救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

政府、官房長官の記者会見で5人を北朝鮮に戻さないことを発表(2002/10/24)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2002.10.24)

■政府、官房長官の記者会見で5人を北朝鮮に戻さないことを発表

 本日午後6時20分からの記者会見で、福田官房長官は現在帰国している拉致被害者
5人を返さず、家族を日本に帰国させることなどを求めることを発表しました。これ
について家族会、救う会では次のようにコメントを発表しました。

(家族会コメント)

 帰国した5人を返さず、家族の早期帰国を求めるという政府の決定は昨日私たちの
行った要請の趣旨を全面的に受け入れて下さったものであり、高く評価致します。今
後、一刻も早く家族の帰国が実現するよう、一層のご尽力を期待しております。

 また、私たちは本日内閣府に「『死亡』とされた8人の調査結果の矛盾点・疑問点
」を提出しましたが、北朝鮮側の発表はとても死亡を信じられるものではありません。
私たちはこれによって逆に生存を確信し、さらに救出のために努力を続けたく思いま
す。国民の皆様の一層のご協力をお願い申し上げます。

  平成14年10月24日
             北朝鮮による拉致被害者家族連絡会
                代表 横田滋

(救う会コメント・事務局長名になっているのは時間の関係で会長との連絡がとれな
かったため)

政府の決定を評価し、拉致問題完全解決への一層の努力を期待する

 今回の政府の決定は5人を帰国させず、家族を日本に返すとの家族会及び私たちの
要請が全面的に受け入れられたものであり、その決断を率直に評価したい。この決断
にそって家族が一刻も早く日本の土を踏めるよう切に希望し、総理をはじめとする関
係各方面に一層の努力を求めるものである。

 また、今後家族の帰国及び定着に向けた住居・就学・就職などのケアについて万全
の努力を求めたい。特にジェンキンス氏については長年厳しい環境の元での生活を余
儀なくさせられたことを勘案し、米国政府が格別な配慮をするよう、日本政府の努力
を期待したい。また、今回横田めぐみさんの娘と断定されたキム・ヘギョンさんにつ
いても各方面の特段の配慮をお願いする次第である。

 本日の福田康夫官房長官の記者会見でも言及されていたが、北朝鮮側が「死亡」と
伝えてきた8人の安否情報はおよそ信頼するに足りないものであった。家族会と救う
会では本日内閣府に「『死亡』とされた8人の調査結果の矛盾点・疑問点」を提出し
たが、これを見ても分かるように、北朝鮮側の発表からは8人が「死亡した」のでは
なく「隠されている」としか思えない。今後は真相究明というより、救出を全面に押
し出して交渉をされるよう、強く求めたい。

 同様、8人以外の拉致被害者、すなわち寺越武志さん、福留貴美子さん、田中実さ
ん、小住建蔵さん及びその他まだ名前も分かっていない膨大な拉致被害者の救出にも
取り組まなければならない。寺越武志さんは北朝鮮の代表として先日一時帰国を果た
したが、それが徹底して北朝鮮当局による監視下に置かれたものであり、発言が本意
でなかったことは最近になって家族が語っている。また、武志さんとともに拉致され
て亡くなった叔父の昭二さん、外雄さんについてもその真相が究明されなければなら
ない。

 まだ、拉致事件は解決の端緒についたばかりである。しかし、トンネルの先に光が
見えてきたことは事実であり、わが国は政府も国民も一致団結してこの問題の解決に
あたらなければならない。それは同時に韓国人拉致被害者を救出することや在日朝鮮
人帰国者とその日本人家族の自由往来を実現することに直結する。さらには圧制に苦
しむ北朝鮮の2000万国民をも救うことにつながるのである。

 平成14年10月24日

北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
                  事務局長 荒木和博


■「矛盾点・疑問点」を内閣府に提出

 昨日もお伝えしましたが、本日午前、横田滋家族会代表・早紀江夫人・増元照明事
務局次長・飯塚繁雄さん・西岡力全国協議会幹事が内閣府を訪れ中山恭子参与に下記
の文書を提出し、徹底した確認作業を求めました。(昨日お知らせしたものに一部加
筆してあります)

★「死亡」とされた8人の調査結果の矛盾点・疑問点

                   北朝鮮による拉致被害者家族連絡会
          北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

 先日手交いただきました第1回拉致被害者調査結果に関して、家族会と救う会は以
下の通り矛盾点・疑問点を整理いたしました。今回の調査結果は、10月4日の要望
書に書きましたごとく、まさに嘘に嘘を重ねた到底信ずることができないものです。
北朝鮮が提供した諸データがこれだけ矛盾と疑問だらけであるということは、8人が
現在も生存している可能性がより大きくなったと認識いたします。繰り返して願いま
すが、いま生きている被害者に今後、危害を加えられることがないように、客観的証
拠が出てくるまでは生存を前提に徹底した確認作業を続けてください。そのために早
急に第2回調査団を北朝鮮におくり、詳しい確認作業の実施を強く求めるものです。

・、死亡確認書の発行病院が7人同じ

 横田めぐみさん以外の7人の死亡確認書(以下、確認書とする)はすべて「第69
5病院」から発行されている。家族に渡された翻訳では一部が別の数字の病院になっ
ているが、家族会と救う会がじっくりと鑑定したところ、7人の死亡証明書がすべて
同じ病院のもので、書式も同一と判明した。

 松木薫さんと市川修一さんの確認書はコピーが不鮮明で「第695病院」とも「第
005病院」とも見えるが、判子の位置などから他の5人の確認書と同一に見える。
また、石岡亨さんの確認書も不鮮明さは松木さん、市川さんと同程度で「第695病
院」とも「第005病院」とも見えるが、石岡さんは有本恵子さんと同じ日に死亡と
されており署名している医師も同一人物であり、有本さんの確認書ははっきりと「第
695病院」と読める。この点から石岡さんの鑑定書の病院は「第695病院」であ
ると断定できる。となると松木さん、市川さんの確認書もやはり「第695病院」と
見るべきだろう。また、病院が異なる横田さんの確認書は書式がまったく違う。した
がって、7人の確認書の書式が同一であることは、松木さんと市川さんの確認書が他
の5人と同じ「第695病院」だと見るべき根拠となる。

 「死亡」場所は北朝鮮情報によると、松木さんは咸鏡南道高原郡と北西郡の境界、
石岡さんと有本さんは慈江道煕川市、原敕晁さんと田口八重子さんと増元るみ子さん
は黄海北道麟山郡、市川さんは江原道元山市と4つの道にまたがりばらばらなのに同
じ病院から確認書が出ている点は納得しがたい。

 ・で指摘するように有本さんの確認書の生年月日欄には石岡さんの生年月日が誤っ
て記載されていた。

 調査団の説明によるとこの確認書は日本側の強い要求を受けて提出されたものとい
う。当初は提出する気がなかったものを急遽偽造したため、4つの道で死亡した7人
の確認書が同一病院から発行され、生年月日の写し間違いという初歩的ミスが生まれ
たのではないか。

・、生年月日の誤り

1、有本恵子さんの死亡確認書の間違い

 同確認書では有本さんの生年月日が「1957年6月29日」と記載されているが、
実際は「1960年1月12日」である。ちなみに、「1957年6月29日」は有
本さんと結婚していた石岡亨さんの生年月日である。

2、市川修一さんと増元るみ子さんの結婚登録申請書の間違い

 同申請書は本人の署名があり、2人自らが作成した形式をとっている。ところが市
川さんと増元さんの生年月日が間違っている。同申請書の生年月日欄は市川さんが「
1954年10月27日」、増元さんが「1953年10月27日」と記載されてい
る。しかし、実際の生年月日は市川さん「1954年10月20日」、増元さん「1
953年11月1日」である。したがって、この申請書は本人に関係ないところで偽造
された疑いが強い。そもそも、招待所にいた期間に結婚登録申請書なるものを出す必
要があるのか疑問だ。自筆とされている同申請書の筆跡鑑定をお願いしたい。

3、市川修一さんの死亡確認書と「北朝鮮が説明した個別情報(以下、北朝鮮情報と
する)」の間違い

 市川さんの死亡確認書と北朝鮮情報においても生年月日が「1954年10月27
日」とされている。これは上記と同じ間違いで、実際は「1954年10月20日」
である。

・、住所・本籍に関する誤り、疑問

1、松木薫さんの北朝鮮情報の誤り

 北朝鮮情報では住所が「熊本県健軍」されているが、この住所は松木さんが拉致さ
れたあとに家族が引っ越したもので、本人は知り得ないものだ。

2、増元るみ子さんの北朝鮮情報の誤り

 北朝鮮情報では住所が「鹿児島県上本町13?14」とされているが、拉致された
当時の住所は「鹿児島県池之上町13?14」である。

3、横田めぐみさんの北朝鮮情報の疑問

 北朝鮮情報では本籍が「東京都品川区大井(ユゲ)6?2985」とされている。
実際の本籍にはない「(ユゲ)」という意味不明の語がなぜ入っているか疑問だ。そ
して、両親によれば通常は「大井6?17?21」という現行の住所表記を使ってい
たので、めぐみさん本人は本籍を知らない。

・、目撃情報の矛盾

1、市川修一さんと増元るみ子さんの目撃証言の矛盾

 目撃者ムン・チョルスは「78年3月にここで初めて後方支援の仕事をしたときの
宴会が、キム・ヨンチョルたちのものであったので、覚えている」と語っている。キ
ム・ヨンチョルは市川さんにつけられた朝鮮名だという。しかし、市川さんと増元さ
んが拉致されたのは1978年8月であり、78年3月には日本にいた。

2、市川修一さんの目撃証言の矛盾

 同じくムンは「男は電話修理をしていた」と証言しているが、市川さんは電電公社
に勤めてはいたが、技術者ではないから修理は専門でない。

3、増元るみ子さんの目撃証言の疑問

 同じくムンは「奥さんの要求には朝鮮琴の要求があった」と証言しているが、増元
さんは日本の琴を好んでいたが、それで朝鮮琴とはあまりに短絡過ぎる。これをわざ
わざ記載していることが不自然である。

4、田口八重子さんの目撃証言の矛盾

 目撃者ムン・チョルスは「女性には日本に子供が一人いると本人から聞いた」と証
言しているが、田口さんは日本に二人の子供をおいたまま拉致された。


・、それ以外で家族が指摘する不審点
1、市川修一さんの死因の疑問

 市川さんは1979年9月4日、元山海水浴場で溺死とされている。しかし、本人
は水泳が好きではなかったのに9月に入って寒くなる時期にわざわざ海水浴をするこ
と自体が不自然である。そもそも、招待所にいた時期に監視抜きで泳ぐことができる
か疑問だ。

2、増元るみ子さんの死因の疑問

 増元さんは1981年8月17日、心臓病で死亡とされている。本人はいたって健
康体であって、27歳の若さで心臓病により死ぬなど考えにくい。

3、田口八重子さんの北朝鮮情報で不審な点

(1)日本政府が認知していた内容とまったく異なる。

(2)「李恩恵」と呼ばれる日本人化教育教師とは別人物とされたのはなぜか。

(3)拉致当時、2人の子供を東京においた状態だったから、工作員に北朝鮮に「3日
程度なら観光がてら行きたい」などと言うはずがない。

(4)交通事故の調書がない。

(5)結婚登録申請書の内容が不明確である。国籍が「朝鮮」とされている。婚姻前の
住所の記述がない。

4、横田めぐみさんの北朝鮮情報などで不審な点

(1)入国経緯の欄に「実行犯は、職務停止処分を受けている」と記載されているが、
それは誰なのかが不明。

(2)入国後の生活の欄に「現実研究」「現実体験」をさせられたとあるが、その中味
は何か。

(3)キム・ヘギョンが持参しためぐみさんとされる女性の写真をよく見ると、背景の
グリーン色が髪や洋服に食い込んでいて不自然。別の人が写っていたのを塗りつぶし
たり、場所を特定されないよう修正したのではないか。
(4)入退院台帳のめぐみさんとされる女性の欄は4行目だが、通し番号が「3?23
9」とされているが、次の行の男性も「3?239」と同番号となっている。他には
重複はない。また、台帳ではめぐみさんとされる女性の年齢が29歳となっているが、
誕生日前なので28歳が正しい。

5、有本恵子さんの北朝鮮情報の不審な点

(1)帰国した浜本富貴恵さんは10月16日、恵子さんの母有本嘉代子さんに招待所
の暖房は石炭を使わないと証言している。したがって、有本さんが招待所にて石炭ガ
ス中毒のため死亡したとする北朝鮮情報は納得できない。

(2)1991年1月16日、有本・石岡両家族が東京で開催を予定していた記者会見
場にNHK記者の紹介で現れた遠藤忠夫・ウニタ書店経営(当時)氏が、恵子さんら
は生きている、自分は金日成の侍医につながるコネクションがあるから会見を中止す
れば助けてやる、と語って会見を事実上中止させた。したがって、その時点まで恵子
さんは生存していた可能性が高い。

■情報収集についてのお願い

 これまで全国協議会には約50件の「うちの家族の失踪も北朝鮮による拉致ではない
か」との情報が寄せられています。まだ北朝鮮によるものと断定できてはいませんが、
総じて見ればこの中の何件かはやはり拉致と考えざるをえないと思います。

 今後も同様の情報提供はあると思いますが、お送りになる場合はまず、次の各点を
ご了承下さい。

1、救う会は捜査機関ではないので、個別案件について独自に調査することはできな
い。北朝鮮からの亡命者の目撃情報と照会する程度が限度である。

2、この対応はあくまで臨時的なものであり、他にしかるべき対応の仕組みができた
場合は対応を移行する。

3、報道機関に対してこちらからは情報を出さないので、もし報道機関に訴えて安否
情報を求めようとするのであれば家族の側で行う。

4、警察をはじめとする政府機関に情報を提供することはありうるが、それによって
捜査が行われるかどうかについては保証できない。

5、当然のことながら日本国内での失踪者の数は膨大な数にのぼり、北朝鮮による拉
致はそのごく一部である。したがって現在よせられている情報も多くは北朝鮮と関係
ないと思われるので、その点を予め理解する。

以上の内容にご理解いただけるようでしたら下記の各点についてご記入の上、郵送下
さい。

〒112-0015 東京都文京区目白台3-25-13 救う会全国協議会 荒木宛

<記載事項>

1、 失踪者の氏名

2、 家族の連絡先

3、 失踪者の生年月日と出身地

4、失踪した日時

5、 失踪した場所

6、失踪当時の住所

7、失踪当時の職業、学校名など

8、失踪者の身体的特徴(可能なら写真を添付)

9、北朝鮮での目撃証言や北朝鮮に関係あると思われる事項など、特記することがあ
れば

10、その他の特記事項

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーー

 これとは別に北朝鮮の工作員と思われる人間に拉致されそうになった経験をお持ち
の方、あるいは工作員の出入りなどを目撃された記憶のある方は情報をお寄せくださ
い。他の情報と総合して検討の材料にしたいと思います。

 これには一つは警察当局の責任を問わなければならないということがあります。警
察は前々から数十件の北朝鮮による拉致と推定されると思われる人のリストを持って
いると言われており、既に外務省に提示したとの話もあります。ところが一方で公式
にはそれを完全に否定しており、警察庁は「知らない」「初耳だ」と言い続けていま
す。

 しかし、曽我さんの失踪を拉致と分からなかった(新潟県警でも失踪事件としては
記憶していたが北朝鮮による拉致とは認識していなかった)のは明白に過失です。ま
た、寺越昭二さん、外雄さん、武志さん、福留貴美子さん、小住建蔵さんらの事件に
ついても拉致は明白なのに警察は拉致の疑いとすら発表していません(田中実さんに
ついては兵庫の会が告発し、県警が受理、その際所要の捜査を続けていると公表)。
私たちにできることは亡命者などの情報と照会すること程度ですが、上記の人々に加
え、今後、私たち民間団体や報道機関が調べてはじめて拉致が明らかになった人がい
たとしたら、それは警察にとっては一種の不作為による過失であり、その責任は厳し
く指摘されるべきだと思います。(荒木)

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救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
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(ホームページ・但し現在更新されていませんので各救う会のサイト
への入口としてご利用下さい)
http://www.eshirase.net/bn/narkn-news.htm
(このメールニュースのバックナンバーのホームページ)
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担当:荒木和博(事務局長 k-araki@mac.email.ne.jp)
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