮮大学校4年間の内に、チュチェ思想を核心とする学生をしっかり
育てようと言った。それに基づいて、現在の指導者である朝鮮総連幹部の許宗萬
(ホ・ジョンマン)が朝大の評議員、大学幹部を集めて指導する。
そこで、金正日からの指示などを言いながら、「将軍様のお望み通りの大学校
とすること」と言って指示をした。これが朝大です。その朝大を中心にして、朝
鮮高級学校、中級学校、初級学校がある。
そして初級学校4年生になると、4月に全員が在日朝鮮学生少年団に加入する
んです。学校の年間行事、ホームページで調べてください。いくつかの所に4月
の学校行事としてちゃんと出てきます。少年団加入式とあります。学校がやるん
です。
中学の3年生の時、卒業式の少し前に少年団畢団(ひつだん)式、少年団の卒
業式です。それをやってから学校の卒業式をする。朝鮮高級学校、朝高へ行った
ら、4月に、これも堂々と出てくるんですが、青年同盟加盟式と出てきます。3
月には、朝鮮青年同盟定期大会、学校行事の中に出てくるんです。
つまり、小学校から中学校、高校、すべて彼らの政治組織に全員加入させてい
くんです。
西岡 少年団というのは、児童会とかそういうのじゃないんです。政治組織で朝
鮮労働党の下部組織だと見た方がいい。
山田 そうなんです。青年同盟の去年の方針にはどう書いてあるか。「敬愛する
最高司令官同志を忠実に仰ぎ、敬う働き手として力強く準備して行く」。これが
青年同盟の方針です。これを学校が作り上げていくんです。ですから各小中学校
には、全部、少年団指導担当教員が総連から派遣されている。高級学校には青年
同盟指導担当教員が総連から派遣されているのです。 高級学校のクラスは、青
年同盟の班として組織されて、青年同盟の運営として行われるんです。
学校にも「組織生活」というのがある。みなさん「組織生活」というのは聞い
たことがないでしょうが、北朝鮮のあらゆる所にある「組織生活」、色々な組織
に属して、規律ある生活をやれというのが「組織生活」です。そこでは、「生活
総和」という反省会を定期的にやらされる。これを学校でやっているんです。
そしてチュチェ思想の要求通りに考え、行動する人間を、と。それだけではな
く、そこで素直に従って優秀に育ってきたら、「熱誠班」に組織するんです。こ
れは事実上秘密組織になります。そしてそれらを特別待遇で朝大に送るんです。
朝大の中にも、青年同盟の他にこの「熱誠班」が組織され、そこから将来の幹部
候補や工作員候補ができあがる。
例えば大阪で逮捕された「吉田」なる人物、そういう経歴を経て育成されてい
くのです。これがあの学校体系なんです。
私たちも、一昨年来の高等学校無償化問題をきっかけにして調べ、そういう実
態まである程度つきとめることができました。
彼らの表の世界と、裏の実態と二つある。表の世界だけ見ては本質が分からな
い。それがあの北及び朝鮮総連系統の特有のところです。そういう点で、私たち
はしっかり彼らの本質を見極めて、まだまだ許しているところ、何人かの方がおっ
しゃったように、日本の中にまだ甘さがある。まさにそうなんです。
彼らの合法を装った不法行為を徹底的に摘発し、おさえこんでいく。私たちの
中にある、まだまだ残された課題、これに取組んでいかねばならないと考えてい
ます。皆様のご協力を得たいと思います。どうもありがとうございました(拍手)。
◆1週間に1回相互批判
西岡 「生活総和」というのは、北朝鮮に住んでいる人はみんな知っていること
です。まず「党の唯一思想体系を固めるための10大原則」というのがあって、
それはみんな覚えています。そしてそれに反する活動をしたかどうかを、1週間
に1回集まってまず自己批判する。それから相互批判する。
金賢姫さんの本を読むとよく分かります。特に相互批判が一番嫌だった、と。
友人を告発しなければならない。裏で、この程度意のことならお互いに大丈夫と
組んでお互いに相互批判をやったりするけれど、それだとあとで叱られる、と。
そういう政治組織が学校の中で、選択ではないんです、全員そこに入る。つま
り政治組織なんです。そういうことをやる所に、税金で補助を出していいんです
かということをやっていらっしゃる。そういうことですね。
山田 一つだけ。今日、私たちも北の実情を教えていただいている貴重な人が来
てくださっています。木下公勝(きみかつ)さんと言いますが、どうぞ(拍手)。
関東脱北者協力会と言いまして、北からお出でになって、私たちに北の実情を教
えてくださいました。
木下 みなさんこんばんは(拍手)。日本に逃げ込んで7年になります。60を
過ぎましたが、西岡先生が言われた通り、私は45年間、「生活総和」で思う存
分批判された人間の一人です。これからも、拉致問題や核実験の間違った行動に
対して、私の力がある限り協力して、反対運動に励んでいこうと思っています。
どうぞ宜しくお願い致します(拍手)。
(4につづく)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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西岡 今の話を聞いていて、荒木さんが国会議員選挙に出た時のことを思いまし
た。ノドンミサイルの最初の発射があった時ですが、実は日本政府はノドンミサ
イルの発射があったことを隠したんです。日本に向けて撃ったのに隠して、当時
の河野官房長官はなかったことにしたんです。
しかし、事務方トップの石原官房副長官が意図的にリークして、それで日本に
向けたミサイルが撃たれたことを我々は知りました。拉致も、最初分かっていた
のになかったことにされたという点で、体質が似てるなあと。
アメリカの新聞が、「日本は得意なダチョウのポーズに入った」と書きました
が、ダチョウは目をつむれば危機が去るとして目をつむるんですね。そんなこと
を思いながら今の話を聞いていましたが、では荒木さん(特定失踪者問題調査会
代表)お願いします。
◆「北朝鮮は崩壊する」と言い続けてきたが
荒木和博 私が選挙に出たのは平成5(1993)年のことで、もう20年前の
ことです。あの時にミサイルが飛んで、私は最初から泡沫候補だと分かっていま
した。でも一応菅直人の対抗馬だったんですが10数万票差で負けています。
落ちるのは分かっていましたので、好きなことを言おうということで、ミサイ
ルのことは真面目に言ったつもりですが、そうしたら選挙を一緒にやってくれた
友人から、「あまりミサイルの話ばかりすると票が落ちる」と言われましたが、
泡沫候補の票が落ちたからといってどうということはないと思ったのですが、そ
の時はそういう雰囲気でして、それから考えるとずいぶん雰囲気が変わってきて
いると思います。
4、5年前、北朝鮮の開城に行く観光旅行がありまして、これに1回参加した
ことがあります。その時にバスの中に二人くらい、保衛部かどうか分かりません
が、公安の人間がガイドとして乗っていました。
西岡 北朝鮮に入れたんですか。
荒木 私はそれほど大物ではありませんので(笑)。その時ガイドの一人、若く
て非常にまじめないい男がいまして、蓮池薫さんによく似た顔をしていましたが、
彼と話していたら北朝鮮の核の話になりました。
北朝鮮の核をどう思うかと聞かれましたので、「北朝鮮でこういう核開発をやっ
ていくんだったら、日本だって自動的に核開発をせざるをえなくなるよ」と言っ
たら、彼から、「そういうことをしたら国際的な圧力がかかりませんか」と言わ
れました。
「お前に言われたくないよ」と思ったんですが(笑)、「そんなこと言ったっ
てしょうがないだろう」と言ったら、意外に納得していまして、やはりやってい
る方は分かっているんだなということを感じました。
恐らく後で宋允復(ソン・ユンボク)さんの話にあると思いますが、この核開
発のところに大量の政治犯は使われている可能性がある。また在日の帰国者や日
本人妻、家族、場合によったら拉致被害者も入っていないという保証はないわけ
です。これらすべてが我々にとって重要な問題だろうと思います。
94年の核危機の時に、アメリカはクリントン大統領でしたが、あのクリント
ンでさえ戦争になるかもしれないと覚悟はしていたわけです。恐らく私は、あの
時がアメリカが朝鮮半島で戦争ができた最後の時ではないかと思います。今の雰
囲気は、部分的な可能性があるとは言われていますが、やはりアメリカは20年
前とは状況が全く変わってきている。
あの時カーターの訪朝で問題が先送りになったのですが、恐らくその時クリン
トンが思ったのは、このままでは放っておけばどうせ北朝鮮はつぶれるだろう、
と。だから今面倒くさいことを起こす必要はないと考えたのではないかと思いま
す。
そして正直に言って、私たちもそういう部分があったのではないか。私もあの
頃から北朝鮮は崩壊するとずっと言い続けていましたし、あの状況の国が続くは
ずがない、と。実際に94年の後、97年を前後する大飢饉が起き、あるいは
(多数の高位幹部を粛清した)「深化組事件」が起き、様々なことが起きている
わけですが、体制は今に至るもかろうじて維持されています。
先ほど、西岡さん、惠谷さん、趙甲済さんの話にあったように、北朝鮮は核を
完成させつつあり、一体この20年間は何だったのだろうと我々自身が深刻に反
省しなければならないと思っています。
◆奪還・レジーム・チェンジしかない
最後は奪還につきるのではないか。我々自身が覚悟を持たなければ、問題は絶
対に解決しないということです。アメリカは軍事費を大幅に削減しなければなら
ない状況で、中国を向こうに廻して朝鮮半島で戦争をするだろうかというと、非
常に疑問を感じます。
韓国は、趙甲済さんのような非常に熱心な方々が一生懸命活動されて、今回朴
槿恵政権が誕生しましたが、趙さんのお話にもあったように、韓国の中の左翼勢
力は決してあなどれる勢力ではないですし、それ以上に私が深刻に思うのは、韓
国の中で北朝鮮問題に無関心な人が圧倒的に多いということです。
統一するのであれば、韓国人の中に、絶対統一をするという確固とした意識が
なければいけないんですが、残念ながら今そういう状況にないのではないか。
結局人にまかせておいてはできないわけで、我々がやるしかないということです。
そして拉致問題の解決は、私たちがやっている特定失踪者、これはリストの中
にある人はまだいいんですが、リストの中にない人が相当数いるはずです。ご家
族がいない方であればそうなってしまうわけで、この人たちまで我々は取り返さ
なければならない。
それをやるためには何が必要かというと、まさにレジーム・チェンジといいま
すか、体制を変えていくしか方法がありません。どうやったら、我々の手で、あ
の北朝鮮の体制を倒せるかということを、我々一人ひとりが真剣に考えるべきだ
と思います。
そのためには、あの体制はある部分は強い体制ですが、あれだけの無理をして
やっている体制ですから非常にもろい部分が必ずあるはずだと思います。その一
つは情報だと思います。情報の注入や収集を真剣にやっていくこと、特に情報を
入れていくことで変えていける部分があると思います。どこかの一つのポイント
をターニング・ポイントにして、北朝鮮の体制が一気に瓦解する。あるいはそれ
によって中国が入ってきたり様々なことが起きる可能性はありますが、そうして
変えないと、我々が助けることは絶対にできないのではないかと思います。
その意味で、正直に言って今の安倍政権のやり方はあまりにも生ぬるいと思わ
ざるをえません。非常に厳しい言い方をすれば、民主党の時と一体何が変わって
いるのかと言いたいくらいです。おそらく安倍さんのファンの方がたくさんおら
れると思うので、「あの野郎」と言われてもしかたがないんですが、敢えて申し
上げますが、今の状況は体制が大きくなっているだけで、ほとんど何も変わって
いないに近いという確信を持っています。
そうではなく、この状況を変えていくために、私も安倍さんに何かやってもら
いたいと思いますので、本気で決断をして、最終的に日本の力で北朝鮮の体制を
変えるということをしなければ、そうしようもないと思います。
それは戦争をするということではなく、できる方法は色々考えられるわけで、
それをやっていかなければいけない。政府がやれないのであれば、それを別の形
でやって、そこに持っていかなければならないと思います。
この場所で前にも同じことを言ったと思いますが、帰国運動の時、新潟の青年
会は、新潟に行く列車の前でそれを止めようとしたのです。あの時は、青年会が
悪者で総連が正義の味方だったと思いますが、悪者であってもそれが成功してい
れば、少なくとも北朝鮮に送られて悲劇的な最後を遂げる人の数は少なかったで
あろうと思います。
我々は、批判を恐れずに正しいことをやっていかなければならないと思います。
私たちも色々な批判をお受けしながら、自分たちのできることを一生懸命やって
いきたいと思います。ありがとうございました(拍手)。
西岡 荒木さんの発言で一つだけ確認しておきたいんですが、荒木さんのところ
の特定失踪者約500人くらいです。そして日本の警察が今調べているのが86
8人です。そして、そこにも入っていない被害者がいるだろうということを今おっ
しゃったわけです。我々もそう思っています。
例えば、辛光洙は原敕晁さんになりすましていたんですが、辛光洙を日本の警
察は逮捕できなかったんです。韓国が逮捕したから原さん拉致が分かったんです。
そしてもう一人の辛光洙がいないという保障はないんです。もしかしたらここに
来ているかもしれない。日本人になって。
日本の警察が辛光洙を逮捕できなかったということを前提に我々は考えなけれ
ばならないということを荒木さんは言っているわけです。私も全くその通りだと
思っています。ありがとうございました(拍手)。
我々は拉致問題で韓国にずいぶん助けてもらっているということがあるわけで
す。
続きまして、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会の山田文明代表、北朝鮮難民
救援基金の加藤博理事長、NO FENCE(北朝鮮強制収容所をなくすアクションの
会)事務局長の宋允復さんにお願いします(拍手)。
我々は拉致問題をやっていますが、日本の中で拉致問題ほど脚光を浴びないけ
れども、日本人として、また普遍的な人権の立場から、また宋さんのように日本
に住むものとして北朝鮮の人権状況をけしからんと言っていて、我々よりずっと
長く運動をされてきた同志であり、先輩でもある3つの団体の代表に来ていただ
きました。それぞれ訴えをしていただきたいと思います。まず今日大阪から来て
くださいました山田代表からお願いいたします(拍手)。
◆何が間違っていたか真剣に検討を
山田 みなさんこんばんは。北朝鮮帰国者と言いますのは、1959年から始ま
りました北朝鮮への帰国事業で向こうへ行った人たちの人権問題から、北朝鮮問
題に関わり始めた団体です。 当然、北に関わる人権問題全般に強く関心を持っ
て色々取組んできました。
今日申し上げようと思っていたことのかなりはもうこれまでの方が的確に話さ
れました。今日は、どなたも触れられなかった問題で、一つご報告させていただ
きます。またご理解していただければと思います。
最初に申し上げたかったのは、どなたかが指摘されましたが、核・ミサイルの
開発を国際社会が阻止しなければと動いて20年。その20年の中で、北は核保
有国だと宣言するまでになったという事実です。
20年間の国際社会の取組みは失敗に終った。そう言わねばなりません。なぜ
そういう結果になったのか。ここを深刻に私たちは反省しなければならないと思っ
ています。その反省点については、すでにいくつもの重要な論点が出されたと思
います。
中国の制裁破り、これは重大です。同時に日本も甘かった。これも間違いない。
また私たちの中に、アメリカも含めて北朝鮮早期崩壊論、これに基づくような行
動政策論もあったと思います。
そういう中で日本政府も、政党も、政治家もそれぞれが、何が間違っていてこ
ういう事態にまできたのかということを真剣に検討し、責任ある回答を出しても
らうべきです。 それと共に、私たちもそれぞれでやってみなければならないと
思っています。
◆朝鮮学校は北朝鮮の政治組織
それに関連して、小さなことではありますが、最近取組んでいる一つから考え
てみたいと思います。一昨年来取組んできましたのは、朝鮮学校への補助金、朝
鮮高級学校、朝高への授業料無償化に伴い考えてきました。これでいいんだろう
か、と。
そして調べていき、初めて私たちもこのことを知りました。それは朝鮮学校の
実態が、普通の学校ではないということです。それはあまり理解されておりませ
ん。彼らが一切表に出そうとしないからです。
実態は、チュチェ(主体)思想という彼ら固有の思想に忠誠なる青少年を作る。
そしてチュチェ思想の要求通りに考え、行動する青少年を育成すると彼らは宣言
しているのです。
金正日が朝鮮大学校4年間の内に、チュチェ思想を核心とする学生をしっかり
育てようと言った。それに基づいて、現在の指導者である朝鮮総連幹部の許宗萬
(ホ・ジョンマン)が朝大の評議員、大学幹部を集めて指導する。
そこで、金正日からの指示などを言いながら、「将軍様のお望み通りの大学校
とすること」と言って指示をした。これが朝大です。その朝大を中心にして、朝
鮮高級学校、中級学校、初級学校がある。
そして初級学校4年生になると、4月に全員が在日朝鮮学生少年団に加入する
んです。学校の年間行事、ホームページで調べてください。いくつかの所に4月
の学校行事としてちゃんと出てきます。少年団加入式とあります。学校がやるん
です。
中学の3年生の時、卒業式の少し前に少年団畢団(ひつだん)式、少年団の卒
業式です。それをやってから学校の卒業式をする。朝鮮高級学校、朝高へ行った
ら、4月に、これも堂々と出てくるんですが、青年同盟加盟式と出てきます。3
月には、朝鮮青年同盟定期大会、学校行事の中に出てくるんです。
つまり、小学校から中学校、高校、すべて彼らの政治組織に全員加入させてい
くんです。
西岡 少年団というのは、児童会とかそういうのじゃないんです。政治組織で朝
鮮労働党の下部組織だと見た方がいい。
山田 そうなんです。青年同盟の去年の方針にはどう書いてあるか。「敬愛する
最高司令官同志を忠実に仰ぎ、敬う働き手として力強く準備して行く」。これが
青年同盟の方針です。これを学校が作り上げていくんです。ですから各小中学校
には、全部、少年団指導担当教員が総連から派遣されている。高級学校には青年
同盟指導担当教員が総連から派遣されているのです。 高級学校のクラスは、青
年同盟の班として組織されて、青年同盟の運営として行われるんです。
学校にも「組織生活」というのがある。みなさん「組織生活」というのは聞い
たことがないでしょうが、北朝鮮のあらゆる所にある「組織生活」、色々な組織
に属して、規律ある生活をやれというのが「組織生活」です。そこでは、「生活
総和」という反省会を定期的にやらされる。これを学校でやっているんです。
そしてチュチェ思想の要求通りに考え、行動する人間を、と。それだけではな
く、そこで素直に従って優秀に育ってきたら、「熱誠班」に組織するんです。こ
れは事実上秘密組織になります。そしてそれらを特別待遇で朝大に送るんです。
朝大の中にも、青年同盟の他にこの「熱誠班」が組織され、そこから将来の幹部
候補や工作員候補ができあがる。
例えば大阪で逮捕された「吉田」なる人物、そういう経歴を経て育成されてい
くのです。これがあの学校体系なんです。
私たちも、一昨年来の高等学校無償化問題をきっかけにして調べ、そういう実
態まである程度つきとめることができました。
彼らの表の世界と、裏の実態と二つある。表の世界だけ見ては本質が分からな
い。それがあの北及び朝鮮総連系統の特有のところです。そういう点で、私たち
はしっかり彼らの本質を見極めて、まだまだ許しているところ、何人かの方がおっ
しゃったように、日本の中にまだ甘さがある。まさにそうなんです。
彼らの合法を装った不法行為を徹底的に摘発し、おさえこんでいく。私たちの
中にある、まだまだ残された課題、これに取組んでいかねばならないと考えてい
ます。皆様のご協力を得たいと思います。どうもありがとうございました(拍手)。
◆1週間に1回相互批判
西岡 「生活総和」というのは、北朝鮮に住んでいる人はみんな知っていること
です。まず「党の唯一思想体系を固めるための10大原則」というのがあって、
それはみんな覚えています。そしてそれに反する活動をしたかどうかを、1週間
に1回集まってまず自己批判する。それから相互批判する。
金賢姫さんの本を読むとよく分かります。特に相互批判が一番嫌だった、と。
友人を告発しなければならない。裏で、この程度意のことならお互いに大丈夫と
組んでお互いに相互批判をやったりするけれど、それだとあとで叱られる、と。
そういう政治組織が学校の中で、選択ではないんです、全員そこに入る。つま
り政治組織なんです。そういうことをやる所に、税金で補助を出していいんです
かということをやっていらっしゃる。そういうことですね。
山田 一つだけ。今日、私たちも北の実情を教えていただいている貴重な人が来
てくださっています。木下公勝(きみかつ)さんと言いますが、どうぞ(拍手)。
関東脱北者協力会と言いまして、北からお出でになって、私たちに北の実情を教
えてくださいました。
木下 みなさんこんばんは(拍手)。日本に逃げ込んで7年になります。60を
過ぎましたが、西岡先生が言われた通り、私は45年間、「生活総和」で思う存
分批判された人間の一人です。これからも、拉致問題や核実験の間違った行動に
対して、私の力がある限り協力して、反対運動に励んでいこうと思っています。
どうぞ宜しくお願い致します(拍手)。
(4につづく)
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■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
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■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
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