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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮の再調査結果、予想される問題点3(2014/09/03)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.09.03)

■北朝鮮の再調査結果、予想される問題点3

◆何度も申告させて検証し、全員取り戻す

西岡 合意文書に戻ります。今、日本側がやるべきところについて話をしてきま
したが、次に北朝鮮がすることが7項目出ています。全員を取り戻すということ
を安倍政権は言っています。特に、「認定の有無に関わらずすべての被害者を取
り戻す」と言っているんです。

 しかし、認定していない人を取り戻すというのは大変なことですよね。先ほど
比喩で言いましたが、犯人が人質をとって立て籠もっている時、全員が何人なの
か、全員の名簿を我々はまだ持っていないんです。

 私が担当大臣だったり、担当事務局に勤めていたら寝られないだろうと思いま
す。私も救う会の会長として寝られないくらい悩みます。安全に全員をと言うけ
れども、どういう方法で名簿もない人を取り戻すのだろうか。

 そこで考えたのが北朝鮮に申告をさせることです。そして我々が検証する。そ
れを繰り返し行う枠組みを作ることです。これは既に、核問題で6者協議で合意
されている方法です。

 核問題でも、北朝鮮のプルトニウムの量や濃縮ウラニウムの量は、我々には分
からないんです。しかし、すべての核爆発物質を申告して国外に出すことで一応
合意したわけです。そして北朝鮮は1回目の申告をしました。プルトニウムの量
が大変少なかったです。

 それでアメリカや韓国などが、「これは少なすぎる。再申告をしなさい」と言っ
た。そうしたら交渉が決裂して核実験をしてしまったわけです。すべての核物質
を国外に出せと要求しましたが、そのすべての量が我々には分かっていない。こ
れはイラクのフセイン政権に対してアメリカや国連安保理事会が、「すべての大
量破壊兵器の開発をやめまさい」と。

 しかし、やっているかやっていないかは分からない。そういう時に申告させて
検証するという枠組みを作るわけですが、向こうが犯人なのだから「合同調査委
員会」は絶対作ってはならない。向こうが申告し、こちらが検証する。そして、
こちらが納得するまではその枠組みが続く。そこまでは解決と見なさないことを
相手に保証させる。

 これしかないとずっと思っていて、国会の参考人として、あるいは色々なとこ
ろで話をしてきたんですが、そういう観点から見ると、今回の合意文書では合同
調査委員会ができなかったので、最悪にはならなかったと思いました。

 しかし、繰り返し検証ができるのかどうか。1回はやることが書いてあるんで
すね。「拉致被害者及び行方不明者に対する調査の状況を日本側に随時通報し」
となっています。それに対し日本側は、「提起される問題を確認する」となって
います。

 また、北朝鮮側は、「北朝鮮側の提起に対して、日本側関係者との面談や関連
資料の共有等について、適切な措置を取る」となっています。

 北朝鮮が調査し、随時通報するとなっています。そして日本側が確認する。通
報と確認を1回するとは書いてあるんですが、それが繰り返しされるかどうかと
いうことと、どこで見返りを渡すのかということが明確ではないですね。

 合同調査委員会にはならなかったぇれども、1回彼らが拉致被害者について何
らかのことを出してくることを取ったというのは評価できますが、紙で調査結果
が出てきた時に何か見返りを出そうとするのか。そういう問題があると思ってい
ます。

 全員を取り戻すと言うこと、しかし全員の名簿がない困難な状況でどうすれば
いいと思われますか。申告・検証しかないと思うんですが。

◆家族が納得できる合意文書になっていない

中山恭子 被害者が日本人ということであれば、やはり被害者側を納得させる解
決、被害者の関係者が納得する解決が必要になると思います。無体なことを言う
方々ではありませんので、きちんとした、納得できる状況があれば納得できる筈
なんです。

 ところが、今の北朝鮮側の説明というのは、子どもだましのような、本当に人
をばかにしたような作り話が伝えられてきているだけですから、これで家族に納
得せよと言っても納得できる筈がないというのが現状だと思っています。

 今回の調査を行って、これを最終的なものと考えるというのが合意文書にあり
ます。日本側もこれに応じて、最終的に北朝鮮に対する措置を解除すると表明し
ています。

 北朝鮮側も日本側も、今回の調査が最終的なものとしています。

西岡 前文では、「北朝鮮側は、過去北朝鮮側が拉致問題に関して傾けてきた努
力を日本側が認めたことを評価し、従来の立場はあるものの、全ての日本人に関
する調査を包括的かつ全面的に実施し、最終的に日本人に関する全ての問題を解
決する意思を表明した」となっています。

 そして、「日本側は、これに応じ、最終的に現在日本が独自に取っている北朝
鮮に対する措置(国連安保理決議に関連して取っている措置は含まれない)を解
除する意思を表明した」となっています。

 しかし誰が、いつ「最終的」と判断するのか。北朝鮮が調査して日本に通報す
るということしか書いてないわけです。そこが危険なところで、北朝鮮は、「こ
れで最終的な調査をしたんだ」として終わりにする危険性が残る。

◆ジャンボ機に乗って帰ってくるならば納得できる

中山 しかもそれを日本側が最終的なものとして受け止めるというようなことが
書かれているのですから、それでいいんだろうかという大変心配な点が前文にあ
るんです。

 例えば2002年の時のように、「8人死亡しています。交通事故で亡くなり
ました」。車が通るような場所でもないのに。それから「海水浴をして死亡しま
した」と。泳いだことがない人が海水浴でなくなった、とか。こういうことを伝
えられて、これが最終報告ですと北朝鮮が言ってきた時に、これに応じて日本側
も最終的に制裁措置を解除する。そういうことになりかねない。

 やはり日本側として「最終的」という単語を使うのであれば、日本の中で、
「やはり北朝鮮が言っているのはそうなんだろうな」と、少なくともそう思える
ようなことが必要です。嘘なのか本気でしゃべっているのかは分かりますよ。

 そういったことからも、日本側がやはりおかしい。納得できない段階で、これ
を最終的なものとする、と。そして制裁措置を解除するというのも納得できない
合意ではなかろうかと考えています。

 もっとも大きなジャンボ機を持って行って、何百人も乗れるような。それくら
いの人々が一気に帰ってくる。北朝鮮としても日本との関係を改善すると心を決
めて、北朝鮮の中で拉致した人々を全部出しますという決断をしてくれれば、こ
れはもう私たちは納得できるでしょう。ジャンボ機に乗って一緒に帰ってきても
らうということであれば、これが最終的と言われても、皆さん納得すると思いま
すが、そうじゃない場合を考えて心配しています。

◆北朝鮮で帰るかどうか「協議」しても「帰る」とは言えない

西岡 そしてもう一つ。北朝鮮側の5で、重大な、心配な文言が入っています。
「調査の過程において日本人の生存者が発見される場合には、その状況を日本側
に伝え、帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、措置を講じることとした」
とあります。これを見て中山先生は大変危機感を持たれたということです。

中山 西岡さんとはこの問題をすぐに相談した件ですが、具体的な話で言います
と、曽我ひとみさんの夫、ジェンキンスさんと二人のお嬢さんが北朝鮮に残され
ていました。2004年7月にジャカルタで、これも非常にやっかいなことがあ
りまして、拉致問題というのは一つひとつに歴史やら物語があって、どこをどう
まとめていいのか分かりません。

 話は長くなりますが、地村さんご夫妻、蓮池さんご夫妻のお子さん4人は「親
のところに行きなさい」と北朝鮮側が出してくることがはっきりしていました。
小泉総理の2回目の2004年5月の訪朝の時に、迎えに行くわけですが、その
時に、金正日総書記から、「ジェンキンスさんは日本に行きたくないと言ってい
る」ということが伝えられて、小泉総理がご自身で説得されるんです。

 私はそこにいたわけではありませんので報告を聞いただけのことですが、1時
間くらいかけて、本当に一生懸命、小泉総理は自分と一緒に日本に行きましょう
とジェンキンスさんを説得したけれども、ジェンキンスさんとお嬢さん二人は、
「どうして今日ひとみを連れてこなかったんだ。どうしてお母さんを連れてこな
かったのか」、その繰り返しだったそうです。

 この話は後でインドネシアのジャカルタで、ジェンキンスさんたちがホテルに
入ったときにも聞いた話ですが、「そう言うように言われていた。小泉総理が日
本に行こうと言うと思うけれど、なぜひとみを連れてこなかったのか、母親を連
れてこなかったのかと言って、小泉総理を責めるように。これが北朝鮮側の指示
だった」と。

 日本の被害者には必ず指導員がついていますから、この指導員の言うことを聞
かなければとんでもない事態になるということを被害者はよく分かっていますの
で、言われた通りのことを言う。それしか言わないというのが、北朝鮮での被害
者の現状です。

 その時、ジェンキンスさんが、「私は日本に行きたい。日本に行く決心をしま
した」と英語で伝えてきた時、「それはもう是非行きましょう」と。アメリカの
脱走兵ということでしたから、場合によってはタラップから日本の土を踏んだ段
階でアメリカ側に拘束される可能性があって、脱走兵の場合は死刑になる可能性
もあるという、心の中の葛藤がある中で、それでも娘のことを考えれば、日本に
行く決断をしたわけです。

 私は見ていて、北朝鮮を出た時から心の底では日本に行きたいと思っていたに
違いないと読んではいたんですが、いずれにしても、日本に行くという心をはっ
きり決めて表明した時に、日本の総理が平壌で「自分と一緒に行こう」と。

 「どうしてあの時に、総理がそう言うのであれば『一緒に行きます』と答えな
かったんですか」と質問をしたら、非常に不思議そうな顔をしてながめられまし
た。「なんでそんな質問をするの」という、そんな感じでした。「当たり前でしょ
う。そんなことを質問されたってという、そんな感じでした。

 どういう答えかというと、「あの時もし自分が小泉総理に、『おっしゃること
を信じて日本に行きます』と答えていたら、その後小泉総理は空港に行く。自分
たちは、いったん自宅に戻るか別のところに行って、そこから合流する。その間
に自分たちは殺されていますよ。なぜあなたはそんなことが分からないんですか」
と、そんな感じで答えてくれました。

 北朝鮮で被害者として監禁状態に置かれている人々は、「日本に行きたいとか、
日本がいいとか、日本に戻りたいね、日本はよかったね」と、そういう単語を使っ
ただけでもとんでもない目にあわされる。

 「日本に行きたいと言ったら殺される」、そういう風に思っているわけですか
ら、北朝鮮の中で、ここ(合意文書)にあるように、「被害者が見つかりました
よ」という報告があったら、日本政府の者が行って、そこで「あなた日本に行き
ましょうよ。行きますかどうですか」というような「去就の問題に関して協議」
とありますが、そんなことを日本側がその場で相談して、被害者が「日本に行き
たいです」と答えられるはずがないんです。

 そのくらいのことは交渉に入っている人は知っていてください。そんな思いで
この合意文書を見ました。

 当時、拉致対の中では、どういうことがなされていたかと言いますと、被害者
が見つかった場合には、日本政府の関係者がすぐ北朝鮮に入って人定確認をする。
本当に日本人なのかどうかの確認をし、日本人であることの確認ができた段階で
直ちに帰国させる。そういう合意文書にしなければいけないということをずっと
主張してきていました。

 ところが今回は、北朝鮮の平壌で「去就」について協議することになっていま
すから、これでは誰も「帰りたい。日本に行きたい」とは言えない。誰も帰って
こないという結果になる。北朝鮮側はそれを見越した上でこの合意文書を作って
いる。

 「帰国する方向で」と書き入れましたというのが外務省からの報告ですが、な
ぜ直ちに帰国させるという合意にしなかったのかと質問しました。すると、「帰
国する方向で」と入れました、と。

 協議しても被害者はそのことを答えられない。そんな当然のことをなぜ分かっ
ていてくれなかったのかと、非常に悲しい、残念な思いがしました。その点につ
いて、多分、安倍総理はこのことをご存じです。ですから、これではだめだとい
うことはお分かりいただいていると思っていますが、確認しているわけではあり
ません。

◆外交なのか、被害者救出交渉なのか

西岡 5人の被害者が帰ってきた時、「一時訪問」、「一時帰国」ということで
したが、案内人と称する人たちが付いてきました。彼らは5人を監視し、政治的
な活動を指導している指導員です。

 5人の被害者が帰ってきて東京にいる時、指導員もいましたが、別々にして一
切連絡ができないようにした。それは当時中山参与が指導されて、一切連絡がで
きないようにした。

 その前に、飛行機でチャーター便で行ったんですね。特に曽我さん一家の面会
の時にチャーター便を使ったことに、「お金をかけすぎだ」とか「ぜいたくだ」
という議論があったんですが、チャーター便には意味があるわけです。

 チャーター便の中は日本国ですから、席次を日本が決められるんです。それで
まず指導員と離すことをしなければ、平壌にいるのと同じことになってします。
別々にして安心してもらって、そして本当の気持ちを聞き出す。

 日本の中でも、東京にいる時は5人は帰ると言っていたわけです。自分たちど
うしでも、5人集まっていると、北朝鮮では1週間に1回、指導員が指導するも
とで、生活総和というのをするんです。

 これは、労働党の教え、あるいは金日成、金正日の教えを基準にして、この1
週間の自分の行動が正しかったかどうかをまず自己批判し、それを相互批判しま
す。それを指導員が監視します。これを1週間に1回、ずっと被害者はさせられ
ているんです。いつ指導員のところに自分たちが出るか分からない5人が一緒に
いる席では、「帰る」と言っていました。

 それぞれ故郷に帰って、自宅に戻って、バラバラになって静かになった時に、
それでも「日本政府が守ってくれるなら」、「日本に残りたい」という秘密の意
思表示があったわけです。だから洗脳はされてないんです。しかし、警戒してる
んです。本当に日本が味方なのか。

 今北朝鮮にいるめぐみさんや八重子さんがこの文書を読んだら、「私たちのこ
とを分かっていてくれるんだろうか」と思ってしまうかもしれないなあという点
でも残念です。

 外交なのか、被害者救出交渉なのかという観点の違いがどうしても出てきてし
まうと思うんですね。

(4につづく)


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