安倍総理辞任と拉致問題2(2020/09/28)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.09.28)
■安倍総理辞任と拉致問題2
◆北朝鮮が自ら国連制裁を徹底化した
島田 初めに金聖●(王へんに文、キム・ソンミン)氏のペーパーにコメントし
てから、アメリカの北朝鮮政策について考えていきたいと思います。
食糧事情が厳しいということでしたが、これは金聖●さんだけでなく、色々な
情報があります。中国との貿易がほとんどなくなった状態です。
そして北朝鮮では、金正恩をコロナウイルスに感染させないのが至上命題です
から、中国との貿易を自ら切った。国連制裁がずっと続いてきましたが、中国が
抜け穴になっていたわけです。その抜け穴を、コロナのおかげというか、自ら国
連制裁の徹底化をやったと言えると思います。
また西岡さんが9月9日、「産経新聞」の正論で書きましたが(配布資料)、北
朝鮮のハッカーが、こともあろうに中国の銀行にハッキングをかけて金を盗んだ。
これに対し中国が怒って、「北朝鮮ハッカー200人を9月末までに中国に引き渡せ。
それをしない限り石油等も一切供給しないと言っている。
これは西岡さんが北朝鮮内部から取ってきた重要情報ですが、ハッキングして
もばれないと思ったのかもしれませんが、中国はハッキングのプロですから、中
国軍の中に2万人以上のハッキング部隊がいて、日常的に活動している。
実は私のアドレスにも毎日、大量の攻撃メールがきています。だから中国は北
朝鮮がハッキングしていることを見つけたわけです。そこで「庇護する役の中国
に対して、何をするんだ」と、中朝関係が悪くなった。これも北朝鮮側の自殺行
為の一つでしょう。
さらに、金正恩の健康状態が非常に悪い。「余命いくばくもない」と診断され
ているのではないかという説があるんですが、その説は数年前から出ていて未だ
に生きていますから、どれだけ信ぴょう性があるのか慎重に見ないといけないと
思います。
実は10日ほど前に、ドナルド・トランプ米大統領が突然ツイッターで、「金
正恩の健康状態はいい。彼を決して過小評価してはいけない」と書きました。わ
ずか2行のツイートで唐突感のある内容でしたが、アメリカ情報部の評価として、
「金正恩氏の健康状態は差し迫ったものではない」という報告が上がっている可
能性がある。
トランプ氏のことですから、何らかの戦略的ハッタリをかけたのかもしれませ
んが、金正恩の場合、なにしろ肥満ですから糖尿病があると言われているし、心
臓の手術をしたと言われています。そういう人間がコロナに感染すれば死亡する
確率が高いでしょう。
ただ若いですから、「すぐ死ぬのではないか」という楽観的情報は、私はあま
り信じないようにしています。もしトランプ大統領が全く根拠もなく言ったりし
たら、今のアメリカの状況だと間違いなくリークがなされて、「取れている情報
と全く違うことを大統領が言った。無責任だ」と言われてしまう。
CIAやFBIにはオバマ大統領が任命した人がたくさん残っていますし、C
IAの分析部門等は結構リベラル派の人が多いですね。しかし、トランプのツイー
トを否定するようなリークが未だに出ていません。従ってアメリカの情報部は、
四捨五入して、金正恩の健康状態はさして悪くないと判断しているかもしれませ
ん。
◆フリーになった安倍総理が拉致問題で活躍できるのでは
金聖●のペーパーには他にも重要なところがありますが、一般的な話の方に移
ると、安倍首相が退任されたのは大変残念ですが、菅さんが拉致担当大臣をされ
ていました。菅さんが官房副長官をされていた時、西岡さん、平田さんと安倍さ
んに会いに行った時に、菅さんが安倍さんと一緒に出てきて、特に北朝鮮への制
裁問題は菅さんがまとめ役になっていると、安倍さんから紹介されました。
まだ安倍さんが若かった頃ですから、かなり早い段階から我々は菅さんと接触
もありましたし、彼は制裁問題で一番鍵になる人で熱心にやっていましたので、
北朝鮮問題、そして拉致問題に関して菅さんは自民党議員の中でも、最も手堅く
しっかり対応してきた議員の一人だと思います。
そして官房長官になった加藤勝信氏も拉致問題担当大臣をやっていましたし、
非常に手堅い人です。面白みがないとも言われますが、手堅い仕事をする人です。
期待できるポイントとしては、安倍首相がフリーな立場になりましたので、そ
れこそ特使として北朝鮮と水面下で接触する。安倍さんが訪朝して金正恩と接触
する、直接やりあうということも、首相だと簡単にはできませんが……。
かつてクリントン政権の時に、1994年前後だったと思いますが、第1次朝
鮮半島核危機がありましたが、元大統領のジミー・カーターが北朝鮮に行って、
金日成と交渉して、一応事を収めた。その収め方には、細かく言えば問題があっ
たと思いますが、かつてのカーターのような役割を安倍さんがもっといい形でで
きる。そういう可能性も開けたかなと、安倍さんが退任されたプラス面として考
えられるのではないかと思います。
また、これまで機密情報にもしっかり接してきて、理念的にもしっかりしてお
り、交渉者としても立派な人は安倍さんしかいないですから、そういう意味で向
こうに伝えることができるのではないかと思っています。
◆トランプが持っている3つの対北新兵器システム
菅さんがトランプとの間で信頼関係をしっかり維持発展させていけるかどうか。
大きなポイントは北朝鮮の軍事問題だと思います。
2017年秋、米朝は衝突寸前までいきました。最近出たボブ・ウッドワード
というジャーナリストの「Rage(激怒)」というタイトルの本を見ても、マチス
国防長官を中心に、トランプ氏もそうですが、「北朝鮮との衝突は避けがたい方
向に行っている」と思っていた。
「北朝鮮がなおも長距離ミサイル実験を続けるようであれば、これはもう戦争
になる」と。日本の防衛当局も同じように受け止めていました。アメリカから危
機感が伝わってきていましたから。
私も、当時の小野寺防衛大臣とか河野さんという制服組のトップの人(統合幕
僚長)から直接、具体的なことを聞きましたが、「もうアメリカ側の血相が変わっ
ている。このまま行ったら本当に戦争になる」と。それが2017年の秋くらい。
そこで結局、金正恩がいわばビビッて降りてきた。韓国の文在寅を使って、ま
た冬季オリンピックも使って、平和攻勢に出てきた。
ボブ・ウッドワードは今回、興味深い点として、トランプ大統領に対し、「あ
なたと金正恩との、いわばベタベタした友情を維持するような関係、これは金正
恩が裏切ってまた核またはミサイル実験をしてきたら、どうするのか」、「ある
いは北朝鮮から開戦の火ぶたを切ってくる、アメリカに核兵器を打ち込むことも
含めて、そういう場合どうするのか」と聞いたのに対し、トランプが、「だれも
見たことがないような、プーチン、習近平もびっくりするような兵器システムが
あるんだ」と言ったそうです。
ウッドワードははこれを「新兵器システム」と書いていますが、これは何を意
味するか。アメリカの専門家から我々が聞いているところでは、具体的に3つく
らいのものを考えているようです。いずれも金正恩を斬首作戦で除去するための
システムです。
一つは、M15eという戦闘機から落とすD61という核爆弾です。非常に爆発力は
小さいけど地中に貫通するものです。金正恩は地中に隠れますが、地中まで貫通
して爆発する。爆発力は小さいので周りに放射線の被害をふりまかないけれども、
中に隠れている人は死にます。これを金正恩がいそうな所に一斉に落とす。
次に極超音速ミサイル、一般に超音速ミサイルと言われているものの17倍く
らいの速さのものです。「スーパー・デューパー」と言われるもので、これも金
正恩を狙う兵器です。
3つ目が潜水艦発射のトライデント5ミサイルに搭載するW76-2核爆弾で、今年
2月頃にアメリカが実験して成功を収め、実戦配備しています。
この3種類のシステムを使って、北朝鮮の一般国民にはできる限り被害がでな
いようにして、しかし金正恩を初めとして指令系統を確実に除去する。こういう
作戦をアメリカは今後も、米朝間が緊張すれば発動を前提に準備に入ると思いま
す。
◆日米関係の信頼感の核は軍事問題
安倍さんがトランプとの信頼関係が非常に深いのは、ちょうどこの時期に、安
倍首相が、「すべてのオプションがテーブルの上にある」というトランプ大統領
の方針を「支持する」と明言しました。これはアメリカの軍事攻撃を支持すると
いうことです。
アメリカの戦闘機がグアム島あたりから発進するわけですし、潜水艦発射ミサ
イルは海上から、あるいは海中からですが、本格的な戦闘となれば、在日米軍基
地がしっかり使えるかどうかが極めて重要です。
安倍首相の、「すべてのオプションがテーブルの上にある」というトランプ大
統領を支持するという中には、在日米軍基地から出撃することを日本は全面的に
支援するという意味です。これはボルトン(前大統領補佐官)も明確に言ってい
ます。つまり、安倍さんは支援義務を果たしてくれる。確信できる、と。
一方、韓国の文在寅大統領は、アメリカが北朝鮮と戦争をする場合には、在韓
米軍基地を使う許可は出さない。使わせない。全く逆のことを言ったわけです。
だから、「文在寅は一切信用できない。この男は同盟国のトップではない」とい
う判断にアメリカが至った。
そこで安倍さんと文在寅の立場が鮮明に分かれたわけです。従って菅政権にお
いても、いざ戦争になった時に米軍を全面的に支援してくれる国なのかどうか、
そこが信頼関係の根ですからきちんと維持していく必要があると思います。
◆米大統領選挙でバイデン民主党が勝つと拉致問題には不利に
11月3日の米大統領選挙で北朝鮮も中国もバイデン民主党が勝つことを強く
願っています。その根拠がいくつかあります。
トランプ大統領の副大統領は現職のペンスです。一方バイデンの方は、カマラ
・ハリスというカリフォルニア州選出の上院議員です。バイデンは選挙直後に7
8歳になります。しかも認知症の進行が心配されています。
共和党の方は「認知症」という言葉は使わない。使うと認知症の人から、「差
別だ。馬鹿にするな」と非難を浴びかねない。しかし、民主党側は「進行してい
るのではないか」等、SNS等で心配してお互いに書き合っています。インタビュー
を受ける時も常に側近が横にいて、バイデンが言いそこなうと、側近が支えます。
バイデンは側近を見て、「えっ」という顔をして言い直しています。
アメリカの主流メディアのほとんどは民主党支持ですから厳しい質問はバイデ
ンに対してしない。トランプに対しては、揚げ足取りをやりまくる。「フォック
スニュース」や「ワシントンタイムズ」等は民主党の応援団ですからバイデンに
対してゆるいボールしか投げないんです。それでもきちんと打てない状況で、も
ともと集中力が弱く、失言が多い人です。明らかに衰えているなというのが見え
ます。
ハリスは極左的なグループに迎合的なことを言っています。資金を出してくれ
る企業から、「そういう立場をとるのなら支持できませんよ」と例えばエネルギー
問題などで言われると、中間派寄りに立場を戻す。だから「左翼カメレオン」と
あだ名されています。そういうことを繰り返してきた。
彼女は去年大統領選に名乗りを上げた。民主党の予備選ですが、ところが陣営
内部は、彼女は極左なのか中間派なのかと紛争も起こって、選対本部長が辞任し
たりしました。
今年の1月の終わりから予備選が始まったのですが、その前の段階で撤退に追
い込まれた。そういうことで統率力が全くない。当時、「ワシントンポスト」や
「ニューヨークタイムズ」のような民主党の応援団のような新聞も、「まだハリ
スは政治家としてだめだ。自分の選挙対策本部も、予備選の段階までもたずに空
中分裂してしまうようでは、まだ政治家として青い」と言っていました。
今は、バイデンを勝たせなければならないから、「カマラ・ハリスはすばらし
い政治家だ」と書いていますが、「以前に書いたことと全然違うじゃないか」と
いう意見もあります。
彼女は選挙向けに回顧録を書きました。私も仕事柄、いやいや全部読んだので
すが、彼女が自分の最大の業績として挙げているのは、「いわゆるLGBT(レズビ
アン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)で、同性愛の方等性的少数
派の権利拡大のためにこれだけ業績を上げた、それが最大の誇りだ」ということ
を長々と書いている。外交問題に関する記述はほとんどない。
彼女はまだ上院議員の1期目で明らかに経験不足です。大統領当選者が任期中
に亡くなるとか、職務不能になって引退に追い込まれると、バイデンの場合、カ
マラ・ハリスが大統領になります。
従ってバイデンに関しては、「生きていても死んでも問題だ」という人がいる
んですが、今極左がなぜバイデンを支持しているかというと、バイデンなら自分
たちでコントロールできるということで極左がバイデンに乗っているわけです。
従って、バイデン自身が政策の中に極左のものを取り込んでいます。やはり極
左グループに勢いがあるのです。
アメリカの場合は各政党で予備選をやります。11月3日が大統領選挙ですが、
下院議員のすべてと上院議員の3分の1も改選となり、同日選挙が当たり前になっ
ています。
今上院は共和党が多数ですが、もし民主党が勝つとどうなるか。というのは、
対中国で香港問題、ウイグル問題等で制裁決議し、あるいは制裁法を通してきて
いますが、これはすべて共和党の議員がまとめたものです。
中国当局が報復措置として1か月ほど前、6人の議員を入国禁止にしました。
全員共和党議員です。やはり民主党の方がなんとなく、後からついてくるという
感じで、率先して中国が嫌がる法律を作ったりするのは共和党議員です。
中国に圧力をかけるということは、同時に北朝鮮に圧力をかけることになりま
すから、端的に言えば、中国共産党政権を倒すと北朝鮮も間違いなく連鎖倒産の
ようになる。
◆共和党政権なら心配ない
そういうことで中国に対する圧力をトランプ政権が強めていますが、このスタ
ンスを続けることが私は大事だと思います。トランプはエネルギーのかたまりの
ような男ですが、彼も74歳になりましたから、決して若くはない。彼は酒は一
滴も飲まないですし、健康体ではあるんです。ものすごい勢いで話します。私は
見ていて、脳溢血にならないか心配になります。年齢的にはないわけではない。
その場合、マイク・ペレス副大統領が昇格しますから、何の問題もない。
ボルトンの回顧録を見ていても、北朝鮮問題でトランプが少しふらついたよう
なことを話したことがあります。あるいはスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特
使、今国務副長官ですが、彼についてボルトンはぼろくそに書いています。ビー
ガンは国務省のムードにおぼれて、北朝鮮に対して宥和的な交渉姿勢を取ってい
る。具体的には北朝鮮が、核活動を凍結する、廃棄や破壊でなく凍結、止めます
よと言えば、それに対して制裁緩和をする、と。
ボルトンに言わせれば、絶対にやってはいけない騙されるパターンにまたビー
ガンが乗ってしまっている、と。
実はハノイの米朝会談、2回目の時ですが、事前にビーガンがまとめていた文
書案は、北朝鮮の策略にはまったような内容になっていた。それを見たボルトン
が、「これはだめだ。こんなものを交渉の場に持ち出すようなことがあったら」、
トランプも細かいことは専門ではないですから、「融和策に行ってしまうかもし
れない」と。
当時ボルトンは、ベネズエラ情勢が非常に緊迫したので、ぎりぎりまでワシン
トンに残ってベネズエラ問題に対応していたのです。そこでボルトンはペンスに
連絡して、「危ないことになっている。なんとかしてくれ」と。そしたらペンス
が「分かった」と言って、きちんと動いてくれたそうです。
ボルトンの回顧録では色々な人のことを厳しく批判していますが、彼が全く悪
口を書いていないのがペンスです。「ここぞという時にペンスは頼りになる。理
念的にもしっかりしているし、政治家としての経験も豊かだ」と。
トランプも北朝鮮に対する制裁は一切緩めていない。中国が抜け穴から北朝鮮
を助けている。そこを十分締め上げていない。そこがボルトンの不満の一つでし
た。金正恩との間で、「ラブレターを交わすような」という言い方をトランプは
しています。「二人は仲がいいんだ。だからミサイル実験はするな」とかですね。
金正恩の方も、トランプを怒らせると10倍返しをしてくるので怖いというこ
とで、刺激しないようにしています。
トランプに関しては、彼は基本は分かっていると思いますが、核問題の細かな
ことや北朝鮮との交渉における色々な落し穴等を知っているわけではないので、
そういうことは外部から支援する必要があります。ボルトンとペンスは今でも関
係がいいですし。ボルトンは核問題での交渉の専門家ですからすぐ気づきます。
ボルトンとトランプは関係が悪くなってしまいましたが、ペンスという存在を
通じて外部の専門家の意見が政権内に取り込まれる。そういうルートが確保され
ている。そういう意味でペンスと言う人は非常に重要です。
(3につづく)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■安倍首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 安倍晋三殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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■安倍総理辞任と拉致問題2
◆北朝鮮が自ら国連制裁を徹底化した
島田 初めに金聖●(王へんに文、キム・ソンミン)氏のペーパーにコメントし
てから、アメリカの北朝鮮政策について考えていきたいと思います。
食糧事情が厳しいということでしたが、これは金聖●さんだけでなく、色々な
情報があります。中国との貿易がほとんどなくなった状態です。
そして北朝鮮では、金正恩をコロナウイルスに感染させないのが至上命題です
から、中国との貿易を自ら切った。国連制裁がずっと続いてきましたが、中国が
抜け穴になっていたわけです。その抜け穴を、コロナのおかげというか、自ら国
連制裁の徹底化をやったと言えると思います。
また西岡さんが9月9日、「産経新聞」の正論で書きましたが(配布資料)、北
朝鮮のハッカーが、こともあろうに中国の銀行にハッキングをかけて金を盗んだ。
これに対し中国が怒って、「北朝鮮ハッカー200人を9月末までに中国に引き渡せ。
それをしない限り石油等も一切供給しないと言っている。
これは西岡さんが北朝鮮内部から取ってきた重要情報ですが、ハッキングして
もばれないと思ったのかもしれませんが、中国はハッキングのプロですから、中
国軍の中に2万人以上のハッキング部隊がいて、日常的に活動している。
実は私のアドレスにも毎日、大量の攻撃メールがきています。だから中国は北
朝鮮がハッキングしていることを見つけたわけです。そこで「庇護する役の中国
に対して、何をするんだ」と、中朝関係が悪くなった。これも北朝鮮側の自殺行
為の一つでしょう。
さらに、金正恩の健康状態が非常に悪い。「余命いくばくもない」と診断され
ているのではないかという説があるんですが、その説は数年前から出ていて未だ
に生きていますから、どれだけ信ぴょう性があるのか慎重に見ないといけないと
思います。
実は10日ほど前に、ドナルド・トランプ米大統領が突然ツイッターで、「金
正恩の健康状態はいい。彼を決して過小評価してはいけない」と書きました。わ
ずか2行のツイートで唐突感のある内容でしたが、アメリカ情報部の評価として、
「金正恩氏の健康状態は差し迫ったものではない」という報告が上がっている可
能性がある。
トランプ氏のことですから、何らかの戦略的ハッタリをかけたのかもしれませ
んが、金正恩の場合、なにしろ肥満ですから糖尿病があると言われているし、心
臓の手術をしたと言われています。そういう人間がコロナに感染すれば死亡する
確率が高いでしょう。
ただ若いですから、「すぐ死ぬのではないか」という楽観的情報は、私はあま
り信じないようにしています。もしトランプ大統領が全く根拠もなく言ったりし
たら、今のアメリカの状況だと間違いなくリークがなされて、「取れている情報
と全く違うことを大統領が言った。無責任だ」と言われてしまう。
CIAやFBIにはオバマ大統領が任命した人がたくさん残っていますし、C
IAの分析部門等は結構リベラル派の人が多いですね。しかし、トランプのツイー
トを否定するようなリークが未だに出ていません。従ってアメリカの情報部は、
四捨五入して、金正恩の健康状態はさして悪くないと判断しているかもしれませ
ん。
◆フリーになった安倍総理が拉致問題で活躍できるのでは
金聖●のペーパーには他にも重要なところがありますが、一般的な話の方に移
ると、安倍首相が退任されたのは大変残念ですが、菅さんが拉致担当大臣をされ
ていました。菅さんが官房副長官をされていた時、西岡さん、平田さんと安倍さ
んに会いに行った時に、菅さんが安倍さんと一緒に出てきて、特に北朝鮮への制
裁問題は菅さんがまとめ役になっていると、安倍さんから紹介されました。
まだ安倍さんが若かった頃ですから、かなり早い段階から我々は菅さんと接触
もありましたし、彼は制裁問題で一番鍵になる人で熱心にやっていましたので、
北朝鮮問題、そして拉致問題に関して菅さんは自民党議員の中でも、最も手堅く
しっかり対応してきた議員の一人だと思います。
そして官房長官になった加藤勝信氏も拉致問題担当大臣をやっていましたし、
非常に手堅い人です。面白みがないとも言われますが、手堅い仕事をする人です。
期待できるポイントとしては、安倍首相がフリーな立場になりましたので、そ
れこそ特使として北朝鮮と水面下で接触する。安倍さんが訪朝して金正恩と接触
する、直接やりあうということも、首相だと簡単にはできませんが……。
かつてクリントン政権の時に、1994年前後だったと思いますが、第1次朝
鮮半島核危機がありましたが、元大統領のジミー・カーターが北朝鮮に行って、
金日成と交渉して、一応事を収めた。その収め方には、細かく言えば問題があっ
たと思いますが、かつてのカーターのような役割を安倍さんがもっといい形でで
きる。そういう可能性も開けたかなと、安倍さんが退任されたプラス面として考
えられるのではないかと思います。
また、これまで機密情報にもしっかり接してきて、理念的にもしっかりしてお
り、交渉者としても立派な人は安倍さんしかいないですから、そういう意味で向
こうに伝えることができるのではないかと思っています。
◆トランプが持っている3つの対北新兵器システム
菅さんがトランプとの間で信頼関係をしっかり維持発展させていけるかどうか。
大きなポイントは北朝鮮の軍事問題だと思います。
2017年秋、米朝は衝突寸前までいきました。最近出たボブ・ウッドワード
というジャーナリストの「Rage(激怒)」というタイトルの本を見ても、マチス
国防長官を中心に、トランプ氏もそうですが、「北朝鮮との衝突は避けがたい方
向に行っている」と思っていた。
「北朝鮮がなおも長距離ミサイル実験を続けるようであれば、これはもう戦争
になる」と。日本の防衛当局も同じように受け止めていました。アメリカから危
機感が伝わってきていましたから。
私も、当時の小野寺防衛大臣とか河野さんという制服組のトップの人(統合幕
僚長)から直接、具体的なことを聞きましたが、「もうアメリカ側の血相が変わっ
ている。このまま行ったら本当に戦争になる」と。それが2017年の秋くらい。
そこで結局、金正恩がいわばビビッて降りてきた。韓国の文在寅を使って、ま
た冬季オリンピックも使って、平和攻勢に出てきた。
ボブ・ウッドワードは今回、興味深い点として、トランプ大統領に対し、「あ
なたと金正恩との、いわばベタベタした友情を維持するような関係、これは金正
恩が裏切ってまた核またはミサイル実験をしてきたら、どうするのか」、「ある
いは北朝鮮から開戦の火ぶたを切ってくる、アメリカに核兵器を打ち込むことも
含めて、そういう場合どうするのか」と聞いたのに対し、トランプが、「だれも
見たことがないような、プーチン、習近平もびっくりするような兵器システムが
あるんだ」と言ったそうです。
ウッドワードははこれを「新兵器システム」と書いていますが、これは何を意
味するか。アメリカの専門家から我々が聞いているところでは、具体的に3つく
らいのものを考えているようです。いずれも金正恩を斬首作戦で除去するための
システムです。
一つは、M15eという戦闘機から落とすD61という核爆弾です。非常に爆発力は
小さいけど地中に貫通するものです。金正恩は地中に隠れますが、地中まで貫通
して爆発する。爆発力は小さいので周りに放射線の被害をふりまかないけれども、
中に隠れている人は死にます。これを金正恩がいそうな所に一斉に落とす。
次に極超音速ミサイル、一般に超音速ミサイルと言われているものの17倍く
らいの速さのものです。「スーパー・デューパー」と言われるもので、これも金
正恩を狙う兵器です。
3つ目が潜水艦発射のトライデント5ミサイルに搭載するW76-2核爆弾で、今年
2月頃にアメリカが実験して成功を収め、実戦配備しています。
この3種類のシステムを使って、北朝鮮の一般国民にはできる限り被害がでな
いようにして、しかし金正恩を初めとして指令系統を確実に除去する。こういう
作戦をアメリカは今後も、米朝間が緊張すれば発動を前提に準備に入ると思いま
す。
◆日米関係の信頼感の核は軍事問題
安倍さんがトランプとの信頼関係が非常に深いのは、ちょうどこの時期に、安
倍首相が、「すべてのオプションがテーブルの上にある」というトランプ大統領
の方針を「支持する」と明言しました。これはアメリカの軍事攻撃を支持すると
いうことです。
アメリカの戦闘機がグアム島あたりから発進するわけですし、潜水艦発射ミサ
イルは海上から、あるいは海中からですが、本格的な戦闘となれば、在日米軍基
地がしっかり使えるかどうかが極めて重要です。
安倍首相の、「すべてのオプションがテーブルの上にある」というトランプ大
統領を支持するという中には、在日米軍基地から出撃することを日本は全面的に
支援するという意味です。これはボルトン(前大統領補佐官)も明確に言ってい
ます。つまり、安倍さんは支援義務を果たしてくれる。確信できる、と。
一方、韓国の文在寅大統領は、アメリカが北朝鮮と戦争をする場合には、在韓
米軍基地を使う許可は出さない。使わせない。全く逆のことを言ったわけです。
だから、「文在寅は一切信用できない。この男は同盟国のトップではない」とい
う判断にアメリカが至った。
そこで安倍さんと文在寅の立場が鮮明に分かれたわけです。従って菅政権にお
いても、いざ戦争になった時に米軍を全面的に支援してくれる国なのかどうか、
そこが信頼関係の根ですからきちんと維持していく必要があると思います。
◆米大統領選挙でバイデン民主党が勝つと拉致問題には不利に
11月3日の米大統領選挙で北朝鮮も中国もバイデン民主党が勝つことを強く
願っています。その根拠がいくつかあります。
トランプ大統領の副大統領は現職のペンスです。一方バイデンの方は、カマラ
・ハリスというカリフォルニア州選出の上院議員です。バイデンは選挙直後に7
8歳になります。しかも認知症の進行が心配されています。
共和党の方は「認知症」という言葉は使わない。使うと認知症の人から、「差
別だ。馬鹿にするな」と非難を浴びかねない。しかし、民主党側は「進行してい
るのではないか」等、SNS等で心配してお互いに書き合っています。インタビュー
を受ける時も常に側近が横にいて、バイデンが言いそこなうと、側近が支えます。
バイデンは側近を見て、「えっ」という顔をして言い直しています。
アメリカの主流メディアのほとんどは民主党支持ですから厳しい質問はバイデ
ンに対してしない。トランプに対しては、揚げ足取りをやりまくる。「フォック
スニュース」や「ワシントンタイムズ」等は民主党の応援団ですからバイデンに
対してゆるいボールしか投げないんです。それでもきちんと打てない状況で、も
ともと集中力が弱く、失言が多い人です。明らかに衰えているなというのが見え
ます。
ハリスは極左的なグループに迎合的なことを言っています。資金を出してくれ
る企業から、「そういう立場をとるのなら支持できませんよ」と例えばエネルギー
問題などで言われると、中間派寄りに立場を戻す。だから「左翼カメレオン」と
あだ名されています。そういうことを繰り返してきた。
彼女は去年大統領選に名乗りを上げた。民主党の予備選ですが、ところが陣営
内部は、彼女は極左なのか中間派なのかと紛争も起こって、選対本部長が辞任し
たりしました。
今年の1月の終わりから予備選が始まったのですが、その前の段階で撤退に追
い込まれた。そういうことで統率力が全くない。当時、「ワシントンポスト」や
「ニューヨークタイムズ」のような民主党の応援団のような新聞も、「まだハリ
スは政治家としてだめだ。自分の選挙対策本部も、予備選の段階までもたずに空
中分裂してしまうようでは、まだ政治家として青い」と言っていました。
今は、バイデンを勝たせなければならないから、「カマラ・ハリスはすばらし
い政治家だ」と書いていますが、「以前に書いたことと全然違うじゃないか」と
いう意見もあります。
彼女は選挙向けに回顧録を書きました。私も仕事柄、いやいや全部読んだので
すが、彼女が自分の最大の業績として挙げているのは、「いわゆるLGBT(レズビ
アン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)で、同性愛の方等性的少数
派の権利拡大のためにこれだけ業績を上げた、それが最大の誇りだ」ということ
を長々と書いている。外交問題に関する記述はほとんどない。
彼女はまだ上院議員の1期目で明らかに経験不足です。大統領当選者が任期中
に亡くなるとか、職務不能になって引退に追い込まれると、バイデンの場合、カ
マラ・ハリスが大統領になります。
従ってバイデンに関しては、「生きていても死んでも問題だ」という人がいる
んですが、今極左がなぜバイデンを支持しているかというと、バイデンなら自分
たちでコントロールできるということで極左がバイデンに乗っているわけです。
従って、バイデン自身が政策の中に極左のものを取り込んでいます。やはり極
左グループに勢いがあるのです。
アメリカの場合は各政党で予備選をやります。11月3日が大統領選挙ですが、
下院議員のすべてと上院議員の3分の1も改選となり、同日選挙が当たり前になっ
ています。
今上院は共和党が多数ですが、もし民主党が勝つとどうなるか。というのは、
対中国で香港問題、ウイグル問題等で制裁決議し、あるいは制裁法を通してきて
いますが、これはすべて共和党の議員がまとめたものです。
中国当局が報復措置として1か月ほど前、6人の議員を入国禁止にしました。
全員共和党議員です。やはり民主党の方がなんとなく、後からついてくるという
感じで、率先して中国が嫌がる法律を作ったりするのは共和党議員です。
中国に圧力をかけるということは、同時に北朝鮮に圧力をかけることになりま
すから、端的に言えば、中国共産党政権を倒すと北朝鮮も間違いなく連鎖倒産の
ようになる。
◆共和党政権なら心配ない
そういうことで中国に対する圧力をトランプ政権が強めていますが、このスタ
ンスを続けることが私は大事だと思います。トランプはエネルギーのかたまりの
ような男ですが、彼も74歳になりましたから、決して若くはない。彼は酒は一
滴も飲まないですし、健康体ではあるんです。ものすごい勢いで話します。私は
見ていて、脳溢血にならないか心配になります。年齢的にはないわけではない。
その場合、マイク・ペレス副大統領が昇格しますから、何の問題もない。
ボルトンの回顧録を見ていても、北朝鮮問題でトランプが少しふらついたよう
なことを話したことがあります。あるいはスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特
使、今国務副長官ですが、彼についてボルトンはぼろくそに書いています。ビー
ガンは国務省のムードにおぼれて、北朝鮮に対して宥和的な交渉姿勢を取ってい
る。具体的には北朝鮮が、核活動を凍結する、廃棄や破壊でなく凍結、止めます
よと言えば、それに対して制裁緩和をする、と。
ボルトンに言わせれば、絶対にやってはいけない騙されるパターンにまたビー
ガンが乗ってしまっている、と。
実はハノイの米朝会談、2回目の時ですが、事前にビーガンがまとめていた文
書案は、北朝鮮の策略にはまったような内容になっていた。それを見たボルトン
が、「これはだめだ。こんなものを交渉の場に持ち出すようなことがあったら」、
トランプも細かいことは専門ではないですから、「融和策に行ってしまうかもし
れない」と。
当時ボルトンは、ベネズエラ情勢が非常に緊迫したので、ぎりぎりまでワシン
トンに残ってベネズエラ問題に対応していたのです。そこでボルトンはペンスに
連絡して、「危ないことになっている。なんとかしてくれ」と。そしたらペンス
が「分かった」と言って、きちんと動いてくれたそうです。
ボルトンの回顧録では色々な人のことを厳しく批判していますが、彼が全く悪
口を書いていないのがペンスです。「ここぞという時にペンスは頼りになる。理
念的にもしっかりしているし、政治家としての経験も豊かだ」と。
トランプも北朝鮮に対する制裁は一切緩めていない。中国が抜け穴から北朝鮮
を助けている。そこを十分締め上げていない。そこがボルトンの不満の一つでし
た。金正恩との間で、「ラブレターを交わすような」という言い方をトランプは
しています。「二人は仲がいいんだ。だからミサイル実験はするな」とかですね。
金正恩の方も、トランプを怒らせると10倍返しをしてくるので怖いというこ
とで、刺激しないようにしています。
トランプに関しては、彼は基本は分かっていると思いますが、核問題の細かな
ことや北朝鮮との交渉における色々な落し穴等を知っているわけではないので、
そういうことは外部から支援する必要があります。ボルトンとペンスは今でも関
係がいいですし。ボルトンは核問題での交渉の専門家ですからすぐ気づきます。
ボルトンとトランプは関係が悪くなってしまいましたが、ペンスという存在を
通じて外部の専門家の意見が政権内に取り込まれる。そういうルートが確保され
ている。そういう意味でペンスと言う人は非常に重要です。
(3につづく)
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■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
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担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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