救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮食糧危機の現状と拉致問題?特別集会報告3(2023/06/30)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.06.30)

■北朝鮮食糧危機の現状と拉致問題?特別集会報告3

◆国内で麻薬が流通

チョン・グァンソン 北朝鮮の住民がどのように苦しい生活をしているかについ
て、お伝えしたいと思います。先月の「月刊朝鮮」に書いた内容です。

 北朝鮮が麻薬を製造して国際社会に売っていることは皆さんよく知っていると
思います。しかしその麻薬も国境が封鎖されたため外に出せなくなって、北朝鮮
内部で流通し始めました。

 そこでお腹をすかせた住民たちは最後の食料を売って麻薬を買い、麻薬を呑ん
で自殺するようになっています。麻薬供給者が都市だけでなく農村にも行って、
「この麻薬を呑めば何日もご飯を食べなくても働ける」とだまして麻薬を売ると
いうケースもあります。

◆私たちはギリギリの瞬間に今立っている

金聖● 金正恩が独裁者であることは事実です。また彼らは300万人が餓死し
ても、それを無視した独裁者でもあります。一方皆さんが訴えているように、拉
致問題がもう最後の瞬間を迎えており、「時間的期限がある」ことも事実です。

 私たちはギリギリの瞬間に今立っていると思います。しかし私はより一層外部
からの制裁が強まる中、金正恩が住民のことを考えてではなく、自分のことを考
えて、私たちにとってはいいこと、つまり拉致被害者を返す決断をする可能性も
あると思います。

 そのために自由北韓放送としてできることを、家族会・救う会と日本政府も自
分たちでできることをやっていくべきだと思いますし、そのために努力したいと
思います。ありがとうございます(拍手)。

◆平壌の中心部でも配給が止まったのは重大

西岡 若干補足します。「苦難の行軍」の時には配給が来ることを信じた、忠誠
心がある人たちが死んでいった。商売ができる人が生き残った。人口の15%が
死んだのですが、その後も一般庶民に対する配給は復活していません。

 それでも餓死者が出ていなかった。それは自分で努力すれば生活が豊かになる
というシステムを、党ではなく庶民が作り上げたのです。闇市、市場経済のよう
なものができたのです。

 その鍵は中国からはいってくる物品だった。市場で売られている物は、食糧以
外の日常品は9割以上中国の製品で、通貨は人民元を使っていました。だから人
民元経済圏に入っていたのです。

 ところがコロナでそれが遮断された。みんな市場でお金を稼いで食糧を買って
食べていた。だから給料では高い米を買えないけど、市場で稼いだら米を1キロ
5000ウォンで買えたのです。商売ができなくなり、市場に食糧がないわけで
はないのに買えなくなった。

 金正恩が去年、「新糧穀制度」を導入して、「なぜ市場に食糧があるんだ」、
「なぜ兵士が飢えているのか」、「横流ししている奴がいるからではないか」、
「横流しをやめさせろ」と言って、市場で穀物を売るのを止めさせて、「糧穀配
給所」を作って、そこで市場の価格の8割くらいの値段で売るようにしたのです
が、そこに穀物が回っていかない。

 市場で穀物を売っていた人たちは穀物を隠します。見つけたら没収されるので
すが、隠すから余計に穀物が出てこない。そのシステムがおかしくなったことも
含めて餓死者が出たのです。

 基本的に商売で食べていたのに商売ができなくなった。それが庶民が生きてい
けなくなった理由です。それと生産がどんどん落ちています。ついに幹部たちに
も食糧が配れなくなった。これは「苦難の行軍」の時期にはなかったことです。

 平壌の中心部で配給が止まっているのは本当に重大なことです。党の組織指導
部は幹部の中の幹部がいるところですが、その幹部の一人がある人に、「俺たち
も三食の心配をしなければならなくなった」と言ったということです。

 それくらい幹部たちの配給も途絶え始めた。保衛部や安全員や軍の家族持ちの
将校たちでも、家族への配給が5月から止まったそうです。もちろん秋になった
ら配給を再開するかもしれませんが、今は一番苦しい時期を迎えています。

 咸鏡南道の端川(タンチョン)にマグネシウムの炭鉱があるのですが、そこで
6月初めに200?300人の除隊軍人の労働者が暴動を起こした。「食糧がな
い」と。鎮圧されて、かなりの人が死んだと聞いていますが、自殺とか逃亡とい
うことではなく、集団で暴動が起きた。一つ段階が上がったということで保衛部
が警戒しているそうです。

 そういう中で5月27日の国民大集会で岸田総理が、「高いレベルで日朝首脳
会談のための協議をしたい」と言ったら、二日後に「会えない理由はない」とい
う反応があったのが今の状況です。

 では4人の家族会の方にお願いします。

◆日朝の人権問題を見逃してはならない

横田拓也(横田めぐみさん弟、家族会代表)

 皆さん、こんにちは。貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございます。
私たち日本人が想像する以上の厳しくて、難しいお立場の中で声を挙げてくれた
勇気と正義の心に頭が下がる思いです。心から御礼申し上げます。

 皆さんの自由と正義のために戦っている今の構造というのは決して無駄ではな
いと思いますし、私たち家族会は皆さんの行動と共にあります。そして皆さんは
私たちの戦いと同じ立場で戦っていただいているので、とても心強いと思ってい
ますし、そして私たち日本国民の世論は、北朝鮮国民の本当に苦しい実態や心も
ちを、今日お話しいただいた皆さんの声から、「声なき声」を聞くことができた
のではないかと思います。

 金聖●さんとは、2006年に私の母と私が、ホワイトハウスでブッシュ大統
領とオーバルルームでお会いした時以来、ずっと戦友の間柄であり、今日も人権
問題解決のために同じ行動ができていることを心から感謝しています。

 家族会は1997年頃に脱北者した元工作員の安明進(アン・ミョンジン)さ
んから多くの話を聞いたことがあります。「処刑場の場で一方的に殺されてしま
う国民が、銃に撃たれても血が出ないほど栄養失調なんだ」ということを教えて
頂きました。

 また日本人拉致被害者5人が、国民世論の後ろ支えもあって帰国することがで
きましたが、彼らから聞いた当時の様子も非常に残酷なものでした。重さを合わ
せるために米の袋には砂利が入っていて、水で溶くと泥水になってしまった。

 そして冬になれば暖を取ることができないので、家族で団子のように丸まって
くっついて暖を取っていた。そんな苦しい現実を知らされて、今日も同じように
苦しい話を聞かされて、私たちはこの問題を絶対に見逃してはならない、許して
はならないという気持ちに改めてなりました。

 一方で2500万人の北朝鮮国民の方々と拉致された被害者の犠牲の上に、核
開発と、1発8億円から4億円もするミサイルを発射しているわけです。

 金ファミリーは親子三代に渡って、自分たちの国民に対して肉のスープを提供
すると言っているが、状況は悪化の一途を辿っています。金正恩委員長は拉致問
題の全面解決、つまり全拉致被害者の即時一括帰国を速やかに行って、両国にとっ
て明るい未来を描くべきだと改めて伝えたいと思っています。

 そして最後に日本政府に、改めて強く求めるのは速やかに金正恩委員長との日
朝首脳会談を開催して、私たちの大切な家族と兄弟を取り戻してほしい。このこ
とを岸田総理に伝えていただいて、外交を動かしてほしいと思っています。引き
続き皆様方のご支援を宜しくお願いいたします。

◆やはり北朝鮮という国自体の体制が変わらなければならない

飯塚耕一郎(田口八重子さん長男、家族会事務局長)

 皆さん、こんにちは。本日は自由北韓放送の関係者の皆様に色々なお話を聞か
せていただいて、大変ありがとうございます。脱北後北朝鮮に対して色々な活動
をして、よりよい国になろうということで尽力されていることに敬意を表します。

 これまで脱北者の肩から北朝鮮の惨状を聞く機会は何回もありました、今日も
お話を伺って、やはり北朝鮮という国自体の体制が変わらなければならないと強
く思います。

 またそのようなダイナミックな変化を作るのは大変難しいと思っていますし、
現実的でもないと思います。我々は、「全拉致被害者の即時一括帰国」と言って
いますが、少しでも北朝鮮自身が未来的、現実的な姿勢になることを期待し、我
々も言いつ続けたいと思っています。

 横田代表も含め我々は国連等に行って人権問題で何度もお話しさせていただき
ました。我々の力は一部にしかならないとしても、それを確実に進め、家族を日
本に取り戻すこと。それによって北朝鮮や北朝鮮を取り巻く人権問題が前を向く
ように引き続き努力したいと思います。

 まずは日本政府が主体的に、そして中心となって新しい切り口を開くことです。
岸田総理は自覚して人権問題の話やトップレベルの会談を実現するということを
述べられましたが、繰り返し北朝鮮に呼び掛けることが大事だと考えています。

◆金正恩氏は岸田総理の働きかけによる日朝協議に応じてほしい

横田哲也(横田めぐみさん弟、家族会事務局次長)

 皆さん、こんにちは。今日は脱北された4人の肩から北朝鮮の食糧事情を含め
て、危機的状況にあることを教えていただきました。また言葉には表せないよう
な様々な苦労をされてきたものと思います。

 そして今の北朝鮮で知人や友人が非常に苦労を強いられていることをとても心
配されているのではないかと思います。金ファミリーは自分たちが豊かな生活が
できれば、北朝鮮国民がどんな貧困の極みにあろうと全く関心がないと思います。
そして北朝鮮住民がどんなに人権蹂躙されようとも、関心がないと思います。

 同じように日本人拉致被害者がどのような境遇にあろうとも、おそらく全く関
心がないものと思います。動物以下の扱いを受けている状況が想像されるわけで
すが、同じ地球に生きる者として決して看過できるものではないと考えています。

 そのような状況を改善するには、真実や自由というものがどういうものかを北
朝鮮に知らしめることが大事だと思います。このことから自由北韓放送が行って
いる活動には大きな意味があると考えています。

 金正恩自らが窮地に追いやられる前に、日本国民を速やかに開放することで北
朝鮮国民を豊かにして、国自体が豊かになることを切に願っています。

 今日この集会が始まる前に、(自由北韓放送の収録を行い)北朝鮮にいる私た
ちの家族に向けたメッセージを発信しました。近いうちに家族の人達が日本に戻っ
てきた時に、「あのメッセージを聞いていたよ」という日が来ることを切に願っ
ています。

 北朝鮮においてはそして金正恩氏においては、岸田総理の働きかけによる日朝
協議を早期に受諾して、実のある結果を出してほしいと思っています。

 今日おいでの皆様、自由北韓放送の皆様、韓国国民の皆様、WEBで聞かれた国
民の皆様におかれましても引き続きよろしくお願いいたします。

◆今日は私の兄薫の70歳の誕生日

松木信宏(松木薫さん弟)

 皆さん、こんにちは。今日は私の兄薫の70歳の誕生日に当たります。日本か
ら26歳で拉致されました。夢も希望もあった人生が、他人によって自分が望ん
でいない人生に変更させられて、日本にいたよりも長い43年の人生を北朝鮮で
送らざるをえなくなっているという現実は重く受け止めなければならないと思い
ます。そういうことをラジオの収録でも言いました。

 しかし、どういう環境下にあろうと、その状況の中でベストを尽くそうとした
ことは、小泉訪朝の時の自分が作ったシナリオを見ても、よく頑張ったことが容
易に察せられました(北朝鮮で日本語を教える時に教材として使用していたとさ
れる日本のテレビドラマ「出航」のシナリオで小泉訪朝の時日本に返された)。

 しかし、いい状況に置かれていないことは皆様ご承知の通りですが、北朝鮮は
日朝平壌宣言もストックホルム合意も一度合意して日本側が否定していないから、
すぐに合意した時の状況に戻れるような感覚でいるのだろうと思います。

 若い時に人生を変えられて今更戻れないのと同様に。当時合意したことがその
まま元に戻るようなことは常識的には考えられず、ある程度戻すにしても様々な
過程が必要になると思います。

 拉致問題の解決のために、あるいは対北政策として、日本政府は「平壌宣言も
ストックホルム合意も破棄しない」と言っており、ある程度維持しようとする気
持ちを持っていると思います。

 日本政府も決断が必要だみたいなことを言っていますが、決断すべきは北朝鮮
であって、北朝鮮に誠意ある態度を求めてもらいたいと思います。

 北朝鮮人民のためには体制崩壊が一番だと分かっておられる今日の脱北者の皆
様方が、拉致問題解決のために我々の考えを放送していただいていることに感謝
申し上げたいと思います。

 私たちができることは愛する家族を取り戻すことにベストを尽くすことで、脱
北者の方々は北朝鮮に残された身内の方々がこれ以上不幸にならないためにどう
したらいいかということに心を砕いておられると思います。北朝鮮に関係ある人
たちがベストを尽くすことで、拉致問題でも北朝鮮人権問題でも、少しでも前に
進むことを願っています。

 そのためには今後とも皆様のご支援を宜しくお願いいたします。

西岡 ありがとうございました。今日6月25日は朝鮮戦争が勃発し、北朝鮮が
韓国に侵略した日です。そういう日に集会を開いたことも意義があると思います。

 以上



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