救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際セミナー報告3(2023/12/20)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.12.20-2)

■国際セミナー報告3

開会 櫻井よしこ(総合司会、ジャーナリスト)

 皆様、こんにちは。今国会は前代未聞の混乱の中にあります。その中でここに
各党の代表の方々もご参集くださいました。本当にありがとうございます。今私
たちの国は、外国から見れば、本当にどんな国なんだろうと、そのような関心で
見られています。

 しかし、与党、野党、そして国民が一体になって、この拉致問題を決して忘れ
てもいないし、決意も変わってはいないことを示すことが大事だと思います。

 今日は、ということで開催しました。外国からもお客様が来ていらっしゃいま
す。今日は北朝鮮の最新情勢を踏まえ、どのように対応していくか。岸田政権の
政策にどのように生かして、国民救出に具体的につながっていくかについて、言
葉だけでなく、与党も野党も国民も、家族会も救う会も全員が心を一つにして、
どうやって情報を引き出すかということに集中したいと思います。

 まず家族会の横田哲也さんに主催者として挨拶を宜しくお願いいたします(拍
手)。

◆とにもかくにも結果を出してほしい

横田哲也(家族会事務局次長、横田めぐみさん弟)

 皆さん、こんにちは。本日家族会代表の横田拓也は所要のため来られませんの
で私が代わりにご挨拶をさせていただきます。

 まず昨年に続き総合司会として櫻井よしこさんに来てくださったことにお礼を
申し上げます。またゲストとして昨年もこのセミナーにいらっしゃいましたが、
韓国から金聖●(王へんに文、キム・ソンミン)さんが来てくださいました。い
つもありがとうございます。さらに、元北朝鮮の英国駐在公使で韓国国会議員の
太永浩(テ・ヨンホ)さんも後ほどお話をいただきます。

 太永浩さんと言えばこの本(「3階書記室の暗号 北朝鮮外交秘録」)で有名
で、何年か前に出た本で私も何度も読んでいますが、拉致のことも書いてありま
した。この本に書かれていないことも本日もしかしたら聞けるのではないかと楽
しみにしています。

 さて今から46年前に、北朝鮮の工作員によって拉致された私の姉である横田
めぐみ、当時中学1年生だったのですが、今では59歳になっています。かなり
時間の経過を感じます。今年も押し詰まりましたが解決の見込みは見えません。
多くの同胞が未だに苦しい状況に置かれています。

 日本であれば、街を見渡せばクリスマスのイルミネーション等様々な楽しいこ
とがあるわけですが、北朝鮮にいる日本人拉致被害者はそういう楽しみや自由が
一切ありません。もちろん日本人拉致被害者のみならず、北朝鮮国民自身も、
「何のために生きているのか」という苦しみの現実があります。

 何としても私たち日本国が、日本人ができることを果たしていきたい、苦しん
でいる人たちを自由にしてあげたいと思っています。日本政府は水面下で北朝鮮
と交渉してくださっていると信じたいのですが、何をしているかは我々にも教え
てくださいません。しかし、とにもかくにも結果を出してほしいと思います。

 人権、人命が関わっていることなので答えはイエスかノー、100点か0点、
今のところ0点ですので、とにかく合格点が出るような結果を出してほしいと思っ
ています。

 わが国は12月10日から16日を、法律に基づいて「北朝鮮人権侵害問題啓
発週間」としていますが、本日その期間にこのセミナーが開催されているわけで
す。日本人拉致被害者のみならず、北朝鮮の国内でいかに人権、自由が侵害され
ているかということを我々は共有して、明るい未来を彼ら自身にも共有してほし
いですし、国際社会もより平和な社会になるように、我々ができることを取り組
んでいきたいと考えています。

 今後日本と北朝鮮が交渉する中で、北朝鮮が様々な変化球を投げてくることが
予想されます。「何人が死んだ」とか、「だれかだけが生きているから返します」
とか、「北朝鮮と日本の双方に連絡事務所を置きましょう」というようなどうで
もいい話がどんどん来ますが、どうぞ日本国政府は北朝鮮に騙されないように、
毅然とした態度で北朝鮮に臨んでほしいと思います。

 そして明るい結果が出ることで、日本国中に歓喜がみなぎる自信のある国にし
ていければいいなと思っています。

 今日は、林拉致担当大臣も来てくださっていますし、各党の先生方からもお話
がありますが、どうぞ最後までご参加いただければと思います。ありがとうござ
います(拍手)。

櫻井 今日は拉致議連会長の古屋圭司さんの都合が悪くなりましたので、会長代
行の山谷えり子先生に主催者挨拶をお願いいたします(拍手)。

◆救出運動は新しい次元、新しい段階に入っている

山谷えり子(拉致議連会長代行、元拉致問題担当大臣、参議院議員)

 皆様、こんにちは。こんなにたくさんお集まりくださいまして、ありがとうご
ざいます。絶対にあきらめない、解決の日を一日も早く手繰り寄せるという強い
思いでこうしてお集まりくださりありがとうございます。

 政府、拉致議連も情報収集をしています。来年度の政府拉致対策本部の予算も
増やし、北朝鮮の様々な情報をキャッチし、人工衛星の精度も上がってきていま
す。また北朝鮮に向けての情報発信もさらに充実させていこうとしています。ま
た若い人たちの間で拉致問題を風化させないように様々な取り組みを政府もやっ
ているわけですが、拉致議連としても一体となって頑張って、帰国を実現すべく
頑張っています。

 救出運動は新しい次元、新しい段階に入っていると思います。横田早紀江さん、
有本明弘さんも87歳と95歳とお歳ですので、親世代の生きている間に拉致被
害者を抱きしめるという、「時間的制約のある人道問題」だ、と。

 これまでは拉致、核・ミサイルを一括して解決しようということでしたが、拉
致は「時間的制約のある人権・人道問題」だということで、岸田総理も強い決意
をお持ちです。拉致議連としても、すべての被害者が帰るならば、国連安保理も
認めている人道支援を排除しないということで、今年はアメリカに行き、様々な
関係の所に伝えてきた所です。

 最近は私たちが行きますと、ホワイトハウスの一角にお招きをいただき、非常
に深いレベルの意見交換ができるようになっています。アメリカの理解が進んで
います。国際社会の理解も進んでいます。そして日米間の連携も進んでいます。

 何としても日朝首脳会談の扉をこじあけるために、みんなで心を一つにしてい
きたいと思っています。

 北朝鮮のメディアは、「今年の収穫はまあまあだった」と言っていますが、必
ずしもそうではないという状況にあります。医薬品や医療体制も不備のまま放置
されています。

 韓国から様々なドラマや音楽等色々な物が入ってきて、自由主義社会というの
はこんなものだということを北朝鮮の人々が知るようになってきています。これ
に対して金正恩総書記は非常に神経をとがらせています。色々なところで、ぐら
ぐらした状況が生まれてきていますので、決してあきらめないことが大事だと思
います。

 北朝鮮と中国とロシアがグルになったとウクライナの情勢を見ながら思う方も
いると思いますが、必ずしも一枚岩ではありません。コロナ禍が終わって中国は
北朝鮮にいる労働者を返したいのですが、その交渉が今もめていてストップして
います。ロシアもロシアで色々な思惑があります。

 岸田総理は11月26日の国民大集会で、「様々なルートを通じて、様々な働
きかけを絶えず行い続けている」。そして、「日本国民の一致団結した強い思い
が解決につながる」、「全力で取り組んでまいります」と誓われました。

 拉致問題が解決しなければ国家とはいえません。私たちが自信をもって、誇り
ある国家として歩いて行くためにも、北朝鮮で今寒い中で救出を待っておられま
すので、必ず取り戻すという思いを伝えながら、結果を出していきたいと思いま
す。

 横田早紀江さんが、「コスモスのように」という歌を作詞され、「地に足をふ
んばって生きているのね きっと」という部分があるのですが、私たちは北朝鮮
に、「地に足をふんばって生きている」人たちを、一日も早く祖国で幸せな家族
の時間を取り戻していかなければならない。その思いを強めて、とにかく心一つ
に、今日の集会でも色々な見方を伝えていただけると思いますので、頑張って参
りましょう。どうぞよろしくお願いいたします(拍手)。

◆拉致問題は過ぎ去った問題ではない

林 芳正(拉致問題担当大臣、内閣官房長官、衆議院議員)

 昨日、拉致問題担当大臣兼内閣官房長官を拝命しました。

 本日は、家族会・救う会・拉致議連の主催によります、「拉致問題国際セミナー」
が開催されましたので、一言ご挨拶を申し上げます。

 皆様の主催によって、こうしてセミナーが毎年開催されています。大変大事な
ことだと思います。今年は、「北朝鮮の最新情勢を知り、全拉致被害者救出への
方途を考える」ということで、大変意義深い内容だと聞いています。「こうして
お集まりいただき、救出に取り組んでいる」と、先ほど山谷先生からもお話があ
りました。政府としても感謝申し上げたいと思います。

 2002年に5名の拉致被害者がご帰国なさってから、今年で21年になって
しまいました。この間、5名以外の拉致被害者以外のご帰国が未だ実現しておら
ず、誠に申し訳なく思っています。

 拉致被害者ご家族が大変ご高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は一時
もゆるがせにできない人道問題であります。ご家族はもとより、国民の間にも差
し迫った思いが強まっています。

 こうした差し迫った思いをしっかり共有しながら、一刻も早い解決に向けて全
力を尽くしてまいりたいと思っています。

 今お話がありましたが、拉致問題の解決にはわが国自身の取組みが大変に重要
ですが、国際社会との連携も大変重要になってきます。総理もこれまで各国首脳
との会談等において、拉致問題について働きかけをし、5月のG7(主要国首脳会
議)、広島サミットがありました。その機会にバイ(二国間)もやりましたが、
加えて8月の日米韓首脳会議があり、先月はAPEC(アジア太平洋経済協力会議)
等、拉致問題の解決に向けて緊密に連携していくことを確認しています。

 私自身も、今年9月まで約2年間外相を務めてきましたが、各国との外相会談
等では常に拉致問題の解決に向けた連携、協力を働き掛けてきました。こうした
国際社会への働きかけと同時に、やはり日本として主体的に取組むことが重要で
す。

 総理ご自身、「条件をつけずに、いつでも金正恩委員長と直接向き合う」と述
べてきています。日朝間の懸案を解決し、両者が共に新しい時代を切り開いてい
くという観点からの総理の決意を、あらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝える
と共に、首脳会談を早期に実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を行ってい
きたい、と述べられています。

 先月26日の国民大集会においても、総理から「様々なルートを通じて様々な
働きかけを絶えず行い続けていますが、早期の首脳会談実現に向け、働きかけを
一層強めてまいります」と述べられました。

 拉致問題は決して過ぎ去った問題ではありません。今なお拉致被害者が自由を
奪われ、ご帰国できない状態が続いている現在進行形の問題であります。そのた
め政府としては、拉致問題啓発活動にも力を入れて取組んでいます。

 今週10日から16日まで、北朝鮮人権侵害問題啓発週間です。その一環とし
て、明日16日に、拉致問題への理解と関心を深めるための、「すべての拉致被
害者の一日も早い帰国の実現に向けて」をテーマに、政府主催のシンポジウムを
開催します。

 このシンポジウムでは、被害者のご家族の生の声をご発信いただくと共に、有
識者による講演、そして国内の若い世代への啓発への取組みの一環として、作文
コンクールの表彰式、さらには今年度新たに改修した「中学生サミット」に関す
る報告を行う予定にしています。

 インターネットのライブ配信も実施していますので、ぜひ参加登録をお願いし、
ご主張をしていただきたいと思っています。

 拉致問題の解決には、国民の皆様に、すべての拉致被害者の一日も早い帰国実
現の強い意志を示していただくことが重要です。本日このセミナーにご来場いた
だくのも、その一環だと思いますが、そのような国民の皆様の声を通じて、国民
の皆様の強い意志がさらに広がって、より一層のものになる。これが拉致問題の
解決に力強い後押しになると考えています。

 すべての拉致被害者の一日も早いご帰国の実現に向けて、ご家族の皆様に寄り
添いながら、全力で取り組んでまいります。今後とも、ご支援、ご協力をいただ
きますようお願い申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうござい
ました(拍手)。

(4につづく)
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■岸田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html

葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 岸田文雄殿

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