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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮はどう動くか?東京連続集会報告1(2015/10/19)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2015.10.19)

■加藤勝信・拉致問題担当大臣に初面会?家族会・救う会

 平成27年10月15日、東京連続集会87が東京・友愛会館で開催された。

 今回は、9月末にジュネーブで行われた北朝鮮の人権問題に関するパネルディ
スカッション(北朝鮮代表も参加)及びNGO主催行事に参加した家族会の飯塚
耕一郎さん、横田拓也さんが報告。また、水面下で頻繁な日朝接触が続く中、北
朝鮮は未だに被害者帰国を決断せず、日朝のにらみあいが続いている現状につい
て、そして10月10日の労働党創建70周年行事も踏まえ、西岡力救う会会長
が解説。在京家族も報告した。

■北朝鮮はどう動くか

◆国連人権理事会が、一国の人権状況を議題にするパネル開催は今回が初めて

西岡 みなさんこんばんは。お集まりいただきありがとうございます。

 ジュネーブで何があったのかについて話し、飯塚耕一郎さん、横田拓也さんに
報告してもらいます。2つの資料を準備しました。一つは、耕一郎さんと拓也さ
んが向こうで話されたものの日本語の原稿で、もう一つは政府拉致問題対策本部
が作ってくださったジュネーブでの行事の概要です。

 国連の人権理事会が主催する、北朝鮮の人権問題に関するパネルディスカッショ
ンが、9月21日、ジュネーブで開かれました。これはある面で画期的なことで
した。国連の人権理事会が、一国の人権状況を議題にするパネルディスカッショ
ンを開くのは今回が初めてです。

 これはCOI(調査委員会)の報告書が出て、「北朝鮮の人権状況がすさまじ
く悪い、人道に対する罪だ」ということになり、去年の国連総会でも、責任者を
国際刑事裁判所に訴追すべきだということを含む決議が通り、安保理事会でも北
朝鮮の人権状況が初めて議論されるという枠組みの中で、国連北朝鮮人権問題担
当特別報告者であるマルズキ(ダルスマン)さんが、「こういうディスカッショ
ンをすべきだ」という提案を今年初めにされました。

 各国政府もすべきだし、国連人権理事会でもすべきだという提案で、これを受
けて人権理事会が主催し、国連加盟国である北朝鮮の人権状況を問題にするパネ
ルディスカッションを開いたということです。

 この枠組みについては、自国内で人権状況を抱えている国は、「次は自分がや
られるかもしれない」ということもあるので、枠組み自体について反対する立場
の国もある中で、ディスカッションが開かれたのです。

 パネルディスカッションですからパネラーがいるわけですが、4人いて、司会
者もいた。司会者がCOI報告書を作ったカービー元委員長で、パネリストはマ
ルズキ国連北朝鮮人権問題担当特別報告者、デビッド・ホークさんという強制収
容所問題を研究しているアメリカの研究者、市民社会代表ということで飯塚耕一
郎さんが行かれて、もう一人韓国のNGOの代表であるゴン・ウンギョンさんが
話しました。

 実は5人目のパネラーを採用するかどうかで論争があったそうです。北朝鮮代
表もパネラーに入れるかどうか。これは外交のやりとりの中で、特に日本側が頑
張ったと私は漏れ聞いていますが、「北朝鮮の問題を議論するのに北朝鮮をパネ
ラーの中に入れるわけにはいかない」ということでパネラーには入らなかった。

 但し、4人のパネラーが話し終わったら、最初に北朝鮮側が話すことは決めら
れていた。その後、各国代表が1国2分間ずつ、順番は決まっていなくて話をす
ることになっていたんですが、私が聞いているところでは、国連の内規で、「副
大臣級の人が行く場合は優先的に発言権が与えられる」ということで、拉致対策
本部の石川事務局長は副大臣クラスだということで自ら行ってくださった。

 そして、耕一郎さんが発言し、それに対して北朝鮮が発言し、その直後に拉致
対策本部の事務局長が発言することが事前に決まっていたわけです。一昨年のC
OIの報告書を受けて、北朝鮮の人権問題を話し合うジュネーブの人権理事会に
は飯塚代表が行かれたわけですが、そこにも北朝鮮代表がいて、飯塚さんの発言
の時、どん、どん、どんと机を叩き、「なぜ外交官ではない奴が話しているんだ」
みたいなことがあったんですが、今回も北朝鮮の代表がいるところで耕一郎さん
が話されるということもあって、なかなか緊張した場面だったのではないかと思
いながら、東京で報告を待っていました。

 また後程いらっしゃいますが、横田拓也さんは、一緒にジュネーブに行き、こ
の人権理事会のパネルディスカッションではなく、サイドイベントというのがジュ
ネーブでよくありますが、NGO主催のサイドイベントで北朝鮮人権問題につい
てアピールする場が与えられて、そこで発言しています。

 そこにはタイの拉致家族の人、韓国の拉致家族の人も来ています。では、そう
いう状況の中で、何を話したのか、そこでどう感じられたかをご報告いただきた
いと思います。

◆「共に頑張ろう」とカービー元委員長

飯塚耕一郎(田口八重子さん長男)

 みなさんこんばんは。このあと仕事が入っていて、中座しますこと恐縮です。

 9月20日から23日に、スイスのジュネーブに行き、国連人権理事会のパネ
ルディスカッションに参加し、拉致問題について発言してきました。5月頃に政
府から参加について打診されていました。今回、シルバーウィーク(秋の休日)
だったこともあり、参加できることになりました。

 家族会から私と横田拓也さんが参加し、また政府は拉致問題対策本部の石川事
務局長が参加されました。国連の場で発言させていただいたのは初めてで、我々
当事者がそのまま伝えるということでだいぶ共感していただいたのかなという印
象を受けました。

 マイケル・カービーさんとは直接話をして、「あなたの母親を救うために私も
頑張る。共に頑張ろう」という言葉をいただきました。

 9月21日には、カービーさんやデビッド・ホークさんなどのパネラーの方々
と冒頭話をしました。今回、国連の人権理事会における北朝鮮人権問題の要旨を
説明していただきました。

 西岡先生が、北朝鮮一国の人権問題を議論するのは初めてと言われましたが、
国連の理事会の方々はものすごく緊張感がただよっていました。北朝鮮に対して
人権問題を追及する形になりますので、そこで北朝鮮がどういうアレルギー反応
を起こすかということに敏感になっていました。

 象徴的だったのは、「ノースコリア(北朝鮮)」という単語は使うな、あくま
でもDPRK(朝鮮民主主義人民共和国)という単語を使ってくれ、と。要する
に国連の正式国名で話せということを繰り返し要請されました。

 また、私も主張しましたが、今回のパネルディスカッションが終わってからの
フォローアップをどう構築していくかが問題だ、と。まだ、具体的な案は確立し
ていないが年内に骨子を作りたいとカービーさんがおっしゃっていました。

 北朝鮮について各パネラーから色々な話がありましたが、戦争の時拉致された
韓国人被害者、日本人拉致被害者については、時間がないことを自覚してほしい、
と。また、北朝鮮が祖国統一を望むのであれば、その部分に関してはどうなるか
分からないので、そのことに言及することはないとおっしゃっていました。

 拉致問題も含め、北朝鮮における各種人権問題に関しては、あくまで世界がそ
こに向かっていくべき行為だ、拉致問題については国家テロであり海賊行為に過
ぎない、と。そういうことをパネルの前に議論されました。

西岡 パネル前の議論というのは、理事会関係者との話ですか。

飯塚 そうです。理事会関係者と我々パネラーとの議論です。

西岡 「海賊行為に過ぎない」と言ったのは。

◆北朝鮮代表は拉致に言及せず

飯塚 他のパネラーの方の発言です。既に述べたような事前の打ち合わせがあり、

 その後パネルディスカッションになりました。モデレーターとしてマイケル・
カービーさん。理事会の中での発言をコントロールするためのモデラーです。

 パネラーは、マルズキ・ダルスマン国連北朝鮮人権状況特別報告者。マルズキ
さんは去年訪日して、私は参加できなかったのですが、家族会から拉致問題につ
いてヒアリングをしていただいた方です。

 そしてデビッド・ホークさん。主に北朝鮮の政治犯収容所関連の専門家で、著
書も出しています。次に私と、韓国のICNK(北朝鮮における人道に対する罪
を止める国際的な連合)のクォン・ウンギョンさん。クォンさんは北朝鮮の全般
的な人権状況の話をしました。

 各パネラーが5分ずつ話をして、その後北朝鮮が発言、アメリカと石川事務局
長の発言、それに続いて各国が発言しました。そこまでで約1時間。そして発言
に対するパネラーの回答、再び各国の発言、一国につき2分ずつ話し、最後にパ
ネラーが発言し、マイケル・カービーさんが全体をまとめました。

 私は北朝鮮の様々な人権問題については述べず、今日の資料に私が発表した原
稿の全文がありますが、拉致問題について話をしました。土日を使って7回校正
をし、シンプルで、どなたであれ通じるような発言にしようと思いました。

 当時1歳の私が37年という長い月日を、母親と話したことも、触れたことも
ない記憶について、そして拉致された彼女、田口八重子さんは、2002年9月
に「死亡」として扱われた事実について、またそれが嘘であったことについての
説明、さらに北朝鮮が不誠実な行動をとっていること、私は今でも彼女が北朝鮮
に生きており、救出を待っていることについて話しました。

 また、このような被害者が、日本には私だけでなく政府認定だけでも17名で、
そのうち5名は帰国したが12名が帰国していないこと、また死亡を裏付けるも
のが何もないこと、横田めぐみさんのように13歳という信じられない若さで拉
致されたケースがあるということ、その他日本だけで数百名ものの拉致の可能性
がある人がいるということ、さらに韓国、タイ、ルーマニア、レバノン等の国民
が拉致された可能性があること、またCOI(国連調査委員会)の報告では、そ
れ以外にマレーシア、シンガポール、フランス、オランダ、中国にも拉致被害者
がいるということ、つまりグローバルに拉致被害者がいることを主張しました。

 日本では拉致されてから30年以上経っており、家族が再会を果たせぬままこ
の世を去っていること、時間をかけていい問題ではないことを主張しました。

 私の発言要旨に関して各国から具体的な言及は特になかったのですが、事前の
打ち合わせも含めて、カービーさんは、「私はあなたのお母さんをリスペクト
(尊敬)する、何としても救おう。また北朝鮮によりありとあらゆる人権を蹂躙
されたことにつき早くアクションを起こそう」とのことでした。

 北朝鮮の発言ですが、拉致についての発言はありませんでした。「今回のパネ
ルディスカッションは人権問題を軸に北朝鮮を崩壊させようとする意図がある。
北朝鮮はそんなことでは揺るがない」と。また、人権理事会は無くなった方がい
いというか、論議する価値はないと、北朝鮮の国連の代表者から発言がありまし
た。

 また彼らのワンパターンですが、日本は第二次大戦で北朝鮮を含むアジア各国
に対して色々な人権問題を起こしたのではないかという趣旨の発言がありました。
これについては、石川事務局長がものすごくうまい切り返しをして、「日本は、
平和、民主主義、基本的人権、法の支配を重んじてきた国家だと述べ、拉致被害
者が一刻も早く帰るべきことは日本国民の総意であり国会の意思である。拉致問
題の解決を含む北朝鮮の人権状況の改善について具体的な動きを求める」という
趣旨の発言がありました。

 各国の主張は、北朝鮮の人権問題については、議論をして具体的な施策をして
いくべきだという主張が6割、7割くらいありました。懸念を表明するような発
言もありました。北朝鮮と同様に、パネルに関して価値があるのか、意味がある
のか、続ける理由があるのかと、キューバ、ロシア、シリア、ベネズエラ、イラ
ン、ベラルーシ、ラオス、ミャンマーが批判的な姿勢でした。

 しかし、それほど強い批判ではなかったと思います。人権理事会に批判をせざ
るを得ないような印象を受ける発言だったと思います。それらの発言の後、パネ
ラーの私が一番主張したかったのは、拉致問題も、強制収容所等で人権被害にあ
われている方々に対しても同様ですが、「これ以上時間をかけるべきではない。
早急に解決、救出を行うべきだ」という発言をしました。

◆人権被害者リストを作りたい

 こういう形で、拉致問題にフォーカスした発言はなかったのですが、重要なこ
とは、事前の打ち合わせでもありましたが、フォローアップをどう進めるかが重
要という考えに基づいて、「ショッピング・リスト」を年内に作りたいというこ
とでした。ショッピング・リストというのは、具体的に人権被害にあわれている
方々の人名リストを作りたいということを言っていました。

 また、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)という国連に付随する団体が、
今年から韓国に北朝鮮の人権問題を監視するための事務所を設立しました。まだ
具体的な活動はできていない状況だそうですが、これが活動を行えるようなもの
にしたいとおっしゃっていました。

 最後に、カービーさんが、人権侵害に関しては時間がないということを改めて
認識をして、人権理事会を中心として具体的なアクションを今後続けるべきと言っ
た後、総括が行われました。

 終わってみて私が思ったことは、被害者家族の思いや、被害者に関する発言が、
そのまま各国に伝えられたということは大きなことだったと思います。ただ、具
体的な動きを、今後国連人権理事会がどう進めていくかが重要になってくると思
います。パネルの後、拉致対策本部企画室長の島田さんに、今後が重要で日本と
しても国連に対する働きかけや、動きを中止すべきということを申し上げました。

 今の所、国連人権理事会の結果を受けて日本政府がどう動くかは私としては聞
き及んでいませんが、拉致問題も含めた人権問題をどう国際的に進めていくかが
重要だと思いますし、年内に具体的なアクションリストを作ることが重要だと思
いました。

 なお、北朝鮮の代表者、関係者の拉致問題に関する反応は希薄な感じでしたが、
パネルの後、現地に来ていただいた日本のメディアの方々のぶらさがり取材を受
けた時、北朝鮮関係者も来ていたようで、我々の発言を気にしているのかなと思
いました。

(2につづく)



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