救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

飯塚耕一郎さん、横田拓也さんが米国で訴え(2016/05/09)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.05.09)

 田口八重子さんの長男、飯塚耕一郎さん(家族会事務局次長)と横田めぐみさ
んの弟横田拓也さん(家族会事務局長)が、米国ワシントンDCとニューヨークで
拉致問題の早期解決を訴えた。

 5月2日には、ワシントンDCで開催された、日本政府と米シンクタンクの戦
略国際問題研究所(CSIS)が共催した「北朝鮮の人権問題に関するシンポジ
ウム」で、飯塚耕一郎さんが、被害者が今も生きていること、拉致問題の早期解
決の必要性等を訴えた。加藤勝信拉致問題担当大臣、米国務省のロバート・キン
グ北朝鮮人権担当特使、韓国の李政勲(イ・ジョンフン)人権大使等が参加した。

 5月4日には、ニューヨークの国連本部で、日本政府主催のシンポジウムが開
催され、家族会事務局長の横田拓也さんが演説し、世界各国の人々を北朝鮮が拉
致していること、拉致問題の早期解決に向けた国際社会の協力等を訴えた。特定
失踪者、大沢孝司さんの兄昭一さん、加藤勝信拉致問題担当大臣、国連のマルズ
キ・ダルスマン特別報告者等が参加した。

 以上についてはテレビ、新聞等で報道されたましが、以下に、飯塚耕一郎さん、
横田拓也さんのスピーチ全文を紹介します。

■飯塚耕一郎さん、横田拓也さんが米国で訴え

◆飯塚耕一郎さんのスピーチ

 初めまして。日本から来ました飯塚耕一郎と申します。

 本日はこの場での発言する機会を頂き有難うございます。

 突然ではありますが、私は今年39歳となりますが、これまでの人生において母
の記憶がありません。母と会話した記憶がありません。母に触れた記憶もありま
せん。


 私の母は田口八重子と言います。当時22歳だった彼女は、働きながら一人で、
1歳だった私と3歳の姉を育てていました。そんな時に、彼女は北朝鮮の工作員
によって突然、拉致されたのです。

 彼女と私とのつながりを示すものは、赤ん坊だった私に彼女が微笑み返す1枚
の写真だけです。私は1歳という時期に、拉致という行為によって大切な母親と
の絆を引き裂かれ、今もその状態が続いているのです。

 2002年9月に北朝鮮と日本との間で首脳会談が開催され、北朝鮮は母を拉致し
たことを初めて認めましたが、安否については「交通事故で死亡した」と説明し
ました。その一報を聞いた私は、一度も見たことのない母に永遠に会えなくなっ
たのかとひどく落ち込みました。その時の気持ちは言葉ではうまく言い表せませ
ん。ただとめどなく涙があふれてきたことを覚えています。

 しかし、事実は違いました。「田口八重子、死亡」の情報は根拠のないもので
した。当時、北朝鮮は「彼女は交通事故で死亡した」と伝えてきましたが、北朝
鮮が示した「死亡診断書とされる資料」は捏造されたものであり、「交通事故の
報告書」という資料に田口八重子の名前はありませんでした。

 このように北朝鮮による安否説明には多くの矛盾や誤りがあります。それは日
本政府の調査でも明らかになっていることです。私は、北朝鮮が根拠のない架空
のストーリーを作り上げ、母を死亡したことにし、その存在を隠蔽しようとした
と考えています。

 彼女は今も北朝鮮で生きています。

 彼女は今も北朝鮮で救出されることを待っています。

 私の家族のような、日本人が北朝鮮に拉致されたケースは、日本政府が認定し
ているだけでも17人に上ります。このうち5人は帰国を果たしましたが、まだ
12人が帰国できていません。本日こちらの会場にいる横田拓也さんのお姉さん
である横田めぐみさんのように13歳という、信じられない若さで拉致されたケー
スもあります。また、12人以外にも、北朝鮮に拉致された可能性がある日本人は
数百人に上るとされています。

 北朝鮮は、未帰還者12人については「8人死亡、4人未入国」と説明してい
ますが、いずれの説明にも不自然な点や矛盾点が多くあり、死亡を裏付けるもの
は何もありません。例えば北朝鮮は、2004年に「横田めぐみさんの遺骨だ」とす
るものを出してきましたが、日本政府による鑑定の結果、本人ではない別人のD
NAが検出され、遺骨はめぐみさんのものではないことが明らかになっています。

 更に、北朝鮮による拉致事件は日本だけに留まりません。アメリカでは、デー
ビッド・スネドン氏が拉致された可能性が高いとされておりますし、帰国した日
本人拉致被害者などの証言から、日本以外にも、韓国、タイ、ルーマニアなどの
国民が北朝鮮に拉致された可能性があるとされています。

 また、2014年2月に公表されたCOI報告書では、マレーシア、シンガポール、
フランス、イタリア、オランダ、中国といった諸国にも拉致被害者が存在すると
されております。北朝鮮による拉致問題は国際社会全体の人権問題なのです。

 現在、日本政府は、生存を前提に、北朝鮮に拉致被害者の帰国を求めつづけて
います。

 同じように、各国の政府及び被害者家族が、被害者がそれぞれの祖国に早く帰
国できるよう協力していかねばならないと考えます。

 日本における拉致事件では、発生からすでに30年?40数年が経っています。
被害者家族の中には、被害者との再会を果たせぬままこの世を去った親や兄弟も
います。これは悲劇です。

 失われた時間は戻ってきませんが、帰りを待ち続ける家族も高齢化しています。
拉致問題は、もはやこれ以上時間をかけていい問題ではないのです。また核・ミ
サイルだけではなく、人間の生命の問題にも、より大きな関心を持つことが重要
だと考えています。

 この会場にいる皆さん、北朝鮮による全ての拉致被害者がいち早くそれぞれの
祖国に帰れるようご協力のほどお願いします。

 最後に、私を育ててくれた養父、養母にいつも心から感謝しています。

 また、私を産んでくれた母 田口八重子にいち早く、「お母さん」という言葉
を、初めて、直接、伝えたいと思っています。

 ご清聴のほど有難うございました。

◆横田拓也さんのスピーチ

 皆様、こんにちは。私は横田拓也と申します。

 私の姉は中学校からの下校途中に拉致されました。夢や希望を持った13歳の若
さで強制的に北朝鮮の工作員によって拉致されました。

 北朝鮮による日本人拉致は、一人の工作員が偶発的に引き起こしたモノではな
く、国家の命令を受けて行われた国際テロリズムです。

 アドルフ・ヒトラー、スロボダン・ミロシェビッチ。彼らは人類が歴史を振り
返った時に目にする比類なき残酷且つ残忍な人道及び人権蹂躙を犯した者の名前
です。

 当時、どれだけの無実の人間が血を流し、どれだけ多くの家族が引き裂かれ、
どれだけ多くの個人の人生と取り返す事の出来ない大切な時間を奪われ、そして
どれだけ人が人として扱われず命を落としていった事か。この事を私達は決して
忘れてはなりません。あの時、この惨状に周りの人間達は目を向けていたでしょ
うか?事態の打開と改善の為に事実を直視せず、救えるべき多くの命を見殺しに
はしなかったでしょうか?国際社会は能動的に働き掛けを行ったでしょうか?

 私達は歴史の上に生きています。私達は過去を振り返り、反省の念を持って将
来をより良いものに変える力を持っているはずです。

 困っている人々を、救いを求めている人々を私達は必ず助けなければなりませ
ん。それは、外的強制からではなく内的必然性から行動するべきものです。

 北朝鮮による拉致事件はこの21世紀に現在進行形で起きている深刻且つ重大
な事案です。

 日本政府により認定された17名の被害者のほかに、北朝鮮に拉致された可能
性を排除できない事案として800名以上の方々の捜査・調査が続けられていま
す。そして被害者は、今も監禁されたままです。明日をどう生き延びるかではな
く、今日生きていられるのかどうかと言う厳しい環境下にいます。

 食べ物は極度に不足し、移動の自由を厳しく制限されそして常に監視下に置か
れ、自由な発言は一切許されません。寒い日は凍え、自己実現や夢を描く事など
出来ない中で暮らしているのです。

 更に、北朝鮮による拉致は日本人被害者だけに留まらず、分かっているだけで
も韓国人・タイ人・ルーマニア人・レバノン人等の無実の人間が地獄の毎日を生
き延びています。

 今を生きる私達には、どんな事をしてでも救出するための努力を具体的に行う
義務と責任があります。救える命に無関心でいる事は、自分自身を否定している
も同然です。

 その一歩を形あるものに出来る力を、ここに出席している私達は持っています。
将来の子供達に、私達は勇気と人間性に富む行動に出て苦しみの果てに居る人々
を救ったのだと胸を張って説明出来るようにしようではありませんか。

 北朝鮮は、拉致被害者を人質として自らの体制維持のためだけに利用していま
す。また、核開発やミサイル発射等で脅威を高め地域や国際社会に挑発を続けて
います。

 この愚行が繰り返される事で、拉致被害者はもちろん北朝鮮国民自身の生活も
更なる困窮を強いられる事になります。

 政治犯収容所なる場所に強制的に連行され、公開処刑も後を絶ちません。脱北
した方の証言によれば、銃殺されても血が出ないほど痩せているのだそうです。
対して金正恩は、多くの国民を餓死させる犠牲を何とも思わず、贅沢品を食べて
肥え太っています。

 こんな独裁者を放置してはなりません。私達は今、起きている残忍な現実に目
を背けてはなりません。彼を人権・人道の罪で起訴し、彼がしてきた事以上の罰
を課すべきです。国際司法裁判所や国際刑事裁判所で彼の罪を速やかに問うべき
です。

 拉致被害者の親達は、多くが高齢でこの場で訴える事も出来ないくらい疲弊し
ています。会えないまま他界するケースも珍しくありません。一番苦しいのは助
けを諦めないで心から待っている被害者達本人です。見捨てないで下さい。

 どうか一日でも早く故郷の地を再び踏み、家族が抱き合える事が出来るように、
皆様のお力を貸して下さい。

 どうぞ宜しくお願い致します。

以上




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