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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

最近の米朝関係と拉致問題?東京連続集会1(2022/04/25)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2022.04.25)

■最近の米朝関係と拉致問題

 令和4年4月22日に、第118回東京連続集会を、東京・文京区民センター
で開催しました。今回のテーマは、「最近の米朝関係と拉致問題」で、古森義久
・麗澤大学特別教授・産経新聞ワシントン駐在編集特別委員に拉致問題の観点か
らお話を聞きました。

 北朝鮮が米大陸に届くミサイル試射を行った。米バイデン政権はどう出るかが
大きな変数になりました。ロシアはウクライナ侵略開始前に「戦争を1週間で終
える」と北朝鮮に通報、それが実現しなかったので金正恩は旧ソ連製兵器で武装
している北朝鮮人民軍も弱いのではないかと不安に脅えているそうです。北朝鮮
の最新情勢を西岡会長が報告しました。また、横田拓也家族会代表も参加しまし
た。概要以下の通り。

◆古森夫妻に在米活動を支援していただいた

西岡力(救う会会長)

 みなさん、こんばんは。みなさんご承知の通り、古森さんと拉致問題でのお付
き合いは長くて、我々が最初に訪米したのは2001年でした。まだ金正日が拉
致を認める前でしたからあまり政府のサポートもなく、お金もなく、家族会の親
の世代の人たちと行きました。その中で亡くなられた方もいます。

 まだ取材する記者もいなかった時代ですが、取材ではなくサポートをしていた
だいた時からの関係です。また奥様のスーザン古森さんは在ワシントン救う会ア
ドバイザーをずっとやっていただきました。ワシントンに我々が行った時ホテル
がなくてご自宅に泊めていただいたこともあります。これまでずっとサポートし
てくださっています。

 思い出深いのは、横田早紀江さんがブッシュ大統領に会った時です。その前に
議会の公聴会で訴えました。3分でまとめなければならないということで、原稿
を書いて練習して、スーザンさんに通訳してもらったことがあります。その後、
ブッシュ大統領に会ったのですが、参加した家族全員ではなく、横田家だけでし
たので、それ以外の人たちは一晩で資料を作ったので大変でした。

 私も原稿を書いて、ネットから写真をダウンロードして印刷してもらい、それ
を一晩で翻訳してもらい作ったのです。色々なことをずっと一緒にやってきまし
た。

 古森さんはもちろんジャーナリストとして取材もしていただいたのですが、別
にボランティアもしていただき、古森ご夫妻がずっとお世話してくださったので、
私たちが在米活動ができたのです。

 また大きな枠組みで、アメリカの朝鮮政策をどうすればいいか等を時に触れて
教えていただき、それを参考にしながら運動方針を作ったりしました。今来まし
たが、救う会の島田洋一副会長(福井県立大学教授)も米国の対北政策の専門家
で一緒にやってきました。

 トランプ政権の時は拉致問題がうまくいっていて、トランプ大統領が金正恩に
迫ってくれたこともあったのですが、トランプ・安倍の二人とも代わってしまっ
て、今バイデン・岸田政権になりました。そのことも含めて拉致問題がどうなっ
ているかを古森さんにお話ししていただき、頭の整理をしたいと思います。宜し
くお願いいたします。

◆金政権があたふたとする時、冷静な計算をする時に拉致問題を考える

古森義久(麗澤大学特別教授・産経新聞ワシントン駐在編集特別委員)

 拉致問題の解決が前提で、こうやって集まっていただき大変ありがとうござい
ます。西岡会長が、私がなぜここにいるのかの説明をしてくれました。

 6、7年前に、安倍政権の時、拉致問題に関する有識者会議のメンバーに私が
選ばれました。その頃から、「なぜ新聞記者の古森が拉致問題に関わるのか」と
現役の若い記者に聞かれたりしました。舞台裏でのことなので、また本来の記者
活動から一歩、二歩出たことなので、ほとんどそういうことは誰も言わなかった
のですが、「なぜ」と言われたことがありました。

 日本では外務省が拉致を認めておらず、「国交樹立が第一でそのため拉致問題
が障害になっている」と堂々と述べていた政府高官がいたわけです。そういう時
代からの関わりです。

 では、「最近の米朝関係と拉致問題」というタイトルでお話しさせていただき
ます。私は長年ワシントンでアメリカと北朝鮮との関わり合い、せめぎ合いをジャー
ナリストとしてフォローしてきました。その体験、知識等に基づいてのお話にな
ります。

 今米朝関係がなぜ拉致問題にとって重要なのか。当たり前のことだけど、では
なぜなのか。もう少し具体的に言えば、アメリカの北朝鮮に対する政策、言葉、
行動が日本人拉致問題の解決にどう寄与し得るのかと考えるわけです。

 拉致問題の現状を見て、解決するかもしれないシナリオが2つあると思います。
1つは、北朝鮮の金政権が存亡の危機に追い込まれてあたふたとする時です。こ
ういうプロセスの中で、「じゃあ日本に対する態度も変えようか」ということで
拉致問題に手を付けるかもしれない。

 2番目は、1番目と重なる可能性が強いですが、冷静で効率的な計算を金政権
がして、やはり拉致問題を解決して日本との関係をよくし、巨額の経済援助を得
る方が、わが政権にとってプラスになるという計算をする。

 1番目の存亡の危機に追い詰められていることと重なり合うのですが、計算を
する部分は、「あたふた」ではないわけです。この2つの内、1番目の北朝鮮を
あたふたさせることは、いずれも現状の打破です。現状が維持される限り金正恩
政権には拉致問題を動かす動機があまり出ない。今のままでいいじゃないか、と。

 国内でどんどん経済が悪くなるとか、万が一にも政権転覆の動きが起きるとか、
北朝鮮の内部だけで起きる大変化があり得ますが、もっと起こりやすい、想像し
やすい変化は、外部からでしかもアメリカである。

 なぜアメリカかと言うと、ここで軍事力という要素が出てきます。金正恩政権
は、「先軍」という言葉に象徴されるように、今北朝鮮がやっていることを見れ
ば、やはり軍事力を強くして、国威発揚して、北朝鮮人民共和国の建国の趣旨で
あるように、南朝鮮を武力で統合していくことを実現する。そのためにアメリカ
を武力で排除しなければならない。

 それを防ごうとするアメリカのパワーは軍事力なわけです。ですから、アメリ
カが北朝鮮に対してどういう動きをとるかというのは、言うまでもなく拉致問題
の解決にとって非常に重要です。それが現実だと思います。

◆バイデン政権の北朝鮮政策は「戦略的忍耐」と「対外圧力」の中間

 そこで今、バイデン政権の北朝鮮政策はどうなっているのか。前トランプ政権
との比較は対比的です。違う部分があるのが大きな特徴です。バイデン政権の北
朝鮮政策の見直しは去年の4月にだいたい作業を終えた。これは国家安全保障会
議の中核にいるカート・キャンベルという人がそう話しています。しかし、具体
的な内容は言えない、と。敢えて問われると、「現実的なアプローチだ」と言っ
たのです。

 「現実的なアプローチ」とは何なのかと、当然質問があるわけですが、そこで
キャンベルが答えたのは、オバマ政権時代の「戦略的忍耐」というのがありまし
たが、この政策と、トランプ政権時代の政策全体を、キャンベル自身がおおざっ
ぱな表現で総括して、「対外圧力だ」と。従ってバイデン政権の対北朝鮮政策は
「戦略的忍耐」と「対外圧力」の中間を行く、と言ったのです。

 それ以上の具体的な政策は出てきていません。それから1年くらい経つわけで
すが、この3月、4月の時点で、北朝鮮はこれまでの自粛をかなぐり捨てるよう
な形で軍事活動を高めてきています。

◆核兵器の開発は中断する、ICBMの発射実験はしないと金正恩に

 日本で一番分かりやすいのは、日本に届くような短距離、中距離ミサイルをど
んどん発射した。1月だけで7回やった。3月24日には、北朝鮮が言うところ
の大陸間弾道弾(ICBM)の「火星17号だ」と言っています。アメリカはこれは
「火星15号だ」、一段階下だと言っています。

 これはトランプ政権の時、3回にわたる米朝首脳会談で、「最終的にこういう
ことは自粛しますよ」と金正恩が一応約束したわけです。具体的には、核兵器の
開発は中断する、ICBMの発射実験はしないの2つです。しかし、少なくとも2番
目の自粛規制を破って活発な動きを見せてきた。核の方も、もうじき核実験再開
になるのではないかという、かなり根拠のある推測がアメリカの専門家の間で頻
繁に語られるようになっています。

(2につづく)




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