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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮は世界の拉致被害者をすぐに返せ!国際セミナー報告5(2014/03/11)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.03.11)

■北朝鮮は世界の拉致被害者をすぐに返せ!国際セミナー報告5

◆国連安保理決議1441では拉致も制裁の理由に

西岡力 先ほど、北朝鮮が今どのような状況かということでしたのでそのことに
ついてお話します。今、会場におられる惠谷治さんからミサイル発射について情
報をもらいました。

 2月27日午後5時40分に発射されたのはスカッドで、5年振り。スカッド
も弾道ミサイルです。そして3月3日、つまり今日午前6時19分に弾道ミサる
2発が発射された。飛行距離が500キロで、これはスカッドERまたはノドンと
いうことです。

 これは明らかに国連の安保理事会に対する挑戦だと思います。スカッドは対韓
国用、ノドンならば対日本用です。我々のことを脅しにきている。彼らは今、核
弾頭を持っていると言っています。実際持っているかどうかは分かりません。し
かし、持っていると言っている国がミサイル実験をしたということは大変深刻な
問題であり、当然安保理事会で取り上げるべきで、脅威を受けている日本や韓国
が申し立てできる十分な根拠があることではないかと思います。

 もう一つ、安保理事会との関連では、先ほど2006年の国連の決議で「人道
上の懸念」という言葉が入ったと言いましたが、この前にも、我々は2002年
くらいから継続してそういう要求を外務省にしてきたんです。

 これは前例があります。国連の安保理事会は、拉致問題で制裁決議を通したこ
とがあります。これはここにいる島田洋一副会長が見つけたことですが、実は国
連安保理決議1441、2002年11月8日の決議です。

 この決議が実はアメリカがイラクと戦争する一つの根拠に使ったものです。こ
の中に、「湾岸戦争中にイラクによって不当に拘禁されたクエート人や第三国国
民を送還、あるいは消息確定に向け協力すべきとした国連決議をないがしろにし
てきた遺憾とする」という言葉が入っています。

「イラクが湾岸戦争中にクエート人を拉致した」、「戦中だ」としていますから、
朝鮮戦争中の拉致と同じです。それを返せと国連の決議が出ているのに無視した
ことが遺憾だということが、国際社会が軍事制裁をする時に使った決議の中に理
由として書き込まれています。

 この時中国は拒否権を使いませんでした。こういう前例があるんだから核・ミ
サイル実験をした時の決議に、日本人拉致のことを書き込ませなかったら我々は
外務省を糾弾するぞと、我々は家族会と一緒にずっと言ってきたんです。そして
ニューヨークで頑張ってもらって、「人道的懸念」というのは入りましたが、中
国が「拉致問題」という言葉を外したという戦いでした。

 中国に対しても前例があるじゃないかということを突きつけることはできるの
ではないかと思います。

 そして北朝鮮内部の情勢との関連ですが、12月に張成沢が処刑されました。
2月16日以降、今ナンバー2と言われている崔竜海(チェ・リョンヘ)が出て
きていません。韓国で脱北者者がやっている「自由北韓放送」では、平壌からの
情報として、崔竜海が逮捕されたということを数日前から書いています。まだ真
相は分かりません。

 ただ、内部矛盾が高まってきていることは間違いありません。端的に言うと、
その第1の理由は外貨がなくなったことです。つまり経済制裁が効いてきた。外
貨がなくなってその外貨稼ぎ部門をどちらの部署がとるかで、血みどろな争いが
起きている。

 軍と外貨稼ぎ部門の54部の取り合いになって、一時54部を張成沢がとった。
軍が怒って張成沢を処刑した。単純に言うとそういうことです。もちろんそんな
に単純ではないんですが、しかし基本的には矛盾です。

 そして崔竜海が今出てきていない。今日来ていただいた金聖浩先生もそのこと
を指摘されました。ということは安保理の経済制裁は効いているんです。なぜか。
北朝鮮は毎年貿易赤字です。数億ドルから10数億ドル赤字です。それなのにベ
ンツを輸入している。核開発ができる。別にお金を持っているんです。

 金正日の統治資金と呼ばれたものを今金正恩が引き継いでいます。それが50
億ドルくらいあると言われていました。過去には朝鮮総連の送金がそれを充当し
ていた。韓国からも金大中・盧武鉉時代にお金がかなり行っていた。しかし、そ
のことを見抜いて国際社会が制裁を始めた。制裁を始めた時と比べ内部矛盾が高
まった。

 今日彼らは弾道ミサイルを撃ったんですから、我々は明日外務大臣を表敬する
ことになっていますが、日本は今(安保理の)非常任理事国ではないですが、安
全保障上の重大な脅威が日本に生まれている、国連の安保理事会で審議してほし
いという日本の外交活動をすべきだと思います。

 いよいよ勝負がニューヨークに移ってきた。安全保障上のことも、制裁のこと
も含めて。そういう中で、もしも日本が安保理事会の中で北朝鮮の人権問題を議
論することについて躊躇しているとなると、情勢を見ていないんじゃないかと思
いますが、私はそのことについて情報がないのでその判断は留保させていただき
ますが、いよいよニューヨークです。そして北朝鮮の外貨を枯渇させることにす
べてが向いてきた。

 アメリカが金融制裁をした時に、本当に効いたんです。盧武鉉大統領がブッシュ
大統領に会って、金正日の代理人として、顔を真っ赤にして金融制裁をやめろと
言ったんです。そう盧武鉉大統領が金正日に報告しているという秘密会議録が韓
国で暴露されました。

 金融制裁が効いて何が起きたか。日朝拉致協議が始まりました。今また彼らは
日本に手を伸ばし始めてきた。動きが出てきています。そういう中でジュネーブ
の報告書は大変価値があると思っています。

 しかし、これからが勝負で、いよいよ厳しい戦いになると思います。

◆中国に非常に大きな責任がある

櫻井よしこ みなさんこの拉致問題が、私たち日本人に何を教えてくれたかをちょっ
と思い出してみたいと思います。私は覚えています。横田早紀江さんが、「日本
がしっかりした国であるならば、この問題は解決できるんだ」とおっしゃった。
日本国が国家であるということを思い出さなければならないという意識を、私た
ちに呼びかけてくださったと思います。

 今、よくよく世界情勢を見てみると、日本の政治家、そして何よりも私たち日
本人が自信を持ってこの先頭に立つべきだと思います。

 さっきちょっと言いましたが、アメリカのオバマ大統領はどっちかというと内
向きです。言うべきことも言わなくなりましたね。例えばシリアで13万人にの
ぼる人たちが殺害されています。政府が殺害しています。このような人道が犯さ
れている、違法なことが行われている国にさえも、アメリカは正式に、軍事介入
しませんと言いました。

 日本に対しても、色々なところで波風を起こさないようにというのが一番のア
メリカのメッセージです。ここには、正義のために立ち上がるという決意が見え
ない。人道のために働くというオバマさんに聞かされていた精神というものがあ
まり見えない。

 大国ではあるけれども摩擦を恐れる。摩擦を起こさないために中国にもものを
言わない。北朝鮮に対しても、本当は厳しい制裁を徹底させるべきなのに、また
ぞろ6か国協議なんていうことを言い始めている。私たちはこの国際社会の正義
とか、守られるべき価値観とか秩序を一体どの国が守るのかという問いに直面し
ているわけです。

 アメリカが動かなければ中国はどうしますか。中国は人道を守らない。国際法
を守らない。人々の安寧を保証する秩序を守ったり、そのような役割を期待する
ことは金輪際できませんね。

 むしろこの報告書の中でも、脱北者者を送り返してはならないということを突
きつけられています。報告書の中でも、中国に非常に大きな責任があるという趣
旨が明記されています。これはとても大きなポイントです。

 この中国が、私たちが望むような価値観をどぶに捨て去るような実際の行動を
とっている。私たちは、アメリカがやらない、中国はもちろんやらない。誰がや
るのかということを考えなければいけないわけです。

 私は、日本しかないと思います。日本国政府と日本国民しかないと思います。
本当に幸福なことに、今安倍政権です。このことを誰よりもよく分かっている政
権です。そして、ただ単に理想を掲げるだけでなく、このような理想を実現する
ための手段、あらゆる意味の強さを日本国は身につけなければならいと考えてい
ます。

 そういう意味で、もちろん他国との協調は大事ですが、他国との協調で第1位
になろうとするよりは、自分たちがまず解決の力を身につけるという決意を持っ
て、その決意を示した上での協調関係という順番でなければならないと思います
(拍手)。

 どうもありがとうございます。そしてなんとしてもこの拉致問題、これを安倍
政権の内に解決すると総理がおっしゃっているわけですから、これを全面的に支
援して、私たち一人ひとりも決意を固めて、私たちは今日本のためだけではなく、
我が国周辺のアジアのためにも、そして人類が目指すべき価値観のためにも、こ
こで踏ん張るという決意を固めようではありませんか(拍手)。

 例えば日本国の力を強くする法案が色々あります。そうした問題について、訳
の分からない議論が横行しています。拉致問題、家族がさらわれていっている、
友人がさらわれていっている。それに対して私たちはこんな思いを持っていると
いう立場から、日本国は今ほど限りなく強くなければならないということを訴え
ていきたいと思いますがいかがでしょうか(拍手)。

 このような思いを共有して国連の人権調査委員会の報告書をなんとしてもニュー
ヨークの国連安保理に持ち出して、もし中国がその前に立ちはだかるならば国際
社会に、人権問題を蹂躙しているのは中国であり、歴史問題において日本を非難
する資格はありませんよということも含めて(拍手)、人権問題に背を向ける中
国の姿を国際社会に訴えて、安保理事会でだめならば総会にでも持ち出して北朝
鮮に対して、大いなる反省を力で迫り、心で迫ることをやっていきたいと思いま
す。どうもありがとうございました(拍手)。

櫻井よしこ それでは第2部に移ります。タイ、韓国の方々等にお話をうかがっ
ていきたいと思います。

(6につづく)




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