救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国民大集会全記録4(2020/10/30)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.10.30)

■国民大集会全記録4

櫻井 ではここで、主催者の一つ、救う会の西岡力さんに参加者の紹介をお願い
します。そして、そのまま続けて基調報告をお願いします(拍手)。

◆参加者紹介

西岡 力(救う会会長)

 まず、お別れの会から来てくださいました、ずっと一緒に戦ってきた方々をご
紹介いたします。

 西村眞悟前衆議院議員(拍手、以下略)、中山恭子元拉致問題担当大臣、

 それから滋さんの関係で、雨宮正佳日本銀行副総裁、福田紀彦川崎市長、

 救う会のアメリカでのアドバイザーであるスーザン古森さん、

 またその夫でジャーナリストで、私たちを助けてくださっている古森義久さん、

 先程黒岩会長、平井知事からメッセージをいただきましたが、知事の会は全国
の知事が入ってくださっており、その中で多羅尾東京都副知事、また佐久間新潟
県副知事も来てくださいました。それ以外にも47都道府県の代表がここに来て
くださっています。オールジャパンで集まってくださいました。感謝致します。

 それ以外に救う会の各地の仲間がきています。立ってください。

【基調報告】

◆鉄の玉を押して坂道を上がり頂上が見えてきた

西岡力(救う会会長)

 23年戦ってきました。めぐみさんの拉致でいうと43年です。その後半の2
3年が運動があった時代です。20年は運動がなかった。

 ものごとというのは、発生の直後に手を打てば、一番早く解決するんです。し
かし、20年間なにもなかったんです。じゃあ、分かってなかったのか。全部と
は言いませんが、日本人が拉致されたことは分かっていた部分があるんです。

 私だって、1991年に、家族会ができる6年前に、「日本人が拉致されてい
る」と論文を書きました。そうしたら、「身の危険はないですか」と言われまし
た。脅迫状が来ました。先ほど神奈川県議会の状況を松田先生が話をしてくださ
いましたが、2002年以前は、「拉致がある」と言うだけで、あると言った人
間が危ないという状況だったのです。それを打ち破ったのが滋さんです。

 滋さんのあの世論に訴えようという決断があって、そしてここにいる皆さんが
その決断に応えてくださって、「日本人が拉致されているのに放っておくことは
できないじゃないか」となってきたのです。

 しかしそこで考えなければいけないのは、私は日本が大好きで愛国心がありま
すが、残念ながら日本政府は、経験則で言うと、日本人が拉致されていると分かっ
ていても世論がない時は真剣に取り組まなかったという事実があります。

 しかし、だからこそ滋さんの決断が正しかったのです。世論に訴えよう、と。
家族会ができて9年後に(政府拉致問題)対策本部ができました。ここには大臣
以下政府関係者がいっぱい並んでおられますが、拉致問題担当大臣もその時でき
たのです。家族会の方が先なんです。

 北朝鮮人権法もそうです。そして各地で人権週間をしてくださっていますが、
それだって当たり前ではなかったんです。しかし、その大きな壁を打ち破ったの
が滋さんの名前を出すという決断だったのです。だから私たち専門家も立ち上がっ
たのです。そしてジャーナリストも知事もみんなが立ち上がった。

 やっとここまで来たのです。私は、国民運動は重い鉄の玉を押しながら坂道を
上がっていくようなものだと言ってきました。手を離すと、鉄の玉は下がってい
くんです。一日一日、上がっていくということが実感できない。1年経って見る
と、1年前よりは高い所にきたことが分かる。

 家族会結成の時は拉致対策本部はなかった。10年経ったらできた。国際社会
には2000年から行きました。もう20年です。アメリカに最初に行った時は
お金がなくて、歳取った家族の人たちにエコノミークラスしか乗せられなくて心
配だったのですが、でも20年経つと、アメリカの大統領が金正恩氏に直接、3
回も「解決しなさい」と言ってくれるところまで来たのです。

 しかしそれは、私たちが(鉄の玉から)手を離さなかったからです。手を離し
たら、鉄の玉は落ちてしまう。一つだけ言えるのは、やらなければ絶対救えない
ということです。でもここまで来た。そしてその先頭に滋さんがいたということ
を忘れてはならないと思います。

 そして私は今、チャンスが来ていると思っています。私は北朝鮮問題の専門家
ですので、北朝鮮内部のことについて申し上げますと、制裁が効いてきています。

 北朝鮮の政権は年間40億ドルから50億ドルくらいの外貨がないと、回って
いかないんです。最高指導者の家族のぜいたくな暮らしや、核・ミサイル開発や、
軍隊や治安機関を維持するためにそれくらいなお金が必要なんです。

 それを様々な手段で得ていたんですが、国際社会の制裁そして日本の制裁で外
貨を断つことを戦略的目標にしてやってきたんです。リビアのような国は制裁を
受けても石油を闇で売ることができるので外貨不足になりませんが、北朝鮮が売
るものは、武器とか麻薬とか偽札しかない。それを遮断した。

 北朝鮮の輸出の中で一番多いのは石炭とか鉄鉱石ですが、国連制裁で、北朝鮮
からそういうものを買ってはいけないと書き込んだのです。北朝鮮の輸出は年間
30億ドルありました。2017年の制裁の結果、2018年、19年には3億
ドルと言われています。90%減ったのです。

 党の39号室というところに独裁政権を維持するための外貨が集められている
のですが、その在庫が今年に入って1億ドルを切ったという複数の情報がありま
す。

 金正恩氏が水害の現場に行って、色々言いますが、昔は金正恩氏が行けば39
号室から外貨が出たから病院などを作るのは簡単だったのです。特別扱いをして、
金正恩氏が行ったところはすぐにきれいになったのです。今それができないから、
軍隊を派遣している。軍隊でも足りないから平壌の1万人以上の人を水害の地域
に送っているのです。

 しかし、食糧もなくてその人たちが行ってどうなるんでしょう。基本的に外貨
がなくなっているという中で、コロナが起き、水害が起きたのです。それで平壌
でも、「核・ミサイルで私たちを食べさせてくれるのか」ということ(反体制活
動)が起きているんです。

 そのために10月10日の深夜、金正恩氏が、涙をぬぐいながら、「ありがと
う、ありがとう、ありがとう」と言ったのです。朝鮮語で「ありがとう」には、
「カムサハムニダ」と「コマッタ」があるのですが、あの演説の中で、「カムサ
ハムニダ」が6回、「コマッタ」が12回ありました。30分の演説で18回も
人民にありがとうと言ったのです。

 普通は朝鮮語も敬語が厳しいのですが、最高指導者は敬語を受ける側で、自分
は人民に対して敬語を使わないのですが、あの演説では金正恩が人民に対して敬
語を使った。それくらい不満が高まっているということで、異例のへりくだった
演説をしました。せざるを得なかった。

 ただ、北朝鮮のような国ですから、平壌市内に住んでいる人たちは一時的に感
激したんです。「最高指導者がここまで分かってくれているんだ」と胸を打った
人たちもいると、内部につながる筋の人から聞きました。

 しかし、地方ではそもそも平壌に何が起きても関係ない。毎日食べるのが精一
杯だ。そして、社会安全部というのが一般警察で、国家保衛部というのが政治警
察ですが、その両方の人たちが夜歩いていると、誰かに襲われて袋叩きにあう。
反体制組織があるというところまではいってないのですが、私怨で、「私の家族
がひどい目にあった。あいつのせいだ」ということで、治安機関の人間が襲われ
るところまで治安が乱れています。

 基本的な原因は外貨を断たれたことです。それは日本とアメリカと国際社会が、
意図を持って制裁をしてきたからです。被害者を取り戻す戦略はただ一つ。「先
圧力、後交渉」です。先に圧力をかけ、その圧力を背景に交渉する。アメリカも
強い圧力をかけた結果、北朝鮮がトランプ大統領との会談に出てきた。

 その時逃がさないように、トランプ大統領に拉致問題の深刻さを理解させてお
くということも成功したのです。今、トランプ大統領と金正恩氏との会談が決裂
して、ハノイで妥協ができなくなったから金正恩氏がまた内向きになって、核・
ミサイルを人民に見せながら、「我慢しろ」、「自力更生」と言っていますが、
限界が来ているのは間違いない。

 「だからこそ今、日本と交渉しなさい。拉致問題を日本は最優先にしているん
だ。拉致被害者を全員一括で返すならば、家族会・救う会は、帰ってきた人たち
から秘密を聞き出して、国交正常化に反対(するようなこと)はしない」という
メッセージを去年2月に出しました。

 これは「先圧力」の段階がもう終わった。いよいよ「後交渉」の段階になった
からです。交渉の中で最低限私たちが取りたいものを相手に伝える必要があると
思ったからそういうメッセージを出したのです。

 そして安倍前総理は、「無条件で金正恩氏と会う」と去年の5月に言いました
が、それも「先圧力」の段階が終わった。いよいよ「後交渉」の段階だと判断さ
れたからだと思います。そして菅総理も、「私が金正恩氏と会ってこの問題の解
決の活路を開く」と、同じメッセージを出しています。

 北朝鮮の指導者に対して、「被害者を全員返しなさい。あなたが決断すれば、
北朝鮮の人民たちが幸せになる道が開ける。日本はいじわるをしているのではな
い。しかし、被害者が全員帰ってこない今の状況で制裁を緩めたり、支援をした
りすることは絶対できませんよ。それが、ここに集まった私たちの決意なんだ。
全被害者を即時一括帰国させなさい。それまで我々は、絶対にあきらめないし、
許さない」、 そういうメッセージを皆さんと一緒に出したいと思います。

 鉄の玉を押して来たら、私は頂上が見えてきたと思っています。しかし、手を
離したら坂道を落ちていってしまう。

 今日は800人。実は心配したんです。多くても困るし。少なくても困る。み
なさんがこういう状況の中で、全国から集まっていただき、怒りの声を挙げてく
ださって本当にありがとうございます。絶対に負けない。全員取り戻す。私たち
はあきらめない。戦い続けるという決意を持って、今日の話を終わります。あり
がとうございました(拍手)。

◆ここまで来た、最後までやっていこう

櫻井 西岡さんありがとうございました。この拉致問題で一番大事なことは、自
分たちの思いに信頼を寄せることだと思います。国際社会で、どの国も北朝鮮を
説得できない中で、武力もない日本がどうしてできるんだと、疑いをもし持つと
したら、そこから私たちの敗北が始まると思います。

 今西岡さんがおっしゃったように、金正恩氏はあわれなほどに追い詰められて
います。今まで君臨してきた国民に対して、18回も謝らなければならない。涙
を流さなければならない。そういう状況に追い込むことができたのは、安倍政権
以降日本政府、そして家族会、救う会が心を一つにして、「対話と圧力ではあり
ませんよ。今は圧力であり、圧力であり、圧力なんです。それが嫌なら対話に移
りましょう」と、順番を変えることができたからなんです。

 この戦略が絶対に正しいんだということを、心に刻まなければいけないと思い
ます。そしてどんなことをする時にも、日本国民として、日本国の政治家として
一番大事なことは、我が国の国民を他の政府から取り戻すことなんだ。このよう
な国家による犯罪は許されないことなんだ。許してはならないし、私たちはとに
かくここまで来た。追い詰めるところまで来たのだから、絶対に私たちに対する、
自分自身に対する信頼をゆるがせにしないで、最後までやっていこうと改めて決
意することだと思います。

 そして今日のこの場が、菅総理大臣、加藤大臣を初め、皆さんと二度、三度心
を一つにする場所になりました。ありがとうございます(拍手)。最初に泣きま
したけど、もう絶対に泣きません。一緒に頑張りたいと思います。本当にありが
とうございました(拍手)。

 ここで松原仁さんに決議案を朗読していただきます。

◆ストックホルム合意を破棄せよ

松原 仁(拉致議連幹事長、元拉致問題担当大臣)

 今西岡さんが分析したことは極めて重要だと思っています。経済制裁が効いて
いることは私も様々確認をし、確信をしています。だから拉致問題解決に向かっ
て今こそ結束して、我々が一番力を高める時だと思っています。

 但し、私は一方において、日本人が本当に怒っているということが十分に伝わっ
ているかということに関しては、若干懸念を持っている。この前も古屋先生に言っ
たけれども、ストックホルム合意をずっと認めている限りは、中山恭子さんもおっ
しゃっていましたが、こういう問題を破棄もしない状況を北側から見ると、日本
は怒っていないと見られているのではないか。私はそう思っています。

 そして今西岡さんが言ったように、確かに山がそこに見えているというのも事
実です。だから、「死んでしまった」と北朝鮮側が言っている拉致被害者を取り
戻すためには、「死んでしまった」と言い続けている人間を、北朝鮮との交渉の
場から、例えば宋日昊(ソン・イルホ)とか、そういう人物を排除していかなけ
れば本当の解明は簡単にはできないだろうと思っています。

 彼らを排除するには、一つの方便として、ストックホルム合意は極めて重要な
仕事だと確信しています。今日は加藤拉致問題担当大臣がおられるので、敢えて
申し上げます。解決はするだろうけど、本当の解決にするためには、怒りを表明
し、そして相手のステークホルダーを変えなければならないと思っています。
 それでは決議案を朗読いたします。

【決議案】
 私たちは本日、約1年ぶりに、全拉致被害者の即時一括帰国を求めるためにこ
こに集まった。新型コロナウイルス感染症のため、救出活動が大きく制限されて
いる間に、今年2月には有本恵子さんのお母さんの有本嘉代子さんが、6月には横
田めぐみさんのお父さんで家族会前代表の横田滋さんがご逝去された。北朝鮮で
助けを待っている被害者たちも、今年襲ってきた新型コロナウイルス感染症と水
害の中で、苦しい生活を重ねただろう。私たちは胸が張り裂かれるような悲しみ
と口惜しさと怒りを感じている。

 しかし、理不尽に拉致され、数十年も抑留されている全拉致被害者を助けると
いう私たちの運動は、歩みを止めることはできない。その目的実現のため、昨年
2月、様々な思いを抑えて「全拉致被害者の即時一括帰国が実現するのであれば、
私たちは帰ってきた拉致被害者から秘密を聞き出して国交正常化に反対する意志
はありません」というメッセージを発信した。また、同じ昨年2月には、トラン
プ大統領から「全拉致被害者を返せ」という日本のメッセージが金正恩委員長に
直接伝えられた。菅義偉首相は、拉致被害者救出を最優先課題に位置づけて、
「日本の新しい総理大臣として、私自身、 条件をつけずに金正恩委員長と会う」
と表明した。

 今年10月10日に金正恩委員長が認めたとおり、制裁の圧力は多大な効果を上げ
ている。そのため、北朝鮮国内で政権への不満が高まっている。あらためて金正
恩委員長に訴える。全拉致被害者を一括帰国させるという決断なしに現在の危機
を脱する道はない。これ以上、日本人拉致被害者が厳しい状況に立たされ続け、
また被害者家族が倒れれば日本国民は北朝鮮への怒りを解かず、国交正常化と経
済支援は永遠に実現しない。

松原 先程家族会代表が言っていたように、家族と抱き合ってこそ解決であって、
その絵柄がないのであれば、解決ではないということを、北朝鮮は明確に認識す
べきだと思います。

(朗読に戻る)
必ず、全拉致被害者の即時一括帰国を実現させるという強い心を込めて以下決議する。
1 北朝鮮は、全拉致被害者の即時一括帰国をすぐに決断せよ。
2 政府は、国民が切望する全拉致被害者の即時一括帰国を早急に実現せよ。
令和2年10月24日
「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」参加者一同(拍手)

櫻井 ただいまの大変心強い拍手をもってこの決議案は皆様の了解を得たものと
します。ありがとうございました。

 ここで発表します。救う会等が集めた署名の総数は、9月22日現在で1,4
35万5,827筆です。ありがとうございました(拍手)。

 今日はコロナ禍の中お出でいただきありがとうございました。これからも、私
たちは戦い続ける道を歩まなければいけません。どうぞ一緒に心を集めて、そし
て全員を取り返すまで、あきらめずに頑張りましょう。ありがとうございました。

 まだ献花がおすみでない方は、どうぞお願いします。ありがとうございました。

以上


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