民族統一を否定?北朝鮮の大変化と拉致問題(2024/07/22)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2024.07.22)
北朝鮮は昨年12月の中央委員会総会で、金正恩総書記が韓国に対する政策を
転換し、「韓国を平和統一の対象ではなく敵対国とみなす」、と民族統一を否定
しました。また今年1月の最高人民会議では、「韓国を第1の敵対国とみなす」
よう、憲法の改正を指示しました。その余波が朝鮮総連にも及んでいます。
今回は、西岡力・救う会会長、久保田るり子・國學院大学客員教授がこの大変
化を解説、露朝首脳会談にも言及した上で、拉致問題に与える影響について報告
しました。
家族会から横田早紀江さん、横田拓也代表、横田哲也さんも参加しました。
西岡 久しぶりに横田早紀江さんに来ていただきました。私たちは、「無理しな
いでください」と言ったのですが、お元気だということで来ていただきました。
◆全力を尽くしても、なかなか難しくて動かない
横田早紀江(横田めぐみさん母)
みなさん、こんばんは。長い間、集会等に出られませんでした。去年狭心症に
初めてなりましたが、できるだけ静かにして、なんとか息を吹き返しました。元
気を回復しましたので、今日は出席させていただきました。長い間、いつもお世
話になりありがとうございます。
どうしていいのか分からない、難しい問題だなと、今も思っています。家族会、
救う会で全国に出向き、講演会などに出て、皆さんと一緒に頑張ってきました。
主人も疲れ果てて天国に行ってしまいました。全力を尽くしてきたのですが、
なかなか難しくて動かない。
北朝鮮の金正恩に全然そういう気持ちがないのですが、どうやって日朝会談で
話し合いができるのかといつも思うのですが、私たちは何にも聞きませんので、
どうしていいのか分かりません。
北朝鮮は核爆弾を実際に持っていますから、そしてああいう人ですから何にも
思わずに使用する可能性もあります。恐ろしいことが起きる情勢にあるなと思い
ます。
政府の皆様方も毎年変わらないのですが、一生懸命やってくださっていると思
います。しかし、今日も元気でいることを信じて頑張ってきました。北朝鮮はの
うのうとしていますが、私たちの悲惨な思いは何十年も続いてきました。
世界が、日本がこれをどうしたら押さえられるか。危険なことにならないよう
に願っています。向こうの気持ちが変われば一番いいのですが、そう簡単にはい
かない。どうすればいいか分からないのですが、ただいい日が来るのを信じて頑
張っていこうと思っています。今日はありがとうございます(拍手)。
◆金正恩委員長は勇気ある英断を
横田拓也(横田めぐみ弟、家族会代表)
皆様こんにちは。家族会代表の横田拓也です。お暑い中、お集まり頂きました
事、心から感謝致します。ありがとうございます。
今、米国大統領選挙の話題で持ちきりとなっている毎日です。トランプ前米大
統領が本日、大統領候補受諾演説の中で金正恩委員長との関係について発言され
ました。皆様もニュースをご覧のことと思います。その中で、
「私は北朝鮮の金正恩委員長とうまく付き合った」という発言や、
「多くの核兵器を持っている誰かとうまく過ごすのはよいことだ」とか、
「私は彼らとうまく付き合ったし、我々は北朝鮮のミサイル発射を中断させた」、
「我々がまた会えば私は彼らとうまく付き合うだろう。彼はおそらく私に会いた
がっているはずで、私を懐かしく思うはずだ」と発言されています。
核保有国として認めるのかどうかという安全保障の視点、米朝の関係が進展す
る事で日本人拉致問題解決が前進する可能性があるとの視点、様々な視点が交錯
している訳ですが、北朝鮮がこうした大きな動きが無ければ行動をとらない事も
事実であり、米国大統領選挙の動向に私は注目しています。
これとは別に、岸田首相がどこまで日朝首脳会談実現に向けて水面下交渉の具
体化を強いリーダーシップで推進しているかが重要です。親世代の高齢化が深刻
な中で、「時間的制約のある拉致事件」の解決を早期に図ってほしいと思います。
露朝の関係が強化されている一方で、先日のニュースではキューバの北朝鮮大
使館の参事官が韓国に亡命した事が紹介されていました。体制への嫌気と将来へ
の悲観がその理由だと言います。
また、別のニュースではフランスにいた北朝鮮の外交官の家族が米国に亡命し、
別の外交官家族も脱北したとの事です。
世界の真実の情報に直接触れる彼らが、こうした選択を迫られる事は現体制が
いかに明るい未来を描けていないか、人権侵害が深刻であるかを物語っているわ
けであります。
金正恩委員長は、拉致問題解決を図り、日朝両国が明るい未来を描けるように
勇気ある英断をしてほしいと思います。
私たちは絶対にあきらめません。そして皆様方、どうか引き続きご支援をいた
だけますようお願いいたします。宜しくお願い致します(拍手)。
◆圧力をかけても動かないのか、かけないから動かないのか
横田哲也(横田めぐみさん弟、家族会事務局次長)
皆さん、こんばんは。この東京連続集会だけでなく、色々な会合の場面で、西
岡先生を始め専門家の方々が話されていますが、今年の元旦に能登で大地震があ
り、それに対して金正恩が岸田首相宛に電報を送ってきたということがありまし
た。
その後、金与正が毎日のようにメッセージを出し、別の日には真逆のことを言っ
たりした中で、何らかの前進があるのかなという淡い気持ちもあったのですが、
結局半年経った7月現在、何の動きもないのが現実です。
北朝鮮と秘密接触をしていると岸田首相もおっしゃっていましたが、今のまま
のやり方では前進させることができないのではないかと考えます。
別の切り口について申し上げると、韓国の民間団体がバルーン(風船)作戦を
行っています。私は、東京連続集会等でこのバルーン作戦は効果的ではないかと
申し上げましたが、ニュースで北朝鮮の激昂ぶりを見ると、そうとう効いている
と思います。
北朝鮮にとってみれば、国民に知られたくない情報が国内でまん延することを
極度に恐れており、一番してほしくないものだろうと思います。これに対し、逆
に韓国にバルーンを飛ばしていますが、幼稚園レベルの対抗策だなと思います。
バルーン作戦が効果的なら、家族会の中でも、圧力をかけるのではなく対話交
渉の時期と申し上げていますが、政府間交渉が全く進展しないのならば、そして
拉致被害者を返さないのであれば、北朝鮮が一番知られたくない情報を私たちも、
日本もどんどん出しますよ、と強く迫ってもいいのではないかと思います。
「そんなこと日本政府ができるわけがない」という声もありますが、常識を越
えたことをやらない限り、圧力をかけなければだめだというのが事実です。やれ
ることをやった上で動いていないということなのか、何もやっていないから動か
ないのか、もっと詰めてほしいと思います。
話は変わりますが、今年は気温が高いけれど、我々はクーラーが効いた部屋で、
冷たい飲み物を飲めますが、それは北朝鮮の常識ではないのです。何もかもない。
そういうことを考えると、北朝鮮国民が一日も早く幸せを享受してほしいですし、
拉致被害者を早く奪還して幸せを感じてほしいなと思います。
最後に日本のテレビにお願いしたいことは、怒りを持って対峙してほしいとい
うことです。日本国民の人権が奪われていることを意識して臨めば、一方的にや
られっ放しにはならないと思います。
日本という国は紳士的なので大げさな対応はしないお国柄ではありますが、時
によっては、「ふざけるんじゃない」という態度で臨んでほしいと思います。
水面下での接触でいい機会が出ることを信じて、これからもやれることをやっ
て臨んでいきたいと思います。ありがとうございました(拍手)。
西岡 今日は久保田るり子さんに来てもらいました。1月にも古森義久さんと一
緒に来てもらいましたが、今北朝鮮ウォッチャーの間では、去年の12月から、
「何が起きているんだ」、「いままでの北朝鮮では絶対ありえないことが起きて
いる」と、一体何が起きているのか、その理由は何なのか、これからどうなって
いくのかということを、この半年くらい喧々諤々と議論してきました。
哲也さんの話にあった風船の話も、汚物を送ってきたというのは今までにない
ことでした。70年代には、「北朝鮮の体制がすばらしい」というビラを送って
きていました。私も拾ったことがあります。それがごみになったというのは今ま
でになかったことです。
それが直接拉致と関係するわけではないのですが、北朝鮮で何が起きているか
を分かっていないと、拉致がどう動くかは分かりませんから、今日は表面上の動
きがないということもあり、久保田さんには日朝関係ではなく、去年12月から
北朝鮮で大きな変化が起きた。
大きく見るとその前から布石が打たれていたのですが、そのことについて話し
をしていただいて、私もそのことをお話した上で、これが拉致問題にどういう影
響を与えるのか、今日トランプ発言が金正恩に触れましたが国際情勢がどう動く
のかについて後半に話をしたいと思います。
最近久保田さんが書かれた記事、「今南北軍事境界線でなにが…〈壁〉〈地雷〉
挑発繰り返す北」が皆さんのお手元に配られていると思います。
◆「韓国は敵だ」、「統一は許さない」と北朝鮮が大変化
久保田るり子(産経新聞客員編集委員、國學院大学客員教授)
皆さん、こんばんは。久しぶりです。
今日は、北朝鮮で歴史的な転換がなぜ起きているのか、その背景は何かという
お話を、西岡さんとしたいと思います。私は国際的な局面についてお話します。
内部情勢は西岡さんが詳しくお話されると思います。
去年の暮れから、対外的には今年の1月15日の北朝鮮の最高人民会議、日本
の国会ですね、ここで北朝鮮の南北政策の歴史的な大転換が発表されました。
それは「南北統一」という方針を放棄するということです。我々は1980年
に、「南北統一」について金日成が高麗連邦方式を発表しましたが、そもそも北
は南を国と認めていなくて、「南朝鮮」と呼んで、自分たちの領土である民族を
統一するんだという国是に基づいて今まで歩んできた国なのです。
これは建国の父である金日成、息子の金正日が引き継いできた、世襲の遺訓の
ようなものだったのです。これを簡単に放棄するとは一体どういうことなのかと
いうことだったわけです。
北朝鮮は韓国をどういう風に位置付けるかというと、これまで「南朝鮮」と呼
んでいたのを「大韓民国」と国名にして、「敵である」、「統一の相手ではない」、
「同民族ではない」、「焼殺、全滅する相手だ」としてきました。
それを具体化するために今様々なことをやっています。例えば「南北統一」に
関係する建造物を全部壊しています。そして担当していた朝鮮労働党内の部署は
全部廃止しました。憲法にある「同族」等の言葉をすべて削除しました。
さらに、朝鮮半島全体の地図を自分たちの地図として使ってきたのに、南半分
を違う色に塗って、北半分だけを自分たちの国としました。「愛国歌」という国
歌の中で、統一を象徴する「三千里」という言葉も削除しました。こんな様々な
ことをして、「韓国は敵だ」、「統一は許さない」としています。
◆北朝鮮の国際的な地位がどんどん縮小
国際的な面では、先ほど拓也さんがおっしゃいましたが、キューバの話です。
キューバと北朝鮮は長年の同盟国でした。それは中国、ソ連、今のロシアと共に
三大拠点と言われていました。そういう間柄で、カストロと金日成は兄弟の間柄
でした。先に国を作った金日成が兄でした。
80年代に金日成がカストロに対して、10万丁のライフルを無償で送ってい
ます。当時のソ連は、アメリカと戦う武器は自分で調達しろと言ったので、あの
ケチな金日成が一銭のお金も要求せず兄弟国のキューバに送ったのです。それほ
どの間柄でした。
ところが今年の2月14日、国連代表部で韓国とキューバの代表が、「あと5
分後に同時発表する」と口裏を合わせて、「我々は国交を樹立した」と発表しま
した。これは北朝鮮からすれば、驚天動地のことでした。
今週初めのことですが、韓国とキューバの国交回復を阻止しようとした北朝鮮
の外交官が、それを阻止できなかったからとして韓国に亡命しました。北朝鮮か
らすれば背信行為です。それは実は、統一政策の転換にも大きな関係があったの
です。
なぜならキューバは、カストロが生きていた時代はともかく、2016年に亡
くなった後は、韓国の色々な文化が入ってきたこともあり、経済協力も進んだこ
ともあり、韓国に若い女の子たちが遊びに行く、1万人以上の観光客が来るそう
です。K?ポップ(韓国のポピュラー音楽)がはやることもあった。韓国ブームが
起きて韓国が近くなったのです。
しかし、今までは国交正常化には至らなかった。なぜなら兄弟である北朝鮮で
あり、北朝鮮は、「韓国は自国の一部」と言っていたので国交正常化してはまず
いと控えてきたのです。
しかし、1月になって「もう敵国だ」と言い始めたので、韓国からキューバに
「国交を樹立しよう」という話があったので、水面下で交渉していたのです。そ
して1週間でまとめ上げて国交正常化した。そういうことが起きている。つまり
北朝鮮の国際的な孤立が進んでいると言えるのです。
そして北朝鮮の在外公館にいる外交官が次々に西側に逃げてきている。去年1
年だけで10か国くらいの在外公館が閉鎖になっています。それはなぜかと言う
と、やはり経済的な困窮によって維持費が来ない。北朝鮮の在外公館というのは、
政治工作の拠点であると同時に、外貨稼ぎもしています。
しかし、本国では、「無駄なお金は使わない」として、次々に閉鎖にした。そ
れは外交官が亡命を始めたことが理由だと言われています。今北朝鮮の在外公館
は世界で44になりました。韓国はキューバと修好したことで193になり、今
国交がないのはシリアだけとなりました。北朝鮮の国際的な地位がどんどん縮小
しています。
北朝鮮は反米国家、イランやロシアのような国との修好だけを頼りにしている
というように、情勢が変わってきています。そしれさらにその方向に傾いていく
ことが予想されます。
(2につづく)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■岸田首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 岸田文雄殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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北朝鮮は昨年12月の中央委員会総会で、金正恩総書記が韓国に対する政策を
転換し、「韓国を平和統一の対象ではなく敵対国とみなす」、と民族統一を否定
しました。また今年1月の最高人民会議では、「韓国を第1の敵対国とみなす」
よう、憲法の改正を指示しました。その余波が朝鮮総連にも及んでいます。
今回は、西岡力・救う会会長、久保田るり子・國學院大学客員教授がこの大変
化を解説、露朝首脳会談にも言及した上で、拉致問題に与える影響について報告
しました。
家族会から横田早紀江さん、横田拓也代表、横田哲也さんも参加しました。
西岡 久しぶりに横田早紀江さんに来ていただきました。私たちは、「無理しな
いでください」と言ったのですが、お元気だということで来ていただきました。
◆全力を尽くしても、なかなか難しくて動かない
横田早紀江(横田めぐみさん母)
みなさん、こんばんは。長い間、集会等に出られませんでした。去年狭心症に
初めてなりましたが、できるだけ静かにして、なんとか息を吹き返しました。元
気を回復しましたので、今日は出席させていただきました。長い間、いつもお世
話になりありがとうございます。
どうしていいのか分からない、難しい問題だなと、今も思っています。家族会、
救う会で全国に出向き、講演会などに出て、皆さんと一緒に頑張ってきました。
主人も疲れ果てて天国に行ってしまいました。全力を尽くしてきたのですが、
なかなか難しくて動かない。
北朝鮮の金正恩に全然そういう気持ちがないのですが、どうやって日朝会談で
話し合いができるのかといつも思うのですが、私たちは何にも聞きませんので、
どうしていいのか分かりません。
北朝鮮は核爆弾を実際に持っていますから、そしてああいう人ですから何にも
思わずに使用する可能性もあります。恐ろしいことが起きる情勢にあるなと思い
ます。
政府の皆様方も毎年変わらないのですが、一生懸命やってくださっていると思
います。しかし、今日も元気でいることを信じて頑張ってきました。北朝鮮はの
うのうとしていますが、私たちの悲惨な思いは何十年も続いてきました。
世界が、日本がこれをどうしたら押さえられるか。危険なことにならないよう
に願っています。向こうの気持ちが変われば一番いいのですが、そう簡単にはい
かない。どうすればいいか分からないのですが、ただいい日が来るのを信じて頑
張っていこうと思っています。今日はありがとうございます(拍手)。
◆金正恩委員長は勇気ある英断を
横田拓也(横田めぐみ弟、家族会代表)
皆様こんにちは。家族会代表の横田拓也です。お暑い中、お集まり頂きました
事、心から感謝致します。ありがとうございます。
今、米国大統領選挙の話題で持ちきりとなっている毎日です。トランプ前米大
統領が本日、大統領候補受諾演説の中で金正恩委員長との関係について発言され
ました。皆様もニュースをご覧のことと思います。その中で、
「私は北朝鮮の金正恩委員長とうまく付き合った」という発言や、
「多くの核兵器を持っている誰かとうまく過ごすのはよいことだ」とか、
「私は彼らとうまく付き合ったし、我々は北朝鮮のミサイル発射を中断させた」、
「我々がまた会えば私は彼らとうまく付き合うだろう。彼はおそらく私に会いた
がっているはずで、私を懐かしく思うはずだ」と発言されています。
核保有国として認めるのかどうかという安全保障の視点、米朝の関係が進展す
る事で日本人拉致問題解決が前進する可能性があるとの視点、様々な視点が交錯
している訳ですが、北朝鮮がこうした大きな動きが無ければ行動をとらない事も
事実であり、米国大統領選挙の動向に私は注目しています。
これとは別に、岸田首相がどこまで日朝首脳会談実現に向けて水面下交渉の具
体化を強いリーダーシップで推進しているかが重要です。親世代の高齢化が深刻
な中で、「時間的制約のある拉致事件」の解決を早期に図ってほしいと思います。
露朝の関係が強化されている一方で、先日のニュースではキューバの北朝鮮大
使館の参事官が韓国に亡命した事が紹介されていました。体制への嫌気と将来へ
の悲観がその理由だと言います。
また、別のニュースではフランスにいた北朝鮮の外交官の家族が米国に亡命し、
別の外交官家族も脱北したとの事です。
世界の真実の情報に直接触れる彼らが、こうした選択を迫られる事は現体制が
いかに明るい未来を描けていないか、人権侵害が深刻であるかを物語っているわ
けであります。
金正恩委員長は、拉致問題解決を図り、日朝両国が明るい未来を描けるように
勇気ある英断をしてほしいと思います。
私たちは絶対にあきらめません。そして皆様方、どうか引き続きご支援をいた
だけますようお願いいたします。宜しくお願い致します(拍手)。
◆圧力をかけても動かないのか、かけないから動かないのか
横田哲也(横田めぐみさん弟、家族会事務局次長)
皆さん、こんばんは。この東京連続集会だけでなく、色々な会合の場面で、西
岡先生を始め専門家の方々が話されていますが、今年の元旦に能登で大地震があ
り、それに対して金正恩が岸田首相宛に電報を送ってきたということがありまし
た。
その後、金与正が毎日のようにメッセージを出し、別の日には真逆のことを言っ
たりした中で、何らかの前進があるのかなという淡い気持ちもあったのですが、
結局半年経った7月現在、何の動きもないのが現実です。
北朝鮮と秘密接触をしていると岸田首相もおっしゃっていましたが、今のまま
のやり方では前進させることができないのではないかと考えます。
別の切り口について申し上げると、韓国の民間団体がバルーン(風船)作戦を
行っています。私は、東京連続集会等でこのバルーン作戦は効果的ではないかと
申し上げましたが、ニュースで北朝鮮の激昂ぶりを見ると、そうとう効いている
と思います。
北朝鮮にとってみれば、国民に知られたくない情報が国内でまん延することを
極度に恐れており、一番してほしくないものだろうと思います。これに対し、逆
に韓国にバルーンを飛ばしていますが、幼稚園レベルの対抗策だなと思います。
バルーン作戦が効果的なら、家族会の中でも、圧力をかけるのではなく対話交
渉の時期と申し上げていますが、政府間交渉が全く進展しないのならば、そして
拉致被害者を返さないのであれば、北朝鮮が一番知られたくない情報を私たちも、
日本もどんどん出しますよ、と強く迫ってもいいのではないかと思います。
「そんなこと日本政府ができるわけがない」という声もありますが、常識を越
えたことをやらない限り、圧力をかけなければだめだというのが事実です。やれ
ることをやった上で動いていないということなのか、何もやっていないから動か
ないのか、もっと詰めてほしいと思います。
話は変わりますが、今年は気温が高いけれど、我々はクーラーが効いた部屋で、
冷たい飲み物を飲めますが、それは北朝鮮の常識ではないのです。何もかもない。
そういうことを考えると、北朝鮮国民が一日も早く幸せを享受してほしいですし、
拉致被害者を早く奪還して幸せを感じてほしいなと思います。
最後に日本のテレビにお願いしたいことは、怒りを持って対峙してほしいとい
うことです。日本国民の人権が奪われていることを意識して臨めば、一方的にや
られっ放しにはならないと思います。
日本という国は紳士的なので大げさな対応はしないお国柄ではありますが、時
によっては、「ふざけるんじゃない」という態度で臨んでほしいと思います。
水面下での接触でいい機会が出ることを信じて、これからもやれることをやっ
て臨んでいきたいと思います。ありがとうございました(拍手)。
西岡 今日は久保田るり子さんに来てもらいました。1月にも古森義久さんと一
緒に来てもらいましたが、今北朝鮮ウォッチャーの間では、去年の12月から、
「何が起きているんだ」、「いままでの北朝鮮では絶対ありえないことが起きて
いる」と、一体何が起きているのか、その理由は何なのか、これからどうなって
いくのかということを、この半年くらい喧々諤々と議論してきました。
哲也さんの話にあった風船の話も、汚物を送ってきたというのは今までにない
ことでした。70年代には、「北朝鮮の体制がすばらしい」というビラを送って
きていました。私も拾ったことがあります。それがごみになったというのは今ま
でになかったことです。
それが直接拉致と関係するわけではないのですが、北朝鮮で何が起きているか
を分かっていないと、拉致がどう動くかは分かりませんから、今日は表面上の動
きがないということもあり、久保田さんには日朝関係ではなく、去年12月から
北朝鮮で大きな変化が起きた。
大きく見るとその前から布石が打たれていたのですが、そのことについて話し
をしていただいて、私もそのことをお話した上で、これが拉致問題にどういう影
響を与えるのか、今日トランプ発言が金正恩に触れましたが国際情勢がどう動く
のかについて後半に話をしたいと思います。
最近久保田さんが書かれた記事、「今南北軍事境界線でなにが…〈壁〉〈地雷〉
挑発繰り返す北」が皆さんのお手元に配られていると思います。
◆「韓国は敵だ」、「統一は許さない」と北朝鮮が大変化
久保田るり子(産経新聞客員編集委員、國學院大学客員教授)
皆さん、こんばんは。久しぶりです。
今日は、北朝鮮で歴史的な転換がなぜ起きているのか、その背景は何かという
お話を、西岡さんとしたいと思います。私は国際的な局面についてお話します。
内部情勢は西岡さんが詳しくお話されると思います。
去年の暮れから、対外的には今年の1月15日の北朝鮮の最高人民会議、日本
の国会ですね、ここで北朝鮮の南北政策の歴史的な大転換が発表されました。
それは「南北統一」という方針を放棄するということです。我々は1980年
に、「南北統一」について金日成が高麗連邦方式を発表しましたが、そもそも北
は南を国と認めていなくて、「南朝鮮」と呼んで、自分たちの領土である民族を
統一するんだという国是に基づいて今まで歩んできた国なのです。
これは建国の父である金日成、息子の金正日が引き継いできた、世襲の遺訓の
ようなものだったのです。これを簡単に放棄するとは一体どういうことなのかと
いうことだったわけです。
北朝鮮は韓国をどういう風に位置付けるかというと、これまで「南朝鮮」と呼
んでいたのを「大韓民国」と国名にして、「敵である」、「統一の相手ではない」、
「同民族ではない」、「焼殺、全滅する相手だ」としてきました。
それを具体化するために今様々なことをやっています。例えば「南北統一」に
関係する建造物を全部壊しています。そして担当していた朝鮮労働党内の部署は
全部廃止しました。憲法にある「同族」等の言葉をすべて削除しました。
さらに、朝鮮半島全体の地図を自分たちの地図として使ってきたのに、南半分
を違う色に塗って、北半分だけを自分たちの国としました。「愛国歌」という国
歌の中で、統一を象徴する「三千里」という言葉も削除しました。こんな様々な
ことをして、「韓国は敵だ」、「統一は許さない」としています。
◆北朝鮮の国際的な地位がどんどん縮小
国際的な面では、先ほど拓也さんがおっしゃいましたが、キューバの話です。
キューバと北朝鮮は長年の同盟国でした。それは中国、ソ連、今のロシアと共に
三大拠点と言われていました。そういう間柄で、カストロと金日成は兄弟の間柄
でした。先に国を作った金日成が兄でした。
80年代に金日成がカストロに対して、10万丁のライフルを無償で送ってい
ます。当時のソ連は、アメリカと戦う武器は自分で調達しろと言ったので、あの
ケチな金日成が一銭のお金も要求せず兄弟国のキューバに送ったのです。それほ
どの間柄でした。
ところが今年の2月14日、国連代表部で韓国とキューバの代表が、「あと5
分後に同時発表する」と口裏を合わせて、「我々は国交を樹立した」と発表しま
した。これは北朝鮮からすれば、驚天動地のことでした。
今週初めのことですが、韓国とキューバの国交回復を阻止しようとした北朝鮮
の外交官が、それを阻止できなかったからとして韓国に亡命しました。北朝鮮か
らすれば背信行為です。それは実は、統一政策の転換にも大きな関係があったの
です。
なぜならキューバは、カストロが生きていた時代はともかく、2016年に亡
くなった後は、韓国の色々な文化が入ってきたこともあり、経済協力も進んだこ
ともあり、韓国に若い女の子たちが遊びに行く、1万人以上の観光客が来るそう
です。K?ポップ(韓国のポピュラー音楽)がはやることもあった。韓国ブームが
起きて韓国が近くなったのです。
しかし、今までは国交正常化には至らなかった。なぜなら兄弟である北朝鮮で
あり、北朝鮮は、「韓国は自国の一部」と言っていたので国交正常化してはまず
いと控えてきたのです。
しかし、1月になって「もう敵国だ」と言い始めたので、韓国からキューバに
「国交を樹立しよう」という話があったので、水面下で交渉していたのです。そ
して1週間でまとめ上げて国交正常化した。そういうことが起きている。つまり
北朝鮮の国際的な孤立が進んでいると言えるのです。
そして北朝鮮の在外公館にいる外交官が次々に西側に逃げてきている。去年1
年だけで10か国くらいの在外公館が閉鎖になっています。それはなぜかと言う
と、やはり経済的な困窮によって維持費が来ない。北朝鮮の在外公館というのは、
政治工作の拠点であると同時に、外貨稼ぎもしています。
しかし、本国では、「無駄なお金は使わない」として、次々に閉鎖にした。そ
れは外交官が亡命を始めたことが理由だと言われています。今北朝鮮の在外公館
は世界で44になりました。韓国はキューバと修好したことで193になり、今
国交がないのはシリアだけとなりました。北朝鮮の国際的な地位がどんどん縮小
しています。
北朝鮮は反米国家、イランやロシアのような国との修好だけを頼りにしている
というように、情勢が変わってきています。そしれさらにその方向に傾いていく
ことが予想されます。
(2につづく)
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■岸田首相にメール・葉書を
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