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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

正念場迎えた拉致被害者救出 西岡力(参考情報)(2018/12/18)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2018.12.18)

 以下は西岡力救う会会長が国家基本問題研究所のネットコラム「直言」に書い
た拉致問題の現状に関する分析です。ここでは註として北朝鮮内部資料の翻訳引
用をつけたました。参考情報として発信します。

■正念場迎えた拉致被害者救出 西岡力(参考情報)


平成30年12月17日

正念場迎えた拉致被害者救出

国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力

 北朝鮮による拉致被害者の救出は、「決戦」の時が近づいている。6月の米朝
首脳会談でトランプ米大統領が北朝鮮の独裁者金正恩労働党委員長に拉致問題を
直接提起し、安倍晋三首相が次は自分が金委員長と会って拉致問題を解決すると
繰り返し発言するなど、今年は拉致をめぐる国際関係が激しく動いた。被害者救
出に直接つながる具体的な動きをつくり出すことは残念ながらできていないが、
北朝鮮は厳しい経済制裁の下、一部で餓死者が出るほどに追い込まれ、幹部や住
民の間で金正恩政権への不満が高まっている。

●自力更生路線に不満を持つ北住民

 独裁政権は追い込まれないと譲歩しない。そのことを正確に理解している安倍
首相とボルトン国家安全保障担当補佐官が支えているので、トランプ大統領は金
委員長を気に入っているなどと言いながらも、経済制裁を強化し続け、金委員長
が核ミサイルを放棄する決断をしないなら物理的手段を使うこともあり得る、と
いう姿勢を取り続けている。

 家族会、救う会、拉致議連が12月14日に開催した国際セミナーに参加した脱北
者の人権活動家、金聖■(王へんに文、キム・ソンミン)氏が入手した北朝鮮内
部資料によると、9月以降、金正恩政権は米国が制裁を緩めないことに気づき、
「自力更生」と「自給自足」で経済危機を乗り越えよという政治宣伝を繰り返し
ている(註1)。

 また、金聖■氏が北朝鮮内部の通信員から最近聞いたところでは、住民は次の
ように語って不満を募らせている。

「金日成、金正日から金正恩まで3代にかけ、半世紀を超えて自力更生、自給自
足と言って生きてきたが、これ以上の自給自足とは、もう1回山に入って松の木
の皮をはがし、草を抜いて、それを食えということと同じだ」

●全員帰国へ1度きりのチャンス

 トランプ政権は、北朝鮮への直接制裁に加え、北朝鮮と取引のある外国金融機
関をドルの決済網から排除するという「2次制裁」を使って、中国や韓国が北朝
鮮を支援することを効果的に抑えている。したがって時間は我々の味方だ。この
ままいけば、金正恩政権は餓死者の大量発生で極度の社会不安に見舞われる。そ
れを逃れる道は、核ミサイルを放棄する決断をして、その代価に1兆円ともいわ
れる多額の支援を日本から獲得する道しかない。日本から支援を得るためには拉
致問題を動かさざるを得ない。この構造ができている。

 しかし、金正恩委員長が父親の金正日総書記と同じく、生きている拉致被害者
について「死亡した」と虚偽の報告をしてくる可能性はまだある。朝鮮労働党統
一戦線部と日本の中のそれに呼応する勢力は、その形に持ち込むことを狙って今
年、露骨な工作を展開した。米朝核交渉が動き、それに伴って日朝関係が動く時
に、1回しかない機会を生かして、全被害者の一括帰国を金委員長に決断させる
ことができるか、まさに正念場を迎えている。(了)

註1 金聖■氏が北朝鮮内部から入手した10月の幹部用学習提綱(政治学習資料)
では次のように述べている。なお、「幹部」とは、初級党(200人以上の党員)
書記、事業所支配人、軍の連隊長以上あるいは大佐以上を指す。

「今、制裁の棍棒をふりまわしている帝国主義者らの本心は自主的な国々の生存
権と発展権を各方面から抑制して国力を弱体化したあと、彼等の侵略目的を容易
に達成しようということだ。そして核覇権を喪失した敵どもが制裁封鎖を最後の
手段としている今日、経済建設分野は社会主義と帝国主義の勝敗を決定する最終
決戦場だといえる。今、一部の活動家たちは敵どもの制裁が解かれることを無限
定に待っていて、自分の力で立ち上がる考えをしていない。これは敵どもの仕掛
けた罠に首を差し入れる自殺行為だ。全般的情勢が革命に有利になるようにより
高く発揮しなければならないことが、自力更生の闘争気風、自力自強の精神だと
いうことを骨と肉に刻み込まなければならない。我々は敵どもが制裁を継続する
ならせよ、我々は自力更生、自給自足のスローガンをより高く掲げ社会主義強国
建設をより加速して進むという気概を持って仕事をしなければならない」

以上




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