張成沢処刑後の北朝鮮と拉致 問題?東京連続集会報告(2014/02/07)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.02.07)
■張成沢処刑後の北朝鮮と拉致問題?東京連続集会報告
◆若い独裁者のミスにつけこむのが救出運動の課題
西岡 みなさんこんばんは。先ほど金聖●(キム・ソンミン)さんとも話したの
ですが、ここで話すのは2年ぶりということでした。前回は、これから金正日体
制はどうなるだろうかということについてお話をしてもらいました。ちょうど金
正日の葬式をやっていた日です。
●=王へんに文
その時、関係NGOがみんな集まって、日本のテレビは葬式の生中継をしていて、
あたかも偉い人が死んだかのような、追悼の雰囲気になっていましたので、「金
正日の悪行を数える」というタイトルで、金正日がどれだけ悪いことをしてあの
世に行ったのかということで、金正日の犠牲になった人たちのことを考える集会
をしました。そして脱北者代表で来てもらいました。
その時金聖●さんが言ったことがずっと忘れられないんです。金正日が死んだ
から北朝鮮の体制は不安定になるのではないか、金正恩政権は早期に崩壊するの
ではないかという色々な議論があったんですが、金聖?さんはこう言いました。
「金正日が長い年月をかけて作った個人独裁システムは強固で、簡単には崩れ
ない。しかし、すべての決済を独裁者がするというシステムがある中で、未熟な
二十代の若者が独裁者になると必ずミスが増える。そのミスにどうつけこむのか
ということが、拉致救出運動、そして自分たちがやっている北朝鮮自由化運動の
課題だと思う」と言っていました。
私は、この間の流れがその通りになったのではないかと思っています。特に張
成沢処刑という大きな事件があったのに、今年の拉致被害者救出運動を考える時
に、北朝鮮情勢が張成沢処刑のあとどうなっていくのだろうかということ抜きに
は考えられませんので、2年まえにその分析をしてくれた金聖?さんに無理を言っ
てきてもらいました。
実は今、韓国は旧正月です。昨日からお正月で今日が2日目です。韓国は旧正
月でお祝いするわけです。お正月に、東京にわざわざ家族を犠牲にして来てくれ
たんです。
金正恩政権の2年間の評価と今後の見通しということで丁寧なペーパー(メー
ルニュース26.02.01参照)も用意してくれました。まず金聖●さんから話をして
いただきます。
◆2014年は希望にあふれる年になる
金聖●(自由北朝鮮放送代表、脱北者)
被害者に会えないまま苦しんでいるご家族にとって、2013年は大変苦しい
1年だったのではないか、またご家族を支援して何とか被害者を取り戻そうとさ
れていた皆さん方にとっても2013年は、成果のない、苦しい1年だったので
はないかと心から同情申し上げます。
しかし、2014年は希望にあふれる年になるのではないかという意味の報告
をさせていただきます。
わたしがやっております自由北朝鮮放送(韓国語では自由北韓放送)は、20
06年から北朝鮮向けに短波放送を流しています。そして実は毎日拉致問題を取
り上げています。2つの方法で拉致問題を取り上げています。第一に日本政府が
作ったものを流すことです。1日約分、拉致問題とは何なのかということについ
て。もう一つは、西岡教授が持っている対談番組です。
西岡 金聖?さんと対談しています。1週間に1回土曜日に15分、同じものを
日曜日に15分流してくれています。
金聖● また、旧正月、新正月、お盆など、朝鮮の祭日の時などに日本の家族の
声をそのまま北朝鮮に放送してきました。またそれを朝鮮語に翻訳して流してき
ました。今日も実は家族の方々の録音をして新しいものをまた北朝鮮に流そうと
思っています。
私はそういう努力を2006年からしてきましたが、しかしそれが効果があっ
たんだろうかと考えざるをえなかった2013年でした。しかし、2014年は
希望があると言いたいです。なぜ希望があると言えるのかについてお話申し上げ
ます。
2年前、ここで、「北朝鮮の住民たちは金正恩政権がどうなるかについてほと
んど関心はありません。上層部にいる人間だけが、金正恩にくっつかなければな
らないと思ってみんなそちら側に結集するだろう。従って、情報は金正恩に集ま
り国民の支持はないという逆三角形のような不安定になるだろう。金正恩のミス
をうまく利用さえすれば、金正恩政権は長く続かないだろう」と申し上げたこと
を覚えています。
◆喪に服さず、破格のイベントに登場し、幹部を粛清した金正恩
金正日は、金日成が死んだ時、3年間は喪に服すとして何もしませんでしたが、
金正恩は葬式の後1か月もたたない12月31日に、最高司令官に就任しました。
2012年2月には金正恩勲章なるものを作り、4月には党代表者会議と最高人
民会議を開催し、長距離ミサイルを発射し、金日成生誕100周年のお祭りをし
ました。
その後、韓国のマスコミに対して、名前を挙げて、緯度経度まで示して、「テ
ロをする。許さない」という脅迫をし、またかつてなかった少年団創立行事を行っ
て、金日成に自分を似せて子どもたちも自分を慕っているという宣伝を行いまし
た。
当時国際社会では、金正恩はオーストリアに留学したんだから開放的ではない
のか、政策を変えて改革開放の方向に出るのではないかという期待もあったので
す。金正恩はそのような国際社会の期待を知っていたかのように7月になって、
夫人李雪主を連れて牡丹峰(モランボン)楽団の公演に現れました。その牡丹峰
楽団の公演は、ミッキーマウスが出てくるような、北朝鮮では破格のものでした。
その時までは国際社会は金正恩がそれなりの方向を出すのではないかと思われ
ていました。しかし、7月に突然、当時まで金正恩は大将でしたが、その一つ上
の次帥の階級を持っていて、朝鮮人民軍の最高実力者だった李英浩(リ・ヨンホ)
総参謀長が、病気を理由にすべての役職を解かれました。
李英浩は、金正日時代から金正恩政権を立ち上げるのに貢献した人間です。金
正恩はそういう人間でも自分が気に入らなかったら処分することができる、その
ような権力を持っていると思われたわけです。
その後、金正日時代金正日の傍にいて、そして金正恩時代になってそれを支え
る幹部たち、それから金正恩になってから出てきた幹部たちの人事が混ざり合っ
ていくわけですが、ある日気づいてみると金正日時代から金正恩を支えてきて、
金正恩政権を樹立するのに貢献してきた幹部たちは誰もいなくなったことが分か
ります。
金正日の霊柩車の回りを護衛して歩いた8人、そのうち一人は金正恩ですが、
残り7人のうち、80歳以上の象徴的人物2人を除いて皆いなくなりました。そ
の時残ったのは張成沢と崔竜海(チェリョンヘ)です。張成沢は義理のおじさん
であり、崔竜海は金正恩のおじいさん金日成と一緒にパルチザンを戦った崔賢
(チェ・ヒョン)の息子です。
当時北朝鮮内部の権力の話ではなかった話が、今権力内部で話されています。
最高権力者は金正恩ですが、金正恩に近づくためには張成沢の壁を越えなければ
ならないということです。これまで、金日成、金正日時代にはなかった、最高指
導者とは別の人間が浮上してきたということです。
そしてもう一つ。張成沢系列の人間が静かに浮かび上がりました。金永日(キ
ム・ヨンイル)党国際部長、金平海(キム・ピョンヘ)党書記、文京徳(ムン・
ギョンドク)平壌市党責任書記などで、彼らは張成沢側近として浮上しました。
また、元老世代の子どもたちである若い世代が浮上しました。例えば、呉日晶
(オ・イルチャン) 、これは、呉振宇(オ・ジヌ)元人民武力部長の次男です。
あるいは徐(ソ)ドンミョン、これは徐哲(ソ・チョル)元労働党書記の長男、
李容浩(リ・ヨンホ)第1外務次官、これは李ミョンジェ党組織指導部第一副部
長の長男などです。
昔の幹部の子どもたちで、彼らは実は張成沢の推薦で金正恩体制に入ったと言
われています。
当時金正恩は27歳です。北朝鮮の個人独裁システムがなければ何もできない
わけです。彼が統治できたのは張成沢が助けたからです。その一番は人事です。
張成沢が人事を助けた結果として、逆に力が集まってくる。金正恩に到達するた
めには、張成沢を通らなければならないとみんなが見るようになりました。今ま
でにはなかった現象が起きてきたということです。
これは我々の分析、あるいは推測ですが、当時の北朝鮮の軍の人事はあまりに
も頻繁に変わりました。人民武力部長、そして総参謀長は、名前も覚えられない
ほどどんどん変わりました。
張成沢の系列が抜擢されると、それに対し、軍だけは自分の人脈を入れたいと
金正恩が入れる。そのようなことが続いたからの混乱と考えられます。
◆金正恩のミスが始まる
この頃から金正恩のミスが始まるわけです。今まで金正日がしなかった肉声演
説を彼はしました。張成沢がさせたのかもしれません。金正恩の演説を聞いた脱
北者たちはみんな異口同音に、「こんなに演説か下手なのか」と感じました。そ
れは北朝鮮の人たちも同じだと思います。
北朝鮮の大学生たちは1週間に1回の生活総和などで、演説がうまいんです。
訓練をたくさん受けているわけです。そういう立場から見ると、「この演説の仕
方は何だ」とみんなが思って、その瞬間に神格化が崩壊して、「ああ、あいつも
ただの人間なのか」ということになっていったのではないかと思います。
金正日は言葉がしゃべれないから演説をしなかったわけではないんです。しか
し、彼は公開演説をしなかった。それは自分の神秘性を高めるためにそうしてい
たのですが、その神秘性を金正恩は墜落させてしまった。
もう一つの心配、これは私が北朝鮮の出身だからそう思う心配ですが、自分の
ことを神様だと思っている人たちの前に、突然自分の奥さんを連れて出てきた。
実は、私は金日成が死んだ時は北にいたんですが、天が崩れるかと思いました。
金日成は神様だから死なないと思っていたんです。本当に泣きました。
しかし、その過程で学習をして、ああ人間なんだなあ、と。そして今度は金正
日が死ぬかもしれないなと思っていました。そのような神格化されている存在を
金正恩は人間に戻してしまった。
北朝鮮の首領と女性の関係については、首領のそばにいる女性も偉大だと宣伝
してきたわけです。まず、金日成の母親は非常に偉い人物だと描いています。そ
して金正日の母、金日成の夫人も偉大な人物だと描かれています。また、金正日
にはたくさんの夫人がいたんですが、全く公開されませんでした。偉大な人物は
公開しないのです。
ところが金正恩は自分の奥さんを普通に連れて出てきた。「ああ、あいつも人
間なんだなあ。普通の人なんだなあ、普通の父親になるんだなあ」と思わせてし
まった。
北朝鮮には、労働党の10大原則というのがあり、「首領以外のどの人に対し
ても尊敬してはならない」ということになっています。先ほど言った首領の女性
たちはみんな死んでいるわけです。
しかし、金正恩夫人の李雪主は、生きて出てきてしまった。生きている人は偉
大だとでっち上げることはできなんです。同級生もいるわけです。同じ楽団で働
いていた人間たちもいるわけです。普通の人間だったことが分かってしまう。
そこで出てきたのが李雪主のポルノビデオ出演疑惑です。本当にそのようなビ
デオがあるのかどうかは分かりませんが、少なくともそのようなものがあるとい
うニュースがたくさん出て、それに対して北朝鮮当局が大変強く反応したことが
ありました。
(2につづく)
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■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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■張成沢処刑後の北朝鮮と拉致問題?東京連続集会報告
◆若い独裁者のミスにつけこむのが救出運動の課題
西岡 みなさんこんばんは。先ほど金聖●(キム・ソンミン)さんとも話したの
ですが、ここで話すのは2年ぶりということでした。前回は、これから金正日体
制はどうなるだろうかということについてお話をしてもらいました。ちょうど金
正日の葬式をやっていた日です。
●=王へんに文
その時、関係NGOがみんな集まって、日本のテレビは葬式の生中継をしていて、
あたかも偉い人が死んだかのような、追悼の雰囲気になっていましたので、「金
正日の悪行を数える」というタイトルで、金正日がどれだけ悪いことをしてあの
世に行ったのかということで、金正日の犠牲になった人たちのことを考える集会
をしました。そして脱北者代表で来てもらいました。
その時金聖●さんが言ったことがずっと忘れられないんです。金正日が死んだ
から北朝鮮の体制は不安定になるのではないか、金正恩政権は早期に崩壊するの
ではないかという色々な議論があったんですが、金聖?さんはこう言いました。
「金正日が長い年月をかけて作った個人独裁システムは強固で、簡単には崩れ
ない。しかし、すべての決済を独裁者がするというシステムがある中で、未熟な
二十代の若者が独裁者になると必ずミスが増える。そのミスにどうつけこむのか
ということが、拉致救出運動、そして自分たちがやっている北朝鮮自由化運動の
課題だと思う」と言っていました。
私は、この間の流れがその通りになったのではないかと思っています。特に張
成沢処刑という大きな事件があったのに、今年の拉致被害者救出運動を考える時
に、北朝鮮情勢が張成沢処刑のあとどうなっていくのだろうかということ抜きに
は考えられませんので、2年まえにその分析をしてくれた金聖?さんに無理を言っ
てきてもらいました。
実は今、韓国は旧正月です。昨日からお正月で今日が2日目です。韓国は旧正
月でお祝いするわけです。お正月に、東京にわざわざ家族を犠牲にして来てくれ
たんです。
金正恩政権の2年間の評価と今後の見通しということで丁寧なペーパー(メー
ルニュース26.02.01参照)も用意してくれました。まず金聖●さんから話をして
いただきます。
◆2014年は希望にあふれる年になる
金聖●(自由北朝鮮放送代表、脱北者)
被害者に会えないまま苦しんでいるご家族にとって、2013年は大変苦しい
1年だったのではないか、またご家族を支援して何とか被害者を取り戻そうとさ
れていた皆さん方にとっても2013年は、成果のない、苦しい1年だったので
はないかと心から同情申し上げます。
しかし、2014年は希望にあふれる年になるのではないかという意味の報告
をさせていただきます。
わたしがやっております自由北朝鮮放送(韓国語では自由北韓放送)は、20
06年から北朝鮮向けに短波放送を流しています。そして実は毎日拉致問題を取
り上げています。2つの方法で拉致問題を取り上げています。第一に日本政府が
作ったものを流すことです。1日約分、拉致問題とは何なのかということについ
て。もう一つは、西岡教授が持っている対談番組です。
西岡 金聖?さんと対談しています。1週間に1回土曜日に15分、同じものを
日曜日に15分流してくれています。
金聖● また、旧正月、新正月、お盆など、朝鮮の祭日の時などに日本の家族の
声をそのまま北朝鮮に放送してきました。またそれを朝鮮語に翻訳して流してき
ました。今日も実は家族の方々の録音をして新しいものをまた北朝鮮に流そうと
思っています。
私はそういう努力を2006年からしてきましたが、しかしそれが効果があっ
たんだろうかと考えざるをえなかった2013年でした。しかし、2014年は
希望があると言いたいです。なぜ希望があると言えるのかについてお話申し上げ
ます。
2年前、ここで、「北朝鮮の住民たちは金正恩政権がどうなるかについてほと
んど関心はありません。上層部にいる人間だけが、金正恩にくっつかなければな
らないと思ってみんなそちら側に結集するだろう。従って、情報は金正恩に集ま
り国民の支持はないという逆三角形のような不安定になるだろう。金正恩のミス
をうまく利用さえすれば、金正恩政権は長く続かないだろう」と申し上げたこと
を覚えています。
◆喪に服さず、破格のイベントに登場し、幹部を粛清した金正恩
金正日は、金日成が死んだ時、3年間は喪に服すとして何もしませんでしたが、
金正恩は葬式の後1か月もたたない12月31日に、最高司令官に就任しました。
2012年2月には金正恩勲章なるものを作り、4月には党代表者会議と最高人
民会議を開催し、長距離ミサイルを発射し、金日成生誕100周年のお祭りをし
ました。
その後、韓国のマスコミに対して、名前を挙げて、緯度経度まで示して、「テ
ロをする。許さない」という脅迫をし、またかつてなかった少年団創立行事を行っ
て、金日成に自分を似せて子どもたちも自分を慕っているという宣伝を行いまし
た。
当時国際社会では、金正恩はオーストリアに留学したんだから開放的ではない
のか、政策を変えて改革開放の方向に出るのではないかという期待もあったので
す。金正恩はそのような国際社会の期待を知っていたかのように7月になって、
夫人李雪主を連れて牡丹峰(モランボン)楽団の公演に現れました。その牡丹峰
楽団の公演は、ミッキーマウスが出てくるような、北朝鮮では破格のものでした。
その時までは国際社会は金正恩がそれなりの方向を出すのではないかと思われ
ていました。しかし、7月に突然、当時まで金正恩は大将でしたが、その一つ上
の次帥の階級を持っていて、朝鮮人民軍の最高実力者だった李英浩(リ・ヨンホ)
総参謀長が、病気を理由にすべての役職を解かれました。
李英浩は、金正日時代から金正恩政権を立ち上げるのに貢献した人間です。金
正恩はそういう人間でも自分が気に入らなかったら処分することができる、その
ような権力を持っていると思われたわけです。
その後、金正日時代金正日の傍にいて、そして金正恩時代になってそれを支え
る幹部たち、それから金正恩になってから出てきた幹部たちの人事が混ざり合っ
ていくわけですが、ある日気づいてみると金正日時代から金正恩を支えてきて、
金正恩政権を樹立するのに貢献してきた幹部たちは誰もいなくなったことが分か
ります。
金正日の霊柩車の回りを護衛して歩いた8人、そのうち一人は金正恩ですが、
残り7人のうち、80歳以上の象徴的人物2人を除いて皆いなくなりました。そ
の時残ったのは張成沢と崔竜海(チェリョンヘ)です。張成沢は義理のおじさん
であり、崔竜海は金正恩のおじいさん金日成と一緒にパルチザンを戦った崔賢
(チェ・ヒョン)の息子です。
当時北朝鮮内部の権力の話ではなかった話が、今権力内部で話されています。
最高権力者は金正恩ですが、金正恩に近づくためには張成沢の壁を越えなければ
ならないということです。これまで、金日成、金正日時代にはなかった、最高指
導者とは別の人間が浮上してきたということです。
そしてもう一つ。張成沢系列の人間が静かに浮かび上がりました。金永日(キ
ム・ヨンイル)党国際部長、金平海(キム・ピョンヘ)党書記、文京徳(ムン・
ギョンドク)平壌市党責任書記などで、彼らは張成沢側近として浮上しました。
また、元老世代の子どもたちである若い世代が浮上しました。例えば、呉日晶
(オ・イルチャン) 、これは、呉振宇(オ・ジヌ)元人民武力部長の次男です。
あるいは徐(ソ)ドンミョン、これは徐哲(ソ・チョル)元労働党書記の長男、
李容浩(リ・ヨンホ)第1外務次官、これは李ミョンジェ党組織指導部第一副部
長の長男などです。
昔の幹部の子どもたちで、彼らは実は張成沢の推薦で金正恩体制に入ったと言
われています。
当時金正恩は27歳です。北朝鮮の個人独裁システムがなければ何もできない
わけです。彼が統治できたのは張成沢が助けたからです。その一番は人事です。
張成沢が人事を助けた結果として、逆に力が集まってくる。金正恩に到達するた
めには、張成沢を通らなければならないとみんなが見るようになりました。今ま
でにはなかった現象が起きてきたということです。
これは我々の分析、あるいは推測ですが、当時の北朝鮮の軍の人事はあまりに
も頻繁に変わりました。人民武力部長、そして総参謀長は、名前も覚えられない
ほどどんどん変わりました。
張成沢の系列が抜擢されると、それに対し、軍だけは自分の人脈を入れたいと
金正恩が入れる。そのようなことが続いたからの混乱と考えられます。
◆金正恩のミスが始まる
この頃から金正恩のミスが始まるわけです。今まで金正日がしなかった肉声演
説を彼はしました。張成沢がさせたのかもしれません。金正恩の演説を聞いた脱
北者たちはみんな異口同音に、「こんなに演説か下手なのか」と感じました。そ
れは北朝鮮の人たちも同じだと思います。
北朝鮮の大学生たちは1週間に1回の生活総和などで、演説がうまいんです。
訓練をたくさん受けているわけです。そういう立場から見ると、「この演説の仕
方は何だ」とみんなが思って、その瞬間に神格化が崩壊して、「ああ、あいつも
ただの人間なのか」ということになっていったのではないかと思います。
金正日は言葉がしゃべれないから演説をしなかったわけではないんです。しか
し、彼は公開演説をしなかった。それは自分の神秘性を高めるためにそうしてい
たのですが、その神秘性を金正恩は墜落させてしまった。
もう一つの心配、これは私が北朝鮮の出身だからそう思う心配ですが、自分の
ことを神様だと思っている人たちの前に、突然自分の奥さんを連れて出てきた。
実は、私は金日成が死んだ時は北にいたんですが、天が崩れるかと思いました。
金日成は神様だから死なないと思っていたんです。本当に泣きました。
しかし、その過程で学習をして、ああ人間なんだなあ、と。そして今度は金正
日が死ぬかもしれないなと思っていました。そのような神格化されている存在を
金正恩は人間に戻してしまった。
北朝鮮の首領と女性の関係については、首領のそばにいる女性も偉大だと宣伝
してきたわけです。まず、金日成の母親は非常に偉い人物だと描いています。そ
して金正日の母、金日成の夫人も偉大な人物だと描かれています。また、金正日
にはたくさんの夫人がいたんですが、全く公開されませんでした。偉大な人物は
公開しないのです。
ところが金正恩は自分の奥さんを普通に連れて出てきた。「ああ、あいつも人
間なんだなあ。普通の人なんだなあ、普通の父親になるんだなあ」と思わせてし
まった。
北朝鮮には、労働党の10大原則というのがあり、「首領以外のどの人に対し
ても尊敬してはならない」ということになっています。先ほど言った首領の女性
たちはみんな死んでいるわけです。
しかし、金正恩夫人の李雪主は、生きて出てきてしまった。生きている人は偉
大だとでっち上げることはできなんです。同級生もいるわけです。同じ楽団で働
いていた人間たちもいるわけです。普通の人間だったことが分かってしまう。
そこで出てきたのが李雪主のポルノビデオ出演疑惑です。本当にそのようなビ
デオがあるのかどうかは分かりませんが、少なくともそのようなものがあるとい
うニュースがたくさん出て、それに対して北朝鮮当局が大変強く反応したことが
ありました。
(2につづく)
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■安倍首相にメール・葉書を
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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
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