救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

2025年の内外情勢と拉致被害者救出への展望1(2025/01/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2025.01.27)

  第131回東京連続集会は、令和7年1月24日、東京・文京区民センターで開催さ
れました。

 わが国の少数与党政局、トランプ大統領再登場の米国、戒厳・弾劾で大混乱の
韓国、ウクライナ戦争参戦で大量死傷を出した北朝鮮など、内外情勢は激しく動
いています。その中で私たちは全拉致被害者救出のために何をすべきか。国内政
治に詳しい江崎道朗氏、米国政治に詳しい島田洋一氏、南北朝鮮に詳しい西岡力
会長が論じます。

  家族会の横田拓也代表、横田哲也さんも参加しました。

◆拉致問題解決にはタイムリミットがある

横田拓也(横田めぐみさん弟、家族会代表)

 皆様こんばんは、家族会代表の横田拓也です。

 本日も「必ず北朝鮮によって拉致された日本人全員を救出する」と言う強い意
思で会場にお越し頂き心から感謝申し上げます。

 本日、母の早紀江は本集会に参加させて頂く予定でしたが、先日転倒してしま
い、大事をとって欠席させて頂きました。身体の衰えには逆らえず、いつも健康
でい続けてほしいと思っています。母は来月2月4日で89歳です。元気で過ごして
いるものの、明日は元気ではないかもしれない。そう思うと、残された時間は限
られている事を改めて感じます。

 有本恵子さんのお父様明弘さんは96歳です。昨年12月の政府主催行事には車い
すで毅然とした姿で上京されましたが、最近は身体の衰えを隠せないご様子との
事です。

 家族会の親世代が健在な内に、拉致された被害者が日本の地で再会し、この人
権・人道問題である拉致事件が解決する事、タイムリミットがあることを重ね重
ね金正恩委員長には伝えています。この差し迫った状況を金正恩委員長は真剣に
受け止めるべきです。

◆日本国・家族会が納得するまで解決とは言えない

 家族会・救う会は、来月2月16日(日)に合同会議を開催し、今年度の運動方針
を決定します。どの様な文言を盛り込めば金正恩委員長が耳を傾けるのかを真剣
に討議したいと考えています。

 さて、私個人としてはこの2025年は「勝負の年」と位置付けています。もちろ
ん、家族会が発足した1997年から毎年その思いで救出活動を行っている訳ですが、
今年が過去と大きく違う点は申し上げるまでもなく今月20日に共和党のトランプ
氏が4年振りに大統領に就任されたことです。

 トランプ大統領は2018年、2019年にシンガポールそしてベトナムで米朝首脳会
談を行い、金正恩委員長と会っています。北朝鮮が核施設の廃棄について嘘をつ
いた事でアメリカの怒りを買い、結果的には首脳会談は決裂しました。

 その後民主党バイデン政権になった際には、「戦略的忍耐」という事実上の北
朝鮮を無視する戦略を取った事で、米朝間のキャッチポールは無くなったままで
す。そしてその閉じた重い扉を再度こじ開け、金正恩委員長に強く迫れるトラン
プ大統領が就任された訳です。

 ここで重要となってくるのは当事者である日本政府の立ち位置とこの人権問題
を必ず解決させるのだという強い意識の持ち方です。米国頼りにするのではなく、
私たち家族会が北朝鮮に対して持っている怒りを同じ目線で持ち、米国そして北
朝鮮に迫ることが重要です。その為には、先ずはトランプ大統領との個人的信頼
を構築し、日米同盟の絆の強さを形にすることが大切です。

 一般論として言われている、日朝両国に合同調査委員会や連絡事務所を設置す
るといった、この問題解決を後退させるような枝葉の論議に終始することなく、
日朝両国が明るい未来を描ける大局観を言葉にしてほしいと思います。

 私たち家族会は、日本政府のお力添えでこれまでトランプ大統領と2017年11月
及び2019年5月に東京で面会させて頂きました。拉致問題解決に向けて深いご理
解を頂けたこと、そして問題解決に向けてお力添えを頂くことを私達に約束して
下さいました。

 希望としてはゴールデンウィークに家族会・救う会・拉致議連の三団体で今年
も訪米し、トランプ政権のキーマンの方々に拉致問題解決の重要性を伝えて行け
ればと考えています。

 拉致問題の解決は犯罪者・加害者側の北朝鮮が決めるものではありません。拉
致された被害者側の私たち日本国・家族会が納得するまで解決とは見なしません。
その事を日本政府・北朝鮮政府はしっかり認識して頂きたいと思います。

 親世代が健在な内に拉致された私たちの家族や兄弟との再会を強く求めます。
私たちは絶対に諦めません。言葉を武器にして戦い続けます。負ける事のできな
い戦いです。どうか皆様、引き続きのお力添えを頂けますよう宜しくお願い致し
ます。ありがとうございました(拍手)。

◆政府は効果的で意味のある行動を

横田哲也(横田めぐみさん弟、家族会事務局次長)

 皆さん、こんばんは。昨年、2024年に拉致問題を解決することができませんで
した。

 北朝鮮との交渉が一体今どうなっているのか分からない中で、既に2025年も1
か月が終わろうとしています。今のままでいいのだろうかと思うことが多くなっ
てきました。

 アメリカに目を向ければ、今兄の拓也が述べましたように、トランプさんが大
統領に返り咲いたので、今後米朝交渉の可能性がゼロではない中で、日本政府は
アメリカに対して拉致問題を迅速に解決してほしいということを要請してほしい
と思います。

 トランプ大統領から、自分が大統領でなかった期間に日本は何をやっていたの
かと聞かれた時に、自信を持って言えるのだろうかとの心配までしてしまいます。

 とはいえ、岸田政権の時は日朝間で水面下交渉が行われており、全くゼロでは
ないものの、より効果的な動きをしていないと、「そんなのじゃだめだ」と言わ
れかねませんから、やはり効果的で意味のある行動、戦略を続けてほしいと思い
ます。

 日本人拉致被害者家族の要望というのは、首相官邸や外務省、拉致問題対策本
部に色々な情報が寄せられていますが、少しでも可能性のあるものがあれば、接
点を持って行動してほしい。何もしないことが一番の罪です。

 そのために政府は対策本部に予算を付けているわけですから、効果的にお金を
活用して、情報を取って、その情報を石破首相や林官房長官も共有して、正しい
判断ができるようにしてほしいと思っています。

◆諸外国の情報が入るのが恐い

 一方で、北朝鮮に関して言えば、ご案内の通りですが、北朝鮮がロシアに兵士
を送り、多くの人が死傷しているとのニュースが出ています。亡くなったとの
情報は、北朝鮮では知らされてはいけない情報ですが、それ以前に派兵されてい
ることすら言うなと家族に言っているとの情報があります。

 それほど諸外国の情報が入ってくることを恐れているわけです。同じように、
韓国の自由主義社会の情報が入ることも非常に嫌がっています。だから、最近は
やっていないかもしれませんが、韓国がバルーン作戦等で自由主義社会の情報が
入ることも非常に嫌がっています。従って情報戦も意味があると思います。

 私は家族会でも、救う会ともそういうことを話したことはありませんが、先ほ
どもあったように、私どもの母や有本のお父様がどんどん弱っていく中で、万が
一のことがあれば、日本国政府に働きかけることも視野に入れています。

 そうなれば、私たちの動き自体が北朝鮮にとっては痛いことになりますから、
そうならないためにも、より早いタイミングで拉致問題を解決してほしいと思い
ます。

 日本国の交渉者は、「脅す」という言葉が適切かどうかは分かりませんが、笑
顔で交渉しながら背中で握りこぶしをちらつかせる。そのくらいのことをしない
と交渉が成立しないと思います。意味のある交渉をしてほしいと思っています。

 2025年を迎えて、私の母も有本のお父さんも一つ歳を加えました。元気な内に
自分の家族と会うことができるようになってほしいですし、また被害者自体もど
うなっているか分かりません。医薬品があるような世界ではないので、1分1秒を
争うようにもなりかねません。

 日本政府や関係者は改めて胸に刻んでいただいて、結果を出していただきたい
と思っています。以上です(拍手)。

西岡 今年初めての東京連続集会ですが、何とかして今年中に取り戻したいと考
えています。

 江崎さんはこの集会に出ていただくのは多分初めてですよね。

江崎 裏方では何度かありますよ。

西岡 ああそうか。私は20年以上の付き合いですが、拉致問題との関連では長く
拉致議連の会長をしてくださった平沼赳夫先生の事務所の政策担当の秘書をされ
ていたり、今自民党の拉致議連会長の衛藤晟一先生の政策担当の秘書をされてい
たり、石原慎太郎事務所の秘書もしておられました。

 その石原さんや平沼さんが作った「次世代の党」の政策を一手に引き受けてお
られ、その中の主要な政策の一つが拉致問題だったので、実は色々な討論もして
きましたし、助けてもらってきました。

 石破政権になって、今日施政方針演説をされましたが、「拉致問題は時間的制
約のあるひとときもゆるがせにできない問題だ」とおっしゃいました。今政局が
自民党、公明党にだけお願いしてはすまない少数与党の時代になりましたので、
政治の裏を知っている江崎さんにも支援をお願いしたいと思って、今日来ていた
だきました。

 まず、準備してくださった核問題の話からしていただけますか。

◆アメリカは核戦力を更新し「力による平和」をめざす

江崎(麗澤大学客員教授)

 皆さんこんばんは。平沼先生や衛藤先生の政策担当秘書ではなく、色々なスタッ
フをやっていました。また安倍さんが下野された時は、安倍総理の拉致問題に関
するペーパーを作る作業も一部担当しました。

 先ほど横田哲也さんが、「圧力を加えなければいけない」と話されました。ト
ランプ政権の時に、なぜ拉致問題が動いたのか。やはり共和党トランプ政権の、
「力による平和」ということだと思います。

 この「力による平和」というのは、要は軍事力による平和です。「軍事力によ
る平和」は、言葉でいうのは簡単ですが、トランプ政権は軍拡をして軍事力を強
めることをやっています。

 先週20日付けの「夕刊フジ」に、アメリカの今年度国防予算について話しまし
た。アメリカは毎年、国防権限法という法律を通して、これでアメリカの国防予
算の使い道をほぼ決めていくわけです。

 昨年12月に、今年の国防予算が決まりましたが、日本円で139兆円です。わが
国の防衛費は岸田政権が倍増するぞと言って、今8.9兆円くらいです。アメリカ
はこの139兆円をどう使うかですが、アメリカは民主主義国ですから、アメリカ
の議会が必ず国民に知らせるためのペーパーを作ります。これです。

 これがアメリカ下院の軍事委員会が出している139兆円の使い道のレポートで
す。一番大きい話は、核の問題です。核兵器の問題に関しては、昨年末に成立し
た国防権限法、これはトランプ政権になることを前提に、トランプ新政権の意向
を強く反映したものになっています。

 その中身は、「核なき世界を求める」という議論から、「核戦力を強化する」
という方向に全面的に方針を変えることになりました。アメリカの核戦力には大
きく3つの柱があります。

 まず大陸間弾道弾ミサイル、2番目が戦略爆撃機、三番目が潜水艦発射型弾道
ミサイル(SLBM)です。実はアメリカは、今世紀に入ってからこの3つの方針の
現代化をほとんどやってきませんでした。これは、イスラム過激派と戦うことが
アメリカの脅威だったからです。だから核を更新しなくてもいいと考えられてい
ました。

 それよりはテロリストを発見するためにサイバーや通信や精密兵器やドローン
に力を入れようとしており、これが米軍のドクトリンだったのですが、これを全
面的に、中国、ロシアも含めた大国に対抗する軍事戦略に組み直すということを
やったのが、第一次トランプ政権で、2017年12月でした。

 それに基づいて中国、ロシアの核兵器、核戦力に対抗するというのが、第一次
トランプ政権が始めたことでした。しかし、バイデン政権はトランプ政権がやっ
た核戦力の全面的な近代化をほぼストップしました。

 要は、中国、ロシアの核戦力に対抗しないというのがバイデン政権の基本的な
政策でした。ウクライナ戦争で、ロシアのプーチンが「核の脅し」をやったのに
対し、バイデン政権は屈服したわけです。

 やはり、力に対して力を持たなければ平和は維持できないというのがトランプ
政権の考え方ですので、今回トランプ政権と連邦議会の意思として、まず大陸間
弾道弾ミサイルの新型を開発整備する。2番目に戦略爆撃機も、次世代型のステ
ルス戦略爆撃機(B-21 Raider)の導入。

 これは北朝鮮に対しても、ステルスで中国にも把握されずに爆撃できるという
ものを配備していく。3番目は原子力潜水艦ですが、これもコロンビア級という
最新鋭の潜水艦を作って配備する。こういう形で、中国、ロシア、北朝鮮の核戦
力に全面的に対抗する。

 さらに新たな技術、AIとか精密誘導技術、こういうものを全部取り入れて、3
つの核戦力を全面的に更新する。

 加えて、「第4の核戦力」と言うのですが、「海上発射型核巡行ミサイル
(SLCM-N)」というもので、これは小型核爆弾を搭載した海上発射型の巡行ミサ
イルです。これはレーガン政権の時に、一時期配備されていましたが、「ソ連の
脅威がないから」ということで、ジョージ・ブッシュ大統領の時に運用から外さ
れ、2012年のオバマ政権の時に廃止されました。そのため中国に対抗する戦術核
ミサイルをアメリカは持たなくなりました。

 中国は、地域限定の戦術核ミサイルを持っていますので、これに対抗するため
には、戦術核ミサイルを持つことが必要だということで、2018年、第一次トラン
プ政権の時に、SLCM-Nの開発に着手したのですが、バイデン政権がこれをまた中
止しました。

◆予算には国家の意思が現れる

 中国に対抗する戦術核ミサイルは作らないというのがバイデン民主党政権の、
「核なき世界」だったわけです。このように譲歩に譲歩を重ねるようなことを、
アメリカの民主党政権はやってきたわけですが、これに対して第二次トランプ政
権は、「第4の核戦力」の開発予算を復活させました。

 地域限定の戦術核ミサイルを持つことは、中国、北朝鮮、及びロシアに対抗す
るためには必要だという考え方です。しかし、莫大なお金がかかります。だから
アメリカは1年間で、防衛予算を139兆円にしたのです。

 しかし、そこまでしなければプーチンによる核の恫喝、中国による核の恫喝、
また北朝鮮のわがままに対して抑え込むことができないというのが、第二次トラ
ンプ政権の判断です。

 その上で、今日もニュースに出ていましたが、トランプ大統領が、「金正恩と
は仲がいいので会いたい」と。トランプ政権がやっていることは、言葉ではやさ
しく、でもやるべきことはちゃんとやって、「力による平和」を維持するという
形で、中国、北朝鮮、ロシアに徹底的に圧力をかける。でも、「圧力をかける」
という言葉は使わない。

 昨年末に下院で通った139兆円、習近平もプーチンも金正恩も、アメリカが再
び「力による平和」に本腰を入れたと見るのが今の状況です。多分の中国もロシ
アも北朝鮮も何らかの動きをせざるを得ないと思います。

 そういう意味では、国際情勢は大きく動いていきます。私はいつも言うのです
が、「予算には国家の意思が現れる」のです。国際政治は金と力があってこそ動
いていくのです。アメリカはそれに本腰を入れて始めたということです。

 情勢は大きく動くでしょう。その中で、北朝鮮、そのバックにいるトシア、中
国に対しても、しっかりと対峙しながら、拉致被害者の皆さんが速やかに帰って
こられるように、日本政府に後押ししていかなければならないと思います。とり
あえず以上です。

(2につづく)


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首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 石破茂殿

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