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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

動くか拉致問題 2-最新報告2(2023/10/04)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.10.04)

■動くか拉致問題 2-最新報告2

◆両国の「人道問題」で取引できるなら

 そして三番目ですが、二番目とも関係があるのですが、核・ミサイル問題が解
決していない時に日本が使えるカードには限りがあります。日本は国連制裁違反
をすることはできません。

 核・ミサイル問題で国際社会が厳しい制裁をかけていますが、それは国連安保
理が決めた制裁です。安倍さんとトランプさんが主導して作った枠組です。北朝
鮮は年間30億ドルくらい輸出していましたが、コロナの前に3億ドルまで落ち
ました。そういう厳しい制裁です。

 それは核・ミサイル問題を理由にしていますので、拉致被害者が帰ってきたか
らといって、日本がそれに反することはできないのです。

 しかし、人道支援は国連制裁違反ではないのです。そして日本は国連の制裁よ
り強い制裁をしています。すべての貿易を止めています。すべての船舶の入港を
禁止しています。朝鮮総連幹部などの北朝鮮を目的とした再入国許可は出さない
という制裁もしています。これらは拉致が理由で日本が制裁しているものです。
これらは拉致が動けば解除することができます。カードとして使えるのです。

 そして北朝鮮は今、人道支援を必要としています。今年に入って大変な飢饉が
起きていて、餓死者が出る状況になっています。もともと北朝鮮が日本からほし
かったのは100億ドル、1兆円とも言われる経済支援でした。小泉訪朝の時は
そのような話がなされています。

 しかし今それを動かすことは、核・ミサイル問題が動かない限りできません。
北朝鮮が日本から取りたい物が100億ドルであれば、いくら日本が人道支援が
できますよと言っても振り向かない。核・ミサイル問題と切り離してやりましょ
うと言っても、切り離して100億ドルくれるのかという話です。

 しかし人道支援が必要な条件が生まれているので、岸田総理は去年10月に、
「拉致問題は時間的制約のある人権問題だ」と言って、安保3文書の中の国家安
保戦略では、「拉致問題は時間的制約のある人道問題だ」と閣議決定されて書か
れています。

 日本にとって最優先の人権問題、人道問題が拉致被害者の全員帰国で、それも
親の生きている間に会わせることだ。あなたたちにも人道問題があるでしょう。
「人道問題と人道問題で交渉しましょう」というカードが有効な時期になってき
た。それを岸田政権は去年の10月からそういうことを言い始めました。

 安倍政権も菅政権もそれは言っていません。表向き言っていたのは、日本にとっ
て最優先課題である拉致問題と、核・ミサイル問題を同時に解決して、不幸な過
去を清算して国交正常化し、経済協力すると言っていたのです。「切り離す」と
いうことは一度も公的に言ったことがない。

 安倍さんは、家族だけの席ではそれらしいことを言いましたが、それは外に出
せることではない、外交上の問題があると。本音では、「やる時はやる」と言っ
ていましたが、岸田さんは公然と、拉致だけに「時間的制約」という言葉を付け
ています。

 それについて櫻井よしこさんが岸田さんに直接聞いたら、「拉致問題は別次元
である」と言っています。それは核・ミサイル問題と一緒にすると「時間的制約」
があり間に合わないからです。

 そして北朝鮮は今人道支援が必要な状況になっています。そこから出た戦略的
な判断だと思います。それを去年10月に言い、そして5月にも同じことを言っ
たら、北朝鮮から「会えない理由はない」という外務次官の談話が出たわけです。

 私はその談話の内容よりも、反応が速かったことに注目しています。土曜日に
岸田総理が我々の国民大集会に来たのです。そうしたら月曜日の朝に談話を出し
た。そして岸田総理が土曜日のある集会で「私直轄のハイレベルで協議を行いた
い」と言ったと引用しています。

 土曜日の国民大集会に誰かが来ていてテープ起こしをして平壌に送り、談話の
案を金正恩に見せて、そして月曜日に出た。北朝鮮も基本的には日曜日は休みで
す。北朝鮮では金正恩委員長の決済がなければすべてのことが進まないのです。

 唯一指導体制と言って、最高指導者だけが決定権を持つ。それ以外の幹部は最
高指導者が決めたことを実行するという政治システムになっているので、決済を
貰いたい人たちが列をなしているんです。そういう中で横から入って週末に決済
を貰った。それは、金正恩委員長が、「岸田総理が何か言うはずだから俺に報告
しろ」と事前に言っていなければおきないことです。

 そういう何らかのコミュニケーションがあの時点で取れていたのだと思います。
私は交渉のプロセスについては知りませんし、政府に対しても「教えてくれなく
てもいい」と言っています。漏れるのが一番よくないですから。但し、結果につ
いては意見を言います。「全拉致被害者の即時一括帰国という観点から意見を言
いますよ」とは言っています。

 どう考えても、土曜日の午後に話した内容が引用された談話が月曜日の朝出た
というのは、コミュニケーションが取れているということなんです。

◆「北朝鮮の食糧事情が好転した」のか

 6月になって北朝鮮外務省の日本研究所の研究員が、「日本政府(松野官房長
官)が行った国連での発言について、これは拓也さんも耕一郎さんも参加した拉
致のシンポジウムですが、「その発言がけしからん」という声明を出しましたが、
それは決済なしでできるのです。なぜなら前年も、同じことを同じ人物が言って
いるからです。「日本政府がこういう発言をしたらあなたが反論しろ」という命
令が出ているのだから、新しい命令が出ない限りそれはできるんです。

 研究所の研究員の反論などは金正恩の決済が必要ないんです。「止めろ」とい
う命令が来ない限り同じことをやるのです。しかし、月曜日の談話はそういうも
のではない。そしてその後起きたことは、先ほど拓也さんが言った訪ロです。朝
露首脳会談をしました。北朝鮮でコロナが開けたことになって初めて金正恩が外
遊して行った首脳会談でしたが、残念ながら岸田総理との首脳会談ではなく、プー
チン大統領との首脳会談だった。

 ここで一番注目しているのは、今も情報を集めているところですが、プーチン
が食糧支援をどのくらい約束したのかです。先ほど言った三つの背景の内、人道
支援が必要な状況が変わってしまうくらいプーチンが食糧支援をしたら、一息つ
いてしまう。日本への関心が下がってしまうのではないか。

 あるいは、私は見ていないのですが、事務所の人がテレビを見ていたら、「朝
日新聞」の元ソウル特派員がテレビに出て、「中国から20万トンの食糧が最近
入った。だから北朝鮮の食糧事情が好転した」という報道がありました。

 また韓国の統一部の当局者が9月19日に、「北朝鮮が食糧の輸入を増加させ、
麦や小麦などの収穫が相当進んでいるので、食糧状況が上半期以降変化した可能
性がある」と言った。そして、「上半期に食糧難があったことが推定される。そ
れは絶対量が少なかったのではなくて、流通過程上の問題が大きかった」と言っ
て、「上半期以降変化があった」と観測しています。 そして、「秋になってま
た状況が変わるようだ。関係機関と共に食糧事情を注視している」と少しよくな
るのではという話をしています。

 さらに、まさに私の関心事ですが、金正恩訪露に同行したアレキサンドル・マ
ツェゴラという駐北朝鮮ロシア大使がタス通信とのインタビューで、9月17日
に、「北朝鮮に食糧援助をする準備ができていると伝えたら、北朝鮮側が、「望
んでいない」と、さらに「今年の秋の収穫はかなりいい」と言ったそうです。

 同大使が、「2020年にロシアは5万トンの小麦を無償で提供した。これを
再び行う準備ができている」と言ったら、北朝鮮側は、「北朝鮮の同士たちには
ありがたい。しかし、状況が難しくなったらあなた方に頼るけれども、今は大丈
夫だと言った」とタス通信に語っています。

 牧野記者は、「中国から支援が入った」と言っているし、同大使は「今年の収
穫がよかったから(今は大丈夫だ)」と言っている。本当に支援を断るくらい収
穫がよかったという情報も出ています。そうすると3番目の条件が崩れてしまい
ます。

◆「日朝が2回秘密接触」と朝日新聞

 そして今日の「朝日新聞」は、「日朝、東南アジアで今春に2回秘密接触」と
書いています。「東南アジアのある所で今年3月と5月に接触をした」と。そし
て、「北朝鮮は、拉致問題は解決済みという姿勢を変えていないので、今は停滞
している」という記事です。

 日朝で何らかのコミュニケーションがとれていたので、それが3月と5月の接
触になったのかもしれません。あるいは「朝日新聞」が間違えたのかもしれませ
んが、しかし、今停滞しているというのは、食糧がある程度確保できたからあわ
てて日本に接近しなくていい状況なのか、と言う点です。そこが一番の焦点にな
るわけです。

 この「朝日新聞」の報道については、私は情報がないので分かりませんが、交
渉について何らかの情報収集をするつもりはないんですね。政府に強く言ってい
るのは、「(秘密接触が)漏れないようにやってくれ」ということです。

 これが本当にやっていて漏れてしまったのであれば、逆に報道を見て北朝鮮は
パイプを切るかもしれない。それは是非避けてほしいと思います。真相が分から
ないのでそれ以上は言いませんが、それよりも私は状況を見ています。北朝鮮に
とって(人道支援が)必要なのかどうか。

(3につづく)

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