救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

激動する朝鮮半島情勢の下で拉致被害者救出を考える国際セミナー報告1(2018/12/17)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2018.12.17)

■激動する朝鮮半島情勢の下で拉致被害者救出を考える国際セミナー報告1

 家族会・救う会・拉致議連は、12月の北朝鮮人権週間の時期に毎年国際セミ
ナーを行ってきたが、今年は12月14日、参議院議員会館講堂において開催さ
れました。セミナーで話された全文をいくつかに分けて発信します。

 今回は主催者として飯塚繁雄・家族会代表と、山谷えり子・拉致議連会長代行
が挨拶、政府から菅義偉拉致問題担当大臣・官房長官が、また拉致濃厚米国人デ
ヴィッド・スネドン氏の兄ジェイムス・スネドン氏他兄弟が挨拶した。さらに各
党を代表して、加藤勝信・自民党総務会長、竹内譲・公明党拉致問題対策委員長、
村上史好・立憲民主党拉致問題対策本部事務局長、渡辺周・国民民主党拉致問題
対策本部長が参加、パネルディスカッションには韓国から金聖?・自由北朝鮮放
送代表(脱北者)、ワシントンで北朝鮮情勢をウォッチしてきた古森義久さん、
さらに救う会西岡力会長、島田洋一副会長が参加した。

西岡力(総合司会、救う会会長)

 みなさんこんにちは。家族会・救う会・拉致議連主催の国際セミナーを始めま
す。政府が作ったポスターが後ろに貼られています。今日初めて見ましたが、ちょっ
と嬉しい感じがしました。このポスターは政府が人権週間のために作ったポスター
ですが、私たちは「全被害者の即時一括帰国」というスローガンを掲げています
が、同じ言葉がこのポスターに書いてあったからです。

 政府からは今日、担当大臣の官房長官も来てくださっています。そして大きな
病気をしていたのですが、久しぶりに自由北朝鮮放送の金聖?さんが来てくれま
した。また、ワシントンから古森義久さんが来てくれました。

 今年色々なことがありましたが、まだ被害者を取り戻せていません。しかし、
どこまで来ているのか、あとどのくらい待つのか。私はそう遠くはないのではな
いかと思っていました。そういうことをじっくりと見ながら。どうやったら全員
即時一括帰国ができるかということをみなさんと一緒に今日考えていきたいと思っ
ています。宜しくお願いいたします(拍手)。

 それでは主催者を代表して、家族会代表の飯塚繁雄さん、ご挨拶をお願いいた
します。

◆何か動くような気配を感じる

飯塚繁雄(田口八重子さん兄、家族会代表)

 皆さんこんにちは。今日は国際セミナーに参加いただき、大変ありがとうござ
います。

 早いもので、今年もあと半月で過ぎ去ってしまいますが、我々が解決に向けて
戦い始めてからもう20数年経ちます。その間、若干の進展はありましたが、大
半の被害者がまだ帰って来られないまま、ずっと延び延びになっている状態です。

 もちろん私たちは、取り戻すためにはどんな苦労もし、また「早く」とか、
「今年中に」という言葉を再三使ってきました。しかしそれがなかなか実現でき
なかった。私は、「焦らずに」という言葉を使っていました。これは、焦って解
決の方法が違った道に進んでいってしまうような傾向があったわけです。

 私たちが求めているのは家族の帰国だけなんです。調査報告書なんかいらない
んです。どうやったら被害者がいつまでに帰って来るのか。それが焦点です。そ
ういう見方で総理大臣にもお願いしてありますが、北の謀略にまぎらわされずに、
着実に進めてほしい、と。

 これはいつまでかかっていもいいというわけではなく、そういう考え方で一刻
も早くということです。

 一昨年暮れから今年にかけて北朝鮮情勢にまつわる話がたくさんでています。
当然拉致問題もその中に含まれます。今まで何もなかった状況からすれば、何か
動くような気配を、みなさんもそうだと思いますが、感じます。

 そういう状況を討論の場でも捕えてほしいと思いますし、今チャンス到来だと
思います。これを絶対逃さずに進めていってもらいたい。もしこれを逃してしまっ
て、何もないまっさらな状態になってしまったら、もうこれは解決できそうにな
い形になってしまいます。

 それでは困るんです。我々はもちろん、国民の皆様も解決をめざして地道な活
動もしていただいています。各地方の救う会を中心とした活動、それから各自治
体も中央への申請などしていただいています。言葉では簡単に言えますが、オー
ルジャパンの体制で来年はがっちりと組んで、いっていただきたいと思います。

 このところ、違った意見、違う方向への意見が出ているようにも見えますが、
そうではなく、あくまでも被害者をどうやって取り返すかを焦点にして、議員の
先生方も是非きちっとまとまっていただきたいと思います。

 北朝鮮の内情については難しい面がありますが、今までの各会談、米朝、米中、
南北ですが、日朝もやってほしいと思います。そして拉致問題を提起して、帰国
につながる手筈、これは政府の方でやっていると思いますが、実際にはなかなか
日朝までは行かない。

 何も決まらないまっさらな状態で安倍総理に、「行ってこい」ということでは
だめだと思います。やはりきちんと段取りをして、水面下の活動で被害者を返す
という確認の後に、総理大臣が行くのが筋だと思います。日朝の前に、現実的、
実質的な協議ができるかどうか、あるいはそれを作ることが先に来るのではない
かと思います。

 安倍総理におかれましては、また菅官房長官におかれましては、この問題は絶
対に解決するとはっきりとおっしゃっています。その意気込みは、私たちにとっ
て大きな期待ですが、それを後押しする国民の皆様の応援、支援も宜しくお願い
いたします。

 家族もそうですが、被害者は相当まいっています。ぼーっととしているとすぐ
1年経ってしまう。もうそれは許されないところに来ています。皆さんと共に、
こういう動きを注視して、また意見や要請をしていきたいと思います。どうか宜
しくお願いいたします。ありがとうございました(拍手)。

西岡 続いて、もう一つの主催者を代表して、今日は古屋会長が国外に出張して
いますので、拉致議連会長代行の山谷えり子先生にお願いします。

◆今が一番、解決の糸口をつかめるのではないか

山谷えり子(拉致議連会長代行、元拉致問題担当大臣、参議院議員)

 皆様こんにちは。すべての被害者の即時一括帰国という強い思いを持って、こ
うしてお集まりいただきありがとうございます。

 今日東京は寒いですが、北朝鮮はもっと寒いだろう。どうしていらっしゃるの
かと思いますと、つらくて、申し訳なくてたまりません。「激動する朝鮮半島情
勢の下で」と書いてありますが、北朝鮮をめぐる情勢は大きく動いています。

 長い間、家族会・救う会・拉致議連として行動してきましたが、今が一番、解
決の糸口をつかめるのではないか、そういう感じを皆が持っていると思います。
超党派で一致団結しながら、アメリカ、国連などにも毎年、あるいは年に何度も
出向いてきました。

 アメリカではスネドン失踪決議が先日上院で採択され、上下両院の決議となり
ました。中国雲南省で失踪されたスネドンさんが拉致されたのではないか、しっ
かりと調査しようという決議が採択されたところです。

 古屋会長、塚田事務局長を始め、何度も訪米をした成果だと思っています。今
年の5月には国連で政府主催のシンポジウムが行われましたが、これまでとは全
く反応が違いました。アメリカのメディアを初めとして、世界のメディアが多数
来ていました。

 北朝鮮の人権侵害、そして拉致問題について、皆さんの理解が非常に進んでい
ます。まさにこの時です。しかし今、飯塚繁雄代表がおっしゃられたように、前
のめりになったり、焦ったりしてはまた違う方向に行ってしまう。だからこそ国
際社会、そして日米の連携を密にして圧力をかけつづけながら、すべての被害者
の即時一括帰国の解決を作っていかなければなりません。

 菅官房長官・拉致問題担当大臣は、ずっと官邸で情報収集・分析に、総理と共
に当たってこられました。私たちは長年戦ってきましたが、被害者全員が母国の
土を一日も早く踏めるように頑張っていきたいと思います。今日はどうもありが
とうございました(拍手)。

西岡 政府を代表して、ご多忙の中かけつけてくださいました菅官房長官・拉致
問題担当大臣にお願いいたします(拍手)。

◆一番大切なのは、日本政府自身が主体的に取組んでいくこと

菅 義偉(内閣官房長官・拉致問題担当大臣)

 家族会、救う会、そして拉致議連の皆さんには日ごろから様々な活動に、ご理
解ご協力を賜っていますことに感謝を申しあげますと同時に、大変心強く思って
いるところです。

 私自身、当選1回生の時から拉致問題に一貫して取り組んできました。内閣官
房長官としては拉致対策本部の執行本部長として、そして10月に発足した安倍
内閣において拉致問題担当大臣に就任しました。

 この問題にしっかり対応したい、そういう決意でこの場に立たせていただいて
います。北朝鮮からの帰国を未だ果たすことのできない被害者の方々はもちろん
ですが、切ない思いで帰国を待ち続けるご家族の方々の長年にわたる苦しみと悲
しみに思いを致す時に、申し上げる言葉もありませんし、政府として大変申し訳
なく思う次第です。

 安倍総理も私も、そのような被害者の皆さん、そしてご家族の皆さんの思いを
胸に、問題解決に向けてあらゆるチャンスは絶対逃さないとの決意で取り組んで
いるところです。

 こうした中にあって、本年6月に行われた米朝首脳会談は新たな流れを生んだ
ものであると思っています。また先月にはわが国及びEUが共同提出した北朝鮮
人権状況決議が国連総会第3委員会で採択されました。これが国連総会で採決さ
れるように引き続き、各国に精力的に働きかけをしていきたいと思っています。

 さらに、中国で北朝鮮に拉致された疑いのあるデビッド・スネドンさんに関す
る決議案が、先月末、米国上院本会議において全会一致で採択、可決されていま
す。米国の拉致問題に対する高い問題意識を表すもので、歓迎したいと思ってい
ます。

 このように拉致問題の解決には、米国を含む国際社会との連携が重要です。し
かし一番大切なのは、日本政府自身が主体的に取組んでいくことです。総理も私
自身も、あらゆる機会に徹底して、チャンスを逃さないで取り組んでいきたいと
思いますし、総理は、「自分自身が金正恩委員長と向き合って解決する」との決
意を強く表明しているところです。

 まさに正念場を迎えていると思っています。本日、このセミナーを通じて、皆
様の声がより一層大きくなることは、拉致問題解決の大きな後押しになると思っ
ています。

 皆様もご案内の通り、政府はこの10日から16日を北朝鮮人権問題啓発週間
としておりますが、その一環として明日、政府主催で国際シンポジウムを開催し
ます。拉致問題を含む北朝鮮の人権状況の改善に向けた具体的な行動を北朝鮮か
ら引き出すために、国際情勢について内外の専門家の皆さんをお招きして、議論
したいと思っています。

 拉致問題は安倍政権の最重要、そして最優先課題です。認定の有無にかかわら
ず、すべての拉致被害者の皆さんの一日も早い帰国の実現に向けて全力で取り組
んでいく決意です。

 どうぞ皆様方におかれましては、今後ともご指導、ご支援を賜りますことを心
からお願い申し上げ、拉致問題担当大臣としてのご挨拶とさせていただきます。
どうぞくれぐれも宜しくお願いいたします(拍手)。

西岡 ありがとうございました。大臣は公務のため退場されます。拍手でお送り
ください(拍手)。

(2につづく)




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