米の北朝鮮政策をどう活用するか(2021/05/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2021.05.27)
以下は、救う会の西岡力会長が、産経新聞「正論」欄(5月26日)に執筆した
ものです。参考情報として発信します。
<参考情報>
■米の北朝鮮政策をどう活用するか
モラロジー道徳教育財団教授、麗澤大学客員教授 西岡力
4月30日、米国バイデン政権が新しい北朝鮮政策をまとめたと報道された。
同日にホワイトハウスのサキ報道官が、完全な朝鮮半島の非核化が目標、トラン
プ式のビッグディール、オバマ式の戦略的忍耐、この2つはしないとして、「綿
密で実質的な接近とともに外交的解決を模索する」と言った。
5月21日、米韓首脳会談でバイデン大統領は北との無条件のトップ会談はし
ないと明言した。
トランプ政権の北朝鮮政策は、トップダウン方式だった。北朝鮮のような独裁
国家ではトップが全てを決めるから首脳会談でビッグディール、一括解決を目指
した。同政権は首脳会談に持っていく前に強い軍事圧力をかけた。その圧力を背
景にした首脳会談だった。トランプ氏は「北朝鮮が核を全廃しても、制裁は解除
するがお金は出さない」と明確に言った。
≪拉致被害者救出につなげ≫
一方、日本の安倍晋三政権は拉致解決を条件にして国交正常化に伴う大規模経
済支援をくり返し提案していた。トランプ大統領のビッグディールには「拉致」
が組み込まれていた。
しかし残念ながらそれはうまくいかなかった。2019年2月のハノイでの2
回目の米朝首脳会談で非核化協議は決裂した。金正恩委員長は寧辺の核施設だけ
を廃棄するから制裁の8割以上をやめてくれと言った。これはあまりにも虫のい
い取引だった。それでトランプ大統領は、「寧辺以外にもウラン濃縮工場がある
でしょう。それを廃棄しなさい」と言って昼食の約束もキャンセルして帰国して
しまった。
バイデン政権の、ビッグディールではない事実上のスモールディールを重視す
る「綿密、実質的な接近」という政策を、拉致被害者救出にどう活用するか。
まず悪いシナリオを防ぐことだ。拉致が動かない中で、核で小さな取引が成立
して制裁が緩むこと、これが最悪だ。小さな取引の中にも必ず拉致を入れる。拉
致なしで取引をすることに反対し続けるのだ。米国は対中包囲網で、菅義偉政権
を必要としている。
≪「良いシナリオ」実現へ≫
それなら、菅政権が最優先課題としている拉致問題を棚上げすることはやめて
ほしいということを言い続けることだ。
そして、良いシナリオを実現するように努力する。バイデン政権はトップ会談
を重視しないが、菅首相は条件なしのトップ会談をしようとしているので米朝協
議が進まない中、先に日朝首脳会談が実現することもあり得る。
会談では当然、全拉致被害者の即時一括帰国の実現が焦点となる。その場合、
見返りが必要になってくる。
日本は国際制裁よりも強い制裁をしているから、独自制裁部分は拉致で使える。
被害者が全員帰って来る、つまり向こうが人道的行動をとるのであれば、こちら
も人道的行動、すなわち人道支援をすることはできる。また国交正常化後に大規
模な経済支援をすることを約束することもあり得る。その動きをバイデン政権に
認めさせることが必要だ。
だから今なすべきことは、バイデン政権への拉致問題の打ち込みだ。その点で、
4月に行われた日米首脳会談は成功した。
5月3日付の産経新聞のインタビューで菅首相がこう語った。
「バイデン政権は菅政権が何を望んでいるか、研究に研究を重ねている。北朝鮮
による拉致問題についても、少人数会合に同席したブリンケン国務長官、サリバ
ン大統領補佐官、キャンベル・インド太平洋調整官らが拉致問題解決を願うブルー
リボンバッジを上着につけていた。ブルーリボンは私を含む日本国民が一番喜ぶ
だろうと考えたのでしょう」
「拉致問題の解決に向け、私は(バイデン大統領に)条件なしで金氏と会う決意
だと改めて話しました。そうしたら、それは当然だという感じで、反射的に拉致
問題の即時解決を求める米国のコミットメントが示されました。実は最初の電話
会談でも(拉致問題は)向こうから言及してきましたよね」
≪バイデン政権も菅政権必要≫
菅政権が拉致問題を重視しているということがバイデン政権に伝わっている。
そしてバイデン政権は菅政権の協力が必要だから、国務長官、補佐官、調整官
など外交担当の幹部たちがブルーリボンバッジをつけて菅首相の前に出てきた。
問題はここからだ。北朝鮮がどう出てくるかが重要だ。北朝鮮は制裁によって
本当に苦しんでいる。統治資金が枯渇し幹部への配給が止まり、地方では餓死が
出始め治安機関員へのテロ事件が頻発、平壌では5月中旬、反体制ビラが大量に
まかれた。だから、バイデン政権か菅政権との交渉に出てくる可能性は高い。
バイデン政権に先に支援を求めて来た場合は、拉致問題の棚上げを防ぐ。菅政
権に先に求めてきた場合には、バイデン政権にも拉致を先に解決することを容認
させる。バイデン政権の北朝鮮政策見直しをそのように活用しなければならない。
(にしおか つとむ)
以上
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■菅首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 菅義偉殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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以下は、救う会の西岡力会長が、産経新聞「正論」欄(5月26日)に執筆した
ものです。参考情報として発信します。
<参考情報>
■米の北朝鮮政策をどう活用するか
モラロジー道徳教育財団教授、麗澤大学客員教授 西岡力
4月30日、米国バイデン政権が新しい北朝鮮政策をまとめたと報道された。
同日にホワイトハウスのサキ報道官が、完全な朝鮮半島の非核化が目標、トラン
プ式のビッグディール、オバマ式の戦略的忍耐、この2つはしないとして、「綿
密で実質的な接近とともに外交的解決を模索する」と言った。
5月21日、米韓首脳会談でバイデン大統領は北との無条件のトップ会談はし
ないと明言した。
トランプ政権の北朝鮮政策は、トップダウン方式だった。北朝鮮のような独裁
国家ではトップが全てを決めるから首脳会談でビッグディール、一括解決を目指
した。同政権は首脳会談に持っていく前に強い軍事圧力をかけた。その圧力を背
景にした首脳会談だった。トランプ氏は「北朝鮮が核を全廃しても、制裁は解除
するがお金は出さない」と明確に言った。
≪拉致被害者救出につなげ≫
一方、日本の安倍晋三政権は拉致解決を条件にして国交正常化に伴う大規模経
済支援をくり返し提案していた。トランプ大統領のビッグディールには「拉致」
が組み込まれていた。
しかし残念ながらそれはうまくいかなかった。2019年2月のハノイでの2
回目の米朝首脳会談で非核化協議は決裂した。金正恩委員長は寧辺の核施設だけ
を廃棄するから制裁の8割以上をやめてくれと言った。これはあまりにも虫のい
い取引だった。それでトランプ大統領は、「寧辺以外にもウラン濃縮工場がある
でしょう。それを廃棄しなさい」と言って昼食の約束もキャンセルして帰国して
しまった。
バイデン政権の、ビッグディールではない事実上のスモールディールを重視す
る「綿密、実質的な接近」という政策を、拉致被害者救出にどう活用するか。
まず悪いシナリオを防ぐことだ。拉致が動かない中で、核で小さな取引が成立
して制裁が緩むこと、これが最悪だ。小さな取引の中にも必ず拉致を入れる。拉
致なしで取引をすることに反対し続けるのだ。米国は対中包囲網で、菅義偉政権
を必要としている。
≪「良いシナリオ」実現へ≫
それなら、菅政権が最優先課題としている拉致問題を棚上げすることはやめて
ほしいということを言い続けることだ。
そして、良いシナリオを実現するように努力する。バイデン政権はトップ会談
を重視しないが、菅首相は条件なしのトップ会談をしようとしているので米朝協
議が進まない中、先に日朝首脳会談が実現することもあり得る。
会談では当然、全拉致被害者の即時一括帰国の実現が焦点となる。その場合、
見返りが必要になってくる。
日本は国際制裁よりも強い制裁をしているから、独自制裁部分は拉致で使える。
被害者が全員帰って来る、つまり向こうが人道的行動をとるのであれば、こちら
も人道的行動、すなわち人道支援をすることはできる。また国交正常化後に大規
模な経済支援をすることを約束することもあり得る。その動きをバイデン政権に
認めさせることが必要だ。
だから今なすべきことは、バイデン政権への拉致問題の打ち込みだ。その点で、
4月に行われた日米首脳会談は成功した。
5月3日付の産経新聞のインタビューで菅首相がこう語った。
「バイデン政権は菅政権が何を望んでいるか、研究に研究を重ねている。北朝鮮
による拉致問題についても、少人数会合に同席したブリンケン国務長官、サリバ
ン大統領補佐官、キャンベル・インド太平洋調整官らが拉致問題解決を願うブルー
リボンバッジを上着につけていた。ブルーリボンは私を含む日本国民が一番喜ぶ
だろうと考えたのでしょう」
「拉致問題の解決に向け、私は(バイデン大統領に)条件なしで金氏と会う決意
だと改めて話しました。そうしたら、それは当然だという感じで、反射的に拉致
問題の即時解決を求める米国のコミットメントが示されました。実は最初の電話
会談でも(拉致問題は)向こうから言及してきましたよね」
≪バイデン政権も菅政権必要≫
菅政権が拉致問題を重視しているということがバイデン政権に伝わっている。
そしてバイデン政権は菅政権の協力が必要だから、国務長官、補佐官、調整官
など外交担当の幹部たちがブルーリボンバッジをつけて菅首相の前に出てきた。
問題はここからだ。北朝鮮がどう出てくるかが重要だ。北朝鮮は制裁によって
本当に苦しんでいる。統治資金が枯渇し幹部への配給が止まり、地方では餓死が
出始め治安機関員へのテロ事件が頻発、平壌では5月中旬、反体制ビラが大量に
まかれた。だから、バイデン政権か菅政権との交渉に出てくる可能性は高い。
バイデン政権に先に支援を求めて来た場合は、拉致問題の棚上げを防ぐ。菅政
権に先に求めてきた場合には、バイデン政権にも拉致を先に解決することを容認
させる。バイデン政権の北朝鮮政策見直しをそのように活用しなければならない。
(にしおか つとむ)
以上
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