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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

制裁強化と国際連携の圧力で全被害者を救出しよう4(2016/03/10)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.03.10)

■制裁強化と国際連携の圧力で全被害者を救出しよう4

■家族会・救う会の運動方針と北朝鮮の現状

◆「対話ができなくなっている」と脅したが、対話を続けた北朝鮮

西岡 去年、「最終決戦の時、不退転の決意で全員救出を!」という運動方針を
決めました。全力で闘ってきましたが、しかし最終決戦は終わらなかった。そこ
で、「最終決戦は続いている 制裁と国際連携で全員救出実現を!」としました。

 去年の運動方針で、「特別調査委員会の調査はそもそも必要ない。北朝鮮は拉
致被害者について、既に情報をもっている」。だから「報告書が問題ではなく、
被害者が帰ってくるかどうかが問題なんだ。報告書をくれと言うべきではない。
被害者の帰国を求めよ」と主張しました。

 それから、「期限を切って、帰国が実現しなかった場合は追加制裁をかけよ」
という運動方針を決めていました。

 去年を振り返ると、北朝鮮は色々な揺さぶりをかけてきました。去年は一昨年
に比べて、公の日朝協議が開かれなかった。局長級の公式協議は一度もありませ
んでした。それが一昨年との大きな違いです。

 一昨年は3月に局長級協議があり、5月にストックホルム合意があり、7月に
特別調査委員会設置、その後9月に結果を聞きに行ったらまだ終わってないと言
われ、結果を聞きに来いということで10月に平壌に行き、局長級協議がありま
した。そこまで5回、公式の協議が開かれています。

 その後公式協議は全くない。しかし、水面下ではひんぱんに外務省と北朝鮮が
会っているようです。聞くところによると、月1回会うという約束になっている
との話があります。それが秘密協議であるならば、漏れてくるのはおかしいので
すが、行うとマスコミにすぐに出るというのもおかしなことですが、パイプは切
れていない。

 去年北朝鮮は、「4つの分科会を作ったけれども、拉致以外の2つの分科会の
調査が終わった。拉致に関する調査はまだ終わっていない」と言っていました。
これは報道にもありますし、私が北朝鮮側から取った情報でも間違いありません。

 それに対して安倍政権は、「拉致について何も報告がないならいらない。拉致
なしの報告書を受け取ることはしない」と言っていました。

 当初安倍政権は、山谷大臣などが繰り返し言っていたのは、「ストックホルム
合意に基づいて、迅速で正直な報告を求める」でした。「正直な」というところ
に、「また嘘をつくなよ」ということを踏まえていたのですが、それに対し我々
は、「報告書はいらない。被害者が帰ってくるかどうかだけが判断基準だ。なぜ
なら彼らは調査をする必要がないからだ」と言っていました。

 水面下で、「拉致以外のものについてまず渡したい」ということについて、安
倍政権は拒否しました。私の聞いているところでは、外務省は、「ストックホル
ム合意に書いてあるのだから先にできたものを貰った方がいい」と言っていたと
の話もあります。しかし安倍総理は、「それはだめだ」と拒否しました。

 そして3月26日に、朝鮮総連の議長と副議長の自宅を家宅捜索をしました。
そうしたら北朝鮮は4月2日に、「政府間対話ができなくなっている」と通報し
てきました。これは北京の大使館ルートを通して通報してきたわけです。

 ちなみに、日本が独自制裁した後北朝鮮が、特別調査委員会の解体を発表しま
したが、これは通報ではなかった。「朝鮮中央通信」が報道しただけのものです。
公式の通報は未だにない。4月2日の通報の方が公式なんです。

 今回は、特別調査委員会を解体するだけで、対話を切るとは言っていません。
ストックホルム合意を破棄するとも言っていない。4月2日は、「政府間対話が
できなくなっている」と微妙な表現でした。「できなくなった」とは言っていな
い。

 その理由として朝鮮総連の議長、副議長の自宅を家宅捜索したことと、拉致問
題を国連に持ち込んだことを挙げています。「対話を切るぞ」という脅しをかけ
てきたんですが、この時安倍政権は毅然として、4月3日、安倍総理がテレビカ
メラの前で、「拉致問題が解決しなければ北朝鮮は未来を描くことが困難だと認
識させなければならない」と言いました。

 向こうが「対話を切るぞ」と脅したら、「未来がないぞ」と返した。大変な緊
張関係です。本当にこの後対話が切れるかなと観察していましたが、その後も外
務省との接触は続いています。

 8月には、岸田外務大臣が、李・スヨン外相とアセアン拡大外相会議で会いま
した。「対話はできなくなっていなかったんです」。その後も朝鮮総連の議長の
息子は逮捕され、有罪になり、国連でも人権問題が取り上げられ、そのことにつ
いて政府は積極的に外交活動をしました。しかし彼らは、対話を切ってこなかっ
た。

◆日本のマスコミ等を利用して世論を分断しようとしたが、日本は動ぜず

 彼らも日本から取りたいものが残っていたということです。しかし、彼らの最
初の狙いは4つの分解を作って、拉致以外のものを先行させて一定の金を取ろう
と考えていたとしか見えませんが、それについては安倍政権は拒否した。

 そうしたら8月に状況が変わりました。拉致以外のものを先行させる絶好のチャ
ンスが8月にあったからです。日本の清津会のグループが墓参に行きました。

 この時、日本のマスコミがたくさんついていきました。そこに残留日本人が出
てきて、「私はこういう風に過ごしています」と言うのかなあとか、「墓地が破
壊されそうになっています。工事が進んでいます」と見せるのかなあとか、「調
査が終わっているのに日本が受け取らないのはけしからん」と言うのではないか
と思っていましたが、墓参団に対し、宋日昊大使は出てきませんでした。実務者
が出てきただけ。扱いが冷たかった。

 一方、同志社大学の浅野という先生が8月に訪朝しました。そこに宋日昊大使
が出てきました。そして言ったのが、「拉致問題についても調査は終わっている」
と。8月に、拉致以外のものを先に出す方針から、「拉致の調査は終わっている」、
マスコミの報道では「ほぼ終わっている」と言ってきました。

 しかし、「その内容は2002年の小泉訪朝の時とほぼ同じだ」、「日本政府
が政治的影響を恐れて受け取らない」、「ストックホルム合意を守っていないの
は我々ではなく日本だ」と8月から言い始めました。

 許宗萬総連議長が9月初め、総連が主催したパーティでもそういうことを言い
ました。朝日新聞と共同通信が、そのような記事を書きました。

 前にも言いましたが、9月にジュネーブで、国連人権理事会主催で初めて「北
朝鮮人権セミナー」が開かれました。これまで日本政府主催のもの、NGO主催の
ものはありましたが、国連人権理事会が主催して、一国の人権問題を扱うセミナー
を開いたのは初めてです。

 そこにパネラーとして飯塚耕一郎さんが出ました。しかし、国連主催で、北朝
鮮は国連加盟国ですから、反論権が保障されています。そのパネルディスカッショ
ンで耕一郎さんが話した後、北朝鮮大使が発言することが決まっていました。

 当初北朝鮮は、「パネラーに入れろ」と言ったそうですが、それは認められま
せんでした。それが9月です。8月に「調査は終わっている。受け取らないのは
日本が悪い」と言い始めた時に、このジュネーブのセミナーがありました。

 飯塚耕一郎さんが田口八重子さんのことを訴えた後、「何を言っているんだ。
調査は終わっている。受け取らない日本政府が悪い」、「このような人権騒動は
誠実に拉致問題の調査をしている我々に対する誹謗中傷だ」と言うのに一番いい
舞台だったのです。

 実は私は大変緊張していました。多分日本政府もそれを察知して、現地の大使
ではなく、一番詳しい拉致対策本部の石川事務局長がジュネーブにきていました。
北朝鮮が反論したら、その後日本政府が手を挙げて反論する。北朝鮮がどういう
ことを言うか、何通りも想定して発言内容を考えていると事前に言っていました。

 しかし、結果的に北朝鮮は、「調査は終わっている」と言いませんでした。拉
致問題自体を出しませんでした。飯塚耕一郎さんが発言した直後なのに、「人権
騒動はアメリカのでっちあげだ。けしからん」と。「日本もアメリカも戦争犯罪
国だ」とは言いましたが、拉致は言いませんでした。

 私が北朝鮮内部から、後で聞いた話では、「日本に色々揺さぶりをかけたが、
死んだということでは動じなかったので日本に調査結果を渡すのを延期した。年
内はしない」ということでした。

 実はその時言われたのが、「2002年の結果とほぼ同じです」という内容を
総合すると、その時一番懸念されたのが、新たな死亡の証拠を出すということで
す。

 2002年に一度通報してきたことを日本政府は受け入れられないとして色々
な反論をしているわけです。死亡診断書はでっちあげだとか、遺骨は偽物だった
とかです。それなのに「2002年と同じだ」と言うためには何か出さなければ
ならない。

 私の北朝鮮の複数の情報筋から、一昨年春1回、去年8月に1回、「危ないで
すよ。殺されて『遺骨』を作る危険がまた高まってきました」と聞いています。
ですから、「分かっているんだ」、「そんなことをしても日本人は死んだと言わ
れてもあきらめない。逆に日朝関係は最悪になりますよ」と。

 そして、「日本の技術であれば、誰の骨かだけではなく、いつ死んだのかも分
かる。民間の救う会でさえ具体的な生存情報を持っている。政府も持っているは
ずだ。今は明らかにしないが、変なことをしたら明らかになる」、「2013年
まで生きていた人が『遺骨』で帰ってきて、それが94年に死んだと言われても、
それは信じられない。帰って来た瞬間に虐殺だと言いますよ」ということを繰り
返しいいました。

 家族会の横田早紀江さんも、伊原局長がいるところで、「被害者が帰ってくる
のが問題で『遺骨』なんかいりません。もらってこないでください」と明確に話
しておられました。

 結局彼らは、そのカードを切ることができないで、9月が過ぎた。「報告書で
はなく人を返せ」ということで、何とか危ないところを切り抜けることができた
のではないかと思っています。

◆返すことを前提にした実質的な交渉はまだ始まっていない

 しかし、なぜこんなに危ないことになってしまったのかと言うと、ストックホ
ルム合意に根本的な欠陥があったからというのが我々の主張です。合意をするの
であれば、被害者を返すという裏約束を取ってから合意をすべきだった。

 3月以降、北朝鮮が拉致を含む協議に応じると言ったことは進歩です。よかっ
たと思います。しかし、すぐ5月に合意をしてしまった。合意を見て、紙に書い
てないけれども、北朝鮮が返すという約束をしたんだろうか。返すことが前提で
日本人妻問題や、終戦時の遺骨問題が入っているのだろうか。そういうことであ
れば評価できないわけではないと思いました。

 そして当時は色々な情報が乱れ飛んでいました。日本経済新聞は、「30人の
リストが来ている」と報道しました。外務省筋のリークでは、「今回の交渉の相
手は国家保衛部だ。国家保衛部のミスター金と田中均局長が交渉していた時に出
てきていた男で、信用できる。国家保衛部は秘密警察だからすべてのことが調査
できるんだ」と。こういうのがたくさん出てきました。

 我々専門家からすると、国家保衛部は党に権限がなく、拉致をしたのは党です
から、全く北朝鮮のことを知らないリークだったのですが、一時本当に被害者が
帰ってくるのではないかと雰囲気が盛り上がりました。

 私は逆に見ていて、「裏約束で返すということが詰まってないんだな。危ない。
返さないのに日本に接近してきたということは、新たな死亡の証拠を出そうとし
ていると思われる」と。

 つまり、本当に返すということのためには、返す条件の裏交渉が必要なんです。
彼らは被害者の名簿を持っているわけです。そして2002年に返せなかった理
由もあるわけです。その理由があるにもかかわらず返そうと彼らが思うかどうか。
それは返さなければどれだけ不利益が来るかということとのバーターでなければ
ならない。

 2002年には、日本から100億ドルのお金が来ると北朝鮮の内部では言わ
れていました。それでもめぐみさんたちは秘密をたくさん知りすぎているので返
さなかった。アメだけでは絶対帰ってこないんです。制裁と国際連携の圧力で、
彼らと被害者を帰す条件を話し合う交渉に引きずり出すということ以外に、助け
出す道はない。

 それは我々がずっと言ってきたことですが、一昨年は条件の話し合いをしない
で表の合意をしてしまった。そこが失敗の原因だったと思います。北朝鮮側は、
4つの分解を作ったんだから日本人妻や終戦時までの遺骨の問題を先にやりたい
と言うし、日本側は拉致が最優先だと言う。そこことさえ詰まってなかったんで
す。北朝鮮側は、金正恩は、「話が違うじゃないか」と言っています。

 安倍政権は、「拉致が最優先であることを繰り返し北朝鮮に伝えた」と言って
いましたが、本当に伝わっていたのかという疑問が出てくる状況です。つまり、
返すことを前提にした実質的な交渉はまだ始まっていないんです。それを始める
には圧力以外にない。

◆2年前より今の方が情勢は有利

 そういう風に思うと、2年前より今の方が情勢は有利だと私は思っています。
国際連携がより進んだ。北朝鮮が核・ミサイル実験をしました。これは拉致問題
とは関係なく、彼らにはアメリカ本土まで届く核ミサイルを持つという至上命題
があります。そして3年に1回実験しなければならないのは、まだ技術的課題が
残っているからです。

 しかしその過程で、彼らが見せた対応を注意深く見ると、安倍政権に対する激
しい非難を避けています。朴槿恵大統領に対する口汚いののしり、オバマ大統領
についても、「人権騒動はアメリカがやった」とか、「アメリカは我々の体制を
滅ぼそうとしている」とすべての責任をアメリカにまわしていますが、日本に対
しては「日本当局」というだけで、安倍さんに対し呼び捨ての非難はないんです。

 加藤(拉致担当)大臣も非難されていない。あるところで、大臣は「俺は認識
されていないのかな」と言っていました。山谷大臣の時は、「有象無象」とか
「人間のクズ」とか言われていました。古屋先生も随分言われました。

 しかし、向こうは安倍さんは批判しないんです。朝鮮総連に対する取り締まり、
厳格な法執行の方針を決めたのは第一次安倍政権です。そして国連に持ち込んだ
のも安倍さんのリーダーシップです。それなのに安倍批判をしない。

 日本と韓国は、同じ日に独自制裁を発表しました。韓国については次の日に、
「韓国は開城工団の稼働を中止する」と言った。中止だから再稼働の余地を残し
たのですが、北朝鮮は「開城から追放する。財産を全部没収する。開城を軍事基
地にする」と、すぐ次に日に発表しました。

 ところが日本に対してはその次の日で、夜10時になって、「朝鮮中央通信」
の報道だけが出た。「朝鮮中央通信」は特別調査委員会が談話を出したと言って
いるんですが、談話の全文を出していない。未だにどこも報道していない。

 日本に対する対話を切る気がないことが分かります。こちらから対話を切る気
がないと日本が言わなくても、必要な時は彼らはやりますし、必要じゃない時は
やめるんです。それが一番よく分かったのは去年の4月3日です。

(5につづく)


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