動くか北朝鮮-最新報告3(2023/07/26)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.07.26)
■動くか北朝鮮-最新報告3
◆面子は立てて会談する
「大韓機爆破事件でも金正日総書記の直筆の命令書があった」と金賢姫(キム・
ヒョンヒ)さんが言っています。金賢姫は日本語ができ、日本のパスポートを持っ
て活動できること」を金正日総書記は知っていたのです。拉致があったことを知
らなければそんな命令は出せないわけです。
そもそも拉致をする作戦を立てたのは彼で、当時は金日成がいましたが、19
76年以降は、金正日が工作機関を事実上仕切っていました。77年78年につ
いては金正日の責任が重いのですが、それを言わない。人質をまず取り戻すこと
が先です。
それには私も賛成です。安倍さんもそう言っていました。金賢姫さんが東京に
来た時、「北朝鮮はああいう国だから面子を考えてあげなければだめだ」と言っ
ていました。
その時は民主党政権だったのですが、安倍さんが野党の国会議員としてそれを
聞いていて、そこは自分も賛成だ、と。
私たちは、「北朝鮮の再調査は茶番だ。金正恩委員長は被害者がどこにいるか
分かっている」と言っていますが、岸田総理と金正恩委員長が会って、全員を返
すという話がついた後、お父さんの金正日が嘘をついていたことを認めろという
ことはこちらから言わなくていい、ということです。
あの2002年9月に、「金正日総書記に上がった報告が間違いだった」、
「当時も拉致があったことを知らなかった」と言ったが、また言うのではないか。
でもそれでいい。そうやり方しかないのです。私たちもそれでいいと思っていま
す。
◆全被害者の帰国が優先、責任追及は後でいい
配布資料に政府のパンフレットがありますが、この原型は第一次安倍政権の時
に作ったものです。その中に、「政府としては、拉致問題の解決なくして北朝鮮
との国交正常化はあり得ないとの方針を堅持し、拉致被害者としての認定の有無
にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くす。
また、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しを引き続き追求していく」。
第二次安倍政権の時に、「認定の有無にかかわらず」という言葉を入れました。
特定失踪者のことを意識して助ける、ということです。
日本政府の解決の定義は、「認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安
全確保及び即時帰国、真相究明、実行犯の引渡し」です。犯人とは書かず実行犯
としていますが、犯人だったら命令した人になります。それは金正日総書記です
し、今めぐみさんたちを抑留し続けているのは金正恩委員長ですが、それは追及
しないことを政府が書いているわけです。私たちも賛成です。
また私たちの運動方針では、「親の世代が存命の内にすべての拉致被害者が帰っ
てくるなら、人道支援に反対しない」としています。そこには真相究明も実行犯
の引渡しも入っていないのです。「3つの内、1が実現するなら」ということで
す。
ご意見が違う方がおられるかもしれません。なぜこちらが被害者で向こうが加
害者なのにそこまで配慮するのか、と。「先圧力、後交渉」の今交渉の段階に入
りつつあります。北朝鮮が岸田総理の挨拶に返事をしてきていますので、積み木
細工を積んでいくみたいに、崩れないように細い道を通るしかないのです。
そして現在生きている人たちをまず確保する。もちろん真相究明も実行犯の引
渡しも放棄するのではない。国交正常化の前にはしてもらわなければならないけ
れど、「拉致問題の解決なくして国交正常化はありえない」ですが、今岸田政権
として最優先にしてもらいたいのは、生きている人たちを取り戻すことで、北朝
鮮の責任を追及することではないのです。
これは小泉総理もやられたことだし、安倍さんになってからもこの方針を作っ
た時からそう考えていたのです。
◆北朝鮮赤十字社が「5人生存、8人死亡」
先ほど言いましたが、首脳会談が始まる前に、北朝鮮が最初に拉致を認めたペー
パーがあります。これは外務省が翻訳したもので、朝鮮語で来たものです。まず、
日本の赤十字社宛に北朝鮮の赤十字会中央委員会が出した文書です。持ってきた
のは外務省の局長だそうです。
「朝鮮民主主義人民共和国赤十字会は、朝日赤十字会談で、日本側から依頼を受
けた8件11名の行方不明者と2名の欧州失踪者に対する消息調査を行った結果、集
計された結果を次のとおり通知します。
「確認された生存者は、蓮池薫さん、奥土祐木子さん、池(原文ママ)村保志さ
ん、浜本富貴恵さんです」としてまず4人を出しています。曽我ひとみさんは入っ
ていません。
「久米裕さんは、我が国に入って来たことがないものと判明しました。横田めぐ
みさんを始めとしたそれ以外の方達は、死亡したものと確認されました」と志望
者の名前を列挙しています。
「横田めぐみさんの娘さんが生きているものと確認されました。それ以外に日本
側から提起された名簿には無い1名の生存者が確認されました」。これが曽我ひ
とみさんです。
「朝鮮民主主義人民共和国赤十字会は、生存者のご家族、ご親戚が、それらの人
々との面会を希望される場合、便宜を保証する用意があります。
そして、ご本人が希望される場合には、日本への帰国、又は、故郷訪問が実現
するように便宜を保障する用意があります」。
一時帰国として帰ってきましたが、秘密に日本政府に、「残りたい」と意思表
示をしたので、政府が日本に残したのです。「それは約束違反だ」と北朝鮮は言
いますが、「本人が希望される場合には、日本への帰国が実現するように便宜を
保障する用意があります」と言っていますので、何も約束違反はしていないので
す。
ただ子どもたちが北朝鮮にいるので、5人が帰ってきた後、秘密裏に中山恭子
さんと安倍さんだけに、「残りたい」と言っていたのです。赤十字社からのペー
パーはもう一枚ありました。
「朝鮮赤十字社は朝日赤十字社会談において日本側から依頼を受けた行方不明者
についての消息調査を行った結果、集計された状況を次のとおり通知する。
調査は、中央と地方の各級赤十字社が人民保安省、人民委員会の該当部署と緊
密に連携しつつ、全国的な範囲で実施され、新聞、放送を利用した幅広い調査を
通じてより一層深く行われた。
調査結果、日本側が依頼した名簿にある行方不明者中、2002年8月19日
に通知した6名以外の12名の身元が確認された」。「8月19日に通知した」
というのは拉致被害者ではなく日本人妻です。日本が依頼した人については返事
しなかったのです。
「その他1名は、我が領域内に入ったことがないものと確認され、名簿にない1名
の身元が更に確認された」として、生存者は蓮池さん、奥土さん、地村さん、浜
本さんで、生年月日があり、死亡者として、横田さん、有本さん、石岡さん、松
木さん、原さん、市川さん、増元さん、田口さん」となって、「我が領域内に入っ
たことがないもの」が久米さん、「名簿にない1名」が曽我ひとみさんです。
曽我ミヨシさんについて触れていないのですが、後の日朝会談で「入境が確認
されなかった」との返事が来ました。
◆北朝鮮赤十字の調査は以前も間違いがあったと迫れ
この2枚目の紙は当初公開されなかったのです。9月17日に外務省の飯倉公
館に家族が呼ばれて「死亡」だと言われた時は、「死亡かは分かりません」と言っ
た。でも実際に彼らが言う死亡日が書かれていた。
この2枚目の紙は一緒に平壌に行った安倍晋三さんも貰っていないのです。安
倍さんが、私たちが泊まっていたホテルに来てくれたのですが、その時、「死亡
日について聞いても答えられなかった」と。
ところが9月19日の「朝日新聞」がこれを書いたのです。誰かがリークした
わけです。そして政府はこの紙を認めて、家族に「死亡日はこれです」と通知を
したのです。
このプロセスも私たちにとっては不愉快な思い出でありますが、しかし、北朝
鮮側が赤十字の調査として言ってきたのです。実は赤十字の調査は1997年か
ら始まっています。日本がコメ支援をするようになってから、その見返りとして
赤十字が調査をすると言ってきました。
例えば2000年に50万トンのコメ支援をしたのです。私たちは反対して、
外務省前、自民党前で抗議しました。その時も赤十字の調査があって、確か20
01年に、「誰もいませんでした」という報告がきました。
一度、「誰もいませんでした」と言っていたのに、2002年9月に変えたの
です。「調査が進展すれば新しいことがみつかる」と。「拉致がない」を「ある」
に変えることが一番大きなことでした。
もちろん、「死んでいた」という人が、「実は生きていた」というのはかなり
のハードルだと思いますが、でも2002年に政府はそこまで取った。北朝鮮も
自分たちの責任を逃れるため、赤十字という形をとりました。日本政府は、「そ
れでいい」として、これを受け取ったのです。
今、日朝首脳会談のためのハイレベルの協議のための実務接触が行われている
のかもしれませんが、これから行われるのかもしれません。中身を外に出したら
絶対つぶれますから、北朝鮮の直轄の人が、「実はこの人は生きています」と言っ
たということが外に出たら、それで終わりですから、言わなくていいし、秘密で
頑張ってほしいと思います。
しかしその時に、2002年には金正日総書記が大きな度量を見せて、「赤十
字の再調査の結果、実はこういうことが分かったと言ったじゃないですか」、
「以前赤十字は、『誰もいませんでした』と言っていた。赤十字の調査は過去に
間違っていたのだから、今回も間違えていたと認めてもいいじゃないか」という
迫り方ができるのではないかと私は思っています。
◆政府の基本的立場
日本政府の基本的立場はこの白いパンフレット(すべての拉致被害者の帰国を
目指して?北朝鮮側主張の問題点)にあります。
北朝鮮は赤十字の調査結果を出してきて、それについての「証拠」なるものを
出してきました。今も変わっていないのですが、それに対し日本政府の立場は、
政府の拉致問題対策本部が作ったこのパンフレットにあります。大変いいパンフ
レットです。
「2002年9月の日朝首脳会談で、北朝鮮は日本人を拉致していたことを認
め、謝罪しました」。これも大きなことだったのは間違いないですが、「その後、
5名の被害者は帰国しましたが、残りの拉致被害者については、いまだ納得のい
く説明がありません」。これが日本政府の立場です。
そして、
「北朝鮮側は、次ように主張しています。
●(安否不明の拉致被害者12名のうち)8名は死亡、4名は北朝鮮に入ってい
ない。
●生存者5名とその家族は帰国させた。死亡した8名については必要な情報提供
を行い、 遺骨(2人分)も返還済み。
●日本側は、死んだ被害者を生き返らせろと無理な要求をしている」。
これは繰り返し北朝鮮が言っていることです。宋日昊 (ソン・イルホ)大使
等が繰り返し言っています。
それに対する日本政府の立場、これは私たち家族会・救う会でもあります。
「しかし、こうした北朝鮮側の主張には以下のように多くの問題点があり、日本
政府は、北朝鮮側の主張を決して受け入れることはできません。そして、被害者
の『死亡』を裏付けるものが一切存在しないため、被害者が生存しているという
前提に立って被害者の即時帰国と納得のいく説明を行うよう求めていま。日本政
府は、決して「無理な要求」をしているのではありません」と言っています。
つまり赤十字の2002年9月に出てきた調査結果は認められないと言ってい
る。横田さんご夫妻がモンゴルに行って、ウンギョンさん(めぐみさんの娘)と
会って、その延長線上で局長級協議が開かれた。そしてストックホルム合意がで
きました。
◆秘密情報をリークしてはならない
北朝鮮は、「再調査する」と言いましたが、その時の進め方について私たちは
大変不満を持っていました。北朝鮮がミサイルを発射したり、核実験をしたこと
で(日本が制裁を復活させたため)、再調査委員会は解散したことになっていま
すが、繰り返し「共同通信」が、「ストックホルム合意の後の日朝協議で認定被
害者の田中実さんと朝鮮籍の特定失踪者の金田龍光さんの生存を伝えてきたが、
安倍総理は「それだけでは足りないから拒否しろ」と言って、「それで田中さん、
金田さんが事実上見殺しにされた」というような報道を繰り返ししました。
私が大変怒っているのは、安倍総理が殉職された後、去年の9月に、当時の外
務次官だった斎木さんが、「朝日新聞」のインタビューで、「田中さん、金田さ
んについてはそういう話(生存情報)がありました」ということを認めました。
終わっていない交渉の一部分だけを抜いてリークするということを、外務次官
をやった人がするのか、と。それも安倍さんが亡くなった後に、安倍さんを批判
する側に有利になるようなことをするのかと、大変怒っています。
私はこのことについて生前の安倍さんと話をしました。色々と取材もしました。
そういう情報が出たのは間違いないようです。しかしそれは、今後の裏交渉で北
朝鮮に対し気を付けてもらいたいという意図があるのでここで申し上げるのです
が、北朝鮮は見返りなしに何か情報を出すことはないのです。
それも裏交渉で起きたことですから、また建前としては「拉致は解決した」と
言っているのですから、誰かの情報が外に出ただけでその担当者が危なくなるこ
とだってあるのです。
見返りなしにそういうことを交渉の中で言うわけがないのです。見返りも含め
て、何を出すのかという交渉は秘密でやってもらわなければ先に進まないのです。
北朝鮮が田中さん、金田さんを出してきたことの見返りは、「これで終わりにす
る」ということです。
8人について「死亡」の証拠がない。全員生存が前提で被害者の即時一括帰国
に向けて納得ある説明を求めていくという日本政府の立場と反する提案が出てき
たら、それは呑めない。
報道などによると、その頃「ウンギョンさんの留学の話等が進んでいた」と言
います。横田さんのお孫さんで、田中さんと金田さんは親戚がなく平壌で幸せに
暮らしている。そしてこの問題について明確な返事がなくても終わりにする。
しかし終わりにできないから、「合同調査委員会」を作って調査を続けながら、
国交正常化に向かっていくというようなことではなかったのか。それを強く疑っ
ています。
少なくとも秘密交渉で出たことの一部を外に出してはだめなんです。そうする
と、その交渉が信用されなくなる。そういうことは絶対やめてほしい。安倍総理
は最終的にストックホルム合意の危険性に気付いて、切ったのです。
私は、表向きは総理が決断することだから、家族会・救う会は批判する声明は
出しませんでしたが、個人的には「危ないですよ」と安倍さんに直接申し上げま
したし、メモも上げたりしました。中山恭子さんが一番強い危機感を持って直接
電話したりしていました。
物事が動き始めると事前予定ではない所に着地をしようとする人たちも出てく
る。少なくとも北朝鮮の中にはそういう人たちがいます。一部の元議員の方等は
SNSで、「田中、金田をまず受け入れることが前提だ」等と書いておられるこ
とは承知しています。そういう雑音に惑わされないで、絶対に秘密を守って、し
かし日本政府の基本方針の、「死亡の証拠はないから全員生存の前提に帰国を求
める」という趣旨を貫いてほしい。
そして、未入境の人についても久米さん、松本さん、田中さん、曽我ミヨシさ
んについて、北朝鮮は「拉致をしていない」と言っていますが、日本政府は、
「捜査の結果いずれも北朝鮮の関与が明らかだ。北朝鮮が消息を全く知らないと
いう説明はそのまま受けることはできない」と書いています。
特定失踪者がいるかいないかという問題ではなく、日本政府が認定している4
人についても、北朝鮮は認めていないのです。北朝鮮は明らかに全員認めていな
いのです。そして政府は、「認定の有無に関わらず全員を助ける」と言っている
のです。
認定していない人も助けるというのが、ここに書いてあるように政府の方針で
す。ただそれが何人なのかは分からない。政府がどのくらい北朝鮮内部の情報を
取っているか。それも勝負です。それを外に漏らしたら、北朝鮮は隠そうとする
でしょう。
◆北朝鮮の罠にはまってはならない
最初の話に戻りますが、岸田総理の挨拶に、去年の10月から始まった、拉致
と核・ミサイルを切り離す、そして時間的制約という切迫感を北朝鮮に訴えると
いう岸田総理の戦略に、私たちも歩調を合わせて、「人道支援に反対しない」と
いう運動方針を出してアメリカに行って理解を得ることができたという枠組みの
中で、5月27日、29日に、岸田総理と金正恩委員長の意を体したと思われる
外務次官のやりとりがあった。ここまで来ました。
しかし北朝鮮は、「解決済み」という建前は崩していない。しかし、「解決済
みじゃない」という人と「話し合う」と言っている。その時に、「8人死亡、4
人未入境」という姿勢を貫くのか、北朝鮮が出してくると思われる横田家につい
てはお孫さんのこと、そして家族のいない人(田中、金田)だけを出そうとする、
そういう変則球に乗って次に行こうとするのか。
これは安倍総理が「危ない」と思って止めたことに、罠にはまってはならない。
だから私たちは繰り返し「一括帰国」と言っているのです。
但し、その交渉は公開する必要はない。そして北朝鮮を必要以上に追い詰める
のもよくない。「赤十字が出したことで、過去にも赤十字が間違えたことがある
しょう」と、そういう迫り方でいいと今思っています。
◆「情報」が取れているかが勝負
拉致問題対策本部ができたのは2006年で、そこには情報室があるわけです。
予算を使って様々な情報が蓄積されていると私は理解しています。それらは一切
出されていませんが、岸田総理のポケットにその情報を入れて是非平壌に行って
もらいたいと思っています。
トランプ大統領が、ハノイで米朝首脳会談をした時、北朝鮮は寧辺にある5千
キロワットの原子炉を廃棄すると言った。その横にあるウラニウム工場も廃棄す
ると言った。「だから制裁の8割くらいを解除してください」と。
トランプ大統領は、「プルトニウムを作る原子炉は寧辺にしかない」と。これ
はかなり古いもので1986年に臨界したものですが、「しかし、濃縮ウラニウ
ム工場は他にもあるでしょう」と。報道によると、「私たちは1インチレベルで
あなたたちが何をやっているか分かっているのですよ」、「あなたはまだ準備が
できていないようですね」と言って、ランチの約束をキャンセルして帰ってしまっ
た。
それは、トランプ大統領がそう言える情報をアメリカの情報機関が取っていた
からです。地下にあるんです。地上にもある。それについて確実な情報を持って
いたから騙されなかった。
逆に金正恩は情報を持っていないと誤解したから、自信満々でトランプ大統領
に会った。金正恩は列車でハノイまで行って、「絶対成功する」と思っていたの
です。普通は帰ってから報道しますが、出発する前に報道した。絶対大丈夫だと
思ったからです。アメリカは情報が取れていないと思ったから行ったのですが、
アメリカは騙されなかった。
岸田総理をだまそうとしたら、具体的な生存情報があり、情報源のことがある
から全部は出せなくても、変なことを言ったら、「あなたは準備ができていませ
んね」と言えるかどうかです。
「情報」を是非取ってほしいと思います。交渉では、基本的立場を貫いてほし
い。但し、北朝鮮を追い込むやり方ではなく、被害者を取り戻すことを最優先に
してほしいと思います。そして、秘密を守ってほしい。
それが今、私が考えている岸田総理に望むことです。私たちはある面で歩調を
合わせて、総理としてあそこまで踏み込んだことを言ってくださったので、この
方針を続けてほしい。
安倍総理の一周忌の行事等でも、「安倍さんがやろうとしてできなかった拉致
問題を引き継ぐ」とおっしゃっていますので、その強い意志を私は信頼していま
す。是非結果を出してほしいと思います。
岸田総理もご承知の通り、親の世代の家族の方々も本当に高齢化されています。
そういう点では「時間的制約」があるのです。アメリカに行った時、「時間的制
約」と繰り返し言ったら、「タイム リミット」と訳されました。しかし、北朝
鮮にとっても「タイム リミット」なのです。
(4につづく)
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■岸田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 岸田文雄殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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■動くか北朝鮮-最新報告3
◆面子は立てて会談する
「大韓機爆破事件でも金正日総書記の直筆の命令書があった」と金賢姫(キム・
ヒョンヒ)さんが言っています。金賢姫は日本語ができ、日本のパスポートを持っ
て活動できること」を金正日総書記は知っていたのです。拉致があったことを知
らなければそんな命令は出せないわけです。
そもそも拉致をする作戦を立てたのは彼で、当時は金日成がいましたが、19
76年以降は、金正日が工作機関を事実上仕切っていました。77年78年につ
いては金正日の責任が重いのですが、それを言わない。人質をまず取り戻すこと
が先です。
それには私も賛成です。安倍さんもそう言っていました。金賢姫さんが東京に
来た時、「北朝鮮はああいう国だから面子を考えてあげなければだめだ」と言っ
ていました。
その時は民主党政権だったのですが、安倍さんが野党の国会議員としてそれを
聞いていて、そこは自分も賛成だ、と。
私たちは、「北朝鮮の再調査は茶番だ。金正恩委員長は被害者がどこにいるか
分かっている」と言っていますが、岸田総理と金正恩委員長が会って、全員を返
すという話がついた後、お父さんの金正日が嘘をついていたことを認めろという
ことはこちらから言わなくていい、ということです。
あの2002年9月に、「金正日総書記に上がった報告が間違いだった」、
「当時も拉致があったことを知らなかった」と言ったが、また言うのではないか。
でもそれでいい。そうやり方しかないのです。私たちもそれでいいと思っていま
す。
◆全被害者の帰国が優先、責任追及は後でいい
配布資料に政府のパンフレットがありますが、この原型は第一次安倍政権の時
に作ったものです。その中に、「政府としては、拉致問題の解決なくして北朝鮮
との国交正常化はあり得ないとの方針を堅持し、拉致被害者としての認定の有無
にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くす。
また、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しを引き続き追求していく」。
第二次安倍政権の時に、「認定の有無にかかわらず」という言葉を入れました。
特定失踪者のことを意識して助ける、ということです。
日本政府の解決の定義は、「認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安
全確保及び即時帰国、真相究明、実行犯の引渡し」です。犯人とは書かず実行犯
としていますが、犯人だったら命令した人になります。それは金正日総書記です
し、今めぐみさんたちを抑留し続けているのは金正恩委員長ですが、それは追及
しないことを政府が書いているわけです。私たちも賛成です。
また私たちの運動方針では、「親の世代が存命の内にすべての拉致被害者が帰っ
てくるなら、人道支援に反対しない」としています。そこには真相究明も実行犯
の引渡しも入っていないのです。「3つの内、1が実現するなら」ということで
す。
ご意見が違う方がおられるかもしれません。なぜこちらが被害者で向こうが加
害者なのにそこまで配慮するのか、と。「先圧力、後交渉」の今交渉の段階に入
りつつあります。北朝鮮が岸田総理の挨拶に返事をしてきていますので、積み木
細工を積んでいくみたいに、崩れないように細い道を通るしかないのです。
そして現在生きている人たちをまず確保する。もちろん真相究明も実行犯の引
渡しも放棄するのではない。国交正常化の前にはしてもらわなければならないけ
れど、「拉致問題の解決なくして国交正常化はありえない」ですが、今岸田政権
として最優先にしてもらいたいのは、生きている人たちを取り戻すことで、北朝
鮮の責任を追及することではないのです。
これは小泉総理もやられたことだし、安倍さんになってからもこの方針を作っ
た時からそう考えていたのです。
◆北朝鮮赤十字社が「5人生存、8人死亡」
先ほど言いましたが、首脳会談が始まる前に、北朝鮮が最初に拉致を認めたペー
パーがあります。これは外務省が翻訳したもので、朝鮮語で来たものです。まず、
日本の赤十字社宛に北朝鮮の赤十字会中央委員会が出した文書です。持ってきた
のは外務省の局長だそうです。
「朝鮮民主主義人民共和国赤十字会は、朝日赤十字会談で、日本側から依頼を受
けた8件11名の行方不明者と2名の欧州失踪者に対する消息調査を行った結果、集
計された結果を次のとおり通知します。
「確認された生存者は、蓮池薫さん、奥土祐木子さん、池(原文ママ)村保志さ
ん、浜本富貴恵さんです」としてまず4人を出しています。曽我ひとみさんは入っ
ていません。
「久米裕さんは、我が国に入って来たことがないものと判明しました。横田めぐ
みさんを始めとしたそれ以外の方達は、死亡したものと確認されました」と志望
者の名前を列挙しています。
「横田めぐみさんの娘さんが生きているものと確認されました。それ以外に日本
側から提起された名簿には無い1名の生存者が確認されました」。これが曽我ひ
とみさんです。
「朝鮮民主主義人民共和国赤十字会は、生存者のご家族、ご親戚が、それらの人
々との面会を希望される場合、便宜を保証する用意があります。
そして、ご本人が希望される場合には、日本への帰国、又は、故郷訪問が実現
するように便宜を保障する用意があります」。
一時帰国として帰ってきましたが、秘密に日本政府に、「残りたい」と意思表
示をしたので、政府が日本に残したのです。「それは約束違反だ」と北朝鮮は言
いますが、「本人が希望される場合には、日本への帰国が実現するように便宜を
保障する用意があります」と言っていますので、何も約束違反はしていないので
す。
ただ子どもたちが北朝鮮にいるので、5人が帰ってきた後、秘密裏に中山恭子
さんと安倍さんだけに、「残りたい」と言っていたのです。赤十字社からのペー
パーはもう一枚ありました。
「朝鮮赤十字社は朝日赤十字社会談において日本側から依頼を受けた行方不明者
についての消息調査を行った結果、集計された状況を次のとおり通知する。
調査は、中央と地方の各級赤十字社が人民保安省、人民委員会の該当部署と緊
密に連携しつつ、全国的な範囲で実施され、新聞、放送を利用した幅広い調査を
通じてより一層深く行われた。
調査結果、日本側が依頼した名簿にある行方不明者中、2002年8月19日
に通知した6名以外の12名の身元が確認された」。「8月19日に通知した」
というのは拉致被害者ではなく日本人妻です。日本が依頼した人については返事
しなかったのです。
「その他1名は、我が領域内に入ったことがないものと確認され、名簿にない1名
の身元が更に確認された」として、生存者は蓮池さん、奥土さん、地村さん、浜
本さんで、生年月日があり、死亡者として、横田さん、有本さん、石岡さん、松
木さん、原さん、市川さん、増元さん、田口さん」となって、「我が領域内に入っ
たことがないもの」が久米さん、「名簿にない1名」が曽我ひとみさんです。
曽我ミヨシさんについて触れていないのですが、後の日朝会談で「入境が確認
されなかった」との返事が来ました。
◆北朝鮮赤十字の調査は以前も間違いがあったと迫れ
この2枚目の紙は当初公開されなかったのです。9月17日に外務省の飯倉公
館に家族が呼ばれて「死亡」だと言われた時は、「死亡かは分かりません」と言っ
た。でも実際に彼らが言う死亡日が書かれていた。
この2枚目の紙は一緒に平壌に行った安倍晋三さんも貰っていないのです。安
倍さんが、私たちが泊まっていたホテルに来てくれたのですが、その時、「死亡
日について聞いても答えられなかった」と。
ところが9月19日の「朝日新聞」がこれを書いたのです。誰かがリークした
わけです。そして政府はこの紙を認めて、家族に「死亡日はこれです」と通知を
したのです。
このプロセスも私たちにとっては不愉快な思い出でありますが、しかし、北朝
鮮側が赤十字の調査として言ってきたのです。実は赤十字の調査は1997年か
ら始まっています。日本がコメ支援をするようになってから、その見返りとして
赤十字が調査をすると言ってきました。
例えば2000年に50万トンのコメ支援をしたのです。私たちは反対して、
外務省前、自民党前で抗議しました。その時も赤十字の調査があって、確か20
01年に、「誰もいませんでした」という報告がきました。
一度、「誰もいませんでした」と言っていたのに、2002年9月に変えたの
です。「調査が進展すれば新しいことがみつかる」と。「拉致がない」を「ある」
に変えることが一番大きなことでした。
もちろん、「死んでいた」という人が、「実は生きていた」というのはかなり
のハードルだと思いますが、でも2002年に政府はそこまで取った。北朝鮮も
自分たちの責任を逃れるため、赤十字という形をとりました。日本政府は、「そ
れでいい」として、これを受け取ったのです。
今、日朝首脳会談のためのハイレベルの協議のための実務接触が行われている
のかもしれませんが、これから行われるのかもしれません。中身を外に出したら
絶対つぶれますから、北朝鮮の直轄の人が、「実はこの人は生きています」と言っ
たということが外に出たら、それで終わりですから、言わなくていいし、秘密で
頑張ってほしいと思います。
しかしその時に、2002年には金正日総書記が大きな度量を見せて、「赤十
字の再調査の結果、実はこういうことが分かったと言ったじゃないですか」、
「以前赤十字は、『誰もいませんでした』と言っていた。赤十字の調査は過去に
間違っていたのだから、今回も間違えていたと認めてもいいじゃないか」という
迫り方ができるのではないかと私は思っています。
◆政府の基本的立場
日本政府の基本的立場はこの白いパンフレット(すべての拉致被害者の帰国を
目指して?北朝鮮側主張の問題点)にあります。
北朝鮮は赤十字の調査結果を出してきて、それについての「証拠」なるものを
出してきました。今も変わっていないのですが、それに対し日本政府の立場は、
政府の拉致問題対策本部が作ったこのパンフレットにあります。大変いいパンフ
レットです。
「2002年9月の日朝首脳会談で、北朝鮮は日本人を拉致していたことを認
め、謝罪しました」。これも大きなことだったのは間違いないですが、「その後、
5名の被害者は帰国しましたが、残りの拉致被害者については、いまだ納得のい
く説明がありません」。これが日本政府の立場です。
そして、
「北朝鮮側は、次ように主張しています。
●(安否不明の拉致被害者12名のうち)8名は死亡、4名は北朝鮮に入ってい
ない。
●生存者5名とその家族は帰国させた。死亡した8名については必要な情報提供
を行い、 遺骨(2人分)も返還済み。
●日本側は、死んだ被害者を生き返らせろと無理な要求をしている」。
これは繰り返し北朝鮮が言っていることです。宋日昊 (ソン・イルホ)大使
等が繰り返し言っています。
それに対する日本政府の立場、これは私たち家族会・救う会でもあります。
「しかし、こうした北朝鮮側の主張には以下のように多くの問題点があり、日本
政府は、北朝鮮側の主張を決して受け入れることはできません。そして、被害者
の『死亡』を裏付けるものが一切存在しないため、被害者が生存しているという
前提に立って被害者の即時帰国と納得のいく説明を行うよう求めていま。日本政
府は、決して「無理な要求」をしているのではありません」と言っています。
つまり赤十字の2002年9月に出てきた調査結果は認められないと言ってい
る。横田さんご夫妻がモンゴルに行って、ウンギョンさん(めぐみさんの娘)と
会って、その延長線上で局長級協議が開かれた。そしてストックホルム合意がで
きました。
◆秘密情報をリークしてはならない
北朝鮮は、「再調査する」と言いましたが、その時の進め方について私たちは
大変不満を持っていました。北朝鮮がミサイルを発射したり、核実験をしたこと
で(日本が制裁を復活させたため)、再調査委員会は解散したことになっていま
すが、繰り返し「共同通信」が、「ストックホルム合意の後の日朝協議で認定被
害者の田中実さんと朝鮮籍の特定失踪者の金田龍光さんの生存を伝えてきたが、
安倍総理は「それだけでは足りないから拒否しろ」と言って、「それで田中さん、
金田さんが事実上見殺しにされた」というような報道を繰り返ししました。
私が大変怒っているのは、安倍総理が殉職された後、去年の9月に、当時の外
務次官だった斎木さんが、「朝日新聞」のインタビューで、「田中さん、金田さ
んについてはそういう話(生存情報)がありました」ということを認めました。
終わっていない交渉の一部分だけを抜いてリークするということを、外務次官
をやった人がするのか、と。それも安倍さんが亡くなった後に、安倍さんを批判
する側に有利になるようなことをするのかと、大変怒っています。
私はこのことについて生前の安倍さんと話をしました。色々と取材もしました。
そういう情報が出たのは間違いないようです。しかしそれは、今後の裏交渉で北
朝鮮に対し気を付けてもらいたいという意図があるのでここで申し上げるのです
が、北朝鮮は見返りなしに何か情報を出すことはないのです。
それも裏交渉で起きたことですから、また建前としては「拉致は解決した」と
言っているのですから、誰かの情報が外に出ただけでその担当者が危なくなるこ
とだってあるのです。
見返りなしにそういうことを交渉の中で言うわけがないのです。見返りも含め
て、何を出すのかという交渉は秘密でやってもらわなければ先に進まないのです。
北朝鮮が田中さん、金田さんを出してきたことの見返りは、「これで終わりにす
る」ということです。
8人について「死亡」の証拠がない。全員生存が前提で被害者の即時一括帰国
に向けて納得ある説明を求めていくという日本政府の立場と反する提案が出てき
たら、それは呑めない。
報道などによると、その頃「ウンギョンさんの留学の話等が進んでいた」と言
います。横田さんのお孫さんで、田中さんと金田さんは親戚がなく平壌で幸せに
暮らしている。そしてこの問題について明確な返事がなくても終わりにする。
しかし終わりにできないから、「合同調査委員会」を作って調査を続けながら、
国交正常化に向かっていくというようなことではなかったのか。それを強く疑っ
ています。
少なくとも秘密交渉で出たことの一部を外に出してはだめなんです。そうする
と、その交渉が信用されなくなる。そういうことは絶対やめてほしい。安倍総理
は最終的にストックホルム合意の危険性に気付いて、切ったのです。
私は、表向きは総理が決断することだから、家族会・救う会は批判する声明は
出しませんでしたが、個人的には「危ないですよ」と安倍さんに直接申し上げま
したし、メモも上げたりしました。中山恭子さんが一番強い危機感を持って直接
電話したりしていました。
物事が動き始めると事前予定ではない所に着地をしようとする人たちも出てく
る。少なくとも北朝鮮の中にはそういう人たちがいます。一部の元議員の方等は
SNSで、「田中、金田をまず受け入れることが前提だ」等と書いておられるこ
とは承知しています。そういう雑音に惑わされないで、絶対に秘密を守って、し
かし日本政府の基本方針の、「死亡の証拠はないから全員生存の前提に帰国を求
める」という趣旨を貫いてほしい。
そして、未入境の人についても久米さん、松本さん、田中さん、曽我ミヨシさ
んについて、北朝鮮は「拉致をしていない」と言っていますが、日本政府は、
「捜査の結果いずれも北朝鮮の関与が明らかだ。北朝鮮が消息を全く知らないと
いう説明はそのまま受けることはできない」と書いています。
特定失踪者がいるかいないかという問題ではなく、日本政府が認定している4
人についても、北朝鮮は認めていないのです。北朝鮮は明らかに全員認めていな
いのです。そして政府は、「認定の有無に関わらず全員を助ける」と言っている
のです。
認定していない人も助けるというのが、ここに書いてあるように政府の方針で
す。ただそれが何人なのかは分からない。政府がどのくらい北朝鮮内部の情報を
取っているか。それも勝負です。それを外に漏らしたら、北朝鮮は隠そうとする
でしょう。
◆北朝鮮の罠にはまってはならない
最初の話に戻りますが、岸田総理の挨拶に、去年の10月から始まった、拉致
と核・ミサイルを切り離す、そして時間的制約という切迫感を北朝鮮に訴えると
いう岸田総理の戦略に、私たちも歩調を合わせて、「人道支援に反対しない」と
いう運動方針を出してアメリカに行って理解を得ることができたという枠組みの
中で、5月27日、29日に、岸田総理と金正恩委員長の意を体したと思われる
外務次官のやりとりがあった。ここまで来ました。
しかし北朝鮮は、「解決済み」という建前は崩していない。しかし、「解決済
みじゃない」という人と「話し合う」と言っている。その時に、「8人死亡、4
人未入境」という姿勢を貫くのか、北朝鮮が出してくると思われる横田家につい
てはお孫さんのこと、そして家族のいない人(田中、金田)だけを出そうとする、
そういう変則球に乗って次に行こうとするのか。
これは安倍総理が「危ない」と思って止めたことに、罠にはまってはならない。
だから私たちは繰り返し「一括帰国」と言っているのです。
但し、その交渉は公開する必要はない。そして北朝鮮を必要以上に追い詰める
のもよくない。「赤十字が出したことで、過去にも赤十字が間違えたことがある
しょう」と、そういう迫り方でいいと今思っています。
◆「情報」が取れているかが勝負
拉致問題対策本部ができたのは2006年で、そこには情報室があるわけです。
予算を使って様々な情報が蓄積されていると私は理解しています。それらは一切
出されていませんが、岸田総理のポケットにその情報を入れて是非平壌に行って
もらいたいと思っています。
トランプ大統領が、ハノイで米朝首脳会談をした時、北朝鮮は寧辺にある5千
キロワットの原子炉を廃棄すると言った。その横にあるウラニウム工場も廃棄す
ると言った。「だから制裁の8割くらいを解除してください」と。
トランプ大統領は、「プルトニウムを作る原子炉は寧辺にしかない」と。これ
はかなり古いもので1986年に臨界したものですが、「しかし、濃縮ウラニウ
ム工場は他にもあるでしょう」と。報道によると、「私たちは1インチレベルで
あなたたちが何をやっているか分かっているのですよ」、「あなたはまだ準備が
できていないようですね」と言って、ランチの約束をキャンセルして帰ってしまっ
た。
それは、トランプ大統領がそう言える情報をアメリカの情報機関が取っていた
からです。地下にあるんです。地上にもある。それについて確実な情報を持って
いたから騙されなかった。
逆に金正恩は情報を持っていないと誤解したから、自信満々でトランプ大統領
に会った。金正恩は列車でハノイまで行って、「絶対成功する」と思っていたの
です。普通は帰ってから報道しますが、出発する前に報道した。絶対大丈夫だと
思ったからです。アメリカは情報が取れていないと思ったから行ったのですが、
アメリカは騙されなかった。
岸田総理をだまそうとしたら、具体的な生存情報があり、情報源のことがある
から全部は出せなくても、変なことを言ったら、「あなたは準備ができていませ
んね」と言えるかどうかです。
「情報」を是非取ってほしいと思います。交渉では、基本的立場を貫いてほし
い。但し、北朝鮮を追い込むやり方ではなく、被害者を取り戻すことを最優先に
してほしいと思います。そして、秘密を守ってほしい。
それが今、私が考えている岸田総理に望むことです。私たちはある面で歩調を
合わせて、総理としてあそこまで踏み込んだことを言ってくださったので、この
方針を続けてほしい。
安倍総理の一周忌の行事等でも、「安倍さんがやろうとしてできなかった拉致
問題を引き継ぐ」とおっしゃっていますので、その強い意志を私は信頼していま
す。是非結果を出してほしいと思います。
岸田総理もご承知の通り、親の世代の家族の方々も本当に高齢化されています。
そういう点では「時間的制約」があるのです。アメリカに行った時、「時間的制
約」と繰り返し言ったら、「タイム リミット」と訳されました。しかし、北朝
鮮にとっても「タイム リミット」なのです。
(4につづく)
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■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
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