北朝鮮はどう動くか?東京連続集会報告3(2015/10/21)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2015.10.21)
■北朝鮮はどう動くか?東京連続集会報告3
◆安倍政権は「拉致最優先で、それ以外の物は受け取らない」
西岡 今申し上げたように、国際的気運が高まっているのは大きな力だと思いま
す。
実は私はこの9月21日、大変緊張していました。北朝鮮がいったいどういう
発言をするのかということについて緊張していました。今年に入って水面下で月
1回以上、外務省の幹部たちによる秘密協議が行われてきているんです。
しかし、去年10月に、日本政府代表が平壌に行った以降、一度も公式協議が
開かれていません。その理由は、水面下での秘密協議の中で、お互いの立場が平
行線でにらみ合いが続いているということです。
当初北朝鮮は、そもそも拉致被害者について調査する必要もないのに、調査を
すると言ったのですが、その調査がまだ終わっていないという嘘をつきました。
名簿はあるんですから出せばいいわけですが、それを出さず、墓地の調査と遺骨
の調査、それから残留日本人やにほんじん妻の調査が終わっているので、それか
ら先に報告したいと言ってきたのです。
墓地と遺骨について先に報告すると言ったことについては、水面下の協議内容
の推測記事だけではなく、宋日昊大使が共同通信のインタビューの中で、「自分
たちは墓地のことについて先に報告したいと言った」と認めています。
それに対して安倍政権は拉致最優先で、それ以外の物は受け取らないと言い続
けてにらみ合いが続いていましたが、8月半ばか上旬くらいから様子が変わって
きました。我々は今年3月以降、繰り返し「報告書を早くくれというのは危ない。
また死亡の根拠を捏造するかもしれない。北朝鮮の態度を判断する基準は、生き
ている人を返すかどうかだ。全被害者の一括帰国を要求すべきで報告書にこだわ
るべきではない」ということを言ってきました。
8月6日、マレーシアで行われた岸田外務大臣と北朝鮮の外務大臣との会談に
つき、日本政府が公式に発表した内容ですが、岸田外務大臣から、「昨年5月の
日朝合意の履行を求めつつ、日本国内の懸念を伝え、一日も早いすべての拉致被
害者の帰国を求めた」、と。
それ以前は、「正直で迅速な報告を求める」と言ってきたんですが、ここでは
「日本国内の懸念を伝え」も入っています。懸念というのはまさに家族会が、飯
塚代表を初め繰り返し述べている懸念もそこに入っているのではないかと思いま
すが、それが伝えられて、「被害者を返せ」ということを、日本の外務大臣が北
朝鮮の外務大臣に伝えたということです。
そして、皆さんの多くも出席してくださったと思いますが、9月の国民大集会
でも安倍総理は同じことを言いました。
◆「調査は終わっている」との謀略情報を流したが
一方、北朝鮮側も8月上旬ぐらいから態度を変えてきました。私が入手してい
る情報では、「9月末に一度拉致問題についての報告あるいは通報をする。それ
は全員死亡で2002年の通告と何も変わらない通告をしろ」という金正恩の指
令が出たという北の内部の情報です。
本当かなと思って見ていたんですが、8月上旬から、その方向での謀略情報の
リークが続きました。まず浅野さんという親北朝鮮の大学教授が北朝鮮を訪問し
て、宋日昊大使に会って、宋日昊という名前は出さないんですが、帰って来てか
ら、「北朝鮮の高官がもう拉致問題の調査は終わっている。2002年の報告と
ほとんど変わりはない。ところが日本政府が政治的負担のためそれを受け取らな
いんだ」と言っているという話をし始めました。
その中で、「北朝鮮をうるさく批判している。しかし、実際拉致問題の解決な
んか考えていない悪い奴が、平沼、西岡、古屋、山谷だ」と言ったと浅野さんは
聞いてきたそうです。私の名前がそこに入っていますので、宋日昊に覚えられて
いたのかと思いましたが、そういう謀略情報が出てきた。
その後、宋日昊大使本人が共同通信のインタビューに応じて、「拉致問題につ
いての調査もほぼ終わっている。残っているのは、その情報をどう公開するのか、
その手続きについて日本政府と話し合いをしなければならない。それが終わって
ない」という言い方をしました。
そして9月初め、北朝鮮の建国記念日が9月9日で、その直前に朝鮮総連が毎
年パーティを開くのですが、そこで許宗萬議長が挨拶した中で、「調査は終わっ
ている。日本政府が受け取りを拒否している」と言いました。同じような内容を、
共同通信、朝日新聞が書きました。
そして未だに官邸の参与という肩書を持っている飯島さんが、フジテレビのB
S番組に出て、自分の推測だがという言い方をしていますが、「調査は終わって
いて、日本側が政治的な理由でが受け取りを拒否している。生存率が悪いかもし
れない。50%かもしれない」と言いました。
日本政府は今、死亡の証拠がないから「全員生存を前提に助ける」と言ってい
るのに、官邸で参与という肩書が付いている人がテレビで、日本政府が予算をか
けて広報している内容と違う内容を言うというのは大問題だと思っています。
そしたら先週の「週刊文春」でも、同じことを飯島さんが書きました。これは
どういうことなのかと強く思っていますが、とにかくそういう情報を様々なルー
トで流しています。
そして平壌では、「日本代表団が9月末に来る。その受入れの準備をしている」
と。9月21日というのは、まさに9月下旬のタイミングで、北朝鮮が家族会や
日本政府代表の発言の後に公式に発言する舞台でした。
そこで、「もう調査は終わっているのに日本政府が受け取らない。けしからん」
と言うかもしれない。その場合に、日本側はどう反応するんだろうかと思って緊
張していました。
◆ジュネーブでは「調査は終わっている」と言えなかった
多分日本政府も、そういうことを想定した上で、現地の大使に発言をさせるの
ではなく、拉致問題を一番よく知っている事務方のトップの石川事務局長を送っ
たのではないかと私は見ています。
北朝鮮の発言の後石川さんが発言することになっていましたので、石川さんの
原稿はできていましたが、それにプラスして北朝鮮側の内容によってどう反論す
るかの準備がなされていたと推測していますが、そういう点で大変緊張していま
した。
ところが日本のテレビなどの報道では、耕一郎さんがこう言ったという内容が
主で、北が何を言ったのかがなかなか出てこなかった。出てきても、日本の戦争
犯罪について言及したとか、ことわざを引用して他人のことに口を出すなと言っ
たとかということだけでなかなか全文が出てこなかった。
「調査は終わっている」と言ったのかどうか確認ができなかったのですが、そ
の後英文の全文が出てきて、それを必死で読んだところ、そういう部分は入って
いなかったということが分かり、これはどういうことなのかなと思いました。
北朝鮮は、「政治的動機のパネルディスカッションを断固拒否する」と言って、
一国をターゲットにしたこと自体をけしからんという攻撃に主たる力点を置いた
発言をしました。
そして、「このパネルはアメリカ主導したものだ」と言って、アメリカのせい
にした。これは北朝鮮の今までの主張ですが、北朝鮮の人権問題を人権理事会で
取り上げるようにしてきたのはアメリカではなくて、日本とEUなんです。それ
なのにアメリカのせいにしました。
それもある面で日本批判のトーンを下げているのです。アメリカのせいだと言っ
ているわけですから。日本については、「日本は人権侵害と人道に対する罪を認
めないから国際的非難を受けている。日本の方が人道に対する罪を犯したんだ」
と。これは戦前のことを言っているわけです。
そして、「わが国には他人のことに口を出すなということわざがある」と言っ
て、その後拉致という言葉も使っていないんです。その直前に飯塚耕一郎さんが
発言して、拉致問題を言っているわけです。それなのに言わなかった。
やっぱり言えないのかと思いました。色々な謀略情報を流したけれども、9月
13日の国民大集会でも各党が集まったところで、「人を返せ」という決議をし
ましたし、9月17日にはもう一度ダメ押しの必要があると思って、記者会見を
開いて、「報告書などはいらないんだ。生きている人を早く返してほしい」と。
北朝鮮の謀略情報にはもう一つセットがあり、「2002年とほぼ同じ内容だ
けれども、違いが一つある。横田さんたちがお孫さんに会えることだ」と。だか
らその後、ウンギョンさんが東京に来るとか、横田さんたちが平壌に行くとかい
う情報も8月くらいから盛んに流されていました。
そして、「横田さんたちもあんなににこにこしていたんだから、満足するだろ
う」といいうようなまことしやかな解説も流されていました。しかし、9月17
日の記者会見で明確に、「そんなことはない。今娘を探しているんだ。孫には娘
さえ見つかれば自由に会えるようになる」とおっしゃった中で、9月における日
本代表団の訪朝もなく、北朝鮮がその謀略情報を公式の場で言うこともなかった。
色んな人に裏で言わせていましたが。そういうことが確認されました。
◆北京の軍事パレードには朴槿恵大統領が参加
そして10月4日に北京で軍事パレードがありました。金正恩はそのパレード
に行きたかったのです。8月くらいから調整をしていました。しかし、条件が合
わなかった。そして金正恩は大変怒っていたそうです。
そういう中、韓国で北朝鮮が埋めた地雷で韓国兵がけがをする事件が起き、韓
国は軍事報復をすると言って大変軍事的な緊張が高まりました。その時中国は、
瀋陽軍区の戦車部隊を2つと自走砲部隊を1つ中朝国境に動かしました。
北朝鮮内部の情報によると、「当初は軍事的に支援をしてもらうために壊した
んじゃないかと思ったが中国から通報が来た。『軍事的挑発はするな。我々は支
持しない』と、中朝の間でそういう緊張関係があった」そうです。
そういうこともあって北朝鮮が急速に降りて、(韓国に)話し合いをしたいと
言ってきて、拡声器放送さえやめてくれれば遺憾と言う」と言ってきたそうです。
そして北朝鮮は10月10日、労働党創建70周年行事を大々的に準備してい
ました。そこでミサイル発射をするのではないか、核実験をするのではないかと
言われていました。
ミサイル開発や核開発を担当しているのは、北朝鮮の第2自然科学院という部
署です。過去に第2自然科学院に勤めたことがある脱北者が最近東京に来て、そ
の人から聞いたのですが、8月末に第2自然科学院で労働党創建70周年退会に
あわせて、労働党を造られた偉大な首領金日成同志に人工衛星発射を贈り物する
ための決死隊が結成されたそうです。
隊長は第2自然科学院の院長で、第2自然科学院の2000人が隊員になった、
と。10月8日が発射日と設定されて、7日までに準備をすることと命令された、
ということを聞きました。そして核実験も10月10日の後に準備していた。
しかし中国は、強い圧力をかけた。まさにジュネーブで北朝鮮人権問題の会議
の場で6者協議と言ったんです。(人権とは)関係ないんです。核問題のディス
カッションではないんです。しかし、「6者協議の共同声明を守るように」と、
中国はわざわざ北朝鮮の代表がいるところで言って、「北朝鮮一国だけを問題に
するパネルディスカッションのこの仕組みに反対だ」とは言わなかったんです。
そこも21日のもう一つの焦点でした。
私が聞いているところでは、「ある国は日本のブースまで来て、拉致問題につ
いて日本政府の立場を支持するが、この枠組には反対だからそう発言します」と
言って発言した国があった。この一国の人権問題を問題にされれば、天安門事件
やウイグルやチベットの問題などを抱えている中国も、人権問題でパネルディス
カッションの対象になりえるわけです。
(4につづく)
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■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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■北朝鮮はどう動くか?東京連続集会報告3
◆安倍政権は「拉致最優先で、それ以外の物は受け取らない」
西岡 今申し上げたように、国際的気運が高まっているのは大きな力だと思いま
す。
実は私はこの9月21日、大変緊張していました。北朝鮮がいったいどういう
発言をするのかということについて緊張していました。今年に入って水面下で月
1回以上、外務省の幹部たちによる秘密協議が行われてきているんです。
しかし、去年10月に、日本政府代表が平壌に行った以降、一度も公式協議が
開かれていません。その理由は、水面下での秘密協議の中で、お互いの立場が平
行線でにらみ合いが続いているということです。
当初北朝鮮は、そもそも拉致被害者について調査する必要もないのに、調査を
すると言ったのですが、その調査がまだ終わっていないという嘘をつきました。
名簿はあるんですから出せばいいわけですが、それを出さず、墓地の調査と遺骨
の調査、それから残留日本人やにほんじん妻の調査が終わっているので、それか
ら先に報告したいと言ってきたのです。
墓地と遺骨について先に報告すると言ったことについては、水面下の協議内容
の推測記事だけではなく、宋日昊大使が共同通信のインタビューの中で、「自分
たちは墓地のことについて先に報告したいと言った」と認めています。
それに対して安倍政権は拉致最優先で、それ以外の物は受け取らないと言い続
けてにらみ合いが続いていましたが、8月半ばか上旬くらいから様子が変わって
きました。我々は今年3月以降、繰り返し「報告書を早くくれというのは危ない。
また死亡の根拠を捏造するかもしれない。北朝鮮の態度を判断する基準は、生き
ている人を返すかどうかだ。全被害者の一括帰国を要求すべきで報告書にこだわ
るべきではない」ということを言ってきました。
8月6日、マレーシアで行われた岸田外務大臣と北朝鮮の外務大臣との会談に
つき、日本政府が公式に発表した内容ですが、岸田外務大臣から、「昨年5月の
日朝合意の履行を求めつつ、日本国内の懸念を伝え、一日も早いすべての拉致被
害者の帰国を求めた」、と。
それ以前は、「正直で迅速な報告を求める」と言ってきたんですが、ここでは
「日本国内の懸念を伝え」も入っています。懸念というのはまさに家族会が、飯
塚代表を初め繰り返し述べている懸念もそこに入っているのではないかと思いま
すが、それが伝えられて、「被害者を返せ」ということを、日本の外務大臣が北
朝鮮の外務大臣に伝えたということです。
そして、皆さんの多くも出席してくださったと思いますが、9月の国民大集会
でも安倍総理は同じことを言いました。
◆「調査は終わっている」との謀略情報を流したが
一方、北朝鮮側も8月上旬ぐらいから態度を変えてきました。私が入手してい
る情報では、「9月末に一度拉致問題についての報告あるいは通報をする。それ
は全員死亡で2002年の通告と何も変わらない通告をしろ」という金正恩の指
令が出たという北の内部の情報です。
本当かなと思って見ていたんですが、8月上旬から、その方向での謀略情報の
リークが続きました。まず浅野さんという親北朝鮮の大学教授が北朝鮮を訪問し
て、宋日昊大使に会って、宋日昊という名前は出さないんですが、帰って来てか
ら、「北朝鮮の高官がもう拉致問題の調査は終わっている。2002年の報告と
ほとんど変わりはない。ところが日本政府が政治的負担のためそれを受け取らな
いんだ」と言っているという話をし始めました。
その中で、「北朝鮮をうるさく批判している。しかし、実際拉致問題の解決な
んか考えていない悪い奴が、平沼、西岡、古屋、山谷だ」と言ったと浅野さんは
聞いてきたそうです。私の名前がそこに入っていますので、宋日昊に覚えられて
いたのかと思いましたが、そういう謀略情報が出てきた。
その後、宋日昊大使本人が共同通信のインタビューに応じて、「拉致問題につ
いての調査もほぼ終わっている。残っているのは、その情報をどう公開するのか、
その手続きについて日本政府と話し合いをしなければならない。それが終わって
ない」という言い方をしました。
そして9月初め、北朝鮮の建国記念日が9月9日で、その直前に朝鮮総連が毎
年パーティを開くのですが、そこで許宗萬議長が挨拶した中で、「調査は終わっ
ている。日本政府が受け取りを拒否している」と言いました。同じような内容を、
共同通信、朝日新聞が書きました。
そして未だに官邸の参与という肩書を持っている飯島さんが、フジテレビのB
S番組に出て、自分の推測だがという言い方をしていますが、「調査は終わって
いて、日本側が政治的な理由でが受け取りを拒否している。生存率が悪いかもし
れない。50%かもしれない」と言いました。
日本政府は今、死亡の証拠がないから「全員生存を前提に助ける」と言ってい
るのに、官邸で参与という肩書が付いている人がテレビで、日本政府が予算をか
けて広報している内容と違う内容を言うというのは大問題だと思っています。
そしたら先週の「週刊文春」でも、同じことを飯島さんが書きました。これは
どういうことなのかと強く思っていますが、とにかくそういう情報を様々なルー
トで流しています。
そして平壌では、「日本代表団が9月末に来る。その受入れの準備をしている」
と。9月21日というのは、まさに9月下旬のタイミングで、北朝鮮が家族会や
日本政府代表の発言の後に公式に発言する舞台でした。
そこで、「もう調査は終わっているのに日本政府が受け取らない。けしからん」
と言うかもしれない。その場合に、日本側はどう反応するんだろうかと思って緊
張していました。
◆ジュネーブでは「調査は終わっている」と言えなかった
多分日本政府も、そういうことを想定した上で、現地の大使に発言をさせるの
ではなく、拉致問題を一番よく知っている事務方のトップの石川事務局長を送っ
たのではないかと私は見ています。
北朝鮮の発言の後石川さんが発言することになっていましたので、石川さんの
原稿はできていましたが、それにプラスして北朝鮮側の内容によってどう反論す
るかの準備がなされていたと推測していますが、そういう点で大変緊張していま
した。
ところが日本のテレビなどの報道では、耕一郎さんがこう言ったという内容が
主で、北が何を言ったのかがなかなか出てこなかった。出てきても、日本の戦争
犯罪について言及したとか、ことわざを引用して他人のことに口を出すなと言っ
たとかということだけでなかなか全文が出てこなかった。
「調査は終わっている」と言ったのかどうか確認ができなかったのですが、そ
の後英文の全文が出てきて、それを必死で読んだところ、そういう部分は入って
いなかったということが分かり、これはどういうことなのかなと思いました。
北朝鮮は、「政治的動機のパネルディスカッションを断固拒否する」と言って、
一国をターゲットにしたこと自体をけしからんという攻撃に主たる力点を置いた
発言をしました。
そして、「このパネルはアメリカ主導したものだ」と言って、アメリカのせい
にした。これは北朝鮮の今までの主張ですが、北朝鮮の人権問題を人権理事会で
取り上げるようにしてきたのはアメリカではなくて、日本とEUなんです。それ
なのにアメリカのせいにしました。
それもある面で日本批判のトーンを下げているのです。アメリカのせいだと言っ
ているわけですから。日本については、「日本は人権侵害と人道に対する罪を認
めないから国際的非難を受けている。日本の方が人道に対する罪を犯したんだ」
と。これは戦前のことを言っているわけです。
そして、「わが国には他人のことに口を出すなということわざがある」と言っ
て、その後拉致という言葉も使っていないんです。その直前に飯塚耕一郎さんが
発言して、拉致問題を言っているわけです。それなのに言わなかった。
やっぱり言えないのかと思いました。色々な謀略情報を流したけれども、9月
13日の国民大集会でも各党が集まったところで、「人を返せ」という決議をし
ましたし、9月17日にはもう一度ダメ押しの必要があると思って、記者会見を
開いて、「報告書などはいらないんだ。生きている人を早く返してほしい」と。
北朝鮮の謀略情報にはもう一つセットがあり、「2002年とほぼ同じ内容だ
けれども、違いが一つある。横田さんたちがお孫さんに会えることだ」と。だか
らその後、ウンギョンさんが東京に来るとか、横田さんたちが平壌に行くとかい
う情報も8月くらいから盛んに流されていました。
そして、「横田さんたちもあんなににこにこしていたんだから、満足するだろ
う」といいうようなまことしやかな解説も流されていました。しかし、9月17
日の記者会見で明確に、「そんなことはない。今娘を探しているんだ。孫には娘
さえ見つかれば自由に会えるようになる」とおっしゃった中で、9月における日
本代表団の訪朝もなく、北朝鮮がその謀略情報を公式の場で言うこともなかった。
色んな人に裏で言わせていましたが。そういうことが確認されました。
◆北京の軍事パレードには朴槿恵大統領が参加
そして10月4日に北京で軍事パレードがありました。金正恩はそのパレード
に行きたかったのです。8月くらいから調整をしていました。しかし、条件が合
わなかった。そして金正恩は大変怒っていたそうです。
そういう中、韓国で北朝鮮が埋めた地雷で韓国兵がけがをする事件が起き、韓
国は軍事報復をすると言って大変軍事的な緊張が高まりました。その時中国は、
瀋陽軍区の戦車部隊を2つと自走砲部隊を1つ中朝国境に動かしました。
北朝鮮内部の情報によると、「当初は軍事的に支援をしてもらうために壊した
んじゃないかと思ったが中国から通報が来た。『軍事的挑発はするな。我々は支
持しない』と、中朝の間でそういう緊張関係があった」そうです。
そういうこともあって北朝鮮が急速に降りて、(韓国に)話し合いをしたいと
言ってきて、拡声器放送さえやめてくれれば遺憾と言う」と言ってきたそうです。
そして北朝鮮は10月10日、労働党創建70周年行事を大々的に準備してい
ました。そこでミサイル発射をするのではないか、核実験をするのではないかと
言われていました。
ミサイル開発や核開発を担当しているのは、北朝鮮の第2自然科学院という部
署です。過去に第2自然科学院に勤めたことがある脱北者が最近東京に来て、そ
の人から聞いたのですが、8月末に第2自然科学院で労働党創建70周年退会に
あわせて、労働党を造られた偉大な首領金日成同志に人工衛星発射を贈り物する
ための決死隊が結成されたそうです。
隊長は第2自然科学院の院長で、第2自然科学院の2000人が隊員になった、
と。10月8日が発射日と設定されて、7日までに準備をすることと命令された、
ということを聞きました。そして核実験も10月10日の後に準備していた。
しかし中国は、強い圧力をかけた。まさにジュネーブで北朝鮮人権問題の会議
の場で6者協議と言ったんです。(人権とは)関係ないんです。核問題のディス
カッションではないんです。しかし、「6者協議の共同声明を守るように」と、
中国はわざわざ北朝鮮の代表がいるところで言って、「北朝鮮一国だけを問題に
するパネルディスカッションのこの仕組みに反対だ」とは言わなかったんです。
そこも21日のもう一つの焦点でした。
私が聞いているところでは、「ある国は日本のブースまで来て、拉致問題につ
いて日本政府の立場を支持するが、この枠組には反対だからそう発言します」と
言って発言した国があった。この一国の人権問題を問題にされれば、天安門事件
やウイグルやチベットの問題などを抱えている中国も、人権問題でパネルディス
カッションの対象になりえるわけです。
(4につづく)
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