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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

平壌で大規模な反体制ビラ散布2?救う会テレビ(2021/05/31)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2021.05.31)

 みなさんごきげんよう。救う会テレビ、救う会全国協議会会長西岡力です。今
日で第34回になります。令和3年5月29日に収録しました。

 今日のタイトルは、「平壌で反体制ビラ散布2」と題してお送りいたします。

 動画は救う会のホームページに掲載しています。

■平壌で反体制ビラ散布2

 ちょっとした話題になっていまして、平壌で大規模な反体制ビラ散布があった
とお伝えし、色々な所から問い合わせももらいました。

 また韓国では今、この情報で関係者の間で本当なのかという確認作業が進んで
いまして、いくつかのメディアが報道しています。

 また私が「産経新聞」のコラムを先週書いたところ、ある国会議員の先生がビ
ラ散布はなかったということを、何かに書いていらっしゃると聞きました。私は
まだ見ていないんですけど、間接的に聞きました。

 そんなことがあって、またいくつかの新しい情報を入手しましたので、そのこ
とについてお伝えしたいと思います。

 まず、前回お伝えした情報を整理しておきます。5月19日に私が入手した情
報だったんですけども、「5月15日頃に平壌の寺洞区域で反体制ビラが大規模
にまかれた。三日間かけて安全省(一般警察)と保衛省(政治警察)が拾い集め
た。数万あるいは数十万枚あったと推定されています。これは大規模で今までな
かった規模です。この情報は枚数については誇張されていたかもしれない」。

「韓国の脱北者が飛ばしたビラではなかった。韓国のビラは防水加工されている
が、今回まかれたビラは普通のA4用紙だった。紙質が北朝鮮内部で使われてい
る者に比べてよいものだったので、外国(中国)から持ち込まれたと推定されて
いる」。

 平壌で大規模にビラをまくことができたのだから、個人ではなくかなりの人間
が加担している反体制組織の仕業とみられている。金正恩が激怒して全員捕まえ
ろと保衛省に命令し、保衛省は非常状態に入っている。ビラの内容は次の通りだっ
た。「我々の代で金氏家門の3代世襲を断ち切ろう。改革開放だけが生きる道だ」。


 同じ5月19日にの夜ですね、姜哲煥(カン・チョルファン)という人権活動家、
この人自身も政治犯収容所に入れられて、出てきて逃げてきて、最初に政治犯収
容所のことを告発した人から聞いたことです。

「平壌の大学生が高層マンションの屋上から夜通しでビラをまいた。まかれたビ
ラは大変な半径まで散らされ、平壌市のいろいろなところまで飛んでいった。ビ
ラの内容は過激だった」。

「いまや3代世襲、金正恩政権を終わらせなければならない。人民たちはだまさ
れている。世界は食糧問題を解決した。特にアジアでは唯一飢えで苦しんでいる
のは朝鮮だけだ。いつまで3代世襲金正恩政権にだまされるのか。いまこそ人民
が決起してこのひどい朝鮮の状況を終わらせなければならない」という内容だっ
たそうです。ここまで前回お伝えしました。

◆アメリカの「自由アジア放送」も報道

 調べてみますと、私は姜哲煥氏と同じ情報を入手していたのですが、その2日
前の5月17日に、「自由アジア放送」というアメリカの対北戦略放送で、「ボ
イス オブ アメリカ」と「自由アジア放送」の2つがあります。アメリカ政府
が予算を付けてやっていますので政府系の団体と言えると思います。そこがです
ね、ソウル発で、「北当局、平壌で出所不明のビラ発見され当惑」という記事を
書いています。前回の救う会テレビをやった時点ではこの記事を知らなかったの
ですが、後で気づきました。この記事は日本語版がないので日本ではほとんど知
られていません。

 この記事の要点を紹介します。


「複数の消息通、住民の情報だとしてですね、5月10日、寺洞区域で大規模な反
体制ビラ散布があった」。私も寺洞区域ということでこれは一致します。「協同
農場の畑や一部住民住宅の屋根などが真っ白になるほど大量にまかれた」。ここ
でも、真っ白、大量と言っています。

「安全省や近隣の軍人が動員され3日かけて拾った」。3日というのも一致しま
す。

「朝鮮の粗悪な紙に印刷されていた」。私は朝鮮の紙ではなかったということで、
ここは違う。「韓国から風船で送られる防水加工されたビラではなかった」は一
致しています。

 中身は、「金正恩時代は終わった」、「金正恩のために働かず自分自身のため
に働け」、「我々は開放してこそ豊かになれる」、「金与正は悪種だ」と。印刷
されていたということで、「全国の印刷施設を取り調べている」。

「散発的な反体制落書き事件は何回かあったがこのような大規模ビラ散布は異例
的」と保衛省はみている、と「自由アジア放送」は言っています。
またですね、

「5月、黄海北道の海岸地域でも反体制ビラがまかれた。」、「4月、黄海北道沙
里院市」、これは海岸地域ではないですが、「とその隣接地域でもビラがまかれ
た。高級な紙に印刷され防水されていた」。この4月のビラはもしかしたら韓国
からのビラかもしれない。

 こういうことがあり、その後康明道(カン・ミョンド)さんという人権活動家
でユーチューバーが、「自由アジア放送」の記事を受けて、5月23日に放送し
ました。「17日の記事を読んで、自分の情報源に確認した」。彼によると、
「確かにビラ散布はあった」、「但し記事が書いたほどの大規模な量のビラ散布
ではなかった。数千枚だった」

「印刷されていた。場所は寺洞区域だ」、と。私は前回のテレビで、その「寺洞
区域の住宅建設現場に金正恩が起工式に来たことを紹介しましたが、康明道さん
も、「その通りだ。建設現場でまかれた」、「建設中のアパートの屋上からまい
た」と。

 建設に動員されているのは、「各道から選抜された建設旅団が工事にあたって
いる、食料も各地から持参。劣悪な環境で不満高い」。だから地方から送られて
きた建設労働者が、地方でビラを印刷して持ち込んでまいたと見られている」と
彼は言っています。

 中身は、「我々は奴隷ではない」、「金正恩が国を壊している」、「金与正は
悪魔だ」、「労働党は母なる党ではない」、「建設現場にいた咸鏡北道、咸鏡南
道、両江道の何人かの幹部が姿を消した」。「秘密に取り調べを受けていると推
測される」と報道しました。

◆建設途中のマンションの屋上から手書きビラを300枚まいた

 それで私も色々な情報源に当たってみたのですが、5月27日になって、情報
1の情報源とは別の情報源から次の情報を入手しました。その人は平壌に複数の
情報源を持っている人です。やはり康明道さんと同じように、このような報道が
あったので、「自分の平壌市内の複数の情報源に確認してみた」そうです。その
結果、「だれもビラそのものを見た者はいなかった。しかし平壌市内でビラ事件
の噂が急拡散していることが分かった。私の情報源は治安関係者から聞いた次の
話が一番信ぴょう性があると判断した。それを紹介します。

「日時は5月初め」、自由アジア放送は5月17日に10日と書いた、「深夜だ」、
やはり「場所は寺洞区域の住宅建設現場」。「まいた場所は建設途中の12階建
てのマンションの屋上」と具体的です。そして複数のマンションではなく、「1
か所からまいた」。それは落ちていた場所から推測した、と。

「まかれたビラは300枚」と特定しています。治安機関から聞いているから具
体的なんだと思います。屋上の中心から300枚まかれたということではないか。
その治安機関は、「組織ではなく個人の犯行かと見ている」、「反体制団体の仕
業とは見ていない」。その理由は、「ビラは北朝鮮のA4用紙で防水加工されて
いない。韓国から飛ばされた風船ビラではない」。私の、きれいな紙というのは
ちょっと間違っていたようです。

 そして今まで印刷されていたという情報が多かったのですが、この情報では、
「手書きだった」。手紙だと犯人を追跡するため筆跡を改めますが、その結果は
「一人の筆跡だった」と。一人の筆跡だったから、逆に団体の仕業ではないので
はないかということです。

 内容についてはその人は具体的には言わなかったのですが、その人はこういう
言い方をしました。「5つの主題がった。2つは金正恩への悪口、2つは与正へ
の悪口、1つは体制批判で、「世界で一番貧しい朝鮮」と書いていたそうです。
まあ内容については大体一致してるわけですね。

 金正恩と金与正(キム・ヨジョン)について批判していて、あと体制批判をし
ている。

 これらの情報を総合するとですね、5月の10日ぐらいに平壌の寺洞区域で、金
正恩が肝いりで始めた住宅建設現場で、体制批判ビラが数百枚も開かれたという
事件があったことは間違いないと思います。

 一枚、二枚を手書きで書くことはよくあるのですが、手書きで300枚書くこ
とは大変です。これは執念ですね。筆跡を探すわけですから、もう逃げているか
もしれないですね。本当に、今の体制ではダメだとい言う強い意志を持ったイン
テリの人がいるということです。

◆幹部も家族分の食料配給なし

 前回のちょっと話ましたが、今経済制裁が大変効いていて、体制が揺らいでい
る訳ですが、1995年以降に300万人が餓死した苦難の行軍時代と今を比べ
るとですね、庶民はそれでもこの間ずっと配給なしで食べてきたのですが、一番
苦しいのは配給が亡くなった幹部たちで、その幹部たちが中国式の改革開放が来
れば食えるのではないかと思っている事です。
最近の平壌の配給事情について内部の人から聞きました。

 2020年4月から12月までに平壌市の大部分の地域で主食配給止まりまし
た。これは今も続いているのですが、平壌には19区域と4郡があります。その
うち中心部の6区域、中区域、普通江(ポトンガン)区域、牡丹峰(モランボン)
区域、船橋(ソンギョ)区域、大同江(テドンガン)区域、万景台(マンギョン
デ)区域だけで、去年4月以降も主食配給が続いています。

 それ以外の13区域、4郡では4月から6月まで配給が止まり、7月に半月か
ら一かか月分が出て、8月からまた止まっている。

 2021年に入り中心部6区域でも一般住民の主食配給が止まりました。働い
ている機関単位で(その人の分だけの)主食配給が出る。出る機関は、中央党、
人民軍、保衛省、安全省、政府機関の中の力の強い省です。人民軍の一般兵士で
はなく、将軍たちです。6区域の中でも、勤めている人だけ出ます。本人分だけ
出るのか、家族分も出るのか確認したのですが、本人分だけです。ここに住める
のは主要機関の幹部しかいないのですが、それでも家族会の分がなくなるわけで
すから、結果として全体の3分の1くらいしか出ていない。

 それから、2021年3月から、それらの幹部にだけ与えられていた主食以外
の物資支給(「供給」と呼ぶ)が止まった。配給は主食で、供給はそれ以外の物
資です。しかしこの3月から中央党課長までで止まっている。食用油、小麦粉、
魚、肉、醤油等食料や靴、石けん、医療品なども全て止まっています。

 平壌に物資がないんですね。中朝貿易が停止している影響です。外交官も逃げ
出していますね。外交官は米よりもパンを食べたいわけです。でもパンは売って
いないから小麦粉で自分で焼くのですが、その小麦粉がない。キロ当たり9,000
ウォンだったのが、今25,000ウォンくらい。3倍近く上がっている。それほど物
がないからです。それでロシア大使館の外交官が逃げました。幹部らの生活難が
深刻化してるということです。

 金正恩が、「苦難の行軍は幹部から」ということを言ったという話をしました
けど、幹部はインテリで、改革開放をすれば食えるわけです。しかし、配給も来
なくなっている。思想で、自力更生で乗り切れと言っていますが、どうするんだ
というのが不満の原因で、思い込んだ人が命がけで、誰も家族も見ないところで
300枚のビラを手書きで書いて、まいたという事件が起きたことのようであり
ます。

◆制裁は効いている、金正恩体制は追い込まれている

 もちろんその現場を自由に取材ができてですね、あるいは治安機関が記者会見
して公表するわけでありませんから、情報が伝達される過程で様々な歪みが出て
きたりするので、今の段階で私が一番信憑性があると思うのがこれだということ
ですけども、これだけ複数の情報が出てきていますから、反体制ビラ事件があっ
たことは間違いない。

 配給の情報については確証がありませんから。一人家の配給がそなったという
ことじゃないですから、これも大枠において間違ってない。制裁は効いています。
そして金正恩体制は本当に追い込まれています。
この状況を被害者救出にどう活用するのか。問われているのはこの1点だと思います。

 今日は救う会テレビ第34回、「平壌で反体制ビラ散布2」と題してお送りし
ました。ありがとうございました。

以上





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