拉致被害者の即時一括帰国への道?西岡力(2020/06/23)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.06.23-2)
6月22日、第12回救う会テレビを収録しました。西岡力救う会会長が、
「拉致被害者の即時一括帰国への道」につき解説しました。
■拉致被害者の即時一括帰国への道
第12回救う会テレビ
みなさんごきげんよう。救う会テレビ、救う会全国協議会会長西岡力です。
今日は令和2年6月22日午後7時半です。
今日は、「全員被害者の即時一括帰国への道」と題してお話ししたいと思いま
す。実は先週の金曜日、自民党の拉致問題対策本部が開かれまして、そこで10分
程度私が講演したのですが、その内容を再現してお話しさせていただきたいと思
います。
◆実名を出して世論に訴え、政府を動かそうという決断から始まった
まず横田滋さんが昇天されたことについて。自民党の先生たちも口々に申し訳
なかったという話。素晴らしい人だったという話をされていたのですけども、私
の方からですね、横田さんの一番の功績は何と言っても平成9年実名公表に踏み
切ったと言いました。
当時政府の公安関係者を含めてですね、多数の専門家の意見は実名を出して訴
えると、彼の地にいる被害者に危害が加わる恐れがあるというアドバイスをして
いたのですけれども、そして早紀江さんも拓也さんも哲也さんもそのアドバイス
を重く受け止めて、彼の地にいるめぐみさんが、20年間どこにいるかはこちら
分からないでやっと見つかった時に、親がする行動が、家族がする行動がめぐみ
さんを危険にさらすということは耐えられない、と言ったのですが、滋さんは、
「この間20年間何も起きなかった。実名を出して、世論に訴えて、政府を動かそ
う」という決断をされました。それを見ていて他の家族も実名を出すという決断
をされて家族会ができ、それを見ていた私たち有志が救う会を作り、また安倍晋
三さんや西村眞悟さんたちが拉致議連を作ってくださった。
◆第一の戦いは、「拉致はない」という嘘との戦い
97年から戦いが始まったわけですけども、第一の戦いはですね、「拉致はな
い」という嘘との戦いでした。滋さんの戦いは一言で要約すると「嘘との戦い」
だったと思うんですが、第一は「拉致はない」という嘘との戦いでした。
しかし5年間戦ってですね、拉致を命令した金正日が「拉致をしました」と認
めて謝罪し、5人を帰国させるということがありましたので、この第一の戦いに
は私たちは勝った。「拉致はない」という嘘を打ち破ることができた。
でもそれは滋さんが実名を公表するという決断をしたからです。自動的にその
戦いの勝利が私たちに与えられたものではないということを強調したいのですが、
しかし、その瞬間北朝鮮は二つ目の嘘をついた。
「拉致をしたのは13人だけで、8人死亡して5人を返した。だから拉致問題は解
決した」という嘘だったわけです。13人だけというのも嘘ですね。日本政府は17
人と言っているわけです。曽我ひとみさんのお母さんなどについては北朝鮮は知
らないと言ってるわけですが、一緒に襲って連れていったのですから拉致したの
は間違えない。
その4人以外にも確実な証拠がなくて認定をできていませんが、拉致被害者は
いるのです。寺越事件も拉致であることは間違いありませんし、それ以外にも被
害者はいます。ですから4人+αについて北朝鮮は認めていない。
8人については死亡したと言いましたけれど、1人についても死亡の証拠を出す
ことができない上に、生存情報がたくさんあるということでこれも嘘だと。「13
人だけで8人死亡した。だから解決した」という嘘それとの戦いが今も続いてい
るということです。
◆帰国被害者と遺骨で横田家を取込む工作
実はその戦いの中でですね、北朝鮮は横田さんたちが世論の中心にいるという
ことを判断してですね、横田さんたちをペチャンとさせればこの戦いに勝てると
彼らは思って、継続して横田さんたちに対する工作を仕掛けてきた。その道具が
ですね「遺骨とお孫さん」だったわけです。
2002年9月に北朝鮮が拉致を認めた後、日本政府の調査団が行った時です
ね、めぐみさんの夫、元夫と呼ばれる人が出てきてですね、「めぐみの骨は私が
持ってると。一度土葬したけど掘り起こして火葬して家に持っている」という。
ちょっとおかしなこと言った。
他の7人については、「みんな水害で流れて無い」と言っていた。松木さんだ
け「下流で拾った」と言っていたんですが、しかしその元夫は、「めぐみさんの
骨は日本政府代表に渡せない、横田さんたち両親が平壌に来てくれれば渡す」と
言った。
家族会で会議をして、生存と言われた5人の家族も含めて「今は北朝鮮に行か
ない」と決めたら、突然北朝鮮側から「5人の被害者を返す」という連絡が来ま
した。
それまで5人の被害者は日本政府の代表団に、「日本には行かない、両親が平
壌に来てほしい」と言ってたんですが、「一時帰国という枠組みで返す」と言っ
てきました。
実はその5人の被害者にも北朝鮮は、「横田さんたちを平壌に連れて来い」と
言う指令を与えていたのですね。そのことが後で分かるのですが、5人は帰って
きて横田さんのことだけしゃべります。5人とも横田めぐみさんのことをよく知っ
ているんですね。
北朝鮮に、「死亡」と言われる前の時期のことですけども。そしてその人たち
が死亡と言うと、「夫と言われる人が本物の夫だ、その人が遺骨を持ってる、会
いに行ったらいいですよ」とアドバイスをさせるという出会いだったと思います
が、実は5人は洗脳されていなくて、秘密裏に「日本政府に日本政府は守ってく
れるなら残りたい」ということを言い、日本政府、特に安倍副長官と中山参与な
どが尽力をして、日本政府の責任で日本に残すという決定をした。
◆孫に会わせて横田家を取込む工作
そしたら北朝鮮は第3弾としてですね、突然お孫さん、当時はヘギョンさんと
いう名前を名乗っていましたけども、日本のテレビ新聞の記者の前に出してきて
ですね、「おじいさん・おばあさん平壌に来てください」と言わせる。
横田滋さんは人間を信頼する人ですから、「お孫さんに会ってもめぐみさんを
助けるということことにマイナスはないんじゃないか」と言いましたけれども、
その時帰国した5人から、「実は自分たちが日本に行く時横田さんたちを連れて
来い」と言われており、「何か準備をしています。それが何か分かりませんが慎
重であったほうがいい」というメッセージが来たりして、「私たちも墓に連れて
行かれたりしたら大変なことになりますよ」と言って、それで平壌まで行くとい
うことは無しになった。
その後ですね、今度は2年後の2度目の小泉訪朝の後、めぐみさんのものと称
する遺骨が出てきたわけですね。それを見て早紀江さんは、すぐ母親の直感で
「これはめぐみではありません、調査して下さい」と言ったわけです。
滋さんは、「調査の結果めぐみさんのDNAが出てくれば受け入れざるを得ない」
と繰り返し言っていました。その骨がもしも娘のものだったなら弔いしてやりた
いのが親の気持ちですよね。
早紀江さんは私にですね、「DNAは出てもそれは信用できないからセカンドオ
ピニオンを取りたい、西岡先生DNAの専門家を探しておいて下さい」と言われた
のを覚えていますけど、警察の研究所ではDNAが出なかったんですが、帝京大学
の吉井研究室の最新技術で他人の、それも二人分のDNAが検出されたということ
でその遺骨はめぐみさんのものではなかったということですね。
その後もですね、第2次安倍政権になってからモンゴルでのお孫さんとの面会
が実現しますけれども、これは最初の面会を断った時に条件をつけて、「北朝鮮
の支配下にあるところでは会わない」と。
平壌はもちろん第三国でも、北朝鮮の大使館だとかそういうところではダメだ
という条件だったのですけども、北朝鮮側がそれを飲んでですね、もちろん安倍
総理が横田さんたちの条件をよく理解していて外交活動してくださったわけです
けども、それが実現したというわけです。
実は北朝鮮側はですね、そこでニコニコしている横田さんたちの顔を日本中に
広めて、横田さんたちはお孫さんと会って満足していると、繰り返しお孫さんと
会い続けたいと思っている、それが人道問題だということを広めようとした。
しかし1回会った後、滋さんたちは「もういい」と。この次は孫だけではなく
て娘と孫と会うということを言われて、その工作を跳ね返したわけですけど、ずっ
とこういう工作にあってきたというのは事実であります。実にその工作を跳ね返
してきた、それが私たちの嘘との戦いだったわけです。
◆「先圧力」、「後交渉」が私たちの救出戦略
それでは、私たちの救出戦略は何かということを次に述べたいと思うのですが、
これは「先圧力」、「後交渉」であります。
圧力を最大限にかけて、出口に拉致と核の同時解決、その後に経済支援を置く
という枠組みを作ることであります。
北朝鮮は見返り無しに何かをすることはありません。また見返りを取るために
もまた嘘をつきますから、通常の交渉だけで北朝鮮から全ての被害者を取り戻す
ことはできません。
全被害者の一括帰国を実現するためには、まず強い圧力をかける。そして出口
がない、もうこの圧力の結果政権が保たないというところまで追い込んだ上で、
出口に核ミサイルの完全廃棄と拉致被害者の全員帰国、人権問題の改善を置いて
おいて、「そこを通りなさい」と。
その外には日本との国交正常化があり、経済協力がありますよ、制裁を緩めま
すよということを言う、ということだった訳です。その「先圧力」はほぼ完成し
ました。
拉致を理由に明記した日本の独自制裁が今かかっています。その上、核を理由
にした国連安保理事会の制裁が結合しました。平成29(2017)年12月に、
国連安保理事会がかけた制裁は大変厳しいもので、北朝鮮の輸出の9割が無くな
りました。
今北朝鮮の政権維持に必要な外貨を扱っている党の39号室の外貨が枯渇し始
めています。制裁は効いています。その上コロナウイルスの蔓延で北朝鮮は中国
との人・物の交流を絶ち、より一層経済が厳しくなっています。
◆「後交渉」の段階に入った
日朝首脳会談の条件、「先圧力」の部分は整ったという判断で安倍総理は、
「拉致を解決しなければ明るい未来がない」という言い方を止めて、「拉致を解
決すれば明るい未来がある」という言い方に変えました。
私たちも去年の2月に金正恩委員長へのメッセージを出して、「全拉致被害者
の即時一括帰国が実現すれば日朝国交正常化に反対しない。被害者を反朝鮮運動
に使わない、秘密を聞き出して反朝鮮運動しない」というメッセージを出しまし
た。
これは「先圧力」の部分は完成した。「後交渉」の段階に入ったという判断か
らです。
◆平壌市民の食料配給も滞っている
それでは今の北朝鮮の現状はどうなっているかということですが、先程言いま
したように圧力は本当に効いています。制裁と中国発のコロナウィルスで統治基
盤が揺らいでいます。軍や治安機関、それから特権階級しか住んでない平壌市民
の食料配給も滞っています。
6月7日に金正恩氏も出席して政治局会議が開かれたんですが、その議題の一
つが「首都市民の生活保障における当面の問題」ということです。平壌市民の生
活保障が党の重大会議の議題になってる。
◆金与正が「指示」し始めた
そして金正恩彼は36歳だと思いますけど、健康不安が顕在化して、新しい首
領様、金与正(キム・ヨジョン)、彼女は三十歳ですが、登場した。
金与正が、「韓国の脱北者のビラはけしからん。それを取り締まらない文政権
もけしからん。開城(ケソン)の南北連絡事務所は跡形もなく無くなるだろう」、
そのように「指示した」と言った3日後に無くなったのですね。「指示」したと
いう単語は首領様しか使えないのです。
そういう点で新しい首領が出てきた。それが三十代の女だと。金正恩が自分が
いつ倒れて、権力を行使出来なくなるか分からない不安から後継者を指名せざる
を得なくなったということです。
今北朝鮮は、当面緊張を高めて内部の不満を外に転嫁するということやろうと
してます。「文在寅政権のせいで、彼らが約束した経済協力をしないから経済が
苦しんだ」というように国内で言っています。
そして金与正氏は連絡事務所破壊だけではなくて、「新たな措置について軍に
任せる」と言っていますね。ICBM、あるいはSLBM、あるいは局地戦など
が考えられています。
しかし金正恩・与正政権は様々な情報によると、日本の経済支援を貰いたいと
思っているのは間違いありません。そのために拉致被害者を人質として使おうと
思っています。
ただ小泉訪朝の時、「拉致を含む対日交渉を先に行ったら、日本政府は国交正
常化すると言ったのに結局アメリカの反対でできなかった」というのが彼らの総
括なので、アメリカと妥協をした後日本とやるというのが彼らの考えです。「先
アメリカ後日本」戦略です。
しかし今本当に緊張が高まっています。その緊張が高まれば、政権が維持でき
ないところまで高まれば、「先日本」も有り得ると思います。あるいは内部混乱
も起こり得ると思います。
しかし一つだけですね。よくないことは。今北朝鮮が中国に泣きついたので、
中国の習近平政権が6月の2週目から、「石炭を買ってやる。密輸しなさい」と
いうように言ったというのですね。実際北朝鮮の貨物船が石炭を積んで、青島、
大蓮、そして丹東の港に入っているということが確認されています。
北朝鮮の内部では石炭の炭鉱でどんどん採掘作業が進んでおり、石炭が山積み
になっています。北朝鮮の様々な機関が石炭の密輸をやろうと利権争いをしてる
と聞いています。これは明白に国連制裁違反ですから、だから密輸なんですけど、
もうこれを取り締まらないといけない。そうすれば包囲網に穴が開かないという
ことです。
◆政府は情報を取りつつ秘密接触再開を
「出口は拉致しかない」という今の枠組みを崩してはならない。そして日本政府
に求めたいのは、情報を最大限取りながら政権中枢との秘密接触を続け、これは
コロナで接触は今出来なくなっているのですが、ちょっと前まではやっていた。
複数の接触があったと私は理解してます。それを早く再開してほしい。
そして金正恩・与正の決断を迫り、出口に出てきなさい、出口がありますよと。
しかしそれは「核ミサイルの完全廃棄、全ての拉致被害者の即時一括帰国、人権
問題の改善だ」という交渉をするということであります。
今日は全被害者の即時一括帰国への道と題してお話しいたしました。
ここまでにいたします。ありがとうございました。
以上
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■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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6月22日、第12回救う会テレビを収録しました。西岡力救う会会長が、
「拉致被害者の即時一括帰国への道」につき解説しました。
■拉致被害者の即時一括帰国への道
第12回救う会テレビ
みなさんごきげんよう。救う会テレビ、救う会全国協議会会長西岡力です。
今日は令和2年6月22日午後7時半です。
今日は、「全員被害者の即時一括帰国への道」と題してお話ししたいと思いま
す。実は先週の金曜日、自民党の拉致問題対策本部が開かれまして、そこで10分
程度私が講演したのですが、その内容を再現してお話しさせていただきたいと思
います。
◆実名を出して世論に訴え、政府を動かそうという決断から始まった
まず横田滋さんが昇天されたことについて。自民党の先生たちも口々に申し訳
なかったという話。素晴らしい人だったという話をされていたのですけども、私
の方からですね、横田さんの一番の功績は何と言っても平成9年実名公表に踏み
切ったと言いました。
当時政府の公安関係者を含めてですね、多数の専門家の意見は実名を出して訴
えると、彼の地にいる被害者に危害が加わる恐れがあるというアドバイスをして
いたのですけれども、そして早紀江さんも拓也さんも哲也さんもそのアドバイス
を重く受け止めて、彼の地にいるめぐみさんが、20年間どこにいるかはこちら
分からないでやっと見つかった時に、親がする行動が、家族がする行動がめぐみ
さんを危険にさらすということは耐えられない、と言ったのですが、滋さんは、
「この間20年間何も起きなかった。実名を出して、世論に訴えて、政府を動かそ
う」という決断をされました。それを見ていて他の家族も実名を出すという決断
をされて家族会ができ、それを見ていた私たち有志が救う会を作り、また安倍晋
三さんや西村眞悟さんたちが拉致議連を作ってくださった。
◆第一の戦いは、「拉致はない」という嘘との戦い
97年から戦いが始まったわけですけども、第一の戦いはですね、「拉致はな
い」という嘘との戦いでした。滋さんの戦いは一言で要約すると「嘘との戦い」
だったと思うんですが、第一は「拉致はない」という嘘との戦いでした。
しかし5年間戦ってですね、拉致を命令した金正日が「拉致をしました」と認
めて謝罪し、5人を帰国させるということがありましたので、この第一の戦いに
は私たちは勝った。「拉致はない」という嘘を打ち破ることができた。
でもそれは滋さんが実名を公表するという決断をしたからです。自動的にその
戦いの勝利が私たちに与えられたものではないということを強調したいのですが、
しかし、その瞬間北朝鮮は二つ目の嘘をついた。
「拉致をしたのは13人だけで、8人死亡して5人を返した。だから拉致問題は解
決した」という嘘だったわけです。13人だけというのも嘘ですね。日本政府は17
人と言っているわけです。曽我ひとみさんのお母さんなどについては北朝鮮は知
らないと言ってるわけですが、一緒に襲って連れていったのですから拉致したの
は間違えない。
その4人以外にも確実な証拠がなくて認定をできていませんが、拉致被害者は
いるのです。寺越事件も拉致であることは間違いありませんし、それ以外にも被
害者はいます。ですから4人+αについて北朝鮮は認めていない。
8人については死亡したと言いましたけれど、1人についても死亡の証拠を出す
ことができない上に、生存情報がたくさんあるということでこれも嘘だと。「13
人だけで8人死亡した。だから解決した」という嘘それとの戦いが今も続いてい
るということです。
◆帰国被害者と遺骨で横田家を取込む工作
実はその戦いの中でですね、北朝鮮は横田さんたちが世論の中心にいるという
ことを判断してですね、横田さんたちをペチャンとさせればこの戦いに勝てると
彼らは思って、継続して横田さんたちに対する工作を仕掛けてきた。その道具が
ですね「遺骨とお孫さん」だったわけです。
2002年9月に北朝鮮が拉致を認めた後、日本政府の調査団が行った時です
ね、めぐみさんの夫、元夫と呼ばれる人が出てきてですね、「めぐみの骨は私が
持ってると。一度土葬したけど掘り起こして火葬して家に持っている」という。
ちょっとおかしなこと言った。
他の7人については、「みんな水害で流れて無い」と言っていた。松木さんだ
け「下流で拾った」と言っていたんですが、しかしその元夫は、「めぐみさんの
骨は日本政府代表に渡せない、横田さんたち両親が平壌に来てくれれば渡す」と
言った。
家族会で会議をして、生存と言われた5人の家族も含めて「今は北朝鮮に行か
ない」と決めたら、突然北朝鮮側から「5人の被害者を返す」という連絡が来ま
した。
それまで5人の被害者は日本政府の代表団に、「日本には行かない、両親が平
壌に来てほしい」と言ってたんですが、「一時帰国という枠組みで返す」と言っ
てきました。
実はその5人の被害者にも北朝鮮は、「横田さんたちを平壌に連れて来い」と
言う指令を与えていたのですね。そのことが後で分かるのですが、5人は帰って
きて横田さんのことだけしゃべります。5人とも横田めぐみさんのことをよく知っ
ているんですね。
北朝鮮に、「死亡」と言われる前の時期のことですけども。そしてその人たち
が死亡と言うと、「夫と言われる人が本物の夫だ、その人が遺骨を持ってる、会
いに行ったらいいですよ」とアドバイスをさせるという出会いだったと思います
が、実は5人は洗脳されていなくて、秘密裏に「日本政府に日本政府は守ってく
れるなら残りたい」ということを言い、日本政府、特に安倍副長官と中山参与な
どが尽力をして、日本政府の責任で日本に残すという決定をした。
◆孫に会わせて横田家を取込む工作
そしたら北朝鮮は第3弾としてですね、突然お孫さん、当時はヘギョンさんと
いう名前を名乗っていましたけども、日本のテレビ新聞の記者の前に出してきて
ですね、「おじいさん・おばあさん平壌に来てください」と言わせる。
横田滋さんは人間を信頼する人ですから、「お孫さんに会ってもめぐみさんを
助けるということことにマイナスはないんじゃないか」と言いましたけれども、
その時帰国した5人から、「実は自分たちが日本に行く時横田さんたちを連れて
来い」と言われており、「何か準備をしています。それが何か分かりませんが慎
重であったほうがいい」というメッセージが来たりして、「私たちも墓に連れて
行かれたりしたら大変なことになりますよ」と言って、それで平壌まで行くとい
うことは無しになった。
その後ですね、今度は2年後の2度目の小泉訪朝の後、めぐみさんのものと称
する遺骨が出てきたわけですね。それを見て早紀江さんは、すぐ母親の直感で
「これはめぐみではありません、調査して下さい」と言ったわけです。
滋さんは、「調査の結果めぐみさんのDNAが出てくれば受け入れざるを得ない」
と繰り返し言っていました。その骨がもしも娘のものだったなら弔いしてやりた
いのが親の気持ちですよね。
早紀江さんは私にですね、「DNAは出てもそれは信用できないからセカンドオ
ピニオンを取りたい、西岡先生DNAの専門家を探しておいて下さい」と言われた
のを覚えていますけど、警察の研究所ではDNAが出なかったんですが、帝京大学
の吉井研究室の最新技術で他人の、それも二人分のDNAが検出されたということ
でその遺骨はめぐみさんのものではなかったということですね。
その後もですね、第2次安倍政権になってからモンゴルでのお孫さんとの面会
が実現しますけれども、これは最初の面会を断った時に条件をつけて、「北朝鮮
の支配下にあるところでは会わない」と。
平壌はもちろん第三国でも、北朝鮮の大使館だとかそういうところではダメだ
という条件だったのですけども、北朝鮮側がそれを飲んでですね、もちろん安倍
総理が横田さんたちの条件をよく理解していて外交活動してくださったわけです
けども、それが実現したというわけです。
実は北朝鮮側はですね、そこでニコニコしている横田さんたちの顔を日本中に
広めて、横田さんたちはお孫さんと会って満足していると、繰り返しお孫さんと
会い続けたいと思っている、それが人道問題だということを広めようとした。
しかし1回会った後、滋さんたちは「もういい」と。この次は孫だけではなく
て娘と孫と会うということを言われて、その工作を跳ね返したわけですけど、ずっ
とこういう工作にあってきたというのは事実であります。実にその工作を跳ね返
してきた、それが私たちの嘘との戦いだったわけです。
◆「先圧力」、「後交渉」が私たちの救出戦略
それでは、私たちの救出戦略は何かということを次に述べたいと思うのですが、
これは「先圧力」、「後交渉」であります。
圧力を最大限にかけて、出口に拉致と核の同時解決、その後に経済支援を置く
という枠組みを作ることであります。
北朝鮮は見返り無しに何かをすることはありません。また見返りを取るために
もまた嘘をつきますから、通常の交渉だけで北朝鮮から全ての被害者を取り戻す
ことはできません。
全被害者の一括帰国を実現するためには、まず強い圧力をかける。そして出口
がない、もうこの圧力の結果政権が保たないというところまで追い込んだ上で、
出口に核ミサイルの完全廃棄と拉致被害者の全員帰国、人権問題の改善を置いて
おいて、「そこを通りなさい」と。
その外には日本との国交正常化があり、経済協力がありますよ、制裁を緩めま
すよということを言う、ということだった訳です。その「先圧力」はほぼ完成し
ました。
拉致を理由に明記した日本の独自制裁が今かかっています。その上、核を理由
にした国連安保理事会の制裁が結合しました。平成29(2017)年12月に、
国連安保理事会がかけた制裁は大変厳しいもので、北朝鮮の輸出の9割が無くな
りました。
今北朝鮮の政権維持に必要な外貨を扱っている党の39号室の外貨が枯渇し始
めています。制裁は効いています。その上コロナウイルスの蔓延で北朝鮮は中国
との人・物の交流を絶ち、より一層経済が厳しくなっています。
◆「後交渉」の段階に入った
日朝首脳会談の条件、「先圧力」の部分は整ったという判断で安倍総理は、
「拉致を解決しなければ明るい未来がない」という言い方を止めて、「拉致を解
決すれば明るい未来がある」という言い方に変えました。
私たちも去年の2月に金正恩委員長へのメッセージを出して、「全拉致被害者
の即時一括帰国が実現すれば日朝国交正常化に反対しない。被害者を反朝鮮運動
に使わない、秘密を聞き出して反朝鮮運動しない」というメッセージを出しまし
た。
これは「先圧力」の部分は完成した。「後交渉」の段階に入ったという判断か
らです。
◆平壌市民の食料配給も滞っている
それでは今の北朝鮮の現状はどうなっているかということですが、先程言いま
したように圧力は本当に効いています。制裁と中国発のコロナウィルスで統治基
盤が揺らいでいます。軍や治安機関、それから特権階級しか住んでない平壌市民
の食料配給も滞っています。
6月7日に金正恩氏も出席して政治局会議が開かれたんですが、その議題の一
つが「首都市民の生活保障における当面の問題」ということです。平壌市民の生
活保障が党の重大会議の議題になってる。
◆金与正が「指示」し始めた
そして金正恩彼は36歳だと思いますけど、健康不安が顕在化して、新しい首
領様、金与正(キム・ヨジョン)、彼女は三十歳ですが、登場した。
金与正が、「韓国の脱北者のビラはけしからん。それを取り締まらない文政権
もけしからん。開城(ケソン)の南北連絡事務所は跡形もなく無くなるだろう」、
そのように「指示した」と言った3日後に無くなったのですね。「指示」したと
いう単語は首領様しか使えないのです。
そういう点で新しい首領が出てきた。それが三十代の女だと。金正恩が自分が
いつ倒れて、権力を行使出来なくなるか分からない不安から後継者を指名せざる
を得なくなったということです。
今北朝鮮は、当面緊張を高めて内部の不満を外に転嫁するということやろうと
してます。「文在寅政権のせいで、彼らが約束した経済協力をしないから経済が
苦しんだ」というように国内で言っています。
そして金与正氏は連絡事務所破壊だけではなくて、「新たな措置について軍に
任せる」と言っていますね。ICBM、あるいはSLBM、あるいは局地戦など
が考えられています。
しかし金正恩・与正政権は様々な情報によると、日本の経済支援を貰いたいと
思っているのは間違いありません。そのために拉致被害者を人質として使おうと
思っています。
ただ小泉訪朝の時、「拉致を含む対日交渉を先に行ったら、日本政府は国交正
常化すると言ったのに結局アメリカの反対でできなかった」というのが彼らの総
括なので、アメリカと妥協をした後日本とやるというのが彼らの考えです。「先
アメリカ後日本」戦略です。
しかし今本当に緊張が高まっています。その緊張が高まれば、政権が維持でき
ないところまで高まれば、「先日本」も有り得ると思います。あるいは内部混乱
も起こり得ると思います。
しかし一つだけですね。よくないことは。今北朝鮮が中国に泣きついたので、
中国の習近平政権が6月の2週目から、「石炭を買ってやる。密輸しなさい」と
いうように言ったというのですね。実際北朝鮮の貨物船が石炭を積んで、青島、
大蓮、そして丹東の港に入っているということが確認されています。
北朝鮮の内部では石炭の炭鉱でどんどん採掘作業が進んでおり、石炭が山積み
になっています。北朝鮮の様々な機関が石炭の密輸をやろうと利権争いをしてる
と聞いています。これは明白に国連制裁違反ですから、だから密輸なんですけど、
もうこれを取り締まらないといけない。そうすれば包囲網に穴が開かないという
ことです。
◆政府は情報を取りつつ秘密接触再開を
「出口は拉致しかない」という今の枠組みを崩してはならない。そして日本政府
に求めたいのは、情報を最大限取りながら政権中枢との秘密接触を続け、これは
コロナで接触は今出来なくなっているのですが、ちょっと前まではやっていた。
複数の接触があったと私は理解してます。それを早く再開してほしい。
そして金正恩・与正の決断を迫り、出口に出てきなさい、出口がありますよと。
しかしそれは「核ミサイルの完全廃棄、全ての拉致被害者の即時一括帰国、人権
問題の改善だ」という交渉をするということであります。
今日は全被害者の即時一括帰国への道と題してお話しいたしました。
ここまでにいたします。ありがとうございました。
以上
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■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
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