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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

激動する朝鮮半島情勢の下で拉致被害者救出を考える国際セミナー報告6(2018/12/25)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2018.12.25)

■激動する朝鮮半島情勢の下で拉致被害者救出を考える国際セミナー報告6

◆「死亡の8人」は返さず解決を狙う北朝鮮

西岡 今までに言えなかったことで、今後起きること、そして警戒すべきことに
ついてお話します。今日の話で、国際情勢の中では北朝鮮は追い込まれていて、
国際制裁が一定程度効いている。北朝鮮が核を放棄しそして拉致被害者を返す決
断をするためには強い圧力が必要だが、今圧力がかかっている。本当に政権が倒
れるところまでいくかどうかも見なければなりませんが、仮定の話として、強い
圧力がかかって決断をした場合にも、まだ我々にとって安心はできない面がある。

 先ほどお話したように、北朝鮮の内部では、拉致問題が日本にとって重要な問
題で、日本からお金を取る時には、彼らの言う「解決」をしなければならないと
は考えています。色々準備はしているんです。

 しかしその準備をしている統一戦線部は、全員返す側ではない。先ほど横田め
ぐみさんと田口八重子さんが一番難しいと言ったのは、その二人は統一戦線部に
所属している工作機関の学校でスパイに教えていたわけです。その人たちは日本
人になりすまして今活動しているかもしれない。金賢姫さんと金淑姫さんに教え
たことは分かっていますが、その後誰に教えていたか名前が分からないんです。

 しかし、めぐみさんが帰って来ると誰に教えていたか知っているわけです。八
重子さんが帰ってきても同じです。パスポートを持って日本のどこかを歩いてい
るかもしれない。自衛隊の中に入っているかもしれない。あるいは韓国にいるか
もしれない。

 そのことのことを知っている人を返すのか。しかしそれをさせなければならな
い。そのためには、そのスパイを引き揚げさせて安全を確保した後返すと思いま
す。北朝鮮の内部でそういうことが検討された時期もあったと聞いているんです
が、しかしそれに一番反対するのは工作機関です。

 例えば宋日昊(ソン・イルホ)という人がいますよね。「週刊文春」なんかに
出てきて、増元さんが怒って反論を書きましたが、ああいう人たちのグループで
す。物事が動いた時に北朝鮮は、「日本は無理を言っている。死んだ人を生き返
らせようとしていると言っています。もう死んでいるということで解決させたい
というグループがいる。

◆遺骨を焼いてDNAは分かるがいつ死んだか分からない温度を研究

 私はストックホルム合意の時に繰り返し、北朝鮮の内部で、ある人間の遺骨を
焼いたら、何度で炭素がでなくなって死亡の時期が分からなくなるのか、何度で
DNAが出なくなるのかの実験をしている、と。

 ある温度で焼くと、DNAは出るが炭素が出なくて、この骨が誰の骨かは分か
るが、いつ死んだか分からない温度帯がある。そういう実験をしているというこ
とは、逆算すると本物の遺骨を出そうとしているかもしれない。

 家族を前にこういう話をして申し訳ないですが、でも深刻な話なのです。生き
ている人を殺して、焼いて、「遺骨」にする。DNAは出てくるから確定できる
が、炭素が出て来ないのでいつ死んだか分からない、というようなことをやろう
としている。外国の病院にまで行って実験しているという情報があったので、と
ても危険で、だから「調査など必要ない」と言ったのです。

◆被害者が生きていれば「合同調査」など必要ない

 飯塚さんが先ほどから繰り返しおっしゃっていますが、敢えて名前を言うと、
元外交官で2002年の小泉訪朝の時の仕切りをやった田中均さんという方は、
シンガポールの米朝首脳会談の後、国会議員会館の中で開かれた日朝友好促進議
員連盟の総会で講演をして、「北朝鮮の言っていることと日本の言っていること
のどちらが正しいか合同調査委員会を作って調査すべきだ」、「その調査を進め
るために平壌に連絡事務所を作るべきだ」と言いました。

 そこに与野党の先生方が参加しています。その講演会はただの講演会ではなく、
もう一人の講師は朝鮮総連の新聞の平壌特派員で、その人は「拉致は解決済だ」
と言った。それが同じこの議員会館でなされたということです。

 合同調査委員会を作るということは大変危険です。もう一度死亡の証拠が出て
くるから合同調査委員会を作るんです。生きている人が帰ってきたら、なぜ調査
なんかする必要があるんですか。

 私が最近聞いたことでは、めぐみさんの骨を掘り返したと言った精神病院の裏
山は色々な骨が埋まっていて、元夫が間違えて掘ったかもしれない。だから今掘
り返すんだと言うんですが、「そういう掘り返す作業を合同でやりましょう、出
てきた骨をチェックしましょう、違っていたらまた掘りましょう」。

 そういうことをやりながら国交正常化交渉もやりましょうということを、北朝
鮮だけが言っているのではなくて、日本の一部の人も言い始めているということ
です。

 自民党の総裁選挙でそれが争点になっしゃっていましたし、安倍総理が勝った
のですが、そういうことまで北朝鮮がやっているということは、何もしないつも
りではない、日本からお金を取るつもりだ。だから工作を仕掛けてきているんで
すが、お金を取るけれども、できれば「8人死亡」のままで取りたい。そういう
プロジェクトが進んでいることは間違いないんです。

 だからこそ合同調査委員会を作るのは危険だと言い続けているわけです。自民
党の総裁選挙の時の日本記者クラブでの記者会見で、ある大手新聞の論説委員は
安倍総理に対して、「総理は全被害者を生きて取り戻すと言っていますが、もし
もそうでなかった場合にどう責任を取るつもりか」と。

 なぜ総理が責任を取らなければいけないのか。もしも死んでいたらどうするの
かということですが、死んでいたら責任を取るのは北朝鮮です。いつ殺したんで
すかということになるわけです。

 でも総理に責任を取れと言う。全員生きているという日本政府の方針が交渉を
遅くしているんだと言うのではなく、生きているかどうか分からないという立場
に立って、どちらが正しいか合同調査委員会を作ったらどうですかという質問が
出た。

 総理は顔色を変えて、「死亡の証拠がない限り全員生存とするのに何が悪いん
ですか。日本側からそうでない意見が出たら北朝鮮の思うつぼじゃないですか」
と。

 しかし、日本の記者からそういう質問が出る。日本の元外交官からそういう話
が出るということは、国際情勢がうまくいって、核問題で一定の取引ができて、
向こうが日本からお金を取りに来るという状況になった時でも、安心はできない
ということです。

 何人かの人(を返すこと)で終わらせるかもしれない。最近、日本の通信社が、
だれだれは生きているということが分かったという報道をたくさんしています。
全員ではなく。だから我々は、「全被害者の即時一括」じゃなければだめだ、と。
今回死んでいたということで、置いておかれる人が出たら金正恩時代はもう変わ
らない。下の人が、「これは変えましょう」とは言えないんです。あの政権では。

◆「全被害者の即時一括帰国」を言い続けること

 今自分の政権がもつかどうか分からない。もう1回300万人の餓死が出るか
もしれない。そんなことを言ったら黙っては死なないと人民たちが言い始めてい
る。もう二度と山にこもって松の木の皮をはぐような生活はしたくないと、公然
と言っている。

 しかし、上から降りてくるのは、「我々の方式でやれ。自給自足でやれ」。そ
ういう方針しか降りてこない。韓国や中国が助けようとしても、アメリカがセカ
ンダリー・サンクションで見張っていてできないことになっている。ではアメリ
カと譲歩が成立するかもしれないけど、その次もまだ山がある。「全被害者の即
時一括帰国」を言い続けなければ、失敗してしまうかもしれない。

 日本の政治状況は自然に起きているわけではないんです。朝鮮総連の幹部が永
田町で講演しているのは事実です。そのことは法的に許されていることですから、
私は何も言いません。しかし、そういう政治活動があった結果、そういう意見が
日本の大手新聞の論説委員や日本の国会議員の口から出ているのは事実ですので
甘く見てはいけない。

 だからこそ、皆が団結してです。北朝鮮人権委員会の政府のポスターを見て私
が嬉しかったのは、「全員の帰国を」とあることです。さみだれ式はだめです。
全被害者一括です。今私たちは静かに決断しなければならない。

 もちろん今日の主題の国際情勢の山がどうなるか分かりません。北朝鮮が核を
放棄しないかもしれない。もう一度軍事的な圧力になるかもしれない。韓国がア
メリカの目を盗んで支援してしまうかもしれない。中国が支援してしまったら穴
が開いて取引ができないかもしれない。

 そうしたら最悪のことになりますが、そちらがうまくいったとしても、次は日
本からお金を取るために、北朝鮮はもう6月くらいから準備を始めた。「8人死
亡」のままでお金をとろうという動きを始めている。特に統一戦線部が始めてい
る。

 従って統一戦線部のやり方ではだめだと、金正恩氏にどうやって伝えるか。我
々は動揺していない。各党の先生方も今日来てくださったし、大臣経験者もみん
な来てくださって、全被害者一括だということについてぶれていないことを示す
ことが大切な時期だと思っています(拍手)。

島田 家族会事務局長の横田拓也さんに、今までの発言を踏まえてコメントをお
願いします。

◆人権問題を解決するためには絶対譲歩してはならない

横田拓也 皆様こんにちは。突然ふられましたが、スネドン家も同じだと思いま
すが、私たちは見えない時間軸の中で戦っていて、それだけ辛い毎日を送ってい
るわけです。

 けれども、敵が誰かということは分かっているわけで、それは北朝鮮という国
家ということですが、悪に手を染めた犯罪者、独裁者に私たちは絶対負けてはな
らないし、国際社会は彼らが降伏するまで、被害者を全員返すまで、スネドンさ
んやウォームビアさんたちと連帯して、この人権問題を解決するために絶対譲歩
してはならないと思います。

 そして政府レベルでは絶対制裁を緩めないということが確認できたということ
は大変大きな意義があったと考えます。

 スネドン家とは2017年に私たち家族会・救う会、そして議連の先生方と訪
米をした際のシンポジウムの時、まさにこういう形で観客席側でお話をきかれて
いて、コーディネーターの方がどなたか意見はありませんかと言った時に、ジェー
ムスさんが発言されたことを今でも覚えています。

 この北朝鮮の人権問題で誰が一番悪いかと言えば、北朝鮮が一義的に悪いわけ
ですが、もっと悪いのはなんでもできる国家が何もしないことが罪ではないかと
発言され、私はまさにその通りだと思いました。

 その意味では小さな一歩かもしれませんが、私たちがこうしてこの問題を解決
するために力強く連帯しているのは大変意味があると思います。これからも団結
して一人残らず取り戻せるまで頑張っていきたいと思います。ありがとうござい
ます(拍手)。

島田 それでは西岡さんまとめてもらえますか。

◆家族を家族から引き離すのは絶対に許せない悪

西岡 今日は、「激動する国際情勢のもとで」ということで、アメリカからの視
点、そして北朝鮮内部で起きていることを中心に議論をしました。しかし、最後
は日本が主体的に行動して、日本国民を取り戻し、そして北朝鮮の人権問題全体
を解決する。日本が主役でなければならない問題だと思います。

 そして今日、スネドンさんのお母さんの手紙をさきほど早紀江さんに届けてく
ださいましたが、スネドンさんのお母さんは、「早紀江さんを見て勇気をもらっ
ている」と言っています。

 私たちの活動が他の国の被害者にも勇気を与える、少しかもしれませんが、で
きるようになってきた。もちろん北朝鮮にいる住民の人たちも苦しんでいる。

 そして苦しんでいる人たちを助けようと、ラジオをやっている金聖●(●は王
へんに文)さんが我々家族に会って、家族を助けるために、韓国では「親日派だ、
日本の手先だ」と社会的プレッシャーは大変ですが、それでも「人権問題の中で
一番重要な問題の一つは拉致問題だ。日本人を助けるのに手伝って何が悪いんだ」
と言い返し、病気を押してここにも来てくれました。

 やはり家族の一人を無理やり家族から引き離すというのは、絶対に許せない悪
だ、と。アメリカのようなキリスト教の国でも、私はタイに行きましたが、タイ
は仏教の国ですが80歳のアノーチャーさんのお父さんが、私が行く3か月前に
亡くなったんですが、「娘に会いたい、会いたい」と言っていた。

 ルーマニアの(拉致被害者ドイナ・ブンベアさんの)お母さんも、彼女はルー
マニア正教ですが、「うちの娘が曽我さんをいじめたと本に書いてあった。その
ことを謝ります」とお母さんに言われました。

 またレバノンのイスラム教の(シハームさんの)お母さんも来てくれました。
どんな文明圏の中にあっても、どんな宗教を信じていても、家族を無理やりひき
さくことは許してはいけない悪です。

 そして40年間、皆さんと共に戦ってきたことは、家族を引き裂くことは悪だ
ということを世界中に知らせることができることになった。聖書の中に、「明か
りは高い所に置け」というのがありますが、高い所にある明かりは遠くまで届き
ます。あかりは、ろうそくは自分を溶かして燃えていくわけですが、親の世代の
人たちは自分の身を削って、明かりを灯してここまで状況を切り開いてきたので
すが、その光が日本だけじゃなくて、ユタ州にも、タイにも、ルーマニアにも届
いている。

 北朝鮮の人たちも、今の政権のやり方はおかしいと言い始めている。絶対に負
けるわけにはいかない。何人かの人を返しただけで、「これで解決だ」とは言わ
せない。

 「全被害者の即時一括帰国」を求める。そのためには一歩も退かない。家族を
無理やり引き離して40年も会わせないのは悪だ。悪と闘う決意をもう一度して、
来てくださった方々、金聖●さんたちとも手に手をとって進んでいきたいと思っ
ています。ありがとうございました(拍手)。
以上



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