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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北外務省研究員の菅首相罵倒論評をどう読むか(2021/09/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2021.09.27)

 みなさんごきげんよう。救う会テレビ、救う会全国協議会会長西岡力です。今
日で第47回になります。令和3年9月25日に収録しました。

 今日のタイトルは、「北外務省研究員の菅首相罵倒論評をどう読むか」と題し
てお送りいたします。

 動画は救う会のホームページに掲載しています。

■北外務省研究員の菅首相罵倒論評をどう読むか

◆北朝鮮の外務省の研究員が、退任表明した菅総理を初めて罵倒

 9月23日にですね、北朝鮮の外務省のサイトがあるのですが、その中で外務
省の「公式談話」ではなくて、「ニュース」という所で出た論評があるんですけ
ども、「対北朝鮮敵対政策で得るものは悲惨な惨敗だけだ」という論評で、外務
省の日本研究所の研究員の李炳徳(リ・ビョンドク)という人が出したものです。

「朝鮮中央通信」や「労働新聞」のような公式媒体に出たものではなく、また外
務省の公式の談話でもなく、外務省の傘下の研究所の一研究員の論評で、レベル
がちょっと低いものです。

激しく菅総理を誹謗、罵倒しているんですね。これについて一部ニュースでも報
道されました。拉致問題が言及されています。この全文は私が翻訳したのですが、
これを皆さんと一緒に読んで、この背景に何があるのかを考えていきたいと思い
ます。

「惨敗だけだ」って書いてあって、一番後にも「惨敗」と書いてあるんですが、
何が惨敗なのか、何が言いたいのか、このタイトルの「惨敗」というところを頭
に置いておいてほしいと思います。

菅菅首相が惨敗したという意味なのか。どうも私は違うんじゃないかと思うんで
すけども、それを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

「9月5日、日本の首相菅が」と呼び捨てです。「自民党総裁選挙には出馬しな
い意向を公式に表明した。日本の安倍内閣で8年近くの間内閣官房長官を務め、
この1年間首相の職に就いた菅は、安倍と共謀して朝日関係を最悪の状態に追い
込んだ張本人の一人だ」。

ここですね、実はこの1年間菅政権になって、菅首相のことをここまで名指しで
罵倒したことは私の記憶ではなかったです。文在寅大統領に対しては激しい罵倒
があったし、バイデン大統領に対しても少しあったように記憶していますが、
ここで「出馬しない」と言った時に、「張本人だ」と言ったんですね。

◆菅総理は拉致問題で任期中にしたことは一切触れず

「少し前、菅は国交関係のない朝日両国の間で、民間レベルでの人的往来と人道
主義的な交流を使命として行き来していた『万景峰92』号の日本入港を全面禁
止させることに一役買っていたことについてと、NHK放送に圧力をかけ、拉致問
題に関する国際放送を開始するに命じたことを功績としてあげた」と言っていま
す。

 これはですね菅首相が、総裁選挙に出ないと表明した後、緊急事態の延長を兼
ねて退任の記者会見をされた時にですね、「拉致問題について最優先でやってき
たけれども、結果として解決できなかったことをどう思うか」という質問につい
て答えた内容なんですね。

 よく見てるなと思いますけれども、私はその会話を見ていた時にですね、「菅
首相はよく考えて答えておられるなと思ったんですね。万景峰号の入港を禁止す
る法案、これは議員立法で作られたわけですけども、それに菅さんが議員立法の
提案者になったことを話され、またNHK国際放送で拉致問題に関するニュースを
より多く報じるようにという命令放送ということを、第一次安倍政権の時、総務
大臣としてなさったのですね。ここでは、「NHK放送に圧力をかけ拉致問題に関
する国際放送開始するように」と言っていますが、これは間違いで、既に国際放
送があって、ニュースで拉致問題をやっていたんですが、その量を増やせと言っ
たということです。

◆北朝鮮も在任中のことは一切触れず

 菅総理は自分が総理としての任期の間にやったことについて一切触れないで、
過去に北朝鮮に圧力をかける、圧力を背景にした話し合いという戦略の下で圧力
をかけることを、自分が議員時代にやってきた。あるいは総務大臣としてやった
んだということを総理としての退任の記者会見で話されたのです。

 様々なことをやって下さったんですが、特に北朝鮮との間でなんらかのコミュ
ニケーションがあったのではないかと私は推測しています。そちらの方向の情報
もあります。そういうことは一切言わない。普通だったらですね、「残念だった
けどもうまくいきそうになっていたんだ」とか言いたいところですが、「やはり
仕事人だから口は堅いな」という風に思いました。

 そして北朝鮮も在任中のことについては一切触れないで、過去の圧力のことに
ついて菅総理を批判したんですね。

 そしてその後、「過去朝鮮人民に計り知れない不幸と苦痛を強要し、膨大な人
的、物的、精神的被害を与えた日帝の罪行に対して、日本政府が何百回謝罪し、
賠償しても心が晴れないのに、反対に対朝鮮制裁と圧力に狂奔したことを誇りに
することこそ、既に犯した罪悪の上に新たな罪悪を積み上げる犯罪としか評価で
きない」。

 ここでですね、「謝罪と賠償」という言葉を使っていますね。繰り返しそんな
ことを言っています。最近はですね、「朝鮮中央通信」を見ると、「朝鮮王朝時
代は朝鮮で温泉を楽しんでいたのに、日本が朝鮮人が温泉を楽しむ風習をを失く
した。それも賠償の対象だ」と言っています。なぜ温泉の話が出てくるんでしょ
うか。

 とにかく、「日本がひどいことをした。償いをさせる」と言っているんです。
そこにもあるメッセージが込められていると私は思っています。

◆「対朝鮮制裁封鎖策動」を批判し、制裁が効いていることを認めている

 次に、「振り返ってみると、菅と前任者である安倍は(ここでも呼び捨てです
が)、我々の誠意と努力によってすでにすべて解決された拉致問題を、どうにか
して復活させ彼らの政治的目的の実現に悪用するために嘘と欺瞞で民心を懐柔す
ることに没頭してきたが、結局首相の座から退かなければならなかった」。ここ
で拉致問題が出てきます。

「解決済み」だという北朝鮮の公式の立場を言っているわけですけども、それは
外務省の一研究員が、新しいことは言えないだろうということに過ぎないと思っ
ています。

「我が共和国を政治、経済的に孤立させるために、終始一貫して最も卑劣で野蛮
な対朝鮮制裁封鎖策動にしがみついてきた菅と安倍は、永遠に我が人民の呪いと
糾弾を受けて当然だ」という風に言っていますが、制裁が効いているということ
を認めてるわけですね。

「制裁は効いてない」とちょっと前まで言っていたのですが、去年ぐらいから金
正恩氏が、「制裁が効いている」ということを事実上認める発言をしています。
ここまでが菅さんのことを書いています。

◆論点は総裁選候補者へのメッセージ

 次にですね、「今、次期自民党総裁選挙に立候補した政治家たちが、前任者の
対朝鮮敵対政策をそのまま踏襲しようとする意思を公然と明らかにしている」と
言っています。ですから、この論評は実は、後の方に今立候補してる4人に対す
るメッセージが含まれてるわけですね。「前任者の対北朝鮮敵対政策を踏襲する
な」。これが言いたいことですね。

「再び強調するが、そのうち誰が権力の座に就こうと、日本が侵略の歴史を美化
粉飾して軍事大国化に突き進み、対朝鮮敵対政策にしがみつくなら、得るものは
悲惨な惨敗しかないだろう」。

 このタイトル、「対朝鮮敵対政策で得るものは悲惨な惨敗だけだ」ということ
を4人に対して言っているのです。すなわち「制裁そして国際連携を止めろ」と
いうメッセージが送られたということですね。

◆トップ会談の可能性については何も言わない

 だからこそ今の圧力をかけて、そして無条件で首脳会談をすると。それに対し
て、アメリカをはじめとする国際社会の支援を得る時間稼ぎに過ぎない「合同調
査委員会」や「連絡事務所」設置などに乗らないという菅政権が取ってきた方針
をぜひ踏襲してほしいという風に思います。

 まあ低いレベルでのジャブのようなことに対する牽制でも、制裁は効いている
と言っています。そして過去の補償がほしいと言っています。ただ、「拉致は解
決済みだ」という風に言っていますけれども、ここでも菅総理が無条件で会いた
いと言っていた部分については非難していないんです。

 トップ会談の可能性については、北朝鮮もまだふさいでいない。「やらない」
という意思表示をしていないんですね。菅総理に対する批判も、総理の時代にあっ
たことじゃなくて、議員時代と総務大臣時代にやったことを持ち出してきてます
が、菅総理がそういうことを言ったからということもあります。

 でも向こうが読んだら、「条件なしに会いたいと菅は言ったけど、制裁の張本
人と会うわけないじゃないか」とか言ってもいいわけです。それが入っていない。

 制裁が大変効いていて、そして天災もあり、コロナの蔓延もあって、そして中
朝関係が悪くてですねまだ中国との国境が開かれないで、すさまじい物資不足が
起きている。金正恩氏の健康もあり、もう地方では治安機関が機能していなくて、
小規模な武装蜂起のようなことが起きている。また夜になると軍人が強盗化して
いる。安全員、警察官が殺されるという事件も頻発しているという状況です。

 その中で最高首脳部は、今は金正恩氏の健康の問題があって、なかなか対外関
係に目を向けられないようですが、日本との関係、特に日本からまとまった資金
を得るということについて、真剣な検討がされているのは間違いないし、そうい
うことが実は裏から読み取れる菅首相罵倒論評だったという風に思っています。

◆次期政権に望むこと

だからこそ次期政権には、

1.現状の最高度の圧力(国際制裁と独自制裁)を維持すること、

2.日朝首脳会談で全被害者の即時一括帰国を求めること、

3.米国には「日本にとって拉致が最重要だ」という働きかけを続けること、

4.合同調査委員会や連絡事務所など時間稼ぎにのらないこと、

 これを求めたいと思っています。

 救う会テレビ第47回、令和3年9月25日収録、「北外務省研究員の菅首相
罵倒論評をどう読むか」と題してお送りしました。ありがとうございました。

 以上

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■菅首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
[PC]https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
[携帯]http://form1.kmail.kantei.go.jp/cgi-bin/k/iken/im/goiken.cgi

葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 菅義偉殿

■救う会全国協議会ニュース

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