感染「ゼロ」という北朝鮮の危機 西岡力(2020/03/30)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.03.30)
<参考情報>
以下は西岡力救う会会長が、3月25日付産経新聞「正論」欄に寄稿したもので
す。参考情報として送ります。
■感染「ゼロ」という北朝鮮の危機 西岡力
「国境地帯より平壌、新義州地域に天然病が広がり状態は大変深刻です。飢え
て死ぬのか、天然病にかかって感染して死ぬのか、どちらか一つの絶望状態」。
北朝鮮内部からのキリスト教団体に届いた手紙の一節だ。
≪なぜ感染者がいないか≫
いまだに北朝鮮は武漢ウイルス感染者は一人もいないと言い続けているが、2
月から肺炎で急死する患者が多数出ている。当局の指令で死因は「インフルエン
ザ」「急性肺炎」などとされ、コロナ感染ではないかなどと質問すると国家保衛
省の取り締まりを受ける。肺炎で死亡した場合、遺体を病院が責任を持って火葬
せよとの指令が下りていたが、死者が多いので無縁故者以外は家族に火葬させる
ことになったという。
最近、幹部や新興富裕層は高価な軽油を負担して火葬するが庶民は土葬を続け
ていた。2月からは当局が肺炎死亡者の火葬を義務づけ費用はとっていない。火
葬場はもともと少なく、多数の遺体が持ち込まれて混乱が起きている。平壌でも
死者が出ている。党と治安機関の幹部200人がコロナで死亡したという驚くべ
き情報を入手した。3月上旬にドイツ、フランス、スイスなど6カ国が大使館業
務を停止して職員が退避した。
金正恩委員長は行事のあるとき以外平壌を離れ、日本海側の都市にある豪華別
荘を転々としているという。在韓米軍司令官によると、感染のため北朝鮮軍は30
日間、活動を停止し、航空機も24日間飛ばなかった。
◆命綱の外貨も枯渇して
一般住民らは熱と咳(せき)が出て病院に行っても、風邪やインフルエンザの処
方箋をもらうだけで満足な治療は受けられない。病院に医薬品がないから、自分
たちで市場に行って買うしかない。もともと栄養失調で寒い冬に満足な暖房もな
いから、肺炎にかかればすぐ悪化する。
大量餓死の兆候もでてきた。2月に入り、主食の米とトウモロコシの市場での
価格が30%程度上がった。(平壌で1キロの米4500ウォンが5800ウォン、トウモ
ロコシ1100ウォンが1500ウォン。一部では150%から200%上がったところもある。
すぐ、人民保安省(一般警察)と国家保衛省が価格統制に乗り出した。その結果、
商人らは売り惜しみに走り、一部の金持ちは裏から手を回して投機的な買い占め
を行っている。
少し金を持っている世帯では一番、値段が安い秋に、米やトウモロコシを1年
分買っておくのだが低所得層はそれができず、その日その日に商売などで日銭を
稼ぎ市場で食べ物を買って糊口を凌(しの)いできた。ところが、中国からモノが
一切入らなくなり、日銭が稼げなくなった。そのため、最下層の人間から餓死者
が出始めている。
関係者周知のように2017年に日米が主導して国連安全保障理事会でかけた経済
制裁はかつてない厳しいものだった。金正恩氏が独裁政権維持と家族らの贅沢(
ぜいたく)な暮らしを維持するために必要な統治資金の外貨が枯渇し始め、命綱
が中国からの観光客が落とす外貨だった。そこで各地に観光施設を新設する工事
をなけなしの外貨を使って行っていた。韓国の文在寅政権も韓国人の個別観光を
許可するという方針を明らかにしていた。それらが全てだめになった。
1990年代後半、一般住民らへの主食の配給が止まり300万人以上が餓死する悲
劇があった。北朝鮮ではその時期を「苦難の行軍」と呼んでいる。その後、住民
らは市場で商売をして食べていたが、その商売が不振になり再度「苦難の行軍」
が来るかもしれない。「あの時は党を信じて皆が死んでいったが、今度は黙って
は死なない」と住民らは語っている。
◆独裁者守るため事態悪化
幹部らの忠誠心は地に落ちている。すでに昨年から、党、軍、治安機関の幹部
らや炭鉱など必要産業にだけ行われていた配給が急速に悪化していた。金正恩暗
殺未遂事件などが何回も起き、最高幹部らが次々に粛清されて。今回のコロナに
よる国家存亡の危機がきて、幹部らも「あの若い2人(金正恩と与正)のために
国が滅びる」とささやき合っている。
ウイルス蔓延(まんえん)による死者発生、市場の商売ができなくなったことに
よる餓死発生、これらの危機は、金正恩氏の政策決断の間違いによってもたらさ
れたものだ。独裁政権は独裁者を守るためにかならずウソをつく。そのウソを維
持するために新しいウソをつく。独裁者が一度命じた命令を覆せないのでどんど
ん事態が悪化する。
独裁者金正恩の健康を守るため人民の生活を顧みず国境封鎖したが、この世の
楽園であると宣伝してきた北朝鮮の病院の惨状を国際社会に知られて金正恩の名
誉が傷つけられるのを恐れていまだに患者は出ていないとウソをついて、受けら
れるはずの国際医療支援を自ら拒否している。北朝鮮内部と連絡を取っている友
人らは、今のこの危機はこれまでとは質が違う、このままでは体制中枢部で何か
が起きかねないと語っている。
以上
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■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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<参考情報>
以下は西岡力救う会会長が、3月25日付産経新聞「正論」欄に寄稿したもので
す。参考情報として送ります。
■感染「ゼロ」という北朝鮮の危機 西岡力
「国境地帯より平壌、新義州地域に天然病が広がり状態は大変深刻です。飢え
て死ぬのか、天然病にかかって感染して死ぬのか、どちらか一つの絶望状態」。
北朝鮮内部からのキリスト教団体に届いた手紙の一節だ。
≪なぜ感染者がいないか≫
いまだに北朝鮮は武漢ウイルス感染者は一人もいないと言い続けているが、2
月から肺炎で急死する患者が多数出ている。当局の指令で死因は「インフルエン
ザ」「急性肺炎」などとされ、コロナ感染ではないかなどと質問すると国家保衛
省の取り締まりを受ける。肺炎で死亡した場合、遺体を病院が責任を持って火葬
せよとの指令が下りていたが、死者が多いので無縁故者以外は家族に火葬させる
ことになったという。
最近、幹部や新興富裕層は高価な軽油を負担して火葬するが庶民は土葬を続け
ていた。2月からは当局が肺炎死亡者の火葬を義務づけ費用はとっていない。火
葬場はもともと少なく、多数の遺体が持ち込まれて混乱が起きている。平壌でも
死者が出ている。党と治安機関の幹部200人がコロナで死亡したという驚くべ
き情報を入手した。3月上旬にドイツ、フランス、スイスなど6カ国が大使館業
務を停止して職員が退避した。
金正恩委員長は行事のあるとき以外平壌を離れ、日本海側の都市にある豪華別
荘を転々としているという。在韓米軍司令官によると、感染のため北朝鮮軍は30
日間、活動を停止し、航空機も24日間飛ばなかった。
◆命綱の外貨も枯渇して
一般住民らは熱と咳(せき)が出て病院に行っても、風邪やインフルエンザの処
方箋をもらうだけで満足な治療は受けられない。病院に医薬品がないから、自分
たちで市場に行って買うしかない。もともと栄養失調で寒い冬に満足な暖房もな
いから、肺炎にかかればすぐ悪化する。
大量餓死の兆候もでてきた。2月に入り、主食の米とトウモロコシの市場での
価格が30%程度上がった。(平壌で1キロの米4500ウォンが5800ウォン、トウモ
ロコシ1100ウォンが1500ウォン。一部では150%から200%上がったところもある。
すぐ、人民保安省(一般警察)と国家保衛省が価格統制に乗り出した。その結果、
商人らは売り惜しみに走り、一部の金持ちは裏から手を回して投機的な買い占め
を行っている。
少し金を持っている世帯では一番、値段が安い秋に、米やトウモロコシを1年
分買っておくのだが低所得層はそれができず、その日その日に商売などで日銭を
稼ぎ市場で食べ物を買って糊口を凌(しの)いできた。ところが、中国からモノが
一切入らなくなり、日銭が稼げなくなった。そのため、最下層の人間から餓死者
が出始めている。
関係者周知のように2017年に日米が主導して国連安全保障理事会でかけた経済
制裁はかつてない厳しいものだった。金正恩氏が独裁政権維持と家族らの贅沢(
ぜいたく)な暮らしを維持するために必要な統治資金の外貨が枯渇し始め、命綱
が中国からの観光客が落とす外貨だった。そこで各地に観光施設を新設する工事
をなけなしの外貨を使って行っていた。韓国の文在寅政権も韓国人の個別観光を
許可するという方針を明らかにしていた。それらが全てだめになった。
1990年代後半、一般住民らへの主食の配給が止まり300万人以上が餓死する悲
劇があった。北朝鮮ではその時期を「苦難の行軍」と呼んでいる。その後、住民
らは市場で商売をして食べていたが、その商売が不振になり再度「苦難の行軍」
が来るかもしれない。「あの時は党を信じて皆が死んでいったが、今度は黙って
は死なない」と住民らは語っている。
◆独裁者守るため事態悪化
幹部らの忠誠心は地に落ちている。すでに昨年から、党、軍、治安機関の幹部
らや炭鉱など必要産業にだけ行われていた配給が急速に悪化していた。金正恩暗
殺未遂事件などが何回も起き、最高幹部らが次々に粛清されて。今回のコロナに
よる国家存亡の危機がきて、幹部らも「あの若い2人(金正恩と与正)のために
国が滅びる」とささやき合っている。
ウイルス蔓延(まんえん)による死者発生、市場の商売ができなくなったことに
よる餓死発生、これらの危機は、金正恩氏の政策決断の間違いによってもたらさ
れたものだ。独裁政権は独裁者を守るためにかならずウソをつく。そのウソを維
持するために新しいウソをつく。独裁者が一度命じた命令を覆せないのでどんど
ん事態が悪化する。
独裁者金正恩の健康を守るため人民の生活を顧みず国境封鎖したが、この世の
楽園であると宣伝してきた北朝鮮の病院の惨状を国際社会に知られて金正恩の名
誉が傷つけられるのを恐れていまだに患者は出ていないとウソをついて、受けら
れるはずの国際医療支援を自ら拒否している。北朝鮮内部と連絡を取っている友
人らは、今のこの危機はこれまでとは質が違う、このままでは体制中枢部で何か
が起きかねないと語っている。
以上
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担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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