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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

家族会・救う会の新運動方針について4(2024/03/18)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2024.03.18)

■家族会・救う会の新運動方針について4

◆独自制裁とは何なのか

 以上の大きな流れを受けて家族会・救う会は新しい運動方針を2月25日に決
めました。横田代表の先ほどの説明通り、「人道支援に反対しない」に加えて、
「独自制裁解除に反対しない」を付け加えました。

 但し、1.「親の世代が存命中の内に」と、2.「全被害者の即時一括帰国」と
いう条件を付けています。ばらばらと何人かだけとか、合同調査委員会を作ると
かは受け入れられないともしています。

 こういう大きな流れを受けて、北朝鮮が日本と拉致問題を先にやろうとした場
合、被害者が全員帰ってくるなら人道支援を行うだけでなく、独自制裁解除にも
反対しないと、日本はもう一つ大きなカードがあることを見せようと思ったわけ
です。

 独自制裁とは何なのかですが、国連安保理はかなり厳しい制裁をかけています。
国連が制裁をかける前に、日本政府は第一次安倍政権の頃から、制裁をかけてき
た。

 そもそも日本には制裁をかける法律がなかったのです。議員立法で特定船舶入
港禁止法を作ってもらい、さらに外国為替管理法を改正してもらいました。貿易
制限ができるようにしてもらったのです。

 特定船舶入港禁止法がなかった時は、国交がない国の船であっても入港を禁止
することはできないと言われていた。外国為替管理法は、改正前は国連安保理が
制裁決議をしたから貿易を止めることができた。しかし、日本独自の判断では貿
易を止めることはできなかったのです。

 過去に南アフリカがひどい黒人差別をしていた時に、南アフリカに対して貿易
を止める国連制裁がかかりました。日本も南アフリカからダイヤモンドを買うの
を止めました。制裁をかけたことがあるんです。しかし、拉致を理由になぜかけ
ないのかと我々はずっと言っていたのです。法的根拠がなかった。

 そこで議員立法で特定船舶入港禁止法というのを作ってもらい、それから外国
為替管理法を改正してもらった。貿易制限ができるようにしてもらったのです。

 特定船舶入港禁止法がなかった時は、いくら国交がない国の船であっても入港
を禁止することができない状態でした。今その法律があるのでできます。

 外国為替管理法の改正がなかった時は、国連の安保理事会が制裁決議した時は
貿易を止めることができました。しかし、日本独自の判断では貿易を止めること
ができなかったのです。

 2003年、2004年頃に議員立法で拉致が理由で制裁できる法律を作って
もらいました。作るに当たって活躍したのが菅元総理が若い時で、また今群馬県
知事をしている山本一太さん、そして今落選中ですが水野さんという千葉県出身
の方で、その後、みんなの党に行かれました。本当に一生懸命やってくださいま
した。

 そして北朝鮮が最初に核実験をした時から制裁をかけました。核実験をしたり、
大陸間弾道ミサイルの発射実験をしたりした時に日本は、その法律を根拠に制裁
をかけました。

 小泉政権の末期、安倍さんが官房長官の時に、北朝鮮がミサイル実験をした時
に制裁をかけました。ここで気を付けなければならないのは、その時文書で出た
制裁をかける理由に、拉致が入っていなかったのです。

 そこですぐ私は安倍事務所に電話して、「なぜ入れないんですか」と言ったら、
その午後に安倍さんが記者会見で、「もちろん拉致問題で北朝鮮が誠実な対応を
取っていない中でミサイルを撃ったのでかけたのです」と言い、口頭で理由に入
りました。

 その後は、契機がミサイル発射や核実験でした。しかし、常に「拉致問題で北
朝鮮が誠実な対応をしていない」と書き込まれていました。だから正確に言うと、
今の日本の独自制裁は核と拉致の両方が理由です。

 でも日本の制裁のかなりの部分は後でできた国連制裁とかぶっています。今日
本は一切の貿易を禁止しています。輸出も輸入も全部です。しかし国連制裁では、
北朝鮮の輸出はぜいたく品と軍需品以外は禁止していないのです。輸入について
は、全部というくくりではなく、これを買ってはいけないとリストになっていま
す。

 北朝鮮の過去の実績でいうと、9割が禁止になりました。しかし日本は、輸出
も輸入も全部禁止です。国連がまだ食糧品の輸入を禁止していなかった時、朝鮮
総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長の息子が北朝鮮から松茸を輸入したことで
逮捕されました。

 今はそれも国連制裁に入っています。日本では国連制裁に入っていない制裁が
あるのです。それが万景峰号を含む北朝鮮の船舶の往来です。それから朝鮮総連
の幹部、核・ミサイル技術者等に対して、日本政府は人権重視の国ですから、出
国の自由は与えています。

 北朝鮮は日本人妻に対して出国の自由も与えないわけですからひどいのです。
拉致被害者もそうです。在日の人は、特別な歴史的経過があるので、特別永住許
可をもらっています。しかし、特別永住許可はあくまでも「許可」ですから、も
う日本には住まないと外国に出て行ったら無効になります。

 しかし、出国する前に、再入国許可を貰っていれば特別永住許可が有効なまま
残せるのです。永住許可を貰っている人は、出ていく前に再入国許可を貰ってい
ないと、帰ってこられなくなります。その再入国許可を出さないという制裁をか
けたのです。

 朝鮮総連には北朝鮮の国会議員が6人か7人いますが、行けばいいんです。自
分の国なんだから。国会議員だし。でも行かないんです。日本の方がいいから。
その部分については日本だけで、国連制裁には入っていません。

 もちろんその部分も核・ミサイルを契機として制裁をかけましたが、今回私た
ちはそれを「独自制裁」という枠組みにして、拉致で使ってほしいと言ったわけ
です。

◆再入国許可は一度解除

 過去にストックホルム合意(2014年)というのがありましたね。その時、
総連の幹部に対して再入国許可を出さない点は解除しました。それで許宗萬は1
回平壌に行けたのです。

 金正恩に会いたかったのですが、会えないで帰ってきた。お金をほとんど送れ
なかったので会ってくれなかったのです。その後、ストックホルムで合意した調
査委員会を解体すると言い、核実験をしたので、もう1回制裁をかけました。

 しかし、ストックホルム合意で日本は制裁を一度使ったのです。再入国許可を
出さないようにしていたのを出すことにした。今回、全拉致被害者が帰ってくる
なら、その部分を使ってくれと私たちは言ったわけです。

 そして、横田代表が言った「対話局面」に入った。この「対話局面」というの
は、核問題と拉致問題を切り離して、拉致問題を人道問題と位置付けて、国連制
裁違反にならない部分、国連制裁より日本が厳しくしている部分をテコに使って
被害者を取り戻すという戦略で、それを岸田総理は一昨年の10月に始めた。

 歴代総理がやったことがないことをやったのです。だから私は、岸田総理が一
昨年の10月から始めたことを、「私は信じていますから頑張ってください」と
首相官邸に行った時に言いました。それは話すとこういう1時間くらいかかるも
のです。

 水面下での交渉については分かりません。最後にその見通しについて話します
が、その前に運動方針にありますが、我々ができることとして、この運動方針を
広く理解してもらうことです。日本中からこれに支持を得なければならない。

 総理にお会いした日に、拉致議連の会議が開かれ、各党代表の方々が集まって
くださり、そこに私が行って、この運動方針について説明しました。そこで金与
正談話の話が出たから、先ほどの「のみ」に関する話をしました。そしてメモを
作ってくれと言われ作り、そのメモを元にして配布資料のコラムを書きました。

 その後、自民党の拉致問題対策本部が開かれ、そこには横田代表も来てくれ、
家族の心情の部分を説得力ある形で話してくれました。そこに来ていたある先生
は、20年くらいこの会議に出ていた人で、初めてマイクを握り、涙を流し、
「家族に申し訳ない」とおっしゃってくださいました。「家族に、ここまで譲歩
することをさせてしまったことは本当に申し訳ない」と。

 その後も、この運動方針を理解していただく活動をしてきました。今日の集会
もその一環です。そして5月にまた国民大集会を開く予定です。国民大集会での
岸田総理の発言から始まっているんです。そして、去年の5月の集会については
すぐに北朝鮮から返事が来た。

 今年5月まで表面的な動きがないならば、国民大集会での発言が大変注目され
るのではないかと思います。

 また拉致議連の先生にもお願いし、今年の運動方針にもありますが、今年も訪
米をしようと思っています。アメリカのバイデン政権の要人たちに新しい運動方
針で、「独自制裁の解除に反対しない」ことを入れましたと説明したいと思いま
す。

 去年2月の運動方針と5月の訪米の後、岸田総理の発言に平壌からすぐ反応が
あったことも説明したいと思います。1月の地震へのお見舞い電報と2月の金与
正談話です。今日朝は対話局面に入っている。もちろん核問題をないがしろにす
るのではないけれど、緊急な人道問題があるのでこういうことをやっています、
と。

 親の世代が本当に高齢になって大変です、という説明をもう一度しに行こうと
思っています。以上が運動方針とその背景についての説明です。

(5につづく)


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