岸田首相、所信表明演説で異例の長さで拉致解決への意欲と道筋を語る(2023/10/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.10.27)
■岸田首相、所信表明演説で異例の長さで拉致解決への意欲と道筋を語る
10月23日、岸田文雄首相は国会で行った所信表明演説で拉致問題についてこ
れまでにない長さで時間を割き、解決への意欲と道筋を語った。同演説では4
つめの段落に「外交・安全保障」がおかれた。そこには4つの項目があったが、
なんと拉致問題はその4つの項目の三番目の項目として独立して扱われた。す
なわち、(国際環境の変化と岸田外交)で国際環境の変化について全般的に語
られ、(岸田外交の積極的展開)で各国との関係が語られた後、三番目に(拉
致問題)がおかれ、最後に(防衛力の抜本的強化)で安全補償問題が語られた。
安倍晋三、菅義偉首相と、岸田首相のこれまでの国会での所信表明演説・施政
方針演説をすべてチェックしたが、拉致問題だけを単独項目として扱ったのは
今回の岸田演説が初めてだ。
拉致問題について語られた全文をここに引用する。
〈(拉致問題)
拉致被害者御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとと
きもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。
全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現し、日朝関係を新たなステージ
に引き上げるため、また、日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決す
るためにも、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルで
の協議を進めてまいります。日朝双方の利益に合致し、地域の平和と安定にも
大きく寄与する、日朝間の実りある関係を築いていくために、私は大局観に基
づく判断をしてまいります。〉
内容も充実していた。昨年10月の国民大集会で、岸田首相がはじめて発信さ
れた、「拉致被害者御家族が高齢となる中で」「時間的制約のある…人道問題」
という表現がしっかり入っていた。その上、より切迫感を持たせるために今年
5月の国民大集会での岸田首相挨拶で使われた「ひとときもゆるがせにできな
い」という表現も入っている。何より、5月の挨拶で私たちを驚かせ北朝鮮が
二日後に「会えない理由はない」と回答した、「私直轄のハイレベルでの協議
を進めてまいります」という表現もそのまま入っている。水面下で拉致を巡る
秘密接触が行われているのではないかという期待をもたせる強いメッセージだ
った。
参考のためこれまでの首相の国会演説における拉致言及部分を紹介する。
歴代首相演説の中の拉致言及部分
岸田文雄
20231023第二百十二回国会岸田文雄総理大臣所信表明演説
(拉致問題)
拉致被害者御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとと
きもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。
全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現し、日朝関係を新たなステージ
に引き上げるため、また、日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決す
るためにも、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルで
の協議を進めてまいります。日朝双方の利益に合致し、地域の平和と安定にも
大きく寄与する、日朝間の実りある関係を築いていくために、私は大局観に基
づく判断をしてまいります。
20230123第二百十一回国会岸田文雄総理大臣施政方針演説
北朝鮮による前例のない頻度と態様での弾道ミサイル発射は、断じて容認でき
ません。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的
に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。中で
も、最重要課題である拉致問題は深刻な人道問題であり、その解決は、一刻の
猶予も許されません。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あら
ゆるチャンスを逃すことなく、全力で果断に取り組みます。私自身、条件を付
けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
20221003第二百十回国会岸田文雄総理大臣所信表明演説
最重要課題である拉致問題について、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実
現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組みます。私自身、
条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う決意です。
日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、
不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
20220117第二百八回国会岸田文雄総理大臣施政方針演説
最重要課題である拉致問題について、各国と連携しながら、全ての拉致被害者
の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取
り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、
不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
20211206第二百七回国会岸田文雄総理大臣所信表明演説
拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、
米国をはじめ各国と連携しながら、あらゆるチャンスを逃さず、全力で取り組
みます。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。日朝
平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不
幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
20211008第二百五回国会岸田文雄総理大臣所信表明演説
北朝鮮による核、ミサイル開発は断じて容認できません。日朝平壌宣言に基づ
き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算
して、日朝国交正常化の実現を目指します。
拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべ
く、全力で取り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合
う決意です。
菅義偉首相
20210118第二百四回国会菅義偉総理大臣施政方針演説
政権の最重要課題である拉致問題については、私自らが先頭に立ち、米国を含
む関係国と緊密に連携しつつ、全力を尽くします。金正恩委員長と条件を付け
ずに直接向き合う決意に変わりはなく、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミ
サイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化
を目指します。
20201026第二百三回国会菅義偉総理大臣所信表明演説
拉致問題は、引き続き、政権の最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早
い帰国実現に向け、全力を尽くします。私自身、条件を付けずに金正恩委員長
と直接向き合う決意です。日朝平壌宣言に基づき、拉致・核・ミサイルといっ
た諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、北朝鮮との国交正常化を
目指します。
安倍晋三首相
20200120第二百一回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決し、不幸な過去を清算して、
国交正常化を目指します。何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、条件を付
けずに、私自身が金正恩委員長と向き合う決意です。
もとより、我が国の国民の生命と財産を守るため、毅(き)然として行動し
ていく。その方針はしっかりと貫いてまいります。米国、韓国をはじめ国際社
会と緊密に連携してまいります。
20191004第二百回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
現下の北朝鮮情勢については、米国と緊密に連携し、国際社会と協力しながら、
国民の安全確保に万全を期します。何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、
私自身が、条件を付けずに、金正恩委員長と向き合う決意です。冷静な分析の
上に、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいります。
20190118第百九十八回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信
の殻を破り、次は私自身が金正恩委員長と直接向き合い、あらゆるチャンスを
逃すことなく、果断に行動いたします。北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交
正常化を目指します。そのために、米国や韓国をはじめ国際社会と緊密に連携
してまいります。
20181024 第百九十七回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
六月の歴史的な米朝首脳会談によって、北朝鮮をめぐる情勢は、大きく動き出
しています。この流れに更なる弾みをつけ、日米、日米韓の結束の下、国際社
会と連携しながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指します。
次は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない。最重要課題であ
る拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、あら
ゆるチャンスを逃さないとの決意で臨みます。相互不信の殻を破り、拉致、核、
ミサイルの問題を解決し、不幸な過去を清算して、北朝鮮との国交正常化を目
指します。
20180122第百九十六回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
(北朝鮮問題への対応)
しかし、その平和と繁栄が、今、脅かされています。北朝鮮の核・ミサイル
開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、我が国を取り巻く安
全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではありません。
北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で、核・ミサイル計画を放棄
させる。そして、引き続き最重要課題である拉致問題を解決する。北朝鮮に政
策を変えさせるため、いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然とした外交
を展開します。
三年前、私たちは平和安全法制を成立させました。北朝鮮情勢が緊迫する中、
自衛隊は初めて米艦艇と航空機の防護の任務に当たりました。互いに助け合う
ことのできる同盟は、その絆を(きずな)強くする。
皆さん、日米同盟は、間違いなく、かつてないほど強固なものとなりました。
20171117 第百九十五回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
二 北朝鮮問題への対応
今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言で
はありません。国民の信任を背景に、積極的な外交政策を展開してまいります。
北朝鮮による我が国を飛び越える相次ぐミサイルの発射、核実験の強行は、
断じて容認できません。
先般、トランプ大統領が来日し、日米同盟の揺るぎない絆(きずな)を、世界
に示しました。
トランプ大統領は、拉致被害者の一人ひとりの写真を、真剣なまなざしで見
つめながら、御家族の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けてくれました。御
家族も御高齢となる中で、拉致被害者の方が再び故郷(ふるさと)の土を踏み、
御家族と抱き合うその日まで、私の使命は終わりません。
北朝鮮の核、ミサイルの問題、そして拉致問題を解決する。北朝鮮にその政
策を変更させなければならない。そのために、国際社会と共に、北朝鮮への圧
力を一層強化してまいります。
先日のAPEC、東アジアサミットにおいても、ロシアのプーチン大統領や
中国の習近平国家主席をはじめ、各国首脳と、北朝鮮問題に対する緊密な協力
を確認いたしました。
日中韓サミットを早期に開催し、三か国の連携を更に深めてまいります。
北朝鮮による挑発がエスカレートする中にあって、あらゆる事態に備え、強
固な日米同盟の下、具体的行動を取っていく。ミサイル防衛体制をはじめとす
る我が国防衛力を強化し、国民の命と平和な暮らしを守るため、最善を尽くし
てまいります。
20170120第百九十五回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
北朝鮮が昨年、二度にわたる核実験、二十発以上の弾道ミサイル発射を強行し
たことは、断じて容認できません。安保理決議に基づく制裁に加え、関係国と
協調し、我が国独自の措置も実施しました。「対話と圧力」、「行動対行動」
の一貫した方針の下、核、ミサイル、そして引き続き最重要課題であり、発生
から長い年月が経つ拉致問題の包括的な解決に向け、北朝鮮が具体的な行動を
取るよう強く求めます。
20160926第百九十二回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
北朝鮮がまたも核実験を強行したことは、国際社会への明確な挑戦であり、断
じて容認できません。弾道ミサイルの発射も繰り返しており、強く非難します。
このような挑発的な行動は、北朝鮮をますます孤立させ、何の利益にもならな
いことを理解させるべく、国際社会と緊密に連携しながら、断固として対応し
てまいります。核、ミサイル、そして、引き続き最重要課題である拉致問題の
包括的な解決に向けて具体的な行動を取るよう強く求めます。
20160122第百九十回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
先般、北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。強く非難し
ます。安保理決議への明確な違反であり、国際社会と連携して、断固たる対応
を取ってまいります。「対話と圧力」、「行動対行動」の原則を貫きながら、
拉致問題の解決に全力を尽くします。拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な
解決に向けて具体的な行動を取るよう、北朝鮮に強く求めます。
20150212第百八十九回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
北朝鮮には、拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決を求めます。最重要
課題である拉致問題について、北朝鮮は、迅速な調査を行い、一刻も早く、全
ての結果を正直に通報すべきであります。今後とも、「対話と圧力」、「行動
対行動」の原則を貫き、拉致問題の解決に全力を尽くしてまいります。
20140929第百八十七回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
北朝鮮が、拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的、全面的調査を開始
しました。全ての拉致被害者の御家族が、御自身の手で肉親を抱きしめるその
日まで、私たちの使命は終わりません。今回の調査が、全ての拉致被害者の帰
国という具体的な成果につながっていくよう、「対話と圧力」、「行動対行動」
の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。
20140124第百八十六回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
北朝鮮には、拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決に向けて具体的な行
動を取るよう、強く求めます。
拉致問題については、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き
しめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「対話と圧力」の
方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究
明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くしてまいります。
20131015第百八十五回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
拉致問題については、私の内閣で、全面解決に向けて、全力を尽くしてまいり
ます。
20130228第百八十三回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。安保理決議にも明
確に違反するものであり、厳重に抗議し、非難します。北朝鮮が平和と繁栄を
求めるのであれば、このような挑発的な行動を取ることが何の利益にもならな
いことを理解させるべく、米国、韓国を始め、中国、ロシアといった関係国と
連携して、断固たる対応を追求します。
拉致問題については、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き
しめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「対話と圧力」の
方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究
明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くします。
20130128第百八十三回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
そして何よりも、拉致問題の解決です。全ての拉致被害者の御家族が御自身の
手で肉親を抱きしめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「
対話と圧力」の方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致
に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くします。
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■岸田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 岸田文雄殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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■岸田首相、所信表明演説で異例の長さで拉致解決への意欲と道筋を語る
10月23日、岸田文雄首相は国会で行った所信表明演説で拉致問題についてこ
れまでにない長さで時間を割き、解決への意欲と道筋を語った。同演説では4
つめの段落に「外交・安全保障」がおかれた。そこには4つの項目があったが、
なんと拉致問題はその4つの項目の三番目の項目として独立して扱われた。す
なわち、(国際環境の変化と岸田外交)で国際環境の変化について全般的に語
られ、(岸田外交の積極的展開)で各国との関係が語られた後、三番目に(拉
致問題)がおかれ、最後に(防衛力の抜本的強化)で安全補償問題が語られた。
安倍晋三、菅義偉首相と、岸田首相のこれまでの国会での所信表明演説・施政
方針演説をすべてチェックしたが、拉致問題だけを単独項目として扱ったのは
今回の岸田演説が初めてだ。
拉致問題について語られた全文をここに引用する。
〈(拉致問題)
拉致被害者御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとと
きもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。
全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現し、日朝関係を新たなステージ
に引き上げるため、また、日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決す
るためにも、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルで
の協議を進めてまいります。日朝双方の利益に合致し、地域の平和と安定にも
大きく寄与する、日朝間の実りある関係を築いていくために、私は大局観に基
づく判断をしてまいります。〉
内容も充実していた。昨年10月の国民大集会で、岸田首相がはじめて発信さ
れた、「拉致被害者御家族が高齢となる中で」「時間的制約のある…人道問題」
という表現がしっかり入っていた。その上、より切迫感を持たせるために今年
5月の国民大集会での岸田首相挨拶で使われた「ひとときもゆるがせにできな
い」という表現も入っている。何より、5月の挨拶で私たちを驚かせ北朝鮮が
二日後に「会えない理由はない」と回答した、「私直轄のハイレベルでの協議
を進めてまいります」という表現もそのまま入っている。水面下で拉致を巡る
秘密接触が行われているのではないかという期待をもたせる強いメッセージだ
った。
参考のためこれまでの首相の国会演説における拉致言及部分を紹介する。
歴代首相演説の中の拉致言及部分
岸田文雄
20231023第二百十二回国会岸田文雄総理大臣所信表明演説
(拉致問題)
拉致被害者御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとと
きもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。
全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現し、日朝関係を新たなステージ
に引き上げるため、また、日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決す
るためにも、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルで
の協議を進めてまいります。日朝双方の利益に合致し、地域の平和と安定にも
大きく寄与する、日朝間の実りある関係を築いていくために、私は大局観に基
づく判断をしてまいります。
20230123第二百十一回国会岸田文雄総理大臣施政方針演説
北朝鮮による前例のない頻度と態様での弾道ミサイル発射は、断じて容認でき
ません。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的
に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。中で
も、最重要課題である拉致問題は深刻な人道問題であり、その解決は、一刻の
猶予も許されません。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あら
ゆるチャンスを逃すことなく、全力で果断に取り組みます。私自身、条件を付
けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
20221003第二百十回国会岸田文雄総理大臣所信表明演説
最重要課題である拉致問題について、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実
現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組みます。私自身、
条件を付けずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と直接向き合う決意です。
日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、
不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
20220117第二百八回国会岸田文雄総理大臣施政方針演説
最重要課題である拉致問題について、各国と連携しながら、全ての拉致被害者
の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取
り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。
日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、
不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
20211206第二百七回国会岸田文雄総理大臣所信表明演説
拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、
米国をはじめ各国と連携しながら、あらゆるチャンスを逃さず、全力で取り組
みます。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。日朝
平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不
幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
20211008第二百五回国会岸田文雄総理大臣所信表明演説
北朝鮮による核、ミサイル開発は断じて容認できません。日朝平壌宣言に基づ
き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算
して、日朝国交正常化の実現を目指します。
拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべ
く、全力で取り組みます。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合
う決意です。
菅義偉首相
20210118第二百四回国会菅義偉総理大臣施政方針演説
政権の最重要課題である拉致問題については、私自らが先頭に立ち、米国を含
む関係国と緊密に連携しつつ、全力を尽くします。金正恩委員長と条件を付け
ずに直接向き合う決意に変わりはなく、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミ
サイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化
を目指します。
20201026第二百三回国会菅義偉総理大臣所信表明演説
拉致問題は、引き続き、政権の最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早
い帰国実現に向け、全力を尽くします。私自身、条件を付けずに金正恩委員長
と直接向き合う決意です。日朝平壌宣言に基づき、拉致・核・ミサイルといっ
た諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、北朝鮮との国交正常化を
目指します。
安倍晋三首相
20200120第二百一回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決し、不幸な過去を清算して、
国交正常化を目指します。何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、条件を付
けずに、私自身が金正恩委員長と向き合う決意です。
もとより、我が国の国民の生命と財産を守るため、毅(き)然として行動し
ていく。その方針はしっかりと貫いてまいります。米国、韓国をはじめ国際社
会と緊密に連携してまいります。
20191004第二百回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
現下の北朝鮮情勢については、米国と緊密に連携し、国際社会と協力しながら、
国民の安全確保に万全を期します。何よりも重要な拉致問題の解決に向けて、
私自身が、条件を付けずに、金正恩委員長と向き合う決意です。冷静な分析の
上に、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいります。
20190118第百九十八回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信
の殻を破り、次は私自身が金正恩委員長と直接向き合い、あらゆるチャンスを
逃すことなく、果断に行動いたします。北朝鮮との不幸な過去を清算し、国交
正常化を目指します。そのために、米国や韓国をはじめ国際社会と緊密に連携
してまいります。
20181024 第百九十七回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
六月の歴史的な米朝首脳会談によって、北朝鮮をめぐる情勢は、大きく動き出
しています。この流れに更なる弾みをつけ、日米、日米韓の結束の下、国際社
会と連携しながら、朝鮮半島の完全な非核化を目指します。
次は、私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない。最重要課題であ
る拉致問題について、御家族も御高齢となる中、一日も早い解決に向け、あら
ゆるチャンスを逃さないとの決意で臨みます。相互不信の殻を破り、拉致、核、
ミサイルの問題を解決し、不幸な過去を清算して、北朝鮮との国交正常化を目
指します。
20180122第百九十六回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
(北朝鮮問題への対応)
しかし、その平和と繁栄が、今、脅かされています。北朝鮮の核・ミサイル
開発は、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、我が国を取り巻く安
全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言ではありません。
北朝鮮に、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で、核・ミサイル計画を放棄
させる。そして、引き続き最重要課題である拉致問題を解決する。北朝鮮に政
策を変えさせるため、いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然とした外交
を展開します。
三年前、私たちは平和安全法制を成立させました。北朝鮮情勢が緊迫する中、
自衛隊は初めて米艦艇と航空機の防護の任務に当たりました。互いに助け合う
ことのできる同盟は、その絆を(きずな)強くする。
皆さん、日米同盟は、間違いなく、かつてないほど強固なものとなりました。
20171117 第百九十五回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
二 北朝鮮問題への対応
今、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しいと言っても過言で
はありません。国民の信任を背景に、積極的な外交政策を展開してまいります。
北朝鮮による我が国を飛び越える相次ぐミサイルの発射、核実験の強行は、
断じて容認できません。
先般、トランプ大統領が来日し、日米同盟の揺るぎない絆(きずな)を、世界
に示しました。
トランプ大統領は、拉致被害者の一人ひとりの写真を、真剣なまなざしで見
つめながら、御家族の思いのこもった訴えに熱心に耳を傾けてくれました。御
家族も御高齢となる中で、拉致被害者の方が再び故郷(ふるさと)の土を踏み、
御家族と抱き合うその日まで、私の使命は終わりません。
北朝鮮の核、ミサイルの問題、そして拉致問題を解決する。北朝鮮にその政
策を変更させなければならない。そのために、国際社会と共に、北朝鮮への圧
力を一層強化してまいります。
先日のAPEC、東アジアサミットにおいても、ロシアのプーチン大統領や
中国の習近平国家主席をはじめ、各国首脳と、北朝鮮問題に対する緊密な協力
を確認いたしました。
日中韓サミットを早期に開催し、三か国の連携を更に深めてまいります。
北朝鮮による挑発がエスカレートする中にあって、あらゆる事態に備え、強
固な日米同盟の下、具体的行動を取っていく。ミサイル防衛体制をはじめとす
る我が国防衛力を強化し、国民の命と平和な暮らしを守るため、最善を尽くし
てまいります。
20170120第百九十五回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
北朝鮮が昨年、二度にわたる核実験、二十発以上の弾道ミサイル発射を強行し
たことは、断じて容認できません。安保理決議に基づく制裁に加え、関係国と
協調し、我が国独自の措置も実施しました。「対話と圧力」、「行動対行動」
の一貫した方針の下、核、ミサイル、そして引き続き最重要課題であり、発生
から長い年月が経つ拉致問題の包括的な解決に向け、北朝鮮が具体的な行動を
取るよう強く求めます。
20160926第百九十二回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
北朝鮮がまたも核実験を強行したことは、国際社会への明確な挑戦であり、断
じて容認できません。弾道ミサイルの発射も繰り返しており、強く非難します。
このような挑発的な行動は、北朝鮮をますます孤立させ、何の利益にもならな
いことを理解させるべく、国際社会と緊密に連携しながら、断固として対応し
てまいります。核、ミサイル、そして、引き続き最重要課題である拉致問題の
包括的な解決に向けて具体的な行動を取るよう強く求めます。
20160122第百九十回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
先般、北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。強く非難し
ます。安保理決議への明確な違反であり、国際社会と連携して、断固たる対応
を取ってまいります。「対話と圧力」、「行動対行動」の原則を貫きながら、
拉致問題の解決に全力を尽くします。拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な
解決に向けて具体的な行動を取るよう、北朝鮮に強く求めます。
20150212第百八十九回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
北朝鮮には、拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決を求めます。最重要
課題である拉致問題について、北朝鮮は、迅速な調査を行い、一刻も早く、全
ての結果を正直に通報すべきであります。今後とも、「対話と圧力」、「行動
対行動」の原則を貫き、拉致問題の解決に全力を尽くしてまいります。
20140929第百八十七回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
北朝鮮が、拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的、全面的調査を開始
しました。全ての拉致被害者の御家族が、御自身の手で肉親を抱きしめるその
日まで、私たちの使命は終わりません。今回の調査が、全ての拉致被害者の帰
国という具体的な成果につながっていくよう、「対話と圧力」、「行動対行動」
の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。
20140124第百八十六回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
北朝鮮には、拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決に向けて具体的な行
動を取るよう、強く求めます。
拉致問題については、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き
しめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「対話と圧力」の
方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究
明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くしてまいります。
20131015第百八十五回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
拉致問題については、私の内閣で、全面解決に向けて、全力を尽くしてまいり
ます。
20130228第百八十三回国会安倍晋三総理大臣施政方針演説
北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。安保理決議にも明
確に違反するものであり、厳重に抗議し、非難します。北朝鮮が平和と繁栄を
求めるのであれば、このような挑発的な行動を取ることが何の利益にもならな
いことを理解させるべく、米国、韓国を始め、中国、ロシアといった関係国と
連携して、断固たる対応を追求します。
拉致問題については、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き
しめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「対話と圧力」の
方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究
明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くします。
20130128第百八十三回国会安倍晋三総理大臣所信表明演説
そして何よりも、拉致問題の解決です。全ての拉致被害者の御家族が御自身の
手で肉親を抱きしめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「
対話と圧力」の方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致
に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くします。
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■岸田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 岸田文雄殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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