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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

日本との交渉を北が必要とする理由(2021/01/12)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2021.1.12)

第24回救う会テレビ

■日本との交渉を北が必要とする理由

 みなさん あけましておめでとうございます。9月以降休んでおりました救う
会テレビですが、また緊急事態になり、対外的な活動がちょっと出来なくなるの
で再開させて頂きたいと思います。今日は第24回ということになります。

◆中国との貿易が激減

 今回は、「日本との交渉を北が必要とする理由」と題してお送りします。実は
ですね、この内容は今発売されています『月刊正論』2月号に私が書いた論文の
内容にプラスして最新情勢を加えてお話しいたします。ご関心があればぜひ『月
刊正論』を読んでいただければありがたいと思います。

 救う会テレビでは繰り返し言ってきまたし、『正論』の論文でも書いたのです
が、北朝鮮は6重苦で苦しんでいるとずっと私は言ってきました。そして それ
が拉致被害者救出に大変良い条件を作り出している。

 北朝鮮は圧力をかけなければ話し合いに応じない。話し合いに応じたら嘘をつ
くという二つの彼らの行動パターンがありますが、前者が対日、日本に対しても
実現する可能性が出てきたのではないかと思っています。

 6重苦をおさらいしますと、経済制裁による外貨の枯渇、武漢ウイルスの蔓延、
大雨と台風、そして幹部と人民の不満と活発化する反体制派の活動、金正恩の健
康不安、中朝関係悪化ということです。

 実はですね、私は中朝関係は悪い、悪いと言ってきたのですけども、日本の中
で中朝関係は悪いということについて主張してるのは実は私一人だったのです。
そのことを証明する統計が出ました。

 これを見て頂きたいのですけれども、中朝貿易、去年の推移ですね、11月ま
で中国政府が発表した数値が出ています。1月2月は合計の数字しか出てないん
ですが、1月の下旬に北が国境封鎖したので、この数字はほぼ1月の数値ではな
いかと思います。

 だいたいコロナ以前は2億ドルぐらいひと月にあったのですね。但し、2億ド
ルと言っても国連制裁がかかっているので北朝鮮から中国への輸出は2,000万ド
ルぐらい。そして 北朝鮮が中国から輸入するものが2億ドルくらいだったので
す。

 ところがそれが3月4月と減っているのですが、5月6月にはやはり必要があ
りますから、特に中国からの輸入が増えていったのですね。8月はちょっと減っ
た。9月も減った。そして10月を見てください。なんと165万9千ドル、前
年比99.5%減です。

 特にですね 北朝鮮が中国から輸入してるものはたった25万ドルしかありま
せんでした。先ほど申し上げたように北朝鮮が中国から輸入するものは、生活必
需品、工業製品や食料品などで国連制裁の対象ではないのですね。北朝鮮が生産
できないものがありますから国連制裁かかっていた時も月に2億ドルくらい輸入
していたのです。それが10月は25万ドルしかなかった。

 そして11月はもっと減って貿易全体が127万ドル、前年同月比で99%減。
そして北朝鮮の中国から輸入は15万ドルを切った。これはかつてない史上最低
の数字です。

 お金を払えば中国から物を買えるわけです。制裁の対象ではないのにこれだけ
減ってるというのは、中国側が意図的に物を売らなくなった、あるいは私が聞い
てるのでは国境を中国側が閉じているということなのです。それがないとこれだ
けの急激な減り方はないのではないかと思います。

◆治安が悪化、都市を封鎖

 そして治安がどんどん悪化しています。最近私が聞いた情報によるとですね、
清津(チョンジン)市で安全部(一般警察)の人間が夜中に怪しい男の襲撃を受
けて重態になった。また順川(スンチョン)市でも安全員らが白昼に集団暴行を
受けた。あるいは黄海道でも安全部、保衛部(政治警察)の職員らが、命の脅威
を受ける大小の事件が頻発している、と。

 そして両江道恵山(ヘサン)というところでも、これはちょっと無秩序状態に
なっているのですが、大規模な金塊密輸事件が発生した。軍隊と保衛部が銃撃戦
になったのですが、みんな食えないものですから密輸をするのですね。その密輸
の分け前をめぐって、保衛部と軍あるいは軍と軍同士の銃撃戦が起きている。

 そして中央から検閲団が行ったのですが、その検閲団もテロを恐れるような状
況で、銃撃事件や軍や治安機関の脱北事件が20件以上起きている。11月に平
壌(ピョンヤン)、南浦(ナムポ)、平城(ピョンソン)、清津などが都市封鎖
されました。

 表向きはウイルス防疫のためだと言ってますけど、実態として内部統制ができ
なくて反乱事件の兆候が増えているためだという情報があります。

◆マスクなしで7千人の党大会

 実は1月5日から朝鮮労働党の第8回党大会が開かれたのですね。今日も開か
れています。ただこの大会も異例でして、通常であれば10日ぐらい前に、「い
つから開きます」という発表するのですが、その発表が無くてですね、1月6日
の朝、労働新聞や朝鮮中央通信が「昨日から開きました」と言ったのですね。

 5日から開かれていたのですが、5日に開かれたということについては北朝鮮
内の地方でもですね、知らなかったというのですね。それはコロナが大変蔓延し
ていて、最後までやるかやらないか迷ったという情報が一つあります。

 もう一つ金正恩が来るので、その動静を最後まで秘密にするために日程を明ら
かにしなかった。それだけ国内の反体制勢力を恐れているのだという情報もあり
ます。

 真実は分かりませんが、とにかく異例の形で日程の予告なしに始まった。1日
後に始まったという発表をしたということであります。

 ちょっとこれを見てもらいましょうか。参加者たちがバスから降りて来んです
けど、マスクしてますね。これは中に入ると皆マスクを取るのですね。金日成・
金正日の顔の前で皆お辞儀をするのですね。この時はマスクしてないのですけど
も一応どんどん入っていくんですね。

 ベンツに乗って金正恩が現れた。割と足元はしっかりしてますね。彼もお爺さ
んと親父の前でお辞儀をするのですね。よく見ると後ろに金与正(ヨジョン)、
妹がいてですね、それから横の方にいる女性が玄松月(ヒョン・ソンウォル)、
随行秘書みたいなことをやってる元歌手ですけども、それがちょっと見えます。
そして労働党の幹部達の迎えを受けています。

 それで、彼はまず開会の辞を述べます。まあこういうことが今起きているので
すけれども、6重苦の中で大会を開きましたが、7千人集めたのですね。各地方
の党代表は5千人、そしてオブザーバーが2千人と発表しています。

 密集の中マスクもしないで(大会を)しましたから、またここでコロナが蔓延
するかもしれないと言われていますけども、金正恩が三日連続で報告をして、4
日目に幹部たちがそれを支持する演説をしたとされているのです。

◆中国との関係を「発展」されられるのか

 報告の具体的内容についてやっと今朝からですね、一部報道されているのです
けれども、昨日報道されたものの中にこういう演説があったんですね。「現在の
形勢と変遷した時代の要求に即して対南問題を考察し、対外関係を全面的に拡大
発展させるためのわが党の総体的方向と政策的立場を宣明した。南については考
慮する。しかし対外関係は拡大発展させる」と言っている。

 先ほど言ったように中国との関係は悪いわけです。今日の報告の中で中国との
関係を悪くないと、こういうふうに今日発表された報告を見るとですね、(過去
には)中国との関係を発展させた後中朝首脳会談をやったとか書いています。

 けれども先程見たように貿易が10月から異常な状況になっているわけですね。
これが続くと本当に体制が持たないという状況です。金正恩は急いで北京に行っ
てですね、「貿易を再開してくれ」と言うべきなのにそれをしていない。

 本当に全国のチャンマダン(市場)でも物がなくなり、人民達が飢え、それだ
けではなくて先ほど言った政治警察、一般警察が殴られている。というのも政治
警察(一般警察)に対する配給がどんどん減って、市場に行って一般人民の商品
を「没収だ」と言って奪って食べている。恨みを買って殴られるということが全
国で起きているのですね。

 このまま体制が持つだろうかという風にみんな言ってるわけですけども、その
中で「対外関係を拡大発展させる」と言った。情報によりますと、アメリカのバ
イデン政権が発足するわけですけども、バイデンさんは金正恩のことを「ヤクザ
だ」とか、「テロ政権だ」という言い方をしました。

 金正恩氏が何回も手紙のやり取りをしたトランプさんを罵った人ですから、そ
の人と交渉するためには内部整理が必要ですし、バイデン政権側も人事を決めて
いくのに一定の時間がかかります。

 中国との環境が悪いという中で、対外関係を拡大発展させる相手がどこなのか
と先ほど言ったように、南は考慮すると言って別なのですね、そうすると日本が
彼らの頭の中で浮上してきている可能性がある。

◆日本の地位が金正恩の目から見て高くなってきている

 彼らも、「日本から大規模な経済支援を取るためには拉致問題を解決しなけれ
ばならないということは十分分かっている」という内部情報があります。しかし
金正恩氏は全拉致被害者を返すという決断をまだしていない。

 そういう中でアメリカを刺激するために、日本と先にやろうという意見が内部
で出ているということも聞きました。大変苦しい6重苦がいよいよ苦しくなって
きている中で、日本の地位が金正恩の目から見て高くなってきているというふう
に私は見ています。

 ですから菅総理が、「条件なしで金正恩委員長と向き合う」と言っている。そ
の提案に金正恩委員長が乗ればですね、こちらは条件なしと言ってるわけですか
ら菅総理が平壌に呼ばれることは起こりうる。東京オリンピックまでに起こりう
る、というふうに私は見ています。

 そこで今の段階で北朝鮮から聞こえてくる情報は、全拉致被害者を返すという
決断をしないで、菅総理と会って2002年に死んだと言った人たちについてもう一
度「死んだ」と言って、合同調査委員会を作って一緒に探してみましょうという
ようなごまかしの嘘の提案をするのではないかと言われています。

 いよいよ北朝鮮を追い込んで日本との交渉に引きずり出す、その直前まで来て
いる。そこまで北朝鮮が苦しくなっているという風に私は思います。

 それが6重苦ですが、しかし彼らは苦しくなると話し合いに応じるが、話し合
いに応じたら嘘をつくというのは彼らの行動パターンなので、いよいよ最後の正
念場が来ているというふうに思っています。

 菅総理が慌ててですね、「何人かでもいい」とかあるいは、嘘の報告をもう一
度受け入れてしまって合同調査員会に合意してしまったら、もう負けですね。

 しかし私は、実は年末に総理に呼ばれており、菅総理が総理になられてから2
度目の面会をしました。慌てて何かしようというような風な印象はありませんで
した。状況をよくご存知でした。しかしなんとか解決しなくちゃいけないという
強い熱意を感じました。

 ですから北朝鮮の指導者が全員返すという決断さえすれば日朝関係は大きく動
くところまで来ています。ただまだその決断をしたという兆候あるいは情報はな
い。

 そういう中で、北朝鮮にとって日本の地位が今高まっているというのは現状報
告であります。「日本との交渉を北が必要とする理由」と題してお送りいたしま
した。

 いよいよ新年。アンテナを高く貼って、被害者全員救出するために何ができる
のか、そして何をしてはいけないのかということを繰り返し皆さんと一緒に考え
ていきたいというふうに思っています。

 今日は以上といたします。ありがとうございました。

以上


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