訪米報告4(2023/05/22)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.05.22)
■訪米報告4
◆アメリカの対話要求に北朝鮮は反応しない
今回会ったNSCのキャンベルさんも国務省のシャーマン副長官たちも、みん
な言っています。「様々なルートで対話しようと言っているのに反応がない」と。
そういう中で岸田総理は去年の10月、「拉致と核・ミサイルを包括的に解決し
て、平壌宣言に基づいて国交正常化する」と。
これは安倍さんも菅さんも言っていたことですが、その後、「拉致問題は時間
的制約のある人権問題」と、最近は「人道問題」と言っています。致だけを取り
出して、「時間的制約」という言葉を付けた。
こちら側から言うと親の世代の家族があと2人になってしまったということが、
「時間的制約」ということです。核・ミサイル問題には「時間的制約」を付けて
いない。こちらを早くやりましょうというメッセージになっているわけです。
使えるカードは「人道支援」だけです。核・ミサイル問題が解決しないのに国
交正常化をして100億ドルと言われるような大規模な支援をすることはできま
せん。しかし人道支援は国際制裁違反ではないわけです。
◆北朝鮮の食糧危機という人道問題
そしてもう一つ。北朝鮮で今人道問題、食糧危機が起きている。こういう状況
で運動方針を出したわけです。こちら側の親世代が2人だけになってしまったこ
と、北朝鮮で人道問題が起きていること、米朝が核で進まない状況であること、
そして岸田総理の「時間的制約がある」という発言。そういう状況の中で、岸田
政権と足並みを揃え得ることを意識して、新しい運動方針を決めました。
しかし、アメリカからすると、アメリカまで届くミサイル演習をどんどんやり、
核開発もやっている国に、日本がそのことについて抗議をしないで、逆に支援を
するということは、同盟国として裏切りに見えるのかどうか。
◆私たちの運動方針をアメリカは「理解」
特にアメリカの核で日本は抑止してもらっているわけです。日本は核をもって
いないですから。そういう中で私たちの運動方針がアメリカ政府、議会の民主党、
共和党、専門家、あるいは北朝鮮人権活動家にどう映っているだろうかというこ
とを確かめ、理解を深めてもらうというのが今回の訪米の目的だったのです。
そしてそれが達成できたと思っています。先ほど拓也さんも島田さんも話しま
したが、それぞれの人に会う時は、まず団長の山谷先生が挨拶をした後、拓也さ
んが、自分の家族の話、幸せだった頃の写真を見せて、それが40年以上も奪わ
れていると話した後、新しい運動方針について説明をしました。
皆さんのお手元にありますが、私たちの新しい運動方針に関するペーパーを英
語
にして持っていきました。ここに我々が今考えていることが書かれており、裏に
親の世代の家族が限界にきているということなので、早紀江さんに手紙を書いて
もらいました。
そして早紀江さんの今の姿の写真を持っていきました。それほど衰えた顔はし
ていませんが、やはり87歳ですからそれなりに老人の顔をしているわけです。
めぐみちゃんが元気で家族の一員だった時の家族写真と比べると歳をとられたこ
とが分かります。
耕一郎さんも自分とお母さんが写っている一枚しかない写真を出して、自分は
1歳の時にお母さんが拉致されたから、お母さんとのぬくもりの記憶が一切ない
という話をして、運動方針についても話しました。
私もどこに行っても、救う会の立場から運動方針について説明しました。そし
て人道支援は国連制裁違反ではない。一方北朝鮮では今人道問題が起きていると
話しました。
そしてそういう話ができたのは、拓也さんも言いましたが、「日本人拉致って
何ですか」、「被害者は何人いるのですか」という話にはならないのです。行っ
てすぐ、この4年間にあったことを説明しました。新しい運動方針について説明
させてくださいと言うと、「分かった」と言ってみんな聞いてくれる。
「拉致は本当なのか」とか、「2002年に何があったのか」という話をする
必要がないところまでお互いの関係があったので、コミュニケーションができた
ということです。
その結果、どこに行っても、「理解できる」という話でした。「アメリカも人
道支援をしようとしているけど、うまくいっていない。だからなかなか難しいの
ではないか」とアドバイスしてくれた人もいました。
「この運動方針はアメリカの政策にとって邪魔だ」とか、「同盟国として困る」
という反応は一切なかったです。
◆米要人とのやりとり
5月5日に会った、グレッグ・スカラトー米国北朝鮮人権員会事務総長という
NGOのリーダーですが、拉致問題対策本部がセミナーをやる時に何回も出てく
れて、司会をやってくれた人ですが、実は私と島田さんは1日に彼の事務所に行っ
て、彼は韓国語ができるので私と話せたのですが、彼はルーマニア人なんです。
韓国に留学して、その後アメリカで博士号を取って、そして北朝鮮人権法に関わっ
た。
彼と新しい運動方針について1時間徹底的に議論したのですが、そういうこと
もあって家族の話をよく聞いてくれました。アメリカの人権活動家で拉致以外の
人権問題もやっている人です。
「他の収容所問題も解決していないのに、日本が人道支援をするのは反対だ」
と言う可能性もあったわけです。でも彼はこう言いました。「日本は世界で一番
厳しい制裁を北朝鮮にかけているのを知っています。国際制裁は核・ミサイルが
理由です。しかし、日本の制裁には人権問題である拉致問題がある。だから厳し
い制裁をかけていることを理解している」と。
また、「だから核・ミサイル問題が解決しない中、拉致問題が解決した場合、
日本が国際制裁より厳しい部分について、それを交渉の手段とすることを、世界
中のどの国も、どこの人権活動家も反対しません」と言いました。その話を聞い
て嬉しかったし、理解してくれているんだなと思いました。
一方、エバースタットさんは、「崔善姫(外相)に会ったら、100億ドルが
ほしいんだと言っていましたよ。人道支援なんかに食いついてこないのではない
ですか」という話をし、「食糧支援をするといっても本当に苦しい人に渡るかど
うか分からないじゃないですか」と、何回も会っている仲間ですから、率直な疑
問をコメントしてくれました。
人道支援に食いついてこないのではないか」という話に関して私は次のような
話をしました。
確かに北朝鮮はこれまでずっと対日交渉をするなら人道支援が目的ではなく1
00億ドルを目的にしたのは間違いない。
その100億ドルという金額についても既に何人かの元政府高官の亡命者から
私も聞いている。代表的な人は太永浩(テ・ヨンホ)さんというイギリス大使館
の公使で、今韓国に亡命して国会議員をしている。2002年9月に彼は平壌に
いた。外務省で、姜錫柱(カン・ソクチュ)という日朝会談で金正日の隣にいた
外務副大臣が、外交官を全員集めて、「将軍様に謝罪させてしまったからと動揺
しなくていい。日本から100億ドル来るんだ」と言っていたと本に書いていま
す。それ以外にも3人くらいの高官亡命者からも聞いている」と。
北朝鮮はそれを狙っていたのですが、それはトランプ政権が拉致と核を同時に
動かすのであれば、国交正常化の後のODAで、1965年に韓国に5億ドルやっ
たことの物価換算で100億ドルできる可能性はゼロではないが、核・ミサイル
が動かない中でそれはできない。
北朝鮮は今大変苦しい人道問題、食糧不足を抱えている。そして中朝関係が思っ
たほどよくなくて、去年の秋以降金正恩は習近平に繰り返し無償大規模食糧支援
を求めているが、それは貰っていない。お金を出せば売ると言っている。
韓国が文在寅(ムン・ジェイン)政権だったら大規模な食糧支援をしたと思い
ます。金正恩も受け入れたと思います。今の尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は、
「核を止めるなら人道支援をする」とアプローチをしている。金正恩は「尹錫悦
は相手にせず」ですから、大規模な支援を貰う枠組みになっていない。
アメリカは、人道支援を提案しても北朝鮮がのってこない、北朝鮮への感心も
低いという中で、日本にとっては拉致問題という重大な関心事があるので、被害
者が全員帰ってくるなら国民は人道支援に賛成するだろう。
NHKが世論調査で、「岸田政権が人道支援等すべてのことを使って拉致被害
者を取り戻そうとする計画を持っているが、それを支持しますか」と聞いたら、
65%が賛成でした。そういう質問をしてくれたNHKは大変ありがたいですね。
但しそれには期限があるというのが我々の立場です。岸田総理も「時間的制約
がある」と言っています。アメリカで何回時間的制と言ったか分からないくらい。
親の世代が生きている間だ、ということです。
これは情報ですから絶対とは言えないのですが、私が付き合っている様々なルー
トから聞いた話では、「北朝鮮が人道支援に関心を持っている」ということです。
それだけ苦しいのです。「人道支援をまず貰った上で、100億ドルを貰おうじゃ
ないか」と。そして北朝鮮から見て、核問題が解決しない中、アメリカが「うん」
と言わないのに、国交正常化をすることはできないということは分かっているの
です。
◆「拉致についてはアメリカと話がついている」
実は小泉訪朝の時、核問題は何も解決していなかったのですが、「国交正常化
する」と約束しちゃったのです。アメリカはあの時、大変不愉快だった。我々は、
「5人生存8人死亡、それ以外はない」というのは嘘だ。こんなものを受け入れ
てこれで終わりになったら困ると言って、世論はそれを支持してくれた。
アメリカも、「核問題があるだろう」という圧力と、我々が拉致問題はまだ解
決していないということがあって、小泉総理が「平壌宣言にサインして、近く国
交正常化する」と言ったのに、止まってしまったのです。
北朝鮮のそれに対する総括は、「日本は自主外交ができない。アメリカの言い
なりだ」と。世論というのはあまり分かりません。今回の訪米の隠れた狙いは、
北朝鮮に対する圧力です。「アメリカもこの運動を支持している」、「本当に岸
田政権は約束を守る」。「小泉訪朝の時はアメリカが反対したが、拉致について
はアメリカと話がついている」というメッセ?ジです。
だから色々なルートでこの結果を北朝鮮に入れようと今努力しています。
◆バイデン大統領「核攻撃をしたら北朝鮮の政権は終末を迎える」の波紋
北朝鮮内部の状況ですが、これも絶対ということはないのですが、私が聞いて
いる範囲の話ですが、「危機が深刻化している」。食糧がないというのが一番の
原因ですが、兵士たちが暴徒化している等の話があります。
面白い現象があります。面白いと言っては変ですが、これは「自由アジア放送」
という、アメリカ政府がお金を出して、北朝鮮に朝鮮語で短波ラジオを送ってい
る放送局があります。今回は拓也さんと耕一郎さんがそこに行きました。その放
送局はユーチューブも発信しており、スタジオで1時間くらい収録しました。
「自由アジア放送」には記者がいて、北朝鮮の内部情報を取っているのですが、
そこにも記事がでたのですが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が訪米しました。
そこで「ワシントン宣言」といって、核問題で韓米共同宣言とは別の文書を出し
ました。北朝鮮の核脅威に対抗して米韓が何をするのかが書いてある。
「北朝鮮が核攻撃をしたらアメリカが反撃する」と。拡大抑止のための話し合
いをする枠組みを、今もあるのですがもっと格上げする等のことが書いてありま
す。
その議論をした後、バイデン大統領は、「北朝鮮が韓国やアメリカの同盟国に
核攻撃をしたら、北朝鮮の政権は終末を迎える」という発言をしたのです。その
発言は北朝鮮には伝わらないわけですが、でもそれに対して金与正(キム・ヨジョ
ン)氏が、「おいぼれが『政権の終末』などとけしからんことを言った」等の声
明を出したのです。
その声明全文を北朝鮮のテレビでアナウンサーが読み上げたのです。「おいぼ
れが『政権の終末』などとけしからんことを言った」という部分もそのまま読ん
だのです。
そうしたら、これは「自由アジア放送」のサイトにも出ているんですが、北朝
鮮の若者たちや地方の庶民たちから、「政権終末、いいじゃないか。やってほし
い」という声が出ているのです。バイデン大統領の発言を紹介したのは政治的に
失敗だったのです。北朝鮮の終末ではなく、「政権の終末」という言葉を使った
のがよかったのです。
「三代続いて、四代目にあんなに太った女の子が出てくるのはもういやだ。俺
たちは食べ物がないのに、なぜあんな太った女の子を連れて回るんだ」という世
論が今高まっているわけです。
本当に食糧がなくて、みんなお腹をすかせて、病気で倒れていく。肺炎で死ぬ
人も結構いるようです。餓死者も出ている。みんな必死で命を長らえるために活
動していますが、それでも親が死んでしまった子どもたちとか、老人たちが死ん
でいっています。
反体制事件がひんぱんに起こっています。反体制事件といっても大規模なデモ
が起きるような状況ではないですが、「あのブタ野郎」というような落書きがあ
るとかビラが配られています。昔は手書きだったのですが、今はコンピューター
で印刷したビラを配っています。
「外から持ち込まれたものですか」と聞いたら、「どうも内部で作られている
らしい」と。でも北朝鮮のプリンターは全部登録されて自由に使えない筈なので
すが、どこかからプリンターが持ち込まれているのか。みんなスマホは持ってい
ますから、入力はできるけど印刷ができない。しかし、ビラがまかれている。
あと少人数で集まって反体制のことを話している。そういう事件が4月だけで
千件起きている。国家保衛省は、非常勤務体制です。しかし、その根本原因は米
がないということです。お腹がすいている。
◆日本の世論は落ちていないが、落とさない努力を
だから当面の人道支援は一定程度魅力があるわけです。だからこそ、人道支援
を貰った後に100億ドル貰おうというふうに金正恩は考えている気配がありま
す。そしてやはり我々が繰り返し言っている、「親の世代が被害者と抱き合うこ
とがなければ、国民はよかったとは思いませんよ」というメッセージは確実に伝
わっているのです。
これは事実ですから、朝鮮総連の人たちが日本中を調査しても、みんなそう言
いますから。そうすると、人質としての価値がある時間は限られている。100
億ドルのためにとっておこうと思っても、逆に早紀江さんや有本さんに何かのこ
とがあったら日本人を怒らせるだけで、人質を返せばよかったとはならない。な
ぜ親が生きていたのに早く返さなかったのかとみんな怒る。それは朝鮮総連も報
告していると思います。
最近の拉致問題で一番大きなニュースは、横田滋さんが亡くなった時と、飯塚
繁雄さんが亡くなった時でした。国民は、なぜ滋さんにめぐみさんを会わせるこ
とができなかったのかという怒りがあったから関心が高まったのです。
◆拉致解決に、アメリカも反対していない
そういう枠組みの中で、「アメリカも反対していませんよ」というメッセージ
を平壌に送ったというのが、今回我々がやったことです。最終的には数人の人た
ちが決めるわけで、正恩氏が決め、与正氏がアドバイスするという体制です。
いつ、どういう決定が下されるのかよく分かりませんが、こちらとしては、今
の与えられた状況は、米朝で核協議が進まないだろう、そして家族の年齢に限界
が来ているということ、さらに北朝鮮で食糧危機が起きているということ、中朝
関係があまりよくなくて少なくとも食糧の面で中国が北朝鮮を支えていないこと
等の全体をみてこのカードを切ったわけです。
十分勝算はあるのではないか。ただ、相手が人質を持っている状況ですから苦
しいゲームみたいな状況であることは間違いない。しかし、急所を突くことがで
きたのではないか。アメリカまで行ったのは平壌に対するメッセージのために行っ
たのですが、後は平壌がどう反応するのか。そのことを息をのむように待ちたい
と思います。これが今の状況です。
我々は、「全被害者の即時一括帰国」を求めています。親の世代が存命中に全
被害者、これは認定未認定に関わらず帰ってくるなら人道支援をするということ
です。
5月27日(土)に行われる国民大集会にまた岸田総理が来て下さる可能性が
高いので、松野官房長官や各党代表と共に平壌に向けて同じメッセージをもう一
度出したいと思っています。応援して下さればありがたく思います(拍手)。
【質疑応答】
◆武器販売や仮想通貨で北朝鮮は金を持っているのでは
問 今北朝鮮がロシアに武器を売り、それが北朝鮮のお金になっている。また世
界中から仮想通貨を稼ぎまくっていると聞きましたが、なんとか断つことはでき
ないか。どういうことができるのか。草の根的に何かできないか。
西岡 ウクライナとの戦争が始まった直後、ロシアのショイグ国防大臣が平壌に
行きたいと言ったけど来れなくて、北京に幹部が言ってそこで会談をしている。
ロシアは砲弾、ミサイル、兵士を出してくれと要求し、金正恩は、「ロシアはもっ
と強いと思ったが弱かった」と言って、しばらく様子を見ていたのですが、10
月くらいから砲弾を出し始めた。
北朝鮮の砲弾は旧ソ連製で、ロシアですぐに使える。見返りにもらったのはド
ルではなく石油です。ガソリン、軽油、飛行機を飛ばすジェット燃料をもらった。
去年の秋以降北朝鮮の飛行機が300機飛んだことがありましたが、北朝鮮では
燃料がなくて空軍の演習がずっとできてなかったのです。これはロシアから燃料
が来たからです。
プーチンが大規模な動員をしたのは冬でしたが、冬物の軍服が足りなくて、中
国から布を入れや。北朝鮮の部隊は被服工場を持っていますので、そこでロシア
の軍服を作り石油を貰った。今は冬服はいならいので作っていない。
但し、北朝鮮の砲弾は管理が多く不発率が50%以上ある。ロシア側も、「も
ういいや」という感じです。延坪島砲撃事件の時韓国軍が調べたら、不発率50
%以上だった。
だから大規模に武器を出して食糧が買えるという状況ではないのです。
仮想通貨のことですが、財務省に行って制裁担当の人に聞きました。かなりの
金額の仮想通貨が盗まれているのですが、それを現金化することができないそう
です。現金化する時に足がつく。アメリカは逆ハッキングして取り戻しているよ
うです。「産経新聞」も書いています。かなりの部分が取り戻されている。
そして今はハッキングしたお金で米を買ったりすることはできないのです。持っ
てはいても現金化ができない。複数の人がそう言っていました。だからハッキン
グしても、それで一息つけていないのです。
党39号室という金正恩の秘密資金を扱う部署の外貨が枯渇しています。ミサ
イル発射のための移動式発射台の映像がよく出ますが、片側のタイヤが11輪あ
ります。あの大きなタイヤは北朝鮮で国産できない。中国から密輸しています。
付けで買おうとしたら、「だめだ。現金を持ってこい」と言われ、現金がないの
で金の延べ棒で払ったそうです。
仮想通貨は国連の推計で、去年1年で日本円で2000億円相当額を北朝鮮が
盗んだそうですが、それを現金化できていればタイヤくらい買えた筈です。アメ
リカは一種の心理戦かもしれませんが、「2000億円とった」と言っている。
それが北朝鮮内部に入り、実際に使えないということは知らないから、「金正恩
は金持っているのに俺たちのために使わない」と不安を広げている。
なお、仮想通貨については民間でできることはないので、それは難しいと思い
ます。それより、北朝鮮が見て、日本で拉致に関する世論が下がっていないこと
が大事です。逆に親世代が無くなって以降時間が経つほどに関心が下がると判断
すれば返しませんので、そこが勝負です。そこでできることをしてくださればと
思います。
ウクライナのことは拓也さんお願いします。
◆困っている方々を救う、結局は正義と悪の戦い
横田拓也 私は政治的な意味ではなく、人と生まれて、楽しく平和に暮らしてい
けることが当たり前だと思いますが、無差別に殺戮して、自分の手を血に染める
ような行為は恥ずべきことと思います。
また人権侵害している国々に対してやはり声を挙げていく必要があると思いま
す。自分がそういうことをされて嬉しいか。金正恩の娘とされる人が同じように
拉致されたら、自分の国が他国から攻め込まれたら受け入れられるのかというこ
とを考えれば、人権問題を解決しないでいること、無差別に殺戮している国に砲
弾を渡すのは恥ずべき行為ではないのかを考えてほしいと思います。
私はウクライナの日本大使館に寄付をしていますが、遠回りかもしれませんが
私たちの活動につながる、困っている方々を救う、結局は正義と悪の戦いですか
ら、正義が勝つためには地道でも声をあげていくべきと思っています。
◆人道支援でも解決できる
問 自国民を殺しておいて、彼には人権なんか分からない、人道なんか分かるの
かという気がしてならない。人道支援では解決しないのではないかと考えざるを
得ない。
西岡 人道支援が効くかどうかは彼らがどれだけ困っているかによる。彼らは唯
物論者です。おっしゃる通り善意は通じない。エバースタットさんが「300万
人餓死しても動かなかった国が人道支援で動くだろうか」と言っていました。
しかし今、軍隊が飢えています。庶民はそれぞれのやり方で食べているんです。
300万人餓死した時は庶民が配給に頼っていたから、配給がなくなって死んで
いった。その後配給はないですから、自分で食べる術を持っている。しかし、軍
人の家族は商売をやっていないのです。
そういう人たちが飢え始めている時、体制を維持するために対処しなければな
らないと、彼も計算をするだろうと思います。人質を使って大規模な食糧をただ
で貰えることを、唯物論者ならやる可能性があると思います。
以上
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■岸田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 岸田文雄殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■訪米報告4
◆アメリカの対話要求に北朝鮮は反応しない
今回会ったNSCのキャンベルさんも国務省のシャーマン副長官たちも、みん
な言っています。「様々なルートで対話しようと言っているのに反応がない」と。
そういう中で岸田総理は去年の10月、「拉致と核・ミサイルを包括的に解決し
て、平壌宣言に基づいて国交正常化する」と。
これは安倍さんも菅さんも言っていたことですが、その後、「拉致問題は時間
的制約のある人権問題」と、最近は「人道問題」と言っています。致だけを取り
出して、「時間的制約」という言葉を付けた。
こちら側から言うと親の世代の家族があと2人になってしまったということが、
「時間的制約」ということです。核・ミサイル問題には「時間的制約」を付けて
いない。こちらを早くやりましょうというメッセージになっているわけです。
使えるカードは「人道支援」だけです。核・ミサイル問題が解決しないのに国
交正常化をして100億ドルと言われるような大規模な支援をすることはできま
せん。しかし人道支援は国際制裁違反ではないわけです。
◆北朝鮮の食糧危機という人道問題
そしてもう一つ。北朝鮮で今人道問題、食糧危機が起きている。こういう状況
で運動方針を出したわけです。こちら側の親世代が2人だけになってしまったこ
と、北朝鮮で人道問題が起きていること、米朝が核で進まない状況であること、
そして岸田総理の「時間的制約がある」という発言。そういう状況の中で、岸田
政権と足並みを揃え得ることを意識して、新しい運動方針を決めました。
しかし、アメリカからすると、アメリカまで届くミサイル演習をどんどんやり、
核開発もやっている国に、日本がそのことについて抗議をしないで、逆に支援を
するということは、同盟国として裏切りに見えるのかどうか。
◆私たちの運動方針をアメリカは「理解」
特にアメリカの核で日本は抑止してもらっているわけです。日本は核をもって
いないですから。そういう中で私たちの運動方針がアメリカ政府、議会の民主党、
共和党、専門家、あるいは北朝鮮人権活動家にどう映っているだろうかというこ
とを確かめ、理解を深めてもらうというのが今回の訪米の目的だったのです。
そしてそれが達成できたと思っています。先ほど拓也さんも島田さんも話しま
したが、それぞれの人に会う時は、まず団長の山谷先生が挨拶をした後、拓也さ
んが、自分の家族の話、幸せだった頃の写真を見せて、それが40年以上も奪わ
れていると話した後、新しい運動方針について説明をしました。
皆さんのお手元にありますが、私たちの新しい運動方針に関するペーパーを英
語
にして持っていきました。ここに我々が今考えていることが書かれており、裏に
親の世代の家族が限界にきているということなので、早紀江さんに手紙を書いて
もらいました。
そして早紀江さんの今の姿の写真を持っていきました。それほど衰えた顔はし
ていませんが、やはり87歳ですからそれなりに老人の顔をしているわけです。
めぐみちゃんが元気で家族の一員だった時の家族写真と比べると歳をとられたこ
とが分かります。
耕一郎さんも自分とお母さんが写っている一枚しかない写真を出して、自分は
1歳の時にお母さんが拉致されたから、お母さんとのぬくもりの記憶が一切ない
という話をして、運動方針についても話しました。
私もどこに行っても、救う会の立場から運動方針について説明しました。そし
て人道支援は国連制裁違反ではない。一方北朝鮮では今人道問題が起きていると
話しました。
そしてそういう話ができたのは、拓也さんも言いましたが、「日本人拉致って
何ですか」、「被害者は何人いるのですか」という話にはならないのです。行っ
てすぐ、この4年間にあったことを説明しました。新しい運動方針について説明
させてくださいと言うと、「分かった」と言ってみんな聞いてくれる。
「拉致は本当なのか」とか、「2002年に何があったのか」という話をする
必要がないところまでお互いの関係があったので、コミュニケーションができた
ということです。
その結果、どこに行っても、「理解できる」という話でした。「アメリカも人
道支援をしようとしているけど、うまくいっていない。だからなかなか難しいの
ではないか」とアドバイスしてくれた人もいました。
「この運動方針はアメリカの政策にとって邪魔だ」とか、「同盟国として困る」
という反応は一切なかったです。
◆米要人とのやりとり
5月5日に会った、グレッグ・スカラトー米国北朝鮮人権員会事務総長という
NGOのリーダーですが、拉致問題対策本部がセミナーをやる時に何回も出てく
れて、司会をやってくれた人ですが、実は私と島田さんは1日に彼の事務所に行っ
て、彼は韓国語ができるので私と話せたのですが、彼はルーマニア人なんです。
韓国に留学して、その後アメリカで博士号を取って、そして北朝鮮人権法に関わっ
た。
彼と新しい運動方針について1時間徹底的に議論したのですが、そういうこと
もあって家族の話をよく聞いてくれました。アメリカの人権活動家で拉致以外の
人権問題もやっている人です。
「他の収容所問題も解決していないのに、日本が人道支援をするのは反対だ」
と言う可能性もあったわけです。でも彼はこう言いました。「日本は世界で一番
厳しい制裁を北朝鮮にかけているのを知っています。国際制裁は核・ミサイルが
理由です。しかし、日本の制裁には人権問題である拉致問題がある。だから厳し
い制裁をかけていることを理解している」と。
また、「だから核・ミサイル問題が解決しない中、拉致問題が解決した場合、
日本が国際制裁より厳しい部分について、それを交渉の手段とすることを、世界
中のどの国も、どこの人権活動家も反対しません」と言いました。その話を聞い
て嬉しかったし、理解してくれているんだなと思いました。
一方、エバースタットさんは、「崔善姫(外相)に会ったら、100億ドルが
ほしいんだと言っていましたよ。人道支援なんかに食いついてこないのではない
ですか」という話をし、「食糧支援をするといっても本当に苦しい人に渡るかど
うか分からないじゃないですか」と、何回も会っている仲間ですから、率直な疑
問をコメントしてくれました。
人道支援に食いついてこないのではないか」という話に関して私は次のような
話をしました。
確かに北朝鮮はこれまでずっと対日交渉をするなら人道支援が目的ではなく1
00億ドルを目的にしたのは間違いない。
その100億ドルという金額についても既に何人かの元政府高官の亡命者から
私も聞いている。代表的な人は太永浩(テ・ヨンホ)さんというイギリス大使館
の公使で、今韓国に亡命して国会議員をしている。2002年9月に彼は平壌に
いた。外務省で、姜錫柱(カン・ソクチュ)という日朝会談で金正日の隣にいた
外務副大臣が、外交官を全員集めて、「将軍様に謝罪させてしまったからと動揺
しなくていい。日本から100億ドル来るんだ」と言っていたと本に書いていま
す。それ以外にも3人くらいの高官亡命者からも聞いている」と。
北朝鮮はそれを狙っていたのですが、それはトランプ政権が拉致と核を同時に
動かすのであれば、国交正常化の後のODAで、1965年に韓国に5億ドルやっ
たことの物価換算で100億ドルできる可能性はゼロではないが、核・ミサイル
が動かない中でそれはできない。
北朝鮮は今大変苦しい人道問題、食糧不足を抱えている。そして中朝関係が思っ
たほどよくなくて、去年の秋以降金正恩は習近平に繰り返し無償大規模食糧支援
を求めているが、それは貰っていない。お金を出せば売ると言っている。
韓国が文在寅(ムン・ジェイン)政権だったら大規模な食糧支援をしたと思い
ます。金正恩も受け入れたと思います。今の尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は、
「核を止めるなら人道支援をする」とアプローチをしている。金正恩は「尹錫悦
は相手にせず」ですから、大規模な支援を貰う枠組みになっていない。
アメリカは、人道支援を提案しても北朝鮮がのってこない、北朝鮮への感心も
低いという中で、日本にとっては拉致問題という重大な関心事があるので、被害
者が全員帰ってくるなら国民は人道支援に賛成するだろう。
NHKが世論調査で、「岸田政権が人道支援等すべてのことを使って拉致被害
者を取り戻そうとする計画を持っているが、それを支持しますか」と聞いたら、
65%が賛成でした。そういう質問をしてくれたNHKは大変ありがたいですね。
但しそれには期限があるというのが我々の立場です。岸田総理も「時間的制約
がある」と言っています。アメリカで何回時間的制と言ったか分からないくらい。
親の世代が生きている間だ、ということです。
これは情報ですから絶対とは言えないのですが、私が付き合っている様々なルー
トから聞いた話では、「北朝鮮が人道支援に関心を持っている」ということです。
それだけ苦しいのです。「人道支援をまず貰った上で、100億ドルを貰おうじゃ
ないか」と。そして北朝鮮から見て、核問題が解決しない中、アメリカが「うん」
と言わないのに、国交正常化をすることはできないということは分かっているの
です。
◆「拉致についてはアメリカと話がついている」
実は小泉訪朝の時、核問題は何も解決していなかったのですが、「国交正常化
する」と約束しちゃったのです。アメリカはあの時、大変不愉快だった。我々は、
「5人生存8人死亡、それ以外はない」というのは嘘だ。こんなものを受け入れ
てこれで終わりになったら困ると言って、世論はそれを支持してくれた。
アメリカも、「核問題があるだろう」という圧力と、我々が拉致問題はまだ解
決していないということがあって、小泉総理が「平壌宣言にサインして、近く国
交正常化する」と言ったのに、止まってしまったのです。
北朝鮮のそれに対する総括は、「日本は自主外交ができない。アメリカの言い
なりだ」と。世論というのはあまり分かりません。今回の訪米の隠れた狙いは、
北朝鮮に対する圧力です。「アメリカもこの運動を支持している」、「本当に岸
田政権は約束を守る」。「小泉訪朝の時はアメリカが反対したが、拉致について
はアメリカと話がついている」というメッセ?ジです。
だから色々なルートでこの結果を北朝鮮に入れようと今努力しています。
◆バイデン大統領「核攻撃をしたら北朝鮮の政権は終末を迎える」の波紋
北朝鮮内部の状況ですが、これも絶対ということはないのですが、私が聞いて
いる範囲の話ですが、「危機が深刻化している」。食糧がないというのが一番の
原因ですが、兵士たちが暴徒化している等の話があります。
面白い現象があります。面白いと言っては変ですが、これは「自由アジア放送」
という、アメリカ政府がお金を出して、北朝鮮に朝鮮語で短波ラジオを送ってい
る放送局があります。今回は拓也さんと耕一郎さんがそこに行きました。その放
送局はユーチューブも発信しており、スタジオで1時間くらい収録しました。
「自由アジア放送」には記者がいて、北朝鮮の内部情報を取っているのですが、
そこにも記事がでたのですが、尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が訪米しました。
そこで「ワシントン宣言」といって、核問題で韓米共同宣言とは別の文書を出し
ました。北朝鮮の核脅威に対抗して米韓が何をするのかが書いてある。
「北朝鮮が核攻撃をしたらアメリカが反撃する」と。拡大抑止のための話し合
いをする枠組みを、今もあるのですがもっと格上げする等のことが書いてありま
す。
その議論をした後、バイデン大統領は、「北朝鮮が韓国やアメリカの同盟国に
核攻撃をしたら、北朝鮮の政権は終末を迎える」という発言をしたのです。その
発言は北朝鮮には伝わらないわけですが、でもそれに対して金与正(キム・ヨジョ
ン)氏が、「おいぼれが『政権の終末』などとけしからんことを言った」等の声
明を出したのです。
その声明全文を北朝鮮のテレビでアナウンサーが読み上げたのです。「おいぼ
れが『政権の終末』などとけしからんことを言った」という部分もそのまま読ん
だのです。
そうしたら、これは「自由アジア放送」のサイトにも出ているんですが、北朝
鮮の若者たちや地方の庶民たちから、「政権終末、いいじゃないか。やってほし
い」という声が出ているのです。バイデン大統領の発言を紹介したのは政治的に
失敗だったのです。北朝鮮の終末ではなく、「政権の終末」という言葉を使った
のがよかったのです。
「三代続いて、四代目にあんなに太った女の子が出てくるのはもういやだ。俺
たちは食べ物がないのに、なぜあんな太った女の子を連れて回るんだ」という世
論が今高まっているわけです。
本当に食糧がなくて、みんなお腹をすかせて、病気で倒れていく。肺炎で死ぬ
人も結構いるようです。餓死者も出ている。みんな必死で命を長らえるために活
動していますが、それでも親が死んでしまった子どもたちとか、老人たちが死ん
でいっています。
反体制事件がひんぱんに起こっています。反体制事件といっても大規模なデモ
が起きるような状況ではないですが、「あのブタ野郎」というような落書きがあ
るとかビラが配られています。昔は手書きだったのですが、今はコンピューター
で印刷したビラを配っています。
「外から持ち込まれたものですか」と聞いたら、「どうも内部で作られている
らしい」と。でも北朝鮮のプリンターは全部登録されて自由に使えない筈なので
すが、どこかからプリンターが持ち込まれているのか。みんなスマホは持ってい
ますから、入力はできるけど印刷ができない。しかし、ビラがまかれている。
あと少人数で集まって反体制のことを話している。そういう事件が4月だけで
千件起きている。国家保衛省は、非常勤務体制です。しかし、その根本原因は米
がないということです。お腹がすいている。
◆日本の世論は落ちていないが、落とさない努力を
だから当面の人道支援は一定程度魅力があるわけです。だからこそ、人道支援
を貰った後に100億ドル貰おうというふうに金正恩は考えている気配がありま
す。そしてやはり我々が繰り返し言っている、「親の世代が被害者と抱き合うこ
とがなければ、国民はよかったとは思いませんよ」というメッセージは確実に伝
わっているのです。
これは事実ですから、朝鮮総連の人たちが日本中を調査しても、みんなそう言
いますから。そうすると、人質としての価値がある時間は限られている。100
億ドルのためにとっておこうと思っても、逆に早紀江さんや有本さんに何かのこ
とがあったら日本人を怒らせるだけで、人質を返せばよかったとはならない。な
ぜ親が生きていたのに早く返さなかったのかとみんな怒る。それは朝鮮総連も報
告していると思います。
最近の拉致問題で一番大きなニュースは、横田滋さんが亡くなった時と、飯塚
繁雄さんが亡くなった時でした。国民は、なぜ滋さんにめぐみさんを会わせるこ
とができなかったのかという怒りがあったから関心が高まったのです。
◆拉致解決に、アメリカも反対していない
そういう枠組みの中で、「アメリカも反対していませんよ」というメッセージ
を平壌に送ったというのが、今回我々がやったことです。最終的には数人の人た
ちが決めるわけで、正恩氏が決め、与正氏がアドバイスするという体制です。
いつ、どういう決定が下されるのかよく分かりませんが、こちらとしては、今
の与えられた状況は、米朝で核協議が進まないだろう、そして家族の年齢に限界
が来ているということ、さらに北朝鮮で食糧危機が起きているということ、中朝
関係があまりよくなくて少なくとも食糧の面で中国が北朝鮮を支えていないこと
等の全体をみてこのカードを切ったわけです。
十分勝算はあるのではないか。ただ、相手が人質を持っている状況ですから苦
しいゲームみたいな状況であることは間違いない。しかし、急所を突くことがで
きたのではないか。アメリカまで行ったのは平壌に対するメッセージのために行っ
たのですが、後は平壌がどう反応するのか。そのことを息をのむように待ちたい
と思います。これが今の状況です。
我々は、「全被害者の即時一括帰国」を求めています。親の世代が存命中に全
被害者、これは認定未認定に関わらず帰ってくるなら人道支援をするということ
です。
5月27日(土)に行われる国民大集会にまた岸田総理が来て下さる可能性が
高いので、松野官房長官や各党代表と共に平壌に向けて同じメッセージをもう一
度出したいと思っています。応援して下さればありがたく思います(拍手)。
【質疑応答】
◆武器販売や仮想通貨で北朝鮮は金を持っているのでは
問 今北朝鮮がロシアに武器を売り、それが北朝鮮のお金になっている。また世
界中から仮想通貨を稼ぎまくっていると聞きましたが、なんとか断つことはでき
ないか。どういうことができるのか。草の根的に何かできないか。
西岡 ウクライナとの戦争が始まった直後、ロシアのショイグ国防大臣が平壌に
行きたいと言ったけど来れなくて、北京に幹部が言ってそこで会談をしている。
ロシアは砲弾、ミサイル、兵士を出してくれと要求し、金正恩は、「ロシアはもっ
と強いと思ったが弱かった」と言って、しばらく様子を見ていたのですが、10
月くらいから砲弾を出し始めた。
北朝鮮の砲弾は旧ソ連製で、ロシアですぐに使える。見返りにもらったのはド
ルではなく石油です。ガソリン、軽油、飛行機を飛ばすジェット燃料をもらった。
去年の秋以降北朝鮮の飛行機が300機飛んだことがありましたが、北朝鮮では
燃料がなくて空軍の演習がずっとできてなかったのです。これはロシアから燃料
が来たからです。
プーチンが大規模な動員をしたのは冬でしたが、冬物の軍服が足りなくて、中
国から布を入れや。北朝鮮の部隊は被服工場を持っていますので、そこでロシア
の軍服を作り石油を貰った。今は冬服はいならいので作っていない。
但し、北朝鮮の砲弾は管理が多く不発率が50%以上ある。ロシア側も、「も
ういいや」という感じです。延坪島砲撃事件の時韓国軍が調べたら、不発率50
%以上だった。
だから大規模に武器を出して食糧が買えるという状況ではないのです。
仮想通貨のことですが、財務省に行って制裁担当の人に聞きました。かなりの
金額の仮想通貨が盗まれているのですが、それを現金化することができないそう
です。現金化する時に足がつく。アメリカは逆ハッキングして取り戻しているよ
うです。「産経新聞」も書いています。かなりの部分が取り戻されている。
そして今はハッキングしたお金で米を買ったりすることはできないのです。持っ
てはいても現金化ができない。複数の人がそう言っていました。だからハッキン
グしても、それで一息つけていないのです。
党39号室という金正恩の秘密資金を扱う部署の外貨が枯渇しています。ミサ
イル発射のための移動式発射台の映像がよく出ますが、片側のタイヤが11輪あ
ります。あの大きなタイヤは北朝鮮で国産できない。中国から密輸しています。
付けで買おうとしたら、「だめだ。現金を持ってこい」と言われ、現金がないの
で金の延べ棒で払ったそうです。
仮想通貨は国連の推計で、去年1年で日本円で2000億円相当額を北朝鮮が
盗んだそうですが、それを現金化できていればタイヤくらい買えた筈です。アメ
リカは一種の心理戦かもしれませんが、「2000億円とった」と言っている。
それが北朝鮮内部に入り、実際に使えないということは知らないから、「金正恩
は金持っているのに俺たちのために使わない」と不安を広げている。
なお、仮想通貨については民間でできることはないので、それは難しいと思い
ます。それより、北朝鮮が見て、日本で拉致に関する世論が下がっていないこと
が大事です。逆に親世代が無くなって以降時間が経つほどに関心が下がると判断
すれば返しませんので、そこが勝負です。そこでできることをしてくださればと
思います。
ウクライナのことは拓也さんお願いします。
◆困っている方々を救う、結局は正義と悪の戦い
横田拓也 私は政治的な意味ではなく、人と生まれて、楽しく平和に暮らしてい
けることが当たり前だと思いますが、無差別に殺戮して、自分の手を血に染める
ような行為は恥ずべきことと思います。
また人権侵害している国々に対してやはり声を挙げていく必要があると思いま
す。自分がそういうことをされて嬉しいか。金正恩の娘とされる人が同じように
拉致されたら、自分の国が他国から攻め込まれたら受け入れられるのかというこ
とを考えれば、人権問題を解決しないでいること、無差別に殺戮している国に砲
弾を渡すのは恥ずべき行為ではないのかを考えてほしいと思います。
私はウクライナの日本大使館に寄付をしていますが、遠回りかもしれませんが
私たちの活動につながる、困っている方々を救う、結局は正義と悪の戦いですか
ら、正義が勝つためには地道でも声をあげていくべきと思っています。
◆人道支援でも解決できる
問 自国民を殺しておいて、彼には人権なんか分からない、人道なんか分かるの
かという気がしてならない。人道支援では解決しないのではないかと考えざるを
得ない。
西岡 人道支援が効くかどうかは彼らがどれだけ困っているかによる。彼らは唯
物論者です。おっしゃる通り善意は通じない。エバースタットさんが「300万
人餓死しても動かなかった国が人道支援で動くだろうか」と言っていました。
しかし今、軍隊が飢えています。庶民はそれぞれのやり方で食べているんです。
300万人餓死した時は庶民が配給に頼っていたから、配給がなくなって死んで
いった。その後配給はないですから、自分で食べる術を持っている。しかし、軍
人の家族は商売をやっていないのです。
そういう人たちが飢え始めている時、体制を維持するために対処しなければな
らないと、彼も計算をするだろうと思います。人質を使って大規模な食糧をただ
で貰えることを、唯物論者ならやる可能性があると思います。
以上
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■岸田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 岸田文雄殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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