緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える?国際セミナー報告6(2017/12/22)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2017.12.22-2)
■緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える?国際セミナー報告
島田 西岡さんの話にもありましたが、日本の場合は色々な意味で自衛隊の動き
が縛られている。古森さんが言われたような、力で解決することはできない。韓
国の文在寅政権に関しては趙甲済さんはこれまで批判的でしたが、この前北朝鮮
が新型弾道ミサイル火星15を撃った直後に、韓国は北朝鮮の首脳部を破壊する
ことを想定したミサイル訓練をしています。
これは立派なことですし、そして「斬首作戦」、金正恩を無力化するための1
000人規模の部隊を設置した。これも日本では考えることもできないことです。
韓国の方が対応していると思います。では文在寅がそれを使う意思がどこまであ
るか。趙甲済さんにお聞きしたいのですが、北朝鮮が攻撃してきたら韓国がそう
いう能力を使って反撃すると思いますが、韓国側からの北朝鮮への攻撃能力はど
のくらいのものがあるのでしょうか。
◆民主主義国家は軍事力で解決することが大変難しい
趙甲済 実は韓国にも、日本のように、自国民が拉致されてきたことを黙認して
きたために何回も北朝鮮のテロにあったり、被害を受けてきたという恥ずかしい
歴史があります。60万人の韓国軍捕虜を取り戻す努力もほとんどしてこなかっ
ただけでなく、皆さんよくご承知の、84年にはラングーンでテロ事件があって、
韓国の内閣の大臣、副大臣クラスが17人も殺された。その時も報復しませんで
した。
87年には皆さんよくご承知の金賢姫による大韓航空機爆破事件が起きて11
5人が殺されましたが、報復をしませんでした。2010年には、駆逐艦天安艦
撃沈事件があり56人が殺されましたが、この時も報復をしませんでした。
民主主義国家は、このような問題が起きた時、軍事力で解決することは大変難
しいと言われます。特に韓国と日本は安保問題をアメリカに依存し過ぎて、安保
はアメリカが解決してくれるんだという無責任な思考方式が蔓延しているために、
より問題が深いと思います。
◆自由を守るため勇敢に戦うべき
私はこのような問題が起きる度に、イスラエルだったらどうするだろうかと考
えます。イスラエルでは1972年にパレスチナのテロリストがイスラエル選手
団11人を殺すというテロ事件を起こしたので、国家機関が犯人暗殺組織を作っ
て、20年間追いかけて犯人をほぼ殺しました。国家は当然そのようにしなけれ
ばならないと思います。
先ほど古森先生が愛する人を守るためには闘わなければならないとおっしゃい
ましたが、私はそれは正しいと思います。韓国も実は今同じ問題に直面していま
す。親北・従北左派勢力が自由を奪おうとしている。この自由を守るために闘わ
なければならないのか、傍観するのか。このような岐路に韓国は立っています。
そのことを考える時、私はアメリカの国歌の最後の一節を思い浮かべます。
「自由の地、勇者の故郷」という価値は、自由を守るために勇敢に戦えというこ
とだと思います。
イスラエルであれば特殊部隊を作って被害者を取り戻すか、あるいは金正日や
金正恩本人を拉致はできないでしょうから、その親戚を拉致してきて交換しよう
とするでしょう。
金正恩が一番嫌がっていることの一つが、国連が人権報告書を出して北朝鮮の
人権状況が反人権的な犯罪だと規定して、その責任者である金正恩を安保理事会
を通じて国際刑事裁判所に訴追した時に、すべての外交力を動員してそれを阻止
しようとしました。
◆国際刑事裁判所に金正恩の逮捕状を出させる道も
この国際刑事裁判所で10年位判事をした韓国の法学者宋相現(ソン・サンヒョ
ン)という人は、北朝鮮の核問題だけでなく、拉致を含む人権問題を解決する一
番早い道は、金正恩を国際刑事裁判所に告訴して逮捕状を出させることだ、と言っ
ています。
もちろん安保理事会で中国とロシアが拒否権を使うという状況でなかなか難し
いと思いますが、しかし告訴して、逮捕状を出すことができれば、これは時効が
ありません。彼は外国に行けなくなります。そして国内でも、逮捕状が出ている
人に忠誠心を持つべきだろうかという疑問が生まれると思います。
日本人拉致被害者を返すという決定ができる人は、金正恩以外にありません。
その金正恩に、「日本人被害者を返さなければ、私に逮捕状が出て海外には行け
なくなる」と思わせるしか道はないと思います(拍手)。
島田 古森さんコメントがあれば。
◆「自分の家のすぐ側でなぜ工作員に拉致されるのか」
古森 今の趙甲済さんの話はうなづくばかりで、こういう方が韓国にいらっしゃっ
て発言されているということに改めて感謝したいと思います。
その中で、「韓国にも拉致被害者がたくさんいる」ということでしたが、この
辺に日本の拉致の特殊性があることを強調しておきたいと思います。大韓民国は、
朝鮮民主主義人民共和国から見れば、国家ではないし、戦争状態が続いている相
手で敵対状態にあるわけです。拉致された人は、戦争中か戦争の延長上でそうい
うことが起きたと思います。
先ほど申し上げたアメリカ人のウォームビアさんは、北朝鮮を自ら訪問してい
るわけです。あと3人か4人、北朝鮮に捕らわれているアメリカ人がいる。これ
は韓国系の人です。この人たちも近くまで行ったか、北朝鮮に行って捕まってい
る。
ところが横田さんが一番分かりやすいのですが、自分の国の中にいて、自分の
家のすぐそばにいて、それでも工作員に拉致されて行ってしまった。ここに決定
的に違う部分があります。
ワシントンでは、識者でも拉致問題を知らない人が多かったですが、説明する
と、日本じゃないところで拉致されたとみんな思っているんです。「日本国内で
拉致された」と言うと、「えー、そんなことがあるのか」と。そして「どうして
そんなことが起きるんだ」となるので色々な説明をしなければならないのです。
日本国内で、家に帰ろうとしているところをさらわれていくことのむごたらし
さですね、この特殊性を我々は銘記すべきだし、外に向かっても発信しなければ
ならないなと思います。
◆「なぜ日本は放置しているのか」
ちなみにアメリカの人にそういうことを話すと、「誰が拉致したか分かってる
んじゃないのか」と言う人と、「そういうことをした国家は犯罪国家であり無法
国家である。その犯罪国家、無法国家に忠誠を誓う人が日本の中に存在し、堂々
と忠誠心を語り続けている存在を、なぜ日本は放置しているのか」という人がい
ます。
日本の中でそういうことを言うと、おそらく多勢に無勢でそういうことを言う
こと自体がけしからんということになるんでしょうが、普通の国際的な感覚で言
うとそういう論理が厳然と存在することだけはお伝えしたいと思います(拍手)。
◆アメリカの軍事力行使になる可能性は
島田 今最大の関心事はアメリカが北朝鮮に軍事力を行使するかの問題です。はっ
きり言って、交渉で拉致被害者を取り戻すことには何の展望もない中で、アメリ
カの軍事力行使によって金正恩政権がつぶされる。これは拉致被害者にもリスク
があるし、劇薬ではあるけれども、しかしヒットラーを攻撃してアウシュビッツ
を解放したのは悪かったという立場に立たない限り、北朝鮮に対する軍事力行使
が悪いとは言い切れない。
今日のニュースでは、トランプ大統領と一番仲のいいリンゼー・グラム上院議
員が、北朝鮮が次に核実験をした場合には、アメリカが軍事攻撃する確率が70
%あると。そういうことを大統領と話したと報じられました。
もう一つ、最近トランプ氏の首席戦略官であるスティーブン・バノン氏がNHK
のインタビューに応じています。かなり長いインタビューで全文がNHKのホーム
ページに英語版が載っています。
私も全部読みましたが、その中でバノンが非常に興味深いことを言っています。
「自分はトランプと身近に接してきて、彼はバン、バン、バンと問題を片づける。
彼は賛否両論があっても、ある問題にいつまでもつきまとわれていることに我慢
ができない。現在北朝鮮問題が彼の中で最も優先度の高いことの一つだ」と。
そこでアメリカの軍事力行使になる可能性は、どういう状況でどのくらいだと
思いますか。
◆今後北朝鮮への軍事攻撃もあり得る
古森 簡単に申し上げますと、まず第一にトランプ大統領自身が軍事力を必ず使
うなんてことは決めていない。むしろ軍事的手段ではない方法で、なんとかして
北朝鮮に核兵器開発をやめさせることが望ましい。そのために非軍事の手段があ
ると、この瞬間も思っていることは客観的な状況から言えると思います。
しかし、第2にオバマ政権時代と違って、軍事的手段もオプションとして必ず
あるんだということも間違いないわけです。軍部は当然、いつでも攻撃できるよ
うな態勢を固めているわけですから軍事的手段も考えられる。
3番目に、アメリカ国民はどう思っているかというと、北朝鮮を軍事的に攻撃
しては絶対いけないといういう人は世論調査では意外に少なくて、顕著なのは、
トランプを支持して、トランプに投票した保守層は、北朝鮮に対して軍事攻撃を
かけてもいいというのが60%から70%くらいいるんですね。これは一つのイ
ンセンティブになる。
4番目には、軍事的手段を使ってはいけないという最大の根拠は、これは有力
な根拠ですが、韓国側にあまりにも多くの犠牲者が出る。戦闘第一日目でどれだ
けの犠牲者が出るかについて色々な数字が出されています。これが大きな抑制要
因であることは間違いない。
しかし最近、特に11月29日に北朝鮮が最後のICBMと思われるようなミサイ
ルを発射した後に出てきている議論は、ティラーソン国務長官やマティス国防長
官を含めて、軍事攻撃で核・ミサイルの拠点を攻撃し、破壊したとしても必ずし
も全面戦争にはならないだろうという意見、これは少数意見ですが出てきていま
す。
CIAのポンペオ長官は、「北朝鮮の現場を動かしているのは40人か50人く
らいで直接コミュニケーションする手段がある。こういう人たちに対して、もし
全面戦争になれば国家が滅亡してしまうことを伝えれば、限定攻撃を受けても全
面攻撃に出ることはないのではないか」。そういう情報まで出されている。
だから一触即発で軍事攻撃というのは、今のところない段階だけど、今後あり
得るということですね。
(7につづく)
■緊迫する北朝鮮情勢のもとで拉致被害者救出を考える?国際セミナー報告
島田 西岡さんの話にもありましたが、日本の場合は色々な意味で自衛隊の動き
が縛られている。古森さんが言われたような、力で解決することはできない。韓
国の文在寅政権に関しては趙甲済さんはこれまで批判的でしたが、この前北朝鮮
が新型弾道ミサイル火星15を撃った直後に、韓国は北朝鮮の首脳部を破壊する
ことを想定したミサイル訓練をしています。
これは立派なことですし、そして「斬首作戦」、金正恩を無力化するための1
000人規模の部隊を設置した。これも日本では考えることもできないことです。
韓国の方が対応していると思います。では文在寅がそれを使う意思がどこまであ
るか。趙甲済さんにお聞きしたいのですが、北朝鮮が攻撃してきたら韓国がそう
いう能力を使って反撃すると思いますが、韓国側からの北朝鮮への攻撃能力はど
のくらいのものがあるのでしょうか。
◆民主主義国家は軍事力で解決することが大変難しい
趙甲済 実は韓国にも、日本のように、自国民が拉致されてきたことを黙認して
きたために何回も北朝鮮のテロにあったり、被害を受けてきたという恥ずかしい
歴史があります。60万人の韓国軍捕虜を取り戻す努力もほとんどしてこなかっ
ただけでなく、皆さんよくご承知の、84年にはラングーンでテロ事件があって、
韓国の内閣の大臣、副大臣クラスが17人も殺された。その時も報復しませんで
した。
87年には皆さんよくご承知の金賢姫による大韓航空機爆破事件が起きて11
5人が殺されましたが、報復をしませんでした。2010年には、駆逐艦天安艦
撃沈事件があり56人が殺されましたが、この時も報復をしませんでした。
民主主義国家は、このような問題が起きた時、軍事力で解決することは大変難
しいと言われます。特に韓国と日本は安保問題をアメリカに依存し過ぎて、安保
はアメリカが解決してくれるんだという無責任な思考方式が蔓延しているために、
より問題が深いと思います。
◆自由を守るため勇敢に戦うべき
私はこのような問題が起きる度に、イスラエルだったらどうするだろうかと考
えます。イスラエルでは1972年にパレスチナのテロリストがイスラエル選手
団11人を殺すというテロ事件を起こしたので、国家機関が犯人暗殺組織を作っ
て、20年間追いかけて犯人をほぼ殺しました。国家は当然そのようにしなけれ
ばならないと思います。
先ほど古森先生が愛する人を守るためには闘わなければならないとおっしゃい
ましたが、私はそれは正しいと思います。韓国も実は今同じ問題に直面していま
す。親北・従北左派勢力が自由を奪おうとしている。この自由を守るために闘わ
なければならないのか、傍観するのか。このような岐路に韓国は立っています。
そのことを考える時、私はアメリカの国歌の最後の一節を思い浮かべます。
「自由の地、勇者の故郷」という価値は、自由を守るために勇敢に戦えというこ
とだと思います。
イスラエルであれば特殊部隊を作って被害者を取り戻すか、あるいは金正日や
金正恩本人を拉致はできないでしょうから、その親戚を拉致してきて交換しよう
とするでしょう。
金正恩が一番嫌がっていることの一つが、国連が人権報告書を出して北朝鮮の
人権状況が反人権的な犯罪だと規定して、その責任者である金正恩を安保理事会
を通じて国際刑事裁判所に訴追した時に、すべての外交力を動員してそれを阻止
しようとしました。
◆国際刑事裁判所に金正恩の逮捕状を出させる道も
この国際刑事裁判所で10年位判事をした韓国の法学者宋相現(ソン・サンヒョ
ン)という人は、北朝鮮の核問題だけでなく、拉致を含む人権問題を解決する一
番早い道は、金正恩を国際刑事裁判所に告訴して逮捕状を出させることだ、と言っ
ています。
もちろん安保理事会で中国とロシアが拒否権を使うという状況でなかなか難し
いと思いますが、しかし告訴して、逮捕状を出すことができれば、これは時効が
ありません。彼は外国に行けなくなります。そして国内でも、逮捕状が出ている
人に忠誠心を持つべきだろうかという疑問が生まれると思います。
日本人拉致被害者を返すという決定ができる人は、金正恩以外にありません。
その金正恩に、「日本人被害者を返さなければ、私に逮捕状が出て海外には行け
なくなる」と思わせるしか道はないと思います(拍手)。
島田 古森さんコメントがあれば。
◆「自分の家のすぐ側でなぜ工作員に拉致されるのか」
古森 今の趙甲済さんの話はうなづくばかりで、こういう方が韓国にいらっしゃっ
て発言されているということに改めて感謝したいと思います。
その中で、「韓国にも拉致被害者がたくさんいる」ということでしたが、この
辺に日本の拉致の特殊性があることを強調しておきたいと思います。大韓民国は、
朝鮮民主主義人民共和国から見れば、国家ではないし、戦争状態が続いている相
手で敵対状態にあるわけです。拉致された人は、戦争中か戦争の延長上でそうい
うことが起きたと思います。
先ほど申し上げたアメリカ人のウォームビアさんは、北朝鮮を自ら訪問してい
るわけです。あと3人か4人、北朝鮮に捕らわれているアメリカ人がいる。これ
は韓国系の人です。この人たちも近くまで行ったか、北朝鮮に行って捕まってい
る。
ところが横田さんが一番分かりやすいのですが、自分の国の中にいて、自分の
家のすぐそばにいて、それでも工作員に拉致されて行ってしまった。ここに決定
的に違う部分があります。
ワシントンでは、識者でも拉致問題を知らない人が多かったですが、説明する
と、日本じゃないところで拉致されたとみんな思っているんです。「日本国内で
拉致された」と言うと、「えー、そんなことがあるのか」と。そして「どうして
そんなことが起きるんだ」となるので色々な説明をしなければならないのです。
日本国内で、家に帰ろうとしているところをさらわれていくことのむごたらし
さですね、この特殊性を我々は銘記すべきだし、外に向かっても発信しなければ
ならないなと思います。
◆「なぜ日本は放置しているのか」
ちなみにアメリカの人にそういうことを話すと、「誰が拉致したか分かってる
んじゃないのか」と言う人と、「そういうことをした国家は犯罪国家であり無法
国家である。その犯罪国家、無法国家に忠誠を誓う人が日本の中に存在し、堂々
と忠誠心を語り続けている存在を、なぜ日本は放置しているのか」という人がい
ます。
日本の中でそういうことを言うと、おそらく多勢に無勢でそういうことを言う
こと自体がけしからんということになるんでしょうが、普通の国際的な感覚で言
うとそういう論理が厳然と存在することだけはお伝えしたいと思います(拍手)。
◆アメリカの軍事力行使になる可能性は
島田 今最大の関心事はアメリカが北朝鮮に軍事力を行使するかの問題です。はっ
きり言って、交渉で拉致被害者を取り戻すことには何の展望もない中で、アメリ
カの軍事力行使によって金正恩政権がつぶされる。これは拉致被害者にもリスク
があるし、劇薬ではあるけれども、しかしヒットラーを攻撃してアウシュビッツ
を解放したのは悪かったという立場に立たない限り、北朝鮮に対する軍事力行使
が悪いとは言い切れない。
今日のニュースでは、トランプ大統領と一番仲のいいリンゼー・グラム上院議
員が、北朝鮮が次に核実験をした場合には、アメリカが軍事攻撃する確率が70
%あると。そういうことを大統領と話したと報じられました。
もう一つ、最近トランプ氏の首席戦略官であるスティーブン・バノン氏がNHK
のインタビューに応じています。かなり長いインタビューで全文がNHKのホーム
ページに英語版が載っています。
私も全部読みましたが、その中でバノンが非常に興味深いことを言っています。
「自分はトランプと身近に接してきて、彼はバン、バン、バンと問題を片づける。
彼は賛否両論があっても、ある問題にいつまでもつきまとわれていることに我慢
ができない。現在北朝鮮問題が彼の中で最も優先度の高いことの一つだ」と。
そこでアメリカの軍事力行使になる可能性は、どういう状況でどのくらいだと
思いますか。
◆今後北朝鮮への軍事攻撃もあり得る
古森 簡単に申し上げますと、まず第一にトランプ大統領自身が軍事力を必ず使
うなんてことは決めていない。むしろ軍事的手段ではない方法で、なんとかして
北朝鮮に核兵器開発をやめさせることが望ましい。そのために非軍事の手段があ
ると、この瞬間も思っていることは客観的な状況から言えると思います。
しかし、第2にオバマ政権時代と違って、軍事的手段もオプションとして必ず
あるんだということも間違いないわけです。軍部は当然、いつでも攻撃できるよ
うな態勢を固めているわけですから軍事的手段も考えられる。
3番目に、アメリカ国民はどう思っているかというと、北朝鮮を軍事的に攻撃
しては絶対いけないといういう人は世論調査では意外に少なくて、顕著なのは、
トランプを支持して、トランプに投票した保守層は、北朝鮮に対して軍事攻撃を
かけてもいいというのが60%から70%くらいいるんですね。これは一つのイ
ンセンティブになる。
4番目には、軍事的手段を使ってはいけないという最大の根拠は、これは有力
な根拠ですが、韓国側にあまりにも多くの犠牲者が出る。戦闘第一日目でどれだ
けの犠牲者が出るかについて色々な数字が出されています。これが大きな抑制要
因であることは間違いない。
しかし最近、特に11月29日に北朝鮮が最後のICBMと思われるようなミサイ
ルを発射した後に出てきている議論は、ティラーソン国務長官やマティス国防長
官を含めて、軍事攻撃で核・ミサイルの拠点を攻撃し、破壊したとしても必ずし
も全面戦争にはならないだろうという意見、これは少数意見ですが出てきていま
す。
CIAのポンペオ長官は、「北朝鮮の現場を動かしているのは40人か50人く
らいで直接コミュニケーションする手段がある。こういう人たちに対して、もし
全面戦争になれば国家が滅亡してしまうことを伝えれば、限定攻撃を受けても全
面攻撃に出ることはないのではないか」。そういう情報まで出されている。
だから一触即発で軍事攻撃というのは、今のところない段階だけど、今後あり
得るということですね。
(7につづく)