北朝鮮の核実験暴挙に抗議する東京緊急集会報告4(2013/03/12)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.03.12)
西岡 続いて、加藤博 北朝鮮難民救援基金理事長にお願いします。
◆脱北者は国際法上の難民
加藤 みなさんこんばんは。私たちの団体は、名前が示す通り、北朝鮮から逃げ
てきた人を第三国に安全に誘導する仕事で知られていますが、実際には北朝鮮か
ら出てくる人たちに衣食住や医療を提供することをやっています。
もちろん第三国に移動しなければ、その人たちが生きていかれない場合は、そ
の道を準備して、第三国への定住を助けます。今までそういう形で私たちがやっ
てきたのは、私たちが単独でやったわけではなく、韓国のNGOとも連携したり、
色々な国際団体と連携しながらやっていることです。
今まで(脱北者が)行った所で一番多いのはもちろん韓国です。それから日本、
アメリカ、カナダ、オーストラリア、そういう所に人を誘導してきました。
私たちの考えでは彼らは難民です。国際条約上の難民ですから、彼らが送り返
されれば、死刑を含む厳しい処罰が待っていますから、それを保護するのは人道
・人権団体としては当然のことです。
私たちは結局、今まで一番多く韓国に送ったんですね。200人以上送ったと
思います。日本には今200人定住していると言われますが、その内の半数くら
いは私たちが誘導しました。
私たちの団体は、実際に結果を出すといいますか、人の命を助けるということ
に重点を置いています。ですから、基本的にはその人たちが安全圏に来れば私た
ちの仕事は終わりです。
しかし、実際問題としては、中国という国があって、中国はあの人たち(脱北
者)を難民とは認めていないんです。不法入国者、不法滞在者と認めていますか
ら、捕まえれば送り返す。送り返されたらどういうことになるかは今お話した通
りです。
ですから私たちは、「送り返された場合に、その社会的、宗教的、経済的な不
利益を受ける場合に、これを送り返してはならない」という難民条約の精神に従っ
て助けているわけです。
でもこれをすると、中国の国内法には反するわけです。ですから、そうすると
逮捕されます。私も逮捕されて、1週間に及ぶ昼夜にわたる拷問を受けたことが
あります。私たちの団体のもう一人は8か月の実刑判決を受けました。
でも、人の命を助けるには、これくらいのことは覚悟をしなければならないん
ですね。今、核の問題で、「覚悟を決めてください」と言われました。今北朝鮮
がやっている核開発は、そういう時期に来ているということを、我々自身が知識
ではなく、実際にそういう事態になったら、今日会えても明日同じ顔は見られな
いと、そういうことを覚悟しなければならないという意味なんです。
そういう風に実感していますか。北朝鮮の核問題というのはそういうことなん
です。ですから、それほど恐ろしい話なんです。私はこの問題は最優先の問題と
して解決しなければならないけれど、非常に難しいと思います。
◆北朝鮮から拉致被害者情報をとる工夫を
私は、北朝鮮は絶対に核を放さないだろうと思います。北朝鮮が核を放棄した
ら、あの国は滅びると、今の(北の)指導者たちは見ています。リビアをご覧な
さい。シリアをご覧なさい。北朝鮮の幹部たちの間では、そういう教育をしてい
るんです。核を持って脅そうとしているという話は、先ほどから皆さんが指摘し
ました。私もその通りだと思います。
それでも私たちが当面している日本の最大の問題は、やはり拉致問題だと思い
ます。この拉致問題を解決するためにどうしたらいいかという話ですが、誰もが
分かっている通り、2002年に小泉さんが訪朝して以来、帰ってきた6人(ジェ
ンキンスさんを含め)と子どもたち、それ以外にはないんですね。
これをどういうふうに考えますか。政府が悪いからですか。国会議員が無能だ
からですか。メディアがあまり書きたくないからですか。それとも、北朝鮮問題
に関して動いているNGOがだらしないからですか。家族会が泣き言ばかり言っ
ているからですか。こういうことを一つひとつ点検しなければだめだと思います。
政府では首相がころころ変わる。拉致担当大臣もころころ変わる。拉致対策本
部に勤めている人たちは2年ごとに交代する。これできちんと情報が蓄積されて、
北朝鮮が情報を収集する体制ができているとお考えですか。
北朝鮮問題に関して、いい拉致対策本部ができていると思いますが、あそこの
内の何%が情報収集に携わっているかは知りません。しかし、組織として機能す
るためには、前線で戦う部隊と、後方でそれを支える部隊が必要です。そのため
に拉致対策本部には、各省庁から人々が派遣されてきてやっていますが、この中
で北朝鮮問題のエキスパートが何人いるか知りません。朝鮮語を使える人が何人
いるか知りません。
私たちはこういう状態の政府機関を抱えているのです。当然私たちはこの問題
を解決するために、政府に色々と期待を持ちます。もちろん期待に添うような政
府であってほしいし、そういう組織であってほしいとみんな願っています。特に
拉致被害者の家族はそれが強いと思います。結果を出してほしいと思っているん
です。私もそう思っています。
私たちの団体は、結果を出す団体だと言いつつも、拉致被害者の一人も助けら
れない。それは本当に申し訳なく思います。私はそういうことを考えると、夜も
寝られない時があります。
というのは、私たちが実際にオペレーションをして、北朝鮮から必死になって
逃げてきた人を安全なところに逃がすために、どのようにして中国の公安の手を
逃れるかということを考えながらやるわけですから、ものすごい緊張なんです。
それと同じように、もしあの人たちが逃げてきたらどうしようか、と考えると
寝られない日があるんです。
この問題はもう少し厳密に考えなければならないと思います。北朝鮮が日本か
ら拉致していった人間たちはどういう人たちなんですか。日本から拉致されていっ
た時は、それほど日本で重要人物ではないはずですが、今、北朝鮮の中では重要
人物です。国家機密に属する重要人物だと思います。
北朝鮮が国家機密をそんなに簡単に手放すわけはなく、またこれに接する人た
ちも非常に限られています。こういうところから私たちは情報を取らなければい
けないんです。情報を取るために私たちの国は十分になっていますか。なぜ韓国
ばかりそういう人たちが行くんですか。なぜ日本には情報を持っている人が来な
いんですか。
日本政府は特別永住者になった人たちを、北朝鮮に行って戻ってきた人たちを、
本人から数えて三代まで受け入れていますが、それ以外は受け入れないからなん
です。そういうことを考えると私たちの国の仕組を含めて考えなければいけない。
つまり、北朝鮮から逃げてきた人たちを、韓国では機密性の高い人たちを受け入
れて、名前も変える、その人たちの生活も保障する、それほどやっているんです。
日本はそれをまだやっていないんです。
私は日本政府がそういう対応をとって、情報価値のある人たちを積極的に受け
入れて日本で安定させる、そういうことを訴えたいです。以上です(拍手)。
西岡 続きまして、北朝鮮強制収容所をなくすアクションの会(NO FENCE)の
宋允復(ソン・ユンボク)事務局長にお願いします。
◆朝鮮学校では、先生の言うことを真に受けない習性がつく
宋 山田先生の話も加藤さんの話も、私も思うことが多々あります。私自身が、
朝鮮学校に小学校と中学1年まで通った人間なんです。ですから、学校での「生
活総和」、私たちは「1日総和」と言って毎日やっていました。
非常になつかしい話ですが、小学校5年、6年の頃、学校ではもちろんのこと、
家庭でも朝鮮語を使いましょう、100%使いましょうという運動をやっていま
して、翌日それを自己批判、自己総括することになっていました。
今は平気で嘘をつけますが、当時はなかなか嘘をつけないたちで、「昨日は5
0%でした」と言ってしまうんです。すると当時級長だった女の子が性格がきつ
い子で、みんなの前で私を批判します。私も釈然としません。
ところがその子の弟が1年生に入ってきて、朝聞いてみようと思って、「おい、
おい、お前の姉ちゃんは家で朝鮮語を100%使ってるのか」と聞くと、「うう
ん」と(笑)。そういう話をしていると慌てて弟を引っ張っていったりしました。
私の母親が映画音楽が好きなもんですから、家でよくかけていました。私が思
わず学校で、「ユー アー マイ サンシャイン」と口ずさんだりするわけです。
するとそれを聞きつけたこどもが「ちくる」んですね。「宋允復君が日本の音楽
を歌っています」と。私は、「いや、日本の歌じゃありません。アメリカの歌で
す」と言ったら、「もっと悪い」と(笑)。そんなこんなで子どもながら政治の
世界を感じさせることがありました。
朝鮮学校に通っている時に、私の通ったのは足立の学校で朝鮮人が多かったん
です。その中に、親族が北朝鮮に帰国した人が非常に多くありました。私の世代
は、北朝鮮に帰った親族から手紙がいっぱい来ました。「何がない、かにがない、
何を送ってくれ、かにを送ってくれ」というものです。
また、「どんな末端の組織でもいいから、総連の組織に属して役割を果たして
くれ。そうしてこそ我々が朝鮮で落ち着いて暮らせる」と。そして手紙の最後に、
血書、署名が血で書いてあるんです。どのくらいの思いで訴えたのか、指先を切っ
た血で書いてあります。それを子ども同士で話しますから、いくら学校で先生が
建前で、「北朝鮮はすばらしい社会主義の国だ」、「立派な指導者がいて社会主
義建設がはかどっている」と言っても、子どもたちはみんな知ってるもんですか
ら、先生たちも仕方ないなと、立場というものもあるんだろうと。
小学校4、5、6年生になると、先生を思いやったりします。先生の前できつ
いことを言うのはよしましょう、と(笑)。だから表で偉い人たちの言うことを
真に受けないという習性が子どもの頃からつくんです(笑)。
その中で、子どもの頃聞いたのは、北朝鮮は怖い国だと。言葉をちょっとしく
じると、山に送られて死ぬほど働かされると聞いていました。私の親は、私が悪
さをすると、「北朝鮮に送り返すぞ」というのが脅し文句でした(笑)。
(5につづく)
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■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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西岡 続いて、加藤博 北朝鮮難民救援基金理事長にお願いします。
◆脱北者は国際法上の難民
加藤 みなさんこんばんは。私たちの団体は、名前が示す通り、北朝鮮から逃げ
てきた人を第三国に安全に誘導する仕事で知られていますが、実際には北朝鮮か
ら出てくる人たちに衣食住や医療を提供することをやっています。
もちろん第三国に移動しなければ、その人たちが生きていかれない場合は、そ
の道を準備して、第三国への定住を助けます。今までそういう形で私たちがやっ
てきたのは、私たちが単独でやったわけではなく、韓国のNGOとも連携したり、
色々な国際団体と連携しながらやっていることです。
今まで(脱北者が)行った所で一番多いのはもちろん韓国です。それから日本、
アメリカ、カナダ、オーストラリア、そういう所に人を誘導してきました。
私たちの考えでは彼らは難民です。国際条約上の難民ですから、彼らが送り返
されれば、死刑を含む厳しい処罰が待っていますから、それを保護するのは人道
・人権団体としては当然のことです。
私たちは結局、今まで一番多く韓国に送ったんですね。200人以上送ったと
思います。日本には今200人定住していると言われますが、その内の半数くら
いは私たちが誘導しました。
私たちの団体は、実際に結果を出すといいますか、人の命を助けるということ
に重点を置いています。ですから、基本的にはその人たちが安全圏に来れば私た
ちの仕事は終わりです。
しかし、実際問題としては、中国という国があって、中国はあの人たち(脱北
者)を難民とは認めていないんです。不法入国者、不法滞在者と認めていますか
ら、捕まえれば送り返す。送り返されたらどういうことになるかは今お話した通
りです。
ですから私たちは、「送り返された場合に、その社会的、宗教的、経済的な不
利益を受ける場合に、これを送り返してはならない」という難民条約の精神に従っ
て助けているわけです。
でもこれをすると、中国の国内法には反するわけです。ですから、そうすると
逮捕されます。私も逮捕されて、1週間に及ぶ昼夜にわたる拷問を受けたことが
あります。私たちの団体のもう一人は8か月の実刑判決を受けました。
でも、人の命を助けるには、これくらいのことは覚悟をしなければならないん
ですね。今、核の問題で、「覚悟を決めてください」と言われました。今北朝鮮
がやっている核開発は、そういう時期に来ているということを、我々自身が知識
ではなく、実際にそういう事態になったら、今日会えても明日同じ顔は見られな
いと、そういうことを覚悟しなければならないという意味なんです。
そういう風に実感していますか。北朝鮮の核問題というのはそういうことなん
です。ですから、それほど恐ろしい話なんです。私はこの問題は最優先の問題と
して解決しなければならないけれど、非常に難しいと思います。
◆北朝鮮から拉致被害者情報をとる工夫を
私は、北朝鮮は絶対に核を放さないだろうと思います。北朝鮮が核を放棄した
ら、あの国は滅びると、今の(北の)指導者たちは見ています。リビアをご覧な
さい。シリアをご覧なさい。北朝鮮の幹部たちの間では、そういう教育をしてい
るんです。核を持って脅そうとしているという話は、先ほどから皆さんが指摘し
ました。私もその通りだと思います。
それでも私たちが当面している日本の最大の問題は、やはり拉致問題だと思い
ます。この拉致問題を解決するためにどうしたらいいかという話ですが、誰もが
分かっている通り、2002年に小泉さんが訪朝して以来、帰ってきた6人(ジェ
ンキンスさんを含め)と子どもたち、それ以外にはないんですね。
これをどういうふうに考えますか。政府が悪いからですか。国会議員が無能だ
からですか。メディアがあまり書きたくないからですか。それとも、北朝鮮問題
に関して動いているNGOがだらしないからですか。家族会が泣き言ばかり言っ
ているからですか。こういうことを一つひとつ点検しなければだめだと思います。
政府では首相がころころ変わる。拉致担当大臣もころころ変わる。拉致対策本
部に勤めている人たちは2年ごとに交代する。これできちんと情報が蓄積されて、
北朝鮮が情報を収集する体制ができているとお考えですか。
北朝鮮問題に関して、いい拉致対策本部ができていると思いますが、あそこの
内の何%が情報収集に携わっているかは知りません。しかし、組織として機能す
るためには、前線で戦う部隊と、後方でそれを支える部隊が必要です。そのため
に拉致対策本部には、各省庁から人々が派遣されてきてやっていますが、この中
で北朝鮮問題のエキスパートが何人いるか知りません。朝鮮語を使える人が何人
いるか知りません。
私たちはこういう状態の政府機関を抱えているのです。当然私たちはこの問題
を解決するために、政府に色々と期待を持ちます。もちろん期待に添うような政
府であってほしいし、そういう組織であってほしいとみんな願っています。特に
拉致被害者の家族はそれが強いと思います。結果を出してほしいと思っているん
です。私もそう思っています。
私たちの団体は、結果を出す団体だと言いつつも、拉致被害者の一人も助けら
れない。それは本当に申し訳なく思います。私はそういうことを考えると、夜も
寝られない時があります。
というのは、私たちが実際にオペレーションをして、北朝鮮から必死になって
逃げてきた人を安全なところに逃がすために、どのようにして中国の公安の手を
逃れるかということを考えながらやるわけですから、ものすごい緊張なんです。
それと同じように、もしあの人たちが逃げてきたらどうしようか、と考えると
寝られない日があるんです。
この問題はもう少し厳密に考えなければならないと思います。北朝鮮が日本か
ら拉致していった人間たちはどういう人たちなんですか。日本から拉致されていっ
た時は、それほど日本で重要人物ではないはずですが、今、北朝鮮の中では重要
人物です。国家機密に属する重要人物だと思います。
北朝鮮が国家機密をそんなに簡単に手放すわけはなく、またこれに接する人た
ちも非常に限られています。こういうところから私たちは情報を取らなければい
けないんです。情報を取るために私たちの国は十分になっていますか。なぜ韓国
ばかりそういう人たちが行くんですか。なぜ日本には情報を持っている人が来な
いんですか。
日本政府は特別永住者になった人たちを、北朝鮮に行って戻ってきた人たちを、
本人から数えて三代まで受け入れていますが、それ以外は受け入れないからなん
です。そういうことを考えると私たちの国の仕組を含めて考えなければいけない。
つまり、北朝鮮から逃げてきた人たちを、韓国では機密性の高い人たちを受け入
れて、名前も変える、その人たちの生活も保障する、それほどやっているんです。
日本はそれをまだやっていないんです。
私は日本政府がそういう対応をとって、情報価値のある人たちを積極的に受け
入れて日本で安定させる、そういうことを訴えたいです。以上です(拍手)。
西岡 続きまして、北朝鮮強制収容所をなくすアクションの会(NO FENCE)の
宋允復(ソン・ユンボク)事務局長にお願いします。
◆朝鮮学校では、先生の言うことを真に受けない習性がつく
宋 山田先生の話も加藤さんの話も、私も思うことが多々あります。私自身が、
朝鮮学校に小学校と中学1年まで通った人間なんです。ですから、学校での「生
活総和」、私たちは「1日総和」と言って毎日やっていました。
非常になつかしい話ですが、小学校5年、6年の頃、学校ではもちろんのこと、
家庭でも朝鮮語を使いましょう、100%使いましょうという運動をやっていま
して、翌日それを自己批判、自己総括することになっていました。
今は平気で嘘をつけますが、当時はなかなか嘘をつけないたちで、「昨日は5
0%でした」と言ってしまうんです。すると当時級長だった女の子が性格がきつ
い子で、みんなの前で私を批判します。私も釈然としません。
ところがその子の弟が1年生に入ってきて、朝聞いてみようと思って、「おい、
おい、お前の姉ちゃんは家で朝鮮語を100%使ってるのか」と聞くと、「うう
ん」と(笑)。そういう話をしていると慌てて弟を引っ張っていったりしました。
私の母親が映画音楽が好きなもんですから、家でよくかけていました。私が思
わず学校で、「ユー アー マイ サンシャイン」と口ずさんだりするわけです。
するとそれを聞きつけたこどもが「ちくる」んですね。「宋允復君が日本の音楽
を歌っています」と。私は、「いや、日本の歌じゃありません。アメリカの歌で
す」と言ったら、「もっと悪い」と(笑)。そんなこんなで子どもながら政治の
世界を感じさせることがありました。
朝鮮学校に通っている時に、私の通ったのは足立の学校で朝鮮人が多かったん
です。その中に、親族が北朝鮮に帰国した人が非常に多くありました。私の世代
は、北朝鮮に帰った親族から手紙がいっぱい来ました。「何がない、かにがない、
何を送ってくれ、かにを送ってくれ」というものです。
また、「どんな末端の組織でもいいから、総連の組織に属して役割を果たして
くれ。そうしてこそ我々が朝鮮で落ち着いて暮らせる」と。そして手紙の最後に、
血書、署名が血で書いてあるんです。どのくらいの思いで訴えたのか、指先を切っ
た血で書いてあります。それを子ども同士で話しますから、いくら学校で先生が
建前で、「北朝鮮はすばらしい社会主義の国だ」、「立派な指導者がいて社会主
義建設がはかどっている」と言っても、子どもたちはみんな知ってるもんですか
ら、先生たちも仕方ないなと、立場というものもあるんだろうと。
小学校4、5、6年生になると、先生を思いやったりします。先生の前できつ
いことを言うのはよしましょう、と(笑)。だから表で偉い人たちの言うことを
真に受けないという習性が子どもの頃からつくんです(笑)。
その中で、子どもの頃聞いたのは、北朝鮮は怖い国だと。言葉をちょっとしく
じると、山に送られて死ぬほど働かされると聞いていました。私の親は、私が悪
さをすると、「北朝鮮に送り返すぞ」というのが脅し文句でした(笑)。
(5につづく)
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担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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