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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

家族会・救う会の今後の運動方針と情勢報告3(2022/03/29)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2022.03.29)

■家族会・救う会の今後の運動方針と情勢報告3

◆金正恩は寧辺以外の核施設を隠そうとした

 あのハノイの会談で金正恩氏が核問題でもう一歩進んだ回答をしていれば、多
分すぐに安倍総理が平壌に呼ばれた可能性が高いと私は見ています。あの時アメ
リカは、「未来の核をまず止めろ」と言ったのです。「今ある核を全部廃棄しな
さい」と言ったのではないのです。核を作っている濃縮ウラニウム工場とプルト
ニウムを作っている原子炉の施設を廃棄しなさいと言ったのです。

 それをやれば、次に今持っている核廃棄の話をする、と。「これ以上増やすな」
ということを言ったのに、金正恩氏は寧辺にある原子炉で使用済みの燃料棒を引
き出して再処理するとプルトニウムが出てくるのです。寧辺には5千キロワット
の原子炉があり、再処理工場もあります。

 一方、寧辺の地上には濃縮ウラニウム工場があります。わざわざアメリカの学
者に一度見せています。しかし濃縮ウラニウム工場では原子炉は必要ないのです。
原子炉工場と一緒に作る必要はないのに、同じ場所に作っているのです。これは
ダミーではないかというのが専門家の見方です。

 濃縮ウラニウム工場は人工衛星で分からないように地下に作るのです。原子炉
はいりませんから。遠心分離機を回してウランを濃縮して爆発する程度まで濃縮
させるわけです。電気さえあればいいのです。いつでも爆撃できる地上に作るこ
とは普通ないのです。

 だけど金正恩委員長はハノイで、「寧辺の核施設を全部廃棄します。これが私
の譲歩です」と言ったから、トランプ大統領は、「私たちはあなたたちの動きに
ついて1日レベルで分かっています。あなたはまだ準備ができていませんね」と
言って二日目の午前中のセッションでその話になって、ランチの約束があったの
に帰っちゃった。

 北朝鮮には、濃縮ウラニウムを作っている場所がいくつかあります。アメリカ
の情報機関は、意図的にアメリカの新聞等にリークしています。その確実な証拠
がトランプ大統領のポケットにあったから、「寧辺しか廃棄しない」と金正恩が
言ったので、「準備ができていませんね」と言った。

 もし、濃縮ウラニウム工場でアメリカがつかんでいるところまで金正恩委員長
がオープンにして、「これもやめます」と言ったら、「それなら支援を話をして
もいい」ということになった可能性が高いと思います。

 しかし、金正恩委員長に、「安倍は拉致が解決すれば支援する準備がある」と
いうメッセージが直接伝わった。そして肯定的な反応があったことを確認した上
で、その年の5月から安倍総理は、「条件なしに首脳会談をする」と言い始める
のです。それまでは条件なしということは言ってないのです。「拉致問題が議題
にならなければ会っても意味はない」というような方向の話をしていた。

 ハノイの会談は惜しい所までいったのですが、トランプ大統領が再選できなかっ
た。安倍総理も病気で退任された。一緒に解決する枠組みはもうできないかもし
れない。

◆菅総理の時、米国務省の対問題への姿勢が変わった

 だから菅政権にお願いしたのは、バイデン政権に拉致問題の深刻さと日本人に
とっての重要さをとにかくインプットしてほしい。拉致を置いていかないでほし
い、ということだったのです。

 菅総理は本当に拉致問題については一生懸命でしたから、在任1年間の間に私
は4回も呼ばれて、1対1で、主として私の話をお聞きになるんですが、色々な
人の話を聞いて、とにかく何とかしたいという意思が強かったですね。

 余談になりますが、飯塚さんのお別れ会にも菅総理はお忙しいのに来てくださっ
て、挨拶してくださいました。総理は言葉が詰まったのです。涙ぐんでおられた。
言ってらっしゃることは、「本当に申し訳なかった。私も全力を尽くしたんだ。
今後も頑張ります」ということだけです。安倍さんほどいっぱい話されるのでは
ないのですが、言葉が詰まって、本当に思い出があったんだなと思いました。

 菅総理は去年の4月にワシントンを訪問した時、アメリカのブリンケン国務長
官、サリバン安保補佐官、そしてもう一人のアジア・太平洋調整官の三人がブルー
リボンバッジを着けて首脳会談に出てきたんです。1対1の会談の後、少人数の
会談がありました。

 その後、お帰りになった菅総理が5月初めに産経新聞のインタビューでその時
のことを自分で触れられて、「バイデン政権は菅政権をよく研究している」とおっ
しゃいました。つまり菅政権は拉致問題が最優先で本当に解決したいと思ってい
る。だから(米国側は)首脳会談でバッジを着けていったら菅さんが喜ぶだろう
ということで向こうは着けてきたのだろう、と。

 自分たちが本当に一生懸命やっているというメッセージをむこうも研究してい
ると菅総理が言ったのです。バイデン政権は同盟を重視するわけです。そして台
湾海峡の緊張が高まっている中で、日米首脳会談で台湾海峡の安全ということを
日本に言わせたかったのですね。それは入りました。総理も、「そこを言え」と
言って、軍備も増強することが入りました。

 アメリカはアメリカで日本にやってもらいたいことがある。その時に、菅が一
番喜ぶのは何かと調べた。そしたら拉致だ、と。じゃあバッジを着けていこうと
いうことになったわけです。

 いつもここでアメリカについて解説してくれる島田先生(救う会副会長)によ
ると、「国務省は拉致を邪魔にしていた。核が先だ。核までなぜ我々にさせるの
かという姿勢が強かった」のですが、その国務長官がバッジを着けてきた。

 それは首脳会談のひと月前に、ブリンケン国務長官が2+2で東京に来ていた
時、これは拓也さんのヒットなのですが、「会えないか」ということを拉致問題
対策本部を通じて外務省にお願いしたら、外務省が一生懸命動いてくださったの
です。

 しかし、短い日程で会えないけれど、当時のヤンク駐日大使が前日に時間をとっ
てくださって、そこで拓也さんが大使に、「国務長官と国防長官がこのバッジを
着けてもらいませんか」と言って渡したのです。そうしたら、次の日から国務長
官と国防長官が日本にいる間ずっとバッジを着けてくださった。

 でもそれは日本だけじゃないか。普通日本にいる時だけ日本人の関心があるこ
とをするんだと思っていたのですが、そのバッジを国務長官が持っていて、菅さ
んがワシントンに行った時着けてくれたのです。そして安保補佐官などにも渡し
てこれを着けろとなった。

 そして先ほど言ったエマニュエル大使は、赴任してきて総理大臣と外務大臣に
表敬するわけですが、その時バッジを着けてきたわけです。そしてエマニュエル
大使は、「家族会に会いたい」と向こうから話があった。

 できれば家族会みんなから話を聞きたいという意向もおありになったので、地
方の家族が出てくるタイミングを探していて、家族会・救う会の合同会議の次に
日だったらということで、先週の月曜日にお会いしたわけです。

◆北朝鮮が米朝会談より日朝会談を先にすることを検討

 北朝鮮がアメリカとの交渉を先に選択した場合に、拉致を絶対に置いて行かれ
ないようにするというのが1つです。一方、今またミサイルが発射されたので流
動的ではありますが、私が聞いているところでは、日本を先にするということの
検討が内部で進んでいるということです。

 そうなった場合、もちろん小泉訪朝の時に約束した国交正常化の後の大規模な
経済支援、ODA(政府開発援助)があります。韓国では1965年に3億ドルの
無償支援をしました。さらに低利で2億ドル貸しました。それを物価換算すれば
100億ドルくらいなると言われています。

 そして小泉訪朝の時、裏で100億ドル約束したと言っている韓国に亡命し、
当時平壌にいた幹部たちが複数いますが、その約束は国交正常化した後のことで
す。

 核問題が動かず、国連で制裁がかかっている中では、なかなか支援はできませ
んが、向こうが拉致問題を議題とする対日交渉を先に選んだ場合は、国連制裁に
ならない部分は日本は動けます。

 人道支援は国連の制裁の対象ではない。また日本の制裁は輸出入を全部禁止し、
船の入港も全部禁止していますが、国連の制裁では北朝鮮に輸出してはいけない
リストがあります。そのリストにないものは輸出してもいいんです。食糧品や医
薬品は輸出できます。しかし、日本は全部禁止していますので今できません。

 しかし、国連制裁と日本の制裁の間の部分を輸出しても国連制裁には違反しな
い。安倍元総理の口癖の一つは、「制裁というのはかける時と、降ろす時の2回
使える」ですが、制裁をかけておくと降ろす時にも交渉材料になります。それが
ないと、支援をするということで交渉しなければならない。

 いつ降ろすタイミングがあるか。国連制裁と日本の制裁の間の部分は拉致だけ
で使えます。しかしそれを使う場合、医薬品とかワクチンとか大規模な食糧支援
を、アメリカまで届くミサイル発射があったような時に、北朝鮮が日本を交渉相
手に選んだ場合に、人道支援を日本がすると、アメリカが「それは裏切りじゃな
いか」と言うかもしれない。

 しかし、これは命のかかっている問題です。アメリカも、北朝鮮が拉致した青
年を取り戻すとかジャーナリストを取り戻す交渉をしたではないですかと言える
ためにも、拉致問題がどれくらい深刻な人権侵害であり、日本国民がどれだけ関
心を持っているかということを、バイデン政権に伝えておかなければならない。

 そしてバイデン政権は、拉致問題の重要さをバッジで表してくださっているの
で、日米関係についてより一層努力をするのが前提ではありますが、日本がそれ
だけ一生懸命になっているなら、国連制裁違反は困るけど、そうでない部分につ
いて日本が動いて拉致を動かすのはサポートしてもいいじゃないか、少なくとも
反対しないという事前の取り付けをしておかないと、動けない。

 北朝鮮は後半に、文在寅政権に冷たくなりましたよね。文在寅大統領は201
8年9月に平壌に行き、大観衆の前で演説までさせてもらった。その時、韓国の
財閥のトップを引き連れて行ったわけです。帰ってきたら、駐韓アメリカ大使館
の財務省のアタッシェから、各財閥に直接電話が行きました。「あなたたちは今、
アメリカが直接制裁をかけているのを知っていますよね」と。

 そしてニューヨークにある韓国の銀行に、アメリカ政府の財務省が直接連絡を
して、「あなたたちが今営業できているのはアメリカの法律を守るという制約を
したからですよね。アメリカは今法に基づいて制裁をかけています」という話が
あった。これは韓国の新聞に出ています。

 文在寅大統領は大規模な支援を約束したのですが、それをしたらアメリカがセ
カンダリー・サンクション(二次的制裁)で、韓国の銀行のドル取引を停止する
と。今ロシアの銀行がそうなっています。そういう脅しをかけたわけです。

 北朝鮮は、「民族をとるのかアメリカをとるのか。文在寅は考えるべきだ」と
言いましたが、いくら言ってもサムソンがドル取引停止になったらやっていけな
い。もちろん国連制裁違反になる部分を韓国がやろうとしたからそうなったので
すが、支援はできなくなった。

 だからこそ、アメリカと事前にどこまでの枠の中なら日本が動いていいのか。
日本が動ける幅をなるべくたくさん貰うためにも、拉致問題が日本にとって最重
要課題で、それはひどい人権侵害なんだという理解を得ておいて岸田総理に平壌
に行ってもらわなければならない。

 米朝交渉が先に進んだ時は、拉致が議題からはずれないように。しかし、日朝
が先に進もうとした時には、まず拉致問題の交渉をして、拉致問題で北朝鮮が譲
歩すれば一定の支援を日本がすることを許容してもらえる枠組みを作っておく。
これが「2.米国政府をはじめとする国際社会に、拉致問題の深刻さと日本にとっ
ての拉致解決の重要さへの理解をえる」ということです。

 それがバイデン政権になっても、菅総理のご努力とその後の岸田総理も、最重
要課題だと言って、エマニュエル大使がバッジを着けてくれたということで、で
きつつあるわけです。エマニュエル大使になってから、救う会にバッジを100
個注文が入りました。もう大使館にいる人たちがみんな着けられます。

 それだけ、日本人にとってこの問題は重要なんだと。日米関係を考えたら、ア
メリカはこれを重視するのがいいことだという判断が国務省と今の大使館にある
ということです。でもそれは日本人がこれを大切にしているということです。

 そして北朝鮮を交渉の場に引き出すためには、後で話しますが、今北朝鮮内部
が苦しい状況ですから、苦しい状況にしている制裁の枠が解決する前に緩むこと
がないようにすることが必要です。それが、「3.拉致問題が解決しない間、国
際制裁が緩まないようにする」です。

(4につづく)


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