救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

安倍総理辞任と拉致問題1(2020/09/25)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.09.25)

 今年3回目の第111回東京連続集会を9月24日、東京・文京区民センター
で開催しました。

 今回は、北朝鮮の近況について金聖●(王へんに文、キム・ソンミン)自由北
朝鮮放送代表から報告が来ており、まずそれを平田隆太郎事務局長が読み上げま
した。続いて島田洋一・救う会副会長から最近の米朝関係について報告があり、
最後に、菅義偉総理との面会のため遅れて到着した西岡力・救う会会長から北朝
鮮情勢と拉致問題解決について報告がありました。

■安倍総理辞任と拉致問題1

平田 皆様こんばんは。北朝鮮は今6重苦のさ中にあります。国際社会の制裁が
非常に効いてきたこと、相次ぐ台風等による水害、コロナウイルスの蔓延、金正
恩氏の健康不安、平壌市内で反体制活動が行われていること、そして中朝関係の
悪化です。

 そういう中で、金聖●さんに北朝鮮の内部情報について報告をお願いしたとこ
ろ、以下のレポートが来ました。

 なお、日本では自由北朝鮮放送と言いますが、韓国では自由北韓放送となりま
す。脱北者の方々がラジオを運営しています。毎週日本人拉致問題について北朝
鮮に向けてラジオ放送してくれています。以下朗読させていただきます。

■対北朝鮮制裁と圧迫は拉致問題解決の鍵

 安倍晋三政権の継承を表明した菅義偉・新政権の無窮の発展を祈って、北朝鮮
に拉致された自国民の問題解決のための日本政府の原則的歩みが着実に続くこと
を願っています。

 合わせて拉致被害者家族の皆さまに希望を捨てないで下さいという心からの慰
労のごあいさつをいたします。 特に日本人拉致被害者の象徴的人物である横田
めぐみさんのお父さん横田滋さんのご逝去に再度深い哀悼の意を表わします。

 韓国と日本は地理的に近い国だけではありません。独裁に反対して人類の普遍
的価値である人権を大切にするという理念の下、半世紀以上の原則的利害関係を
構築してきた同盟国であり近隣国です。

 ですが「反日」を通した政治扇動で支持勢力を集めて、権力基盤を固めようと
する文在寅左派政権によって近くて遠い日本になってしまいました。それに加え
て、中国で発生した武漢肺炎という悪材料が私達の手足を縛っています。

 それでも自由北韓放送の心の中には北朝鮮に拉致された日本人たちとその家族、
自国民救出に心血を注いでいる救う会の皆さんがいます。

 先月にも救う会から、皆さんがくださった多額の支援金をお送りいただき感謝
の挨拶を差し上げましたが、この機会をかりて拉致問題解決のために一層の努力
をすることで支援者の方々の愛に報いるという決意を伝えます。

 あいさつはここまでにして、救う会から注文を受けた「北朝鮮の現情勢と党大
会の意味、拉致問題解決のための私たちの役割」についてお話しすることにしま
す。

◆北朝鮮への制裁による金正恩政権の崩壊現象

 2020年8月、国際信用評価会社であるピーチが今年の北朝鮮の経済成長率をマ
イナス8.5%に下方調整したと発表しました。対北制裁とともに新型コロナウイル
スの影響で中国経済が大きく萎縮したため北朝鮮の鉱業と製造業などが引き続き
大きな打撃を受けるだろうという見通しも明らかにしました。

 マイナス8.5%は北朝鮮経済が底を打った「苦難の行軍」時期の1997年に記録し
たマイナス6.5%より2%も悪いのです。今年の北朝鮮の「経済危機」が史上最悪で
あることを示唆する数値です。

 それと共に、ピーチは北朝鮮の最大貿易国である中国の今年の経済成長率が30
年ぶりに最悪である2.2%にまで落ちると展望し、その影響で北朝鮮の対外部門が
大きな打撃を受けるだろうと指摘しました。

 続けてピーチは、韓国銀行が最近北朝鮮の昨年の経済成長率を0.4%と推定した
が、これは農業と漁業、建設業の増加のためだとし、鉱業と製造業は2018年に
12%も大幅に縮小した後、昨年も回復の兆しが見えなかったと指摘しました。

 また、ピーチは、北朝鮮当局は成長牽引のために建設活動を強化できるが、コ
ロナウイルスによる不確実性と原材料の供給支障によって建設業も困難を経験す
るだろうと展望しました。

 このような国際的信用評価会社の報告を見るまでもなく、今北朝鮮住民たちは
「第2の苦難の行軍」が目の前に迫ってきていることを皮膚で感じていて「核か
らコメが出てくるのか、ミサイルからパンが出てくるのか」と当局に対する不満
を吐露しています。

 当局に対するこのような不満は首領に対する不満としてすぐに処刑の対象になっ
たのが過去の北朝鮮ですが、「今はどうしたことか当局に告げ口する人もいない、
このような社会環境を利用してもっと激しい不満も恐れることなく話している」
と内部通信員が口をそろえています。

 地方住民たちだけでなく革命の首都平壌と名付けられている平壌でも抗議の声
があふれています。それもそのはずなのは、今年4月から平壌市住民たちに対す
る食糧供給体系もまともに作動していないという内部通信員の報告が出てきてい
ます。

 4月から現在まで平壌市の大部分の地域で配給が満足に出ていません。平壌に
は19区域、4郡がありますが、そのうち中心部の6区域、中区域、普通江(ポトン
ガン)区域、牡丹峰(モランボン)区域、船橋(ソンギョ)区域、大同江(テド
ンガン)区域、万景台(マンギョンデ)区域だけで食糧配給が続いています。そ
れ以外の13区域、4郡では4月から6月まで配給が止まり、7月に半月から一か月分
が出て、8月からまた止まっているといいます。 過去に北朝鮮は平壌市住民300
万と軍120万、国家保衛部・人民保安部50万にだけ食糧を供給し、彼らだけいれ
ば社会主義を守ることができると豪語していました。

 しかし、今北朝鮮当局はその平壌にさえも食糧を供給できなくなり、軍にも
「部隊別食糧確保」という奇想天外な命令を下しました。これまで北朝鮮軍の食
糧供給はもちろん「部隊別確保」でなく「前進供給」という国家的「優先供給体
系」でした。すなわち、90年代後半の「苦難の行軍」の時期にも軍に対する食糧
供給は国家が責任を持っていました。米と塩だけは各道・市・郡に派遣されてい
る514軍部隊(人民軍後方総局所属部隊)が生産現場まで行って食糧を優先的に軍
部隊に供給してきました。このような体系を「前進供給」体系と呼びます。

 けれども、最近では平壌市供給と中央機関供給に押されて514軍部隊が満足に
その役割を果たせなくなりました。このような事情が金正恩に報告され「部隊ご
とに自分で食糧を確保せよ」という金正恩の指示が下ったといいます。 正確な
時期は未詳ですが、2019年秋にそのような指示が下ったという情報をある部隊の
小隊長から聞いたことがあります。

 これまでにない過酷な対北朝鮮制裁により外貨が枯渇し「贈りもの統治」(独
裁者が幹部や住民に直接贈りものを下賜して支持を得る独裁統治システム)が不
可能になった金正恩は、幹部らに対しても生命を維持する基礎物質である食糧ま
で供給できなくなり、彼らが属する党、政府、軍、治安機関が機能不全を起こし、
社会統制が困難になっています。幹部らは生きていくために権限と権力を乱用し、
韓国からの仕送りによって豊かに暮らす脱北者家族がかえって憧れの対象になっ
た北朝鮮。その体制がどれくらい持ちこたえるのか。関係者がみな、注意深く観
察し続けています。

◆金与正の急浮上、「31歳の若さで、それも女を」

 5月30日夜11時頃、北朝鮮内の情報要員から「金与正同志を党中央と呼ぶこと
に対する宣伝煽動部の方針が通達された」という連絡を受け、驚きました。

 6月8日に自由北韓(北朝鮮)放送とニューデイリーを通じて「金与正を『党中
央』と呼べ、金正恩後継者作業本格化」というスクープ記事を発信し、それを受
け韓国と国際社会が関連内容を次々に報道しました。

 それ以後、労働党機関紙労働新聞(6月10日)は「主体朝鮮の絶対兵器」という
題の記事で「偉大な党中央と思想も心も足取りも共にして、祖国繁栄の輝く明日
を開いていく私たちの人民の前進を妨げる力はこの世の中にない」と書きました。

 6月11日には「最高尊厳は私たちの人民の生命であり精神的柱だ」という1面論
説を通じて「主体朝鮮のすべての勝利と光栄の旗じるしである党中央の周りによ
り一層堅く一つになって必勝の心を固め社会主義強国建設に力強く邁進しなけれ
ばならない」と主張しました。

「党中央」という語は、金日成時代に後継者に指名された金正日のことを呼ぶた
めに使った言葉で、北朝鮮の新しい後継者の構図を想起させるものです。これを
契機に31才にしかならない金与正は、いわゆる最高尊厳を侮辱したとして脱北者
の対北朝鮮ビラ問題を持ち出して、北朝鮮の全人民に「指示」を下達しその貫徹
を導く「指導者」として登場しました。

 本当に「一日の間にその世間知らずな若い娘が全党・全国・全軍を一糸不乱に
指揮する能力を備えた現実的指導者」となって急浮上した格好でした。加えて開
城の南北共同連絡事務所爆破を通じていわゆる「決断力」まで誇示した北朝鮮の
新しい指導者として国際社会の「公認」まで受けた状況になりました。

 このような金与正を、「必須条件と環境」を備えなければならない既存の北朝
鮮の後継者と見るのは難しいと思いますが、少しでも失敗すると処刑されるいわ
ゆる北朝鮮の「第2人者」に分類することもできないというのが私の考えであり、
金正恩の代理人と見るのが正しいという個人的見解を明らかにします。

* 参考として7月4日、北朝鮮の主要情報要員から「今、軍人らは『もうひとかた
の領導者』と金与正を呼んでいる」という連絡を受けました。

 加えて個人独裁統治が生命である北朝鮮でもう一人の統治者の登場は何を意味
するのかついて考えて見る必要があります。

 まず北朝鮮の主要行事の時ごとに金正恩の身の回りの世話をしていた金与正が
ある日突然、北朝鮮全住民に「指示」を下して彼らを統治する権限を振り回した
ということは金正恩の指示でなければ不可能なことです。

 最近、韓国の国家情報院が発表したように40歳にもならない金正恩が「分割統
治」をしなければならない程に健康に異常が生じたということですが、他の一方
では「たび重なる制裁と天災が金正恩の統治意欲をマヒさせた」ということでも
あります。

 ひょっとしたら金正恩が金与正を前に出したのは、余命を宣告されて「将来に
対する不安」を感じているためではないか疑ってみる必要もあると見ます。

 4月11日、労働党中央委員会本部庁舎で開かれた党政治局会議を主宰した後、
姿を消して、非正常な姿で順天リン肥料工場竣工式に現れた金正恩。それ以後は、
室内中心の行事と自然災害を体験した住民たちの生活向上に強い関心を持ってい
ることをアピールしています。これは「金日成と金正日が死ぬ瞬間まで、人民生
活向上のために働いていた」ことを強調してきた北朝鮮媒体の報道と関連したこ
とではないかという疑いを持っています。

◆10月10日党創建記念日2021年1月の第8回党大会だけが強調される北朝鮮

 かつてないほど強い経済制裁、コロナウイルス、梅雨前線による豪雨、最近続
けて発生した台風の被害で北朝鮮の経済は粉々に砕けています。

 それでも金正恩政権は「制裁は共和国創建以来ずっと続く帝国主義者らの策動」
と言って住民を欺瞞しています。 そして昨年末に「先代首領様が高く掲げた自
力更正、自力富強の精神で社会主義を守ろう」と訴えたのですが、今年に入り局
コロナウイルスという悪材料にまで直面しています。

 コロナのため金脈だった中国に背を向けざるをえなくなり、梅雨前線による豪
雨とたび重なる台風被害によって平壌市住民と軍人まで被害復旧現場に動員させ
なければならくなりました。

 常識的には開催すら不可能であるはずの労働党創建75周年記念日にはまた軍事
パレードをするといっていますし、来年1月には大規模な第8回党大会をするといっ
ています。

 第8回党大会を通じて新しい国家経済発展5か年計画を提示するといいますが、
それは真っ赤な嘘です。 前回の(2016?2021)国家発展5か年計画をどこかに捨て
去った上で、また新しく5か年計画といわれても誰が信じるでしょうか。

 労働党中央委員会第7期6回全員会議で金正恩も認めた通り、北朝鮮は「予想で
きなかった不可避な挑戦」に直面しています。けれども、その不可避な挑戦とい
うものは、北朝鮮が核とミサイルを放棄し日本人拉致問題のような国際的非人道
的行為を認めて謝ればいくらでも解決できる問題です。

 しかし、金正恩は新しい国家経済発展5か年計画という美名の下で北朝鮮人民
をまた新たな窮乏と苦難に送り込もうとし、現在は労働党政治局候補委員である
金与正を労働党政治局委員、「もうひとかたの領導者」として前面に出す企みを
準備しています。

 一言でいって、金与正までを前面に出して独裁体制を完成し、党大会を通じて
刷新と体制結束を強化しようとするでしょうが、これらすべてが死にいく者の最
後のあがきであることは誰もが知っています。

 これから残っているのは、強硬な対北朝鮮制裁を維持することで金正恩に無条
件降伏を受けいれさせること、金正恩にもうこれ以上退く所がないと認めさせて
韓半島の自由統一を成し遂げる道だけが、日本人拉致問題の最終的解決を早める
道だと強調したいです。

 それに加えて私たち自由北韓放送は、主たる聴取者である北朝鮮人民と労働党
幹部に日本人拉致問題をさらに深く伝えて彼ら皆が日本人拉致問題の本質を分か
るようにします。それを通じて拉致問題解決のための北朝鮮内のパートナー集団
を育てていきます。

 また、私たちは、日本政府から頂いた拉致被害者家族の肉声録音、数年前自由
北韓放送が直接インタビューした被害家族の肉声と手紙を周期的に放送すること
によって金正日、金正恩政権の反倫理性を深く暴露していきます。それによって
近い招来、「日本人拉致被害者だけでも日本に返せばご飯を食べることができる
ではないか」という声が北朝鮮の地で澎湃と響き渡るようにするため全力を尽く
します。

 ありがとうございました。

2020年9月20日
自由北韓放送代表 金聖●(王へんに文、キム・ソンミン)

(2につづく)



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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿

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