■北朝鮮が提出した「調査報告」の疑問点・矛盾点
(第3回日朝実務者協議)
はじめに
私たちは、第3回日朝実務者協議において北朝鮮側から提供された「調査結果」なるものについて、政府代表団より報告を受けました。その報告に基づき、各家族の挙げる疑問点を集め、従来までの情報との比較検討を行い、現段階での疑問点・矛盾点をまとめました。また、政府に対し、なぜ直ちに経済制裁を実施しないのか等について、疑問を提起しています。
北朝鮮側は今回、自らが前回提供した死亡診断書などの捏造を認めた上で、新たに「物証」なるものを提供し、また「説明」を行いましたが、これらの「調査結果」も、嘘の上塗りというほかない不誠実きわまりないものであったと思っています。
また、新たに提出された「物証」のほとんどは拉致されたことを証明するだけのものであって、「死亡」を証明するものではありませんでした。死亡を証明できる可能性を持つのは、横田めぐみさんのものと称される「遺骨」一つだけです。それも下記のとおりたいへん疑わしいものでした。
まず、めぐみさん以外については今回の報告によって死亡の「物証」は全くなくなったのです。このことは、被害者全員が今も生きていることを強く示唆するものです。政府はあくまで、被害者の「生存」を前提として拉致問題の早期かつ全面的解決に取り組むことを強く求めます。
今回の実務者協議の結果、医師の署名つきの死亡診断書さえ平気で捏造し、我が国警察の捜査結果をことごとく否定する金正日政権と、現在のような形で協議をつづけても真実を明らかにはできないことが判明しました。11月16日付け声明のとおり、また様々な世論調査結果が示しているように、いまこそ経済制裁を発動すべきではないでしょうか。まず、制裁を発動し、金正日政権が誠実に検証可能な形で真実を明らかにしない限りそれを解除しない、という強い姿勢で救出に取り組むことをここに重ねて求めます。
なお、今回の報告では「調査結果」に関する全体的疑問点・矛盾点4点の指摘、個別的疑問点・矛盾点52点の指摘、共通する疑問点6点の指摘に加え、政府への問題提起にとどめ、帰国した被害者より頂いている様々な情報と今回の「調査結果」の検証と評価などについては、後日にご報告する予定です。