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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

外貨枯渇で焦りを見せる北朝鮮?参考情報(2017/09/12)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2017.09.12)

 以下は、救う会・西岡力会長が本日の産経新聞の「正論」に寄稿したものです。
参考情報として全文を掲載します。

■外貨枯渇で焦りを見せる北朝鮮?参考情報

 モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授・西岡力

 9月3日、北朝鮮が6回目の核実験を強行した。160キロトンの威力があっ
た。広島に投下された原爆の10倍以上だ。

 私は4月26日付本欄で「筆者が北朝鮮内部筋から入手した情報によると、金
正恩朝鮮労働党委員長は4月15日の金日成生誕105年記念日までに6回目の
核実験を行う準備を完了させていた。今回は100キロトン級の爆発力を持つ、
小型化された核弾頭の爆発実験だ」と指摘した。前回の実験が10キロトン程度
だったのに100キロトン級とは大きすぎないかと内心思ったが、情報源が断定
的にそう伝えたのでそのまま紹介した。

≪労働党39号室の統治資金が鍵に≫

 今回の実験は4月に延期していたものを、実行したと思われる。実は前回の本
欄執筆後、より詳しい次のような情報を聞いた。

 「4月下旬に1回、核実験を準備した。100キロトンクラスのこれまでにな
い威力の実験で、小型化された核弾頭の実験だ。これに成功すれば弾頭の小型化
は完成する。実験の数日前に中国に通報したところ、国境を封鎖すると脅され、
金正恩の妹である金与正が、中国は金正恩政権を倒そうとしていると金正恩にア
ドバイスしたので実験を延期した」

 5月12日にはTBSも、北朝鮮が4月20日に核実験を行うと中国に通報し、
中国は実験を強行すれば国境を封鎖すると警告したので延期された、と報じた。

 金正恩氏は中国との関係悪化を覚悟の上で3日の核実験に踏み切ったのだ。9
日の建国記念日にロシアは祝電を送ったが、中国は送らなかったことは注目され
る。

 米国は国連安全保障理事会に、石油・天然ガス輸入禁止、衣料品輸出禁止、北
朝鮮派遣労働者の雇用禁止?などを柱にした厳しい追加制裁案を提出した。

 多くの論者が北朝鮮へのこれまでの経済制裁は効果がなかったと主張してきた。
それに対し、私は核ミサイル開発や金一家の贅沢(ぜいたく)な暮らし、独裁権
力の維持などに使われている労働党39号室の統治資金を枯渇させれば、必ず金
正恩氏は音を上げると反論してきた。

≪短期戦に出てきた金正恩氏≫

 その観点からすると、制裁に効果があったのはまず第1次安倍晋三政権以来、
わが国が続けている「朝鮮総連に対する厳格な法執行」だ。それにより最盛期に
年間18億ドル(約2千億円)送られていた外貨が途絶えた。次に李明博・朴槿
恵大統領の2代にわたる韓国保守政権が段階的に実施した支援停止である。その
結果、金大中・盧武鉉政権の10年間に実施された総額70億ドル相当の支援が
消えた。

 今年8月に国連安保理が科した制裁は、39号室資金を激減させる効果を持っ
ていた。それまでの安保理制裁は39号室資金には打撃を与える水準ではなかっ
た。8月の制裁は、(1)石炭など鉱物性燃料(2)鉄・鉄鉱石(3)水産物?
の輸出を禁止している。大韓貿易投資振興公社によると、2016年の北朝鮮の
輸出は28億ドル、輸入は37億ドルで9億ドルの貿易赤字があった。外貨収入
の源である輸出内訳をみると、(1)は12億ドル、(2)と(3)はそれぞれ
2億ドルで合計16億ドル、全体の約6割を占める。これが全部無くなるのだか
ら打撃は大きい。

 8月の制裁決定の頃、金正恩氏は「核実験とミサイル発射をどんどんやれ。米
国を軍事的に徹底的に圧迫して交渉に引き出せ」と命じたという情報がある。彼
は短期戦に出てきたのだ。その背景には39号室資金が枯渇すれば政権は長く持
たないという焦りがある。

 今回の制裁案に含まれている衣料品禁輸(7億ドル)が加わると合計23億ド
ルで、8割以上の外貨を失う効果がある。また、海外派遣労働者による年間5億
ドル以上の稼ぎも失う。だから、北朝鮮外務省は声明で「(制裁決議が採択され
れば)世界はわれわれが強力な措置を連続的にとって、いかにアメリカを罰する
かをしかと目にすることになる」と脅しているのだ。

≪「持ち札」を全部切ってきた≫

 このままでは外貨不足により独裁統治が揺らぐことになるだろう。そこまで追
い詰められたからこそ、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核実験とい
う「持ち札」を全部切って、トランプ政権との談判に持ち込もうとしてきたと私
は見ている。

 トランプ大統領は米国本土まで届く核ミサイルを持たせた大統領として、汚名
を残すことは絶対に避けたいはずだ。対北経済封鎖措置を徹底し、それでも金正
恩氏が核ミサイルを放棄しなければ、軍事行動、すなわち金正恩氏を除去する
「斬首作戦」の準備を進めるはずだ。独裁者は命が危ないと判断したときだけ譲
歩する。戦争直前までいけば北朝鮮は必ず中身のある協議に応じてくる(しかし、
そこでも彼らはウソをつく)。

 日本は米国と足並みをそろえて対北圧力に全力を尽くしながら、最後の交渉で
拉致被害者の全員帰国を要求しなければならない。いよいよ正念場である。われ
われは9月17日に東京で拉致被害者を救う国民大集会を開き、核問題の嵐の中
でも絶対に被害者を救うのだという、固い決意を発信する。(にしおか つとむ)

以上



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