救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

拉致問題セミナー報告3(2020/12/16)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.12.16)

■拉致問題セミナー報告3

櫻井 ありがとうございました。ではここで席替えをいたしますので、しばらく
お待ちください。

 ではパネルディスカッションに入ります。まず、金聖●(王へんに文、キム・
ソンミン)さんから、録画メッセージが来ていますのでご覧ください。
◆対北制裁と圧迫が拉致問題解決の鍵

基調報告(映像)

金聖●(キム・ソンミン)自由北朝鮮放送代表

◆必要なのは勝利に対する信念

 こんにちは。自由北韓放送代表をしております脱北者金聖?(キム・ソンミン)
です。お会いできてうれしいです。

 コロナのために苦しんでいる拉致被害者家族の皆様と救う会の皆様に、現在の
苦しみに打ち勝つことと、拉致問題解決に関する希望から手を離さないでほしい
というお願いの言葉をまず申し上げます。

 合わせて、日本の拉致被害者の象徴である横田めぐみさんのお父様、横田滋先
生のご逝去に深い哀悼の念を表します。

 このたび拉致問題担当だった菅前大臣が総理になられたというニュースを聞き、
拉致問題解決のための日本政府のより大きな努力を期待しました。

 しかし、私たちは歳月が過ぎゆく中で解決の兆候が見えない日本人拉致被害問
題に対して、より大きな悩みを持たざるを得ません。拉致問題解決への糸口をど
のようにみつけるのか。北朝鮮はどんどん独裁の王国化していくようですが、果
たして私たちは遠く困難なこの戦いで勝者になることができるでしょうか。

 本当に困難な時期であることは間違いないですが、こんな時であればあるほど
必要なのは勝利に対する信念だと申し上げながら、北朝鮮の現在の状況について
検討する時間を持つことにします。

◆来年1月の労働党第8回大会で金与正の地位問題が扱われるだろう

 今北朝鮮は、来年1月に予定されている朝鮮労働党第8回党大会の準備に熱中
しています。8月19日に開かれた労働党中央委員会全体会議を通じて第8回党
大会開催のニュースを内外に知らせ、10月5日と11月29日に労働党政治局
拡大会議を通じて、金正恩が直接に大会準備事業を点検さえしました。

 ご承知の方もいらっしゃるかも知れませんが、北朝鮮の社会主義憲法第11条で
は、「朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮労働党の領導の下ですべての活動を行う」
と規定されていて、朝鮮労働党は北朝鮮の最高領導機関に位置づけられています。

 その労働党の輪郭をみるならば、市・道に党委員会と代表会議があり、その上
に党中央委員会と軍事委員会、中央監査委員会があります。またその上に全党大
会があり、この全党大会を通じて党委員長(代表)を選出し、国家首班を有名無
実化する、いわゆる「朝鮮労働党委員長統治」を作り上げます。

 もちろん全党大会の主要な役割は第1に、党中央委員会と中央監査委員会事業
の総括、第2に、党の綱領と規約採択、第3に、党の路線と政策、戦略と戦術の
基本問題を決定、第4に、党中央委員会と中央監査委員会の選挙がありますが、
核心の中の核心は総書記と後継者の推戴にあるということを知らない人はいない
でしょう。

 そのような意味で振り返ってみると、1980年10月の労働党第6回大会で
は金正日が党政治局常務委員に選出され、金日成の後継者であることが内外に宣
布されました。

 そして、金正日の死後に開かれた2016年5月の労働党第7回大会では、金
正恩の労働党委員長推戴がなされました。

 そうであれば、来年1月に開催されることになった労働党第8回大会の意味は
何でしょうか。

 もちろん彼らの発表通り、第7回大会で提示された経済問題に対する総括、そ
して党大会規定に従う一連の選挙と路線問題が取り扱われるでしょう。けれども、
私はそれよりもっと重要な問題、いわゆる金与正の地位問題が扱われるだろうと
考えています。

 既に人々の記憶からは遠くなってしまいましたが、5月30日、われわれ自由
北韓放送は情報員から、「中央機関に、金与正同志を『党中央』と呼ぶことに対
する宣伝扇動部の方針が下りてきた」という連絡を受けました。

 金正恩が死の病にかかったのなら分からなくはないが、明日すぐに死ぬという
なら分からなくはないが、そうでないならどうして元気なのに、31歳の女の子
を、金正日が後継者時代に使っていた「党中央」という呼称で呼ぶことができる
のか理解できませんでした。

 しかし、それ以後、いろいろな内部の消息筋を通じてそのような事実を確認し、
韓国の言論で最初に「金与正を『党中央』と呼べ」、「金正恩が後継者作業本格
化」という記事を発信し、韓国と国際社会が関連する内容を報道しました。

 労働党機関紙の労働新聞は6月10日に、「主体朝鮮の絶対兵器」という題の
記事で、「偉大な党中央と思想も意志も歩みもともにしよう」と書きましたし、
6月11日には、「主体朝鮮のすべての勝利と栄光の旗幟である。党中央のまわ
りにより一層固く団結し必勝の信念を高め、社会主義強国建設を力強く進めなけ
ればならない」という社説を掲載しました。

 このとき、北朝鮮が使った「党中央」とは、過去、金正日、金正恩につけられ
た呼称だから、北朝鮮の新しい後継構図を示唆する用語でした。それから1週間
も経たない時、金与正が北朝鮮の言論に登場して脱北者の対北ビラ問題を持ち出
してきて、北朝鮮全体の人民に、「脱北者と南朝鮮当局を敵」と位置づける「指
示」を下し、その貫徹を導く「指導者」として振舞いました。

 本当に一日の間にあの世間知らずの若い子が、「全党、全国、全軍を一糸乱れ
ず指揮する能力を備えた現実的指導者」になってしまいました。

 その上、開城の南北共同連絡事務所爆破を通じて、いわゆる「決断力」まで兼
備した北朝鮮の新しい指導者として、国際社会の「公認」まで受けた、あきれた
状況が生まれました。

 今はこっそり隠れて出てきませんが、韓国はもちろん国際社会さえも、金与正
の指示がいつ再び出るだろうかと戦々恐々としている状況が演出されています。

 その後、韓国の国家情報院は、金与正が金正恩の代理として政治を行う、いわ
ゆる代理統治をしていると国会情報員会で発表し、「金与正に南北関係と対日・
対米関係のすべての権限が付与された」という北朝鮮内部から聞いたという情報
も流れ出しました。

 それにもかかわらず金与正の職責は、単なる中央党第1副部長です。そこで金
与正の「指示」が北朝鮮全域に下達された時も、第1副部長金与正同志の指示と
いう前置詞がつきました。

 与正に、誰が見ても、「北朝鮮を統率するのにふさわしい地位」がなければな
らず、今回の第8回党大会がこのような構図の下で企画されたものだということ
が私の個人的な考えです。

◆金正恩の寿命が尽きつつある

 そうであればなぜ金正恩が、独裁体制のタブーである2人者、ないしはもう1
人の指導者を立てるしかなかったのかという質問が出てきますが、金正恩の肥満
がその原因だと答えたいです。

 36歳にしかならないのですが、体重140キロは誰が見ても正常ではありませ
ん。現代医学で予測できるすべての疾病が金正恩に寄生しており、少なくとも金
正恩はそのような疾病によって自分の寿命が尽きつつあることに気づいたのでしょ
う。

 そうでなければ31歳の金与正を指導者の地位に上げて、いわゆる代理統治を
する理由を説明できません。

 ある人は金正恩が直接出て行って大恥をかいたハノイ会談のような国際的な大
恥を避けるために若い妹を前面に出したと言いますが、金正恩の行動をもう少し
だけ関心を持って観察すれば、平素のいわゆる「戦闘性」が欠如している点が発
見されるのです。

 4月15日の金日成遺体参拝に参席できなかったため、人々の耳目を集めた金
正恩は、同じ月の10日に北朝鮮軍迫撃砲部隊の砲射撃訓練指導を終えたのを最
後に、軍事訓練場に現れることができなくなりました。

 あれだけ好んでいた核関連施設、ミサイルと新型放射砲[多連装ロケット]射撃
場に全く顔を見せられなくなりました。

◆北朝鮮の独裁体制崩壊は時間の問題

 このような北朝鮮の状況をよく観察しつつ、拉致問題解決のための原則を守っ
て行くなら、鉄壁の城のような北朝鮮の独裁体制が崩壊する日が来るのも近いと
いうことを知ることができます。だからもう一度、私たちは勝つことができると
いう信念を持つ必要があると申し上げたいです。

 前にも申し上げましたが、金正恩は自ら自分の墓を掘っています。体の管理一
つ満足にできない怠惰な青年であることも正しいし、若い女の子を北朝鮮住民の
頭の上に載せて立たせたことにも「失敗」がはっきりと見えます。

 いまは金正恩の暴政のために何もできないでいますが、「男尊女卑」「男性優
越主義思想」が強い北朝鮮住民たちの情緒では、金与正の抜擢はあり得ないこと
として集団的反発の端緒になるでしょう。

 既に金正恩は義理の叔父である張成沢を処刑し、異母兄弟の金正男を暗殺した
ことにより、反人倫性と暴悪性が国際社会に証明された人間です。

 2017年に核武力完成を主張し、政権出発後3回にわたり大陸間弾道ミサイ
ル実験を強行したことによって、国際社会から最大の圧迫と経済制裁を受けてい
る立場でもあります。

 これに対して北朝鮮住民は、「今までずっと外部の経済制裁を受けて生活して
きたが、今ほど皮膚に直接感じる過酷な制裁を受けたことはない」と話していま
す。

 また、「核とミサイルを作れば強盛大国になるといっていたが核とミサイルか
らメシが出てくるのか」と不満を吐露してもいます。それほど息も絶え絶えの住
民たちに、金正恩は「戦闘」「戦闘」を強要し続けています。

 金日成、金正日が統治していた過去70年間あまりで、合計13回の「生産戦
闘」を行いましたが、10年にもならない金正恩統治期間に、なんと3回もの戦
闘が繰り広げられたという事実も、北朝鮮住民はしっかり覚えています。今も第

 8回党大会を成果を上げながら迎えるための80日戦闘が進行しています。
 「戦闘があまりにも多くて、もはや神経を使わない」という話もありますが、
一旦、戦闘が始まれば終わるまで休みの日がなく、慶弔行事も思うとおりにでき
ないので住民たちの恨みの声が高まっています。

 仕事はさせるが配給はくれません。北朝鮮という社会が国家の配給体系によっ
て維持されている社会だということは世の中の皆が知っている事実ですが、90年
代初めから配給網が崩壊しました。

 それでも、平壌市の住民らには食料が供給され、それが平壌市民の自負心だっ
たのですが、その平壌市の住民の自負心さえもあますところなく崩れてしまいま
した。

 今年4月から、平壌市も中心区域と周辺区域に分けられ、中心区域住民たちに
だけ配給をくれるといいます。このような状態であれば、短い時間しか経たない
内に、平壌市民の住民全体が食糧配給中断事態に直面するでしょう。軍人たちも
食糧配給量が少なくなっているという噂がかけめぐっています。

 いっとき、「贈りもの統治」、「贈りもの政治」という言葉が出るほど、金正
日、金正恩は「贈りもの遊び」に没頭していたことは事実です。だが、いまは外
貨がなくて与えたい贈りものを与えられないありさまです。

 2020年8月、国際信用評価社のフィッチ(Fitch)が、北朝鮮の経済成長率
をマイナス8.5%と評価した事実があります。対北制裁と合わせて新型コロナ
ウイルスの余波で中国経済が萎縮し、北朝鮮の鉱業と製造業などが継続して大き
な打撃を受けるだろうという展望も公表しました。

 このマイナス8.5%は苦難の行軍の時期に、北朝鮮経済がどん底に落ちた1
997年に記録したマイナス6.5%より2%低いもので、今年の北朝鮮の「経
済危機」が史上最悪であることを示唆する数字だとしか言えないです。

 その上、長期の梅雨と3回も超大型台風が北朝鮮を強打しました。水害復旧現
場と80日戦闘の現場において、また10月10日の軍事パレードにおいてコロ
ナが伝播され、人々が死んで行っているという消息も後を継いで伝えられていま
す。

 それであっても北朝鮮は、「我が国にはコロナ患者はいない」と笑うべきこと
を言い募っています。内部では、「急性肺疾患、あるいはひどい高熱のために死
んだ」というウソをついています。

 過去、苦難の行軍の時期に300万の餓死者が発生した時も、「飢え死にした
人はいないが栄養失調と基礎疾患のため死んだのだ」と強弁した北朝鮮当局者た
ちです。そのように死んでいく人々のために、診断キットとマスクを送るという
国際社会の援助提案には沈黙を守り続けています。

 北朝鮮海域に流れ着いた南朝鮮の公務員を、「正体不明の侵入者」だとして射
殺し遺体を焼却したことで、今も国際社会の公憤を買っています。このような状
況を知らないわけがない金正恩は10月10日の閲兵式場でこのように告白しま
した。

 「今この惑星に」地球のことを言ったのでしょう、「今この惑星に苛酷で長期
的な制裁のためあらゆるものが不足している状況のもとで、非常防疫も行い、ひ
どい自然災害も復旧しなければならないという途方もない挑戦と困難に直面して
いる国はわが国だけです」。

 ですから、いまや白旗を上げる時が来たと言いたいのですが、次のように演説
し、韓国と国際社会をまた失望させました。

「朝鮮労働党の革命思想で武装し、わが人民の力と精神がこもった強力な最新兵
器を装備した革命武力があるがゆえに、いかなる侵略勢力も朝鮮人民の行く手を
阻むことはできません」。

 このような荒唐無稽な者が北朝鮮の指導者だと自認しています。自分が行って
いる言動が国際社会の法と秩序に違反し、人類の理想が欠如していることが、北
朝鮮住民全体を「井の中の蛙」にしてしまい、自分までもその「井戸」にはまっ
てしまったのが金正恩です。

 外からは強く見えるが、このような金正恩が倒れることは時間の問題だと私は
考えます。日本と米国、国連と国際社会を通じた人権問題の強力な提起。圧迫を
通じた強硬な対北制裁を維持することによって金正恩の金づる遮断し、無条件降
伏をさせること。金正恩を屈服させて韓半島の自由統一を成し遂げる道だけが日
本人拉致問題の最終的解決を引き寄せる道だということを、もう1回強調して今
日の話を終えようと思います。

◆自由北韓放送は拉致問題の放送を続けていく

 脱北者の自由北韓放送を愛してくださり、惜しみなく支援の手を差し伸べて下
さっている日本の後援者の皆様。私たち自由北韓放送は、北朝鮮人民たちと労働
党幹部たちが日本人拉致問題の本質を理解する時まで、拉致問題の放送を続けて
いく考えです。

 また私たちは拉致被害者家族の肉声の手紙を周期的に放送することによって、
金正日、金正恩政権の反人倫性を深く暴露することにより、近い時期に「日本人
拉致被害者を帰えしさえすれば、メシを食うことができるようになるのではない
か」という声が北朝鮮のあちらこちらから出てくることができるように、自分た
ちの役割に忠実であるでしょう。

 最近も救う会から、皆様が送って下さった多額の支援金を受け取り、感謝のご
あいさつを伝えたところです。この機会に拉致問題解決のために一層熱心に努力
する自由北韓放送になる決意をお話しして、今日の話を終えることにします。皆
さんありがとうございます。

(4につづく)



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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 菅義偉殿

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