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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮は世界の拉致被害者をすぐに返せ!国際セミナー報告6(2014/03/12)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.03.12)

■北朝鮮は世界の拉致被害者をすぐに返せ!国際セミナー報告6

【第2部】世界の拉致被害者家族の訴え

櫻井よしこ 今日は各国の拉致被害者家族が集まっています。本当に遅々として
進んでこなかった拉致問題の解決ですが、今が大きなチャンスであることは間違
いありません。その間、ご家族の皆様がどんな思いで過ごされたか、そして何を
今考えているかについてそれぞれのお訴えをさせていただきます。

 まず、韓国からいらっしゃいました金聖浩(キム・ソンホ)さん。85歳でい
らっしゃいます。朝鮮戦争拉致被害者家族協議会名誉理事長です(拍手)。

<通訳=西岡力>

◆北朝鮮が作った拉致名簿に父の名が

金聖浩 みなさまこんにちは。私は今回の人権委員会の報告書で、「人間の尊厳
に対する重大な挑戦だ」という表現を使いながら、我々の戦時拉致についてA4
用紙7ページにわたって具体的に書いてくれたことを喜んでいます。

 人権委員会の報告書は、北朝鮮の行っている人権侵害がとうてい許すことので
きない重大な犯罪であるということを彼らに分からせる大きな契機になったと思
います。

 問題は、今日の午前中の国際拉致解決連合の総会でもお話ししましたが、北朝
鮮がそのことを認めていないということです。そしてもう一つ、中国もそのよう
なことを認めていないだけではなく、安全保障理事会でそのようなことが議論さ
れることを拒否していることです。

 そして先ほど櫻井さんも指摘されましたが、アメリカも北に対する強力な制裁
をしていないことです。

 そういう中で私たちは今、3つの事業をしています。その事業を通じて、アメ
リカにより強い制裁が必要だということ、中国に客観的事実を分からせ、北朝鮮
にお前たちがやっていることがどういうことか分からせるためにやっている3つ
の事業です。

 第1に、我々朝鮮戦争拉致家族会は、8年前から北の金正日をICC(国際刑事
裁判所)に提訴する問題について検討してきました。この間、困難もありました
が、今私たちは直接被害を受けた家族の名前で文書を準備しています。

 金正日をICC(の法廷)に立てさせることができたとすれば、世界の人権の歴
史の中で1ページをかざれるようになったと思います。それが実現しなかったと
しても、北の拉致犯罪の事実をより広く国際社会に伝えるための助けになるだろ
うと思っているからです。

 第2に、先週行われました南北離散家族面会において、今回は我々戦時拉致被
害者名簿にある人間6人が北朝鮮から出てきて家族と面会しました。その面会を
通じて、北朝鮮が拉致をしたということを彼らに分からせる作業をしています。

 その6人全部が韓国に住んでいて、北朝鮮に拉致されていった人です。拉致被
害者名簿に出ています。実は私が理事長をしていた9年前に、ニューヨークの北
朝鮮代表部を訪れて、1953年に韓国政府が作った拉致被害者名簿をそこに置
いてきたことがあります。

 北朝鮮の国連代表部は、「拉致はありません。こんな名簿は受け取れません」
と最初は協力に拒否しました。実はその時、北朝鮮による龍川(ヨンチョン)爆
破事件があり、それに対する人道的な寄付金を持っていったので代表部の中に入
れたのです。

 そしてお金を置いてくると同時に名簿を置いていったので彼らもそれを受け取っ
たのです。しかし北朝鮮は、韓国から連れて行った被害者がまだ北朝鮮に生きて
いるという事実を否定できなくなっています。ですから中国も否定できなくなる
でしょう。

 第3に、我が家族会は昨年重要な文書を発見しました。1950年10月にア
メリカのCIAが作成した、ソウル近郊から拉致された人たち653人の名簿でし
た。その名簿を見ると、韓国の中で大変有力な名士たちの名前が入っています。
私の父の名前もその中に入っていました。

 このCIAの文書がいったいどこから出てきたのか、だれがどう作ったのかにつ
いて文書を検討しました。CIAの文書を検討すると、CIAは韓国の名簿を参考にし
たのではなくて、北朝鮮が作った拉致被害者名簿を参考にしてCIAが独自に作っ
たものである明確な証拠がいくつか発見できました。

 韓国政府が最初に拉致被害者名簿を作る前に、CIAが北の名簿を入手して作っ
たのです。韓国の被害者名簿では、被害者の住所について番地は入っていません。
何々洞で終わっているんですが、この名簿では何番地まで入っています。

 また名前の英語表記も北の表記が使われています。李(リ)という名前があり
ますが、韓国では李(イ)と発音してスペリングしますが、北では李(リ)なん
です。

 そして拉致の日付、番地すべて正確です。そして表記は北朝鮮式の英語表記で
す。それを見ると、北朝鮮がソウル近郊から連れて行った人たちを、その後調査
して作った名簿をCIAが入手して作った名簿ではないかということです。

 この文書がいつ、どう作られたかについて説明はないんですが、多分、北朝鮮
軍がソウルから撤収する時、あるいは国連軍が北朝鮮地域を占領した時に北朝鮮
が置いていったものを入手したのではと推測しています。

 この文書は、去年アメリカの公文書館に、我々家族会のメンバーを派遣して、
その名簿を点検したところ出てきたんです。

 我々が今推進している3つの事業を通じて、北朝鮮にその犯罪事実を認めさせ、
中国にも客観的な事実を認めさせ、そしてアメリカに強い制裁をさせるというこ
とが助けになると思います。

 最後に、実は韓国でも、左翼政権10年の間、韓国政府が、「北朝鮮は拉致は
ないと言っているんだ」と言って我々家族会の活動を弾圧し、困難にたくさん直
面しました。

 しかし、それが終わり、李明博(イ・ミョンバク)政権になって、「戦時拉致
の実態を明らかにし名誉回復をするための法律案」が国会に提出され、それが通
過しました。

 そこで、総理の直属で、統一部に事務所を置いて、戦時拉致の再調査を政府レ
ベルでしています。まず被害者家族会から申告を受けて、それを調査して、政府
として認定するという作業をしています。

 しかし今になって、私も父が拉致されていますので2世です。私のような世代
はみんな死んでしまっているわけです。そういうわけでなかなか届出が難しく、
また届出て認定されたとしても金銭的な保証がないということもあって、低調で
はありますが今4500人が届出をしました。

 そして何段階かの審議を経て、認定し、家族の名前を大統領に通知するんです
が、認定者が2700人です。今年の年末で終わる認定事業ですが、認定被害者
が確定されたらその名簿を国際社会により一層広報したいと思いますし、そして
韓国政府に対して、南北会談でこれを出せと強く要求したいと思います。

 今日は国際セミナーを通じて大変な知識を得ることもできましたし、勇気を得
ることもできました。我々の先に行って戦っているみなさんに感謝いたします。
ありがとうございます。

櫻井よしこ 次に、韓国拉致被害者家族協議会事務局長をしておられる安炳●
(アン・ビョンスン)さんにお願いします。この協議会は戦後に拉致された人た
ちの家族会です。●=王へんに睿

◆調査報告書を土台として国際連携を

安炳● 拉致被害者家族協議会事務局長

 こんにちは。お会いできて嬉しいです。私たちは韓国で、戦後の拉致被害者家
族会として活動しています。日本の皆様が国際セミナーに私を招待してくださっ
たことを光栄に思っています。

 今韓国の戦後拉致の家族は高齢化が進んでおり、また経済的にも大変困難な中
にいるので、政府とも相談しながら家族支援をしてほしいということで社団法人
が作られました。そして私たちは李玉哲(イ・オクチョル)会長が家族たちのた
めに活動しています。

 今回の南北離散家族面会においても、戦後の漁民拉致の被害者が2人出てきま
した。その一人は、実は私の父と同じ「五大洋62号」という漁船に乗っていた人
でした。

 我々は韓国の中で貧困な家族の生計を助ける活動をしていますが、西岡教授に
よりこうして国際連帯をしてきて、今日この席に来ることになりました。今回の
人権調査委員会の報告書を土台として、私たちも全世界のみなさんと協力して活
動したいと思います。ありがとうございました(拍手)。

◆「拉致じゃない」と言わされた被害者

西岡 ひとこと補足をします。日本のテレビにもちょっと出ましたが、南北離散
家族の面会がありましたが、「離散家族」の枠の中で、拉致被害者を今回たくさ
ん出してきたんです。もちろん本人は「拉致ではない」と言っています。

 寺越さんのところの武志さんと同じです。「家族と会うけれども自分は拉致で
はない」と。「漁船で遭難したけれども北朝鮮がいい暮らしをしているから残っ
た」とか、「いい暮らしをしている」とか言っています。

 戦争中の拉致の人も、どうやって連れて行かれたとは言わないで、「今いい暮
らしをしている」と言っているんですが、しかし、このタイミングを見ると、国
連の人権理事会の調査報告書に、朝鮮戦争中の拉致が具体的に7ページにわたっ
て、李美一理事長以下が調査してきた内容をそのまま載せ、家族の証言が入った
わけです。そして漁船拉致を中心とする韓国人拉致についてもたくさん書かれま
した。

 無視することができなくなったので、「拉致じゃない」と言わざるを得なくなっ
た。寺越事件も当初、社会党の代議士が間に入った時は、「拉致じゃない」とい
うことになっていたので、武志さんは記者会見しませんでした。国際社会が拉致
だと言い始めると、「拉致じゃない」と言わせる。でも報告書は拉致とした。

 そして、名前が出た人たちは少なくとも安全が確保される。国際社会が関心を
持っているから。それで今回の報告書で、日本人の認定被害者の名前が全員書き
込まれました。それは安全を確保するという点でも大変意味があったのではない
かと思います。

 先ほど弟さんが帰られましたが、特定失踪者の藤田進さんの名前も書きこまれ
ました。あと日高さんが載っています。以上補足です。

櫻井よしこ どうもありがとうございました。北朝鮮がどんどん追いつめられて
いることが分かります。次に、タイからいらっしゃったバンジョン・パンジョイ
さん。この方は、1978マカオから拉致され、曽我ひとみさん、ジェンキンス
さんたちとともに暮らしていたアノチャー・パンジョイさんの甥に当たられます。

(7につづく)




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